第11回記者会見要旨:令和3年 会議結果
西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和3年7月21日(水)19:36~20:34
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
お待たせしました。概要についてご報告いたします。
まず本日は「金融政策、物価等に関する集中審議」と最低賃金、それから中長期の経済財政に関する試算について議論を行いました。
前半「金融政策、物価等に関する集中審議」では黒田日銀総裁からご説明いただき、内閣府から経済対策の進捗状況についてご報告をいたしました。
最低賃金につきましては、田村厚生労働大臣から答申について、また、田村大臣と梶山経済産業大臣から、最低賃金を引き上げやすい、引上げできる環境整備について説明がありました。
意見交換では次のような意見がありました。今日報告された内容ですが、大きく3点、中小企業の支援強化。一つは雇用維持に関する支援ということで雇用調整助成金について。二つ目は生産性向上支援ということで、予算の活用について。三つ目が下請けの適正化です。
雇用調整助成金については、5月~9月末まで最大10分の10支援をするということになっていますが、10月以降、年末までリーマンショック時の中小企業、最大10分の9以上の助成率を維持するということで、今日報告がありました。
今の緊急事態の状況なども含めて、さらに10分の10を適用するかどうかなどを含めて検討しますが、まずはこの10分の9以上の助成率を維持する、ということが示されております。
休業要件についても、2.5%以上の労働日数を休ませることが要件ですが、これより少なくても良いということで、この希望要件を問わずに支給するということです。
それから業務改善助成金では、賃上げをした場合に、その対象となる人数に応じてそれぞれの助成額があって、そして設備投資など生産性を上げるための支援に使えますが、今回30円と60円の間に45円コースというのを新設すると同時に、10人以上の企業についても支援を行うということで、最大600万円までの支援。
そして業績の厳しい事業主については、自動車やパソコン等の購入も対象とするということで、生産性を上げていくということです。
それからこれは以前にも説明しましたが、事業再構築補助金は1.1兆円ありますが、残り9,000億円、この助成率を4分の3に引き上げる最低賃金特別枠を創設し、6,000万円の上限を8,000万円まで引き上げるということにいたします。
それから「生産性革命推進事業」ということで、残り2,000億円ありますが、ものづくり補助金や持続化補助金、IT導入補助金、これについて加点する仕組みや特別枠を新設して、賃上げ、効果の高い事業者を採択していく、ということに変更していくということです。
そして下請け取引の適正化については、私と梶山大臣の下で行っております、関係業界も含めた「パートナーシップ構築宣言」で、取引適正化、価格決定方法など、しっかりと中小企業が転嫁できる仕組みを作っていくということで、今1,250社が宣言しておりますが、2,000社まで増やすということで、今日も経団連の十倉会長から前向きな発言がございました。大企業としても中小企業の取組を応援していくということです。
そして9月を「価格転嫁協議を促進する月間」ということで特別に設定いたします。さらには下請けGメンによるヒアリングを重点的に実施するということにします。
それから官公需について、受注事業者との契約金額について、申し出がある無しにかかわらず、最低賃金引上げ、これによる契約金額の見直しをしっかりと確認していく、ということにいたします。
こうした取組をするということで説明がありましたが、これを受けて意見交換で次のような意見がありました。
まずワクチン接種の普及が、まさに経済活動正常化の切り札であるという中で「ワクチン接種のペースを緩めることなく進めながら、欧米の例を踏まえ、経済活動正常化に向けた道筋を明らかにすべき」というご意見です。
この点については、既に私の方から分科会の皆さん、専門家の皆さんに検討をお願いしているところです。尾身先生も公言しておられます。
また「最低賃金の引上げは成長と分配の好循環実現に寄与するものである。着実な実行に向け業況にも配慮しつつ、賃上げに取り組む中小企業への支援を強化すべき」という、今のご説明を受けてのご意見です。
その上で「特に厳しい業況の中小企業について、売上減少の状況や最低賃金引上げ等に伴う雇用コスト増を踏まえ、激変緩和の観点から事業存続、雇用維持に向けた支援策を強化すべき」というご意見。
また「こうした補助金や助成金が最低賃金引上げの影響を受ける、中小企業に的確に届いているかなど、モニタリングを行って必要に応じて機動的に施策を拡充すべき」というご意見がございました。
続いて中長期試算ですが、成長率について今年度、来年度は3.7%、2.2%と見込んでおります。日銀は3.8%、2.7%と見込んでいますので、若干私どもより高いですが、ほぼ同じような見方をしています。
そうした中で、成長実現ケースですが、引き続き高い成長が維持される中で、こうした道筋を描いていくということを想定しながら、名目のGDPも水準で600兆円は、2024年度には到達すると想定しております。
そして国・地方のPBの対GDP比でありますが、歳出改革を織り込んでいないもので、成長実現ケースでいきますと、現状、足下は▲3.1%ですが、これが2027年度に+0.3%。2026年度は▲0.1%で、ぎりぎり2027年度に+1.8兆円ということで黒字化する見込みです。
そして、これまでと同様の歳出改革。例えば社会保障費について高齢化の伸びに、それを抑えるということを実行していけば、成長実現ケースでありますが、2025年度に+0.3%で、+1.7兆円ということが実現されます。
実は、前回試算でも大きく落ち込んで戻っていきますが、それ以上に税収が戻った形になっています。まさに民間議員ペーパーに書いていますが、無利子・無担保の融資、約50兆円とか、あるいは1人10万円の特別定額給付金が約12兆円強でありますが、これはまさに消費税5%分を減税したと同等の負担減につながっていく、同等の金額の支援です。さらに言えば同じ金額、所得の低い方も高い方も1人10万円行きますので、そういう意味で消費税5%よりも、より手厚い支援策、こうしたこと。
それから雇用調整助成金が約4兆円。リーマンショックの時は1兆円の支出でしたので、それをはるかに上回る雇用調整助成金4兆円。こういった施策を実施することによって、経済をしっかりと支え、事業、雇用、そして生活を支えた結果として、まさに経済あっての財政ということで、財政の戻りも成長することによって、支えることによって戻ってきたということであります。
ちなみにコロナ前の2020年、去年の1月の試算とほぼ同等の動きになっていく、ということです。
そして一方で今日も指摘がありましたが、公債残高。それぞれのスナップショットで毎年毎年の財政を見るのと同様に、残高、ストックを見ていかなければいけません。これでいきますと、前回試算よりも頂点は低くなりつつ、しかし成長することによって、ほぼ2029年度にかけては同じような動きになっていくということでありまして、コロナ前よりは当然高くなっていますが、状況としては同じように改善をしていく、ということであります。
そしてこの試算結果を踏まえて、次のようなご意見がありました。「コロナ下での債務残高の増加、少子化のさらなる進展を踏まえ、中長期的な課題として、将来世代の負担軽減とともに、まさに今申し上げた債務残高のストックの、この対GDP比の安定的引下げ、この重要性がさらに高まっている」ということのご指摘がありました。
「民需主導の実質2%成長とデフレ脱却の実現とともに、公平なセーフティーネットの仕組みの構築、適切な国債管理政策の推進などの取組を強化すべき」というご意見がございました。
併せて「コロナ下で顕在化している課題の克服を図るとともに、歳出・歳入両面からの改革をより一層着実に進め、2025年度の財政健全化目標を達成すべき」というご意見がございました。
いずれにしましても今回、新型コロナの影響によって、こうした財政的には非常に厳しい状況ではありましたが、先ほど申し上げたような特別定額給付金とか雇用調整助成金とか、50兆円にも及ぶ実質無利子・無担保の融資の実施ということで、2025年度にPB黒字化が前回、前々回と比べて前倒しになって、コロナ前の試算と同じタイミングに戻ると見込んでおります。
別件を1つお話しします。TPPについてですが、先日ペルーが国会を通したということで、お話を申し上げましたが、本日21日、ペルーがTPP11発効のための国内手続きを完了した旨を、寄託者であるニュージーランドに通報いたしました。
これによって9月19日、同国がTPP11の8番目の締約国となる予定であります。TPP11の主要なパートナーであるペルーが、このTPP11に加わって、TPP11のメリットの実現が更に進むことを喜ばしく思っております。
他の未締結国、あと3つ、マレーシア、ブルネイ、チリですが、それぞれにおいても可能な限り早期に必要な手続の完了を期待したいと思います。
本年のTPP議長国として、このペルーの通報、まさに国内手続完了を弾みとして、英国との交渉を迅速、円滑に進めていくこと、そして、まさにこのTPP11の着実な実施、拡大、発展及び進化に取り組んでいく所存です。
それから、先ほどの黒字化のお話ですが、以前申し上げた骨太方針で「本年度内に、感染症の経済財政への影響を検証し、その検証結果を踏まえ、目標年度を再確認する」という文言を書き込んでおりますが、まさに今回の中長期試算では、これまでと同様の歳出改革を行えば、2025年度のPB黒字化が視野に入る姿が示されました。
今後4―6月期以降のGDP(QE)、そして医療費も含めた経済財政面、両面からのコロナの影響、これをしっかりと見極めて、年度内にしっかりと検証を行ってまいりたいと考えております。いずれにしましても今回の試算では、2025年度のPB黒字化が視野に入るということです。
それからコロナの関係を申し上げます。まず東京の感染者の数が、本日1,832人。それから昨日の全国新規感染者が3,743名。特にこの全国の数字は先週比で1.53倍ということで、先週段階では、全国で20~30ぐらいの県が1桁で落ち着いているということを申し上げたと思いますが、そこから急速に感染が広がっている状況であります。
首都圏だけではなく関西圏、そして多くの地域で感染者数が増加傾向となっているということに、警戒感を強めているところであります。特に東京の数字でありますが、新規感染者が1,832人。そして入院者数が7月20日時点で2,388人ということで、2,000人を超えてきました。
ワクチン接種によって高齢者の重症化は抑制されていますが、40代・50代の感染入院者数が増加しております。東京の陽性率が10%となっています。かなり高い数字になってきていますので、警戒を強めているところであります。
そして銀座でいいますと、60代・70代の人出がかなり出ていること。渋谷は10代の人出が増えています。こうした中で、夜も歌舞伎町は3月よりは若干低いですが、非常に高い水準で、やはり人出が出ています。感染者の数、実効再生産数と相関関係があるデータであります。
こうした中で40代・50代の新規陽性者の数が、このような形で増えていまして、まだワクチン接種を受けていない方も多い中で、重症化もじわりと上がってきているところを心配しています。
特に以前から申し上げていますが、今回の感染拡大では40代・50代、それから若者の増加が見られるということで、専門家と日々意見交換をしておりますし、臨床の現場の医師何人かとも意見交換を行っていますが、重症化は比較的まだ少ないとはいえ、当面この40代・50代の、酸素吸入を必要とする中等症の増加が見込まれる。このままこの状態が続けば、医療機関への負荷がかなり増大してくるという点。
それから自宅療養。赤が今日のアドバイザリーボードのデータ、東京のデータですが、7月11日~17日の1週間です。一番左端の青いところが2月の下旬の数字ですが、ここに来て自宅療養がこれだけの伸びをしていますし、宿泊療養もかなり増えてきています。
そして入院調整中が、まさに4―5月のピーク時にかなり近い状況になってきていまして、自宅療養の急増、これだけ増えてきています。もちろん医師会にも協力いただいていますので、ケアできる体制が今はできているわけですが、これがさらに増えると、これが行き届かなくなる可能性も出てくる、という懸念が示されています。
いずれにしても中等症の方々の入院増による医療への負担、それから若い世代の後遺症、これは非常に重いもの、長引く後遺症、味覚、嗅覚、倦怠感、脱毛、様々に報告されています。
さらにはまさに濃厚接触者も含めて、ある意味社会から隔離をされる、自宅で待機をしなければいけない、人との接触を避けなければいけない。こうなると、まさに社会の中心を担っている現役世代が感染し隔離されることで、社会活動全体への影響も考えられるわけです。
いずれにしても特に自宅療養が増えてくること、それから入院調整が増えてくること。今は医療に何とかアクセスできる状態ということで、医療界にも本当に頑張っていただいていますが、このまま高い水準の感染が続けば、まさに病床確保、それから宿泊療養施設の確保など、東京都をはじめとして、それぞれの都道府県に進めてもらうことになりますが、併せてワクチン接種が終わるまで、ワクチン接種が行き届くまで、何とかご自身の健康、命を守るためにも、社会全体への影響を含めて、感染防止策の徹底を是非お願いしたいと思います。
そうした中で、経済界の皆さんには、もう今週から、コロナ前からお願いしている都内への人流抑制ということで、テレワーク、休暇の分散をお願いしております。
これまで毎週水曜日にテレワークの実施状況を公表しておりますが、登録社数が998社となりました。ただ、上場企業に占める公表企業の割合は、まだ11.8%ですので、それぞれの企業によって、特に上場されている大企業は、もう既にかなりテレワークの実施をしていただいておりますが、引き続きテレワークの徹底をお願いしたいと思います。
それから、先ほど人流をお示ししたように、夜間、そして昼間も含めて不要不急の外出自粛をお願いしたいと思います。オリンピックが始まりましたが、開会式も明後日行われる予定ですが、先ほど総理も発言しておられました、正に家族と、そして親しい仲間と少人数で是非テレビで応援をしていただいて、不要不急の外出自粛にご協力いただければと思います。
さらには、大学、高校、専門学校、それから職場でのクラスターが毎日のように報告されています。飲食店の皆さんにももちろん20時までの時短にご協力いただければと思います。東京都も既に申請受け付けをしておりますので、早期支給に向けて取組が進んでおります。是非ご協力いただきたいと思いますが、飲食店のクラスターはかなり減っています。皆さんのご協力で減ってはいますが、全国的に見るとやはり毎日ように飲食店でのクラスターの報告がありますので、ご協力をお願いしたいと思います。
さらには大学、職場、ここで何点か申し上げますが、検査を是非徹底していただきたい。抗原簡易キットを活用した検査ということで、既に医療機関や高齢者施設には450万回分を順次、配送しております。それから、大学にも45万回分、大学や高校、専門学校ですね。こうしたニーズが寄せられておりますので、今月中を目途に配送を始めるという予定にしております。職場において抗原簡易キットを使えるということ、直接購入ができるということに運用改善をしておりますので、職場でちょっと具合が悪い方がいれば、まず体調に異変を感じたら休む、遊びに行かないということで、検査を是非受けていただくと。職場でも発熱、味覚、嗅覚、何か異常がある、おかしいと思ったらコロナの可能性が高いですから、是非PCR検査。電話していただければ、そこまでいかなくても、ちょっと具合が悪いという方に是非抗原簡易キットを職場で活用いただいて。そして仮に陽性となれば、保健所に入っていただいてどの人が濃厚接触者という調査なしに、そのフロア全部や、会社の決めた関係者、全員行政検査で検査を行えますので、是非、この抗原簡易キットを活用いただければと思います。
高校の活動、部活動でも、あるいは大学の部活動でも、ちょっと具合が悪い人などには有効ですので、活用いただければと思います。もちろん私どものモニタリング検査も、大学など非常に申し込みが多くありますので、順次調整がついた所からモニタリング検査も行っておりますが、普段ちょっと具合が悪い人にはこの抗原簡易キットは有効でありますので、ご活用いただければと思います。
そして、部活動などのクラスターが依然毎日のように報告されていますので、文科省からは7月9日に大学や高校に対して通知が発出されています。夏休みを迎えるに当たってこれまで以上に感染症対策を徹底し、生徒が安心して練習や大会等へ参加する機会を確保していただきたい。特に全国大会など、まさにこれまでの練習の成果を発揮する限られた機会に参加できるように、普段から感染防止策を徹底していただきたいということであります。
高校野球の米子松蔭高校の話も話題になりました。いろんなメールや要望が私の所にも届きまして、平井知事にも検討をお願いしたり、萩生田大臣とお話をし、萩生田大臣の方でも取組をされて、参加できることになったということで、本当に喜ばしい。部員は誰一人として陽性者がいなかったわけでありますので、そうした中で、本日、大会の復帰がされたと聞いております。
こうしたことの機会を確保することの配慮をしつつ、感染症対策、感染防止も徹底していただきたい。そうした中で、順次配送を始めますが、抗原簡易キットも活用いただければと思います。
それから、明日から4連休になります。もう夏休みに入っている方もおられると思いますし、学校も休みになっていると思いますが、既に先週、尾身会長から談話が発表されたとおりでありまして、できる限り、夏休み期間中、特に緊急事態宣言のエリア、あるいはまん延防止等重点措置のエリアとの県をまたぐ移動は、できる限り慎重に期していただくということ。どうしても必要な場合は小規模分散型、あるいは検査を受けていただくということ。北海道、沖縄向けには、昨日から検査を空港で開始しておりますし、事前に検査を受けることもできますので、そういった対応をお願いしたいと思いますし、特に普段合わない人との面談、飲食、さらに大人数、長時間、これを控えていただくことが重要だと思います。
自宅でオリンピックを見る時も、いつものメンバーで少人数で会う、あるいは家族で見られるのは、応援するのは良いと思いますが、せっかくだからテレビのある友達の所にみんな集まって、8人、10人と。それでビールでも飲みながらというと、これは長時間、大人数で、滅多に会わない人も中に入ってくると、非常にリスクは高まります。これは過去何度も私どもの人工知能やシミュレーションでお示しをしているとおりでありますので、是非控えていただきたいと思いますし、外食の際には認証を受けているお店、そしてそれぞれの地域のルールに従って、都道府県の要請に従った対応でお願いしたいと思います。
それともう1点だけ。やはり路上飲み、それから今、申し上げた広場での飲み、あるいは宅飲みといわれる、大人数集まってという報告がありますので、マスクを外して会話をする、しかもお酒が入って大声になる、長時間になる、これは非常にリスクが高いですから是非控えていただきたいと思います。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)コロナと経済財政諮問会議について1つずつ伺います。
1つは、東京都で新規陽性者1,800人を超えたということで、宣言下ではあるのですが感染が抑えられていない現状について。あと、先ほど厚労省のアドバイザリーボードで、専門家から、首都圏3県について宣言に移行を議論すべきという意見もあったようですが、そのことについてお考えを教えてください。
それからもう1つ、経済財政諮問会議の民間議員のペーパーで、経済活動正常化の道筋を明らかにすべきではないかというコメントがあり、例えばワクチン接種済証の活用等を考えるべきという提言がありました。これに対する大臣の考えを教えてください。
(答)まず1点目ですが、今、見ている姿は10日前~2週間前の姿ですので、正に先週の初め、あるいは2週間前の今ごろ、中ごろは人出がかなり増えた時期ですから、その結果が今、表れているわけです。ちょうど今日が21日ですが、2週間前は7日ですので、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の段階からずっと増加傾向があって、この辺の高い時期の結果ですので、当然、私どもも感染者数は増えるということで、認識、想定をしながら対応してきました。だからこそ緊急事態宣言を発出し、このような形でお願いをしているということでもあります。
その上で、一方でワクチン接種が進んでおり、先ほど申し上げたように、高齢者はかなり感染の重症化を抑えられていますので、その点はやはりワクチンの効果が出ていると。これは別途、厚労省が発表している数字もあります。
他方、40代、50代の感染が増え、入院者が増える、そして酸素吸入が必要な方も増えてきているということですので、ここの状況をよく見極めていくことが大事だと思っています。
繰り返しになりますが、感染者の数が高い数字が続くと、ここのケアがだんだんできなくなってきて、また自宅療養の方のケアができなくなっていきます。適切なタイミングで医療を受けられれば重症化を防げる世代ですが、それができなくなってくる。数が増えれば医療の負荷が掛かってきますので、そうならないようにそれぞれの都道府県、1都3県を中心に病床を確保できる仕組みを作ってもらっていますから、それを具体化していくということが大事ですし、感染者を今、抑えていくことも大事です。
そのために、先ほど申し上げた、不要不急の外出自粛やテレワーク、協力金の早期支給の仕組みを入れましたので、飲食店の皆さんにはご協力いただいて、特に相関関係の強い夜間の人流、人出を減らすということが重要です。オリンピックも始まりましたので、できるだけステイホームしていただいて、テレビで応援をしていただくということをお願いできればと思います。
その上で、1都3県の様子、黄色赤表を見ていただいたらお分かりになるように、確かに赤が少し灯ってきました。しかし病床はまだ、特に重症ベッドはかなり保たれています。病床の折れ線グラフ、これは1都3県の12月以降の病床の推移ですが、東京は国基準でいいますと、6月後半以降は上がってきています。だからこそ緊急事態にしているわけですが。重症者ベッドは、他の3県は20%前後ということですので、まだ厳しい状況にはない。つまり、若干横ばいから増加傾向はありますが、ワクチン接種が進む中で高齢者の感染重症化を抑えていますので、ここはかなり医療界の皆さんに頑張っていただいていると思います。
そして一方で、一般病床も含めた確保病床の使用率でいくと、先ほどの40代、50代が増えてくることによって上がってきていますので、ここの状況をよく見ていかなきゃいけないと思っています。
3県の知事ともこの間やりとり、昨日もそのうちの2人の知事とお話をしましたが、全く考えていることは同じでありまして、40代、50代の入院の状況、一般の病床の状況をよく見ていきたいということを言われていますので、それぞれの1都3県と様々な状況を共有しながら対応していきたいと考えています。
その関係でもう1点、北海道ですが、昨日、その前の晩に鈴木知事とお話をし、昨日は北海道で本部が開かれたということで、本部の決定を受けて、昨日の夜、政府に対して正式のまん延防止等重点措置の要請がなされました。
鈴木知事とは一昨日の晩ですが、札幌について感染が広がってきているということで、北海道のこれまでの経験でも、札幌で広がるとかなり周辺に広がってくるということですので、その状況について危機感を共有したところです。
知事には、まさに検査の拡充や8時までの時短も思い切ってされたらどうですかということも申し上げてきています。引き続き警戒感を持って、北海道庁と感染状況、病床の状況、この分析を進めたいと思っています。専門家の意見を聞きながら、北海道と緊密に連携して対応していきたいと考えているところです。
いずれにしても、3県についても状況をしっかりと共有しながら、そして分析を進めながら連携して対応していきたいと考えています。
それから、経済財政諮問会議でのご意見ですが、今日は経済財政諮問会議の皆さんから、ワクチン接種が進むことによって、将来の絵姿、ワクチン接種の証明書、さらには検査も組み合わせて、そうした対応を考えていくべきだということのお話がありました。
既に私からは尾身会長にも、そうしたワクチン接種が進む中で、8月22日ごろ、下旬ごろには、着実にワクチン接種が進めば、今のヨーロッパと同様の状況になるわけですし、さらには10月、11月には希望される国民が全員、ワクチン接種できる状況になりますので、それぞれの段階でどういったことが可能かということの検討をお願いしております。尾身先生のほうでも分科会のメンバーと議論を重ねておられると聞いています。
他方、私ども、そうした状況の議論、専門家とも意見交換をしながら、いわゆる技術の実証ということで、ワクチン接種を打たれた方か、あるいは先ほどの抗原簡易キットなども活用して検査を実施していただくことによって、イベントとか、これは経産省がイベントの公募を今、行っていますが、イベント、あるいは飲食店での対応、あるいは、クラスターがこれまで何度も発生してきたライブハウス、こういった所でワクチンか検査、あるいはさらにQRコードとかの技術を活用して、これも分科会から提言も頂いておりますので、こういったことを活用して何か実証ができないかということで、専門家の皆さんとも意見交換をしながら対応していきたいと考えています。
与党から世耕幹事長をはじめ、そうした意見も出されていますし、業界とも様々な意見交換をしながら、そうした対応が取れないか考えていきたいと考えています。
(問)先ほどの首都圏の3県、北海道に関してですが、これまでの状況を見る、分析を進めるとしている中で、最終的には感染が拡大してから緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を適用するということがありましたが、特に北海道からは正式に要請が出たところでありますが、現時点で適用をしない理由について、改めて教えていただければと思います。
(答)北海道の指標を見ていただいたらいいですが、入院率が少し下がってきていますが、これもまだ比較的高い状況ですし、陽性率が3.5%、あるいは病床使用率が16%、重症者は非常に低く抑えられています。
こうした状況から、もちろん札幌の状況をよく分析をしなければいけないですが、札幌の状況も病床はまだ確保されているという中で、重症者も低く抑えられていますので、こういった状況をよく見極めながら、北海道と分析を進めながら対応を考えていきたいと思います。
この数字を見ていただく限り、札幌の状況を個別に分析をしなければいけませんが、状況をよく分析したいと考えています。特に専門家の意見をよく聞いて、札幌で人数が急激に増えてくる、それによって入院調整等に手間取る可能性がありますので、こういったことも含めて、専門家、これは現地の専門家の意見も私どもは聞いておりますので、含めて、対応を道と連携して進めていきたいと考えています。
3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
大臣からの御報告もありましたとおり、今回は3つ、大きく2つのセッションが行われております。
西村大臣から御紹介ありましたとおり、まず、金融政策、物価等に関する集中審議ということで、黒田日銀総裁から資料の1について、私の方から資料2について、最低賃金について、田村厚生労働大臣、梶山経済産業大臣から資料3について御説明がございました。二つの議題に関連して、民間議員から資料4の説明があり、まとめて各議員より発言がございました。
主な御意見を紹介いたします。
まず、麻生財務大臣です。最低賃金については、私もこれまでの諮問会議で度々申し上げてきたが、日本経済を早期に成長軌道に戻すためには、持続的な賃金上昇を通じて個人消費の拡大が一番問題で、全国で実現していくことが不可欠であり、経済の自律的な好循環の基礎の基礎である。新型コロナで大変な状況もあるだろうが、コロナ前に引き続き積極的な賃金の引上げを継続していただくよう、よろしくお願いしたいというお話がございました。
民間議員からです。新型コロナ感染症の収束のためには、ワクチン接種率を向上させ、集団免疫の獲得が経済活動の正常化に必要。ワクチン接種は1日120万回と予想を大きく上回るペースで進んでおり、景気回復につながると考えられる。しかしながら、足下、四度目の緊急事態宣言がなされるなど、経済活動には依然として不透明感がある。こうした状況に対抗するため、政府には機動的な財政・金融面での対応を求めたい。
求める方向性としては3つではないか。
一つ目は、大胆かつ生産性向上に取り組む意欲ある中小企業に対し、特に雇用調整助成金や業務改善助成金の活用を含め、賃金引上げに取り組む中小企業への思い切った支援強化をしていただきたい。
二つ目は、企業間取引の適正化、それに向けた環境整備に取り組んでいただきたい。
三つ目は、DXの推進である。DXを通じて、中小企業を含めた日本のサプライチェーン全体の生産性向上に資する支援への取組が必要。こうした点について、政府には大胆な対応を求めたいといった御指摘がございました。
別の民間議員です。ワクチン接種の加速と経済活動の正常化について、日本のワクチン接種が加速する中、経済活動の正常化に向けた道筋をどのように付けるかの議論が必要。世界は既にそうした体制づくりを始めている。
また、最低賃金に関して、中小企業の生産性向上をしっかり支援し、激変緩和に留意する必要がある。また、取引の適正化に取り組み、賃上げが適切に価格に転嫁されることが最終的にはデフレ脱却につながるので、そうした取組をやっていく必要があるというような御指摘がございました。
次に、中長期の経済財政に関する試算について、事務方から説明があり、資料5について民間議員から説明がございました。
各議員よりの御発言です。経産大臣からですが、コロナ後を見据えた成長力強化への取組として、グリーン・インフラの基盤整備は重要。電気自動車、燃料電池自動車の普及に当たり、充電設備や水素ステーションの整備は不可欠。政府としては、急速充電設備を3万基設置し、遅くとも2030年までにガソリン車並みの利便性を実現するよう強力に整備を進めていく。また、水素ステーションについては、燃料電池自動車、燃料電池バス、燃料電池トラックの普及を見据え、人流、物流を考慮しながら最適な配置となるよう、2030年までに1,000基程度を整備する。
電力系統については、再エネの大量導入に対応しつつレジリエンスを抜本的に強化した次世代型ネットワークに転換していくことが重要。そのため、全国規模の送電網を計画的に整備するためのマスタープランの策定を行う。さらに、洋上風力のポテンシャルの大きい北海道などから、大消費地まで送電するための直流送電システムを計画的、効率的に整備すべく検討を加速する。その際、経済効果の大きさや経済安全保障の視点も踏まえながら、国内設備投資の促進策などについて検討していきたいということをおっしゃっておられました。
財務大臣です。新型コロナの危機を乗り越え、次の世代に未来をつないでいくことが我々の責任だと考えている。これははっきりしている。累次の補正予算による新型コロナへの対応により、債務残高が大幅に増加していることも事実であり、したがって、今回の中長期試算は前回よりも若干改善しているが、引き続き手を緩めることなく、2025年度のPBの黒字化とともに、債務残高の対GDP比の安定的な引下げに向けて、少子高齢化という避け難い現実の中で社会保障の持続可能性を高める改革など、歳出・歳入両面の改革にしっかりと取り組んでまいりたいと考えているというようなお話がございました。
民間議員からです。中長期の財政のポイントは政府の役割が期待される時代ということ。大きく2点を申し上げたい。一点目はコロナや地球温暖化などが起きているが、これまで日本は安全な国で有事を想定してこなかったが、コロナのような問題が起きている中で、中心的な役割は政府なのではないか。欧米ではグリーンディール、社会・産業政策として政府が取り組んでいる。こうした中長期課題に対しては政府が中心になって取り組むことが求められてきているのではないかというお話がございました。
2点目ですが、財政健全化をするには経済成長が欠かせない。正に経済あっての財政。例えば、グリーンやデジタルなどへの対応について、次のフェーズ段階に入っているので、グリーンボンドといったものも検討課題として取り上げるべきではないかと考えている。
こうした取組について企業を支援する一方、市場の失敗もありうるが、グリーンやデジタル面においては官民協力をして取り組んでいくことが必要なのではないかというような御指摘がございました。
別の民間議員です。まず、財政状況に関してですが、低金利のためにPBというフローではそれほど悪くなっていないが、債務残高というストックでは確実に悪化していることに留意が必要である。
グリーンの関係では、日本では10年間で約2兆円の基金を創設したが、欧米の同様の基金の規模の10分の1以下になっている。日本も規模を増やさないと欧米に伍していけないのではないか。
労働市場とインフレに関しては、欧米では労働需要が逼迫して賃金が上昇しやすい環境にあり、日本にもこの流れがいずれ到来するのではないか。この機会を生かして2%の物価安定目標の実現に向けて政府と日銀が力を合わせて取り組んでいくべきではないかというような御指摘がございました。
最後に総理からの御発言については、お聞きになったとおりです。
私からは以上です。
(以上)