第7回記者会見要旨:令和3年 会議結果

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和3年5月25日(火)18:49~19:50
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

 まず、経済財政諮問会議の概要について申し上げます。
 本日は、「経済・財政一体改革」、特に地方行財政、社会資本整備の改革について。それから、骨太の方針の骨子案について議論を行っていただきました。
 まず、「経済・財政一体改革」については、次のような議論がございました。今回のコロナ対応の経験を踏まえて、国と地方自治体間において、それぞれ担うべき役割をしっかりと検証しながら今後、より迅速で効果的な対応策が行えるよう、役割分担を見直し、広域連携を強化すべき。正にコロナを機に医療を含めて様々な広域連携が行われているが、今回の経験を踏まえて強化していくべきという議論。
 それから二つ目に、社会資本整備については、デジタル技術やデータを徹底的に活用した予防保全型メンテナンスへの転換。あるいは、効果的で効率的な整備に向けた民間資金の活用。特にPPP/PFIの推進、これを一層進めるべきという議論がございました。
 「骨太の方針(骨子案)」につきましては次のような議論がございました。まず足下の新型コロナ対策、これに万全を期していくということ。同時に、成長分野への労働移動、いわば失業なき労働移動や賃上げのモメンタムの維持拡大。さらには、女性や非正規の方など、弱い立場の方々への支援など、目配りの利いたマクロ経済運営、マクロ政策運営を行うべきという議論。
 その上で、総理が最後に言われましたが、四つの重点課題、グリーン、デジタル、地方、子ども・子育て、この4分野に重点的に投資して成長の原動力としていくべきという議論についてで、目次では四つの原動力と書かせていただいております。さらに人材の投資、戦略的な経済連携の活用など、成長を支える基盤づくりを行う。ポストコロナの持続的な成長に向けた取組みを強化すべきである。このようにしながら力強い経済成長の基盤を作って、その上で「経済あっての財政」、この考え方で財政健全化の目標達成を目指すべきだという議論がございました。
 私から、「対日直接投資促進のための中長期戦略の検討状況」について報告いたしました。
 総理から最後にありましたとおり、2030年に倍増し80兆円とする新たな目標を設定し、政府全体としてその実現に向け取り組むとのご指示を頂いたところです。骨太方針や成長戦略にもしっかりと反映し、対日直接投資と我が国の成長力強化につなげていきたいと考えております。
 その他の総理からの締めくくり発言については、お聞きいただいたとおりです。詳細については、後ほど事務方から説明をさせていただきます。
 コロナ関係でご説明いたします。
 まず、モニタリング検査の結果。連休中、学校や職場が休みで少し配る量が減ったりしていましたけれども、17日から23日、先週3万7,000件配って、その前の週の3万5,000件などと合わせて2万7,000件が回収できております。1日4,000件程度までは増えてきておりますが、来週以降、さらに1日1万件を目指して取り組んでいくことになります。
 そして、累計の陽性疑いが186件ですが、37件になっています。ここにちょっと小さく書いていますが、東京の11名とか、大阪の9名とか、やはり感染拡大しているところで多く出ております。
 それぞれの県の配布状況です。東京はもう1万件にいっていますし、大阪も5,000件、3,000件ということで非常に多い数字になっています。あとは見ていただいて。お配りしますし、ホームページ上にも出します。
 それで、受けていただいている方全体に見ると、割と満遍なく受けていただいていますが、やはり20代、30代が半分近く陽性疑いを占めます。最近の傾向でも、やはり20代、30代が半分ぐらい、全国的にもそうですし、東京や大阪のデータでも分かっていただけると思います。
 それで、各県別の陽性率ですが、これが大阪、東京です。それから愛知県。ちょっと三つだけ挙げていますが、各県の動向も取っています。全体で少しだけ陽性率は落ちたということですけれども、個別に少し見ていかなければいけませんので。やはり連休後の状況、連休での人の移動が少し活発になった部分も含めて各県とも上がっていますけれども、もちろん、それぞれの地域、人流も大阪、東京はかなり抑えていますが、このような傾向が見えます。
 年代別の陽性率。ちょっと分かりにくいですけれども、全体はこれですが、若い世代も少し落ちてきているというのか言えますが、30代も連休後上がって少し落ちている。活動が活発になった部分があります。10代以下も、連休後にちょっと増えて、ちょっと減ってきた感じがします。
 各地方で、ここに入っていない県でもそうですけれども、連休中の人の移動、これは例年に比べると低く抑えられていますが、やはり連休中少し増えて、特に地方部、大都市部で人の流れを、人出を抑えたこともあって、周辺なり増えた、これは沖縄、北海道もそうです、これによって感染が増えています。
 多くの地方で少し増えましたけれども、今、それが一巡して、少し我々が心配していたのは、若い世代が連休中に活発に動いて、そして連休後に陽性者が出ていますが、それが高齢者に波及するということを非常に恐れていましたけれども、今のところ、それぞれの地方の状況は少し落ち着きを取り戻しつつあるという感じであります。
 モニタリング検査、こうして全体の傾向を見ると同時に、ご案内のとおり高齢者についてワクチン接種を今、加速して進めています。7月末までに希望する人全員が2回終えるようにということで、今日も様々な財政措置を発表しましたし、また、接種するほうの方、歯科医師はもうあちこちで始まっていますし、今日、臨床検査技師とかの方とか救急救命士の方とか、検討を急ぐということで発表があったところですけれども、とにかく重症化する方の9割が高齢者ですから、これを抑えるという意味でワクチン接種を急いでいます。
 他方、感染者は半分が若い世代ですので、この若い世代の感染を抑えていくことも同時に大事であります。検査を拡充していくと。検査で無症状の方をできる限り特定していくということが重要になってきます。
 そこで二つ。一つは私どものこのモニタリング検査をより若い世代に重点を置いた取組みにシフトしていこうと考えています。大学あるいは保育所、幼稚園、それから職場でもできるだけ若い方、若い方の多い職場、こういったところに重点を置いて今、調整を急いでいるところでありますが、既に申し込みをいただいている、私ども内閣官房のホームページで申し込みができますので、希望される職場など、是非お願いしたいと思いますが、既に幼稚園、保育園で1,110団体から申し込みがあって今、調整を急いでいます。それから、約290の大学・専門学校などからも申し込みがありますので、これも急いでいます。
 既にもう開始しているところもありますけれども、保育士さん、それから幼稚園の先生、さらには大学生、運動部、合唱部、そういう文化部も、リスクのあるところを含めて、モニタリング検査でできる限り若い方、無症状の方を特定し、そしてそこで分かれば、PCR検査で確認されれば、その濃厚接触者、さらには何人かリスクが高いということになれば、もうその学部全部とか様々広げて、関係ある人を幅広く行政検査を行うこともできますので、まずはその感染源をつかんでいくということに全力を挙げたいと思います。
 併せて、以前からお話ししています抗原定性検査キット、抗原キット、これを活用していくということで、最大800万回分の物を確保しておりますけれども、まずは医療機関、高齢者施設などで始めていますが、今申し上げた大学の運動部とか合唱部などでも活用することができないかということを今、早急に検討を進めているところであります。
 全く無症状の場合はPCR検査に比べて感度が落ちるわけですけれども、しかし、ちょっと何か具合が、喉に違和感があるなとか、ちょっと普段よりも疲れてだるいなとかいうときは、もし感染していればそれは検知できますので。つまり、人にうつすような状況になっている状態の時は検知ができるわけですので、抗原検査キットも最近ではかなり精度が上がっていますし、そして単価も非常に安く、一回600円、700円できるように今、なってきていますので、これを活用していくということの検討を急いでおります。
 その上で、今二つ申し上げましたけれども、モニタリング検査についてですが、幾つかの事例で感染源を特定したり、感染拡大を抑えられる事例が出てきておりますので二つぐらい申し上げますと、一つは、イベントというか、非公表の部分があるのでなかなか表現しにくいですが、舞台などで公演を行う場合、その出演予定者の中で我々のモニタリング検査で陽性疑いが出まして、それで検査を行うとさらに陽性者もいたということで、その公演を中止して感染を未然に防いだという事例がございます。
 それから、今申し上げた職場や学校などにおいて陽性疑いの人が出た場合に、接触がある、接点を持っている方に検査を拡大して、そして陽性者を確認し感染拡大を抑えたと、あるいは感染源というか、クラスター的なものが事前に、何人か陽性者が出てきたということで大きなクラスターになる前に防げたという事例も出てきております。
 したがって、このモニタリング検査を、先ほど申し上げたように、より若い世代、20代、30代にシフトしながら、幼稚園、保育園、大学、専門学校、特にクラスターが出ている運動部とか合唱部とかこういったところ、あるいは若い人が多い職場、作業所、こういったところにより焦点を当てて質量ともに拡充していきたいと考えております。併せて抗原定性検査キットの活用拡大を行っていきたいと考えております。
 私からは以上です。





2.質疑応答

(問)骨太の方針の骨子案について伺います。
 第3章として経済・財政一体改革の章が設けられましたけれども、国と地方のプライマリーバランスを黒字化する財政健全化目標について、2025年度という具体的な達成年次も含めて堅持する方針を、この第3章に明記する方向でしょうか。
 また、前回の経済財政諮問会議の民間議員資料や、財政制度等審議会の建議だと、現在の歳出改革の目安を2022年度から少なくとも3年間は継続すべきだ、という提案がなされておりますが、こうしたことについても、この第3章に盛り込んでいくことになるのでしょうか。


(答)骨太方針の中の第3章ですが、これまでも経済・財政一体改革について、下に専門調査会をつくり、そこで専門家の皆さんで様々議論がなされています。例えば先ほどのPPP/PFIをどうやって進めていくのか。
 今は20万人だったと思いますけれども、人口が一定規模以上のところには、まずはPPP/PFIができるかどうかをまずやってみること。このテストをやった上でできない場合に、他のものを普通の公共事業としてやっていく、ということにしていますけれども、例えばこういったテストをもう少し拡充できないか、あるいは目標の一定を達成しつつあるジェネリックをさらにどのように広げていくかなど、ご指摘のあった地方の行財政改革、さらには社会保障改革など様々な議論を進めてきています。
 そうした中で繰り返しになりますが、「経済あっての財政」という総理のお言葉。以前からの言葉で言えば「経済再生なくして財政健全化なし」ということでもありますが、やはり成長がまず大事だと。経済を成長軌道に乗せていくことが大事だということですが、他方でこの財政健全化の旗を降ろすわけにいきませんので、どういう形の目標設定をしていくか、そしてどういう形でそれを実現していくか、このことについてはこれまでの議論も踏まえながら、しっかりと書き込みたいと考えています。
 今日は麻生副総理兼財務大臣から、この財政制度等審議会の建議の説明もございました。また、社会保障改革については、民間議員からもご議論がありましたので、そういったことを踏まえて、しっかりと財政健全化の旗を降ろさずに、どういう目標にしていくのか、どのように実現していくのか、このことも道筋は書いていきたいと基本的には考えておりますが、今後さらに民間議員との意見交換、さらには与党での議論もありますので、そういったものも踏まえながら、しっかりと書いていきたいと考えております。



(問)緊急事態宣言についてお伺いします。緊急事態宣言の期限が5月31日に迫っておりますけれども、東京オリンピックの開催に向けて、感染者数を徹底的に抑え込んでいくという観点から、この緊急事態宣言を延長する可能性はありますでしょうか。お願いします。


(答)まず私の立場で申し上げるのは、以前から国会などでも、あるいはこの場でも申し上げていますけれども、今、関係者の皆さんが安全安心な大会とすべく一丸となって、様々な取組みを行っているところであります。
 私の立場で言えば、とにかく感染者の数を抑え、そして病床が厳しい状況が関西圏でまだ続いておりますので、これを安定的な状況にしていかなければいけない。正に安心安全な状況にしていかなければいけない。医療について言えば、コロナへの対応を今必死で、特に関西圏ではやっていただいています。さらにはワクチン接種が始まっています。そして一般の医療への対応もあります。
 さらにはオリンピックへの対応というものも、オリンピック組織委員会などから協力を求めて、今対応が進められているということで、医療の負荷が何重にも重なってきますので、私の立場でできるのは、感染者を抑えてコロナへの対応、医療の提供体制を正に安心なものにしていくこと、このことであります。
 従って解除するかどうかについては、今週中にも決めるということで、総理も発言されておられますけれども、31日までですから、その前に決めなければいけませんので、対応をしていくことになりますけれども、当然ステージ4を脱却してステージ3になっていること、そしてステージ2を目指していくというのが、専門家の皆さんのご意見、また、基本的対処方針に書いてあることでありますので、それと照らし合わせながら判断をしていくことになりますが、特にこの変異株、英国型が1.3倍~1.5倍、感染研は1.32倍の感染力の強さ。さらにインド株はこれの1.5倍ぐらいあるのではないかという指摘もありますので、従来株の2倍以上の感染力のある、このインドで生じたB.1.617という新たな変異株への対応、こういったことも頭に置きながら、その後リバウンドは必ず起きるという前提で、そのリバウンドを大きなものにしない、その対処ができるかどうかということで、専門家の意見をお聞きして判断をしていくということになります。
 特にその際の判断は、病床がしっかりと確保できているかどうか、医療提供体制がしっかりと確保されているかどうか、この判断が極めて大事だと思います。先ほど申し上げたように、医療への負荷が二重三重に掛かってくる中で、しっかりと対応ができるかどうかということ。
 特に関西圏はまだ厳しい状況が続いています。今日も吉村知事と電話で話しました。状況の確認、共有をいたしました。また、広島県の知事ともメールでやり取りがありましたけれども、あるいは福岡県の知事、服部知事からも連絡を頂きました。それぞれ病床が厳しい、あるいは感染者のレベルがまだ高いということを含めて、延長についての要請などを受けたところであります。
 今申し上げたとおりでありますが、感染状況、病床の状況、人流などをしっかりと見ながら、その後のリバウンドに対処できるかどうか、病床が特に確保されているかどうか、このことを専門家の皆さんともしっかりと状況を共有しながら、ご意見を聞いた上で判断をしていきたいと考えております。



(問)コロナの関係でお聞きします。小池知事が記者団に対して、連休が明けて人流が増えているということに懸念を示されています。人流は先行指標で、人流が増えるとまた感染が増えてくるという傾向で、専門家もそのように指摘をされているわけですけれども、東京をはじめ大都市圏の人流と今後の見通しというのは、政府としてどうご覧になっているかお願いいたします。


(答)正にその点に最も注目し、ある意味、危惧をしている点でもあります。大阪からいくと、これは休日の昼間。ご案内のとおり連休中は休業要請、無観客のイベント開催などもお願いしまして、かなり減少しました。見ていただけるように、1月に比べてもこれだけ落ちていますので、ある意味半分ぐらいまで落ちています。ところが連休後、やはり少しずつ増えてきているという状況です。
 それから二つ目、東京。休日昼間の15時。これを見ていただいたらいいですけれども、同じように連休中、新宿駅も渋谷のセンター街も大幅に下落しました。そしてその後、実は渋谷センター街は1月もかなり落ちていましたけれども、その後これだけ人が増えています。このことについて極めて強い危機感を持っています。
 それから朝の乗客数。これも首都圏の主な駅、関西の主な駅の乗客数を取っていますが、何度も申し上げているとおり、昨年の4月・5月は7割減らすことができたわけです。ところが今回は首都圏3割、関西圏27%に留まっています。リモートワーク・テレワークをお願いしていますが、要請をしてやっていただいている企業が少し増えたと思います。そこは感謝をしたいですけれども、やはり昨年のようにここができていないわけで、平日の昼間の人出も一定程度あるわけです。
 東京でいいますと、こちらが夜の人出です。緑が昼間の人出です。申し上げたいのは、今回の変異株、英国型が主流にもなってきているわけですが、これを減らすためには昼間の人出も減らさないと、減らすことができなかったわけです。
 横ばい。ちょっとギザギザはありますけれども、連休中もあったので、少しこんな数字になっていますが、夜の人出はかなり減りました。しかしまん延防止等重点措置から始めてかなり減りましたが、それでは減らすことはできなくて、連休中のこの昼の人出を減らすことで、感染を減らすことができています。
 ご存じのとおり1月~3月は20時までの時短だけで、8割の感染者の数を減らすことができました。従来株です。ところが3月後半から4月・5月、これは英国型の1.3倍~1.5倍強いと言われる変異株によって、夜の人流を減らすだけでは感染は減らせない。そこで大型連休の機会を通じて、休業要請やイベント無観客の要請を行って、昼間の人流を大きく下げることによって、その成果、効果が今少し出てきているということだと思います。
 従って昼間の人流が増えてきていること、さらには夜の人流もじわじわ少し増えてきていますので、緊急事態宣言が長引くとそうなってきますけれども、自粛疲れということも含めて、あるいは感染者の数が少し減ってきたというのが報道されると、それによって少し人流が増えます。感染者が高いと少し自粛しようかという感じになると思いますが、様々そういう情報交換も含めて、今少しずつ昼も夜も増えてきていること。
 これを見ていただいたら分かりますとおり、じわじわ増えてきていますので、このことには極めて強い警戒感、危機感を持っています。是非とも今回の感染を減らしていくには、今、東京や大阪で少し減少傾向が見えてきたといっても、ステージ4のレベルですから、東京もまだ500、600のレベル。大阪もまだ300を超えているレベルですので。
 もちろん曜日によって、月曜日とかは少し減ったりしますけれども、全体としてはステージ4以上のレベル。しかも関西圏は医療が非常に厳しいレベル。まだ90%病床が埋まっているこの状況、ステージ4のレベルが続くと、さらに重症者が増える、そういうレベルですから、本当に多くの皆さま方に長い間のご迷惑を掛けますけれども、是非とも不要不急の外出自粛を引き続きお願いしたいと思いますし、平日の昼間はテレワーク、リモートワーク、オンラインでの会議、是非ともこのこともお願いしたいと思います。
 6割以上がどこで感染しているか分からないわけですから、決して油断することなく、マスクはぴちっと留めていただいて、不織布のマスクをできればしていただく。そして人と人との距離はこれまで以上に取る。
 数日前に、産経新聞の大阪支社の感染の例が細かく出ていましたけれども、パーティションをしていても、マスクをみんなしていても、あれだけ感染が。一番端の座席が集まっているところの方々で、特に多く感染が出ていたようでありますけれども、一番端で空気の滞留があったのかもしれませんが、あるいはコピー機をみんなで使っていたという指摘もありました。接触感染です。
 誰かが感染をしていてコピー機を使えば、同じく使った人がそのまま手とか顔とかを触ると、吸い込んでしまうわけでありますので、接触感染はあります。どこで感染するか分からない。オフィスでもちゃんとアクリル板をして、換気もして、マスクをしていても、感染が出ている例が出てきています。
 是非最大限に警戒していただいて、今回はさらにそれより強いインド株の変異株、B.1.617.1あるいはB.1.617.2などが来ますから、われわれは今日も10日まで停留を長引くということで、強い水際対策を打っていきます。
 そして守らない人、見回りとか位置情報とか、ビデオで会話できない人は、ある意味証拠をしっかり固めて、氏名の公表とか国外退去、これは是非やるべきだと思います。強い措置で水際対策もやっていきますが、しかし感染防止策、お1人お1人に、是非とも注意をしていただきたいと、このように思います。
 いずれにしても人流の分析、あるいはどういった状況でクラスターが起きているのか、こういった分析も含めながら、対策をどのようにしていくべきか、これも併せて検討を急ぎたいと考えております。



(問)私は還暦を過ぎていますが、これは本当の話なので。都心にお住まいの80歳代の方、自宅のそばのかかりつけ医に行って、ワクチンのお願いをしたいと。そしたら打てる日が8月5日と8月20日だと言われたそうです。やはり80歳代の方が訪ねてきたら、行列の前に出て是非7月中に打てるように、あるいは6月中に打てるように是非、西村大臣から総理にお願い申し上げて。
 やっぱり80代の人とかは遅いわけですから、打つ気になって訪ねてきたら、そういうのがないと。私はやっぱり65歳の人に打つのと80歳に打つのは全然違うと思いますけれども、その辺りのことも、もっとワクチン接種をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。

(答)まずお1人お1人、健康状態も違いますので、一概に申し上げられないところはありますけれども、自治体によっては75歳以上の方を優先している自治体もありますし、様々工夫をされながら、高齢者65歳以上で希望する方が2回、7月中に接種できるようにということで、取組みを加速しているものと。それを国として全力で応援していくということだと思います。
 今から予約ができるのは8月ということで、ご指摘があったようでありますけれども、国がやる大規模接種、東京の会場、大阪の会場、それからそれぞれの自治体が会場を設定してやろうと。さらに30ぐらいそうした自治体が考えている、という報告もありましたけれども、今日、福岡県知事と話しても、さらにこれの場所を増やしたいというお話しもございました。それぞれの自治体が加速をすべく、それぞれ工夫をされていると思います。
 そうした中で、それなりの集団接種を受けられる会場を設定するのも一つですし、かかりつけ医の皆さん方にもう一段お願いをするということで、今日、1回当たりの接種に対しての補助の上乗せをすることにしたわけでありますし。
 毎日毎日そんなに打てないというかかりつけ医、診療所の方にはまとめて何回か打っていただく、土曜日にやろうか、日曜日にやろうかという場合に支援を行うということも含めて、今日発表させていただいておりますので、そういった支援。
 それから昨日、一昨日か申し上げたように、尾身先生が例えば全国で3,000人の医師、接種に参加してくれる方を集められています。この方々と、医師が足りないと言われている自治体とのマッチングを今急いでいますので、そういったことを含めて、とにかく7月末までに希望する高齢者が2回打てるように、全力を挙げて対応していきたいと考えております。
 1日も早く、1日100万回打てるような体制をつくる。このことに私の立場でも河野大臣、田村大臣をサポートしてやっているところでありますし、引き続き、希望する方が7月末までには打てるように、全力を挙げていきたいと考えております。






3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 令和3年第7回目の経済財政諮問会議について、概要を御報告します。
 今回は先ほど西村大臣から御紹介がありましたように二つの議題でした。
 まず、経済・財政一体改革の地方行財政と社会資本整備について、民間議員から資料1の説明があり、各議員より発言がありました。主な御意見を御紹介します。
 武田総務大臣です。資料2の1ページ、まず地方行財政の全体的な認識について、現在、地方団体は感染症への対応としてその拡大防止に懸命に取り組むとともに、地域の経済・雇用対策を実施している。特にワクチン接種に関しては7月末までに希望する高齢者への2回の接種を終えることができるよう全力を挙げて取り組んでいただいている。また、感染症の下で明らかになった課題を解決し「活力ある地域社会」を実現していくため、デジタル変革の加速、グリーン社会の実現、地方への人の流れの創出、安全安心な暮らしを守るといった取組を進めることが大事。併せて、こうした地方団体の取組を支えるために地方行財政基盤を確保することが重要とのお話がありました。
 2ページ、「活力ある地域社会の実現」に向けてはデジタル変革、グリーン社会への実現に向けて、マイナンバーカードの利便性向上、交付体制の強化、デジタル活用支援や5G基盤の整備、Beyond 5Gの研究開発の推進などの取組を地方への人の取組を進めるとともに、地方への人の流れの創出として地域おこし協力隊などの取組を進めていく。また、安全・安心な暮らしを守るために処遇改善等による消防団員の確保など、消防・防災力の充実強化の取組を推進するといった御説明がありました。
 3ページ、極めて厳しい財政状況の中、地方行財政基盤の確保に向けては、地方団体は感染症対策や活力ある地域社会の実現に向けた様々な行政課題に懸命に取り組んでおり、予見可能性をもった財政運営の確保が極めて重要。今後、社会保障関係費の増加が見込まれる中、地方団体は行政サービスを安定的に提供していくためには一般財源総額を適切に確保することが引続き重要であるといった御説明がありました。
 このほか、4ページから9ページ、個々の課題について、先週地方財政審議会が取りまとめた地方財政改革の意見を踏まえて経済・財政一体改革に取り組んでいく旨、また、ワクチン、消防・防災力について言及しているとの御紹介がありました。
 赤羽国交大臣からは資料3に関する御説明です。
 1ページ、国土交通省として国民の命と暮らしを守り、「新たな日常」を築くための社会資本の整備を推進していく。
 2ページ、全国の首長や与党からの強い要請を受けて、昨年末に閣議決定された「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により取組を更に加速化・深化させる53の対策を進めていく。省庁ごとの縦割りを排除し、ハード・ソフト一体となった流域治水などの総力戦で挑む防災・減災対策を進める。予防保全へ本格的に転換し、新技術を活用したインフラの維持管理を図ることでメンテナンスコストの縮減を図る、という御説明がありました。
 3ページ、グリーン社会の実現に向けて幅広い分野を所管する国土交通省が果たす役割は大きく、インフラを活用した太陽光発電やカーボンニュートラルポートの推進など、現場を持つ強みや技術力を活かしてしっかりと取り組む。
 インフラ分野のDXについては大地震の際の復旧工事などで無人化施工が活躍しているが、こうした取組を更に加速させるとともに3D都市モデルにより災害リスク情報を可視化するなど、国土交通分野のデジタル革命を進める。
 コロナにより経済が落ち込んでいる一方で、働き方や住まい方、価値観に大きな変化が起きており、この機会を捉えて、国土交通省では空き家を活用した二地域居住の推進や持続可能な経済成長を実現するためのインフラ整備、バリアフリーの取組の強化を進める。そのためには、安定的な公共投資が重要であり、国交省としては、自然災害のみならず、コロナやグリーンなどの諸課題に対応するとともに、経済を軌道に戻すため、全力で取り組むといった御説明がありました。
 梶山大臣からは民間議員ペーパーに言及されながら、脱炭素化に向けて再エネを加速、フル活用するために送配電網を強化していくことは重要と考えており、整備の加速化に向けてしっかりと検討していきたいとの御発言がありました。  民間議員です。資料1-1、地方行財政について、コロナ対策にかなりお金を使っているが、本当に意義ある使い方をしたのか検証することが重要。
 二地域居住について、緊急事態宣言前に富山に行かれたというエピソードですが、東京から移住したシェフから話を聞いたところ、地方には素晴らしい食材やレストランなどがあり、民間を含めて東京から地方に行きたいという機運が増している。教育、医療、介護などの基本的な行政サービスを提供できるように、そしてスマートシティの推進、デジタルの活用などにより東京一極集中の打破をしていただきたいといったお話がありました。
 別の民間議員です。コロナで広域連携の必要性が明らかになった。コロナは人流で感染が起こるけれども、行政の区分と人の流れは必ずしも一致しない。例えば川崎に住んでいる方が東京で仕事をしている場合もある。
 幼稚園などでも同様の課題があり、コロナで生じた問題点、課題を踏まえて広域化を進める必要がある。医療機関の連携も重要だが、大病院は連携できるものの、病床数が少ない病院は連携できず、ICUの設置やコロナ対応もできない。大規模化や連携が今後重要になるのではないか。
 また、グリーン化への対応も重要。その中で日本の電力コストの高さが課題であり、太陽光を電力に変換する際に低コストのパネルを並べる必要があるが、立地に問題がある。持ち主が不明な土地や山奥の活用できない土地など、国土の徹底した活用が必要になるのではないかという提言がありました。
 以上が最初の議題、地方行財政と社会資本整備に関する議論です。
 次に、骨太方針(骨子案)について、事務方の私から資料4の紹介をさせていただき、各議員から御発言がありました。
 まず西村大臣から、資料5について、対日直接投資の目標が達成されました。昨年の骨太方針で新目標を作るということになっているが、デジタル、グリーンの新市場の創造とイノベーションエコシステムの構築、グローバルな環境変化に対応したビジネス環境の整備、地域の強みを生かした官民連携による投資環境の整備といったことを柱にしてその具体化を図っている。新目標については、2030年に現行水準を倍増して80兆円とする方向で検討を進めていきたいといった御説明がありました。
 それを受けて閣僚からの御発言ですが、まず梶山大臣です。経済産業省としては、今後決定される対日投資に関する新目標達成に向け、経済安全保障上の観点にも留意しながらデジタル、グリーンといった分野を中心として国内サプライチェーンの強靱化を図るため、先端半導体や洋上風力関連機器の生産拠点立地に係る投資の呼び込みに注力する。
 また、国内外のスタートアップや企業の協業、創業の促進を通じて国際的なイノベーションエコシステムの構築を関係省庁とともに進めていくという御説明がありました。
 資料6について、財政制度等審議会から財政健全化に向けての建議をいただいたとのことで、麻生財務大臣からその概要について御説明がありました。
 資料1ページにあるとおり、高齢化という構造的課題に直面する中で、新型コロナが発生し、将来世代の負担が更に増加していること、新型コロナ対応は引き続き万全を期すことは当然だが、その際、民需の回復、予算の繰越分の執行の効果なども踏まえる必要があること、平成28年以降、公共事業の繰越額が年々増加しているといったことについて、御紹介がありました。
 また、社会保障等の将来不安、短期国債の大幅な増加などを踏まえ、着実に歳出・歳入両面の改革を進める必要があり、少なくとも令和4年度から3年間、歳出の目安を継続し、歳出改革を引き続き実施すべきであるなど、非常に大事な提言をいただいているとのお話がありました。
 加えて、資料6ページ、地球温暖化対策として更なる対策・施策が必要になる場合には、財源確保の努力をしながら対策を強化している諸外国の取組などを参考にして、ペイアズユーゴー原則を守り、将来世代に負担を先送りしないよう、必要な財源を確保しながら取組を進めるべきとの考え方が示されている。
 建議で示されたこれらの考え方を踏まえ、プライマリーバランスの黒字化目標の達成と、国と地方が歩調を合わせて経済再生と財政健全化を進めていく必要がある。今後の財政健全化に向けて、この建議で示された考え方を骨太方針にしっかりと反映していただきたいといった御説明がありました。
 民間議員からです。コロナの裏側で明るい動きも出始めている。10代や20代がプログラミングで世界において活躍したり、自然豊かな地方で楽しみながらやる気を持って活躍していたりする事例がある。明るく活躍する人材を育て、大きな明るい動きを伸ばす骨太方針にしていくべき。そのためには意思決定の仕組みを変えることが重要。PPP/PFIのように民間の活力を活かして、補助金頼みではなく、若手を使って民間に活躍してもらうことが必要。また、そのキャリアアップや困窮・孤立への支援というのが大事になる。
 あわせて、グローバルな展開も重要で国際会議は減っているが、オンラインの国際会議は相当増えており、世界的な連携ができている。こうした点も骨太方針に盛り込めればいいと思う、といった御説明がありました。
 別の民間議員です。骨太方針の骨子案について、コロナを契機にパラダイムシフトが起こっており、日本の繁栄と国民の生活や安定につながる骨太方針にするべき。また、コロナの弊害も今回明らかになっており、世界最先端のIT国家を目指すと言ってきたのに、デジタル分野で必要な改革が進んでいない。また、格差の拡大による生活困窮に苦しむ子供が増えている。
 こうした複雑な課題を解決する処方箋となる、あるべき方策を示し、国民にとって羅針盤となる骨太方針を目指すべきで、国民への強いメッセージを示し、共感につながるものとしていきたい。特に格差の是正にプライオリティーを置くべきであり、正規・非正規の違いで格差が生じないように、シングルマザー・シングルファーザー等も含めて、誰一人取り残されないよう、幸福度を上げられるよう、どのような子供でも小・中・高の高いレベルの教育を受けられるようにするべき。
 また、どこに住んでいても、きちんとした行政サービスが受けられるよう、若い人の知恵とオンライン教育、オンライン診療サービス等の普及拡大を進めるべき。共助、NPOの取組も大事であり、公助とともに一体化したインクルージョンを実現し、誰一人取り残さないということを骨太方針の柱にしていくべき。経済も大事で、民間資金の活用は必要。眠れる獅子が起きてこないといけない。対日投資残高の2030年80兆円を目指し、外需を活かしながら戦略的な産業創出、レジリエントな社会の構築、成長産業における人材育成などをしっかりと進めるべき。コロナワクチンの共同購入等に関してもしっかり予算措置をして早急に実行していくべきだというお話がありました。
 別の民間議員です。
 コロナの下で自粛が続くと、企業の存続や雇用の維持が困難になる。雇用調整助成金やキャリアアップ助成金の予算の拡充が必要ではないか。コロナのワクチン接種は、政府で計画すればできるので是非成し遂げてほしい。また、グリーンについては、アメリカは国内のシェールオイルで自給自足ができる状態だが、太陽光は中国が強く、中国依存にするのかといった議論が出始めており、日本の開発も、欧米と協力して進めることを考えるべき。地政学的な関心が高まっている中にあって、関心が日本に高まっているのは日本にとって追い風であり、投資にもつながる。半導体も台湾依存で良いのかという議論もあり、アメリカと協力できる分野なのではないか。デジタルもグローバルなマイナンバーカードのような動きがあり、日本もグローバルな展開を重視していくことが大事だといった議論がありました。
 最後に総理から御発言がありましたが、御発言はお聞きになったとおりです。






(以上)