第5回記者会見要旨:令和3年 会議結果

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和3年4月26日(月)19:44~20:29
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

 経済財政諮問会議の概要についてお話し申し上げます。
 本日は「少子化対策・子育て支援」と、経済・財政一体改革、特に社会保障改革と、総論について議論を行いました。
 「少子化対策・子育て支援」につきましては、次のような議論がありました。いくつかご紹介申し上げます。
 若年層の雇用・所得環境を改善するとともに、男性の育休取得・家事参加など、経済界含め日本社会全体で意識・慣行を改革していくべき。また、これまで講じてきた少子化対策の効果を徹底的に分析し、具体的な成果につながる政策をパッケージで策定すべきということ。また、子ども・子育て世帯への重点的な支援に向け、応能負担を中心に財源を確保していくべき。こういった議論がございました。
 それから、経済・財政一体改革につきまして、主に次のような意見がございました。まず、経済あっての財政という考え方で、成長志向の政策とともに、財政健全化の旗を降ろさず、改革努力を続けるべき。それから、医療提供体制の確保に向け、緊急時には民間病院も含めた医療資源を動員できる仕組みや都道府県を越えて患者を調整する仕組みを構築すべき。オンライン診療によって医療へのアクセスを確保するとともに、レセプト等のデータを活用し、リアルタイムで現状や課題を把握できる体制を強化すべき。それから、これまで高齢者への支援が中心となってきた社会保障制度について、現役世代の負担軽減や支援強化に軸足を置いた改革を進めるべき。こういったご意見を頂きました。
 総理からの締めくくりの発言につきましてはお聞きいただいたとおりですが、今日頂いたご意見なども踏まえて、今後、骨太の方針に向けて議論を深めていきたいと考えております。
 それからコロナの関係で申し上げます。まず、経済3団体とのテレビ会議、これはフルオープンでやりましたのでもうご案内のとおりであります。昨年春と同様に徹底した対策強化、特に不要不急の外出自粛、ステイホームをお願いしますので、経済界においてはテレワーク、そして大型連休中の休暇取得の促進、こういったことによって出勤者数の7割削減、これに是非徹底して取り組んでほしいということを強くお願いさせていただきました。3団体とも理解をされておられると思います。まだ今日の段階では、朝、報道を見ますと通勤電車はかなり混んでいたという報道がありますので、徹底して取り組んでいただきたいと思います。
 それから、昨日ご質問がありましたけれども、政府全体としてどう取り組むのかということでお答え申し上げた次第ですけれども、改めて私の部局を確認しました。コロナ室を除く経済の部局、TPPや社会保障改革など関連の部局です。先週は53%のテレワークを実施しております。コロナ室は毎週10人程度の実施でありますので、いずれもそれぞれ今日のような経済財政諮問会議に備えたり資料の準備などがありますし、コロナ対策はこの土日も含めてそれぞれの県とやり取りをしておりますので、なかなか全てテレワークというわけにはいかないんですけれども、いずれにしても、こうした課題に取り組むと同時に、作業の効率化、テレワークをさらに進めていきたいと考えております。
 他の省庁においても取り組んでいただけるよう、私からもお願いしていきたいと考えております。特に大型連休中、率先して政府として取り組んでいくことをお願いしたいと思います。
 また、全国知事会とテレビ会議を行いました。やり取りは聞いていただいたとおりでありますが、特に緊急事態宣言の対象となっている都府県、まん延防止等重点措置の適用となっている県、こういった都府県以外でも感染が拡大している道県においても、是非こういった地域で取り組まれている内容と同等の、または参考にした取組みを是非進めていただきたいと。もちろん24条9項に基づく要請になりますので、命令、罰則まではできませんけれども、これまでもいくつかの県で実施をされてきた、茨城県や、あるいは長崎県、熊本県、宮崎県は独自の緊急事態宣言を出されて、それによって知事が強い発信、そして強いリーダーシップの下、20時までの時短とか、あるいは感染が広がっている繁華街などで広く呼び掛けて重点検査を行って、それによって感染拡大を抑えてきた、そうした取組みもいくつもありますので、この大型連休を機に都道府県をまたがる移動の自粛なども含めて、慎重な対応なども含めて、是非それぞれの知事のリーダーシップで感染拡大を抑えていく、そうした強い取組みをお願いしたいということで申し上げました。大型連休という機会で集中的に取り組む、感染拡大を抑える、この機会を捉えて是非進めていただきたいと思います。
 私からは以上です。





2.質疑応答

(問) 財政健全化の件でお尋ねします。今年は中間評価の年でもありますが、コロナで非常に財政は厳しい状況にあると思います。財政健全化については、会議の中でどんな議論があって、大臣自体はどのようなお考えなのかをお尋ねしたい。それと、PBの25年度の黒字化については何か議論があったのか、その辺をお尋ねしたいと思います。


(答) まず、これまでも申し上げていますが、今はコロナへの対応、コロナによって影響を受けている事業者の皆さん、特にまた今、緊急事態宣言になりましたので、多くの事業者の皆さんに時短なり休業なりの要請をしております。無観客でもお願いをしております。こうした影響を受ける様々な事業者に対する支援、そして雇用を守っていくこと、雇用調整助成金を中心に雇用を守っていくこと。また、それぞれに生活をしっかりと支えていくこと。今は財政のことを気に掛けることなく、まずはこうしたことに必要な対策をしっかりと講じていくこと、このことが何より大事だと考えております。あらゆる施策を総動員して、事業、雇用、生活を守り抜いていくこと、これが大事だと考えています。
 その上で、経済が回復していくこと。これも様々な施策を総動員して経済を回復基調に乗せていくこと。このことが何より財政健全化にもつながるということですので、経済あっての財政、あるいは経済再生なくして財政健全化なしと、正にそうした考えの下で取組を進めていきたいと考えております。
 その上で、今日も何人かの方からこれに関する議論がありましたが、一例を紹介すると、ノーベル賞を取られたポール・クルーグマン教授が、コロナとの戦争が今続いている、勝つまで安易に財政のことを考えるべきではない、そういった趣旨の発言をされていることのご紹介もありました。それから他方、やはり中長期的にはそうした財政健全化の旗を下ろすべきではないというようなご指摘も、先ほど少しご紹介したとおりですが、あります。
 その上で、現在、経済財政諮問会議の専門調査会である一体改革推進委員会の下で、各分野のワーキンググループで改革の進捗状況をフォローアップしているところです。国、地方、経済社会の活力、あるいは社会保障、そしてEBPM、データに基づいてこれまでの政策の効果をしっかり分析、検証する、そしてそのデータに基づいて政策を立案する、こういった取組を進めているところです。
 本日の経済財政諮問会議では、こういった一体改革の総論および社会保障改革についても議論いただきましたが、内閣府からも2021年度のPB赤字の要因などについてもご説明申し上げました。今後もこの一体改革についての議論を深めていただくことになるものと考えております。
 骨太方針2020に基づいて、2025年度のPB黒字化目標、これを目指して、これを実現すべく財政経済の運営を進めているところですが、今後の財政健全化の道筋につきましては、コロナの感染状況あるいは経済状況等を踏まえて、引き続き骨太方針を目指して、経済財政諮問会議の方でしっかりと議論をしていきたいと考えております。
 議論につきまして、詳細はまた事務方から、いくつか関連する議論がありましたので、あとで紹介させていただければと思います。



(問) 緊急事態宣言下の休業要請について、その考え方についてお尋ねします。都内の寄席は、われわれの活動は社会生活の維持に必要だということで、営業を続ける考えを示しています。このロジックについてどう答えるべきか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいのが1つ。小売店の生活必需品という考え方についても、新刊の本屋はいいのに古本屋は駄目だということで、非常に分かりにくい、何を基準にしているのかということが分からないというのが、小売店側からも消費者側からも出ています。何を基準に生活必需品だと判断しているのか、このことの判断基準について改めてお聞かせいただきたい。その2点についてお願いします。


(答) まず、寄席。落語などを行う場所、演芸場だと思いますが、エンターテインメント、あるいは文化、芸術、これは私たちの生活に潤いをもたらしてくれるものですし、私たちの生活、あるいは心を豊かにしてくれるものだと考えています。この文化、芸術、エンターテインメントの皆さんには、昨年から大変厳しい状況にある中で、様々お願いをし、本当に是非継続できるように、私たちにとって必要な産業であるということは間違いありませんので、私どももJ-LODliveという経済産業省からの支援を含めて、最大2,500万円のキャンセル料などの支援を行ってきているところです。また、個人事業主の方も多いですから、昨年の持続化給付金に続いて一時支援金などの支援を行ってきておりますので、様々な支援も活用していただければと考えているところです。
 その上で、かなり人が集まったと聞いておりますので、今回は変異株という非常に感染力の強い、また比較的若い方でも重症化するという報告がある変異株です。これまで映画館やコンサートや寄席、演芸場で何か大きなクラスターが出たという報告は受けておりません。私たちもスーパーコンピュータ富岳を使って検証して、ガイドラインの深化をさせてきた、そして、感染防止策を徹底していただければ、感染が広がるリスクは非常に低いということで対応してきたものの、この変異株は非常に感染力があるということ、重症化するリスクも高いという報告もある中で、大阪の例を見ていただいたら分かりますように急速に感染が広がって、そして今、高いレベルの感染状況、そして病床も非常に厳しい状況になっている。東京も変異株の状況は約3割と、恐らく日々上がっていると思いますが、これが5月には全て置き換わっていく。その中で急速に感染が広がる懸念、また病床圧迫、逼迫への懸念、こういったことが専門家からもいわれています。これまで感染防止策を徹底していただいた、ガイドラインを守ってきていただいた、そうした業種、業態の皆さんにも今回休業をお願いしなければいけない、そういう事態であるということ。この変異株の脅威、今の感染レベルの高さ、今後の感染拡大の恐れ、病床確保の必要性。こういったことから、もう少し昨日も説明しましたが、感染経路が分からないというのが6割を超えてきていますので、どこで感染しているか分からない。これまでなら感染しなかった所でも感染している可能性がある。そしてクラスターも多様化してきている。
 そうした中で今回、感染防止策を徹底していただいている行動、活動であっても、自粛をお願いする、休業をお願いするということですので、是非そういったところはご理解いただいて、支援策を活用していただく中で休業要請へ応じていただければと考えています。
 その上で、先ほどの生活必需品のご質問にもつながりますが、当然、食料品とか私たちが生きていく上で必要なもの、これについてはどうしても開けていただくということ。さらには、家電の量販店なども、例えば冷蔵庫や洗濯機が壊れた場合に生活できない、電気が壊れた、こういった場合も生活できないという可能性がありますので、当然、修理の部門など最低限の所は開けていただくことはあり得ると思いますが、今回、今、申し上げたような背景から考えれば、これまで以上に、つまり昨年の時以上に、幅広くお願いをしている休業要請、是非ともそうしたことに要請に応じていただければと。
 去年は用意をしていなかった協力金、それから、これは大型店舗、あるいはその中に入っておられるテナントの方々、さらには雇用調整助成金もその後拡充をして、大企業であっても1日1万5,000円、月額でいうと33万円まで、パート、アルバイトの方も含めて100%国が支援をするという仕組みをつくっておりますので。17日間ですけれども、これは1,000人単位でいえば1日1,500万円の支援を国が行いますので、17日間やれば億円の単位の支援となってきます。是非こういったこともご理解、ご活用いただいて、幅広い業種の皆さん方に要請に応じていただきたいと。
 日曜日、昨日の状況を見ればまだ多くの店が開いていましたし、人流が思ったほどまだ減っておりません。もちろん初日ですので準備などがあったかと思いますので、今日からさらに、時短も含めて是非ご協力をお願いしたいと思います。
 その上で、最終的にはこれは都道府県知事の判断で要請が行われますので、それぞれの知事が事業者と様々協議をされ、相談をされ、また地域の事情に応じて対応されますので、若干都府県で差がありますけれども、これはそれぞれの知事に説明責任も含めてお願いしたいと思いますが、基本はこうした幅広い業種に休業をお願いして、そして人流を減らす。そして人と人との接触を減らし、この大型連休の時期に感染拡大を抑えていく。
 この危機感はそれぞれの知事と共有しておりますので、その上でそれぞれの知事のご判断で個別の対応をお願いしていくことになります。いずれにしても様々な事例があると思いますので、引き続き都府県と連携しながら対応を進めていきたいと考えておりますが、基本は是非ご理解いただいて、幅広い業種に今回はお願いをして、特にガイドラインを守っておられていても、これまでクラスターが出ていないではないかというご指摘も頂いておりますが、そうした感染防止策を徹底されている業種においても、今回はこの変異株の驚異、感染が急激に広がるということの中で。是非ともご協力をお願いしたいと考えております。



(問) 財政の話に戻って恐縮ですが、総論の部分の関係で、総理が会議の終了前のごあいさつで、財政健全化の旗は下ろさないという強い決意を示されました。改めて25年度のPB黒字化の扱いについて、この夏に策定する骨太方針に盛り込むお考えなのでしょうか。
 もう1つ、現在の新経済・財政再生計画では19年度から21年度を基盤強化期間と位置付けて、例えば社会保障費の伸びを高齢化に伴う自然増に抑えるとか、そういった具体的な歳出改革の取組を示していますが、この期間が終わって22年度以降は、どういった期間に位置付けて、どういった歳出の取組を行っていくのか。そういった具体的な取組について、この夏に取りまとめる骨太で盛り込むお考えなのかどうか、その辺を伺えないでしょうか。


(答) 繰り返しになる部分もありますが、まず、今はコロナへの対応ということで、必要な予算、必要な支出はしっかりと行っていく。これは事業、雇用、生活を守るために必要な予算はしっかり確保し支出を行っていく。特に厳しい状況にある事業者の皆さんや厳しい状況にあるそれぞれの世帯の皆さんに、一人親世帯、二人親世帯で厳しい家庭のお子さん方1人5万円の支出であるとか。あるいは雇用調整助成金ももう既に3.3兆円出してきておりますが、これは先般のミニ白書と呼ばれる「日本経済2020―2021」で失業率を抑えていくのに効果があったという分析もしているところです。しっかりと必要な政策を機動的に講じていくという姿勢で臨んでいきたいと考えております。
 その上で、やはりコロナの収束を見据えながら、中長期的な財政健全化の旗は下ろさないと。当然、経済を再生させていくことが財政健全化の近道でもあります。急がば回れという面もありますが、しかしこの旗は下ろさず進めていきたいということです。
 その上で、2025年、PB黒字化の目標についてどのように今後考えていくのか、このことについては経済財政諮問会議で更に議論を深めていきたい、夏の骨太方針に向けて深めていきたいと考えております。
 今日もご議論がありましたので後ほど事務方からも説明があるかもしれませんが、この社会保障の歳出の目安等をどう考えていくのか、内閣府からは説明をさせていただきましたしご議論もございました。今後の財政健全化の道筋について、特に来年から団塊の世代が75歳に入り始めるということで、社会保障費が増加していくことが見込まれております。そういったことも踏まえながら、引き続き経済財政諮問会議の場で議論を深めていければと考えております。






3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 令和3年第5回の経済財政諮問会議について概要を報告します。
 今回、先ほど西村大臣から御紹介がありましたように、二つの議題で議論しました。一つは、少子化対策・子育て支援について、民間議員から資料1、経済・財政一体改革の総論と社会保障について、内閣府から資料2、民間議員から資料3について説明があり、また、二つの議題についてまとめて各議員より発言がありました。
 主な御意見を紹介します。
 坂本大臣の御説明は資料4に関するものです。
 コロナ禍で婚姻件数や妊娠届出数に減少傾向が見られており、出生数にも影響が出始めるなど、少子化の進行は危機的な状況であり、座視すれば社会経済に多大な影響を及ぼす。平常時、非常時を問わず、安心して結婚・妊娠・出産・子育てができる環境整備が必要。政府では、少子化社会対策大綱などに基づいて、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に取り組んでいる。婚姻件数の減少は、将来的な出生数の減少につながる。出会いの機会の減少に加え、コロナ禍での将来不安が結婚に及ぼす影響も考慮し、新生活への経済的支援を含む結婚支援に取り組むとともに、若い世代の経済的基盤を確保する必要がある。不妊治療への支援を含む妊娠・出産への支援、待機児童解消のための「新子育て安心プラン」の実施や男性の育児休業の取得促進など、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、地域社会による子育て支援など着実に進展している。
 一方、子供の数などに応じた児童手当の在り方や多子世帯に配慮した配慮した高等教育の修学支援新制度などは引き続き検討課題となっている。
 3ページについて、我が国の家族関係社会支出の対GDP比は現物給付を中心に着実に増加してきた。国によって国民負担率などが異なることから、単純に比較することは適当ではないが、全体では、欧州諸国と比べて低水準。総合的な少子化対策を大胆に進めていくため安定財源の確保が必要であり、国民各層の理解を得ながら幅広く検討を進めていく必要があるとの御指摘がありました。
 続いて、田村大臣の御発言です。資料5に関するものです。
 まず資料の1枚目、社会保障については、まず、新型コロナにより浮き彫りになった課題への対応として、保健・医療提供体制の構築、医薬品イノベーションと安定供給などに取り組む。
 次に、社会保障制度の持続可能性の確保として、現役世代の負担上昇をできる限り抑えつつ、全世代型社会保障改革のさらなる推進を図る。
 三つ目に、子育て家庭への支援を中心に少子化対策に取り組む。
 資料2枚目の左側、医療分野では、コロナ禍で見えた治療薬・ワクチンの課題や研究開発力の維持向上が危ぶまれる国内医薬品産業の状況などを踏まえ、薬価制度による評価の充実化などによるイノベーション促進やサプライチェーンの強靱化などを盛り込んだ「医薬品産業振興ビジョン」を夏に取りまとめる予定である。
 資料2枚目の右側、2025年に向けて医療費の伸びが予想されているが、コロナ禍で医療費が減少しており、その動向を注視する必要がある。他方、最大1.3倍の医療費の地域差は課題である。医療費適正化計画のPDCA管理の強化など、都道府県のガバナンス強化に取り組む。
 資料3枚目、少子化対策として、子育て家庭支援を強化する。保育の受皿整備などに加え、全子育て家庭を念頭に、支援ニーズの把握とそれに対応する支援策の充実が必要と考えている。虐待を未然に防ぐ観点からも、母子保健と児童福祉の緊密な連携の必要性が高まっており、機動的対応のためのマネジメント体制再構築が必要である。
 これらを踏まえ、子供と子育て家庭への包括的支援体制構築のため、先進事例も参考に児童福祉法等の来年目途の改正について、検討を進めるという御発言でした。  麻生財務大臣です。
 まず、少子化に関して、少子化は日本にとって中長期的な国難と言うべき大きな問題である。少子化対策を推進する際には、将来の子供たちに負担を先送りすることのないよう、安定的な財源を確保した上で取組を進めるべき。
 社会保障の関連ですが、新型コロナ対策に関しては、新型コロナ患者を受け入れる医療機関が財政面で受け入れを躊躇することがないよう、民間議員資料の資料3-1にあるとおり、収入面で災害時の概算払いを参考に、感染拡大前の水準の診療報酬を支払う簡便で迅速な手法を検討し、費用面に対する交付金等の手当と組み合わせるべき。
 また、社会保障改革については、既に収載されている医薬品の保険給付範囲の見直しを行うとともに、医療費適正化計画の在り方の見直し、後期高齢者医療制度の更なる改革を通じた現役世代の負担軽減、法定外繰入の解消など国保改革の推進、地域医療構想の着実な推進、かかりつけ医の制度化推進などの取組をしっかり進めていくことが重要である。骨太方針にしっかりと反映していただきたいという御指摘がありました。
 続きまして、経済・財政一体改革については、コロナ対応に必要な巨額の国債を発行している中、財政健全化の旗は降ろさず、着実に歳出歳入両面の改革を実行していくことが重要である。
 特に、来年度から団塊の世代が後期高齢者になり始めることも踏まえれば、今後も歳出改革の目安などの取組を継続していかねばならないと思うといった御指摘がありました。
 民間議員の御指摘です。
 まず、財政について、先ほど大臣からも御紹介がありましたとおり、クルーグマンが言っているとおり、コロナとの戦争は続いており、安易に財政計画を立てられないけれども、社保・非社保の分野で一定の歳出改革を求めるのは、限られた資源を有効に利用する観点で有効なのではないか。
 社会保障については、ワクチン接種は公平性より戦略性が重要。医療崩壊に近い大阪の医療従事者に優先的に接種を行うべき。日本の医療施設は中小零細が多く、ICU等に投資できず、新規参入も限られるなど、効率性に問題があり、地域での連携を進めるべき。
 少子化に関しては、非正規が所得に200万円から300万円の壁があるなど、結婚できない、子供を産めない状況になってしまっているのではないか。少子化対策に成功しても、労働力になるには30年掛かるのでその間、労働力不足を資本装備率の引上げで補う必要がある。特に医療・介護分野では中小零細が多く、投資に踏み切れないので思い切った規制改革が必要ではないかという御指摘がありました。
 別の民間議員です。社会保障について、大きく3点御指摘がありました。コロナでは、平時ではなく、危機的な対応が必要であり、スピード感を持って大胆な発想でルール作りをしないといけない。ルール、法律を整備しておかないと次の危機に間に合わない。ワクチン接種は、医大生に任せている国もあり、緊急時にリーズナブルな範囲で柔軟な対応が求められる。
 二つ目の御指摘ですが、実態把握をした上で、エビデンスに基づく実効性、有効性のある政策が必要。入国管理では、水際対策の制度で整備されたが、入国後の隔離は自己申告となっているのが実態である。もっと厳しい国もあり、入国管理の実効性はどう担保していくかが重要。医療提供体制も実効性が大事だという話でした。
 三つ目は、財政健全化に関わる話ですが、経済・財政一体改革、社会保障改革について、短期的にはしっかりした支援が必要だが、中長期的には財政の健全性のためのプランが必要。アクセルとブレーキの両方必要だが、時間軸が異なる。中長期的な財政健全化は国民全体、若者の安心感につながるため、複数のシナリオを用意して若者への支援のシフトなどを進めるとともに、財政健全化にコミットすることでひいては経済もうまく回るのではないかという御指摘がありました。
 別の民間議員です。コロナ後の国際競争は激化するので年功序列やエネルギーコスト高などで早急に対応する必要がある。労働の流動化を進め、中小企業を中心とした産業再編というのが不可欠。このままでは米国が個人給付をしても、その恩恵が中国製品の購買に向かってしまう。JETROや消費者の力を利用して、中小企業の生産性向上や輸出促進を図っていくべきではないかというお話がありました。
 財政については、外需を取り込み、経常収益黒字を維持していかなくてはならない。コロナを言い訳にせず、EBPMに基づいた財政健全化プランというのを立てていくべきだというお話でした。
 また、格差や所得再分配については、米国では法人税の最低税率を国際的に決めるべきとの議論が出てきている。キャピタルゲインや資産課税を含めて国際的な行動についてタブーなく議論してほしいという御指摘がありました。
 最後に総理から御発言がありましたが、お聞きになったとおりです。






(以上)