第2回記者会見要旨:令和2年 会議結果
西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和2年3月10日(火)19:32~20:04
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
お疲れ様です。
経済財政諮問会議の概要について御説明いたします。
本日の議題は2つです。
最初に、この会議で定期的に議論をしております「金融政策、物価等に関する集中審議」、その後、「少子化対策、女性活躍、働き方改革2.0の一体的推進」について議論を行いました。
まず、「金融政策、物価等に関する集中審議」では、日本銀行と内閣府それぞれから経済の状況について説明した後に、次のような意見がございました。
まず、何といっても、新型コロナウイルス感染症の影響についての議論です。
それに関して、内需の冷え込みを避けるため、予備費等を活用した感染症に対する多面的対策・影響を受ける事業者への対応等に万全を期すことや、経済の影響を十分に注視し、必要かつ十分な経済財政政策を臨機応変に躊躇なく講じることにより景気の腰折れを避けるとともに、テレワークなどIT技術の活用により、あらゆる分野での遠隔対応を進めるなど、未来を先取りする変革を一気に進めるべき。民間議員の多くが、リモート化を進めるという言い方をされていました。まずは、最優先で新型コロナウイルス感染症を早期に終息させることが、経済活動への影響を最小限とし、その後の経済回復を実現する最善の方策である。本日決定した資金繰りや雇用安定の支援策、学校休校の影響を受ける事業者や生徒の保護者への支援等を含む緊急対応策第2弾をしっかりと進めるとともに、経済対策・補正予算を早期かつ着実に実行し、足下の経済を下支えすべきである。
それから、中小企業を取り巻く取引条件の改善や生産性の向上、サプライチェーン全体の付加価値の向上とともに、今回の春闘でも賃上げのモメンタムを継続するなど、最低賃金を含む雇用・所得環境を引き続き改善すべき。こうした意見がございました。
新型コロナウイルス感染症の影響について、相当強い危機感が示され、それを共有したと思います。
それから、中国の経済あるいは世界経済の減速を、自由貿易圏の拡大の契機とすべき。攻めの姿勢で行動し、海外投資の更なる促進、経済連携の拡大等による日本企業の海外展開やサプライチェーンの重層化、潜在的な成長力の高い新興国を含めた海外市場の積極的な開拓を進めるべき。こういった内容の意見でした。
次に、「少子化対策、女性活躍、働き方改革2.0の一体的推進」ですけれども、次のような意見がございました。
抜本的少子化対策に向けて、ライフステージの各段階における課題を、希望出生率の実現、女性活躍、働き方改革の三位一体で取り組み、解決していくべきである。有識者懇談会である「選択する未来2.0」において、2014年の「選択する未来」委員会の報告に盛り込まれた対応の進捗状況を検証し、その検証を踏まえ、今後の対応方針を取りまとめるべきという内容の意見でした。
この2点目の「選択する未来2.0」の懇談会ですが、第1回を明日の朝、開催することとしました。私の国会審議の関係で朝早いですが、朝7時30分から開催して、メンバーは既にお示ししておりますとおり、株式会社日本総合研究所の翁理事長に会長をお願いしていますが、2014年の「選択する未来」委員会の座長だった日本商工会議所の三村会頭にお越しいただき、当時の議論、そして、その後の状況を見られた上で、考えをお話しいただいて、議論をしたいと考えています。
総理からの締めくくり発言は、お聞きいただいたとおりです。
詳細は、事務方から後ほど説明させます。
会議の概要は以上ですが、もう一点、私から報告させていただきます。
先週の未来投資会議の後に、この場で御紹介した「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」についてです。
正に賃上げの流れの継続ということで、大企業・中小企業・労働界を含めて、しっかりと賃上げの流れを継続していけるように、取引の適正化を促進していこうという会議ですが、本件につき、経済財政政策担当大臣の立場で梶山経済産業大臣とともに進めてまいります。したがって、事務局は、経済財政諮問会議を担当しています内閣府経済財政運営担当が中小企業庁と共同で務めることになります。
このメンバーは、大企業代表である経団連の中西会長、中小企業代表である日本商工会議所の三村会頭、そして、連合の神津会長に参加いただくことになりました。政府側は、私と梶山経済産業大臣のほかに、厚生労働大臣、農林水産大臣、国土交通大臣といった業所管の大臣、さらに、下請中小企業対策に取り組んでこられた西村明宏官房副長官、それから岡田直樹官房副長官といった衆・参の官房副長官にも出席いただくことにしております。
第1回の日程につきましては、足下の新型コロナウイルス感染症対策もありますので、今後、調整を進めたいと思います。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)先ほど開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部で、安倍総理が、イベントの自粛について10日間程度の延長を要請しました。企業業績が更に悪化するとの懸念も出ていますが、経済全体に与える影響についてどう見ていらっしゃるのか、お聞かせ願います。
(答)もちろん経済の観点から言うと、早くこの自粛が解消されて、大いに経済活動が盛り上がっていくことを望んでいますが、昨日の専門家会議での結論のとおり、何とか持ち堪えている状況ですので、その検証にもしばらく時間が掛かる。1、2週間の中で今どう収まっているのか、収まっていないのかを含めて、19日頃を目途に専門家会議を開いて、その方向性が示されると思いますので、そういったことを踏まえて総理から、あと10日間ぐらいの自粛をお願いしたいと御発言があったものと思います。
もちろん経済への影響はありますが、先ほども民間議員から御意見がありましたとおり、まずはこの感染症を封じ込めることが何よりも経済にもプラスですので、ここは本当に踏ん張りどころです。
本日、第2弾を決定しましたが、資金繰り、1.6兆円と4,300億、合わせて2兆円規模の対策を打ちますので、これでしっかりと中小企業の事業活動を継続していけるように、特に資金繰りをしっかりとサポートしながら、さらに、雇用の維持のための雇用調整助成金あるいは新しい助成金、これはフリーランスの方も非正規の方も含めて対応できるようになっておりますので、こういったものを活用して何とか踏ん張っていただけるように、しっかりと下支えをしていきたいと思います。あわせて、総理が最後におっしゃっていたと思いますが、この内外の経済動向、例えば、欧米では毎日感染者が増えており、まだ感染拡大を続けていく雰囲気があるといったことを見ながら、あるいは国民生活への影響を見ながら、躊躇なく時機を逸することなく必要な対策を打っていくという心構えで臨んでいきたいと思っております。
まずは、本日、2兆円の経済支援策、緊急対応策第2弾をまとめましたので、これを活用し、また、成立した補正予算も執行が始まっていきます。ちょうど今週には中小企業の公募が始まってくると思います。これは棄損したサプライチェーンを修復できることにも使えますので、こういったことを活用してもらいながら何とか踏ん張っていただいて、一日も早い終息を目指して全力で頑張っていきたいと思います。
3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
令和2年第2回の経済財政諮問会議について概要を報告いたします。
冒頭、西村大臣から資料1「経済財政諮問会議における2020年前半の検討課題」の取りまとめについて御発言があった後、議事に入りました。
一つ目の議題、「金融政策、物価等に関する集中審議」において、黒田日本銀行総裁から資料2、私から資料3を説明させていただいた後、各議員から御発言がありました。主な御意見を御紹介します。
最初に民間議員です。資料は説明されないとおっしゃって、御自身の御意見を述べられたので、そうした形で御紹介させていただきます。
今回の経済ショックの経済への影響は、ショックが無くなったところでV字回復する可能性はあるけれども、生産が止まっている間に劣化しない、劣化させないことが重要である。
今回の話をリーマンショックとの比較で言えば、当時は金融ショックが原因だったので、需要の刺激を行えば良かったけれども、今回の場合は感染を抑えるためにアクティビティーを抑える対応が必要なところに違いがあり、そこに留意すべきだ、というお話がありました。
短期的には、もちろんこの感染を抑えることが大事ですが、まずは当初予算をまとめていくことも大事で、長期的には、リーマンショックと同じくらいの影響を頭に置きながら考えていくことが大事ではないか。
現状、既に進んでいることとして、これまでの取組の中で、非正規への待遇といったことを含めた労働の改革、あるいは中小企業の体質を高めていくこと、さらにはテレワーク、リモートワーク、そうしたデジタル化がある。ある意味で働き方改革も進んでいる。そうしたことも同時に進めていくことが重要である。
さらに、長期的に言えば、ある意味、グローバル化への反グローバル化が進まず、盛り上がっていかないことが大事である。グローバル化のウイークリンクが明らかになったので、そうしたところを是正して、グローバルなエコシステムを作っていくべきだというお話がありました。
その上で、閣僚から御発言があり、高市総務大臣からは、この新型コロナウイルス感染症対応として、関係省庁と連絡しながら、各自治体と連携する形で迅速に対応していく。それから、海外需要を開拓していくという民間議員ペーパーの記載との関係で、来月までに日本企業の海外展開の後押しにもつながる新たな行動計画を策定していく。そして、昨年のG20サミットを踏まえて、「信頼性ある自由なデータ流通」に関する国際的な共通認識の醸成を目指していきたい。こういったお話がありました。
さらに、様々な場でマイナンバーあるいはマイナポイントの活用について様々な指摘を頂いているけれども、高市大臣としては、打てる限りの経済対策を講じていく、強い決意でしっかり取り組んでいきたい。マイナンバーカードが普及していけば、リモート化、医療、あるいは薬の処方といった分野で様々な利用がされるだろうから、しっかり対応していきたいというお話がありました。
麻生財務大臣からは、この新型コロナウイルスの関係で、まずは昨年12月に取りまとめた事業規模26兆円の「総合経済対策」を着実に実行していくこと、本日取りまとめた第2弾の「緊急対応策」をしっかりやって、雇用の継続、あるいは強力な資金繰り対策をやっていくといったお話がありました。
今後とも、国内外の経済の動向をしっかりと見極めて、経済運営に万全を期すことに加え、市場には様々な反応も出ているので、G7、G20の合意に基づいて、しっかり対応していきたいというお話がありました。
民間議員からの御発言です。
百貨店、インバウンド、それから日本人の旅行・交通といった分野で大きな落ち込みが生じている。こうしたところは比較的大手なので、何とか必死に耐えているけれども、例えば、建設の零細企業なところでは、雇用でも厳しい面が出てきている。資材が届かずに工事ができないといった状況にもある。製造業でも、サプライヤーの経営状況の中には不透明なところもある。このような御発言がありました。
この民間議員も、リーマンショックとの比較に言及されました。リーマンショックと比べると、今は金融機関、それから企業にしても、バランスシート、財務は健全であるところは違いがあるという御発言がありました。他方で、やはりマーケットの動きはなかなか読み切れないところもあって、そこは慎重に見ていきたいし、打てる手をしっかりと打っていきたいというお話がありました。
もう一方の民間議員です。大変な危機感を持っているという話で、安倍政権の中で経済成長を続けてきたことは成果になっているが、これが失われることがあってはならないだろう。あらゆる手段を使って躊躇なく対応すべきだ。最近ではアメリカやヨーロッパにも影響が広がってきていて、例えばアメリカの場合には、あっという間に様々な活動を取り止めるという判断もあって、これから欧州を含めて様々な混乱が広がっていく可能性もあるので、そうしたことを見越して準備をしっかりして早く手を打つことが大事。将来の不安感が高まっており、これを払拭していくためにも、新型コロナウイルスについての正確な情報発信が必要だろう。こういったお話がありました。
その上で具体的な政策事項として3つほどの御提案がありまして、一つは、賃上げモメンタムの維持が必要だという観点から、賃上げ税制の要件緩和・拡充。それからキャリアアップ助成金の拡充。さらにキャッシュレスポイント還元の延長、そして対象の大手までの拡大といったお話が一つありました。それから、資金繰りはいろいろやられているが、資金面だけではなくて、この際、中小企業に人材が移動していくことが容易になる仕組みを作るといったこと、これが2点目の御提案。そして3点目に、企業の投資機会としてデジタルトランスフォーメーションだとか環境投資に対する後押しという観点から税制の優遇などあり得るんじゃないかといったお話がありました。
もう一方の民間議員です。経済学者の中でも、ここ数日で大変な不安が広がっている。最初はローカルな現象だと受け止められていたことかもしれないが、ローカルのみならずグローバルに需要と供給の両面からショックが起きていて、これが負のスパイラルにつながっていかないようにすることが大事という御指摘がありました。
今回の対応策の中で、資金不足対策や、非正規への対応が盛り込まれていることは良いことであると。短期への対応だけではなくてグローバルな変動への準備が必要で、さらに、中長期への対応としてはリモート化の推進ということ、在宅勤務や在宅学習などにしっかりと対応していくべき。ちなみに、スタンフォード大学では全ての授業のオンライン化が一斉に開始された。日本でもそうした動きが広がっていくと良いのではないか。こういう御指摘がありました。
以上が一つ目の議題です。
二つ目の議題、「少子化対策・女性活躍・働き方改革2.0の一体的推進」については、柳川議員から資料6の説明があり、各議員から御発言がありました。主な御意見を御紹介します。
まず、閣僚ですが、臨時議員として御出席された衛藤大臣が御発言されました。少子化問題が、経済・社会の全てに影響が及ぶ国民共通の困難であって、子供や家族が大事にされる社会への転換が急務で、少子化の原因にも様々な原因が絡まっているので、効果的な対策を打たなければいけないが、概要の中で配っている有識者の提言を踏まえて、今後、新たな少子化社会対策大綱を策定し、更に強力に少子化対策を進めていきたいというお話がありました。
それから橋本女性活躍担当大臣ですが、こちらも資料の説明でしたが、経済の活性化には女性の活躍推進が不可欠だということ、それから、女性活躍の鍵となるのが男性の暮らし方、あるいは意識の改革ということで、その女性の活躍を加速に向けては、仕事と子育てとの二者択一を迫られることなく、能力を発揮して働き続ける環境の整備が必要で、働き方や意識の改革を社会全体で推進することが重要であり、第5次の男女共同参画基本計画策定等に向け、議論を進めていくというお話がありました。
同じく臨時議員として参加された加藤厚生労働大臣からは、子育て支援と女性就業に関して御発言がありました。
子育て支援に関しては、市町村の特性に応じたきめ細かな支援で待機児童を解消していく。子育て世代包括支援センターの設置を推進していく。それから、男性の育児休業取得を進めていきたい。
女性の就業に関しては、第一子出産前後の女性の継続就業率を70%にするという目標を昨年末に設定したということで、働き方改革を着実に実施していきたい。それから、就業調整の話については、年金改革法案を今国会に提出しており、キャリアアップ助成金についても拡充効果を踏まえつつ活用推進に努力していきたいというお話がありました。
その後、高市大臣からは、今回のこの議題に関しては、国と地方公共団体、そして地方公共団体間の連携が大事。就職氷河期世代をはじめとした不本意非正規雇用の解消という観点からは、地方公務員の中途採用について情報提供しながら、引き続き働き掛けていく。それから、自治体間の連携という話については、地方制度調査会で市町村間の広域連携の更なる推進をやっていく。先駆的な取組について、総務省のモデル事業として積極的に採択して、横展開していく。それから、最後に地域医療構想に関しては、国と地方の協働による持続可能な地域医療体制の構築に向けて、地域の実情を十分に把握しながら進めていく。こういったお話がありました。
麻生大臣です。少子化対策は極めて重要で、幼児教育の無償化などをしっかりやってきた。今後に向けては、成果に係るエビデンスに基づくことが不可欠で、教育の無償化の効果を把握・検証して、中長期的観点からは、安定財源の確保と併せて、施策の優先順位をよく考えていきたいというお話がありました。
この時点で時間が無くなったため、続きの民間議員の御意見については、次の機会に御発言いただくことになっております。
最後に、皆様お聞きいただきました総理からの御発言があったところです。
私からは以上です。
(以上)