第9回記者会見要旨:令和2年 会議結果

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和2年6月22日(月)18:22~19:12
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

経済財政諮問会議の概要について御報告します。本日は、最初に「新たな日常」の構築に向けて地方と社会保障を取り上げ、その後、今年の骨太方針に関して民間議員からの御提案と骨子案について議論しました。今回もテレビ会議形式での開催です。
まず、「新たな日常」の構築に向けた地方と社会保障の議論においては、次のような御意見がありました。
新型コロナウイルス感染症により地方行政や医療・介護における国民目線でのデジタル化・オンライン化の活用の遅れが再認識されたということ。また、地方については、今般の経験を踏まえ、デジタルニューディールを地方自治体においても大きく展開・加速するとともに、デジタル時代に対応した自治体の業務改革を進めるべきだという御意見がございました。
この点については、高市総務大臣から、地方団体のシステムの標準化などを進める計画を年内に策定するということ、また、ICT専門人材の派遣などデジタル活用に向けた取組を推進するということが表明されました。
また、社会保障については、感染症の第二波も見据えて、オンライン診療や電子処方箋などの医療・介護におけるデジタル化の加速などについて、年末までに取組を具体化すべき。その際、真に国民の健康・福祉の増進につながるものとすべきという御意見がございました。
これに対して、加藤厚生労働大臣から資料が提出され、厚生労働省として、デジタル・ガバメント実行計画において令和5年度から実施を目指すとなっている電子処方箋の導入について前倒し令和4年の夏を目指すことの紹介がございました。
それから、「骨太方針に向けて」の議題では、次のような議論がございました。
社会全体のデジタル化への集中改革について、骨太方針の一丁目一番地として、システム導入の際に国民が安心して簡単に利用する視点が欠けていた。それから、デジタル技術が行政・ビジネス・生活に溶け込み、日常的に使いこなせるまで至っていないといった今回明らかになった課題についての徹底した評価・分析を踏まえ、現行の計画・工程を強化・加速するとともに、来年度の予算要求にも反映すべきという御意見がございました。
私からは、今年の4月27日の会議で民間議員の方々から指摘のあった緊急経済対策の効果を早期に皆さんに届けるための支援策の手続の簡素化の徹底やオンラインでの手続を可能にすべきとの御提言に対して、資料6でその進捗状況を報告しました。
また、これまでの議論を踏まえて資料7にあるとおり、本年の骨太方針の骨子案をお示ししました。総論の第1章では、今回の感染症で経験した教訓に触れた上で、ポスト・コロナ時代の新しい未来の方向性について言及します。取り組む施策としては、大きく、第2章における感染症拡大への対応と経済活動の段階的引上げという短期的な対応、それから、第3章において足下からの取組も含めて中期的な取組となる「新たな日常」の実現という、いわば2つのフェーズに分けて整理していきたいと思っております。また、第3章の柱は5本立てです。一点目に、私は一丁目一番地と思っておりますが、デジタル化への集中投資。二点目に新たな世界秩序の下での活力ある日本経済。三点目に生産性向上の鍵となる人材投資・イノベーション。四点目に誰も取り残さない包摂的な社会。五点目に地域社会、ある意味で東京一極集中の是正ということです。順序などはこれからの議論で変わってくる可能性はあると思いますが、この5本の柱で議論を整理していきたいと思います。
いずれにしても、与党での議論も踏まえながら策定していきたいと思いますし、次回の会議で原案を提示することにしております。
総理の締めくくり発言はお聞きいただいたとおりです。詳細は後ほど事務方から説明させます。
もう一点、TPP11について申し上げます。本日14時半から約30分間、ニュージーランドのデービッド・パーカー貿易・輸出振興担当大臣と電話で会談しました。アフターコロナにおけるTPP11の意義を中心に議論を行いました。
3点申し上げたいと思います。
一点目、今後の世界経済の回復において、TPP11などを通じた自由貿易の推進が重要であり、そして、TPPの高いレベルのルールを受け入れる国をできるだけ広げていくことが重要であること。二点目、TPP11は医療物資などのいわゆるエッセンシャルグッズといわれる不可欠な物資を含むサプライチェーンの強靱化やデジタルの実装といった観点からアフターコロナの世界経済を進化させていく上で重要な役割を担い、TPPを進化させていくこと。三点目、この夏の第3回TPP委員会・閣僚会議はメキシコで開催することが予定されているわけですが、その成功に向けて日本とニュージーランドは、互いに副議長として連携してメキシコをサポートすること。これら3点について、幅広く意見交換し、今申し上げたような考え方について共有したところです。日本としては、TPP11における主要なパートナーであるニュージーランドと、今後もウィズコロナ・アフターコロナにおいても一層緊密に連携をしていく所存です。
私からは以上です。





2.質疑応答

(問)今日の資料の中にもあるオンライン診療についてお伺いします。新型コロナウイルスの感染者が増えていく中で導入したオンライン診療の効果を今のところどのように分析されているのか。また、後戻りさせないと大臣はおっしゃっていますが、そのために何が必要とお考えでしょうか。


(答)資料にもあるとおり、オンライン診療については、かなりの数が出ております。病院ですと117倍。それから診療所においても5.3倍ということです。院内感染を防ぐためにも、これは非常に大事な取組だと思っています。そして、後戻りさせないという強い決意の下で、更に進めていきたいと思っておりますが、資料にありますとおり、まだ全国的にばらつきがあります。なかなか進んでいない都道府県もあります。例えば、京都や岡山など非常に実施機関が少ないところもありますし、一方で非常に進んでいるところもあります。
こういった各県のばらつきを無くしていくことも大事だと思いますし、それからオンライン診療で薬剤配送を行う仕組みもいろいろ課題があると言われてきていますが、実はタクシー業界からも、タクシーでそういう配送ができないかという相談を受けておりますが、手続さえちゃんと踏んでいただければ、今のルールの下でできます。例えば、テイクアウト食品のデリバリーをタクシーが行えるようにしています。ある意味で規制の緩和を行ったわけですが、今回、そういった薬剤についてのタクシー業界からの提案につきましては、手続さえ踏んでいただければデリバリーもできるということですので、そういった配送面での課題についても、今後も引き続き様々な提案を頂きながら、何か障害になっているようなものがあれば、そういった規制の緩和も進めていきたいと思っています。



(問)議論はこれからだと思いますが、大臣がおっしゃる一丁目一番地のデジタルニューディールについて、「ニューディール」ということで、どれぐらいの投資が行われるのか。高市総務大臣のところには、都道府県の自主財源としてタイムリーな既債の話など出ていますが、それを集中投資というからには、地方分散などいろいろお考えはあると思いますけれども、一丁目一番地のソフト・ハードの実弾の部分を大臣はどのようにお考えなのか伺いたい。


(答)まず、当然、「ニューディール」と言う以上、政府もしっかりと投資をしていく。これは、政府のデジタル化の投資も必要になってきます。今はなかなかシステムがオンラインで対応できない、あるいは不具合が生じているという様々な課題もありますので、政府のデジタル化・オンライン化、そして、ワンスオンリー・ワンストップで済むような体制を是非作っていきたいと思っております。
それから、当然、民間にも投資していきます。設備投資の状況を見ても、ソフトウェアをはじめ、ある意味、物流も入ってくると思いますが、IT関係の投資はこうした状況の中でも底堅く推移していますし、計画でも出てきています。やはり時代に応じて、そうした投資を増やさなければいけない。民間でも意欲が出てきていると思います。政府が自らの投資をすると同時に、民間の投資を更に喚起するような形での支援策、ニューディールを進めていかなければいけないと思っています。
既に昨年にまとめた総合経済対策において、IT導入補助金であったり研究開発も含めて、約1兆円の様々な民間の投資を呼び込む呼び水となるような予算を計上しているところですが、さらに今申し上げたような考え方で政府自らの投資、それから民間を呼び込むような投資、呼び水となるような投資、さらには民間の自らの投資といったものを合わせて、今回の教訓・経験を活かして、世界最先端のそうしたデジタル社会や政府・民間のデジタル・トランスフォーメーションも進めていかなければいけないと思いますので、そういったことを是非加速していきたいと考えています。



(問)来年4月に予定されている薬価の中間年改定、いわゆる毎年改定についてお聞きします。現在、医療界や製薬業界から有事につき実施の見送りや延期を求める声が出ている状況なのですが、この点について大臣のお考えと、今回の骨太方針に関連記載を盛り込む予定はあるかについて、お聞かせください。


(答)今の医療の現状は、新型コロナウイルス感染症に対応するといういわば非常事態の中で、医療現場の皆様方が感染リスクを抱えながら本当に必死で頑張っていただいて、ここまで来られたものと思っております。あらためて、医療関係の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。
そうした中で、今日も、実は今おっしゃったような意見もございました。ただ、今日はあまり深い議論はなされていません。医療現場のことも見ながら、今後適切に議論を深めながら判断をしていきたいと考えています。



(問)今朝の読売新聞の朝刊では、新型コロナウイルスを踏まえて感染症に強い社会ということで、政府の司令塔機能の強化や国と地方の役割などの7項目の緊急提言をまとめていますが、大臣の率直な御所見と、現時点で浮き彫りになっている課題、あるいは検証作業の進め方などについても教えていただきたい。


(答)読売新聞において、今朝、提言をまとめられたということで、私も拝見いたしました。例えば、PCR10万件検査体制など、様々な提案がございました。司令塔というのは、どういう意味を指しているのかなと分からないところもありましたが、私では力不足ということをおっしゃっているのかなとも思いつつ、自分自身のこれまでの取組について常に反省もしながら、進化もさせていかなければいけないと常々思っているところです。我々が経験してきたことが、医療のことも含めて、よく整理されていると思いますので、それも参考にさせていただきながら、今後、小さなものは必ず起こり得るので繰り返しになりますが、第二波が大きなものにならないようにしっかり検知し、また、クラスター対策で封じ込めていきたいと思っていますが、大きな波が来る時に備えて対応していかなければいけないと思っています。
検証は、もう少し事態が落ち着いてから、いろいろな記録に基づいて様々な視点から検証しなければいけないと思っております。そのための記録もしっかり残していかなければいけないと思っていますが、他方、これまで講じてきた対策については以前から申し上げているとおり、第二次補正予算では人工知能を活用して行う14億円の予算も計上しておりますので、そうしたデータをしっかりと分析しながら、第二波に備えた対策については、よりブラッシュアップしてできないかということを考えていきたいと思っています。



(問)財政健全化についてお伺いしたい。政府は2018年度の骨太方針において2025年度のプライマリーバランス黒字化を掲げたと思うが、本年度の様々な対策によって国債を発行するため達成は難しいのではないかという意見が財政制度等審議審議会などでは出ているところです。今日の経済財政諮問会議では、このプライマリーバランス目標について議論があったかということと、2025年度のプライマリーバランス黒字化は達成可能とお考えかということをお伺いしたい。


(答)本日、民間議員からは、今後の経済財政運営について、このコロナショックからの回復と新たな社会経済の構造を作っていくという、ある意味でのパラダイムシフトへの対処の両面について、時間軸をしっかりと考えながら迅速かつ適切に対処すべきという御意見や、経済再生を実現していくとともに財政の質を高める改革を推進する中で中長期には財政健全化を確実なものにしていくべきという提案を頂きました。
1月から3月の数字も非常に厳しい数字ですが、4月から6月は緊急事態宣言を実施したため、それ以上に厳しいものになることが予想されます。そうした中で、私自身は4月・5月を底に、内需を中心に回復させていかなければいけないと考えていますが、そうした厳しい状況にある中で、財政のことを考えて正に厳しい状況にある人たちへの支援が遅れるといったことがあってはいけませんので、今は厳しい状況にある皆さん方や一日も早く支援を必要とされる方に、迅速に、できる限り早く、必要な資金を届けていくことが大事だと考えています。
今日の議論を踏まえて、お示しした骨子に沿って今後の経済財政運営の方針を骨太方針で示していきたいと思いますし、夏にいわゆる中長期試算もお示ししたいと考えていますので、これから議論を更に深めていきたいと思っています。



(問)ニュージーランドとの電話会談のことで1点確認させてください。一義的には外交当局とのやり取りだと思いますが、新型コロナウイルス感染症を受けた入国規制の緩和の対象になっていると思いますが、今回の会談でその点が話題になったかを確認させてください。


(答)感染状況が落ち着き、そして、経済活動が再開していく中で、一般論として貿易も活発化しなければいけませんし、当然、人の動きや行き来も活発化するものと思います。そうした共通認識を持ちながら、様々な意見交換をさせていただきました。ただ、入国について何か特段の議論を行ったということではありません。



(問)先ほどのコロナ政策に関する検証について確認させてください。新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正の必要性について、今日の参議院決算委員会において、大臣は、現状でも十分対応できているという認識を示されましたが、これまで様々な課題があるなどと発言されていて、特に、罰則規制について改正の必要性を強く訴えてこられたことからすると、少しトーンダウンした印象を受けましたが、大臣の御見解に何か変化があったのかお伺いしたい。


(答)これまで申し上げていることから基本的な考え方は変わっていません。皆で、国民全体で負担を分かち合いながら努力し、自粛する中でこの感染症を封じ込め、収束に向かわせようと努力しているわけです。そうした中で休業要請や指示に応じない事業者がいて、そこが、開いているが故に人がそこに集まって「3密」状態になり、感染が拡大する恐れが生じているという中で、国民の皆さんを守るために必要であれば、これまでも申し上げていますが、指示・公表だけではなくて、命令・罰則といったより強い措置をするといった法体系が考えられ、これについては内閣法制局とも何度も議論しているところです。
その上で、立法改正するには、当然、立法事実がなければいけません。感染リスクがあって、人が密になっている状況が生じて、そして、そこで感染が広がったという事実の有無も非常に大事な視点だと思いますので、その辺りはよく確認しながらやっていかなければいけない。これは、もちろん予防的に広がる前にそうした措置を入れるべきだという議論も、知事会の皆さんをはじめあると思いますので、その辺りをよく整理しながら対応したいと思います。私自身は、命令・罰則はあり得ると思っているところです。



(問)骨太方針の骨子案についてお伺いしたい。例年と比べてかなり違いもあると思うが、従来の骨太方針と比較して、今回の骨太方針のポイントを改めて御紹介いただきたい。また、与党の中には来年度の予算編成に向けて従来どおり骨太方針に何かと書き込みたいという考えもまだ残っているかと思います。その点で大臣のお考えとの乖離もあるのではないかと思うのですが、その辺りの見解をお伺いしたい。また、先日、別冊ともおっしゃっていましたが、そういった方針にお変わりないのかお伺いしたい。


(答)まず、骨太方針について、例えばページ数でいうとよくおわかりになるかと思いますが、2001年の最初の骨太方針は33ページでした。2013年、第2次安倍政権発足の時は36ページ。2014年は34ページで、その程度です。もちろん年によって増減はありますけれども、大体その程度であったのが、2018年に72ページ、2019年に75ページと、倍以上になっています。毎年の政府内の調整を経ながら、結果的に膨らんできたのだと思います。
これまでも、私からは正に今回の新型コロナウイルス感染症を経験して将来の大きな方向性を示したいと申し上げているところであり、岸田政務調査会長もボリュームを相当絞ったものにしていかなければならないという趣旨の発言をされていると聞いていますので、私の考え方と政務調査会の方針と、軌を一にしていると考えております。
それから、以前に私は別冊と申し上げましたが、1つの案として例示したということで、別冊を作るかどうかを含めて、今後様々に与党内での議論も経て、緊密に連携を取りながら策定していきたいと考えています。




3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

令和2年第9回経済財政諮問会議の概要を報告します。
本日は、2つの議題について議論しました。
まず、「新たな日常」の構築に向けた地方と社会保障の議題では、まとめて意見交換を行いました。民間議員から資料1と資料2の説明があり、各議員より発言がありました。
総務大臣から、提出資料に沿ってお話がありました。御発言は先ほど西村大臣から一部紹介がありましたが、その他の御発言として、例えば、デジタル化・オンライン化の推進として、光ファイバや5Gなどの情報通信基盤の整備を行っていくということや、Beyond 5Gへの戦略的投資を進めるといったお話がありました。それから、地方行財政基盤の確保で、税収減などで地方団体の資金繰りや財政面に支障が生じないよう適切に対応するというお話がありました。
厚生労働大臣からも、提出資料に沿ってお話がありました。この御発言も先ほど西村大臣から一部紹介がありましたが、その他の御発言として、昨今の医療機関の厳しい経営状況も踏まえて、地域で医療が持続的に提供されるよう、提供基盤を維持・強化していくことが大事だというお話がありました。それから、福祉に関して、生活に必要な介護や福祉サービスは、重度化防止の観点からも感染防止に配慮して継続していくことが重要であり、ICTの活用による遠隔支援や人手不足解消にも取り組んでいくというお話がありました。
民間議員からの御発言です。
一人目から、テレワークの導入を通じて、東京の狭い部屋よりも郊外の広い家に住んで、そこを拠点に働きたいという希望をよく聞くので、国民の意識が大きく変わっている。それを望む人や企業が実際にそのような働き方を導入できるよう、政策的な後押しや制度的な障害の除去を進めるべきだというお話がありました。
また、業務改革が進んでいないという意味で、行政サービスのデジタル化が必要だが、デジタル・トランスフォーメーションが進んでいない。多くの方がスマホを使った民間の使いやすいサービスに慣れているが、行政のサービスはそのようにはなっていない。地方自治体がバラバラに取り組むのではなく、国がしっかりと整備をして、IT人材の中長期の派遣や育成にも取り組んでいくべきだというお話がありました。
それから、新しい生活スタイルに沿って、二地域居住など住民サイドに立った課題の洗い出しが必要。デジタル化を通じた様々な連携が重要であり、その意味で、今回、民間議員ペーパーに書いてある「多核連携」の考え方が重要だというお話がありました。
二人目から、今回のコロナショックでデジタル化の遅れが明らかになった。民間・地方自治体の情報をフル活用して、迅速に対応できる仕組みを構築すべき。その意味で、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の早期整備を行うべきだというお話がありました。
それから、平時と危機に対応できる医療提供体制が必要であり、都道府県という枠を超えた病床等の配置を厚生労働大臣が調整する仕組みを作るべき。予防・健康づくりとして、簡易な血液検査の実用化やオンライン健康相談を推進すべき。介護については、防護服などを行き渡らせ、ケアプランへのAIの活用や介護ロボット導入に資する人材配置の見直しなどを次期介護報酬改定で後押しすべき。それから、地域医療機能の維持・充実のための交付金がどのように活用されたかを評価して、今後に生かしていくべきだというお話がありました。
三人目から、デジタルニューディールは単なるICT活用をはるかに超えた大きなチャレンジであり、例えば、リアルタイムでの医療データの活用など、その先の姿としてやっていく必要がある。国がイニシアティブを取ってシステムの考え方を示していくことが重要。オンラインの資格確認システムは国家プロジェクトとして予算や人員をしっかりと確保して取り組んでほしいというお話がありました。
四人目から、都道府県の枠を超えた国内旅行が解禁になったが、感染を心配する声がある。地方では医療施設が必ずしも充実していないため、医療データのデジタル化とオンライン診療が重要になる。PHRをマイナンバーとリンクさせれば、どこでもすぐに診療が受けられる。今後、国際的にもこうした流れは進むのではないか。観光は地方経済にとって重要なので、リモートワークについてはワーケーションも含めて取り組んでいけば良い。医療データについては、糖尿病などの基礎疾患と新型コロナウイルスの関係などをしっかり検証すべき。それから、都道府県の単位で取り組まれていることが多いが、もう少し広域でデータ連係して対応していくことも重要だというお話がありました。
次に、「骨太方針に向けて」について、民間議員から資料5、西村大臣から資料6、私から資料7を説明して、その後、各議員より発言がありました。
資料6の説明は、先ほど大臣が御自身でお話をされたとおりですので割愛します。
竹本IT政策担当大臣からのお話を簡単に紹介しますと、オンラインによる行政のデジタル化については、昨年末にデジタル・ガバメント実行計画を閣議決定するなど、これまでも計画的に進めてきたが、本日の議論を踏まえてオンラインによる申請の受付だけではなくて、申請を受け付けた後の行政機関の処理まで一貫してあらゆる業務のデジタル化を進めるなど取組を加速していくという御発言がありました。それから、今後の「ニュー・ノーマル」の世界におけるITの活用の在り方について、現在、有識者懇談会で集中的に議論を行っているという御紹介もありました。
高市総務大臣からは、マイナンバーシステムに関連して、今、民間有識者及び関係省庁によるワーキンググループが設置されるところである。その議論も踏まえて検討すべきという御紹介がありました。そのうち、特に、預金口座とマイナンバー口座との連携に関しては、一人一つの公金払込口座の設定をはじめとして、希望者全員が災害等の緊急時や相続時にデジタル化のメリットを享受できる仕組みを構築するなど、預金付番の在り方について本年中に結論を得られるよう検討を進めていくというお話がありました。
財務大臣からは、構造変化や世の中の新しいニーズを的確に捉えて、企業の生産技術や人材についてマッチングと労働移動を進めることで、新しい時代の効率的な生産体制や労働市場を構築することが大事。それから、諸外国から遅れているデジタル化について、行政サービスやオンライン診療、マイナンバーの利活用などにおいて可能な限り年内の実施検討を目指すなど、官民で徹底して加速化を行うというお話がありました。それから多角的な自由貿易を推進しながら、サプライチェーンの強靱化・多元化など、コストのみで判断するのではなくて、安全保障のことも考えながら、国際的な競争力と危機管理を強化していくことが大事だというお話がありました。
その上で、少子高齢化や人口減少など新型コロナの前後においても変わらない課題については、これまで積み上げてきた議論を土台に、危機を乗り越えた将来を見据えて、既に方針が決まっている社会保障改革を含めて不断の取組を進めていくことが必要だというお話がありました。
民間議員からの御発言です。
一人目からは、バックグラウンドとして、新型コロナウイルスがまだ世界で終わっておらず、感染者や死亡者も増えている。それから、国と国との間の人の行き来も閉ざされた状態が続いている。こうした中で、感染症対応を行いながら経済の再開と成長戦略を進めていくことが大事。その柱がデジタル化であって、IT合理化という観点だけではなく、データの見える化を行政に反映していくべきであり、民間でもデータ活用を通じた経営戦略を作るという動きが進んでおり、行政も同じように取り組んでいくべきだというお話がありました。
その他2点、一つは世界との交流について、特にアジアを中心に立ち上げていく必要があり、米中関係が不透明な中で日本のイニシアティブに期待が高まっている。それから、もう一つは働き方について、在宅勤務が増える中で時間管理のやりにくさというものがある。働く人のやる気を引き起こす「働き方改革2.0」を進めていくべきであり、これによって知識集約型産業を育成していく議論を進めていくべきだというお話がありました。
二人目からは、デフレに戻してはならない。コロナショックを乗り越えて日本経済を成長させるとともに、財政健全化を行うロードマップを作るべきだというお話がありました。2018年・2019年の骨太方針を踏まえて改革工程表に基づき経済・財政一体改革を進めるべきであり、後戻りをさせてはいけない。地域医療構想も進めていくべき。マイナンバーで所得を把握して、必要な人に必要な時に給付が行えるようにすべき。マイナンバーカードは、将来的には物理的に持ち歩かなくても、例えば、アプリでできるようにするといったことも考えるべき。教育の格差を生じないようにオンライン教育のインフラ整備を進めるべきであり、場所の制約のない形で一人一台PCを早く実現すべき。それから、日本は、TPP11をより強固にして、EUとも連携して自由貿易体制維持に向けてリーダーシップを発揮すべきだというお話がありました。
三人目からは、今年も去年も経済再生がテーマであるが、背景は異なる。去年は、若年者の消費性向が下がっているということや、賃上げがなかなか進まないということが背景であり、長期的に一人当たり生産性が伸びないという見通しがあった。今回は、需要が大きく下がってしまい、企業も経済活動が行えないため、給料もなかなか払い難いという状況になっている。やはり、いずれもデジタル化が鍵であり、感染症対策にも給付措置にもデジタル化は有効。一人当たりの生産性の向上にもつながるため、元に戻してはいけない。安定すると元に戻る傾向もあるが、元に戻してはいけないことが2つある。一つは行政のデジタル化について、「隗より始めよ」を基に、行政が率先して取り組むべきだということ。もう一つは、在宅勤務・リモートワークについては、家族との時間が増えたという面もあるが、それ以外にも女性の能力の発揮だとか正規・非正規の格差の問題を縮めていくといった解決にもつながり得るものだというお話がありました。
四人目からは、今はパラダイムシフトが起きている。デジタル化への対応を行うことで、日本の様々な課題を解決することにつながっていく。その時、大事なことがスピード感であり、民間議員ペーパーでは期限を切って提案している。期限を決めて進めるべきであり、加速させることが必要。デジタル・トランスフォーメーションについては、技術導入だけではなく、社会の在り方やルールづくりをセットにして改革を加速していかなければならないというお話がありました。
最後に総理の御発言がありましたが、割愛させていただきます。
私からは以上です。




(以上)