第15回記者会見要旨:令和2年 会議結果

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和2年10月23日(金)12:01~12:04
  • 場所:総理大臣官邸3階エントランスホール

1.発言要旨

経済財政諮問会議の概要を報告します。
本日は、「デジタル化の加速」と「新しい人の流れ」について議論を行いました。
いずれの課題も、デジタル化、それから新しい人の流れを強力に進めるということで共有できたと思います。
デジタル化につきましては、国、地方自治体のシステムの統一・標準化を実現し、ワンストップ・ワンスオンリーで利便性の高いサービスを実現していく。デジタル技術の活用で、新たな事業、新たな産業を創出し、経済成長につなげていくといった方向性を共有しました。
民間議員から5つの考え方が示されております。利便性最大化、縦割り排除、地方との一体性、橋渡し、それから公平性、これは包摂性と言ってもいいかもしれません。5点目が先取性の発揮、新しいことに挑戦をしていくということです。そのための規制・制度改革、この5つの考え方が示されましたけれども、こういったことを踏まえながら、総理から指示が出たところです。
また、人の流れにつきましては、デジタル化によって非常に連携しながら、新しい人の流れが生まれつつある今こそ、この流れを地域、企業の活性化につなげる。そのために、働き方改革、あるいは地方の受け皿を整備していくなどの改革を行っていく。この方向性を共有しました。
特に議論になった点を申し上げると、民間議員から、金融機関の役割の重要性、その役割を果たしていく上での規制の緩和について提案がなされました。全体の印象として、こうした問題意識も共有できたものと思います。
総理からは、テレワークや兼業・副業など新たな働き方に対応した就業ルールを年内に検討するように指示があったところです。
私からは以上です。





2.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

・日時:令和2年10月23日(金)12:33~13:04
・場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

令和2年15回経済財政諮問会議について、概要を報告します。
今回は、先ほど西村大臣から御紹介がありましたように、2つの議題がありました。一つは、地方への人の流れについて、もう一つは、デジタル化の加速についてです。
民間議員から、資料1や資料2、民間議員ペーパーについて御説明があり、2つの議題についてまとめて各議員より発言がありました。
主な御意見を紹介します。
まず、河野規制改革担当大臣です。
今回、民間議員から頂いたデジタル化の加速等に向けた規制改革については、しっかり受け止めて実現していく。
資料3について、デジタル化に向けた規制改革の取組として、オンライン診療、オンライン教育については、平井大臣プラスワンの関係閣僚と意見交換を行うなど、毎週、恒久化拡大に向けて迅速に取り組んでいるという御発言がありました。
また、押印の見直しについては、行政手続の不要な押印の見直しについて、各府省に検討要請を行った。結果、押印を求める行政手続、約1万5,000種類のうち、現時点で99%以上は要らないということだった。他方、存続の方向とする手続が111種類ありましたが、内容についてしっかり精査する。
さらに、押印に続き書面・対面規制の見直し、常駐専任義務の見直し、あわせて、税・保険料等の支払のデジタル化につなげていきたい。経済界の要望である再生可能エネルギーの規制改革も進めていきたいとの御発言がありました。
また2ページに、参考として、今月7日の規制改革推進会議で議長、議長代理がまとめて、地方を含めた経済活性化に関する審議事項を付けている。さらに、総理からの指示の下で、行政手続改革の目安箱、改組して内閣府の規制改革行政ホットラインという縦割り110番で国民の皆様からの御意見を受け付けている。菅内閣発足からこれまでに目安箱に4,200件超が、内閣府のホットラインに4,600件の意見があるので、頂いた意見も踏まえてデジタル化や地方活性化等の観点からの規制改革を推進していきたい、という御発言がありました。
続きまして、田村厚生労働大臣です。
リカレント教育の推進は、地方におけるセカンドキャリアの実現のためにも重要であると考えていて、厚生労働省としても、働きながらキャリアアップできるための支援や、個人が主体的なキャリア形成を行うための環境整備などを行っている。リカレント教育は政府全体で総合的に推進する必要があるため、関係府省で連携し推進してまいりたい。
また、ウィズコロナ・ポストコロナの新しい働き方として、良質なテレワークの定着・拡大を図ることも重要であると考えている。現在、厚生労働省においてテレワーク検討会を開催しており、年内に一定の取りまとめを行い、より良いテレワークの導入・普及を進めていくという話でした。
続きまして、平井デジタル改革担当大臣の御発言です。
新型コロナウイルス感染症への対応において、デジタル敗戦と呼んでいる我が国のデジタル化の課題を抜本的に解決するためには、行政の縦割りの打破と規制改革の断行、さらには我が国の成長戦略の柱となるデジタル改革を進めることが不可欠。総理からは、スピード感を持ってデジタル改革を実現するため、強い権限を有するデジタル庁を創設するよう御指示を頂いた。今、作業に入っている。
先週、デジタル・ガバメント閣僚会議の下に「デジタル改革関連法案ワーキンググループ」を開催し、今後10年、20年後のあるべき日本の社会を見据えた議論を開始したところであり、本ワーキンググループでの議論を踏まえ、年内に基本方針を取りまとめ、必要な法案を次期通常国会に提出予定である。IT基本法を20年ぶりに抜本改正するという話もありました。
それから、デジタル庁の創設に当たっては、徹底的に国民目線にこだわり、国民に対するサービス向上や価値創造に加え、誰もが取り残されないよう、デジタル化で国民を幸せにするという視点が不可欠。これまでの霞が関の前例にとらわれず、民間人材を積極的に活用するとともに、予算や権限を強化し、デジタルトランスフォーメーションの推進に向け、各府省や地方を強力にリードできる組織とすることが重要と考えている。皆様の協力をお願いしたいといったお話がありました。
次は、梶山経済産業大臣です。
本日2つの議題は重要な課題であり、改革の具体化に向けて経済産業省としてもしっかり取り組んでいく。
デジタル化に関しては、この1年間で経済産業省は5Gのインフラの導入加速やデジタルプラットフォーマーの取引透明化など3本の法律を成立させてきた。平井大臣を中心として、関係府省と連携しながら更なる加速化に取り組んでいく。
また、地方への人の流れについては、地方の中堅企業と都市部の若者人材のマッチングなどを強化していきたいというお話がありました。
続きまして、武田総務大臣です。
まず、資料4-1を御説明され、感染症が拡大する中、国民の意識や行動が変容しているタイミングを捉え、東京一極集中の是正に向け、地方回帰を支援する。総務省としても、地域おこし協力隊をはじめ、「ひと」の支援や、自立分散型地域経済の構築、テレワークの推進など施策を結集して人の流れを加速し、活力ある地方の実現に取り組む。
昨日、北海道の栗山町などを訪ね、「地方回帰ふれあいトーク」を実施し、有意義な意見交換ができた。総理からも御指示を頂いたように、今後も、積極的に地方に出向き、地域の声を直接伺い、施策に生かせるよう努めていくということです。
あわせて、資料4-2にて、行政のデジタル化の加速化に向け、地方公共団体との協力が極めて重要と考えている。行政のデジタル化の鍵であるマイナンバーカードの普及、地方公共団体の情報システムの標準化、個人情報保護制度の見直しに積極的に取り組んでいく。マイナンバーカードの普及については、市町村に「普及促進策」や「交付体制整備」の計画の改定・強化を求める。私自身が日本相撲協会を訪問し協力を要請した。引き続き、広く、働きかけていく。
13日には、地方六団体に呼びかけて意見交換を行った。各会長からは、「国とともにデジタル化を推進する」との考えが表明されている。今後とも地方との連携・協力を深めていきたい。平井デジタル改革担当大臣ほか関係閣僚と連携し、私自ら率先してデジタル変革を加速させていく。
携帯電話等の通信料金の低廉化については、私が直接事業者や国民利用者と意見交換を行ったところであり、こうした御意見も踏まえつつ、事業者間の公正な競争が働くよう競争ルール等の環境整備を行うことを通じて、安く、分かりやすく、納得感のある料金やサービスの早期実現に向けて取り組んでいきたい。
民間議員ペーパーにある提案については、自らの考え方を紙で示しているので、御参照いただきたいといった御発言がありました。
続きまして、麻生副総理です。
ポストコロナの新しい経済社会を創っていくため、国民の理解を得ながら社会全体のデジタル化を進めることが不可欠であり、政府として積極的に議論を進めていくことが重要である。その際には、マイナンバーやマイナンバーカードの利活用を進めることにより、使う人の利便性が高まるようしっかりと取り組んでいくことが必要であると考えている。
次に、地方創生の取組において、地方金融機関は重要な役割を果たすことが求められている。こうした観点から、出資を通じて地域の事業再生や事業承継、ベンチャービジネスを柔軟に支援できるようにするための出資規制の改正見直しなど、制度面を含めた環境整備に取り組んでいきたい。
また、地域企業と金融機関等の専門経験を有する人材とをマッチングしていくよう促していく。
コーポレートガバナンス改革については、コロナ後に向けた企業の改革をどう進めていくかが課題。
その中で、社外取締役の質・量の向上、女性、中途採用者、外国人等の登用を通じた経営人材の流動化や多様性の確保が重要なテーマだと考えている。これらも含めてコーポレートガバナンス・コードの改定に向けた検討を進めたい、というお話でした。
これを受け、民間議員から更に御提案がありました。民間議員から個別の資料がいくつか用意されており、それについて言及しながら質疑が行われました。
最初に資料6-1、6-2、新浪議員のお話です。
資料1-2の最初のページ、2ページに、IMFの見通しを付けておりますが、IMFの見通しで、日本は潜在成長率が低いことにより、コロナ後の日本の回復は遅くなっている。安倍政権下で労働や資本の投入量が増えたが、全要素生産性は下がっている。これではIMFの見通しどおりになってしまう。
資料6-2に記載している若い国会議員の有志による提言は、的を射ていると思う。日本は、デジタル投資、IT投資を行ってこなかった。生産性向上のための投資もしてこなかった。お金は持っていたのに使わずに貯め込んでいた。成長は公的部門に依存し、民間投資が少なかった。この投資をさせないといけない。経営の高齢化、硬直化の問題を考えないといけない。
ユーザー企業は必要な人材投資をしてこず、ITベンダーに頼りすぎている。必要な人材投資をしてこなかったということ。日本は外的登用が少なく、硬直的な状況は同質的な社長につながっており、同質性に課題がある。新しいことをやる活力に欠け、社会の年齢が高い。コーポレートガバナンスの質を高める必要がある。スチュワードシップ・コードの強化でお金を使うこと等を促すべきだと。これについては、まずは、地方銀行とメガバンクでやっていくべきだと。出資規制を5年から7年に限り、20%まで認めるといったことなどをするべき。
規制改革で、河野大臣にお願いしたいこととして、資本を出すと良い人材が出さざるを得なくなる。現場を知っている人が、偉くなって引っ張るべき。
デジタル庁に権限、予算、人材を集めて、省になる気概で頑張ってもらい、人材が流れるようにベンチャーも活用して進めてほしい。
マイナンバーで検査や診療もできるよう、結び付けて医療サービスの向上につなげてほしいという御発言がありました。
続きまして、資料5が個別の追加問題提起の資料なのですが、これに沿って柳川議員から御発言がありました。
まず人の新しい流れが重要で、大企業の従業員が兼業、副業をお試しでやってみる、オンライン入試の導入など、銀行出資規制緩和、ただし、ハンズオンでできる人材不足があるので、再生ファンドの経験者とかを外部から地方に入れる必要があるとのことでした。お試し期間、例えば任期付きだとか長期の試用期間みたいなものも必要で、リカレント教育が大事、人は適切な場所を得ることで変わるので、このため、スキルアップやOJTが必要とのことでした。デジタル化システムの統一標準化については、地方の現場も分かっている人材をデジタル庁に採用するなど、行政組織の働き方も重要、またデータ活用事業は大きな可能性があり、規制改革で新産業の創出をお願いしたいという話でした。
続きまして、竹森議員です。先週のIMF世銀総会で、まず財政金融より経済の立て直しをとの画期的メッセージが出たが、財政再建前は中銀のヘルプが必要とのことでした。低金利だと、銀行は利ざやでは経費が立ち行かなくなり、リスクを取る主体に戻らないといけないので、エクイティ型の資産にすること、国の財政金融の観点からも必要だが、預金を直接入れるのは危険であり、投資専門会社を経由してある一定期間業務範囲の規制を付けている。今、地銀に経営指南できる人材がいない、総合商社には分かる人がいるので地銀と組むことが必要で、協力して投資運用のスコープを広げることが大事であり、地銀が「利ざやを取る」から「リスクを取る」というのに変わること、業務内容を広げること、商社、地銀、企業をつなげていくことについて麻生大臣はどのように考えておられるのかといった御質問が麻生大臣に対してありました。
武田大臣にお伺いしたいこととして、地方創生にはデジタル化、リカレント教育は大事で、企業の受皿には金融の司令塔が必要。総合的な立場である経済財政諮問会議はいろんな分野の足並みも見たいが、改革の取組に銀行を入れてほしいとのことでした。システム標準化は大事でベンダーロックインの不効率をなくすことも大事だが、最終目標を考えてほしいとのことでした。
田村大臣からは、マイナンバーカードを健康保険証に適用することについて、来年4月に向けて準備をしており、必要なカードリーダーについて10分の10の補助で用意している。チップの画像データをリーダーの読み取りで、一発で本人確認ができるような免許証との一体化を進めていきたいとのお話がありました。また、働き方お試し期間、紛争を起こさないためのルールを自分が以前厚生労働大臣だったときに定めたが、有期雇用でお試しにやるというような方法もあるのではないかと思うとのことでした。40歳定年制というのは民間議員からも御提言がありましたが、次の目標を探すということ、棚卸しをするということは重要だと思うが、会社にいながらやると、教育訓練給付制度のメニューの活用となるけれども、今のメニューは時代に合わないというお話がありました。
平井大臣からは、保険証の資格確保、来年の4月に全国どのくらいの病院にマイナンバーカード読み取り機が整備されるかは課題であり、関係大臣にも御協力いただき、100%その読み取り機が各病院にあるという状態を目指すぐらいの勢いが大事だという話がありました。デジタル化はこれまで中途半端だったが今回は腹を括ってやるということで、デジタル庁の設置になったと理解しており、国・企業のマインドセットを変えるにあたり、今までの霞が関のやり方では進まない。テレワークをデジタル庁自ら実施し、根本的なアーキテクチャーを変える人の協力が必要なので、頑張っていきたいという趣旨の発言がありました。
河野大臣からは、従来からの要望もあり、中小企業の個人保証を見ているところでそれは規制改革会議で既にやっている。政府統計のフォーマットの統一も、併せて進めていきたいというお話がありました。
梶山大臣からは、産業の新陳代謝が大事で、人材のリカレント教育や人の移動については、経産省内でも議論をしており、企業内でもITは使える人が少ないので、対応が必要だという発言がありました。
武田大臣からは、デジタル化、ローカル10,000プロジェクトというのをやっており、また産学金官で地方密着型の企業の立ち上げ支援をしているところであるとの話がありました。自分自身、地方を回っている中で気付いたが、地方の情報の吸収力が大事で、吸収力や発信力がまだまだ足りないと思うので、これを更に高めていきたいという御発言がありました。
麻生大臣からは、地銀の経営がきついということだが、金融への規制を緩和して、いろんな仕事ができるようにしていきたい。海外に売る術は商社がやっているが、銀行は貸出し制限等を考えていかなければいけないというお話がありました。
最後に、総理から締めくくりの発言がありましたが、お聞きになられたとおりです。
私からは以上です。





(以上)