第12回記者会見要旨:令和2年 会議結果

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和2年7月30日(木)19:02~20:32
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

お待たせしました。できるだけポイントを絞ってお話しします。
まず、一点目、未来投資会議についてです。本日から拡大した未来投資会議ですが、第1回目を開催しました。
新たな成長戦略に向けた議論ということで、新型コロナウイルス感染症によって社会が大きく変化していく中で、「新たな日常」に向けて、成長戦略も改めて検討を進めていく必要があると思います。このため、現在の感染症の時代、さらにはその先の新たな社会像も視野に、医療分野の専門家の方々にも入っていただき、また、新たなメンバーも加えて、当分の間、未来投資会議を拡大して議論を行うということにいたしました。
初回である本日は、今後の議論の進め方やどういうテーマについて議論をすべきかについて自由に御議論いただき、御意見を頂きました。
主な結果を申し上げます。感染の拡大をできる限り抑えながら、社会経済活動との両立をしっかりと図っていくという難しい厳しい道のりの中で、事業と雇用と何としても守り抜く必要がある。このため、仕事の進め方の更なる見直しを進め、新しい働き方を定着させるとともに、「新たな日常」に向けたビジネスモデルの変革を進めていく必要がある。さらに、新たな時代に向けて、次なる事態にも備えることのできる強靱性を持った社会構造を構築していく。未来に向けた社会変革の契機としていく。政府も、官民の英知を結集して、これらに向けた環境整備を検討し、実行していく。
以上が様々な議論の概要ですが、本年末に中間報告を、来年の夏に最終報告を取りまとめることができるよう、議論を進めていくことになりました。
民間議員の方々からは、具体的なテーマについて、いくつか、それぞれのお立場から御提案いただきました。コロナへの対応と経済の両立や、新しい資本主義像、脱炭素社会など持続可能性を持ったクリーンな社会像、新たな働き方の定着、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、海外との人の流れの回復、ビジネスモデルの改革や事業の再構築、国際情勢への対応というようなテーマが御意見の中にございました。
私の方で、今日、頂いた御意見も整理し、今後の未来投資会議のアジェンダを決めていければと考えています。
最後に総理から、私に対して、本日の議論を踏まえて、今後の審議についての具体的なテーマ設定を行い、議論ができるように調整するよう指示がございました。
二点目、経済財政諮問会議について、本日は定期的に議論を行っております「金融政策、物価等に関する集中審議」と併せて、本年度と来年度の経済見通しである年央試算について議論しました。
年央試算につきましては、内閣府作成の試算を会議でお示しをして、意見交換させていただきました。試算結果はお手元にある資料のとおりであります。詳細については割愛しますが、次のような内容です。
本年度の経済成長率は実質マイナス4.5%、そして来年度2021年度は実質プラス3.4%となっており、内需主導で回復していくということです。
参考に、国際機関としてOECDや世界銀行が示しております秋に海外で大規模な波が生じるというシナリオが実際に起これば、2020年度はマイナス5.0%、2021年度はプラス3.0%となり、0.5%程度ずつ、下押しされるということです。
いずれにしても、繰り返し申し上げていますとおり、4月・5月を底に内需主導で回復を図っていきたいと考えています。感染拡大防止と経済社会活動の両立をしっかりと図っていくことが大事です。「新たな日常」が定着していく中で、第一次補正予算及び第二次補正予算を着実に実行することで、こうした回復の絵姿を描き、実現に向けて全力を挙げていきたいと考えています。
こうした上で、経済財政諮問会議では、当面の経済財政運営や骨太の方針の実行に向けて議論を行いました。今申し上げた「新たな日常」への移行を進めることが不可欠であり、テレワークやワーク・ライフ・バランスなどの推進に当たって障害となっている課題を早急に洗い出し後戻りさせないよう、経済財政諮問会議で徹底的に話し合うべきという議論。
あるいは、これまでの様々な措置、経済対策の進捗状況やその効果の出現状況等を踏まえて、消費・投資・公共投資など、幅広い観点から経済情勢を評価・分析すべき。
それから、そうしたことを踏まえつつ、10兆円の予備費の活用を含め、臨機応変かつ機動的なマクロ経済運営を講じると同時に、インセンティブを活用するなど、民間活力を最大限に引き出す取組を推進し、本日お示しした年央試算にある着実な経済回復を実現すべき。
そして、「新たな日常」の早期の実現に向けて、年内に策定することとされた実行計画の内容を充実させることが不可欠であり、速やかにその策定に着手すべき。できることのみならず、必要なこと全てをこの実行計画に盛り込むべきという方針で策定すべき。
経済財政諮問会議としても、「選択する未来2.0」における議論も踏まえつつ、実行計画全体が骨太方針2020に沿って、統一的な考え方の下で策定される内容となるように取り組むべきというお話がございました。
5つの柱を中心に、実行計画については、各省庁と緊密な連携の下、全体として総合的・統一的に策定していきたいと考えております。
総理の締めくくり発言指示については、お聞きになったとおりであります。詳細については、後ほど、未来投資会議も同様、事務方から御説明させていただきます。
それから、景気動向指数の関係です。本日、景気動向指数研究会が開催され、今回の、いわゆる「アベノミクス景気」の山が2018年10月に設定されました。
景気動向指数については、内閣府経済社会総合研究所において毎月公表させていただいています。景気基準日付については、CI一致指数の各採用系列から作られるヒストリカルDI、つまりプラスとマイナスというDIの経緯を示していますが、これに基づいて、景気動向指数研究会での議論を踏まえて、経済社会総合研究所長が設定するものとなっております。そして、この一致指数の採用系列から作成したヒストリカルDI、プラスとマイナスの数が50%を上回る直前の月が景気の谷、50%を下回る直前の月が景気の山になるとルールで決まっていますので、この手法に基づいて検討されました。
その結果、それぞれ10項目の指数、これらは後ほど説明しますが、毎月、これらがプラスかマイナスか表示していきます。そして、2018年11月以降、その11月では7項目がマイナスになりました。10月は、マイナスが5つ、プラスが5つで50%でしたが、11月では、50%を下回り、その後、マイナスが更に増えていった。2019年6月には、全てマイナスとなって、その後、継続してマイナスになっているということで、景気動向指数研究会が開かれ、2018年10月を山とするということです。
したがって、今回の「アベノミクス景気」は、大変残念ですが、71か月間の景気拡大、景気回復局面です。そして、戦後最長は2002年の1月から2008年の2月までの73か月ということです。ちなみに、よく言われる「いざなぎ景気」が57か月で、谷の1965年10月から山の1970年7月までであり、戦後2番目の長さになります。
今回、設定された「アベノミクス景気」の山と、政府の景気判断については違いが生じています。そのことについて御説明します。
実は、政府の景気判断については、月例経済報告でお示ししております。景気動向指数は、実は10項目、生産面では鉱工業生産指数など、支出面では商業販売額など、雇用面では所定外労働時間や有効求人倍率などを評価しています。見ていただければ分かりますが、実は、経済が大きく変化する中で、例えば、鉱工業生産や耐久消費財の出荷指数などは評価に入りますが、第三次産業活動指数は景気動向指数の10項目に入っていません。他にも、サービス産業関連について、外食や旅行の取扱いは入っておりませんし、住宅着工件数なども入っておりません。公共工事も入っておりません。それから、雇用についても、アベノミクスが非常に重視してきた総雇用者数や雇用者所得といったものも入っていません。そして何より、総合的な全体の経済を見るGDPも入っていない。我々は、日銀短観や景気ウォッチャーなど様々な日次・週次のデータや個社のヒアリングなども行っています。これまでそういったことは入れずに、この10項目について言わば機械的に行ってきましたので、その手法に則って、今回、景気動向指数研究会で判断されたということです。
これまで長期的に見ると、確かにこの景気動向指数と実質GDPとを見比べても、ほぼ同じような動きをしていますので、そういう意味では、所々でレベル感の差はあるけれども、大きな傾向としては、景気動向指数で見るということは、これまでは一つの手法であったと思いますが、先ほど申し上げたように、今は、サービス産業化、第三次産業が非常に大きなウェイトを占めるようになっているにもかかわらず、そういったものが評価に入っていない。住宅や雇用についても入っていない。政府の景気判断とは、そういった違いがあります。
特に、皆さんも関心があると思いますが、私どもは1月・2月まで景気が回復してきていると判断していましたが、GDPは、後から公表されるためレベル感の差はあっても、確かに景気動向指数と同じような方向は示していましたが、2018年の第3四半期以降、変わりました。景気動向指数だけで見ると、景気回復が後退局面に入る。しかしGDPの数字は、実はその後も上向いていました。ここで違いが出ています。
私どもが個人消費について特にどう見ていたかこれまでもお話ししましたが、実は1月・2月は、消費税率引上げの影響が薄らいできて、消費は上向いていました。これは消費総合指数ですし、家電の販売額なども1-2月の平均は10-12月の平均よりも上向いていました。外食の売上なども上向いていました。それらがコロナによって、それぞれ大きく下振れしていったわけです。
安倍政権とアベノミクスが非常に重視している雇用者数は、2020年2月までは所々に凸凹はあるけれども、6,051万人という非常に高い数字で推移していました。また、実質総雇用者所得は全員の所得であり家計の総所得といっても良いと思いますが、これについても、1-2月の平均は10-12月と比べて上回っていました。
今、申し上げたように、サービス経済化し第三次産業のウェイトが非常に高くなっている。それから、今回、景気動向指数が、GDPと反対の動きをしていた。その背景に、サービス産業・雇用者数・総雇用者所得といったものがあります。私としては、「アベノミクス景気」の山がこういう形で判定されたことは非常に残念ですが、これは、先ほど申し上げたように、景気動向指数の内訳によるものと理解しており、政府の景気判断では、景気動向指数が評価に入れていないものも含めて総合的に判断してまいりましたので間違っていなかったと今も確信しております。
その上で、景気動向指数と政府の景気判断に違いが生じていますので、今後こうした違いが生じないように、経済社会総合研究所では景気動向指数及び景気基準日付の判定手法の見直しについて検討を行っていくことを予定しています。
そして、本日の景気動向指数研究会では、吉川先生が座長で経済学者の皆さんが集まっておられ、吉川先生の会見もあったと承知をしていますが、経済構造の変化を踏まえて我が国の景気動向を的確に把握していく必要があり、そのために見直しについて検討する必要があるという意見が出され、委員の間でも共有されたと聞いています。したがって、今回、これまで長い目で見れば、景気動向指数と政府の景気判断は同じような傾向を示してきたわけですが、特に、2018年の秋以降、GDPと景気動向指数が違う方向になったということで、これを踏まえて、現在の景気動向指数の評価対象では足りないのではないか、サービス産業化、そして公共投資や雇用をもう少し見るとか、GDPなど、様々なものが評価の指標として考えられますので、今後、景気動向指数の在り方を経済学者も交えながらどう考えていくか。例えば公共投資は、経済が落ち込みそうな時に政府が行う話ですから、民間の景気の動向を見るために、これを入れることが良いかどうかという議論があると思います。それから雇用についても、御案内のとおり、景気が良くなって、通常はそれから遅れて雇用が増えていきます。あるいは悪くなって、しばらくしてから雇用のデータは悪くなると、いわゆる遅行指数、遅れて出てくる指数でもあり、景気をどう見るかということについては様々な議論がありますので、経済社会総合研究所においてしっかりと検討をしてもらい、また経済学者とも議論を重ねていただいて、より良い形にできればと考えています。
これには一定の期間がかかると思いますので、当面はこの景気動向指数を公表していきますし、今回、残念ながら71か月ということで戦後最長にはならなかった「アベノミクス景気」の山が2018年10月ということですが、昔に遡って全部見直すとすると、「いざなぎ景気」がどうだったかとか様々な議論を呼びますので、今回はこれで経済学者の皆さんが、景気動向指数研究会で、これまでのルール・手法に則って判断されて、そして経済社会総合研究所もそれを受けて判断したということですので、是非そういった御理解していただいて、今後、景気動向指数が景気の判断と違いが無いように、景気動向指数がどういった指標で見ていくのが良いのかについて、しっかり議論を重ねていければと考えています。
それから、最後に、新型コロナウイルス感染症対策分科会について申し上げます。明日、7月31日10時半から、第4回の分科会を開催します。今回は2点について御議論いただく予定です。
一つ目は、国民の皆さんの最大の関心であると思います。今の感染状況について分析、そして評価いただければと思います。私も日々、意見交換をしております。これまでも申し上げてきていますとおり、今日、新規感染者が何人出たという話。東京は今日367名ということですが、何かこれを聞くと、今日367人感染したというイメージになられる方も多いと思いますが、実はこれは何日か前に感染しているわけです。それが発症して検査を受けて、今日報告があったという数がこの367人です。無症状の人は除かれています。無症状の人を全て把握することはできないことから、発症された方の傾向を見るものということが、感染症専門家の皆さんの基本的な立場であると言われています。したがって、この367名の方がいつ感染したのか、これが何名の方は3日前、何名の方は4日前、何名かの方は5日前と振り分けられていきますので、その発症日ベースの感染のグラフを見て、感染が拡大しているのか横ばいなのか見るということです。日々、この分析を行っていただいています。これは東京のみならず、感染の報告者が増えている大阪・愛知・福岡をはじめとして、全国の分析を行っていただいています。そして、その分析を行いながら、拡大している理由はどこにあるのか、クラスターがどういう状況なのか、あるいは感染経路不明の人がどのぐらいいるのか、どういったことで感染が広がっているのかといったことも分析していただいています。
大阪・愛知・福岡で感染が増えていますが、専門家の皆さんの分析によれば、先週、東京でかなり大きな数が出ました。そうした中で、地方にはやや遅れて、いわば伝播をする期間が、タイムラグがあって、地方で数が増えるのは少し遅れて出るという傾向があります。このため、今週、そうした大阪府や愛知県では少し数が増えるかもしれないということで、専門家の皆さんも、想定をしながら対策についても議論を重ねてきています。
いずれにしても、そうした感染状況の分析と評価をしていただき、そして、今後想定される感染状況あるいはその判断に当たっての考慮すべき要素について御議論いただきたいと思っています。また、明日は、増加傾向を示している東京都知事と大阪府知事にもテレビ会議で御参加いただき、現在の感染状況、そして対策についても御説明いただき、意見交換できればと考えています。
二つ目は、前回に引き続き、ワクチン接種の在り方について御議論いただく予定です。国内外でワクチンの開発が進んできていますので、そのワクチン接種ができるタイミングになった時にきちんと対応ができるように、この在り方についても準備を進めていきたいと考えています。
いずれにしても、感染状況の評価、対策などについて御議論をいただいて、現在のこの感染の波をこれ以上大きくしない、減少傾向に変えるために、関係省庁も対策をそれぞれの団体に、あるいはそれぞれ対応してくれていますし、地方自治体とも連携して取り組んでいきたいと考えています。
そして、その関連で一つ申し上げます。接触確認アプリの「COCOA」について、先週22日に、面識の無い人とバーで居合わせた女性が、「COCOA」によって陽性者との接触を知り、つまり1メートル以内で15分以上いたということの通知を受けて、そして検査を受けたところ、通知を受けた御本人の陽性が判明したということを聞いています。ある意味で、新型コロナウイルスの感染拡大防止やクラスター対策に、この「COCOA」が役立つことを示す一例だと思います。通知を受ければスムーズにPCR検査を受けられます。御自身がどこかで陽性者と濃厚接触したかもしれないということを早く通知されますので、御自身の健康と命を守るためにも、また、愛する大事な家族や友人の健康を守るためにも、是非、多くの方にインストールしていただければと考えています。電話番号も位置情報も取りません。個人情報は一切取りません。近くにいたスマホ同士を記録して、そして、あるスマホを持っている人が陽性と分かった時に通知される仕組みです。是非、インストールしていただきたい。今、正に、保健所が、クラスター対策として、濃厚接触者を追い掛ける負担が大変重くなっています。このインストールがあれば、より効果的・効率的にクラスター対策を行うことができますので、是非、お願いをしたいと思います。今日の時点で950万人の方にインストールしていただきました。是非できる限り多くの方にインストールしていただければと思います。
私からは以上です。





2.質疑応答

(問)景気動向指数研究会のことで教えてください。
大臣の今の御説明でも、今日の研究会でルールに則って判定を下したわけですが、景気の実態は月例経済報告で示している政府の認識の方が近い・正しいのではないかというお話だったと思います。一方で、現行のルールに則って判定すれば戦後2番目の長さの景気拡大になるかと思うのですが、この間、経済成長率が過去の景気拡大局面と比べると必ずしも高くなかった。また、実質賃金なども伸び悩んだという指摘があります。今回、大臣がおっしゃっていたアベノミクスの景気拡大局面における経済成長の実感が乏しいということについて、どう受け止めていらっしゃるか教えてください。
もう1点、大臣は判定の方式の見直しが必要ではないかということで内閣府が検討するということでしたが、ともすれば、それは政府が都合の良いように数字を設計する、もしくは、恣意的な数字が出てくるという見方もあるのではないかと思います。アメリカなどでは民間機関が景気の山谷の判定をしているわけですが、恣意的なものにならないかどうか大臣の見解を教えていただけないでしょうか。


(答)アベノミクスで最も重視してきたのが雇用です。有効求人倍率では、全ての都道府県で1を超えて、仕事を選ばなければ、求職している人1人に対して1つ以上の仕事があるという状況になりました。自分がやりたい仕事が自分の持っている技能と合う・合わないはありますので、マッチングはしっかりしていかなければいけません。また、同じ都道府県内と言っても広いですので、当然遠いところに通えないという事情もあります。それでもそういった状況を作り、雇用者数が6,051万人。今の時点での正確な数字は持ち合わせていませんが、女性も仕事に就かれる方が増え200万人以上、そして、高齢者も元気な方が増える中で200万人以上。そういった方が新たに仕事に就かれました。これまで仕事に就いていなかった人が就くようになったと思います。
そういう意味で、経済成長を実感、もしくはどう感じるかは、お一人お一人違いますので、それについてはそれぞれの御判断はあると思いますが、とにかく仕事が増えた。そして、雇用者が増えた。そうした中で、雇用者が増えますので、実質の平均賃金については、何度も申していますが、例えば、夫がこれまで働いていて40万円、奥さんが働いていなかったとなると40万円と0円で2人の平均は20万円ですが、女性がそもそも求職していなければ働いている人だけで考えて平均40万円で計算されます。ところが、女性が働くことによって月10万でももらえば、2人の平均は25万円となり、先ほどの40万円から比べれば下がることになります。でも、家計としては40万円から50万円に10万円増えることになります。
非正規雇用のウェイトが増えることによって平均賃金が下がっていくということがあるため、1人当たりの賃金で見るということは非常に難しいのですが、そこで全員の所得を見ると、これまでアベノミクスの下で、もちろん凸凹はありますが、全体としては増加傾向にあって、1月・2月は消費税率引上げによって落ちた分を上回る形で、つまり消費税率引上げの影響が薄らいでいく形で景気回復がなされつつありました。
いずれにしても、やはり雇用や家計の総所得で見ると、これは増加傾向にありました。それぞれが期待したほどの伸びがないというのもあるかもしれません。また、そんなに仕事をせずにもっと所得があれば良いと思う方もいらっしゃるかもしれません。また、人手不足の中で忙しくて大変だという様々なお考えはあると思いますが、安倍政権として、雇用、そして総所得を大事にしながら、お一人お一人がそれぞれのお立場の中で実感できるように対応してきました。
今回、新たにテレワークなども経験しましたので、今後は、時間にとらわれない働き方、そして、例えば画一的に満員電車で行くのではなくて、それぞれのお立場でより多様な働き方を実現し、デジタル化によって、より効率的に働く。こういったことも含めて、全ての人が経済成長を実感できるような、金銭だけではないワーク・ライフ・バランスなど家族との時間なども含めた豊かさも実感できるような成長になるように、引き続き拡大された未来投資会議でも議論していきたいと考えています。
その上で、先ほど申し上げた指標について、明らかに第三次産業が入っていないなどの様々な議論があります。先ほど申し上げたように、公共投資は民間の景気の動向を示すのにふさわしいかや、景気の状況を示す指数に、例えば機械受注とかの先行指数、また、一致指数、それから雇用などについては遅行指数があります。
経済社会総合研究所において、かつての経済企画庁の官庁エコノミストに集まって、こういった指数についてどう考えていくのかを議論してもらおうと思いますが、当然、政権に都合の良いようなことをするつもりは全くありませんので、是非、経済学者の皆様の意見も聞いて判断していければと思います。今日の景気動向指数研究会でも、経済学者の委員の皆様の間で、やはり見直しは必要という意見が共有されたと聞いておりますので、経済学をやっておられる多くの方々から、経済に携わっておられる方々から、理解をされ納得をされる指標にすることができればと思います。



(問)新型コロナ対策についてお聞きします。
小池東京都知事は「酒類を提供する店舗等の営業の時間短縮を求める」という考えを明らかにしました。これについて政府のお考えをお聞きしたいです。
それから全国でも感染の確認が増えていますが、明日の新型コロナウイルス感染症対策分科会で「Go Toキャンペーン」、特に「Go Toトラベル」についての見解を求められるお考えはありますか。


(答)今回の東京都の営業時間短縮の要請につきましては、直近の感染状況などを踏まえて、都知事の判断で行われるものと承知しています。国としてもガイドラインに基づく感染防止対策を講じている事業者に対しては、持続化補助金で最大200万円まで補助も行っているところです。明日の分科会も都知事に御出席いただいてのテレビ会議になると思いますが、現在の感染状況や対策についても議論いただくことになっておりますので、そうしたことを踏まえながら、今後の取るべき対策について議論を進めていきたいと考えています。感染状況をどう評価するのかについてしっかり専門家の皆さんに分析していただいた上で御意見を頂きながら、また、前回、今後の感染拡大に備えてしっかりと対策を検討し講じるべきという御提言も頂いていますので、こういった対策についても議論していきたいと考えています。
いずれにしても、以前、私も例として挙げたことがあると思います営業時間の短縮や、大阪で検討されていると聞いているガイドラインを講じていない対策をしっかり講じていない所に対する休業要請も対策の1つだ思います。明日、様々な対策を議論したいと思いますし、また、それぞれの地域の感染状況を踏まえて、知事の御判断で対策を取っていき、そのことについては、それぞれの知事が説明責任を果たしていただくということだと理解をしています。 それからもう1点、「Go Toキャンペーン」について、私も今日の国土交通委員会の議論を全て見ていたわけではありませんし、承知しておりませんが、明日、直近の感染状況の分析・評価いただくわけですので、その中で様々な議論があると思います。しっかりお聞きしたいと思いますし、そうした御意見も踏まえて国土交通省において適切に判断されていくものと理解をしています。
専門家の皆さんからは、先般16日に御判断いただいて提言を頂いたわけですが、その時は東京を対象外とすることで一致して、専門家の意見としてそれで良いということで了解を頂きました。ただし、若者の団体旅行や、リスクの高い高齢者の団体旅行、あるいは宴会を目的とするような団体旅行については控えるようにという提言も頂いています。
その上で、その後、毎日、専門家の皆さんと議論させていただいていますが、直近の感染状況を受けて何か対応すべきという御意見は、現時点では頂いておりませんけれども、明日こうした様々な感染状況の分析がなされる中で、分科会の専門家が全員集まります。私も毎日全員と議論をさせていただいているわけではありませんから、全員来られた中で様々な意見・議論があると思いますので、そうした御意見をしっかりと踏まえて私自身も判断していきたいと思いますし、最終的には国土交通省において適切に判断されていくものと考えます。



(問)景気動向指数研究会の話に戻らせていただければと思います。
今回は山が2018年10月であったということで、消費税率を10%に引き上げた2019年10月には、いわゆる景気後退局面のようなことになると思います。もちろん政府の景気判断と違うところがあるとは思いますが、増税が適切だったかどうかについて、改めて御認識を教えてください。


(答)御案内のとおりですが、前回、消費税率を引き上げた時に、需要が大きく落ち込んで経済が非常に悪化しました。それが非常に長引いたということもありましたので、今回、正に万全の対策を取ろうということで、消費税率引上げの影響を上回る予算を組みました。10月1日から幼児教育・保育の無償化を実施したほか、年金生活者支援給付金、それから診療報酬への補?もあります。それから、税率引上げに対応した様々な対策として、キャッシュレス還元や、プレミアム付商品券、次世代住宅のポイント、すまい給付金、国土強靱化の公共投資、商店街活性化などの予算、それから9月以降に行われるわけですがマイナンバーカードを活用したもの、住宅や自動車に対する税制。これらによって経済への影響を最小限に留めていく。そのための万全の対策を講じて消費税率引上げに臨んだということです。
その結果として、それぞれの家計への負担の軽減策を講じていますので、サービス産業なども大きく入っている消費総合指数においても1-2月期は10-12月期を上回っていますし、家電の販売額や外食も上回っていました。つまり、当時、我々も消費税率引上げの影響が薄らいできていたと、日次・週次のデータ等も見ながら判断しました。
雇用についても、実質総雇用者所得も少し上回る中で、あるいは雇用者の数なども見ながら判断をしてきました。結果として、1月・2月は消費税率引上げの影響が薄らいできた面が出ていたと思います。
GDPも当時はこういう形で上向いておりましたので、景気動向指数、一致指数で見ると山は2018年10月と判断されましたが、それ以降もGDPは拡大している状況にありました。様々なデータから見て、万全の対策を取って消費税率引上げに臨んだということです。



(問)政府と新型コロナウイルス感染症対策分科会の関係について伺いたい。
分科会の中のいわゆるコロナの専門家の方々が感染状況などを評価しておられると思いますが、この方々の意見については、ただ聞くのではなくて、政府の耳が痛いことを言ってもらい、最終的に政府が決めると思いますが、やはり原則として政府が最大限尊重するということを改めて出していただいた方が良いのではないでしょうか。結局、政府の追認というような声が出てきてしまうと思いますが、やはり専門家の意見を最大限尊重して、最後は政府が国民にもよく説明して決断するというルールがあると考えてよろしいでしょうか。


(答)今回のコロナ対策の担当大臣の任命を受けて以降、毎日と言って良いと思いますが、尾身先生・押谷先生・脇田所長をはじめとして多くの先生と議論させていただいています。西浦先生ともよく議論させていただきました。また、新宿の状況については大曲先生ともよく議論させていただいています。他にも、岡部先生や舘田先生や専門家の皆さんと様々な意見交換をさせていただいています。特に新型コロナウイルス感染症の専門でなかった私からは、様々な形で基本的なことを今でもよくお聞きしますが、それに対して丁寧にお答えしていただき、そして様々な御提案や御意見も頂いてきました。緊急事態宣言のタイミングについても、いつ出すべきかについて日々議論し、当然、専門家の中でも議論が分かれることもあります。
そして、我々も様々な対策を考え、提案し、それに対して、専門家の皆さんからもまた意見を頂いて、そして正に国民の皆さんの御協力の賜物ですが、4月・5月の大きな流行を抑えることができた。これは本当に専門家の皆さんの様々な御意見のおかげだったということで、本当に心から感謝していますし、連携と言うのはおこがましく、むしろ毎日御意見を頂きながら取り組んできた結果と思っております。
御高齢の専門家もおられますので、緊急事態宣言の後に少し休まれた時期もありました。その間は電話で対応することも重ね、その後の感染が広がってきている状況についても、最近も結果的にはほぼ毎日、議論をさせていただいています。
そういう意味で、時には耳の痛いことも当然言われますし、また、何かを隠して何かをしようということは全くありませんから、尾身先生も、聞くと自らも記者会見を毎回1時間半、2時間と行われていましたし、国会でも率直に隠すことなくお話しされています。そのことについて皆さん方から「どういう趣旨だったのですか」ということを聞かれることもあります。そういう意味で、感染症について基本的な知識が何も無かった私にここまでアドバイスをしてくれて、そして今も様々に議論させていただいている皆さんに本当に感謝しておりますし、その際に頂く御意見は最大限尊重することは当然のことだと思っています。
そして、局面が変わる中で、経済関係者や経営者、経済学者、リスクコミュニケーションの専門家、労働界の代表、地方の代表、知事会の代表といった方々に議論に入っていただいて、何とか感染拡大防止と社会経済活動を両立させていく方策をみんなで英知を結集して考えていこうという状況になったわけですので、当然、分科会では様々な視点からの議論になります。当然、分科会の中では私自身も意見を言いますし、それから尾身分科会長には全体の議論を上手く整理していただけますので、様々な議論がありますが、分科会でまとまってくる御提言や御意見については、私自身は最大限尊重して対応しなければいけないと考えています。
ただ、当然、政府として、それ以外の様々なことも考えていかなければいけない場面もあるかと思います。国際情勢もあるでしょう。市町村のこともあるかもしれません。様々な社会情勢もあるかもしれません。様々な提言を受けて、最後は政府が責任を持って政策を決定し、それを実行していくということだと考えています。最終的には、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部長である安倍総理が決定されることではありますが、私の立場で専門家の皆さんから頂いた御意見をしっかりと受け止めて、当然、最大限尊重しながら、私なりの判断を総理にも、日々様々な報告をしておりますので、総理としての様々なお考えも私は理解しております。当然、政府なり他の大臣なりの様々な意見もあると思います。官房長官も全体を見ながら御判断されることがあると思います。そうした政府全体の意見を調整しながら、最終的に政治が責任を持って対策を決めていくということだと思いますので、これからも今申し上げたような姿勢で臨んでいきたい。明日の分科会もしっかりと議論をお聞きしながら、また私も参加しながら、方向性を出していければと考えています。
ありがとうございました。




3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

本年第12回の経済財政諮問会議についての概要を御報告します。
議題は2つです。「金融政策、物価等に関する集中審議」について、黒田日本銀行総裁から資料1、私から資料2について説明し、また、「内閣府年央試算」について、私から資料3、民間議員から資料4、そして関連して、財務大臣から令和元年度決算について資料5について説明し、その後、まとめて意見交換を行いました。
一人目の民間議員からは、年央試算は厳しい数字となった。世界が活動を止めるような状況や、現状の不確実性を考慮すれば、これは止むを得ないが、これをチャンスに変えていくことが重要。
それから、平時ではなく危機時の対応が必要ということで、平時であれば熟考して間違えないように行っていく無謬性が重要だが、危機時であれば何よりも迅速性と戦略性が大事。間違えないように行っていくというというよりも、進みながらそれを直していくアジャイル型の対応が必要。
また、迅速性という観点からは、骨太方針で決めたことをしっかり実行していくことが大事であり、あわせて、PCR検査も戦略性を持って実施していくべき。その具体的な戦略性の一つとして、国際間の移動に重点を置くこと、あるいは観光・エンターテインメント・飲食といった非常に厳しい状況に置かれているところにPCR検査を含む幅広い検査体制を構築していくことが大事であり、そういう意味では、ある意味で経済対策として行っていくべき。
また、経済については回せるところをしっかりと回していくことと、伸びるところに人や予算などを付けていくべきであり、例えばグリーン化投資が一つの重要な分野。
また、実行計画の具体化については、各省ごとに縦割りにならないように分野横断的に進めるべきであり、経済財政諮問会議としてもしっかり関与していくべきだというお話がありました。
二人目の民間議員からは、検査体制はしっかりと整備しているが、100%リスクフリーということは無いことについて国民の方々にしっかりと状況を説明してほしい。今は無症状の方々に対しても積極的に検査する体制を整備しているが、そうしたところが上手く伝わっていないし、何かあればいつでも検査を受けられる状況になっていることもなかなか国民には伝わっていないのではないか。マスコミの報道の在り方も問題かもしれないが、政府としてしっかりと説明していくべき。いつでも検査を受けられることを示すことで安心感を高めることは非常に重要。
それから、より根本的な対策をしていく観点からは、関係法令の改正も必要だという話を聞く。国や地方の権限を見直して、国に対して強力な権限を与えるべきという話もある。しっかりと議論していくべき。
それから、検査を増やしていくと財源の問題が出てくる。その意味で、その医療保険の適用の問題や、あるいは数を増やせば、そのコストが下がっていくといったこともある。いずれにしても、国民の方々の安心感の醸成は非常に重要。
また、別の話として、若者が自粛で疲れているという面がある。やはりエネルギーをたくさん持っている若者の受け止めということもしっかり考えなくてはいけなくて、ある意味で、その発散の場を作っていくことも大事。消費のビジネスに関わる民間の方々の知恵も上手く活用して、医療関係者の知恵だけではなくて、いわゆる小さな改善を積み重ねている民間の知恵を上手く使ったら良いのではないか。
最後に、「COCOA」(新型コロナウイルス接触確認アプリ)がもっと使われるべきであり、その導入について広報していった方が良いというお話がありました。
三人目の民間議員からは、2022年に団塊の世代が後期高齢者になると、こうした構造的な課題が生じるが、これらを見据えて議論を展開すべきであって、資料4の別紙にその実行計画に取り込むべきものを提案した。
例えば、後期高齢者は当然に医療が必要となるため、医療サービスに関わる労働力が全体的に必要とされる世界になる。逆に言えば、その他の産業への労働力が不足してくるといった問題も出てきて、その結果、成長率が下がっていくということもあれば、失業や企業の倒産といったおそれもあるため、これらの視点からの議論も必要。それから、医療サービス面の生産性を上げていくことも必要であるため、デジタルニューディールやデジタル化、国際的に輸出機会を開いていくなどの視点も重要。
ヨーロッパの国々でも、4月頃は、皆、自粛に対応していたけれども、これから改めて同様の対応をすることは難しく、それは少し非効率だったという認識があるようです。特定の分野を選んで何らかの規制を掛けていくとことも必要だというお話がありました。
それから、新型コロナウイルス感染症はやはり分からないことが非常に多く、臨機応変に対応していくとことが非常に重要。行政能力を強め、高めていくことが非常に重要であるいうお話がありました。
閣僚からは、麻生大臣から、コロナの危機を乗り越え、次の世代に未来をつないでいくのは自分たちの使命であり、デジタルなどの分野でEBPMを活用し、真に政策効果が高い施策を強化する一方で、政策効果の低い施策は、見直しを徹底し、予算の中身を大胆に重点化していくことが必要。引き続き、経済再生と財政再建の両立をしっかりと進めていく必要があるという御発言がありました。
最後に総理から締めくくりの御発言がありましたが、割愛させていただきます。
私からは以上です。




(以上)