第20回記者会見要旨:令和2年 会議結果

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和2年12月18日(金)18:18~18:52
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

まず、経済財政諮問会議の概要について御報告いたします。本日は「令和3年度の経済見通し」、それから「新経済・財政再生計画 改革工程表」について議論を行いました。
まず、内閣府から経済見通しについて説明し、意見交換を行いました。主な議論を御紹介いたします。
この経済見通しを実現するためには、賃金上昇のモメンタムを維持し、デフレには決して戻さないとの決意でマクロ経済運営へ取り組むことが大事という御意見がありました。それから、もう資料をお持ちだと思いますが、先般の経済財政諮問会議の最後の総理から、この賃上げの流れを継続することが大事だという趣旨の発言をされたところでありますが、中西議員は今日は御欠席でしたが、それを受け止めていただき、ペーパーの最後の所ですが、「持続的な生産性向上を実現していくなかで、賃金引上げのモメンタムが維持されるよう取り組んでまいります」という非常に前向きな御意見をペーパーで出していただきました。経団連の取組にも、改めて感謝申し上げたいと思います。
それ以外の主な御意見ですが、そのためにも機動的、弾力的なマクロ経済運営を行うとともに、医療提供体制の強化やデジタル化、グリーン化に取り組む企業への支援を進める。さらに、格差是正など、包摂的な社会の実現に向けた取組、東京一極集中の是正と地方の活性化、国際的な経済連携の推進といった施策に取り組むべき、といった御意見がございました。
改革工程表につきましては、改革工程表2020(案)を説明した後、議論を行いました。主な意見としては、以下のとおりです。
改革工程表に沿ったワイズスペンディングによって成長力を高め、経済を回復させる。それにより税収を上げ、財政健全化につなげることが大事。EBPMを用いてワイズスペンディングを徹底するとともに、これまでの改革の取組や成果を検証し、来年の骨太方針につなげていくべき。早速、現下の主要課題である医療提供体制の確保に向けて、次回の諮問会議で議論すべきとの意見がありました。その後、経済財政諮問会議として、この改革工程表2020を決定したところであります。
私の印象としては、やはりデータに基づく、あるいはエビデンスに基づいた政策決定、そして検証、こういったことの重要性が特に民間議員からは強調されていたと思います。
今回、決定した工程表のポイントは、昨年の工程表の各施策の推進状況を点検、評価するとともに、骨太方針や経済財政諮問会議での議論を踏まえて、各施策の工程を具体化したところであります。今後、この工程表に沿って、経済・財政一体改革、そして、歳出改革に着実に取り組んでまいりたいと思います。
総理からの締めくくりの御発言はお聞きいただいたとおりでありますし、来年も民間議員の皆様と政策課題に挑戦し、経済の回復に全力を挙げていきたいと思います。後ほど、事務方から詳細について説明させていただきます。
それから、本日は日銀の金融政策決定会合がございました。内容はもう御案内のとおりだと思いますが、日銀の雨宮副総裁からも連絡をいただきまして、終わってから結果の報告を直接いただきました。また、現下の経済情勢などについても意見交換を行ったところでありますが、今回の決定は、民間金融機関を通じた実質無利子・無担保の融資の継続等の措置を盛り込んだ、先般の私どもの総合経済対策に呼応するものだと評価しております。政府の経済対策を日本銀行の立場から引き続きしっかりと支えていただくものであり、時宜を得た措置であると評価しております。
日本銀行においては、引き続き、この感染症の経済に与える影響を注視しながら、適時、適切な金融政策運営を行っていただき、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待したいと思います。政府としても、決してデフレに戻さないという強い決意の下、財政支出40兆円の総合経済対策を決定したところであります。引き続き、日本銀行と高い緊張感を共有しつつ、緊密に連携し、この難局を乗り越えていきたいと考えております。
感染状況などは朝の会見でも申し上げました。本日も非常に高い数字の報告を受けております。東京都は664名、北海道は141名、愛知県は219名、兵庫県は128名ということで、もちろん地域の感染状況については、いわゆる発症日別のエピカーブに基づいて専門家の皆さんに感染動向などを評価いただいているところではありますが、全国的に増加の傾向が続いているということだと思います。この高い水準が続けば、より医療の逼迫が厳しくなるわけでありまして、何としても減少傾向に転じさせなければいけない、そういう強い決意を持って、それぞれの知事と連携して対応していきたいと考えているところであります。
私からは以上です。





2.質疑応答

(問)昼に官邸であった、自民党の下村政調会長との会談についてお伺いします。会長からは「Go To トラベル」の一時停止について、延期や解除の基準について設けることの要望だとか、あと、特措法の改正などについて話題が挙げられたと思います。会談の内容やその受け止め、そして、今後の方針等、合意した点があればお聞かせください。


(答)自民党として中間取りまとめという形で提言をまとめましたということで、その提言書を受け取りました。そして、その内容について、概要について御説明を受けた中で、特に2点、今、御指摘のあった点ですが、「Go To トラベル」の再開の基準などを明確にしてほしいということがありましたが、私からも説明を申し上げて、既に分科会からステージⅡに相当する段階になれば再開できるということでありますので、ステージⅢとかステージⅣとかの指標についても、その考え方、総合的な判断で、一番よく事情が分かっている知事の判断を尊重しながら、政府と情報を共有して判断していくということなど、最終的には国が「Go To トラベル」については判断するわけですが、そういった考え方やプロセスなどの御説明を申し上げました。
それから、特措法についても、法改正について提言がなされております。この点についても、私も常々、どのように考えれば、どのようにすれば実効性を上げていけるのかということを考えてきたところでありますし、分科会でもこれまでも議論があったところでありますが、総理から、正に迅速に対応したいという御発言もありましたので、私から法制局とも議論を加速していきますと。その上で、分科会にもお諮りをして、検討を進めていきたいということを御説明申し上げました。



(問)本日、ファイザーからワクチンの承認申請、特例承認という形で申請がなされました。審査をするのは厚生労働省ですが、一方で、分科会の議論では期待がある一方で、どういうワクチンになるか分からないので正確な情報発信をという意見も出ています。今後、政府として情報発信の点ではどういった点に留意しながら進めていくお考えでしょうか。お願いいたします。


(答)本日、アメリカのファイザー社が、御指摘のワクチンについて厚生労働省に承認の申請を行ったと聞いております。政府としては、ファイザー社と来年6月末までの6,000万人分のワクチンを供給するということで、基本合意をしております。安全性、有効性等に係るデータと最新の科学的知見に基づいて、厚生労働省において、有効性、安全性、こういったことをしっかりと確認がされていくものと考えております。
分科会におきましても、このワクチン接種については様々な議論がございます。今、御指摘のあったように、安全性や有効性を含めて、ワクチンの正確な情報が国民に伝わるようにしなければならないということで御議論いただいております。先般は、そのためのチームをしっかりと作って、情報発信を心がけてほしいという提言を頂きましたので、厚生労働省を中心に、私ども内閣官房、そして、その他関係省庁も含めて連携をしながら、国民の皆さんに分かりやすく、正確な情報が伝わるように、チームを設置して取り組んでまいりたいと考えているところであります。
海外でアレルギーの症状が現れたなど、いくつかの報道もありますので、海外の情報もしっかりと取りながら、厚生労働省において、有効性、安全性をまずは十分に確認いただくと。確認された上で承認がされていくものと思いますが、いずれにしましても、正確な情報を国民の皆さんにお伝えできるようにしてまいりたいと考えております。



(問)「Go To トラベル」について質問したいと思いますが、「Go To トラベル」の一時停止によって経済に対してどういう影響がありうるでしょうか。よろしくお願いします。


(答)「Go To トラベル」の経済効果については様々な試算がなされておりまして、民間金融機関などによれば3兆円の経済効果がある、そういった試算もなされております。私どもも様々な観点からの計算などを行っておりますが、これまでの間の「Go To トラベル」によって、少なくとも1兆円程度の経済効果があったのではないかと、これは雑駁な試算ですが、そういった試算も非公式にしているところであります。
地域の知事からは、特に9月、10月と感染が一定落ち着いた中で、かなり旅行需要、そして地域のお土産物屋さんとか飲食とかを含めて、かなり回復に貢献をして、地域経済に大きく寄与した、活性化に寄与したというような声もたくさんいただいてきたところであります。これを今、広島も含めて5つの地域について、一時停止などの措置を取っているところでありますが、当然、その分の消費を下押しする効果はあると思います。
しかし今は、特にこの5つの地域については、人と人との接触を削減して、そして感染を抑えなければいけない、そういうステージにありますので、まずは感染拡大を抑えていくこと。早期に抑えることが長い目で見れば経済に与えるダメージは小さくなるということも、経済学者の方々から言われております。そういったことで、まずは感染拡大を抑えるということに全力を挙げていきたいと考えております。
その上で、感染が落ち着いて、分科会の提言のとおりステージⅡに相当する段階になってくれば、また再開ができるわけでありますので、まずは感染拡大を何としても抑える、減少傾向にする。そのことによって医療の逼迫を抑え、国民の皆様の命を守るということにつながってきますので、是非、関係の皆さんには御理解をいただきたいと思いますし、今日も知事会の飯泉会長、平井本部長代行とも意見交換をしましたが、既に前向きな評価を文章でも出されているところであります。
御理解いただきながら、他方、厳しい状況になる観光の事業者の皆さんや、そして飲食店の皆さんなどの支援をしっかりと行っていきたいと考えているところです。
ありがとうございました。






3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

令和2年第20回経済財政諮問会議について概要を報告いたします。
本日は、先ほど西村大臣から御紹介がありましたように、2つの議題です。
最初に、「令和3年度の経済見通し」について私の方から資料1についての説明を行って、次に民間議員から資料2-1について御説明がございました。その後、各議員から御説明がありました。
経済産業大臣ですが、令和3年度に向けて、経済産業省としては、コロナ禍の中で日本経済の構造改革転換を通じた民需主導の経済成長を進めるため、2050年カーボンニュートラルに伴う成長戦略、デジタル化、中小企業の事業再構築などを強力に推進するという御説明がありました。デジタルとグリーンは、これからの経済の車の両輪であり、設備投資や研究開発をしっかりと促していくという趣旨の御発言がございました。
続いて、民間議員の御発言です。
今年の経済の落ち込みは、構造的な要因ではなくて、コロナが要因だ。ワクチンにより元の水準に戻ることができる。官民は、来年回復した時点をベースとして様々な計画を立てていくべきではないか。その意味では、中西議員が提出された資料2-3で言及されている賃上げのモメンタムの維持は極めて重要だ。
コロナは長期的課題を明らかにした。民間議員提出資料の参考資料にありますが、世界ランキングで、日本は企業の変化迅速性、ビッグデータの活用が最低レベルである。人材の流動性が欠けている。デジタルやグリーンで人材移動が重要であり、基金や税制がカギになるのではないか。
国際連携について、アメリカの新政権が立ち上がって外交を重視する可能性があるので、日米が協力してできることから実現していくことが大事。
報道によれば、中国とEUが本年中に投資協定を締結する見込みがある。その際、中国がEUの再生エネルギー市場に進出する希望を持っているということが報道されていた。こうした協力と競争の中で、日本としても官民で迅速に対応していくべきではないかという趣旨の御発言がございました。
続きまして、新浪議員の御発言です。
資料2-4の新浪議員提出資料に基づいて御発言が行われております。
可能な限り経済を回しつつ感染拡大早期沈静化・医療提供体制の強化の関係では、これを経済復興の安心の基盤としてオリンピック・パラリンピックの成功といったものに結び付けて、日本と世界のポストコロナにつなげていくべきじゃないかというようなお話がありました。
民需主導の経済成長の実現の関係では、エネルギー政策のところですが、抜本的に見直してほしいというところに、電力会社の再編とかいった話をされていました。
あわせて、同一労働同一賃金の徹底、最低賃金の継続的引上げの話で、最低賃金1,000円を目指すべきだというお話がありました。
最後の為替のところですが、ドル安が進んでいるので、為替市場の注視及び的確な対応をお願いしたいといった御発言がございました。
別の民間議員からの御発言です。
新しい知恵が経済成長のカギだ。デジタル化にとって新ビジネスが重要。規制改革により、そういったことが促進される。特に、予防健康分野は伸びしろがある。都市から地方へ人が移動し、地域活性化していくことが重要。地域間移動のサブスクリプション導入などが重要だ。リカレント教育のため、兼業・副業が重要だ、といった御発言がございました。
国際的なルール形成への関与について、デジタルと環境規制に官民で協力して積極的に関与していくべき。インバウンドによる再生、対日投資促進が重要で、予算の見える化が重要であるといった御指摘がございました。
以上が最初の議題に関わるものでございます。
続いて、「新経済・財政再生計画 改革工程表の改定」ですが、資料3について事務方から説明した後、民間議員から資料4について御説明がございました。
今回、武田総務大臣が御欠席で谷川政務官が出席されました。総務省として、この改革等工程表に沿って関係省庁とも連携しながら着実に取組を進めていくという御発言。また、資料4のデジタル時代の地方行財政に関して、連携中枢都市圏など、多様な広域連携を推進する。遠隔自治体間の連携については、事業ごとに行っている関係省庁の支援策も含めて、どういった対応が可能か検討していきたいという御発言がございました。
自治体情報システムに関しては、デジタル・ガバメント実行計画において決められている17業務について、クラウド活用を原則とした標準化・共通化を今後5年間で確実に実現していきたいという御発言がございました。
麻生財務大臣からの御発言ですが、改革工程表は日本経済・財政が抱える構造的な課題の改革スケジュールが明記されている。特に社会保障については、「全世代型社会保障改革の方針」も取りまとめられたが、この工程表にもあるとおり、改革すべき課題はいまだ山積している。この工程表に沿って、具体的な改革項目を実施に移していくことが大事であって、関係省庁の早急な取組を期待したいといった御発言がございました。
民間議員からの御発言です。
改革工程表を着実にフォローアップして実行していきたい。資料4の1ポツ、コロナ対応の医療提供体制の検証は重要であり、次回の経済財政諮問会議で厚生労働大臣から御報告いただきたい。EBPMの観点での検証課題への対応が必要。
これは別の議論ですが、今回の対策で重要な課題にお金が付いたことは重要。政策効果を出すためにEBPMを行ってKPIを見ていくことが大事。結果を出すべき。そのためにもデータが重要。政策を活かすポイントであり、デジタル化にもEBPMを入れていきたい。各省と対応を検討していきたいという主旨の御発言がございました。
別の民間議員の御発言です。コロナ提供体制の検証が重要。アメリカより被害がかなり少ないのに、医療が逼迫しているのは、医療人材の移動が少ないため。交付金は予算措置であり、しっかりと使われているかどうかというワイズスペンディングの観点が重要。
別の議論ですが、教育・学力の低下について、KPIなどにより意味のある検証を行っていくべきではないかという御指摘がございました。
別の民間議員の御発言です。これも同じくコロナ対応の医療提供体制にEBPMを活かすことは大事。データで把握して、しっかり進めていただきたい。対応の在り方を次回の経済財政諮問会議で報告いただき、対応を考えていきたい。
あと、EBPM・データ活用はこの改革でも非常に重要であり、多くの重要なデータ・情報が入っている。改革工程表に多くの重要なデータや情報が入っている。プロセス管理で進まないところを見て、データに基づく提言をしていくべき。データは工程表の在り方にも大きな影響を持っている。デジタル化によって進められることもあり、こうした点に取り組んでいきたい。先ほど西村大臣から御紹介があったとおり、EBPMの視点、データ活用の視点といったことが多くの民間議員から強調されていたと思います。
総理からの御発言はお聞きになったとおりでございます。
以上です。






(以上)