第14回記者会見要旨:令和3年 会議結果

山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和3年11月19日(金)18:16~18:51
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

 本日は、経済財政諮問会議を開催した後、臨時閣議が行われ、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定いたしました。
 本経済対策は、岸田内閣の基本である国民との丁寧な対話を踏まえ、コロナ禍で傷ついた経済を立て直すとともに社会経済活動の再開を図り、成長と分配の好循環による自律的な成長軌道に乗せることで国民の皆さまに安心と希望をお届けするべく策定したものです。
 具体的には、医療提供体制の確保や事業や暮らしを守るための支援を通じて新型コロナ対応に万全を期すとともに、成長分野への大胆な投資と人材育成や子育て支援の強力な推進等、「人」への投資の抜本的な強化により「新しい資本主義」を起動させることで成長と分配の好循環を実現し、自律的な経済成長につなげてまいります。そのため、予算・税制・規制改革といったあらゆる政策手段を総動員した総合的な対策となりました。
 本経済対策の規模は、予備費6.8兆円を含む財政支出で55.7兆円、うち、国・地方の歳出で49.7兆円、財政投融資で6.0兆円となりました。本対策による直接的な経済効果は、実質GDP換算で5.6%と見込んでおります。
 今後、この経済対策に沿って補正予算の編成が進められ、総理からご指示があったとおり、執行に当たっては、本対策が最大限の効果を上げられるよう、現場の声や自治体のご意見を聞き、課題やニーズを把握して執行の改善を行うなど、万全の対応をしてまいりたいと存じます。
 なお、本経済対策について、経済財政諮問会議において私より報告いたしましたところ、次のような御意見がございました。
 クリーンエネルギーへの投資、DX、デジタルトランスフォーメーションの推進、大学ファンド、労働移動の円滑化や人材育成のための施策パッケージ等、多年度にわたる施策がコミットされ、投資、消費しやすい環境が整備されていることを高く評価する。本経済対策が効果を発揮し、成長と分配の好循環の起爆剤となるよう、進捗管理を徹底するとともに、車座などの国民との対話、経済界との連携等を通じて本経済対策が使い勝手の良いものになる仕組みを構築すべき。
 総理からの締めくくり発言については、お聞きいただいたとおりでございます。
 詳細については、後ほど事務方から説明をさせていただきます。
 もう一点。「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」につきまして本日、基本的対処方針分科会にお諮りした上で、政府として見直しを決定いたしました。
 先週12日に取りまとめました、「次の感染拡大に向けた安心確保のための取り組みの全体像」、これを踏まえまして、医療提供体制の強化、ワクチン接種の促進、治療薬の確保を対策の柱に位置付けるとともに、新たなレベル分類に対応し、緊急事態措置等の発出の考え方を見直すこととし、さらにワクチン・検査パッケージ等の活用を含む行動制限の緩和等について具体的な方針をお示ししております。
 政府といたしましては、次の感染拡大の中でも国民の皆さまの命と健康をしっかりと守り、安全・安心な形で日常の生活を続けることができるよう万全の対策を講じてまいります。
 私から冒頭以上です。






2.質疑応答

(問)今日、閣僚の資産公開が公表になりました。これについて、まず受止めと、この資産公開という制度そのものについて山際大臣はどのようにお考えかお聞かせください。


(答)大変紋切り調な答えで恐縮ですが、国務大臣等の資産公開は、大臣等規範に基づいて、在任中の清廉さ・公正さを保ち、政治と行政に対する国民の信頼を確保しようとする趣旨で国務大臣等が自らの資産を国民に公表するものと承知しております。この趣旨に則って今回、ご報告させていただきました。今後とも大臣等規範に基づいて適切に対応してまいりたいと存じます。



(問)経済対策についてのところですが、直近発表になった7-9月期のGDPはマイナス成長になっております。政府としては、今も年内にコロナ前のGDPを回復する目標を維持していると思うのですが、この対策でどのようにその目標達成に向けて進んでいくのかというところを教えてください。


(答)どのようにというか、まさに今日、この経済対策を発表させていただきました。総理からも、その進捗をしっかりフォローアップして、確実にこの経済対策が実行できるように、各省、各大臣、しっかりとやるようにというご趣旨のご指示がございました。まさに各省、各大臣、私を先頭にしっかりこの経済対策を1日も早く実行せしめるように努力していかなくてはいけないという段階にあると思います。
 結果としてそれが経済を下支えし、あるいは押し上げるという効果が出てくるということにつながりますので、そのような道筋でやるしかないという思いを持っております。



(問)経済対策の規模についてお伺いします。今回、7-9月期、先ほどあったようにGDPは落ち込みましたが、10-12月期は戻ってくると。コロナの感染状況が落ち着いて、もともと民需が戻ってくるような状況にあると思いますが、一方で、今回の対策は過去最大の財政支出になったと思うのですが、この規模が適切かどうかという評価と、大臣はどのようにお考えかということをお伺いします。


(答)適切なものであるように、今考え得るベストなものとして作るというのは政権を預かっている者として当然だと思います。ですから、そういう意味では、今回お示しさせていただいたものは、今の段階で私たちが考え得る政策を全て盛り込んだ結果だと思っていただければと思います。
 そして、これを実行する中で、これが適切なものであったかどうかも含めて、これは厳しく国民諸氏から様々見ていただくということになりますので、1日も早くこの効果が出てくるように、繰り返しになりますが、進捗をフォローアップしていくという形になるのだろうと思います。



(問)先ほどの資産公開についてのご質問で、規範に基づいて今後も適切に対処したいということですが、大臣のご自身の資産内容について、ご自宅を持っていたりとか、有価証券がありますが、コメントを頂けないでしょうか。


(答)コメントというか、そこに示してあるものをそのとおり出したものですので、それ以上でもそれ以下でもありません。



(問)コロナに関連してお伺いします。東京などでは感染者数が増えていない中、北海道で17日、新たに40人がウイルスに感染していることが確認され、これは前の週の同じ曜日に比べて32人増えております。そして、昨日は高校でクラスターが発生して学級閉鎖がありました。これは感染が拡大する可能性もあります。北海道がこうした状況にあることについて、受止めをお願いします。


(答)北海道に限らず、ここのところの新規感染者数を見ていると、かなり数は少なくなっている。ですから、比率等々で話をすると母数が少ないだけに相当大きくぶれます。ですから、実数としてどういう事象が起きているかと一つ一つ丁寧に見ていく必要があると思っておりまして、そういう意味で注意深く北海道のことも見ております。
 今のところ、きちんと、どこで起きてどう感染防止を抑止すれば良いかということが考えられるし、またそれを実施できる状況にありますので、それを確実に、私たちとしては、やっていただけるようにサポートもしますし、促すということになると思います。
 感染症ですから、もちろんどのような形でどこの場所で起きてくるかと予想できるものではありませんし、出てきたときにそこに適切に対応することが必要だということで、全体像をお示しして対応策をみんなで共有するようにやっておりますので、そういう意味で言うと、北海道の今の状況は、いってみれば範囲の中でコントロールしうるものとして対処しなくてはいけないなと思っています。



(問)経済対策に関連して、子育て世帯への給付の部分で、児童手当の仕組みを運用するところについてはプッシュ型でできる一方で、それに該当しない年齢についてはいわゆる手挙げ方式という形となります。スピード感を持って対応していくというところで、給付をどのようにスピード感を持って取り組んでいかれるお考えでしょうか。


(答)おっしゃったように、児童手当の仕組みというものを使ってプッシュ式でというのが一番早い方法だということもあって、こういう形にしようということを与党間で協議していただいた上で出来上がったものが今のものになっているという認識でおりますから、まずそれでやれる部分は、1日も早く給付ができるように事務的に手続きを進めていくことが必要だと思っております。
 ご案内のように、事務を司っているのは市町村になりますので、その市町村の皆さんときちんとコミュニケーションを取りながら、1日も早くこれができるようにとまずは思っております。
 16歳から18歳の高校生に関してどうするかということに関しては、これはどうしても少し時間が掛かることになりますので、まず15歳以下の方々に対して早急にそれができるように体制を整えて、それと同時並行で、どのようにすれば1日も早くできるか相談しながらやらなければいけないと思っています。
 今日、臨時閣議でこれを決定させていただきましたので、早速私の下に対策室をつくってその事務に当たらせておりますので、まだ今日の今日ですから、こういう形ですぐにやりますとご報告できる状況にありませんけれども、1日も早くできるように努力してまいりたいと思います。



(問)経済対策の18歳以下の10万円相当の給付について伺いたいです。一般的に、個人への給付は3~4割しか消費に回らなくて、効果は限定的だと言われていて、所得制限があるとはいえ総額は膨らむと思うんですが、財政環境が悪い中で支給に踏み切った理由について大臣のご所見をお願いできますでしょうか。


(答)私なりの考えというのはありますが、政府全体としては、私なりに総理のお気持ちを勘案しますと、やはり岸田政権は再三申し上げているように「人への投資」を、なかんずくその中でも若い方・子どもに対して投資をしていかなくてはいけないという思いが非常に強くある、そういった政権だと思ってください。正にこの18歳以下の皆さんに対して支援金を支給していくことは、その中でも読み取れるだろうと思っております。
 もちろん、それ以外にも経済的な意味でいろいろな方がいらっしゃるのは分かっておりますが、何にしても支援金を支給することによって経済にいくばくか、今3~4割と話がありましたが、直接的な、あるいは間接的な効果が出てくることは間違いありませんので、このコロナで相当多くの方々が傷ついたことを考えれば、その判断に至ったとしても不思議ではないと私は思うんです。
 また、私なりの理解は、やっぱり人への投資、子どもたちに対してしっかりとわれわれはサポートをしていくんだという、そういう思いの表れだと私自身は理解しています。



(問)経済対策とは話題は変わって、外国人の在留資格「特定技能」について伺います。現在、建設など2分野に限定している「特定技能2号」について、政府は来年度にも受入分野を拡大する方向で検討しているとの報道があります。家族帯同も可能で、事実上の移民受け入れだとの批判や、あるいは賃金デフレを招くのではないかという指摘もあります。特定技能の拡大に関する大臣の見解と、経済に与えるインパクトについてお願いいたします。


(答)特定技能制度そのものに関しては、私の所管ではないので言及するのは控えますけれども、マクロ経済運営を所掌している私の立場からは、日本の経済に対して外国人の有益な労働者の方がどのようにインパクトを与えるかは当然見ていかなくてはいけないことだと思っておりまして、そういう視点で、今議論されていることについては、必要とあれば私のほうから意見を申し述べるということになるのだろうと思うのですが、基本的には、これは所掌しているところでやっていただくことになると思います。
 どうもありがとうございました。








3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 令和3年の第14回経済財政諮問会議について概要を報告します。
 今回は、先ほど山際大臣から御紹介がありましたとおり、経済対策について議論しました。
 まず、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」について、山際大臣から御説明いただいた後、民間議員から資料2の説明があり、その後、各議員から意見が出されました。
 主な御意見を紹介します。
 まず、資料2の民間議員提出資料の説明に加えて、コロナの状況は依然として不確実だが、ウィズコロナで世界は大きく動き始めている。日本もこの動きに乗り後れないように、経済を大きく回して成長と分配の好循環を実現していくことが重要だという説明がございました。
 別の民間議員です。本対策を迅速に実施・執行することが重要だ。12月を消費を活性化するための勝負の月とすることが大事だ。3回目のワクチンの接種が見込まれるなど、昨年12月とは状況が大きく違う。引き続きワクチン接種、民間医療体制を確保することが重要だ。本対策においては、人への投資で3年間4,000億円のパッケージを打ち出したことが重要だ。恒常的な賃上げに不可欠な円滑な労働移動へ、若者だけではなくシニア人材の潜在力を活かしていくことが必要ではないか。問題はマッチングにあり、インターンや副業も含めてその活用の検討が重要。財政の持続可能性を維持するため、コロナ予算と通常の予算の分別など、費用の見える化をしていくことも大事ではないか。為替レートや資源価格上昇の影響の中、価格転嫁ができていない企業が増えている。賃上げ税制は10年近くやっているが、成果が出ているのか。これまでの制度を検証した上で、効果のあるものにしてほしい。その賃上げの対象として、ベースアップだけではなくて、ボーナスを入れることも一案ではないか。また、社会保険料の上昇も懸念材料であり、時限的に引き下げることも検討するべきではないかという御指摘がありました。
 別の民間議員です。現金給付について、今回講じられることになっているが、分配に当たっては、線引きと財源を考えて行っていく必要がある。新資本主義とは、分配をするために成長していくことだと考えている。足下の話だけではなく、夢を語る必要があるが、同時にリアルな視点も必要。例えばデジタル化といったときに、具体的にマイナンバーカードは8割超えを目指すといったリアルな目標を語っていく必要がある。ファイナンスについて、日本の投資家が外国のプロジェクトに金を流している状況から、いかに日本に金を残してもらうのか、その先に新資本主義の成長戦略が見えてくるのではないか。財政について、今回の経済対策は規模が大きいけれども、日本の国債の格付けを維持していくことは大変重要だ。定量的なレビューと定性的なレビューがあるが、定性的なレビューの中で財政再建をするという意思を見せることが重要。これまでの政権との違いとして車座などを活用し、聞く力があることを示して、相違点を見せていくといったことも効果的な対策を実行する上で重要ではないかという御指摘がありました。
 別の民間議員です。今回の経済対策は新しい資本主義を起動させる第一歩である。成長と分配の好循環の実現には所得が消費に回るように国民の将来不安の解消が重要だと社会保障において適切な負担と給付が急務である。マイナンバー活用も重要だ。迅速な改革をしてほしい。政府の質を上げるべきだ。格差、気候変動、感染症、生態系の崩壊など、市場任せにできない深刻な社会課題に対して政府が一定の役割を果たすことが重要だ。グリーン・デジタル化の推進など、政府の産業政策の重要性は増している。中期的な産業ビジョン作成など単年度予算主義の弊害を是正していく必要がある。財政について、今の財政状況を鑑みると、効果的な支出、賢い支出が肝要だ。今回の対策についても本当に必要な予算なのか、不断の見直しが必要だ。スピードとプロセスの管理を重視して官民の議論を醸成していってほしいといった議論がございました。
 金子総務大臣です。総務省においては地方からいち早くデジタルの実装を進め、地方が直面している人口減少や少子高齢化などの課題を解決し、地方と都市の差を縮めていくことを通じて、地方を活性化するデジタル田園都市国家構想の実現に向け、先週、「総務省デジタル田園都市国家構想推進本部」を立ち上げたところだ。先日の「デジタル田園都市国家構想実現会議」における総理からの指示を踏まえ、今般取りまとめる経済対策において、5G等の携帯電話等エリア整備事業、課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証といった施策を盛り込むこととしている。構想の実現に向け全力で取り組んでまいりたい。
 また、今月12日に政府コロナ対策本部が開催され、「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」が決定されたことを受け、16日に総務省においても12月以降開始されるワクチンの追加接種をはじめ、地方自治体の支援に万全を期すべく、私が本部長を務める「新型コロナ対策等地方連携推進本部」を開催した。総務省としては、この本部の下、全ての都道府県・政令市との間の連絡体制を活用し、国の最新情報を提供するとともに、取組状況や課題等を丁寧に聞き取り、関係省庁にフィードバックすることで自治体を後押ししてまいりたいという御発言がありました。
 経済産業大臣です。今般の経済対策では、まず、感染症からの社会経済活動の円滑な再開のため、来年3月までの見通しを立てられるよう事業復活支援金を給付するなど、中小企業への事業者支援を行う。また、ガソリンなどの価格が高騰している中で、年末に国民の皆様に安心感を与えることができるよう、時限的・緊急避難的な激変緩和措置を講じる。ガソリン、軽油、灯油、重油の小売価格は一定の水準を超えた場合には元売事業者等に対し、価格抑制のための手当を行うことで小売価格の急騰を抑制する。併せて、電動車や充電インフラの導入支援、徹底した省エネ、再エネの最大限導入など構造転換対策も抜本的に強化する。
 こうした施策により、国民や企業の皆さんの不安を解消し、思い切って経済活動が行える環境を整える。その上で、新しい資本主義を早期に起動するため経済産業省としても今までの積上げや延長ではない政策、政府が一歩前に出て取り組まなければならない政策を、経済産業政策の新基軸として検討を進める。
 今般、経済対策に盛り込んだワクチン生産に用いるデュアルユース設備の支援は民の設備を有事には官の要請で活用するという意味で新しい資本主義の象徴的なプロジェクトとなるものだ。
 また、あらゆる産業に不可欠な半導体については、経済安全保障の観点から半導体の国内製造基盤を確保するため、「半導体産業基盤緊急強化パッケージ」を打ち出して複数年度にわたって支援していく。
 これらをはじめグリーン・デジタルなどの社会経済課題に対し、大規模・長期・戦略的に政策対応する考え方も含め、抜本的な強化策について今後、経済産業省としても議論を進めていくという御発言がありました。
 財務大臣です。今回の経済対策は新型コロナウイルス感染症対応に万全を期すとともに、新しい資本主義を起動させ、成長と分配の好循環を実現するために必要な施策が盛り込まれたものと考えている。
 財務省と金融庁としても資金繰りの支援などを通じて、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業等を支援していく。
 また、この経済対策を速やかに実施するため、補正予算の編成を進めていく。さらに、いわゆる「16か月予算」の考え方の下、令和4年度当初予算を補正予算と一体で編成する。
 他方、この経済対策の執行について、柳川議員から御指摘があったが、本経済対策についての進捗管理は重要だ。特に本対策に盛り込まれた基金事業については、複数年度にわたる予算執行が可能となるが、事業所管官庁におかれては、PDCAや見える化を徹底して適正な執行に努めるようお願いしたい。
 引き続き財務省としての経済再生と財政健全化の両立を進めていくとともに、日本経済を自律的な成長軌道に乗せるため全力を尽くしていくという御発言がありました。
 最後に、総理から御発言がございましたが、お聞きになったとおりでございます。
 私からは以上です。






(以上)