第16回記者会見要旨:令和2年 会議結果

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和2年11月9日(月)19:27~20:28
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

私から何点か申し上げます。
まず、経済財政諮問会議の概要について御報告します。本日は金融政策・物価等に関する集中審議、それからグリーン成長に向けた投資・イノベーションの議論を行いました。
まず、前者の金融政策・物価等に関する集中審議におきましては、次のような御意見がありました。日本経済は4月・5月を底にして持ち直してきているが、依然、力強さを欠いている。経済対策の効果の剥落を生じさせることなく、経済の好循環を取り戻し、来年度中にはコロナ前の経済水準を取り戻すべきである。また、政策パッケージを策定し、十分な対策効果を発揮できるだけの規模感を持った補正予算と来年度当初予算を一体とした財政運営を実行すべき。それから、民需を誘発して成長力を強化するためデジタル化、グリーン化等への集中投資を強化すべき。
次にグリーン成長に向けた投資・イノベーションについてです。次のような御意見がありました。脱炭素化に向けた国際的なルール・メイキングをリードすべき。水素活用などコアとなる技術を重点的に支援し、研究開発投資を喚起すべき。また、電力ネットワークや立地、系統制約等の規制の改革を行い、再生可能エネルギーを主力電源化すべき。グリーン化を通じて新たな需要を拡大し、エネルギー産業を次世代の新産業として育成すべき。以上のような御議論がありました。総理の締めくくりの発言については、お聞きいただいたとおりです。詳細は後ほど事務方から説明いたします。
2点目に株価について申し上げます。日経平均株価は、先週金曜日に終値が2万4,325円となって、バブル崩壊後の最高値2万4,270円を上回り、約29年ぶりの高水準となりました。今日もその流れを引き継いで高値を更新し、終値は514円高の2万4,839円となっています。
日頃から申し上げていますとおり、マーケットの動きに一喜一憂すべきではありませんし、何か特定のコメントをすることは差し控えていますが、最近の株価の動きについては、アメリカの大統領選挙という不確定要因が後退、終わったということをマーケットが好感していること。それから先週のアメリカの公開市場委員会、FOMCにおける引き続いての緩和的姿勢が好感され、世界的な株高が進んだことを受けての動きであるということもあり、海外要因である株高という側面は否定できません。
一方、株価は市場の企業収益に対する期待を反映したものであり、過去の経験則で言いますと、半年ぐらい先行する指標でもあります。また、株価上昇によって、その資産効果によって消費が増えるという分析を今回の経済財政白書でもしております。経済財政政策担当大臣としては素直に、ポジティブに受けとめたいと思っております。ただ、今後このように実体経済がしっかりと成長軌道に乗っていくように、これからの経済政策、これをしっかりと実行していかなければならないと改めて気を引き締めているところです。
中長期的に見た日経平均の株価を少し分析しました。特に米国の株価指数との比較ですが、これを見ていただくと、フェイスブックがS&P500に入った2013年の12月23日を100として、アメリカはフェイスブックがS&Pに入ったときだと思いますが、比較できるときからアメリカのS&P500と日経平均を比較すると、日経平均の伸び高が53%ですが、S&P500は92%でほぼ2倍になっています。
他方、GAFA、マイクロソフトまで入れてGAFAMと言われますが、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト、それから2つのN、ネットフリックスとエヌビディアのこの7社を除けば58.3%ということで、ほぼ日経平均と同じ動きになります。
時価総額の比較ですが、実は今申し上げたGAFAM、ネットフリックス、エヌビディア、2つのN、それからテスラ。テスラはS&P500には入っていませんが、先週末の数字で時価総額が42兆円あります。トヨタは今日の数字ですが、23.4兆円ということで、倍近い時価総額の電気自動車会社のテスラがあるわけですが、この7社+テスラで868兆円の時価総額で、日本の東京市場をはるかに上回る時価総額があるわけです。
申し上げたいのは、この5社がなければ、日経平均とアメリカの株価は、ほぼ同じ動きをしていますが、この5社と2社、更にはテスラといった企業がアメリカ経済を引っ張っていっているということであります。これが常日頃から申し上げていますが、日本経済がある意味でこれまで取り組めていなかった、デジタル化とグリーン化の大きな2つの流れを牽引する世界的な企業が生まれてこなかったことが、アメリカとの株価の差に出ているのだろうと思います。
今日も経済財政諮問会議で議論がありましたとおり、このデジタル化、グリーン化、この分野で大いに内部留保を活用してもらって民間の投資をしてもらい、世界を引っ張るような、日本経済を引っ張るような、そんな企業が生まれてくることも期待をしたいと思っております。民間投資が増えるような、呼び水となるような政府の投資、支出、これをしっかりと行っていきたいと思います。それがいわゆるワイズスペンティングです。そういった公共支出、ワイズスペンディングが求められているということが経済財政諮問会議の議論でもありました。株価のことについては以上であります。
それからコロナ関係ですが、本日、第14回分科会が持ち回りで開催され、この後尾身会長が記者会見をされますので、是非聞いていただければと思います。明日夕方17時40分から第45回新型コロナウイルス感染症対策本部、政府の対策本部が開催されます。感染状況などが議論される予定であり、今日の分科会の提言を踏まえて議論がなされます。明日の会議後、私からまた説明したいと思います。
それから先ほど鈴木北海道知事が来られ、意見交換を行いました。北海道は本日200人、昨日は187人と、感染者、陽性者の数が増えており、警戒感を持って対応するということで、そうした問題意識を共有したところです。
今日、検査数の報告を頂いたが、10月9日は約4,500件ぐらいの検査数であったことに対し、11月8日は9,115件ということで、倍ぐらいの検査件数。正に私どもからお願いをしました、重点的な検査をすすきのや、それからクラスターが発生した関係者に幅広く行っています。その結果、陽性者の数も増えているわけですが、他方、重点的な検査をクラスター周辺の関係者に行っていますので、陽性率も非常に高くなってきています。
これは、重点的に検査を行うと短期的には陽性者の数は増えますが、私どもがこれまで経済分析をしてきたとおり、この集中的な検査は必ず2週間後、3週間後に減少に転じさせる効果があるとされていますので、引き続き重点検査をやっていただくようにお願いをしているところです。
あわせて人の流れも、すすきの地区で3割近く減ってきているというデータもありますので、そういう意味でこれまで大都市の繁華街のワーキンググループで議論してきましたとおり、重点検査をやることと、繁華街の人出が減ることによって減少に転じさせることができると思いますので、まずこのことに取り組んでいただければと思っています。
その意味で地域を絞った営業時間短縮の要請がなされました。11月7日からということですが、時間短縮によって更に人の流れが減少することを期待したいと思います。それに応じた事業者へ20万円の協力金を道として支援していくこと。それからもう既に申し上げましたとおり、国からの人的支援を行っておりまして、クラスター班、厚生労働省の職員、それから学会所属の専門家を既に5名、別途派遣予定で、さらには保健師の派遣はもう既に行っていますが、24名派遣する準備が整っており、随時派遣を行っていっています。
知事からは、保健師さんはこれでかなり助かっているというお話と、それから宿泊療養施設なども今確保すべく努力をしていると聞いていますので、例えば看護師さんとか何か必要があれば、是非、何なりと言ってくださいということを申し上げています。
それから国からの支援で、もう既に行っている包括支援交付金で、第一次・第二次補正予算合わせて医療関係で825億円。それから地方創生臨時交付金で1,638億円、北海道分と市町村分と合わせて支援を行っています。それから常々申し上げていますとおり、要は時間短縮されるので、余った時間で今後の対策を是非強化していただきたいと思っています。これは商工会議所の窓口で持続化補助金、アクリル板や換気を良くする設備や支援がありますので、そのこともお伝えしてあります。家賃支援給付金や雇用調整助成金、時間短縮で休ませたり、家賃の支払いが厳しくなる、収入が減った場合にこういった支援が使えるということです。
それから出るまでに一定の時間が掛かりますから、2週間や3週間掛かるケースがありますので、つなぎ資金として道の制度融資を活用されることも検討されたらどうかということで、ここも中小企業庁と連携して相談しますということでした。2週間や3週間、何百万円のオーダーになるかもしれませんが、資金繰りに困らないように、道としてその間はつなぎ資金を出していただいて、そして後から雇用調整助成金や家賃支援給付金が出ます。それで返済してもらえば良いので、こういった仕組みで取り組むということです。
いずれにしても、一軒一軒お店に協力要請をしていく中で、こういった国の持続化補助金や家賃支援給付金、雇用調整助成金といった国の支援策についても丁寧に説明しながら事業者の皆さんの理解を得て、協力してもらうということで知事からお話がございました。
いずれにしても、検査が増え、一時的には陽性者の数は増えますが、中期的にどこかのタイミングで減少傾向に転じさせるように、是非こういった全体のパッケージで国と道、そして札幌市が連携して対応していきたいと思います。
それから寒冷地対策ですが、これも知事に少し申し上げましたが、基本的にマスク着用、人との距離を取る、3密を避けるという基本的な感染防止策は当然ですが、寒い環境の中でも換気をすることが大事です。どうしても窓を閉め切って、換気の悪いところで活動することが増えるわけですが、機械の換気をしっかりやるようにと、専門家の皆さんから言われております。室温が下がらない範囲で窓を少し開ける。あるいは18℃以上を目安に少し開ける、常時開けるといったように工夫をすること。
それから湿度がやはり大事です。乾燥すればウイルスが飛びますし、どうしても喉、呼吸器系の感染症は広がりやすいので、湿度を保つことが大事ということで、加湿器の使用や洗濯物を室内に干すこと、こまめな拭き掃除も大事だということです。
これは必ずしも北海道だけではなく、これから冬になるにつれ寒くなると日本全国どこでも乾燥しますし、湿度を保つことは大事ですので、是非こういった工夫をしていただければと思います。
そこでCO2センサーですが、今手元にあるものは市販されているものです。1,000ppmというのが建物の1つの基準になっていて、今この場が640ppmで、ここは非常に換気が良い状況がわかります。空気が通っているなと思いますし、ドアも開けていますので。こういったもので換気の状況を見てもらう。これは安いものは数千円からあります。センサーを付けて常時記録したりしているので、これは3万円ぐらいすると聞いています。
建築物衛生法でも換気を良くするということが、建物の所有者あるいは全体を管理する人に課せられていますので、換気をしっかり守るということで1つの目安になりますので、こういったものを活用していただきながら、何とか寒いときも空気の流れ、換気を良くするということで努力していただければと思います。
CO2で反応するので、私が近くで一生懸命しゃべっているので上がってきましたが、600ppmぐらいです。今900ppmを超えました。
こういったことを工夫しながら、何とかこの冬に向けて感染が拡大しないように取り組んでいければと思います。今日は専門家の皆さんから様々な提言や緊急提言を頂く予定ということで、それを受けてしっかりと政府として対応を整理して、明日の対策本部でも御報告したいと思っております。
それから他の地域の感染状況ですが、まだ報告をしっかり取れていませんが、東京は4点台、5%になっています。北海道が9%近くなっているということです。あと愛知、大阪も少し上がってきていて、対策を強化しようということで、愛知県知事が明日私のところに来られますので、そこでしっかりと状況をお聞きして、対応を協議したいと思っております。既に名古屋市では繁華街の接待を伴う飲食店に対して、PCR検査を無料で幅広く呼び掛けてやっていますので、それと対策協力店としての認定をセットとした取組を実施しているということですが、詳細は明日お伺いしたいと思っております。
大阪も高齢者施設や医療施設でも少しクラスターが発生しているが、ピンポイントでどういう対策を講じるべきかというところを検討していると聞いています。かかりつけ医での検査をかなり幅広くやっているということで聞いております。今の時点で愛知県、大阪府とも、医療提供体制が逼迫しているような状況があるとは聞いておりませんので、引き続き連携しながら対応していければと考えています。
東京もこういう形で、東京が爆発的に増えている感じではないですが、ちょっと陽性率が上がってきていますが、でこぼこの範囲なのか、増加傾向にあるのか、しっかりと見極めていかなければいけないと思っております。
高齢者も200人強で少し推移している状況です。
指標で見ますと、東京が少しまた15%を超えたりしておりますが、あとは大阪と、私の地元、兵庫で30%強ということです。沖縄も引き続き30%ですが、沖縄は比較的落ち着いてきています。陽性率も3%ということです。
それから、新規報告者の数が北海道は15を超えてきているが、検査を増やしていますので、当然、陽性率も増える。また、東京、大阪、沖縄も10台ですが、ここは15から大分減ってきたので落ち着きつつあるのかなと思っていますが、少し申し上げたように、中京圏、大阪圏で増えてきているところをしっかり対応していければ、連携して対応していければと思っています。
それから、最後ですが、明日11時から国立感染症研究所と国立国際医療研究センター、NCGMの視察をする予定です。5月頃に視察をさせていただいて、その後、様々な最新の治療薬の研究、治療法の研究、あるいは診断の研究などが行われて、いろいろ成果が出てきていることもありますので視察をさせていただきます。
また、国立国際医療研究センター、NCGMでは、救急外来で発熱患者への対応、あるいはエボラ出血熱など、1類の感染症にも対応した最高レベルの特殊感染症病床などを視察する予定です。いずれも研究者の皆さんと意見交換をできればと思っております。





2.質疑応答

(問)経済財政諮問会議で1点と、コロナ関係で1点あります。
まず経済財政諮問会議は、大臣からも御紹介がありましたが、民間議員から十分な対策効果を発揮できるだけの規模感を持った補正予算の編成を行うべき、という提言がありました。過去の経済対策の効果試算も踏まえた規模感について、大臣がどのようにお考えか教えてください。
それから、コロナ関係は、今日、分科会を持ち回りで急遽開いたのは、感染拡大が大きくなってきているからということだと思うのですが、急遽開いた理由を教えてください。
また、昨日のぶら下がり会見で、11月に一層のイベント緩和をするのはなかなか今の状況では難しいというお話があったと思うのですが、プロスポーツのように大規模な人が動くものと、それから、映画館のように比較的小規模なものがあると思うのですが、これはいずれもやはり難しいとお考えなのでしょうか。


(答)まず1点目の経済対策についてでありますが、本日民間議員からは、7-9月期のGDPギャップも相当程度存在する。さらに、欧米で感染が広がっている中で、経済の不透明感、先行き不透明感が高まっているという認識の下で、様々な御提案を頂きました。
ただ、経済対策の策定について、総理からまだ具体的に指示は頂いておりません。私の立場では、引き続き経済状況をしっかり分析をして、時機を逸することなく、臨機応変に対応するようにと言われておりますので、今日の経済財政諮問会議の議論、あるいは会議の総理の最後の御指示をしっかりと踏まえて、引き続き、民需主導で経済回復できるように、そして、成長軌道に乗っていくように臨機応変に対応していければと考えています。
それから、分科会については、尾見先生をはじめ専門家の皆さんにも日々分析をお願いし対応いただいている中で、かなり警戒感を強く持たれている。特に北海道の状況や、先ほども申し上げたように、東京は爆発的に増えている感じではないですが、周辺の埼玉や神奈川、それから中京圏、愛知とその周辺、それから大阪と兵庫、こういった所で感染が減少傾向から増加傾向に転じてきていて、警戒感を非常に強く持っておられます。
そうした中で、もう既に寒くなってきていますが、様々な対応が必要ではないかということで、これまでのいろいろなクラスターの分析をされたことも含めて緊急の提言がなされると思いますので、ここはしっかりと受け止めて、我々も政府として対応を是非進めたいと思っています。
また、イベントについては、これまでも申し上げてきたとおり、足下の感染状況が何より大事です。これまで感染状況を見ながら段階的に緩和をしてきましたし、場合によっては、感染が広がっているときは少し立ち止まって緩和のペースを遅らせて対応してきました。一応、11月末までということで今の基準で制限しておりますので、遅くとも中旬までには分科会を開いて、専門家の皆さんに御判断いただかなければいけないと考えています。
そうした中で、昨日申し上げましたとおり、足下、少し感染拡大している地域が見られる中で、今の状況であれば、12月以降更に緩和するということはなかなか難しいのではないかと、感じているところです。
他方、御指摘ありましたように、これまでも様々なシミュレーションとか、データに基づいてやってきました。例えば、映画館で、今まであれば、100%全員入っていただいていますが、食事を出す場合は50%にすることをお願いしています。ただ、これを守っていただいて、何か映画感で大きなクラスターが発生しているわけでもありません。それから、スーパーコンピューター富岳を使ったシミュレーションや、実際に食べている時にどのぐらい飛沫が飛ぶのかという実測も行っていますので、こういったところを今、整理しておりますから、この結果を専門家の先生方に報告して、評価・御判断を頂ければと考えているところです。
いずれにしても、今月中旬までには分科会を開いて、専門家の皆さんの御意見を頂いて、そして、適切に判断していければと考えています。



(問)Go Toトラベルに関してお伺いします。政府の分科会は、ある都道府県がステージⅢ相当と判断された場合には、Go Toトラベル等の事業からの除外も検討するように政府に提言しましたが、現段階で、このⅢに相当しそうな都道府県はあるのでしょうか。
あと、本日の鈴木北海道知事との会談の中で、Go Toトラベルに関するやりとりと、それに対して大臣から御意見ございましたか。


(答)今日、加藤官房長官もその分科会の提言を説明されたと伺っていますが、このステージⅢに該当する、これは一つの目安ですが、この数値を目安として、ステージⅢに当たるとなれば、少し対応を考えなければいけないという提言を頂いています。
機械的に当てはめるだけではなく、先ほど申し上げたように、北海道の場合、今、検査件数をかなり増やしています。この3週間で倍の検査を行っていますので、当然、陽性者は増えてきています。
それから、様々なクラスターの状況など、しっかりとそうしたものの現状を踏まえて判断していくことになりますが、この数値の当てはめを見ていただいても、今日、北海道知事からも説明がありましたが、病床はしっかり確保できていますという報告がありました。これはステージⅢに当たるものではありません。
それから、特にこの10万人当たりの新規報告者の数が15人を超えていますので、ここはステージⅢだと思っていますし、先週、今週で2倍の人数になっていますが、これも超えています。これも検査の件数が増えて、かつクラスターの関係者を重点的にやっていますので、当然、陽性者が増えます。それでも感染経路不明は50%を切ってきていますので、総合的に判断すると北海道はステージⅢに当たるわけではありませんので、現時点でGo Toトラベルの対象から除外することは考えておりません。
鈴木知事ともお話をして、この点について、考えが一致したところです。何か外してほしいとかということはありませんし、むしろ、Go Toトラベルを行っている事業者は感染防止策を徹底して行われています。ツアーの中で感染者が出ていることはもちろんありますが、そのツアーに参加した感染者から旅館やホテルの従業員の方にうつったとか、あるいは観光施設など現地でクラスターが発生したとかという報告は受けておりません。そういう意味で、Go Toトラベルに参加していらっしゃる事業者の皆さんはかなり徹底して、そして慎重に感染防止策を講じておられると思います。今日の鈴木知事とのお話でも、何か今の時点で対象を外すとかは考えておりませんし、知事からそういった要請があったわけでもありませんので、引き続き、Go Toトラベルは使っていただけるようにと。言わば両立ができるように、引き続き、事業者の皆さんには徹底した感染防止策をお願いしたいと思いますし、参加されるお一人お一人も、御自身の体調をしっかりと見ていただいて、熱があるとか、何か喉に違和感とか、味覚、嗅覚、何かおかしいとか、ちょっとしたことがあれば、旅行に行くのは控えていただいたり、仕事や遊びに行くのも控えていただくことが大事だと思います。現時点で対象から除外することは考えておりません。



(問)先週の分科会で、検査体制について議論されたと思いますが、その中で2bと言われる、無症状で低リスクの検査について、社会経済活動に資すると期待できるという文言が入ったのと同時に、7月の段階では「各々の負担により検査するとき」という表現があったと思うのですが、その「各々の負担」という表現がなくなっているのですが、これは法的な補助が入る可能性があるのかどうかお聞きしたいと思います。
厚労省でも、民間検査について実態を調査していて、2bの考え方が少なくとも7月の時点から大きく変わられたのかと思うのですが、いわゆる民間のやりたい人がやるという検査がだんだん行政的な行政検査を補完するようなものになったのかなという感じがするのですが、どのように位置づけが変わったのか、分科会での議論も踏まえて、大臣のお考えを頂ければと思うのと、2aについても議論される予定だと思うのですけれども、これはどういうものが追加されていくのか。その辺の考え方も教えていただければと思います。


(答)まず、8月28日に、安倍政権の時ですが、今後の取組として発表させていただいています。その中で、一例ですが、感染拡大や重症化を防止する観点から、一定の高齢者や基礎疾患を有する者について、市区町村において本人の希望により検査を行う場合に、国が支援する仕組みを設けるという方向性を出しています。
実は、現在、妊婦さんには上限2万円で国と地方で2分の1ずつ支援するという枠組みがあり、それと同様な枠組みが考えられないかということで、ここでそうした方向性を出しています。
この方々は高齢者で、元気だけれども心配だからという方や、基礎疾患を持ってらっしゃる方もいらっしゃいますので、この方々も心配だから検査を受けると。感染しているかもしれないということで、無症状で、そういった方も支援を行っていくという方向性を出しています。
その上で、御指摘のように、2aの方々、それから2bの方々、今後、更に議論が分科会でなされていくと思います。これをどちらに分類するかというのはあるのですが。例えば、以前から議論のある、離島での感染を防ぐために、離島に行かれる方をそこで検査をするような枠組み。これは元気な若者が離島に行く場合に、基本的にはリスクは非常に低い人ですが、万が一、感染すれば、医療機関の脆弱な離島で感染を広げてしまうというようなケースが考えられます。
それから、似たようなケースですが、若い人達が被災地にボランティアで災害支援に行くような場合も、いろんな所が医療機関も含めて被災している中で、万が一、無症状で感染した人が行って、現地で広げているようなケースも考えられないことはありませんので、そういった場面など、これまでも様々な議論がなされてきていますので。これを2aと言うか、2bと言うかというのは、この分類もあるのですが、こういったことを含めて、先ほどの高齢者の方が希望する場合に一定の支援をするとか、そういった枠組みも含めて、今後、特に2bについては費用負担も含めて、今は自費で民間検査でやるということになっていますが、これをどう考えていくかについては、これまでも様々な議論がされてきていますが、今後、引き続き専門家の間で議論されたり、我々も問題提起をしたりしていますので、どこかでしっかりと議論していただく、分科会で議論していただければと考えているところです。



(問)先ほど、北海道をGo Toから外すという話にはなっていないと説明されましたが、今後の分科会で、北海道のGo Toの取扱いについて、議題になるようなこともないということで良いですか。


(答)毎回、感染状況は細かく分析していただいています。もちろん、分科会をやるときには、通常、感染症の専門家の皆さんが集まって厚労省のアドバイザリーボードを開くケースが多いですから、そこでかなり議論がされて、全体の感染状況や、それぞれの地域の感染状況も細かく議論がされますので、それも踏まえて分科会では、毎回、感染状況について議論がされます。
その時に、当然こういった指標、分科会が示されたステージⅢやステージⅣの指標も見ながら議論していきますので、東京の状況はどうなのか、北海道の状況はどうなのか、以前は、沖縄の状況はどうなのかということも議論がありました。
それから、知事会の平井知事も知事会を代表して入っていらっしゃるので、それぞれの地域のいろんな考え方もそこで披露されることになりますから、北海道に限らず、感染状況を議論する中で、それぞれの地域の感染状況、そして対策や対応については、毎回、議論がなされます。
そのときに何か特段の注意すべき事柄、我々も対応していることをしっかり説明をしますので、それでは足りない、もっとこうしなければいけない、そういったことも含めて議論されます。
ただ、今の状況で、分科会をいつ開くかという調整も、今、していますので、その直前のタイミングで感染状況を見ながら議題は決めていきますけれども、いずれにしても、今の時点で北海道を外すような状況にはないと考えています。私としては議題にするつもりは今の段階ではありませんが、もちろん、専門家の皆さんから様々な提案がされることもありますし、議論しなきゃいけないという提案もあります。
いずれにしても、感染状況の中で、それぞれの地域の状況も対策も議論していければと考えています。






3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

令和2年第16回の経済財政諮問会議について概要を報告します。
今回は、先ほど西村大臣から御紹介がありましたように、二つの議題でした。一つは、金融政策、物価等に関する集中審議で、黒田日銀総裁から資料1、私の方から資料2、民間議員から資料3の説明がありました。また、グリーン成長に向けた投資イノベーションについて、民間議員から資料4の御説明があり、これら二つの議題についてまとめて各議員から御発言がありました。
主な御意見を御紹介します。
今回も個人名の提出資料がありました。資料4-3、中西議員ですが、グリーン成長について、これまで原子力の安全対策に多くの投資がなされてきた一方で、脱炭素などのイノベーションには新しく投資する余力がなかったという御発言がありました。
また、エネルギー供給強靱化法が6月に成立し、新しいメカニズムが作られたが、これで投資が進んでいくのか、具体的ビジネスモデルをどう作っていくのか、どのように業界に対して投資環境を整備するのか、経済産業大臣には考えていただきたいというお話でした。
経済界としても、そうした投資のメカニズムが回っていく仕組みをこの1年で開拓していきたい。また、こうした課題について、更なる検討が必要であるということでした。
続いて、資料4-4、新浪議員です。
サステナビリティへの取組は世界的な流れであり、大きな柱になるのは明らかである。国際的なルールづくりは、ここ一、二年で正念場である。ESG情報の開示は重要な課題である。EUは中国と組んでタクソノミーによるルールづくりを通じて覇権を取りにきており、日本企業の競争力に大きなマイナスの影響を与えるおそれがある。日本だけでは対抗は難しい課題で、EUの二元論的な考え方ではなく、環境に良いものを段階的に評価できる仕組みを取るべきであり、途上国も巻き込んで仲間づくりをしていく必要がある。民間投資を強力に誘導するような予算税制措置も講じるべき。また、EVシフト等の産業構造転換のロードマップを策定していくべきとの話がありました。成長分野への労働移動に向けては、リカレント教育とマッチングを大々的に進めるべき。GDPギャップの解消については、300兆円に上る民間現預金をしっかりと活用した方策を考えるべき。賃上げ、生産性向上のための税制は、賃上げと設備投資の片方の要件を満たせば良いこととするなど、期間を区切って使い勝手の良い思い切った減税をしてほしい。スチュワードシップ・コードについては、GPIFなど機関投資家も活用して民間の資金が動くようにしてほしいといった御指摘がありました。
資料4-5、柳川議員です。
グリーン化に関する設備投資や研究開発投資は、将来の成長につながる大きなチャンスである。その一方で、これに乗り後れると世界から締め出される可能性がある。グリーン化には大きな政策パッケージが必要だ。日本がルール、枠組み、規制などをまとめて、グリーンのスマートシティをつくって世界にセールスしていくべきだ。成長分野へ人が動けるようにするべきだ。企業ではなく、労働者個人への投資にするべきだ。教育訓練給付金などがあるが、その拡充が必要だ。国内雇用の創出につながる外国人材の受入れが必要だという別の話もありました。
また、奨学金を得ている人を支援するべきだ。コロナ禍の中で返還が難しい。部分免除を認めるべきではないかといった御指摘がありました。
別の民間議員からの御指摘です。成長戦略のデジタル化、グリーン化、一極集中是正は、いずれも経済の移行を図るものである。縦割りではなく、強固な制度設計が必要。
グリーン化は産業政策でもある。EUは中国の動きに驚愕しつつ連携している。中国が2060年までにCO2排出を実質ゼロにする目標を立てたのは、重要な出来事である。これは巨大な脱炭素市場が生まれたことを意味しており、中国は汎用的な製品を作ろうとして、政府による産業支援を含めどんどん投資していくだろう。アジアの国々がそこに流れてしまうおそれがある。日本は早く優位性を築くことが必要。グリーン化については、安全保障上の観点からも、日米で協力して中国に対抗していくべきであるといった御指摘がありました。
以上が民間議員からの御発言です。これを受けて、閣僚からの御発言です。
まず、最初に小泉環境大臣の資料5に関する御発言です。気候危機とコロナ危機に対応するため、単に元に戻るのではなく、環境省では脱炭素社会・循環経済・分散型社会への三つの移行による経済社会のリデザインを提案している。これは1ページ目に関わる御説明です。
2ページ目に関わるお話として、CO2の排出量の約6割はライフスタイルに起因していて、これらの早期の脱炭素化が重要だというお話がありました。
3ページ目に関わるお話として、本日はグリーン成長の実現に不可欠な地域とライフスタイルの観点から、3点を提案したいという話です。第1に、地域の再エネ主力化のためのイノベーションの社会実装を加速すべきで、例えば浮体式洋上風力というのは新たな魚礁となって地元の漁協からも歓迎されている。需要が増加するデータセンターのゼロエミッション化も進めていく。また、現在9割の自治体でエネルギー収支が赤字だが、脱炭素化により地域を黒字へ転換させることで地方創生につなげていくべきだというお話が第1の指摘です。
第2は、動く蓄電池としての電動車というのが再エネとの親和性が高く、災害時の電源にも活用可能だと。環境省ではEV等の導入を支援しており、各省と連携して取組を強化していきたいということ。
第3は、毎年、お風呂場でヒートショックによる死者が年間2万人に上っていて、これは交通事故死亡者の6倍に当たるそうです。命と健康を守るため、そうした住宅の断熱化というのを進めていきたいというお話があり、以上3点をグリーン成長の柱に位置付けていきたいという御発言がありました。
資料6は梶山経済産業大臣の御発言に関するものです。まず、2050年カーボンニュートラルへの挑戦は、すなわち日本の新たな成長戦略です。あらゆるリソースを投入し、経済界とともに経済と環境の好循環を生み出していきます。産業界の旗振り役である経済産業省として全面的に取り組みます。
カーボンニュートラルに向けては、温室効果ガスの8割以上を占めるエネルギー分野の取組が特に重要です。カーボンニュートラル社会の実現に向けては、再エネ・原子力など使えるものを最大限活用するとともに、水素など新たな選択肢も追求していきます。
カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な水素、蓄電池、カーボンリサイクル、洋上風力などの重要分野について三つ挙げ、具体的な目標年限とターゲット、規制・標準化などの制度整備、社会実装を進めるための支援策を経済産業省を中心にまとめますという話がありました。
引き続き、投資ができる環境づくりが重要である。金融庁や環境省とも連携しながら高い目標に向かって大規模に投資を行い、果敢に挑戦していく企業に対し、長期間にわたって支援を図っていきたいというお話でした。
その上で、新浪議員から御指摘のEUのタクソノミーについて、金融庁や環境省とも連携しながら、また、価値を共有できる国と協力しながら検討を進めていきたいというお話がありました。
併せて、新浪議員や中西議員から御指摘のあった投資を促す仕組みについて、大規模電源に対する投資を促すような仕組みを、総合エネルギー調査会などを通じて検討を進めているが、しっかりとした仕組みがつくれるように進めていきたいというようなお話がありました。
続きまして、武田大臣の御発言です。資料3-1「持続的な経済成長の回復に向けて」に関して2点御発言がありました。
2ページのR&Dの抜本強化について、5Gの次の世代の移動通信システムであるBeyond 5G、いわゆる6Gは、2030年代のあらゆる産業・社会活動を支える基盤になると想定されており、その要素技術の確立に向け、政府としていち早く取り組むことが、我が国の成長力強化を図る上で極めて重要である。このため、総務省としては、年内に「Beyond 5G推進コンソーシアム」を設置して、産学官の連携を強化するとともに、直近5年間を集中取組期間とし、民間等の投資を促す支援などにより、Beyond 5Gの研究開発を加速させてまいりたい。
資料3-1の3ページにある競争力強化に資するインフラの戦略的整備について、総務省では本年7月にICTインフラ地域展開マスタープランを改定し、計画的な整備を推進している。こうした取組により、2023年度末には、5Gの地域カバー率を世界最高水準の98%とすることを見込んで、力強く取り組んでいくという御発言がありました。
財務大臣からは、感染防止策を徹底しつつ、経済活動を再開していく中で必要となる対応は、新型コロナの知見がほとんどなかった時と比べて、経済活動の自粛を求めていたような段階での緊急避難的な対応とは自ずと異なってくる。今後はこれまでの対策の効果等も見極めつつ、ポストコロナを見据え、経済を動かしていく事業者・消費者への支援に軸足を移していくとともに、経済構造の転換等による生産性向上に支援を重点化する必要がある。
今後とも内外の経済動向を注視しながら、躊躇なく必要な対策を講じていく必要があるが、来年度に向かっては自律的な民需の回復により、プラスの成長が見込まれている。
単純な数字の議論ではなく、この民需の自律的回復と相まって、日本経済をどう力強く成長させていくかが一番大事である。これからの経済政策を議論する上で、民需の回復を脇に置いて、公需だけで支え続けるかのような誤解が生じないよう、是非、御留意いただきたい、という御発言がありました。
TPPを活用するべきだという話を受けて、西村大臣から来年日本はTPP議長国であり、サステナビリティやデジタル化などについてもあわせて議論したいという御発言がありました。
最後に、総理から御発言がありましたが、それはお聞きいただいたとおりです。
私からは以上です。






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