第1回記者会見要旨:令和4年 会議結果
山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和4年1月14日(金)12:27~13:20
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室
1.発言要旨
まず、経済財政諮問会議の概要についてご報告申し上げます。
本日は、「中長期の経済財政に関する試算」と「令和4年前半の検討課題」につきまして議論を行いました。
まず、「中長期試算」について事務方から報告した後、成長と財政健全化の目標は取組を強化することで実現可能であり、堅持すべき。そのカギは、「チャレンジ精神が最大限に発揮される今まで以上の持続的成長」を、「財政健全化に向けた仕組みの強化」を図りながら実現することなど、民間議員や閣僚から様々なご意見を頂きました。
議論の総括といたしまして、会議の最後に総理から発言いただいたとおりでありますが、力強い成長が実現し、骨太方針に基づく取組を継続した場合には、前回同様、国と地方を合わせた基礎的財政収支は2025年度に黒字化する姿が示される結果となりまして、現時点では財政健全化の目標年度の変更が求められる状況にはないということが確認されました。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響をはじめ、種々の不確実性が払拭できない状況にあることを踏まえまして、引き続き内外の経済情勢等を常に注視しつつ、状況に応じ必要な検証を行うこと。また、新型コロナの危機を乗り越え、経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組むということでありました。
次に、「令和4年前半の検討課題」について、主な意見をご紹介します。
年前半の諮問会議では、「マクロ経済運営」と「経済・財政一体改革」を議論の柱として、民需主導の持続的な成長、持続可能な経済財政構造の確立に向けて取り組む。マクロ経済運営では、ウィズコロナを前提に機動的な政策運営を行いつつ、コロナを機とした資金や人の流れの変化、格差の動向等を分析し、消費や投資、経済のダイナミズムの回復に向けた議論を行う。「経済・財政一体改革」では、民需を引き出す官民連携の在り方、他年度にわたる政策のコミットメントなど、財政の単年度主義の弊害是正、国・地方の業務や資金の流れの改善などの議論を進めるといったご意見がありました。
総理からの締めくくり発言については、お聞きいただいたとおりです。詳細については、後ほど事務方から御説明させていただきます。
続きまして、コロナウイルス感染症について2点申し上げます。
まず1つ目は、抗原定性検査の積極的な活用につきまして、感染の不安を感じる方が活用できる無料検査事業については、都道府県の御尽力により各地で推進中です。オミクロン株の感染拡大が急速に進んでいる中、迅速に検査結果の確認ができます抗原定性検査を積極的に活用することが重要です。この抗原定性検査の活用に向け、都道府県に対して、拠点の拡充や広報の実施など、積極的な取組を国としてお願いしてまいります。
2つ目ですが、離島等における立会い免除につきまして申し上げます。
感染拡大の中で、検査拠点の早急な整備が困難な離島等でも無料検査を受けることができる環境整備を進めることが必要です。無料検査事業では検査に際しまして、適正な検査を受けていただけるようにするため、薬局等での立会いをお願いしておりますが、離島等では地方自治体が検査を実施する場合、必要な検査拠点の整備が進むまでの当面の間、PCR検査については立会いを免除する特例を認めることといたします。これらの取組により、これまで以上に、感染の不安を感じる方が必要な時に無料検査事業を活用できるようにしてまいります。
続きまして、現在、オミクロン株における感染の拡大に伴い、新型コロナに対する国民の皆様の関心が非常に高まっております。このため、正確な情報をお伝えすることがこれまで以上に重要になっております。これについて改めてお話しさせていただきたいと思います。
政府としては昨年11月に、感染状況を注意しつつ、医療への負荷をより重視し、今後想定される病床利用率等を踏まえながらレベルに応じて必要な措置を講じる新しい考え方に見直しをいたしました。
これを踏まえまして、国では、各都道府県と連携しつつ、新規陽性者数の推移のみに着眼するのではなく、医療を重点的に提供するべき重症者の数や病床利用率、重症病床利用率など、医療への負荷の現状も併せた感染が社会に与えている全体の状況を注視するようにしています。
これを国民の皆様にもお伝えし、正確に理解いただくことが重要でありまして、これが実現すれば、国民の皆様が新型コロナの現状を多角的な観点から把握でき、ひいては安心の向上にもつながると考えています。
私も、これまで記者会見の場などのあらゆる場において、医療への負荷などの全体の状況が重要であることを伝えるように努力してまいりましたが、現在の感染状況等を踏まえれば、このことをご理解いただくことの重要性はさらに高まっているという認識で、もう一度皆様方に申し上げております。
マスメディアの皆様には、平素より新型コロナ対策に関する国民への情報提供にご協力いただき感謝しております。皆様にもこの状況をご認識いただきまして、連携を強化して情報発信をさらに進めていきたいと思っております。
これにより、国民の皆様に医療への負荷の状況等を理解いただきながら、オミクロン株を過度に恐れることなく、引き続きマスク着用等の基本的感染対策を行い、冷静な対応をしていただけるように努めてまいりたいと存じます。
最後に、先の「経済対策」に位置付けられた0歳から高校3年生までの子ども1人当たり10万円相当を給付する「子育て世帯への臨時特別給付」のうち、追加給付分の補助金の執行に当たり調査を行う中で、市区町村がどのような方法で事業を実施するのかを把握いたしましたので、ご報告いたします。
先月27日締切の調査におきまして、全国1,741市区町村のうち、5万円の先行給付金と5万円の追加給付金の組合せで実施する団体が332団体。5万円の先行給付金と5万円相当のクーポン給付の組合せで実施する団体が7団体。そして、10万円の一括給付金として実施する団体が1,402団体でございました。本事業の準備に当たられた市区町村の職員の皆様のご尽力に改めて感謝申し上げるとともに、政府としても引き続き必要なサポートをしてまいりたいと存じます。
冒頭は以上です。
2.質疑応答
(問)今日の諮問会議で報告された中長期の経済財政試算についてお伺いします。試算では、名目3%超という高めの成長率を前提に、歳出改革の取組を続ければ、2025年度にプライマリーバランスが黒字化するとの内容になっていますが、オミクロン株などの経済への影響が不確実な中、2025年度の黒字化が達成可能なのか、大臣のご所見をお願いします。
(答)2025年度に向けて、まさにそれを達成しようという意志を込めて今日、発表させていただいたわけですから、もちろん2025年度に向けて努力してまいりたいと思っております。
その上で、オミクロン株のみならず、新型コロナウイルス感染症等々の影響については、先ほど冒頭の発言の中でも申し上げさせていただいたように、新型コロナウイルス感染症の影響をはじめ、種々の不確実性が払拭できない状況であることを踏まえ、引き続き内外の経済情勢等を常に注視しつつ状況に応じ必要な検証を行うとさせていただいておりますので、オミクロン株をはじめとする様々なことが起きれば、その都度、しっかりそれを見ていきたいと思っております。
(問)確認ですが、昨年の骨太の方針で、2025年度の黒字化目標について、コロナ禍の影響を検証し、目標年度を再確認すると定められていましたが、今日でその作業を終えたという理解でよろしいでしょうか。
(答)はい、その理解でよろしいです。
(問)それと関連して、現在の2025年度黒字化目標については、自民党内で反対の意見も出ていると思うのですが。例えば総裁選では高市さんが凍結すべきと主張されていたり、そういった意見をどのように反映されていくのかについてもお願いします。
(答)今回の確認を行う作業というのは、何か党との関係でご了承いただくようなものではありませんので、昨年の骨太の方針に書かれたものに従って、きちんと今回、再確認させていただいたということですから、ある意味、それ以上でもそれ以下でもありません。
一方で、経済財政運営そのものは非常に重要なものなので、当然、これは政府だけではなくて与党ともしっかり協議しながら前に進めなくてはいけないものですから、相談しながら物事を進めていくということはこれからもやらせていただきたいと思っております。
ですので、今回のことに関しては、何か党にもう一度諮って、それで議論していただいて、了承していただくというような類いのものではありませんので、我々の方で作業して今日、報告させていただいたということです。
(問)話題は変わりまして、海部元総理大臣が今月9日に亡くなっていることが分かりました。これについて大臣の受け止めをお願いします。
(答)もちろん、心からご冥福をお祈りいたします。海部総理ぐらいの年代と言いましょうか、あの時代の総理大臣、私は今年で54になりますが、ある意味、歴史上の方ぐらいの雰囲気に我々ぐらいの世代だとなっている方です。これまで、この日本という国をここまで繁栄できる国に築き上げてくださったことに心から感謝を申し上げつつ、ご冥福をお祈りしたいと思います。
(問)中長期財政試算に関連して伺いたいのですが。これまでもプライマリーバランスの黒字化目標というのは何度か先送りするようなことがあったり、予ねてエコノミストなどからも、試算の前提が甘いのではないかという批判もあると思うのですが、これについて大臣はどうお考えか。財政は、コロナの対応で諸外国に比べてかなり大きな補正予算を組んだり、それなりに財政支出を増やしているとは思うのですが、一方で、それがなかなか成長につながらないという実態があるかと思います。この辺りを大臣はどうお考えか、お話しください。
(答)前提は、いろんな意味で置き得るものだと思いますが、我々としては、岸田内閣において、様々な経済成長戦略というものを練りながら、経済を自律的な成長軌道に1日も早く戻していきたいという思いで今、やらせていただいております。ですので、私たちが必死になって努力することと、当然、官民で協働することと、民間の皆様方が経済活動を自律的に活性化させるということ、それを踏まえた上で、どういう経済の姿になっていくかということを試算するのは、ある意味、政府の姿勢としては自然だと思います。
ですから、それを皆様方に素直にお見せしたということだと思います。色々なご意見があるのは分かっておりますが、ある意味、政府としての意志も、この目標に対しては入っているということでご理解いただければいいのではないかと思います。
(問)今の質問の関連ですが、本日の諮問会議の民間議員提出資料の中にも、試算からの乖離の要因についてレビューし、とあります。予測の在り方や、精度を上げていくためには今後、何が必要だとお考えでしょうか。
(答)そういう意味で言いますと、恐らく様々なものについて、正確に見える化がなされる必要があるだろうと思っております。
それから、もちろん中長期的な試算で進めるわけですから、前提にするものが、ごく短期のものに比べれば不確定要素が多くなることは当然だと思います。より未来が長くなれば、そうなると思います。ですから、それを不断に見直ししていくために、見える化がより進むと良いと思っております。
今日、中身を全部は申し上げませんので、後で事務方にしっかり確認してもらえればと思うのですが、やはり、今日のみならず、政府の会議において、よりPDCAをしっかり行っていこうという議論がございます。これは大事だと思います。PDCAを行っていく上での大事なことは、正に見える化です。チェックをするにしても、どういうファクトがあるのかということがしっかり見えなければチェックのしようもないということですから、我々としては、そこを注視しながらPDCAをしっかり回していくということかと思っています。
(問)話題は変わりまして、新型コロナ対策についてお伺いいたします。東京都の小池百合子都知事が昨日、新型コロナの病床使用率が20%に達した場合はまん延防止等重点措置、50%で緊急事態宣言を要請することを検討すると表明しました。この知事の発言に対する受け止めと、実際に東京都が要請してきた場合の政府の対応についてお伺いいたします。
(答)予断を持って申し上げるわけにはいかないと思うので、総合的に判断しなければいけません。一つ言えることは、オペレーションをやっていらっしゃるのはやはり地方自治体の皆さんですから、地方自治体は様々な状況の中で苦労しながらやられているということだと思います。その中でベストを尽くしていただく。当然、もう尽くしていただいていると思いますが、ベストを尽くしていただくことが重要だと思っています。
その中で、まさに病床使用率というのが、デルタ株までのオペレーションとちょっと条件が変わったわけです。何の条件が変わったかというと、全員入院をするというオペレーションから、在宅、自宅で療養する、宿泊施設において療養する、そして入院加療するという、この3つを我々は今回の全体像をお示しする中で、特にオミクロン株に対して対応する時には、その3つを組み合せてやっていただけるようにと、オペレーションが変わっているわけです。
特に、まだこれは科学的に全て明らかになっているわけではありませんが、しかし、重症化率は低いということは様々なもう事実として見えてきておりますから、本当に入院させる必要があるのかということはしっかり見ていただいて、自宅で療養が可能であれば自宅で療養していただくと。この条件が今までとは全く違いますので、このオペレーションをしていただく中で、更にそれでも入院加療が必要な方がそれ相当の数増えてきて、そして病床使用率が20%を超えるというところをもって、まん延防止等重点措置を国に対して要請するというご判断を知事がされるのであれば、それは知事のご判断でそういう状況になった時には、きちんと受け止めなくてはいけないと思っております。
もう一点は、やはり東京都というのは、東京都だけでは物事は進まないわけです。ですから、これまでも東京都プラス首都3県、神奈川県、千葉県、埼玉県とプラスして3県がよく協議していただいた上で足並みを揃えないと、まん延防止等重点措置を仮に出したとしても思うような効果は上がらないであろうと。これは、もうこれまでの経験からもそういうことですから、当然、東京都だけではなくて、この首都3県も併せてしっかりと事務的にも協議をしていただいた上で、20%を超えた時にそのような形で要請されるのであれば、国としてはそれをしっかりと受け止めて、遅滞なく物事は進めたいと思っています。
(問)新型コロナ関連でもう一点お伺いいたします。先日、大臣は日本記者クラブで会見されて、ワクチン・検査パッケージの運用の見直しの可能性について言及されたかと思います。3回目接種を運用条件に加えることも含めて柔軟に対応していきたいというような趣旨の説明だったかと思いますが、ワクチン・検査パッケージを見直すかどうか、仮に見直す場合は具体的にどういったところをどういった考え方で見直すのか。スケジュール感も含めて教えていただければと思います。
(答)ワクチン・検査パッケージのコンセプトそのものです。すなわち、コロナウイルス感染症がそこそこに発生している、感染が拡大している、そういう環境であったとしても、しっかり継続的に経済活動ができるようにするための制度がワクチン・検査パッケージ制度ですから、それにそぐう制度設計になっていないといけない。現実から離れてしまっているものだとすると、それは意味がなくなるわけです。
ですので、オミクロン株の場合は、ブレークスルー感染も起こしやすいということも分かっているし、さらに、重症化はあまりしないのかもしれませんが、感染力が強いということも分かっているわけです。それに対して、現在のワクチン・検査パッケージ制度だけで、ワクチン・検査パッケージ制度が求める目標、目的を達成することができるかということは、不断にいつも考えておかなくてはいけないので、ブースター接種のみならず、色々な組合せも含めて、知恵があれば、それを柔軟に取り入れていくという姿勢で良いのだと思います。
だから、そういう意味で、時期もいつまでにということを決めるわけではありませんし、こういう制度に見直すべきだということを予断を持って今、思っているわけでもないですが、不断に、柔軟に見直しをするべきものだから、その流れ中で、必要とあれば柔軟に見直しをしていけば良いのではないかという趣旨で発言させていただいたわけです。
(問)改めて情報発信の強化を図っていかれると。今後、山際大臣の出番だと思うのですが、何か新しいネットのチャンネルなど、西村前大臣も色々やっておられましたが、それをどう考えておられるのか。それから、基本的に第6波のピークの前後で、一般の人で60歳や65歳の人たちがブースターを受ける可能性はほぼないと、それが正確な情報だと思います。逆に言うと、若い人の感染が増えているわけですから、老人は自ら守る、若い人はやはりうつさない、そういうメッセージが足りないのではないかと率直に思うのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
(答)これは本当に難しいと思いますが、私からは、基本的な感染対策は徹底してやりましょうと、それをお願いしたいということを常々申し上げているわけです。基本的な感染対策というのは、マスクと手指の消毒と換気、3密を避けるといったようなことです。これは、もう一人一人の努力以外にはやりようがないので、これを国民運動としてやり続けるということが、今のステージでは大事だということを言い続けるしかないと思います。
その上で、国としてやることは次から次にやっていくということですので、ワクチンは意味がないのかといえば、ワクチンも効果があるということは分かっているわけですから、ワクチンの接種のタイミングがどうかという議論はあるかもしれませんが、やるべきこととしてやります。また、まん延防止等重点措置のような行動制限までかかるようなものも、必要とあればやります。そして、医療体制の充実等々も、これまでもやってまいりましたし、オペレーションを柔軟に変えていくというようなこともやっているわけです。
ですから、一人一人がやらなければいけないことから、国がやらなければいけないことまで、みんなでやる以外、もうやりようはないと思います。その中で、当然、一人一人の利益がぶつかるということはでてきますので、若い方々からすれば、例えば夜、飲食に行って楽しみたいという若い方々に対しての利益というのもありましょう。一方で、感染は広げてはいけないという部分があるわけですから、そこのバランスをどう取っていくかというのは非常に難しいです。ですので、非常に難しいと冒頭に申し上げましたが、やれることはやりましょうと。感染を防止するための策というのは、みんなで国民運動でやっていきましょうということなのではないかと思います。
(問)まん延防止等重点措置について伺いたいのですが、熊本県や愛媛県でも感染が急拡大していまして、両県知事が重点措置の適用の要請を検討しているということを明らかにされています。現時点での重点措置の新規適用の要請や相談が来ているのかということと、要請が来た時の対応。あと、このような大都市部以外で感染拡大している現状についての認識を改めてお伺いしたいです。
(答)まん延防止等重点措置に関しては、各県の知事がその地域の実情というものを踏まえた上で、総合的に判断して要請されるものと理解しています。熊本県や愛媛県に限らず、各県それぞれに感染の状況というものを我々としては注視していますし、その結果として要請が出てくれば、適切に対応したいと思っております。
それと、各地域において感染が起きていることに関してどう受け止めるかという話ですが、当然、我々としては注視していかなくてはいけないものとして見ております。オミクロン株そのものの感染力が強いということであれば、その地域の都市部において感染が拡大するというのが、大体今までの経緯からしても最初にそれが見られます。そうすると、そこがそこで収まるのか、その先にまで広がっていくのかということは、やはり注意して見ておかなくてはいけないと思っておりまして、そういう意味でも、我々としては、どの地域でどんなことが起きているかということに関しては、いつも注視しているところです。
(問)話題は変わって、大臣が冒頭おっしゃった10万円給付のことですが、元々、政府としては基本的には5万円現金で、その後にクーポン5万円分というようにしている中で、自治体の声もある中でその方針については修正されまして一括10万円を認めるという中で、今回、この自治体の数の結果を見ると10万給付一括の数が非常に多かったですが、この結果について、大臣はどのように見られているでしょうか。
(答)私としては、まさに総理がおっしゃっている聞く力だろうと思っております。これも都度、国会等々でお示しさせていただいているように、そもそもこの政策の目的は何なのかと。そこの部分を変えてしまったらまずいと思います。しかし、この政策の目的は、子育て世帯に対しての支援でもあるし、何よりも子どもたちに対しての支援だということで我々はやりたいという思いでこの政策を進めてきたものですから、そのやり方そのものに関しては、そもそも柔軟で良いものだったのだろうと思います。そういう意味で、地方自治体の皆様方にお諮りしたところ、実務的な問題もあって現金給付が良いという声が多かったので、それではそのような方法でやれるようにいたしましょうかということで今、こういう結果に最終的になったわけですから、地方自治体の皆様方の意向というものが実現できて良かったと思っております。
また一方で、少ないかもしれませんが、クーポン券等々も利活用するという自治体があるということを見ると、選択肢としてあったということは、決して悪くなかったのではないかと思います。
(問)関連して、クーポンの件でお願いします。この7団体は把握していらっしゃるのでしょうか。
(答)はい。把握していますが、まだ手続きが終わっていない自治体もあるので、今この場では公表するのは控えたいと思います。詳しくもしお知りになりたいようでしたら、後ほど事務方にお聞きいただけますか。
(問)景気について伺います。いわゆる輸入物価が5割も上がって、消費者物価は張りついていて、卸売物価は10%ぐらい上がっていると。当然、いわゆる企業が価格転嫁できなければ、今後は下方修正ですとか、今年の前半の一番の景気の懸念だと思うのですが。金利の問題もありますが、その辺を大臣はどのようにご覧になっているのか伺いたい。
(答)経済の下振れ要因というのは、先ほども申し上げましたように、まずはコロナ感染症がどこまで広がるかというのは、相当注視しておかなくてはいけないと思っております。これも常々申し上げているように、エネルギー価格も少し落ち着いたと思ったら、また原油価格上がってきました。これは間違いなく日本経済に影響を与えると分かっておりますから、それも注視しなくてはいけないと思いますし、それに伴って今、お話があったように、企業物価が上がっているわけです。ですから、それも注視しておかなくてはいけないと思っております。
ですので、全て注視しなくてはいけないと思っているものですから、色々なアクションを起こしておりまして、それが十分機能しているかどうかというのは、我々としてはフォローしていかなくてはいけないと思っておりますが、メニューとしては揃えて、それで価格転嫁ができるようなパッケージをやったり、あるいは、エネルギー価格があるスレッショルドを超えたら支援するようなものを用意したりというので、政策のメニューそのものはもう用意してありますから、それがきちんと機能するかどうかということを注意深くオペレーションしてまいりたいと思います。
ありがとうございました。
3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
令和4年第1回経済財政諮問会議を開催しました。今回は先ほど山際大臣から御紹介がありましたとおり二つの議題として、まず、「中長期の経済財政に関する試算」について議論を行いました。事務方から資料1と2、民間議員から資料3の説明があり、各議員より発言がありました。主な御意見を紹介します。
鈴木財務大臣です。今回の中長期試算は、コロナ対応によりプライマリーバランスの赤字幅が一時的に拡大するものの、令和4年度の税収見積もりも前回の見込みを上回る過去最大が見込まれ、今後、力強い成長を実現し、骨太方針に基づく取組を継続した場合には、2025年度にプライマリーバランスが黒字化する姿が示されている。
したがって、当面は足下のコロナ対応に万全を期すことが必要だが、引き続き手を緩めることなく、骨太方針の取組を継続し、社会保障の持続可能性を高める改革など、歳出・歳入両面の改革にしっかり取り組んでいくことが重要という御発言でした。
民間議員の御発言です。プライマリーバランス黒字化を堅持したことは良いことだが、政府から示された試算について、様々な議論がありうる。確かに足下の状況は為替、物価、サプライチェーンの構造などをどのように織り込んでいくか、見極めの難しい局面だが、どういう仮説で考えているのか、説明責任を持って検討していかなくてはいけない。
さらに、今後、民間の過剰債務が大きな課題になっていくのではないか。世界的なインフレ傾向と為替動向が我が国の物価にも影響を与えて、量的緩和などの金融政策の出口も考えていかないといけない局面になってくる。中小企業を中心に過剰債務が民間セクターにどのような影響があるのかということについても、前広に検討していく必要があるのではないかという御指摘でした。
別の民間議員です。経済成長と財政運営のPDCAについて御意見がありました。まず、経済成長について、消費と投資の拡大が重要。消費については、民間企業に対して賃上げを促進しているが、それを個人消費につなげるには、国民の将来不安の解消が大事。政府にはしっかりと社会保障の持続性確保をお願いしたい。
投資の柱はGXとDXである。GXはNDC(Nationally Determined Contribution)で検討されるものであって、日本にとって最大のチャンスでもある。投資については、ハイリスクなものや一企業でできないものについて、政府投資の支援による火付け、起爆剤のようなものをお願いしたい。
次に、財政についてのPDCAの具体化。財政健全化に向けて財政運営にPDCAがきちんとビルトインされているのか。今の予算プロセスは、予算を取ることに労力を使い過ぎていると思う。Pは計画、Dは実行、Cは検証、Aはアクションで、次につなげていく、このフローが重要だが、プランのPに労力を使い過ぎている。
例えば、省庁ごとに予算の一部を委ねて、財務省は大きなものに注力し、その委ねている部分については会計検査院や行政管理当局とも協力しながら、検査や執行にもっと労力を割いてはどうか。民間では事業部門に権限と責任を任せて、大きなもののみ全社を挙げて検討する傾向があるという御発言がありました。
別の民間議員です。民間議員資料では様々な内容が記載されているが、ポイントは持続的な成長に向けて成長戦略が取れているかということではないか。現状で欠けているのは、郵政民営化のようなキャッチーな看板政策と、それに向けた期待感の醸成ではないか。金融財政政策が維持されている間に、成長戦略をしっかりと進めることが大事。
DX・GXの話は速やかに具体化し、そのサステナブルファイナンスもアジアでリードする枠組みをきちんと作っていく、こういった取組が重要。現役世代の所得が増え、マネーフローが活発な状況になっていけば、経済の活力は上がっていくのではないか。
金利が低いと、財政出動をしても上手くいくという議論があるが、IMFは優先的な支出のために財政余力を持つことなど、中長期的な視点の重要性も併せて重視している。岸田総理が財政健全化について発言していくことは、マーケットの信認の観点からも重要。無駄を無くし、資金を成長に結び付けていくことが必要ではないかという御指摘がありました。
黒田日銀総裁です。中長期試算の中身、2025年度のプライマリーバランス黒字化は、適切な目標であると思う。他方で、民間議員の指摘のとおり、黒字化を実現するためにどのように成長を実現するかが極めて重要。
政府も研究開発投資や人的投資を大規模に進めるということなので、是非それを実行してもらいたい。そうすることによって成長を達成し、プライマリーバランス黒字化の目標が達成されることを期待する。日本銀行としても必要な金融緩和を引き続き進めていくという御発言でした。
次に、「令和4年前半の検討課題」について、民間議員から資料4の御説明があり、各議員から御発言がございました。
まず、金子総務大臣です。総務省では、社会全体のデジタル変革の加速、活力ある地方創り、防災・減災、国土強靱化などを中心に全力で取り組んでいく。
まず、「DX加速に向けた仕組みづくり」、「マイナンバーカードの政策ツール基盤の点検・改善」といった民間議員提出資料に記載された事項について、岸田内閣の成長戦略の柱であり、最重要課題の政策の一つである「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、先週総務省で推進本部を開催し、総務省の当面の具体策をまとめた。
この中で、5Gや光ファイバー、マイナンバーカードなどのデジタル基盤の整備、ローカル5Gや消防・防災の高度化などの地方の課題を解決するためのデジタル実装、デジタル活用支援などの取り残されないデジタル社会の実現などを盛り込んでおり、これらの施策に着実に取り組み、構想の実現、ひいては活力ある地域づくりを目指していく。
また、「関係人口の拡大を通じた地方活性化」について、地域おこし協力隊の強化や、関係人口の創出・拡大に向けた取組事例の情報発信などを通じて、地方への人の流れを一層大きなものとし、活力ある地方の創出に取り組んでいく。「地方の繁栄なくして国の繁栄なし」という考え方の下で、活力ある地域社会の実現に向けてしっかりと取り組んでいくという御発言でした。
萩生田経産大臣です。インドネシア、シンガポール、タイに御出張されて、今朝戻ってきた。コロナ危機を乗り越えた先の日本の成長には、発展が目覚ましいASEANを始め、海外との交流を一層拡大させて、世界のダイナミズムを取り込んでいく必要性を痛感した。
各国の要人からは、一方で「日本はどうしてしまったのだ」となかなか答えづらい質問を受けた。在外邦人の皆様からは、会議がオンラインでできるが、技術指導は技術者がその現場にいないとできないので、企業活動が止まってしまっているという相談があった。特に心を痛めたのは、日本に憧れを持って勉強してきた高校生らが、日本への留学への機会を失って、他国に流れているということが数百人単位で起こっていると聞いて残念に思った。
オリンピック・パラリンピックを成功させた日本から、ウィズコロナの知恵を我々に提供してもらえないかと言われたぐらいなので、改めてそういったことも考えていかなくてはいけないのではないかと思っている。
足下ではオミクロン株によるコロナ感染症が急速に拡大しているが、感染症対策を万全に講じながら社会経済活動を極力継続できるように、科学的な知見に基づき柔軟に対応する必要がある。
その上で、コロナ危機後の新しい経済社会を見据え、歴史的な変革に取り組む必要がある。クリーンエネルギー戦略の策定もその一環である。企業と政府が共に前に出て、新たな官民連携の下で大胆に投資し、社会課題の解決のためのイノベーションを促し、持続的な成長を実現することがそのカギとなる。
このため、スタートアップを徹底支援する。日本のスタートアップの海外トップ投資家とのマッチング、アジアなどへのグローバル展開支援、海外スタートアップと日本企業との連携促進に取り組んでいく。
また、関係省庁とも連携して、「デジタル日本改造ロードマップ」を策定し、官民とも集中的にデジタル投資を行い、官民によるデジタル投資の倍増を目指す。さらに、日本の未来を引っ張る「人」をつくるための国家戦略として、「未来人材ビジョン」を策定していくという御発言でした。
鈴木財務大臣です。資料5、令和4年度の予算のポイントについて、御説明がありました。資料の御説明なので割愛させていただきます。
その次、民間議員からです。コロナの対応に関して、日本のコロナ対策は各国と比べて相対的に上手くいったのではないか、そういった意味では自信を持つべきではないか。対策の結果、経済の落ち込みが小さかったことは自信を持って良い。もちろん、明らかになった課題に対しては、しっかりと向き合うべきというのは言うまでもない。
株式市場について、日本は時価総額が低いが、この評価を高めていくために、経済がダイナミックに動くようにしていくことが重要だ。企業が生産性を高め、価格転嫁力を上げ、利益を拡大すること。雇用者の視点では、働いた分の報酬がきちんと支払われることが大事だ。
そのためにも、成長戦略にいかに魂を入れるかという段階にある。例えば、DXについて、マイナンバー取得率100%の達成など、分かりやすい目標を立てて国民の理解を深めるとともに、海外にも発信していくことが重要。諮問会議では成長と分配の好循環の部分に焦点を当てて見ていけたら良いという御発言でした。
別の民間議員です。オミクロン株などのコロナ対策が目の前に来ているが、それに万全を期すために幾つかのシナリオを用意する必要がある。
一つ目のシナリオ、悪い方のケースであるプランAでは、オミクロン株の性格が分かってきているが、感染が拡大した場合に依然として重症者が増えてしまう可能性がある。その場合、一定の経済活動の制約が考えられる。経済によっては大きな影響があり、大胆な経済対策を再度検討することも考えられるのではないか。
一方で、現実的なケースとおっしゃっていましたが、プランBとしてはブースター接種等の取組を強化する必要がある。オミクロンの重症化率が今のままであれば、12月に消費が活性化して流れが出てきたので、一定の対策をしながらも、そのアクセルを踏む検討をしても良いのではないか。
水際対策についても、ビジネスは海外でできるように検討してもらいたい。データを集めて検証し、もし経済をプッシュできるのであれば、積極的にプランBを考えていくべきではないかという御発言がありました。
また、インフレについて、今年前半に課題になってくるのではないか。コアベースでもある程度物価上昇の可能性があり、どうやって日本経済はソフトランディングするか。デフレでない経済をつくり、今後2%を実現できる可能性があるが、それには副作用もある。出口戦略など、日本銀行がマーケットにどう対応をするかが重要となる可能性がある。
また、可処分所得も課題である。これが下がるのは避けたい。社会保障の費用が上昇していくということもあり、DXの効果も出てくるには時間が掛かる。そこで賃上げが大事になる。少しでも高い所得が得られるように、副業も推進していくべきではないか。
30年も物価が上がっていないので、しっかりと準備していくべき。今年はそのティッピングポイントになる可能性もあるという御発言でした。
別の民間議員です。3点あって、1点目ですが、しっかりと意義のあるところにお金を使い、それをきちんとチェックしていくことが大事だ。2点目は、物価の動きを注視し、適切な対応を行う必要があるということ。3点目は、マクロ的な政策だけではなくて、個別政策を含めて政策全体として日本経済にどのような影響をもたらすのか、インパクトをまとめて示すことが大事。諮問会議ではそういったところを示していくことで、成長の実現にもつながる。
その上で重要なのは農林水産業である。あまり光が当たっていないが、食料は世界人口が増える中で世界経済にとって重要な戦略部門である。同時に、地方創生や活性化にも重要。デジタル化を駆使して高度化も図れる可能性が高いので、しっかりと検討していく必要があるのではないかという御発言がありました。
最後に、これらの御議論を踏まえて、総理から御発言がありましたが、お聞きになったとおりです。
(以上)