第3回記者会見要旨:令和3年 会議結果
西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和3年3月22日(月)19:33~20:28
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
令和3年第3回経済財政諮問会議の概要について御説明します。本日は「マクロ経済運営」、それから、「活力ある地方の実現、大学改革」について議論を行いました。「マクロ経済運営」につきましては、まず黒田総裁から先週の金曜日の日銀の政策決定会合での結果について御説明いただきました。その後、民間議員からマクロ経済政策全般についての提言があり、意見交換を行いました。
主な意見を御紹介します。まず、感染防止を徹底するとともに、今後は経済成長の促進にも重点を置いていくべき。それによって成長分野で新たな雇用や所得を生み、多様な人が活躍する。これは元々、私が国会で言った言葉ですが、「成長と雇用の好循環」を作り出すとともに、回復の脆弱性にも機動的に対処すべき。
これは何人かの方から議論がありましたが、2つの二重構造について指摘される議員もいらっしゃいました。デジタル化していく中で、デジタル・デバイドと言われる、デジタル化に対応できる方とそうでない方、また、正規・非正規の構造、この2つを解消していくことが必要だという議論。
それから「成長と雇用の好循環」は、成長していく分野に失業なき労働移動。つまり成長分野に新たな雇用を生み出し、そちらに移動していくための職業訓練やリカレント教育などが必要だ、という議論です。
また、それと関連しますが、デジタル化・グリーン化をテコに潜在的な需要を顕在化し、需要回復と経済構造転換の両方を進めるべき、産業の再編も進めるべきだ、という議論も何人かの議員からございました。
そうした中で、生活に困っておられる方々、あるいは弱い立場の方々へのきめ細かな支援を行っていくべき。また、賃上げのモメンタムを維持するため、生産性向上支援や下請取引の改善を進めるとともに、最低賃金を引き上げていくべき、という議論がございました。
2つ目のテーマ、「活力ある地方の実現、大学改革」については次のような議論がございました。重複する部分もあるのですが、東京から地方への人の流れ、また、地方移住、地方での生活への関心の高まり、また、世界的なデジタル化・グリーン化の流れ、こういった変化をゲームチェンジャーと捉え、地方活性化や東京一極集中是正を促進すべき。
また、大企業と地方企業の人材マッチングの支援、再生可能エネルギーによるエネルギーの地産地消、医療・介護分野の産業化、こういったことを進めることによって、地域の雇用・産業創出を促すべきという議論がございました。
大学改革については、10兆円規模の大学ファンドが創設されるこの機会を活かして、イノベーションを生むためのガバナンス改革、ガバナンスの強化、そしてリカレント教育など、社会のニーズに即したプログラム等の改革を進めるべき。そのためにも大学間で比較可能なKPIを示すなど、改革のインセンティブを強化すべき、という御議論がございました。
総理からの締めくくりの御発言は、お聞きいただいたとおりであります。詳細は後ほど事務方から説明をさせます。
春闘の労使交渉について、3月19日に連合が公表した第1回集計結果、賃上げ率が1.81%となりました。昨年の第1回集計結果が1.91%でしたので、それを下回りましたが、コロナの影響で業績が厳しい企業が賃上げに慎重であった、ということによるものと考えております。
他方、日本経済でよく「失われた20年」と言われる2000年代前半、あるいはリーマンショックからアベノミクス開始までの期間における、第1回の集計結果はほとんど1.7%台であります。今回は1.8%台を維持しておりますので、また、中小企業の賃上げ率は、大企業を含めた全体の賃上げ率を上回っております。
こういった今の時点での結果につきましては、大企業と中小企業の賃金格差の是正にもつながり、また、厳しい中でも賃上げに前向きな企業もあるということですので、評価したいと思っております。
他方、例年、第2回以降の数値はかなり変わりますので、引き続き注視したいと思います。また、賃上げの件だけではなくて、各企業におけるテレワーク制度の充実とか、新型コロナ感染症にかかって自宅待機する場合も、賃金が全額支払われる制度の創設など、コロナ禍における新たな働き方に取り組む動きも見られます。
いずれにしても、絶対にデフレに戻さない。民需主導の経済成長につなげる。正に「成長と雇用の好循環」、あるいは成長と分配の好循環、これを進めていく上で、本日の経済財政諮問会議でも賃上げのモメンタムを維持すべき、そして、中小企業も含めて広げていくべき、という議論があったところです。
引き続き生産性向上の支援、あるいは税制などの用意をしておりますので、賃上げのモメンタムを維持できる環境を、しっかりと整備・継続していければと思っております。引き続き労使の間で真摯な交渉が行われること、そして、非正規雇用で働く方々も含めた賃金上昇や働き方改革など、幅広く実現されていくことを期待したいと思います。
それから、コロナの関係ですが、イベント開催制限について既に報道も出ていますが、緊急事態宣言中は5,000人、50%ということでありましたが、4月18日までの間5,000人、そしてまたは50%以内で1万人のいずれか大きい方ということで対応することとしました。
大きな声を出さないクラシックコンサートなどは100%ということですし、ロックコンサート・スポーツイベントなど大声での声援・歓声などが想定されるイベントは50%ということですが、引き続きロックコンサートの場面でも、専門家の皆さんに入っていただいて、今はかなり静かな環境でコンサートも行われているようですので、そういった視察や実証なども行いながら、さらなるガイドラインの深化ができるかどうかなど、検討していきたいと思います。
この緊急事態宣言の間も映画館50%まで、スポーツ施設も50%または5,000人までということで、プロ野球やJリーグ、あるいは大相撲なども実施してきました。そこで感染が広がったという報告はありませんので、これまで私どもが分析をしてきた、スーパーコンピュータ「富岳」を使ってやってきたことなども活かされているわけですが、さらに今後、感染拡大防止をやりながら、こうした文化・スポーツ活動、イベント等の両立をいかにしていくか、引き続き検討を進めていきたいと考えております。
また、その一環で国と都道府県などで合意が得られたものについては、様々実証をやっていきたいと思っておりますので、2万人程度の実証実験など、多く入れても人の流れを上手く誘導しながら、密にならないような環境をつくれるか、CO2センサーなどで換気が悪くなって密になっていないか、センサーやカメラなどで今申し上げた誘導などが上手くできているか、こういったことの実証も進めたいと思っております。引き続き進化をさせていければと考えております。
それから、宮城県と山形県の状況について御説明します。宮城県では仙台市を中心に新規陽性者の数が急速に増加して、このところ100人前後が続いております。陽性率も高く10%台。強い警戒感を持って見ているところです。村井知事ともかなり頻繁に連絡を取り合っております。病床率はまだ20%台ですけれども、遅れて増加する傾向にありますので、医療体制の状況もしっかり見ていきたいと思っております。
政府として厚労省から既に3人、リエゾンの職員を送っております。県と市の会議にも出席し、調整役を果たしてくれております。また、保健師約20名の派遣も行っております。仙台市の特に青葉区が逼迫してきているということでありますので、厚労省の「IHEAT」を使って人材プールから派遣をする。あるいは近隣県からの派遣も含めて、約20名の派遣を行っております。
今日の国会でも質疑がありましたけれども、この急激に増えた宮城県の状況は、新規陽性者の数が27人ということで、ステージⅣまで今上がってきております。陽性率も12%ということで際立って高くなっております。
他方、病床はまだ20%台ということで、重症者はまだ非常に少なくて7%ということで、1桁でありますので、病床が逼迫している状況ではありませんが、保健所の逼迫、それから遅れて病床も埋まってきますので、この辺りはよく連携を取りながら対応したいと思っております。
それから、「Go To Eat」との関係も、今日国会でもありましたが、今、専門家に分析をしてもらっていますが、今回急増している一つが、国分町のキャバクラや、クラスター、それからカラオケスナックで、必ずしも「Go To Eat」の対象となっている店ではないということがありますので、引き続き分析も進めてもらっていますが、宮城県としては先週、県独自の緊急事態宣言を発出しました。
そして昨日、対策本部を開催されて、今月25日~4月11日、日曜日まで仙台市内全域において、酒類を提供する飲食店、接待を伴う飲食店に対して、21時までの営業時間短縮の要請を行うことが決定されております。
そして、国の支援で、1日4万円の協力金をお支払いするということに加えて、仙台市が独自に上乗せするということで、売上の減少額・減少割合に応じて、法人の場合、最大120万円の支援を行うということですので、月額換算ですと1日4万円の国からの支援になります。
実際は3月25日~4月11日ですので、もう少し金額は小さくなりますが、月額の換算で120万円にプラス、最大上乗せ120万がありますので、21時までの時短で月額換算240万円、これまでよりもかなり大きな金額の支援となります。
是非、関連事業者や、要請された事業者におかれましては、売上の減少額に応じてそれだけの支援もありますので、是非、時短に応じていただくことをお願いしたいと思いますし、繰り返し申し上げていますが、やはり飲食の場で感染が広がることを、私どもは警戒感を持って見ています。アクリル板とか換気とか、あるいは会話の時はマスクをすることを、それぞれの店でお客さんに対しても奨励いただければと思います。
また、この時短要請、あるいは緊急事態宣言の影響を受けた関連事業者の方々に対しても、仙台市から法人最大30万円、個人の方は15万円の支給をするということです。これは国の一時金、60万円・30万円、両方の支給が可能ということですので、最大90万円の支援になります。是非、厳しい状況にある方々もこうしたものを使っていただいて、協力いただければと思います。
それから山形県の吉村知事とも電話会談をしました。この数字のとおり、まだ10万人当たり8人ですが、直近は少し増えていて、10人を超えてきていると思いますが、先週今週比が8倍ということで、急激に増えてきています。陽性率はまだ1%ですが、やはり同じように山形市内で感染があるよう。
病床もまだ10%と、重症の方がゼロでありますので、病床はまだ大丈夫ですが、本日、電話会談で一つはやはり病床の確保、これに向けた取組。それから宿泊療養施設についても、急激に増えた場合に足りなくなりますので、あらかじめしっかり確保してほしいとお話しました。
それから、状況を見ながら、時短も検討されるということですので、私どもとしても財政的にしっかり支援していく、という話をしました。
それから、事務的にも伝えていますが、重点検査です。宮城は重点検査を国分町で行っていくということですが、これは過去も、去年もやられています。山形県においても、山形市内の繁華街での重点的な検査、やはりキャバクラなどで発生しているということで、クラスターが出ていますので、そういったことの検討もお願いしています。
いずれにしても、こうした感染拡大が見られる場合、やはり有効なのは時短と重点検査。これは過去の、去年の春以降、ずっと分析を進めて分かっていますので、こうしたことを国としてもしっかり支援していきたいと思います。山形県の場合は今のところ人材的に、ということはありませんが、仙台で行っているような保健所への支援、あるいはいざ看護師さんが不足した時の看護師の支援・派遣、こういったことを含めて、国としてしっかりと応援していきたいと思いますし、何とか感染が拡大しないように抑え込んでいければと思います。
仙台と山形は1時間で、行き来が活発なので、両知事から行き来はしばらく控えるように、という発言があると承知をしていますが、是非それぞれの地域の皆さんにおかれては、最大限の注意を払っていただいて、感染拡大防止に御協力いただければと思います。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問) 緊急事態宣言が昨日解除され、今日が初日ということなので、リバウンド対策について改めて伺いたいと思います。先週の総理との会見でも、尾身会長からサーキットブレーカーの話が出ていました。
これから感染が増えていく中で、これまでの反省を活かして、サーキットブレーカーを発動させてリバウンドを防いでいくという話がありましたが、具体的な制度設計はいつ頃までにやるようなスケジュール感でしょうか。サーキットブレーカーで、ある一定の数字を超えたら、総合的な判断ではなくて、自動的に何らかの制限を発動するというお考えでしょうか。教えてください。
(答) 専門家の皆さんの中で今、御議論をされているようですし、今日、私も尾身先生、押谷先生とも少し議論しました。特に押谷先生は宮城・山形の様子も含めて、東北大学のチームもかなり支援に入られていますので、そういった意見交換をさせていただきました。
あまり今日は長い時間できませんでしたが、今後も必ず流行は起こります。今もやや増加というか、微増傾向にあるということは、専門家の皆さんの評価でもありますので、今後も起こるわけです。なかなかゼロにすることはできないわけですので、海外でも何度も流行が起きているわけです。これを大きな流行にしないことが大事。
これは常々申し上げていることですが、その大きな流行になるかどうかの端緒を、しっかり我々はつかまなければいけないわけです。小さな流行であれば、その範囲でクラスター対策をやっていけば、特に地方の場合は感染が増えても抑え込んでいける。
今回も、仙台は地方のブロックの中心拠点ですから、かなり大きな都市だと思いますが、山形の場合は、私の地元の淡路島でもあったように、田舎で一気に70人、80人と出ますが、ちゃんと濃厚接触者を追いかけていってPCR検査をやっていけば、そこで封じ込めはできますので、山形県においてもしっかりと病床確保や、宿泊施設を確保しながら追いかけていくということで、取り組んでいければと思っています。
山形は、確認していますが、かなりの程度クラスターが出ています。宮城はちょっと経路不明が増えていますので、そういう意味でここは一部、青葉区の保健所などが厳しいところもありますので。
ということで、そういうことで抑え込んでいけるわけですが、しかし、仙台の場合、あるいは大都市部の場合に増えてきたときに、これは専門家の皆さんの御意見でありますが、私も、総理の発言も多分あったと思いますが、やはり12月の段階で、8時までの時短ができなかったのかということは、専門家の皆さんも非常に思いが強いものがあります。
私自身も11月の末から「Go To」の一時停止をし、時短を始めるという中で、当初は10時までの時短でスタートしたわけですが、状況がどんどん悪化していったわけです。そうした中で8時までの時短ができないのか、ということの働きかけもかなり頻繁に行ったわけですが、22時までの時短でも応じてくれていないのに、8時までの時短は応じてくれないという、それぞれの知事のお考えもありました。
そういった中で専門家の皆さんの中には、一定水準になれば、指標は幾つか見ていくと思いますが、一定の指標を見ることによって、サーキットブレーカーというのは自動的に落ちるわけですから、ある意味、半分自動的にそういった対策を発動できるような仕組みが考えられないのかということで、専門家の皆さんの間で議論が行われています。
例えば、大阪も私どもの6つの指標に加えて、若い人の感染が急激に増えてきたとき、これも1つの指標にしようではないかという議論があります。専門家の間でもあります。確かに今、仙台も山形もどちらかというと若い人が多いわけです。
これまでの経験で、若い人がまず増えて、そこから職場や家庭を通じて高齢者に行く。そしていずれは高齢者施設や医療機関に行くという、こういう流れがあるわけです。これはこれまでの経験則で分かっていますので、まず若い人で感染が拡大したときに何をやるべきか。そして次に、高齢者に行きかけたときに何をやるべきか、という議論がなされていると思います。
もう少し専門家の間で御議論があると思いますが、私どもとしては無症状の若い方に、モニタリング検査でできるだけ、協力していただいて、事業所や大学などにも協力を求めて対応できればと思いますし、高齢者施設は、既に緊急事態宣言を発出した首都圏や関西圏などでは、全ての施設をやるということ。
それ以外の都道府県でも様々に取り組まれていますので、高齢者施設にも検査を拡充することによって、様々なことが見えてくる部分もあると思いますし、重症化を防ぐという大きな目的もあります。こういったことの様々な議論が今、専門家の間でなされていると思いますので、少しその議論も待ちながら、また、私自身も尾身先生をはじめ専門家の皆さんと議論をしながら、どのように制度を考えていくのか。
そして、それとも関連しますが、今後、様々な指標がこのままで良いのかどうかということです。ワクチン接種が広がってくれば、あるいは病床の確保がしっかりできれば、もう少し緩やかな基準でも良いかもしれない。他方、変異株のスピードが速くてすごく広がってきて大変だということになれば、もっと厳しい基準も見なければいけない。様々な要素があると思いますので、そういったことも含めて、あわせて御議論いただければと考えています。
いずれにしても、まず一つは仙台、山形の状況をしっかり抑えていくということ。そして首都圏、関西圏など微増傾向にある、これをしっかりと端緒をつかみながら抑えていく、ということが大事だと思っています。
よくモニタリング検査のことも言われますが、モニタリング検査も、今、拡充してきていますので、明日また先週までの結果を報告できればということで、今集計しているところですが、まずは1日1万件を目指してやっていきます。
あわせて様々なデータと行政検査や、今、高齢者施設で行っている検査、重点検査をやれば、繁華街での重点検査、それから民間が独自にやっている、新橋の駅前や八重洲、新宿などでやっている、そういった検査もあわせて分析を行って、そして再拡大の兆しをつかんでいければと思っています。いずれにしても、明日、またモニタリング検査についてはお示しをしたいと思っています。
(問) 宮城のことに関連して、まん延防止措置の適用について、今はどのように考えているか教えてください。
(答) 今日の時点でどこに発動する、宮城あるいは首都圏、関西圏、何か頭に置いているわけではありませんが、まん延防止措置は機動的に活用したいという思いは常に持っています。
これは昨年、春夏の経験を踏まえて、その頃から私自身は会見でも国会でも申し上げているとおり、やはり緊急事態宣言にならないようにするために、前段階でそれなりに強い措置で、そこで抑えていくということが大事ですので、機動的に活用することを常に頭に置いて、数値をよく見ていきたいと思っています。
宮城県の場合は、今週の25日、木曜日から時短要請を行うということで、24条9項に基づくものです。まずそれも行いながら、もちろん様々な状況がありますので、急増することもあると思いますから、そういったことも頭に置きながら、常にしっかりと数値も見ていきながら、また、知事とも連携を取りながら対応していきますが、この21時までの時短の成果、効果もよく見極めていきたいと考えています。
もちろん、効果が出るのは、やはり10日~2週間掛かりますので、その間、手をこまねいて待っているというだけではなくて、今申し上げたようにしっかり分析をしながら、必要であれば、まん延防止等重点措置を機動的に活用したいと考えています。仙台のみならず、首都圏や関西圏でもそういった兆しをしっかりとつかみながら、必要があれば機動的に活用するという方針で臨んでいきたいと考えています。
ありがとうございました。
3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
令和3年3回目の経済財政諮問会議について、概要を御報告します。
先ほど西村大臣から御紹介がありましたとおり、二つの議題を議論しました。一つは「マクロ経済」について、黒田日銀総裁から資料1、民間議員から資料2、「活力ある地方の実現、大学改革」について、民間議員から資料3の御説明があり、二つの議題についてまとめて各議員から御発言がありました。
主な御意見を紹介します。
まず、坂本大臣から資料4に関するものです。1ページ目、今般の感染症を機に東京都への転入超過数が大幅に減少して、直近7か月で転出超過となっている。パソナなど本部機能を地方に移転する企業も出ている。こうした動きを逃さずに、今こそ「地方への力強い人の流れ」を作り出すべくテレワークの定着加速、地方への人材移動などに取り組む。
2ページ目、特に力を入れているのが地方創生とテレワーク。これは、都会の仕事を、テレワークにより地方でできる「転職なき移住」を可能とする画期的なもので、新設した地方創生テレワーク交付金を活用してサテライトオフィスの整備を進めつつ、私の下で民間の方々も参画する検討会において、官民を挙げて推進をしていく。
3ページ目左上、テレワーカーを含め、東京から地方に移住・起業する方に最大300万円の支援金を支給し、移住を支援している。
右上、地方拠点強化税制を活用し、企業の本社機能の地方移転などを通じた地方での雇用創出を支援していく。本税制は、令和4年3月末で期限を迎えますが、関係省庁などとその在り方をよく相談していきたい。
左下、副業・兼業によって地方で働く人を始め関係人口を増やし、移住のすそ野を拡大する。
右下、地方への民間人材の派遣を進め、都市部の専門人材と地方のつながりを作り出す。
一番下、企業の協力も必須となるため、経済3団体とも意見交換を行っており、認識の共有を更に進めていく。また、地方大学は、地方創生を進める駆動力である。参考資料にあるとおり、文部科学省と連携し、魅力ある地方大学の創出に取り組んでいくというお話がありました。
萩生田文科大臣からは資料5に関する御説明がありました。
世界と伍する大学の実現に向けた改革について、1ページ目、諸外国と比較し脆弱化が進む我が国の研究基盤を強化するため、大学ファンドを創設するほか、今国会に国立大学のガバナンス改善や研究成果の社会還元のための出資の拡大などに関する法案を提出している。今後、内閣府とも連携し、ファンドの対象大学としてふさわしい世界トップレベルの大学になるための特例的な規制緩和策などを検討していく。また、十分な支援を大学に行うためにも、10兆円規模の早期実現が必要だと考えている。
2ページ目、ポストコロナ社会の変革に向け、大学などの研究成果をスタートアップ創出につなげることが不可欠であり、文科省としては、コロナ後を牽引する大学発スタートアップの創出に向け、産学官が一体となった取組などを進める。更なる今後の取組として、アントレプレナーシップ、人材育成やスタートアップ創出の一体的推進に向けた体制構築、大学の出資力の強化、産学共同のためのクロスアポイントメント制度の改善・活用促進など大学の研究成果を社会に還元してもらえるような支援策を検討する。
3ページ目、文科省では、昨年の骨太方針も踏まえ、魅力ある地方大学づくりについて検討を進めており、地方の国立大学の定員増については、地域の特性やニーズを踏まえたイノベーションの創出や社会実装に本気で取り組むような者に限り、特例的、限定的に認める予定である。加えて、地域連携プラットフォームや大学等連携推進法人制度を用いた大学の連携・統合の推進、キャンパスの魅力向上、研究力の強化などを進めていくというような御説明がありました。
以上が資料に関する御説明で、その上で、まず、閣僚からの御発言がございました。
まず、梶山経済産業大臣です。
今後の需要回復に向けては、経済産業省として、中小企業を始めとする生産性向上の支援や下請取引の改善、雇用増や所得の拡大を促す税制措置などを講じていく。最低賃金を引き上げることができる環境づくりにもしっかり取り組んでいく。活力ある地方の実現についても、地域企業のデジタルトランスフォーメーションや地方企業への人の流れを後押しすることを通じ、地域経済の活性化に取り組んでいく。特に、都市部の若者人材と地方の中堅企業などとのマッチングに力を入れていくとともに、地域企業の経営人材確保の取組にも産業界との関係など協力していく。
また、サプライチェーンの多元化、強靱化に向けた国内生産拠点の整備が地域の雇用の創出、地域経済の活性化につながることもあるため、第3次補正予算で措置されたサプライチェーン補助金も着実に実施していくという御説明がありました。
続きまして、武田総務大臣の御説明です。
資料6について、コロナ禍で、国民の意識や行動が変容しているタイミングを捉え、総務省としても、東京一極集中の是正に向けて地方への人の流れを創出する新たな取組を行っていきたい。
まず、「地域おこし協力隊」については、令和6年度に隊員数8,000人にする目標の達成に向けて、応募者のすそ野を拡大するため、2週間から3か月の間、実際の地域おこし協力隊の活動に従事していただくインターン制度を令和3年度から創設し、地域おこし協力隊の強力強化を図り、また、地域プロジェクトマネージャーは、市町村が地域活性化に向けた重要プロジェクトを実施する場合に、専門家、地域、行政、民間などが連携して取り組めるよう、様々な経験や人脈を生かしながら、これらの関係者間を橋渡しするブリッジ人材として採用することを支援する制度を新設するものであるとのことでした。
また、「地域活性化起業人」について、現行の「地域おこし企業人」という制度があるが、令和3年度から受入団体を大幅に拡大するとともに、その活動内容としても地域企業の生産性向上などに向けたハンズオン支援を含め、地域活性化に向けて幅広く活動をしていただく制度としてリニューアルするもので、更に多くの企業人材の参加を目指す。
今後、関係省庁の取組は経済団体とも連携しながら、市町村と企業とのマッチングを強化し、取組の加速を図る。引き続き、あらゆる施策を結集して、活力ある地方の実現に取り組むといった御説明がございました。
次に麻生大臣の御発言です。
日本経済を早期に成長軌道に戻すためには、持続的な賃金上昇を通じて個人消費を拡大させ、経済の好循環を全国で実現していくことが不可欠であり、今後、最低賃金の引上げの議論も始まるところ、コロナで大変な状況もあるだろうが、コロナ前に引き続き積極的な賃金アップを継続することが重要である。また、地方の活性化の観点から、地方における賃金アップを通じて、地域間格差を是正することも重要ではないかとのお話がありました。
また、活力ある地方の実現に向けた取組の一環として、金融庁においても地域経済活性化支援機構、REVICを通じて地域企業の経営人材の確保に取り組んでいる。資料7のとおり、現在REVICに整備する大企業人材リストの拡充を図っており、既に大手銀行から数百名、大手商社からは数十名、マネジメント業務や海外業務経験が豊富な人材を含むリストアップを頂いているが、今後他の業界の大企業にも協力を呼び掛け、地域企業の多様な人材ニーズに応えられるよう、厚みのあるリストにしていく。
この点、経団連や経済同友会等にも御協力を頂いており、会員企業向けのリモート説明会を開催する予定であるほか、経済産業省など関係省庁の御協力も頂いて、個別企業への訪問、要請を継続的に行い、1万名規模のリストの早期実現に向けた取組を進めていく。
また、この取組においては、経営人材マッチングの仲介役として、地銀等の役割が極めて重要であり、地銀等における仲介能力の向上、人材紹介会社との連携を引き続き強く促していく。
この取組には令和2年度第3次補正予算で既に約30億円が措置されており、これも活用し、地域企業の経営人材確保を支援していきたいという御説明がありました。
続いて、民間議員からの御発言です。
最初は新浪議員です。新浪議員は資料8を提出され、それに沿った御説明が行われました。
概略を申し上げますと、コロナ禍からの経済再生を機にデフレ完全脱却を掲げていくべき。前回の議論でもあったかもしれないが、実質賃金がこの30年間横ばいであって、研究開発や人材投資が実質賃金の上昇には必要なのではないか。まずは感染再拡大阻止が前提であり、しばらくは営業時間の短縮など、国民に一定の実践を求める対策を講じる必要があるが、その後はペントアップ・ディマンド、繰越需要みたいなものが経済再生の鍵ではないか。
低所得層でも家計の現預金が積み上がっている中で、夏頃を目指して一気呵成の取組が必要で、そのためにも検査を拡充しつつ、例えば陰性証明書やワクチン証明書のデジタル発行など、安心して消費活動を行える仕組みを構築するべき。
また、デフレ脱却のためには、継続的な賃上げも同時に進めていくことが必要で、賃上げのモメンタムを維持し、中小企業への同一労働同一賃金も契機としながら、経済再生に合わせて最低賃金の大幅引上げを目指すべき。あわせて、消費税の価格転嫁に伴う実質的な価格低下についても検証してもらいたいというお話がありました。
資料2つ目の丸ですが、当面は継続的な財政投入によるプライマリーバランスの赤字の拡大にも耐えていく必要があるが、そのためにも持続的な社会保障制度を支えるレジリエントな体制を構築し、経常収益を安定的にプラスに持っていくということが大事ではないか。
商社の人材を活用して、輸出支援を強化するといった観点で専門商社の方々にも活躍いただいてはどうかというお話がありました。
また、コロナ禍を契機とした産業再編という項目ですが、今後、国際競争を勝ち抜くためには、産業再編が不可避であり、脱炭素の取組は今世界中がやっていて、我が国もやっているが、国内での過当競争は避けて、必要な人材育成や移動の促進とセットで実施できるようにしていくべき。こういった取組はオランダ等でも産学官で進めているというお話がありました。
その他、ベンチャー企業の振興では、イントレプレナー、アントレプレナーといったものへの税制の拡充が大事。格差の解消に関しては、現状をしっかりと把握し、貧困層へのきめ細かな支援を継続的に講じるということが重要。財政健全化については、今は財政を投入するべき時期ではあるが、同時並行できちんとEBPMに基づくワイズスペンディングを徹底していくべきというお話がありました。
最後に、東京一極集中の話ですが、DXと地方創生の一体化という流れの中で、デジタルの活用を医療や介護や教育で進めていく必要。また、官民の間にある公共の事業の担い手として、クラウドファンディングなどによる地域再生など、社会企業からの積極活用も重要ではないかという御説明がありました。
別の民間議員からの御説明です。3つのことをおっしゃっています。一つ目として、産業経済の構造転換が加速する中で、産官が力を合わせて、産業構造の転換といったもののターゲットを定めて進めないと、様々な取組、対策も本物になっていかないのではないか。デジタル化、グリーン化というのは、経済界でもしっかりと受け止められているので、変化の中で急いで具体化をしていく必要があると考えているとのことでした。
また、先日、世界の経営者が招かれた中国発展ハイレベルフォーラムが開催されたが、中国が改革開放を進め、投資の自由化、RCEPなどの国際協力の進展を掲げており、また2060年カーボンニュートラルにも積極的であり、日本も遅れずにイニシアチブを持って進めていく必要があるという御認識を最初の例として開陳されました。
二つ目ですが、地域、地方については、REVICの活用なども含めて具体的施策を進めていく必要がある。
三つ目の大学改革については、大学と経団連が協議会を作り、率直に意見交換をしており、人材の育て方、学生の意識改革も含めて議論が深まってきている。文部科学省に提言を出すなど、積極的にこの課題に関する取組を進めていくというお話がありました。
別の民間議員です。全体的に産業政策の考え方が変わってきている。かつては産業政策、日本の産業政策について米国から叩かれたこともあったが、最近は政府中心にそうした政策を考えるといったトレンドになっている。
また、テレワークについては、どんな企業でどんな人がやっているかなど、もっとデータがあると有益であり、データをもっと出してほしいという話をされました。
三つ目ですが、コロナを機に地方や病院間の連携不足が見られる。それぞれの取組でできないものを政府が間に立ってつなぐというトライアルの機会にもなっているので、この機会をしっかりと捉えて連携をより一層進めてほしいという御発言がありました。
別の民間議員です。資料9の柳川議員の提出資料で、マクロ政策について、格差や貧困の現状把握について、きめ細かいプッシュ型の対策が必要ではないかというお話がありました。
それに加えて、その際、NPOなど民間活力というのを活用していくべきだというお話です。
また、社会保障の持続可能性を含めて財政健全化に向けた取組を維持していくことが必要。地方企業が輸出拡大できるよう、日本にいるサポートできる人材を活用していけば地方の中小企業に大きなチャンスなのではないかというお話。官民を挙げてグローバル市場で日本のプレゼンスを高める努力というのを戦略的にやっていくべきではないかというお話。一人一人の付加価値向上をさせないと、結局はマクロの成長や賃金の上昇ができないため、職業訓練やリカレント教育が重要なのではないかというお話がありました。
地方については、資料をご覧いただくとお分かりかもしれませんが、強調されていた点としては、地方発のベンチャーというのが起業というのを支えることが重要。大学改革では、大学のガバナンス強化が鍵であり、文科大臣から力強いお言葉があったのでしっかりと進めていただきたい。地方の大学が地方の企業とも連携し、地域経済の活性化につなげていくべきだというお話がありました。
最後に、総理の御発言の前に、西村大臣から本日の資料2-1に関して、雇用に関わるような課題というのを民間議員ペーパーの最後の方に書いておりますが、これらについては改めて厚労大臣にもお越しいただいて今後お話を伺いたいと思う、というお話がありました。
それを受けて、最後に総理から御発言がありました。その内容はお聞きいただいたとおりです。
私からは以上です。
(以上)