第6回記者会見要旨:令和4年 会議結果
山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和4年5月16日(月)18:59~19:32
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室
1.発言要旨
経済財政諮問会議の概要について御報告します。
本日は「マクロ経済運営」と「経済財政運営と改革の基本方針」の骨子案について議論を行いました。
「マクロ経済運営」については主に次のような意見がありました。足下の物価高騰やコロナ禍の影響に対しては激変緩和策を講じつつ、中長期的には民間投資による成長と所得上昇による分配の好循環を拡大し、また成長分野への円滑な労働移動を促すべき。財政を有効活用するため、年度を跨ぐ柔軟な執行や基金等を活用して予算単年度主義の弊害を是正するとともに、成果の見える化やEBPMを徹底し、適切かつ効果的な支出を推進すべき。
「骨太方針」については、資料3のとおり骨子案をお示ししました。「経済財政運営と改革の基本方針」という正式名称からも分かるとおり、骨太方針は岸田内閣が取るべき経済財政政策の全体像を示すものです。政策の大きな方向性を示す簡潔な基本方針としたいと考えます。
第1章では、我が国を取り巻く環境変化に対応した短期と中長期の経済財政運営の基本的な方向性を示す。第2章は新しい資本主義に向けた改革として、計画的な重点投資と社会課題の解決に向けた取組を示し、さらに国際環境の変化への対応や防災・減災、国土強靱化などの取組を示す。第3章は持続可能な経済財政運営に向けた社会保障制度をはじめとする各分野の改革を示し、第4章で来年度の予算編成に向けた考え方を示すこととしております。
本日の議論を踏まえ、次回の会議で原案を提示する予定です。総理からの締めくくり発言については、お聞きいただいたとおりです。詳細については、後ほど事務方から御説明をさせていただきます。
2.質疑応答
(問)今ご説明があった、本日の諮問会議で議論された本年度の骨太方針の骨子案についてお伺いします。総理が掲げる新しい資本主義の具体化に向けて多くのテーマが盛り込まれていますが、総花的な印象も一見受けます。現時点でこれが骨太方針の中心と言えるようなテーマや政策の一例についてお聞かせください。2点目として、策定に向けた現段階でのスケジュール感、先ほどもありましたが、改めて教えてください。最後に3点目として、短期的にはエネルギーや原材料の価格高騰による企業物価や消費者物価の上昇、またロシアのウクライナ侵攻の長期化によるコスト高など、国内経済への影響が顕著ですが、総合緊急対策に続くような形で、何か骨太の中で具体的な対応策を盛り込む考えはありますか。骨子案の段階ではありますが、現段階での考え、以上3点、よろしくお願いいたします。
(答)最後の方からお答えいたしますと、これは既に総理からも申し上げているように、二段でやるという話をしていますから、現在の総合緊急対策を、現下、置かれている状況を改善するために行ってまいります。
中長期的なものに関しては、新しい資本主義のグランドデザインをお示しし、そして実行計画をお示しする中で、これから先の様々な成長戦略、政策をお示しするということになっております。
骨太の方針は、もちろん中身の非常に太い柱として新しい資本主義が入ってまいりますが、経済財政運営全体としてどのような方針で岸田内閣が進むかを簡潔にお示しする文書になってまいりますので、大きな方向性はお示ししますが、具体的にこのような政策を盛り込みますということを書き込む、そういう性質のものではないと考えていただければと思います。
またスケジュール感は、当然、これは6月に向けて議論をしていかなくてはいけませんから、冒頭の発言でも申し上げましたように、今日、財政諮問会議を開きましたので、明日から与党調整に入ります。次の経済財政諮問会議には原案がお示しできるようなスケジュール感で進めていこうと思っておりますので、与党プロセスを経ながら、来月にはきちんとお示しができるようにしてまいりたいと思っております。
最初の質問については、これが総花的と感じられるかどうかは、マスコミの皆さま方の厳しいご指摘があってこそだと思っていますが、我々としては新しい資本主義の中身については、これまでも総理がいろいろな機会を使いながらお示しをしてきたものが、今回もゴールデンウィーク中にロンドンで演説をされた時にやはり示されて、これを今回の骨太方針の骨子案の中にもしっかりお示しをしておりますので、それが中心になってくることは間違いがないと思いますが、当然、それ以外にも必要なもの、例えば国土強靱化のようなものは継続して、これはどんな政権だったとしてもやらなくてはいけない課題だと思っておりますので、そういうことも全て網羅的に、やらなくてはいけないことが簡潔に書かれていかなくてはいけないものだと思っています。
それをもって総花的と捉えるのか、そうではなくて、現下、あるいはこれから中長期的に見ても、日本にとってやらなくてはいけないことがしっかりと書き込まれているのかを説明しながら、皆さんにご理解いただけるようにしていかなければいけないと思っております。
(問)今日の諮問会議では金融政策、物価等に関する集中審議が行われましたが、関連して3点お伺いします。
集中審議の際に、現在の金融政策やその変更の必要性などについての議論が行われたかどうかという点と、日銀は4月の展望レポートで、コアCPIの今年度の見通しを1.9%に上方修正していますが、物価安定目標の達成が視野に入ってきているのかと思いますが、日銀の物価の見通しを大臣はどうご覧になっているか。
それから最後ですが、現在の大規模金融緩和が足下の円安や物価高につながっているという指摘もありますが、大臣は現在の金融政策の変更の必要性について、どうお考えになっているか教えてください。
(答)冒頭から申し上げますと、今日の議論の中では、機動的な財政政策と大胆な金融政策の下に適切な実行を図っていくということを、民間議員提出資料でも示されて、そのことを基に議論がされましたので、金融政策そのものを変えるべきか、変えるべきでないかということに関して突っ込んで議論したわけではありません。
それと日銀が今行っている金融政策に関しての評価は、それこそ我々が行うべきものではないと思っていますので、金融政策に関しての自由度が日銀にやっていただくという形になっていますので、引き続き2%の物価安定目標に向かって、日銀は適正な政策をもって進んでいってもらえるものと期待をしております。
ですから、最後の質問にも被りますが、政府の立場として金融政策を今変えるべきか、そうでないかということの判断も含めて、これは日銀の方で適切にやっていただいているものと私たちは認識しております。
(問)別件で恐縮ですが、マスク着用の緩和についてお伺いいたします。マスクの緩和を巡る政府の発信で、一部国民に混乱が生じているようにも感じるのですが、改めて大臣の現時点でのマスク着用緩和のお考えについて、いつ、どういった基準を基に考えていくべきだとお考えか、教えてください。
(答)これは総理から明確に国民に対してお示しをさせていただいたものに尽きると思っておりますので、私の方から何か付け加えることはありません。
私の方から都度申し上げていることは、政策を打っていくためにはどうしても科学的な知見が必要ですと。ですから、科学的な知見に基づいて私たちはきちんと議論を重ねた上で、最終的には総理がおっしゃっているように、政治判断も含めてやっていかなければいけないことになるのだと思いますが、科学的な知見に基づいて検討すべきと総理からおっしゃられていますから、そのラインで私たちは進むべきものだと思っています。
(問)コロナに関連してお聞きします。沖縄の感染状況ですが、病床使用率が57%ということで、元々、沖縄県がまん延防止等重点措置の要請の基準の一つに60%を掲げていたと思いますが、今、まん延防止等重点措置について、大臣の方と沖縄県でやりとりをされているのか、また、その必要性について大臣はどのようにお考えかというところを聞かせください。
(答)もちろん沖縄に限りませんが、総理が移行期間とおっしゃっているように、まだ最大限の警戒をもって我々は事に当たっております。
その中で、今ご質問いただいたように、沖縄県は一番新規感染者数が多い状況になっておりますので、それもあって先週の金曜日にリエゾンを派遣するということをやっております。
まさにこれは沖縄で今起きていることをリアルタイムで政府とつないで、やれることをそれぞれやっていこうという、そのためにリエゾンチームを派遣しておりますから、実務的にやれることを一つ一つ丁寧にやってもらっているものと認識しております。
そういう意味では、非常に密に、それこそリアルタイムに連絡調整というか、情報は共有できるような体制を敷いておりますが、その中で沖縄の方から、例えばまん延防止等重点措置を要請するとか、そういったような動きは見られておりません。やるべきことをしっかりやっていくということだと思っております。
(問)コロナに関連して、本日、東京地裁が、東京都が新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて、飲食チェーンのグローバルダイニングに対して行った時短命令について、特に必要とは認められず違法との判決を出しました。この判決について、大臣の受け止めをお伺いします。
(答)裁判の判決に関しては司法の独立がありますから、裁判所が判決を出したものとして私たちは受け止めなくてはいけないと思いますが、しかし、訴訟そのものが地方自治体との間で起こっている訴訟ですので、そのことを政府として今の段階で何かコメントを申し上げるというのは差し控えたいと思います。
(問)本日の骨子案について、計画的な重点投資として5項目を挙げられているわけですが、人への投資、スタートアップ等々、これらについて重点投資として列挙された狙いをまずお伺いしたいのと、その上で1番目に人への投資を挙げられているわけですが、こちらについては、今後原案に向けてどういった中身を盛り込んでいきたいとお考えなのか、大臣のお考えをお伺いできればと思います。
(答)これは常々申し上げている中で、岸田内閣における新しい資本主義のコンセプトの中で、私はいつも3つぐらいのファクターで説明していると思いますが、一つには課題と呼ばれてきたもの、あるいはマイナスと呼ばれてきたものを解決することを成長のエンジンに変えていく、これが新しい資本主義のコンセプトの一つです。
それを民だけでやるのではなくて、官と民で一緒になってやっていくということも、これはまた総理がおっしゃっている新しい資本主義のコンセプトです。
そして、何を通してやるかというと、人を通してやっていくのだと。ですから、人への投資というのが最初に、総理がおっしゃる新しい資本主義の柱として出てくるわけです。
例えばその後にDX・GX、科学技術・イノベーション、スタートアップとありますが、それを起こしていくのは全部人なものですから、何よりも人に対して、人を通して様々な課題を解決していくという、岸田内閣の哲学の一番太い部分が人への投資ですから、当然全てにかかってくるものだとご理解ください。
具体的にどういうことをやっていくかという政策については、もう少し待っていただきますと、今まさに一つ一つの政策は当然ありますが、それをどう有機的に結び付けて全体で一番効果が出るものに仕上げるかという議論をしているものですから、6月、新しい資本主義のグランドデザインと実行計画をお示しいたしますので、そこまでもう少しだけ待っていただけると良いのではないかと思います。
3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
第6回目の経済財政諮問会議について、概要を報告いたします。
今回は、先ほど山際大臣から御紹介がありましたように、二つの議題でした。
まず、「マクロ経済運営」について、黒田日銀総裁から資料1について、民間議員から資料2の説明があり、各議員より御発言がありました。
主な意見を紹介いたします。
萩生田経産大臣です。過去30年間にわたる日本経済の低迷から脱却するためには、ウクライナ情勢を踏まえたエネルギーの安定的かつ安価な供給などに万全を期すとともに、未来の成長の種にもなるとの考え方の下、グリーン、デジタルなどの社会課題の解決について、政府も民間も一歩前に出て投資を拡大していくことが重要。
先週13日には、クリーンエネルギー戦略の中間整理の中で、脱炭素の取組に、今後10年間で官民協調して150兆円の投資が必要であることや、そうした投資を引き出すための政策対応の骨格をお示しした。
また、先日の米国出張では、日米間で「半導体協力基本原則」に合意した。今後、量子コンピュータやAIを支える次世代半導体の実用化に向けて、日米協力の下で官民連携して取組を強化していく。
こうした解決すべき経済社会課題と長期的なビジョンを、官民で共有して大胆に投資していく「ミッション志向の産業政策」を確立するとともに、人材、スタートアップ・イノベーションなど経済社会システムの基盤の組み替えを進めていく。
民間による大規模な投資やスタートアップへの資金供給拡大を引き出すためには、政府としても、長期的な戦略に基づき、大規模・長期・計画的な支援などあらゆる施策を総動員しなければならない。その際、経済産業研究所にEBPMセンターを設置するなど、他省庁に先駆けてEBPMを推進していく。
一方で、結果を出す途中の評価というのも大事。EBPMに捉われすぎて次の一手が打てないということがあってはいけないとも考えているというお話でした。
民間議員からです。サプリメントや薬の原材料の供給は中国が多くを担っている。これは中国の生産性の高さ、コストの低さによる自由貿易の結果である。今後は安全保障のため、効率重視から色々なところに原材料を求めていく必要がある。このことは経済活動のコストが上がるということを意味するが、それに耐えられるよう、経済をレジリエントなものにしていく必要がある。
その前提は賃金が上がっていくこと。特に重要なのは、7割の雇用を抱える中小企業の賃上げ。最低賃金については、早期に全国の加重平均1,000円、また全県でも1,000円とすることが大事。また、官民が積極的に投資を行い、成長分野で正規雇用を増やすことが大事。経常収支悪化を避けるために、エネルギーに対して手を打っていくことが大事。この分野への投資によって正規雇用が生まれる点も含めて、国民の理解を高めていく必要がある。
今後、安全保障にはお金が掛かると考えられるが、安全保障は乗数効果が低い可能性がある。そのため、それを除いた部分での費用対効果を高める必要がある。そのためのEBPMや、支援が必要な人たちを把握するため、マイナンバーの利用が大事ではないかというお話でした。
別の民間議員です。金融政策について黒田日銀総裁から御説明があったが、金融市場からは緩和を縮小するべきだという引締めという声も実際に聞かれる。累次の政策により、景気が腰折れしないという効果は出ている。他方、このままで良いのかという問題もある。機動的な財政政策と大胆な金融緩和の双方を、適切に、時宜を捉えて実行することが重要。
総理がシティで講演され、Invest in Kishidaという言葉に感銘を受けた。開かれた貿易・投資立国、脱炭素社会という話もあったが、今のままでは日本はそうした分野でリーダーになれそうにないのではないか。いち早く取り組まないと、中国やシンガポール等はアジアのグリーンイノベーション拠点になっていこうと虎視眈々と狙っている。日本もいち早くサステナブルファイナンス市場を拡大する必要がある。それがInvest in Kishidaにつながるという御指摘でした。
別の民間議員です。コロナ、ウクライナ侵攻など、経済の不透明性が増している。こうした状況だからこそ、目の前の課題にしっかりと取り組むべきだ。
一つ目は、成長と分配の好循環の実現。分配面では、賃上げが持続的であるためには、持続的な成長が必要。そのためには、GX・DXの推進による産業構造の転換、人への投資が求められる。また、成長分野への円滑な労働移動が重要であり、そのためのリカレント、リスキリング、雇用のセーフティネットも求められる。個人消費の拡大も必要。そのために、マイナンバーを活用した適切な給付と負担による持続可能な社会保障を構築し、国民の安心感を高めることが欠かせないのではないか。
二つ目は、中長期の視点が大事。例えば、GXには2050年カーボンニュートラルに必要な技術、投資、政策に関するロードマップが必要。政府のコミットメントは、特に革新的技術開発や大規模なインフラ整備といった不確実性の高い分野で企業の予見可能性を高め、民間投資の火付け役として不可欠。
以上のとおり、持続的な成長のためにDX・GX、人への投資、社会保障改革に取り組んでいく必要があるという御指摘でございました。
次に骨太方針(骨子案)について、私の方から資料3について御説明をさせていただき、各議員から御発言がございました。
主な御意見を紹介いたします。
鈴木財務大臣です。財政制度等審議会における議論の状況について御説明する。審議会においては資料4にあるとおり、諸外国における利上げへの転換、ロシアによるウクライナ侵略など、不確実性が増大する中、危機においても円滑な資金調達をできるよう、財政の対応余力を持っておく必要性が高まっている。
また、円に対する市場の信認がこれまで以上に問われる中で、2025年度のプライマリーバランスの黒字化などの財政健全化目標を堅持する必要があること。主要国においては財政健全化や財源確保の取組が行われていること。予算規模ありきの議論から脱却すべきであり、金と人の目詰まりの状態を解消するため、個々の予算において、定量的な成果目標と結果検証が必要であることなど、非常に重要な議論がなされているところである。
財政制度等審議会においては、主要分野において取り組むべき事項も含め、今月下旬に建議を取りまとめる予定と承知している。本日御説明した内容も含め骨太方針にしっかりと反映していただきたいと考えているという御指摘でした。
民間議員です。岸田内閣で初めての骨太の方針であり、新しい資本主義は、ロンドンでの資本主義のバージョンアップとの話もあったけれども、それは経団連のサステナブルな資本主義と軌を一にするもの。新しい資本主義に必要な格差、気候変動などの課題に取り組むべきである。
格差については成長と分配の好循環の実現、賃上げのためには持続的な経済成長が必要で、そのためにDX、GX、人への投資が重要。個人消費の拡大のため、適切な給付と負担による国民の安心の創出も大事。
DX、GXの「X」というのはトランスフォーメーションで、社会の変容のことである。GXは温暖化に対する社会変容であり、国内投資を通じた成長戦略そのものである。DXはデジタル技術で社会の多様性、包摂性を実現する社会の変容である。コロナ対策はパンデミックからエンデミックへの移行を急ぐべき。若い世代がコミュニケーションの機会を奪われており、このままでは将来に禍根、未来を担う若い世代も考えた対策を打つべき。
ロシアによるウクライナ侵略で安全保障の重要性を強く認識した。エネルギー安保のため、原発再稼働が不可欠。国際経済秩序の構築には経済安保の観点から同志国との連携が重要。同志国との間での比較優位や自由貿易を維持・進展させるべき。日本経済の回復に近道はない。骨太方針により着実に進めていくべきだという御指摘でした。
別の民間議員です。こちらも岸田内閣の初めての骨太方針として非常に重要だということをおっしゃった上で、5点指摘がありました。
1点目、2022年は今までの延長の年ではないということである。諸外国では金利が上昇しており、ウクライナの問題から経済安全保障などの安全保障上の問題も急速に高まっている。
2点目、デジタルトランスフォーメーション、きちんとやる必要があるが、例えばコロナによる多額の補助金がどのように使われたのか、今こそ検証が必要ではないか。そのためにデータをどう活用するかという点も重要。
3点目、グリーントランスフォーメーション、GXはこれからの日本の屋台骨である。そのためにサステナブルファイナンスの市場が日本に必要だ。日本にはGXを伸ばす芽がある。そこにいかにお金を付けて世界に出していくかが課題であろう。
4点目、これらを進めるためには多年度の財政、予算が必要になってくる。
5点目、そうかといって、日本の財政は余裕がない。財政健全化の方針を維持するべきだ。DX、GX、あるいは防衛関連の費用もそうかもしれないけれども、必要なところにはお金を出す、その一方で財政全体を考える、財源を重視するという視点が大事だという御指摘でした。
別の民間議員です。グローバル経済が大きく変容する中、羅針盤を示すという意味で、本年の骨太方針はこれまで以上に重要。国民と危機感を共有し、丁寧な説明の上、理解を得て施策を進めるべき。
先ほど申し上げたとおり、正規雇用の創出や、人材移動による賃金上昇、現実的なエネルギー施策、日本財政や国債に対する関心を高めることが重要。
安全保障は財政に負担が高くなるため、今以上のワイズスペンディングが必要。技術革新、食料、エネルギー、様々な安全保障について今までの課題がここに来て、顕在化している。その上で新しい資本主義には包摂社会や共助が重要。NPOと協力して、全国一律ではなく、地域ごとの課題にマッチした形での問題解決が重要だ。結果的にそれが効果的負担の軽減につながる。
パンデミックレジリエンスな社会づくりには、健康増進が鍵となる。世界が分断される中、ヘルスケア分野は国際コミュニケーションが重要。グローバルヘルス分野におけるODAの増額により、日本のプレゼンスを高めるべきではないかといった御指摘でした。
別の民間議員です。日本経済は大きな経済圏であり、世界から注目されている。より元気になって大きなプレゼンスを示し、世界経済の発展、安定に寄与してほしいと期待されている。その中で今回の骨太方針や国民に対するメッセージとともに、海外のマーケットにも日本の在り方をプレゼンしていくことが大事。政策の方向性として何を柱にするのか、どういう方向で進めるのか、トータルの政策パッケージを示すのが大事。新しい資本主義も大きな柱に入ってくるが、諮問会議でこれまで示された民間議員提出資料も、骨太の柱として位置付けていってもらいたいという御指摘でした。
黒田日銀総裁からです。この骨太方針の骨子案に基本的に賛成する。一言申し上げると、過去10年間、実は日本の1人当たりGDPは、米国が人口増であり、我が国は人口減であることを考慮すれば、米国並みの水準を維持することができている。この高い米国並みの1人当たりGDPの伸びというのは、女性や高齢者の就業率の増加が要因。しかしながら、今後これ以上にこの女性や高齢者の就業率を上げていくということは難しく、今後10年間を考えると、いかに時間当たりの労働生産性を上げていくかが非常に重要となってくる。
その意味で、今回新しい資本主義に向けてということで、人への投資を最初の柱にしていることは非常に重要。これを実現していくことが、今後の短期的及び長期的な我が国の経済成長を支えていくことになる。それが米国並みの水準維持につながると考えているという御指摘でした。
最後に、総理から御発言がございましたが、それはお聞きになったとおりです。
(以上)