第6回記者会見要旨:令和2年 会議結果
西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和2年4月27日(月)20:20~20:55
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
まず、私の昨日・一昨日の自宅勤務についてです。
今月19日日曜日の東京大学病院視察に随行していた内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策推進室の職員1名が、新型コロナウイルスに感染したことから、保健所の指導があるまでの間、具体的には、この土曜日・日曜日の間、念のため、自宅勤務をしていました。
25日土曜日に保健所の調査を受け、私や他の新型コロナウイルス感染症対策推進室の職員が、濃厚接触者に該当しないことが確認されたことから、26日日曜日限りで、自宅勤務の措置を取り止めることとしました。
私はPCR検査も受け、陰性であることが確認されています。PCR検査については、感染症対策の全体の調整を担っているという自らの職責を鑑みて、危機管理の観点から受けることにしました。
今日から予算委員会が始まりましたけれども、特に今週は審議があるため、正に国民の代表である議員の皆様と、与野党を超えて、近い距離で、多くやり取りする可能性があること、それから、総理をはじめとする閣僚や関係省庁の幹部と近い距離で接触する機会が頻繁にあることから、医師と相談の上、私自身の判断で、私費でPCR検査を受けました。
なお、保健所から、感染した職員の近くの席にいた職員については、念のため、当分の間、在宅勤務にした方が良いとの指導を頂きました。これを受けて、職員と同じ班の4名と隣の班の3名をテレワークとしました。体調や業務の状況等に応じて、明日から順次、復帰していくこととしていますが、引き続き、保健所の指導に従っていきます。
続いて、経済財政諮問会議の概要について御報告します。
本日も、前回に引き続いてテレビ会議形式で開催しました。
今回は、感染症の長期化・再発等に備えるための「緊急提言」についてと、その中でも触れられている「今こそ将来に向けて投資が重要」という問題意識との関連で「未来への変革」について、議論を行いました。
まず、「緊急提言」について、次のような意見がございました。
緊急経済対策は、雇用・家計・事業を守る観点から、相当思い切った規模と内容になったが、重要なことは、一刻も早く国民一人一人に、また、影響を受けている事業者や世帯に、これらの施策を確実に届けること。状況変化に応じて、随時、国民が直面する課題に、迅速かつきめ細かく対応していく必要がある。これまでの慣習や規制・制度等が障害となって問題解決が進まない状況も出てきており、こうした面での社会変革の取組が不可欠である。
テレワークの推進に向けて、押印や書面提出を必要条件として求める制度・慣行の見直しについて、規制改革推進会議において緊急要望を受け付け、対面または郵送手続きからデジタル対応への移行を進め、不必要な接触を減らすとともに、事務コストの徹底削減を実現すべき。
次に、二つ目のテーマの「未来への変革に向けて」については、次のような意見がございました。
世界に広がる新型コロナウイルス感染症の下、政府は総力を挙げて危機克服に取り組んでいるところであるが、パンデミック後の新たなグローバル社会において、直面する社会課題を解決した企業・国々がグローバルに競争力を持つことは明らかである。
リーマンショック後、欧米諸国は研究開発投資に資金を回し、早期に回復した一方、日本企業の研究開発投資は回復までに時間を要し、その後のイノベーション力の低下につながった。
リーマンショック後の投資停滞を繰り返さず、日本経済をデフレと低成長に戻さないよう、未来を先取りするデジタル化やグリーン化、サステナビリティなどの地域への投資を重点的に推進し、今後の回復の起爆剤とすべき。
総理からの締めくくり発言については、お聞きいただいたとおりです。経済財政諮問会議の詳細は、後ほど事務方から説明させていただきますが、総理からの締めくくり発言では、規制改革推進会議に対して、緊急の対応措置を早期に取りまとめるように指示があったところです。
今回の経済財政諮問会議の資料3-2を見れば、これだけの今回の緊急経済対策に盛り込まれた給付金・助成金において、対面原則については、オンラインで対応できるものもいくつかありますが、残念ながら、例えば、雇用調整助成金についても、対面又は郵送は可能なものの、オンライン申請が対応できておりません。これも早期にオンライン申請が可能となるように対応が求められているところです。
それから、印鑑です。資料3-2にあるように、これだけの手続が押印・署名が必要だということです。あるいは、添付書類は、紙でこれだけのことを出さなければいけないということですので、この改善を是非とも早期に進めていくようにという指示があったところです。
民間の取引でも、立場の強い相手が契約書や請求書で判子を求めると断り切れないというお話も伺っております。規制改革推進会議と連携しながら、経済界において判子無しの環境・気運づくりに向けて積極的に議論していただけるように、日本経済再生総合事務局に指示したところです。テレワークをしていても、判子を押しに会社に行かなければいけない、あるいは、請求書の封を開けに会社に行かなければいけない。正に政府へのこういった手続もそうですし、民間・民間取引についても、できる限りオンラインで進んでいけるように検討を指示したところです。
また、政府調達の手続などにおいても、例えば、見積書に会社代表者印の押印を求める実務がまだ行われております。「隗より始めよ」ということで、こうした押印を求める慣行・事務手続を見直すことができないか、希望する相手には電子契約を原則とするよう、内閣府の事務方に指示いたしました。あわせて、各省においても、この電子契約が進むよう調整するように指示したところです。法律上は電子契約でもできることになっておりますけれども、まだあまり進んでいないということですので、原則として電子契約とするよう指示したところです。もちろん、小さな事業者もありますので、100%とは、なかなか難しいと思いますが、原則として電子契約を進めていきたいと思います。
さらに、判子のない会社が設立できるように、会社の実印である会社代表者印の登録を任意化する改正商業登記法を来年2月目途で施行することになっております。
こういった取組を進めて、判子を当たり前とする我が国の商慣行を改めていく契機としていきたいと思っております。
それからもう一点、新型コロナウイルス感染症対策に対してです。
大阪府では、本日までに9店舗のパチンコ店に対して、新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第2項に基づく休業要請及び施設名等の公表を行い、兵庫県では、本日、6店舗のパチンコ店に対して同様の措置を行ったと聞いております。大阪府では、対象となったパチンコ店は既に3店舗が要請に応じていると聞いておりますけれども、残りの店舗には逆に人が集まっている状況とも聞いております。このように人が集まる状況は、更なる感染リスクを高めるものです。利用者におかれては、御自身の感染を防ぐためにも、これらの施設に行くことは是非とも控えていただきたいと思います。
また、休業の要請を行っていることも考慮して、24日、経済産業省において、セーフティーネット保証第5号等の支援について、パチンコ店も含めて対象業種を拡大することを公表しております。事業者の皆様には、是非とも協力していただきたいと思います。
しかしながら、それでも個別の要請に応じない場合には、今後、新型インフルエンザ等対策特別措置法45条3項に基づく施設の使用制限等の指示という、より強い措置を行うことも考えられます。既に16の地方公共団体、都道府県から、そういった相談を受けているところです。私も何人かの知事と、直接、話もさせていただきました。
是非、事業者の皆さんには協力していただきたいと思いますし、指示を行った後もこの指示に従わない施設等が多数発生する場合には、正に国会でも議論がございました罰則を伴うような、より強制力を伴う仕組みの導入といった法整備について検討を行わざるを得なくなります。是非とも事業者の皆さんには、感染拡大を防ぐ観点から要請に応じていただきたいと思いますし、利用者の皆さんも、利用を控えていただきたいと思います。
私は、日本人が正にこの高い倫理観、意識、そして連帯感を持っているからこそ、この緩やかな法体系の中でも終息に向けての道筋が必ず開けるものと信じております。この法体系の中で、私は都道府県知事の皆さんと連携しながら、法執行にしっかり対応していきたいと考えております。是非、国民の皆様にもできる限りの協力をお願いしたいと思います。
様々な御不便をおかけしておりますけれども、5月6日まで、8割の人との接触削減を、皆様方に改めてお願いしたいと思います。ゴールデンウイークはステイホームということで、是非、できる限り御自宅でお過ごしいただくようにお願いしたいと思います。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)今、御発言があった新型インフルエンザ等対策特別措置法45条3項の件について、指示に従わない施設が多数発生とおっしゃいましたが、45条3項を発動した後、どれぐらいの期間で、どれぐらい多数発生した場合を想定されていらっしゃるのでしょうか。
(答)状況を見て、適切に判断していきたいと思っています。
(問)もう一点、関連として、必要に応じて今国会での法改正も視野に入れていらっしゃるということでよろしいのでしょうか。
(答)状況を見て、適切に判断していきたいと思います。是非とも、事業者の皆さんには要請に応じていただき、利用されている皆さんも是非控えていただきたいと思います。
(問)細かい点の確認なのですが、大臣のところに相談に来ている16の地方自治体なのですが、これは指示することについての相談という理解でよろしいのでしょうか。
(答)既に休業の要請を行っている都道府県ですね。都道府県というと、都や道が入っていますが、特定はしません。それだけの地方公共団体ということです。既に要請を行っている中で、要請に応じてもらえない事業者がいるため、次の措置では、いわゆる指示を行っていくことについて相談を受けています。その手続につきましては、行政手続法等に則ってということで、既に通知を出しているところですが、具体的にどう進めていくのかという相談を受けているということです。
もう一点、言いますと、ある県でほぼ全部閉じていても、その隣の県で開いていれば、そこに人が殺到するような状況も見られますので、各都道府県間でも、様々な連絡を恐らく取られているのだろうと思います。
(問)今回、経済対策に盛り込まれた中でも、まだ書類が必要なものがあるということで、例えば、雇用調整助成金などは緊急性も高いが、これをどういう形でオンライン化・書面無しに変えていくのか、具体的なお話は出ましたでしょうか。
(答)システム開発を進めていると私は理解していますが、まだ間に合っていませんので、厚生労働省においてそのシステム開発を急ぐことになると思います。
対面で対応するケースでは非常に混み合っているとも伺っています。もちろん、感染防止の対策は取られていると聞いていますが、郵送でも対応できますので、対面原則から言うと、是非、郵送でも良いということで進めてもらえればと思っています。
(問)資料3-2の表の赤の箇所をできる限り青にしていくという目標は、会議体では話し合われましたか。
(答)この資料は提示されましたので、この押印が必要というのを基本的に無くしていく。それから、添付書類もできる限り簡素化していく、あるいはネット上で送れば良い、あるいは1度何かで使った書類であれば、各省庁間で共有すれば良い。ワンストップ・ワンスオンリーということで、全体でデジタル・ガバメントを進めているところであるが、そういったことを加速させていくということです。
(問)もう一度確認ですが、その表は、全て改革していく、青に変えていくという目標でもあるという理解でよろしいですか。
(答)全て改革していきます。
(問)日本銀行金融政策決定会合についてお伺いいたします。
大臣は、午前中の終了後のぶら下がり記者会見でもお話がございましたが、政府と日本銀行のポリシーミックスだというお言葉があったと思います。一方で、国債に対する巨額の買入れについては、事実上の財政ファイナンスではないかという見方も渦巻いております。その点について、大臣の御見解を改めてお伺いしたいと思います。
(答)私がポリシーミックスと申し上げた点、これは特に午前中に申し上げましたけれども、正に政府の中小企業の資金繰り対策について、今般、政府系金融機関から各都道府県の制度融資・制度金融と連携させる形で、地方銀行・信用金庫・信用組合でも無利子・無担保の仕組みを構築し、5月にも、これをスタートするとのことですが、それについて、日本銀行の立場からそうした金融機関への資金供給をしっかりやっていただくという意味で、連携が更に密にとられていると考えています。そういう意味で評価しているところです。
他方、国債買入れについては、これは市場から買い入れるわけですし、こうした状況の中で大胆な金融緩和を更に強化して進めていくということであり、財政ファイナンスには当たらないと理解しています。
3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
令和2年第6回経済財政諮問会議について概要を報告します。
まず、西村大臣から、今月20日に閣議決定した資料1「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の改定版と、資料2として「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の経済効果試算」の改定版について報告がありました。
その後、2つの議題、資料3「緊急提言」と資料4「未来への変革に向けて」について説明があり、続けて、まとめて意見交換しました。
まず、閣僚の御発言から御紹介します。
規制改革担当の北村大臣から、押印や書面提出の義務付けなど、テレワークの実施を困難としている規制制度は、早急に見直すべき。規制改革推進会議の事務局より、先週22日水曜日に経済四団体に対して、必要な事項の要望の提出を依頼しているという御紹介がありました。今後、規制改革推進会議において、現場の声を踏まえながら、関係省庁と見直しの議論を早急に進め、直ちに実現できるものについては、順次、関係府省に取組をお願いしていきたいという御発言がありました。
そして、IT戦略本部でも、デジタル・ガバメント実行計画の前倒しについて議論が始まっている。規制改革推進会議でも、デジタルガバメントワーキング・グループにおいてオンライン化に向けた検討を行っており、IT戦略本部と連携して、使い勝手の良いものになるように書面・押印の見直しにしっかりと取り組みたいという御発言がありました。
経済産業大臣です。主に2つ目の議題に関して、「環境と成長の好循環」の実現が重要であるという観点で、日本の強みを生かした競争力のある産業を創出する、経済社会インフラを思い切って変革する、革新的環境イノベーション戦略に掲げた研究開発投資を確実に実施するという3点のお話があり、西村大臣と共に未来投資会議における検討を進めていくとのことでした。
高市総務大臣です。1つ目の議題に関しては、総務省では4月20日から「組織が発行するデータの信頼性を確保する制度に関する検討会」において、押印・書面によらず会社間での発注や支払を行うためのトラストサービスの早期実現に向けた検討を行っているというお話がありました。
それから、マイナンバー制度について、今般の緊急経済対策の特別定額給付金は、マイナンバーカードを活用したオンライン申請によって迅速な給付を図るとしている。また、マイナンバーと銀行口座との結び付けについては、納税口座への入金や取得銀行口座での結び付けの仕組みについて関係府省と共に検討する必要がある。預貯金口座に対するマイナンバーの紐付けについては、相続時や災害時の国民負担の軽減などにも資するよう、関係府省と共に積極的に検討を進めていくといったお話がありました。
2つ目の議題に関しては、5Gについてしっかり進めていく、それから、「Beyond 5G」、いわゆる6Gについては、研究開発や知財・標準化などの戦略を、今年の6月に取りまとめていくというお話がありました。
麻生財務大臣です。今回の新型コロナウイルス感染症をきっかけに働き方改革などがかなり進んできている。是非、今後もしっかりと進めてほしいというお話がありました。
その次に、日本銀行総裁からは、資料5に関して、本日の日本銀行金融政策決定会合において決定した展望レポートと金融緩和、金融政策の強化についてお話がありました。
以下、民間議員からのお話を、順次、御紹介いたします。
まず、最初の方です。デジタル化やオンライン化は、魔法の杖であり、緊急経済対策の効果を上げていくため、そして、社会変革を進めるため、両方にとっても、非常に意味がある。しかしながら、実際の社会を見ると残念な状況になっている。例えば、押印のために出勤しなければいけないというのは、その一つの典型であり、是非、政府が率先垂範して取り組んでもらいたいというお話がありました。
次の方です。この方は2つ目の議題について、サステナブルという観点から環境は非常に大事だけれども、今は環境どころじゃないという議論も一部にあるが、今の新型コロナウイルスの問題と環境問題は、共通点も実は多い。本当に大事なことにはしっかりと財政を使っていくことが大事である。さらに、大恐慌の後には、国際政治がガタガタになってしまう恐れもあるが、今のうちからしっかりと舵取りをして、世界全体で協力していく体制を作っていくことが大事。環境にしても、今回の新型コロナウイルスの件にしても、一国では解決ができず、国際協力が不可欠であるいったお話がありました。
次の方です。1つ目の議題について、新型コロナウイルスの治療薬は開発途上であるが、途上国における感染の拡大の危険性は高まっている。これを防ぐことが世界経済の安定化にも大切である。開発が完了した暁には、量産化し、さらには、途上国にしっかりデリバリーしなくてはならず、そのことをG7を中心に進めていくべきだというお話がありました。
それから、2つ目の議題について、未来投資会議でしっかり議論すべき話が多く含まれているが、大事なことは、投資を呼び込む仕掛けをしっかり作ることであるというお話がありました。
次の方です。感染の防止、感染拡大の防止と、経済活動とのバランスをしっかり取るべきだというお話がありました。その中で、マイナンバーの問題について、銀行口座との紐付けをしっかり考えていくべきであるというお話がありました。
それから、雇用・家計・事業の3つをしっかり守っていくと言っているが、特に、その中でも、家計を守っていくことが大事であり、家計を守ることができれば、雇用、それから事業もしっかり守ることができるというお話がありました。
次の方です。デジタル化とオンライン化については、制度を作るだけではなく、実行しなければならない。実行し、課題の有無をチェックし、改善していくことが大事だというお話がありました。
2つ目の議題に関しては、投資が回っていない分野が大事であり、環境やグリーン化だけでなく、他の多くの分野でも投資を呼び込む仕組みを作るべきであり、特に、働き方改革を上手く使っていくことが大事だというお話がありました。
次の方です。今回の緊急経済対策では、マイナンバーカードを使って支給を受けることができるというメリットが、非常にはっきりした。今後、アプリで危険情報を共有したり、スマートウオッチで体温を含めた体調管理をしたり、感染管理のためにもデジタル化をしっかり進めていくことが重要だというお話がありました。
最後、総理から御発言があって、会議は終了しました。
以上です。
(以上)