第8回記者会見要旨:令和2年 会議結果

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和2年5月29日(金)19:23~20:08
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

私から3点申し上げます。
まず、経済財政諮問会議の概要について御報告します。最初に、今年の骨太方針に関し民間議員からの提案について議論を行い、その後、「新たな日常」の構築に向けて前回の教育・科学技術に続いて社会資本整備を取り上げました。本日もテレビ会議で開催しました。
まず、骨太方針については、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって様々な内外の環境が大きく変化したことを踏まえて、日本として社会・経済の新しい大きな方向性をしっかりと打ち出すべき。それから、感染症克服への対応と経済活性化の両立のための施策とし、さらには、「新たな日常」の構築による「質」の高い経済社会を見据え、新しい国民生活や日本経済に向けた施策の方針を見つめ直す必要がある。それから、「新たな日常」の定着・加速に向けて、オンライン・リモート化による新しいサービスや新たな働き方とワーク・ライフ・バランスの改善などを後戻りさせることなく、定着・拡大すべき。また、世界レベルでのデジタル化の拡大や国際経済の枠組みの変化が予想される中で、国際協調に基づく各国間での連携が極めて重要であるため、我が国が世界を主導するなどの積極的な貢献を果たすべきといった意見がございました。
次に、「新たな日常」の構築に向けた社会資本整備分野の議論においては、デジタル化・スマート化の全面導入によって社会資本整備の生産性を抜本的に向上させるため、今年度中に策定される次期社会資本整備重点計画では、デジタル化・スマート化を全ての政策に貫く底流とすべき。具体的には、設計・建設から維持更新、さらには防災・減災も含めた徹底したデジタル化を推進する。建設業の生産性と質の向上を実現すべき。また、感染症の影響の下、テレワークの活用から地方で働くことが容易になり、二地域居住や歩いて暮らせるまちづくりをはじめスマートシティーを核とした地方都市の活性化の重要性が再認識されたことを踏まえ、スマートライフを支える社会資本整備を推進すべきといった意見がございました。
総理からの締めくくり発言については、お聞きいただいたとおりです。詳細は後ほど事務方から説明させていただきます。
それから、本日可決・成立いたしました「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」については、パートの皆さんへの厚生年金の適用を段階的に拡大するとともに、自分自身で選択可能となっている年金受給開始時期の上限についての75歳への引上げなどを行うこととしております。
今後、厚生労働省において政省令の整備をするなど、施行に向けての準備に取り組んでいくことになります。
いずれにしても、こうした改革を一つ一つ着実に実施しながら、誰もが安心できる全世代型社会保障制度の構築を進めていきたいと考えています。
それから、本日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議について説明いたします。
概要については、一点目として、現時点において欧米の先進諸国と比較して、日本が感染者数と死亡者数が低水準であることの理由について、いくつか指摘がなされました。国民皆保険制度による医療へのアクセスの良さ、医療レベルが地方においても高いこと、それから保健所を中心とした公衆衛生水準が高いこと、あるいは市民の衛生意識の高さ、そして協力の度合いが高かったことをはじめとして日本人の国民性・メンタリティーといったことが指摘されております。
それから、二点目として、クラスター対策の取組が感染拡大を抑える上で効果的であったという指摘があります。
三点目として、緊急事態宣言による様々な変化を通じて、新規感染の抑制に貢献した可能性が高いということも御指摘いただいています。それは、人との接触機会が継続して抑制されたこと、それから法律に基づいて自粛要請や施設の使用停止の協力要請・使用制限などの組み合わせによって実効的に新規感染が抑制された可能性、また人の移動が著しく抑制され大都市圏内の感染拡大だけでなく地方都市への感染拡大に歯止めが掛けられたことといったことから評価されております。全国の都道府県知事の下、国と連携し一体となって対策が推進されたことも、その評価につながっています。
それから四点目として、今後の政策の在り方ということで御提言を頂いております。細かい点は省きますが、以前から言われておりますPCRの体制やモニタリング体制、それから医療の提供体制、感染防止拡大策、保健所の機能強化であるとか水際対策とか、様々指摘されております。あわせて、院内感染対策や高齢者あるいは障害者の施設における感染対策といったことにも指摘がなされておりますし、次なる波に備えた都道府県の体制整備のためのチェックリストが示されております。都道府県において、こういったことをしっかりとチェックし、体制を整えてほしいということです。
その上で、北九州市の事例について申し上げますと、本日の専門家会議で私どもより御報告させていただきました。その際、医療体制はどうなっているのかなど何点か確認の御質問がありましたが、このことについては大きな議論にはなりませんでした。現時点での状況を申し上げると、本日18時時点で16名の新規感染が確認されています。経路不明は6名と聞いております。これまでの感染者の分析から、2つの医療機関においてクラスターとして発生しているのではないかということで、今のところ15人程度がこの2つの医療機関でのクラスター的な感染者ではないかと見ております。ちなみに、病床も北九州市において93床確保されており、ホテルも200室以上確保されているため、今のところそれほど心配しておりませんが、そういったことについて専門家の皆さんから御質問がありました。
専門家会議の後、何人かの先生方と個別に話しまして、北九州市、福岡県の状況をどう見ているかというようなことについても御意見を頂きました。
その上で、朝、福岡県の小川知事とお話しし、そして専門家会議の後、専門家の皆さんの御意見などを小川知事にもお伝えしながら、知事の側からもいくつか相談がありましたので、意見交換をさせていただきました。
それから、あわせて、山口県の村岡知事とも電話でお話しさせていただきました。専門家の皆さんが対岸の下関市、山口県の状況を心配し、あの地域の事情をよく御存知の先生方も何人かおられて、私は自見はなこ厚生労働大臣政務官も一緒に意見交換しましたが、自見政務官も北九州市が地元であるため状況を御存知であり、福岡市との距離よりも下関市との関係が深いため、村岡知事からも通勤・通学でかなり行き来があるとの御発言がありました。その上で、村岡知事からは、県の本部で発言されたのだと思いますが、北九州市は直近の状況から感染拡大が懸念されるため、通勤・通学・通院などを除いて、不要不急の移動を極力控えてくださいということを知事からもお願いしましたという報告がございました。
いずれにしても、県とも連携を取りながら、北九州市の状況をしっかりと対応していきたいと思っております。大きな波にしないということが大事な点であり、クラスター対策をしっかり行い、濃厚接触者をしっかりと特定しながら、この流行を小さな流行で封じ込めていくことに全力を挙げていきたいと思っています。
私からは以上です。




2.質疑応答

(問)新型コロナウイルス感染症対策専門家会議について、北九州市の状況がある中で、6月1日から最後に緊急事態宣言が解除された5都道県を除き、県をまたぐ移動を解禁する方針が出される予定になっていますが、その点についての議論はあったでしょうか。


(答)専門家会議でも、その後、専門家の皆さんとお話しした際にも、議論はありませんでした。ただ、今申し上げたように、北九州市と下関市は経済・生活圏が一体となっているため、その点は何人かの専門家の皆さんから注意喚起がございました。それを受けて、私からは山口県の村岡知事と電話でお話しさせていただいたところです。
現時点では、私どもが示した6月1日からの県をまたぐ移動の目安を変更する予定はありませんが、それぞれの感染状況に応じて、隣県とは密接に連携していただきたいと思いますし、必要に応じて政府や私の方でも調整しながら、感染が県をまたいで広がらないように取り組んでいきたいと考えています。



(問)北九州市の事例の関連で知事から相談があったとおっしゃいましたが、具体的な相談内容を教えてください。その関連で、福岡県で営業再開が先送りになりましたが、この件に関して政府と県の間ではどのようなやり取りがあったのか教えてください。


(答)小川知事は、北九州市の状況などについての説明や様々な御意見があるようであり、県としての考え方を整理していきたいというお話をしました。私の方からは、専門家の皆さんの御意見や私なりの考えをお伝えしました。最終的には知事の御判断ですので、知事が対策本部か何かをまた速やかに開かれると思いますが、開かれた上で判断されると認識しています。



(問)骨太方針の今後の議論の方向性についてお伺いします。先日、大臣は記者会見において、今年の骨太方針の内容を絞り込まれるとの御発言がありました。今日、民間議員の方からたたき台の提言が出され、今後、与党でも議論が本格化すると思いますが、今年の取りまとめは、例年と比べて、どの程度まで絞り込まれるのかについてお教えください。


(答)これから政府内や与党としっかり議論しなければならないため、今の段階で予断をもってお答えすべきではないと思います。
今日もいくつかの方向性、正に「新たな日常」の定着・加速に向けて、オンライン化・リモート化・デジタル化、時差出勤やテレワークといった新しい働き方、また、ワーク・ライフ・バランスについても様々な経験されたと思います。これらを後戻りさせず、更に加速・進化させていこうという考え方が示されています。
科学技術・イノベーションや厳しい状況にある方への包摂的な社会の実現など様々な御提言を頂きました。これまで議論してきた科学技術や教育については、それぞれ新型コロナウイルスに関連して、オンライン教育やオープンイノベーションの加速、医療といったことについて、また、今日の社会資本整備の議論でも、i-Constructionをはじめとして建設業においても生産性を高めるために努力していくことや新しいまちづくりなど、様々な御提案を頂きました。今後、これらについて議論を重ねながら、骨太方針の大きな方向性、「骨太の骨太」と言っても良いと思いますが、それを是非お示ししてまいります。
今日も議論されましたが、質の高い経済と包摂的な社会をどう作っていくのかについて考えながら、大きな方向性をお示ししたいと思っています。骨太方針には毎回様々な項目が含まれ、その中にはもちろん日本の社会を発展させていく上で必要な項目が多くあるため、どのような形でそれらを整理するかについては、これから知恵を絞りたいと思いますが、とにかく大きな方向性をまずお示ししたいと考えています。



(問)今日も東京都の感染者数が2桁となりましたが、もし緊急事態宣言を再指定する場合の基準があれば教えてください。その場合、数字で具体的に基準を示すお考えはございますか。


(答)これまで何度も記者会見で申し上げていますが、4月7日時点で緊急事態宣言を発出した時のことを踏まえながら対応していきます。これは専門家の皆さんの御意見でもあります。
累積の感染者数が100人以上であり、人数が倍化していくスピードが10日以内であり、そして感染経路不明の割合が半分以上ということが当時の基準でした。それを今に当てはめると、累積の感染者数は、既に100人を超えて1,000人単位になっているため、再指定時にはあまり意味は無く、むしろ当時の状況を踏まえれば、10万人当たりの新規感染者数が1週間で5人程度以上になるのではないかとこれまで申し上げているとおりです。
それから、倍化のスピードも同様に10日以内や半分以上ということですが、やはり今回我々が経験したような大きな波にしたくないため、それぞれの項目について、より厳しい目で見ていきたいと考えています。そのため、今の基準に達してしまうとオーバーシュートする可能性があるということなので、今申し上げたよりもより厳しい基準で見ていきたいと思っております。ただ、専門家の皆さんにお聞きしますと、今回、解除の時に10万人当たり0.5人という数字が現に一人歩きしたことを専門家の皆さんは大変懸念されており、もちろん感染の状況も大事な要素ですが、より大事なことは、医療提供やPCR検査の体制であるとのことでした。専門家の皆さんは、極端なことを言えば、人数が仮に増えても、医療体制がしっかりしていれば、ある程度のことは対応できるわけですから、今回経験したように、東京都が2,000床を用意している中で1,800人を超えた患者さんがおられたり入院した患者さんがおられたという状況にはもう二度としたくない。今日の提言にあるように、医療体制もしっかり整備していきますが、医療のそうした状況やPCR検査が必要な方が迅速に受けられるかについては、チェックリストの中に入っています。
そういったことを見ていくことが大事であり、それができていなければ、患者さんの数が少なくても指定していくことになると思いますし、しっかりできていれば、ある程度、新規感染者が出ても大丈夫だということになりますので、いずれにしても専門家の皆さんの御意見を聞きながら総合的に判断していくことになります。
ただ、私としては、記者会見で何度も申し上げたとおり、あくまで1つの目安としてお示ししているところです。



(問)午前中の記者会見でも質問されました議事録の作成に関してお聞きします。専門家会議については議事要旨ということでしたが、同様に有識者が出席されている基本的対処方針等諮問委員会については、公文書のガイドライン上、どちらに位置付けていて、記録上でどういう対応が取られているのか。あわせて、専門家会議と諮問委員会はどういった性格の違いがあると整理しているのかについてお聞かせください。


(答)基本的対処方針等諮問委員会は、正に私どもが基本的対処方針を諮問したり、それから緊急事態宣言の公示案を諮問する機関です。これまでも諮問し、それぞれについて御意見を頂いたり、了解を頂いたりしてきています。
このことを踏まえると、正に「行政文書の管理に関するガイドライン」上では、政策の決定又は了解を行う会議等に位置付けられると考えています。したがって、このガイドラインに基づいて、諮問委員会については、正に発言者や発言内容等を記載した議事の記録を作成することとしております。現在、作業を進めているところであり、ガイドライン上は、記録は原則3か月以内に作成することとされ、ガイドラインを踏まえて適切に対応していきたいと考えております。
ちなみに、これまで8回も諮問委員会が開かれており、5月25日が直近ですが、ここまでの全ての資料については既にホームページで公表しているところです。
今朝も御指摘のありました専門家会議と諮問委員会との違いについては、今、申し上げましたように、諮問委員会の方は政策の決定又は了解を行う会議とのことであるため、今申し上げたように、発言者や発言内容等も含めて作成していきます。
他方、専門家会議の方は、政策の決定又は了解を行わない会議等です。正に専門家の皆さんのそれぞれのお立場で自由に率直に御発言いただいて、政府に御提言いただいていたり、取りまとめられたりするという会議であり、それを受けて、我々として、どういったことを行っていくのかを決めていく流れです。決めていく会議は、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部であったり、今申し上げたその前に諮問する諮問委員会であるため、当然、専門家会議と諮問委員会は性格が違うと考えています。
その上で、専門家会議については、これまで申し上げてきていますとおり、このガイドラインに基づいて言えば、活動記録、つまり活動期間や場所、構成員、活動の進捗状況、確認事項を記録し、配付資料などを残すべき記録とされているため、これに基づき、しっかりと残していきたいと考えています。
ちなみに、例えば、第6回の専門家会議については、私がまだ出席していない時ですが、議事概要として公表しています。今、申し上げましたように、日時や場所、出席者、それから、その他、座長が出席を求めた関係者・専門家について、そして、議事概要として、例えば感染状況についてそれぞれの意見を記載しています。このような御意見をきちんと整理して記録として残しています。それから、感染拡大防止に向けた日本の基本戦略としての御意見、重症化する患者さんについての御意見、北海道での取組についての御意見、長期的な見通しについての御意見、皆様にお願いしたことの御意見、事業者へのお願いの御意見、クラスター多発性のリスクが高い場面の考え方、いわゆる「3密」の考え方について書かれています。そして、加藤厚生労働大臣の締めの挨拶があるといった形で記載されておりますので、私どもとしては、きちんと検証に応えられるだけの記録を残していると認識しています。
さらに言えば、皆さん御存知だと思いますが、専門家の皆さんは毎回記者会見を行っています。これまで記者会見を開催しなかったことは、持ち回り開催の時の2回のみであり、これまで14回も会議を開催した中で、記者会見を12回行い、全てオープンにしています。記者会見の時間は、長い時には2時間を超えていますが、平均して約1時間20分も行っていますので、どういった議論があったのかといったことも含めて、専門家の皆さんは、そのお立場でそれぞれの自由で率直な意見を述べているということを踏まえても、丁寧に御説明されていると私は思います。今後、検証に当たってはこうした記者会見録も使えるのだろうと思いますので、しっかりと歴史上の重要文書として検証に耐えられるものを残していきたいと考えています。




3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

令和2年第8回経済財政諮問会議の概要を報告します。
2つの議題について議論しました。
まず、「骨太方針に向けて」の議題では、財務大臣から資料1、民間議員から資料2の御説明があり、各議員から御発言がありました。
最初に、西村大臣から、今年の骨太方針は7月半ばを目途に閣議決定すべく策定作業を進めていくこと、「新たな日常」の構築など新型コロナウイルス感染症拡大への対応と経済活性化の両立に向けた課題への対応に焦点を当てることとしており、記載する内容を絞り込み、今後の政策対応の大きな方向性に重点を置いたものにしていくという御発言がありました。
財務大臣からの第二次補正予算の御説明は割愛します。
その後、西村大臣から再度御発言がありました。この補正予算は、感染の第二波・第三波が万一生じた場合も見据えた万全の備えとしており、どんな事態が生じても、日本経済をしっかり守り、事業・雇用・生活を守り抜く万全の守りを固めることで経済を下支えしていく側面が強いと御紹介されました。
その後の閣僚からの御発言です。
経済産業大臣から、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていく移行期において、感染拡大防止と両立する新たなビジネスの方法などを検討し、新たな成長戦略の検討に全力で貢献するという御発言がありました。
総務大臣から、住民記録システムについて、本年夏頃までに標準仕様書を作成したい。基幹税務システムについても、本年度より標準化の検討を開始することとしており、地方制度調査会においてシステムの標準化を含めた地方行政のデジタル化の議論が行われている。マイナンバーについて、緊急時の給付金の振込口座をマイナンバーと共に登録してもらうことは非常に有意義であるため、議員立法の動きを踏まえつつ検討している。また、マイナンバーと預貯金口座の紐付けについても、相続時や災害時の国民負担の軽減などにも資するよう、関係府省庁と共に検討を進めていくといった御発言がありました。
財務大臣から、今回の新型コロナウイルス感染症の対策によって、国の財政状況は極めて厳しいものになるが、そうであるからこそ、経済再生と財政健全化の両立という基本方針を堅持していくことが必要であり、危機時には政府が景気や影響を受ける方々を下支えする一方で、平時には民間が経済を引っ張る強靱な経済財政構造を今後構築していかなければならない。それから、危機こそ創造の源であるとの認識の下、百年に一度の危機からいち早く脱出した上で、その後は成長力の強化や持続可能な社会保障制度や財政構造の構築をはじめ、様々な改革に真剣に取り組んでいかなければならない。また、ポストコロナの経済社会は元の状態に戻るものではなく、経済自体の行動変容や産業構造の変化が生じつつあることを踏まえ、官民が連携して新たな社会を築いていく必要がある。こうした観点から、今年の骨太方針は、危機という局面を的確に捉え、大所高所の視点に立って簡潔にまとめ、今後の経済財政政策の大きな舵取りに資するものとしていくべきといった御発言がありました。
民間議員からの御発言です。
一人目から、今年の骨太方針は難しいが、感染予防と経済活性化を両立させるためには大変重要。オンライン・リモート化やデジタル・トランスフォーメーションについては、従来の方法ではなく、地方自治体を含めて国がリーダーシップを発揮して推進すべき。新たな働き方については、生産性を上げることが重要であり、働き甲斐も改革して従業員の士気を上げるように取り組んでいかなければならない。世界に開かれた日本という点については、日本は気候変動等によりアジア・欧州の中でも重要なポジションを占めているため、調整役としての役割を果たすチャンスである。さらに、科学技術・イノベーションや社会保障に関する議論もしっかり進めていくべきといった御発言がありました。
二人目から、コロナショックを経て厳しい産業と成長産業が出てくるが、こうした2つの産業分野をつなぐ労働力の移動が重要になるため、それを支援していくべき。外国人が一度出国したら再入国できないような事態も生じているため、国際的な人の移動が制限されていることによる問題もしっかりと解決し、来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて国際的な移動を円滑化していくべき。また、東京オリンピック・パラリンピックでは、もちろん競技を楽しみにしている人もいるが、日本のソフトパワーの源泉である食文化を楽しみにしている人もいるだろうから、安全面や感染防止のための公的認証制度を含め、しっかりと支援していくことが重要。テレワークが進む中で東京一極集中は解消していくべきであり、その中でスマートシティを構築する必要がある。さらに、マイナンバーカードの普及の推進や、サプライチェーンの再構築のためにTPPを強化していくことが重要だといった御発言がありました。
三人目から、「新たな日常」の定義はまだ分からないが、今年の骨太方針までに模索しながら議論を深めていくべき。デジタル化は、「3密」の程度を下げ、感染防止する観点からも非常に重要であり、行政が早く動くことが鍵である。これまでの課題であったシステムの統一化をしっかり進め、早く処理できるよう総務大臣に期待したい。それから、テレワークが非常に進んできているが、その中で地方でも仕事できるような状況は出来上がってくる。地方に生産の拠点を移すなど、都市のデザインを考え直すべき。国際的な話としては、ナショナリズムが進んできていることで様々な競争が生じてきている。そういう時だからこそ、同じアジェンダで世界が協力して取り組むことが重要。そういう意味では、気候変動への環境の取組はしっかりと進めるべき。さらに、デジタル化が進んでいくと、弱いところと強いところの二重構造というものも出てくるが、そこを是正するための働き方改革やAIの活用などによって、Society 5.0を前倒ししていくべきといった御発言がありました。
四人目から、「新たな日常」は、変化に柔軟に対応して、生活を楽しむということができるようになっていくことである。そうした中で新しいビジネスチャンスを活かして、アイデアを活かせるような仕組みづくりが必要。この方からもデジタル化が鍵との発言があり、特にスピード感を持って行政のデジタル化を進めるべき。デジタル化を進める際には、人手が非常に必要となるため、民間の人材を活用すべき。行政のデジタル化の観点では、兼業・副業・成果型あるいはリカレント教育などをしっかり進めるべき。それから、地方の都市には需要があるため、その掘り起こしをしっかり行い、人材が活躍できるような二地点就労・二地点居住を進めていくべきだといったような御発言がありました。
なお、マイナンバーカードについては、後ほど、総務大臣より御発言があり、今回の特別定額給付金の給付に関しても、ほとんどの地方自治体では順調に進んでいるというようなお話がありました。今回の取組によって、マイナンバーカードの取得の動きも進んだことにより。9月からのマイナポイントや来年3月からの健康保険証へのリンクの布石にもなったと思っており、引き続きしっかり取り組んでいくというお話もありました。
以上が「骨太方針に向けて」の議題についての御発言です。
次に、社会資本整備の議題では、民間議員から資料3の説明があり、その後、閣僚から発言がありました。
最初に、国土交通大臣から、資料4についての御説明がありました。現在、国土交通省では「いのちとくらしをまもる防災減災」をスローガンに、防災・減災プロジェクトに総力戦で挑んでいる。「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が終わった後も国と地方が一体となって、防災減災と老朽化対策という国家が抱える大きな2つの課題に短期集中的に取り組むと強調されました
総務大臣から、ブロードバンドサービスの重要性に関して、総務省では、4月から「ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会」において、ユニバーサルサービスの在り方について専門的な議論を開始した。それから、小規模地方自治体の技術職員の不足に関して、都道府県や広域連携に取り組む市町村が技術職員を増員し、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、今後の大規模災害に備えて、復旧・復興に必要な中長期案件の要員を確保するための地方財政措置を今年度から創設したといった御発言がありました。
財務大臣からは、特に人口減少や少子高齢化の中での社会資本整備という観点から、インフラを使う側と維持整備の担い手、双方に大きな影響を与えるため、維持・更新コストの持続可能性を確保すること、それから、まちづくりと整合的に社会資本整備を行う検討が必要。そして、建設業の生産性向上といったところを重視すべきだといった御発言がありました。
民間議員からの御発言です。
一人目から、デジタル化・スマート化、新しい価値観の反映、自然災害を想定した社会資本整備の3点がポイントになる。特に、二点目に関しては、グリーン化や環境重視、二地域居住、スマートシティなどの御紹介がありました。 二人目から、社会資本整備に関しては、民間が保有するデータも実は多いため、官民でしっかりとデータ基盤を構築することが重要だといった御発言がありました。
三人目から、中小企業の生産性向上を進めるべき。医療・教育の高度化ということ、この辺にデジタル化を通じて新しいまちづくりを進めるということと併せてそうした分野に取り組むべきだという話、それから5Gを活用したアプリケーションという意味として、このスマートシティというところが重要ではないかといった御発言がありました。
四人目から、生産拠点を分散させる必要性が明らかになったため、社会資本整備についても何が必要なのかを考えていくべきといった御発言がありました。
その後、会議がプレスの方にオープンになる前に、総理から、「新たな日常」はこれから始まっていくものではなく、日本独自の緊急事態宣言の下で営まれた日常の中で既に出てきているものという趣旨、それから、国際協調の必要性について御発言がありました。
その後、プレスの方に入室いただき、総理から御発言がありました。
私からは以上です。




(以上)