第7回記者会見要旨:令和2年 会議結果

西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和2年5月15日(金)18:39~19:36
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

経済財政諮問会議の概要について御報告いたします。
本日は、この会議で定期的に議論しております「金融政策、物価等に関する集中審議」、それから「新たな日常」の構築に向けた教育・科学技術分野の議論をテレビ会議で行いました。
まず一つ目の議題、「金融政策、物価等に関する集中審議」では、次のような意見がございました。
一点目、今回の新型コロナウイルスの感染予防と経済活性化の両立を目指し、国民の協力の下、感染を抑え込み、早期に経済活動を再起動していく道筋を示すことで、国民や企業に安心できる将来見通しを示すことが重要。これらについて、基本的対処方針等諮問委員会と連携し、経済財政諮問会議で議論を深め、骨太方針に盛り込むべき。
二点目、医療機関・国民・事業者等が置かれている現状等を踏まえ、「当面の危機克服フェーズ」と「感染リスクの低減化と経済活性化と両立フェーズ」に沿って、感染症拡大を効果的に抑えつつ、経済活動を段階的に引き上げていく必要がある。
三点目、経済活性化に向けた重点課題として、世界的な経済活動の深刻な落ち込みと社会変革の波の下、感染リスクの少ないスマートライフ社会の構築を進めるべき。
四点目、国際的な人の移動等に関する感染症のリスク管理のルールや国際標準としての検査・モニタリングの体制整備、グローバルな観点からの経済安全保障のルールづくりを進めて、その上で、自由で公正な貿易・投資の実現を日本が牽引すべき。
こういった意見がございました。
次に、「新たな日常」の構築に向けた教育・科学技術分野の議論においては、次のような意見がありました。
一点目、今般の感染拡大により、学校を休業せざるを得ない歴史的な事実が続いている中、デジタル化・リモート化を活用し、学びを止めないこと、教育格差を生じさせないこと・広げないことが最重要・最優先課題。
二点目、デジタル化・リモート化の流れは、教育の在り方に大きな変革をもたらしており、コロナ後も見据えて、これらを活用した教育の基盤強化を進めるべき。
三点目、今回の感染拡大の下で、創薬研究等に加えて、デジタル化・リモート化、AI・ロボットなどの社会課題の解決に資する研究開発投資は、経済回復と競争力強化の中核となる。次期科学技術基本計画で人材育成を含め優先付けを行い、研究開発投資の拡大に取り組むべき。
こういった意見がございました。
また、今回、私から次のような発言を行いました。
一点目、保健所が感染者の数を報告する際、手書きで記載し、ファックス送信で対応していたということ。
二点目、今回、マイナンバーカードを用いた特別定額給付金のオンライン申請を認めておりますが、マイナンバーカードを持っていても、暗証番号を忘れている人が暗証番号を変更する場合、あるいは暗証番号を新たに設定する場合、その変更・設定のため市役所に赴いて何時間も待たなければいけないといった事態も発生しているということ。
それから、三点目、無利子・無担保の融資について、日本政策金融公庫が大変頑張ってくれており、休日も返上して、また、人事も4月異動を止めているが、それでも申し込みが殺到し混雑している中で手続に何日も掛かるケースもあると言われていること。
オンラインでの申請やAIによる審査など様々なことが本来行えてしかるべきであり、こうしたデジタル化・オンライン化の遅れも明らかになってきております。これらは一例ですが、今回のこの事象の中で、本来取り組んでおくべき事柄が行えてなかったわけですが、デジタル化やオンライン化などの社会変革を是非一気に進めていきたいと思っております。
安倍総理からの締めくくり発言は、お聞きいただいたとおりでありますが、この中でも、こうした「新たな日常」を定着・加速させていく中で、対応の方向性やそのための取組について、経済財政諮問会議でしっかり御審議いただき、本年の骨太方針に盛り込んでいただきたいという発言がありました。
こうした方針について御指示を頂きましたので、デジタル化・オンライン化について、一気に進めていくということで議論を加速していきたいと考えております。
それから、全国知事会との会議では、特に、都道府県をまたぐ人の移動について、全国知事会から御懸念がございました。5月末までは緊急事態宣言が解除された県同士でも、是非、自粛していただき、移動を控えていただきたい。そして、緊急事態宣言の対象となっている区域との移動は、解除されたところとの移動も含めて、自粛していただきたい。こうしたことについて、私から基本的対処方針で示していることも申し上げました。
それから、イベント等について、感染防止策をしっかりと実施していただくことを前提に、屋内の開催であれば、収容人数の半分以下かつ100人以下ということもお示ししております。屋外であれば、距離を取って人と人との間を空けて200人以下であれば、こうした一定の条件の下で開催することが考えられるということも、昨日、基本的対処方針と通知でお示ししております。また、大規模・全国的なイベントについては、引き続き慎重な対応を求めるということについても御説明申し上げました。
全国知事会からは共同声明を発出しておられますので、これについての御説明を頂き、また、緊急事態宣言の区域変更について、これまでも御要望いただいておりましたので、どういう基準で解除するのかということについて御説明申し上げ、明確な基準を示したということで一定の評価を頂いていると思います。引き続き、今回、解除された39県も含めて、47都道府県が一致結束して感染拡大の防止に取り組むと同時に、段階的に経済活動を引き上げていくことに取り組んでいきたい旨の御説明がありました。
また、テレビ会議の中でコロナウイルス感染症対策専門家会議における3つの区分、特定警戒都道府県と感染拡大注意都道府県、感染観察都道府県の違いが分かりにくいということで、私からそのことについて説明を申し上げました。基本的対処方針に示した地域区分との関係も含めて御説明いたしました。特定警戒都道府県とは、現在、引き続き緊急事態宣言の対象となっている都道府県です。そして、感染観察都道府県という専門家会議が示した三番目のカテゴリーは、緊急事態宣言が外れた39県と一致しております。ただ、39県の中から感染が拡大してきた場合、特に再指定する基準の半分ぐらいに来たようなところがあれば、感染拡大注意都道府県という二番目のカテゴリーになりますが、現在、これがあるわけではないということで、昨日も専門家会議からも記者会見で説明があったと思います。こうしたカテゴリーについて御説明いたしました。
いずれにしても、全くゼロにするにはまだ時間が掛かります。まずはこの大きな流行を収束させて、その後、小さな流行が起こることがあり得るわけですが、それに対し連携して大きな流行にならないようにしっかりと取り組んでいこうということで、連携を確認させていただいたところです。
私からは以上です。




2.質疑応答

(問)今日の経済財政諮問会議と、経済学者の先生方が新たに加わった新型コロナウイルス感染症の諮問委員会が、具体的にどのように連携して経済活動の引上げプランを練っていくのか、もう少し具体的なイメージを教えてください。
それから、全世代型社会保障検討会議も2月から開かれず、経済財政諮問会議での議論も新型コロナウイルス感染症の対応でやや遅れ気味かとは思います。例年、骨太方針は6月頃にまとめていますが、今年の取りまとめの見通しについて教えてください。


(答)まず、新型コロナウイルスの感染予防と経済活性化の両立については、正に私に与えられた責任は2つです。この新型コロナウイルス感染症から国民の皆さんの生命・健康を守っていくことと、皆さんの生活を守っていくこと・経済をしっかりと立て直していくことの2つが私に与えられた課題だと考えています。そして、新型コロナウイルス感染症対策本部や基本的対処方針等諮問委員会といった様々な検討と経済財政諮問会議を中心として、様々な民間議員の御提案を頂き、私ども経済担当部局と連携しながら、この2つをしっかりと実現していくことだと思っています。その連携をより強化していくために、竹森議員に基本的対処方針等諮問委員会のメンバーにも入っていただいて、橋渡しをお願いしているところですが、両方の視点を持って私自身が取り組まなければいけません。
新型コロナウイルス感染症対策本部の本部長と経済財政諮問会議の議長は安倍総理ですので、安倍総理の下で担当大臣として、国民の皆さんの生命・健康をこのウイルスからしっかりとお守りすること、そして、経済を立て直し、皆さんの生活・暮らし・雇用を守っていくことと、事業を継続できるようにしていくことの2つをしっかりと実現していきたいと考えています。
それから、取りまとめのタイミングなどについて、今、正にこの大変大きな問題となっている新型コロナウイルス感染症の感染拡大を、まずは何としても収束させるということに全力を挙げているところです。政府全体として、骨太方針をいつ決定するかも含めて、総理や与党ともよく相談しなければいけないと考えているところです。
社会保障改革の進め方も、その中で検討していきたいと考えておりますが、会議については、是非、タイミングを見ながら開催して、議論を進めていきたい。全世代型社会保障改革も、これは日本の将来にとって大事な視点ですので、しっかりと議論を進めていきたいと考えているところです。
その上で、例えば、海外の有名な経済学者から、高齢者は感染リスクが高いから、その方は「隔離」という言葉を使っていると思いますが、やや実社会から感染リスクの高い人を、そういう形で離すことが死亡者の数を減らすことにつながるといった提言がなされています。日本は、元気な高齢者の方が多いですから、是非、引き続き70歳まで、あるいは元気な方は75歳まで頑張っていただきながら、そして年金の受給年齢も引き上げていく。これは個人個人の選択で選べるようにしていく方針ですが、しかし一方で、リスクはあります。例えば、今回、多くの人がテレワークやリモート化を経験する中で、高齢者の方であっても、自分は元気だからもっと社会と関わって働いていきたいという方が、そうは言っても、パソコンはなかなかよく分からないといった方もおられると思いますし、新たにこのテレワークの様々な仕組みについても、使い方がよく分からないという方もおられるかもしれません。そういった方々がテレワークやリモート化の中で活動を続けていけるような環境や使いやすい環境を作っていくことも大事なことだと思っております。高齢者の方に、引き続き元気に活躍してもらいたいと思っておりますが、自宅で活動できるリモート化や、また、今回、オンライン診療も認めるようになっておりますのでこういったことで、感染リスクを減らす中で活動していただく環境を考えていくことが、課題の一つと考えているところです。



(問)三菱UFJフィナンシャルグループがアンケート調査に協力してもらう形で、およそ5,000人のアルバイトを募集して、大学生の生活費を支援することになりました。アルバイトが行えずに収入が減った学生らの支援をめぐっては、大学が独自に給付金を支給したり、地方自治体が事務作業の補助として学生を雇用したりする動き自体はあるようですが、現実として、スピード感を持ってこうした支援が広がるかどうかが重要なところだと思います。大臣の御所見をお聞かせください。


(答)アルバイトや就職が困難になっている方、あるいは本当に残念なことですが、職を失われた方や、今回の新型コロナウイルス感染症の影響の中で苦しい思いをしておられる方が様々おられると思います。
一方で、今日の経済財政諮問会議の資料でも提出されておりますが、たくさんの人を求めている業界もございます。もちろん医療・介護・福祉の分野や、あるいは先般訪問したスーパーにおいても求人を増やしているということでしたし、IT関係も今申し上げたような様々な需要が増えている中で、人材を増やしているということもあります。
そうした中で、民間企業において、そうした取組が行われることは本当に素晴らしいことだと思いますし、それぞれの地方自治体でもそうした動きが出てきています。今、アルバイトを失った学生さんや、あるいは不幸にも職を失ったような方に手を差し伸べるような活動が広がってきていることは、本当に素晴らしいと思いますし、また、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金もそうした様々な地域の雇用対策にも使えるということで今回対応しておりますので、それぞれの地域において、そういった方々に様々なチャンスを与えていただけることを素晴らしいと思います。
また、先ほども申し上げたマッチングをしっかりと進めていきたいと考えております。
いずれにしても、パートやアルバイトの方であっても、雇用をしっかり守るということに全力を挙げたいと考えております。



(問)今回、民間議員から緊急経済対策の中にある「Go Toキャンペーン」に関して、完全に収束しなくても予防策を講じた上で実施すべきという提言がありました。
冬になるとウイルスの感染リスクが高まると考えると夏が一つのタイミングになってくると思いますが、大臣としてはいつ頃から実施していくべきと考えているのか、お聞かせください。


(答)まず、今はこの大きな波を収束させることに全力を挙げなくてはいけないと思っております。
他方で、こうした中で休業要請を受けるなど、飲食、観光、宿泊、お土産物屋、それからイベント関係といった方々は、大変苦しい思いをしておられます。この方々にとっては、一刻も早くこの大きな流行を収束させて、感染予防をしっかり行った上で、様々な活動を早く認めてほしい。そして、また多くの人が旅行したり、飲食を楽しんだり、イベントに行ったりといった活動に参加できるようになることを期待されていると思います。様々な切実な声も頂いているところです。
そういう期待感に応えていくためにも、システム上、今日から始めようと言って明日からすぐできるわけではありませんので、準備期間は必要だと思います。こうしたタイミングについては、しっかりと見極めていかなければいけないと思いますし、また、準備にどのぐらい掛かるのかということを経済産業省や国土交通省、農林水産省としっかり話をしながら、適切なタイミングで準備に入りたいと思っております。



(問)昨日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の中でも、大体密な空間であるスナックやバーなど夜の盛り場はクラスター化の危険性があり、感染リスクの非常に高い所という指摘がありましたが、それを事実上のいわゆる廃業宣告と受けとっている方も多いと思われ、それほど非常に厳しい状況があると思われます。これに対して、単なる休業補償を行うのか、ある意味で業態転換というようなことまで考えていただくのか、考えを伺いたいです。


(答)休業要請や、そして国民の皆さんも外出自粛している中で、事業者の皆さんは大変厳しい状況にあると思います。しかし一方で、これまで私たちの生活・社会の中で潤いを与えてくれたり、多くのサラリーマンの人たちにとってはストレス解消や気分転換の場面になったり、社会にとって様々な潤いを与えてくれているのだろうと思います。本当に厳しい思いをしておられる事業者の皆さんがたくさんおられるということについては、本当に切実な声を聞いて承知しているところです。
そうした中で、一つには家賃などが大変だということで、70万件からの申請がある持続化給付金の200万円や100万円の給付を、今、急いでいるところであります。こうしたものを活用していただきながら、また、従業員の方にはパートやアルバイトの方も使える雇用調整助成金を活用していただき、手続も迅速化して簡素化したいと思っています。さらには、昨日、総理から表明がありましたように、従業員の方から申請できるような仕組みも作ろうということも考えております。そうした様々な支援策を講じながら、何とか踏ん張っていただきたいと思っております。
今回、家賃について与党からも提言を頂いており、月額上限50万円あるいは25万円という提案も頂いております。そうしたことを踏まえながら検討を急いでいるところであります。本年度第二次補正予算の指示がございましたので、その中に盛り込んでいく予定です。
特に、ライブハウスやカラオケボックス、スポーツジムの方々は非常に厳しい状況に置かれていますが、それぞれ私は本当に世の中に潤いを与えてくれたり、あるいは心を豊かにしてくれたり、あるいは健康増進・健康維持のためにそれぞれ必要な施設であると思いますので、そういった施策を最大限活用し、何とか踏ん張っていただいて、そして更に必要な施策で何かできることはないか、足りないところは応援できないかということは常に考えていきたいと思います。
今、それぞれの業種でガイドラインを作成していただいております。密にならないように様々な工夫をしていただきながら営業の継続をしていただけるような応援もしていきたいと思っております。今はまだこの大きな流行が終わっておりませんので、様々な自粛等をお願いしているところでありますが、是非、踏ん張っていただいて、私の立場でも全力で応援していきたいと考えております。



(問)新型コロナウイルス感染症の対策の関係で伺いたいのですが、東京都の新規感染者数が今日は9人となり、緊急事態宣言が出されてから初めて10人を下回りました。この数字を政府としてどう受け止めているのか、今後の見通しも含めてお聞かせください。


(答)1桁になったことは本当に嬉しいことだと思います。
昨日、小池都知事と電話で話しましたが、感染者が30人で、またかなり厳しいことになるかもしれず、引き続き、緊急事態宣言の対象地域として共に連携してやっていきましょうというお話をしました。
9人程度が続いてくれると解除に向けた基準を満たしてくることになるわけですけれども、日々でこぼこがありますので、1週間単位でしっかりと見ていきたいと思います。昨日、知事も、私どもの基本的対処方針などを受けてロードマップを発表されたと伺っています。私たちの公表した基準、考え方、さらには基本的対処方針を踏まえて作っていただいております。
まずはこの大きな流行を収束させるため、共にしっかりと連携して、対応していきたいと考えています。



(問)新型コロナウイルス感染症に関する政策の方向性について質問します。九州大学の小田垣孝名誉教授の研究報告があり、その研究報告によると、現在の検査数のまま政府が国民に求めている8割の行動自粛を行った場合、新規感染者が10分の1になるのに23日掛かるのに対して、検査数を2倍にすれば、5割の行動自粛でも14日で10分の1、検査数を4倍にすれば8日で10分の1になるとのことです。
この結果が示すことは、国民の行動自粛よりも政府による検査・隔離政策の拡充が対策として有効であるということです。
専門家会議は、5月4日の記者会見で、検査に表れない感染者が市中に20倍から30倍いるだろうと認めていらっしゃいます。このまま補償なき自粛が続くと、6月には倒産ラッシュが発生するという予想がエコノミストからも出ています。検査数と隔離施設を同時に増やすことに政策を転換すべきではないでしょうか。お考えをお聞かせください。


(答)まず、この試算の根拠や内容については詳しく承知しておりませんので、このことについてのコメントは控えたいと思いますが、いずれにしても、検査数を増やしていかなければいけないことは間違いありませんし、そういった方針で臨んでいます。必要とされている方が迅速にPCR検査を受けられる体制を急いで作っていかなければいけないと考えているところです。
検査数が少な過ぎるのではないかということについては、これまでもお話ししておりますが、確かに諸外国に比べて少ないものの、SARSやMARSを経験していない中で、PCRの検査体制を他の国のようにしっかりと整備してきたわけではないため、そうした中で限られた資源・リソースを、まずは、重症化するリスクのある人に集中して検査を行ってきました。
検査数が少ないことはその結果でもあり、また、日本は世界に比べて人口当たりのCTスキャン検査器機が入っている割合が圧倒的に多いため、肺炎を見逃さずにきちんと対応できていることから、人口当たりの死亡者数は非常に少ない結果になっています。
これは、医療現場の皆様が本当に昼夜を分かたず努力されたおかげだと思っていますし、そういった意味で、これまでは一定の成果はあったのだと思っています。
他方、フェーズが変わってきています。市中感染の割合も増えていますし、医師が検査が必要と言って連絡しても何日も待たされるケースも出てきています。これはもうあってはならないことであり、検査が必要だと判断された方が迅速に検査を受けられる体制を1日も早く構築していきたいと思っています。
このためには、保健所の負担を軽減していくことや防護服などの体制をしっかり作ることが必要です。また、精度はPCRに比べると少し落ちますが、抗原キットが承認されました。この抗原キットで30分程度の短時間でもし陽性だと分かればPCR検査も陽性になりますので、そういう意味では、抗原キットも活用していくことも大事だと思っています。
私はその試算を直接承知していないので見ておきたいと思いますが、いずれにしても検査体制をしっかり整備していきたいと考えています。



(問)昨日の緊急事態宣言の一部解除について伺います。
石川県の解除を受けて、石川県民からは政府の判断は意外だと受けとめる声もあります。昨日の記者会見でも大臣がおっしゃったように、感染経路不明者がほぼいないことと病床が確保されていることが主な解除の理由ということですが、石川県出身の岡田内閣官房副長官も総理大臣官邸にいらっしゃいますが、緊密なやり取りがあった上で解除の判断に至ったのでしょうか。大臣御自身も石川県にはゆかりがあるかと思いますが、お聞かせください。


(答)これは石川県知事自身が認めておられますが、当初、金沢にどんどん遊びに来てくださいというような趣旨の御発言をされていたことを承知しています。その後、それを改められたことも承知しています。やはり、東京を中心とした大都市部との行き来が感染を広げたのではないかと思います。
他方、御指摘のように、特定の病院で院内感染が広がっております。したがって、感染経路不明の方は非常に少なくて、しっかりと感染経路を追えているということ、それから、新規感染者が減少してきていて落ち着きを見せていること。それから、私が心配していたことは医療体制です。私から岡田副長官には、医療体制が非常に心配であり、本当に病床をしっかり確保できているのかということを申し上げました。岡田副長官からは、県のともやり取りをして、結果として、医療体制も病床もしっかりと確保できていることが確認できましたし、感染経路をしっかりと追えていること、そして特定のクラスターで増えていることなど、これらを最終的に専門家の皆さんに御説明して御理解いただき、解除に賛同いただきました。



(問)資料3-1の3ページ上部に「資本性資金の供給の大幅な拡充を行い、国際的に競争力を持つ企業、創造的な企業等の体質強化を図るべき」との記載があります。自民党でもこの分野に対するPTが立ち上がって議論が進められていますが、中には地域の中小企業も含めた幅広い対象を求める声もあるようです。ここに記述には、「国際的に競争がある企業」とか「創造的な企業」と、対象としては絞られる印象を受けましたが、大臣の考えをお聞かせください。


(答)このペーパーは、正に「攻めの企業経営に向け」と書いてあるとおり、1.の項目で「感染リスクの低減化」とか「両立フェーズ」と書いてあるように、克服フェーズから低減化と両立していくフェーズへと考えていく中で、「攻めの企業経営に向け」ということで、大企業においても、今回、現に相当の影響を受けています。航空機関係やJRのような鉄道関係、あるいは製造業でも、自動車関係ではトヨタの営業利益が8割減るようなことが発表されたりしており、自動車関係が減る中で、当然、鉄鋼等の材料関係も幅広く、内部留保をしっかり使っていただいていると思いますが、相当な影響を受けております。
そうした中で、「国際的に競争力を持つ企業」「創造的な企業」と書いてあるとおり、ここの文面は、この機会にしっかりと体質強化を行って、「攻めの経営」に向けて取組を進めるべきという御指摘だと理解しています。
他方、当然影響を受ける企業は、大企業のみならず、内部留保など備えもより少ない中堅・中小企業です。この提言は、中堅・中小企業は当たり前だという前提で書かれていると理解していますが、中堅・中小企業にも資本性資金を入れていくことは、当然、検討を行っているところです。
特に、日本政策金融公庫は資本性劣後ローンの仕組みを持っています。何度か御説明しましたが、REVIC(地域経済活性化支援機構)が地銀とのファンドを持っております。これを今回の新型コロナウイルス感染症対策にも使えるように規約の変更などを行っていますし、それがカバーされていない地域も、現在、地銀と連携してファンドを立ち上げる準備を行っています。このREVICも様々な手法で出資したり、REVIC自身が中堅企業に出資することや立て直していくこともできます。また、地銀とのファンドを使って資本性資金を入れて中堅企業を応援していくこともできます。また、JIC(産業革新投資機構)もいわゆるファンドとして様々な出資を行っていて、特にベンチャー企業などに出資することもできます。
したがって、こうした政府系金融機関やファンドを活用しながら、融資だけでは債務がどんどん膨れ上がっていくことも念頭に置きながら、様々な手法で必要な資本性資金を供給して、今回の危機を乗り越えていただいて、持っている技術やネットワークや力を是非存分に発揮してもらえるよう応援していきたいと考えています。
ありがとうございました。




3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

令和2年第7回経済財政諮問会議の概要を報告いたします。
2つの議題のうち、一つ目の「金融政策、物価等に関する集中審議」では、黒田日本銀行総裁から資料1、私から資料2、そして、民間議員の方から資料3の説明があり、その後、閣僚からの御発言がありました。
まず、加藤厚生労働大臣からは、新型コロナウイルスの感染者数の動向についてお話があって、特にPCR検査について資料を使ってお話がありました。今後、PCR検査については、防護服や、口を手で触ってしまうなど、感染との関係で問題があるが、唾液を用いる新しい技術の活用や、ドライブスルー方式の活用、PCR検査センターの拡充などによって、特に検体の採取に関する対策を強化していく。テレビ会議の場では、身振りを付けての御説明がありました。民間検査機関を活用して、検査能力の向上を図るといったことについてもお話があったところです。
梶山経済産業大臣からは、産業構造審議会などの場で、産業構造やビジネスモデルの将来像について検討し、成長戦略の策定に貢献する。それから、総理からの御指示を受ける形で、中小企業に加えて中堅・大企業も含めた資金繰り支援のために、長期の資本性資金提供を含めた制度の整備を進めるといった話などがありました。
麻生財務大臣からは、補正予算の5つの柱について御紹介があり、5月27日を目途に概算決定を行うなどの速やかな編成に取り組んでいくといったお話がありました。
その後、西村大臣から御発言がありましたが、これは先ほど大臣御自身から御紹介がありましたので、私からは割愛します。
それから、民間議員の御発言について、お話します。
まず、一人目、4つのポイントが重要であり、一つ目として、事業再開のガイドラインはきめ細かいものが作られが、更に柔軟にやっていくことが必要。この柔軟にというのは、経済活動を早く立ち上げていくということとのバランスが重要だという話。二つ目として、ボトルネックの解消が大事であり、これに対しては財政出動を含めて対応していくべきだということで、PCR検査についてお話がありました。三つ目のポイントとして、なかなか予測どおりにはいかない場合もあるので、プランBやプランCを準備することが大事だという話。それから、四つ目として、リアルタイムのデータを揃えていくことが重要だというお話がありました。
それから、民間議員の二人目、医療体制がしっかりして受け皿があることを明示することが安心の獲得の上で大事。情報がよく見えない、医療機関の分担がどうなっているのか。それから、キャパシティの問題だけではなくて、感染症以外の治療も含めたクリアな方針や現状を把握することが必要。医療関係は、その地方自治体の病院もあるが、多くのことを民間が背負っており、もう少し対応の体制を整理していくことが重要。経済界の中では、コロナ後の新しい社会あるいはウィズコロナの社会というものはどう変わっていくのか真剣に議論しているが、その議論を踏まえて経済財政諮問会議の場で報告したいという話がありました。
三人目、やはり国民不安の解消されない原因は、検査が受けられずに適切な医療を受けられないといった不安といったところにもあるのではないか。第二波が来た時の経済ダメージも含めて懸念があるというお話がありました。また、危機の収束が遅れれば、経済への影響も拡大していくということがあるので、それは資料にもあるとおり、資料の3-2で18兆円ぐらいのマイナスという話が出ているが、そういったことを考えれば、PCR検査に投資した方が、メリットが大きいのではないか。家計の不安や解消も重要なので、必要な人に給付金を続けることも考えたら良いといったお話もありました。それから、日本の場合、亡くなった方が少ないにもかかわらず国際的な評価がされていないといった指摘もありました。
四人目、行政のスピード感が大切。行政が国民に対して行動変容を求める以上、行政自体もしっかりと変わっていくということが大事であり、行政が問題を早く解決していくことが国民に対して納得感を高めていくことに繋がる。それから、緊急事態宣言が解除されてきているが、東京等の大都市がまだ解除されていない。これは、東京等の大都市が解除される場合とされない場合では、効果が3割程度変わってしまう。したがって、何とか大都市部の解除が進むように、資源配分を含めてしっかり考えるべき。これは、医療などの問題ではなくて、政府がしっかり取り組むべきだという話がありました。
以上が一つ目の議題です。
二つ目の「新たな日常」の構築に向けた教育・科学技術分野の議論では、民間議員から資料5の説明があった後、閣僚から御発言がありました。
萩生田文部科学大臣や竹本科学技術政策担当大臣の御発言については、用意された資料について御説明されたため、割愛させていただきます。
高市総務大臣から、GIGAスクールに関連して、学校を含む地域のブロードバンド環境の早急な施設整備を進めることで、子供たちが学習を継続できる環境整備に取り組んでいく。また、感染症の影響で企業の内定を取り消された方を、会計年度任用職員や任期付職員として採用していく地方公共団体が更に増加している。それから、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」について、地方公共団体が業務体制を確保する観点から臨時に採用する職員の人件費に充てることができることを地方公共団体に通知しているという御発言がありました。
閣僚からは以上です。
民間議員からの御発言を紹介します。
一人目からは3点ありました。一つ目は、自宅でオンライン教育を受けられる体制をしっかり整備するため、PCの整備や貸与の仕組み、ブロードバンド環境の整備の話がありました。二つ目、教育カリキュラムをより早く進めていくことも可能になるため、成績の評価も変えていく必要も出てくるだろう。三つ目、研究開発に関して、若手研究者の支援をしっかり考えていくべきだという話がありました。
二人目からは、各地で教育格差が生じていて、格差の解消を図ることが必要。国際競争の観点から、是非、9月入学を前提に取組を進めてほしい。それから、高齢の教員に対しては、オンライン教育について大規模な研修を行うべきだという話がありました。
三人目からは、デジタル化は重要。そのためには、人材が必要であり、IT人材の育成に力を入れるべき。今、教育を受けられていない子供たちへの対応として、NHKのEテレの枠を活用して学校教育のための放送を流すなど、テレビの活用を検討したらどうか。それから、学校休業中の実態を文部科学省がしっかりと把握すべきであり、その実態に応じた対応を進めるべきだという話がありました。
四人目からは2点ありました。一つ目、オンラインでの採用活動は順調に進んでいるが、学生側からの受け止めをしっかりモニタリングしなければならないため、引き続き慎重に進めていきたい。二つ目、オンライン教育を充実させることは中身が非常にある話であるため、EdTechを活用したSociety 5.0時代の学びを提案していくので、その加速と同時に、中身を充実させてほしいという話がありました。
民間議員からは以上で、最後に総理から御発言があって会議は終わりました。
私からは以上です。




(以上)