第13回記者会見要旨:令和元年 会議結果
西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和元年12月5日(木曜日)19時18分~20時12分
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
私からいくつか御報告させていただきます。
まず、経済財政諮問会議を開催いたしまして、その後、臨時閣議が行われ、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」、それと「令和2年度予算編成の基本方針」を閣議決定いたしました。
まず、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」について、3つのキーワードを私から御紹介したいと思います。
一つ目は、「安心」の確保であります。
今回、御案内のとおり、全国各地・広範囲にわたって台風被害等ございました。今回の経済対策の名称につきまして、いくつかの案を示しながら総理と相談させていただきました。そうした中で、総理から、やはり「安心」というキーワードが非常に大事だということで、このキーワードを冒頭に位置付けました。正に災害からの復旧・復興の加速はもちろん、総理から御指示もございました国土強靱化の更なる強化・パワーアップにもしっかり対応できたと考えております。
二つ目は、同じく大事なキーワードとして「成長」であります。
経済対策では、民需中心の持続的な経済成長に向けて、IT・デジタル技術の実装・普及、一人一台端末などの学校のICT化、ポスト5Gの開発、量子・AI(人工知能)など新たなフロンティアのイノベーションなど、Society 5.0の実現、そして加速につながる「デジタル・ニューディール」ともいうべき未来への投資の促進策を重点的に盛り込むことができたと考えております。
三つ目は、でありますけれども、中小企業の生産性向上や、今、申し上げた一人一台端末などの学校のICT化、それから就職氷河期世代支援といった重要な分野において、一回限りの短期の措置ではなく、継続して財源を確保して取り組むという点を閣議決定として明確にすることができました。具体的な予算の在り方については、今後、予算編成過程の中で検討していくことになりますけれども、複数年にわたって継続して財源を確保して取り組むという点を予算の中でもしっかりと措置としていきたいと考えております。
その中で、就職氷河期世代の支援についてでありますけれども、きめ細かい寄り添い型の支援を担っていただく地方自治体が、それぞれの事情に応じて、正に数年にわたって、例えば相談員の拡充を含むアウトリーチなど安心して取り組める仕組みを導入することができたと考えております。
その上で経済対策の規模については、もう資料でご覧になっているとおりであります。財政支出で13.2兆円程度、事業規模で26兆円程度としております。特に、一般会計の今年度補正予算で4.3兆円、来年度当初予算の臨時・特別の措置で1.8兆円を確保するなど、国費7.6兆円を含む、国・地方の歳出9.4兆円の予算措置による直接的な実質GDPの押上げ効果を1.4%程度と見込んでおります。
この試算に当たっては、乗数効果は1と仮定しておりますので、実際には乗数効果が発揮される部分があると思いますので、更なる需要創出・押上げの効果も期待がされます。
また、この9.4兆円の国・地方の歳出に含まれない財政投融資の活用により促進される国内投資の増加は、名目GDP比で概ね0.7%程度と見込まれております。
さらには、IT人材分野の呼び水効果、人材投資の促進などによって中長期的な経済成長につながることが期待されます。また、国民の安全・安心の確保を通じて将来的な経済被害の防止、さらには、消費の拡大など間接的な効果も期待されるわけであります。
このように、今回の経済対策を通じて、長期的に民需が拡大し、日本経済のしっかりとした成長につながる十分な内容になったものと考えております。
今後、この経済対策、そして予算編成基本方針に沿って、今年度の補正予算及び来年度の当初予算の編成が進められます。対策の効果が早期に発現し、リスクを確実に乗り越えつつ、民需主導の持続的な経済成長につながるようしっかりと予算編成を行いつつ、その後も施策の実現と進捗を確認してまいりたいと考えております。
それから、この経済対策について、経済財政諮問会議において私より報告したところ、民間議員から、全体として、これまでの経済財政諮問会議の議論が適切に反映された内容になっているとの評価を頂いております。
具体的には、海外発の下方リスクに備えてしっかりとした財政規模が必要との意見が適切に踏まえられている。それから、当面の対応にとどまらず、Society 5.0の実現など未来への投資につながる内容が数多く含まれている。さらには、学校ICT化や就職氷河期対応、中小企業対応など、国として継続的かつ安定的に取り組むことが必要との指摘も踏まえられた内容になっているとの評価を頂いたところであります。
それから、「令和2年度予算編成の基本方針」につきましては、経済財政諮問会議において総理から諮問があり、前回以降、与党との調整も踏まえた案を答申することを決定していただき、その後、閣議決定したものであります。
なお、今回の経済財政諮問会議では、「社会保障制度改革」についても議論を行っております。令和2年度予算の編成や改革工程表の改定に当たり、これまでの提案に加えて、短時間労働者の就業回避、介護サービスの生産性向上・グローバル成長産業化、それから見える化の徹底といった事項につきまして更なる具体化をすべきという御意見がございました。
特に、企業の配偶者手当について、収入による制限の撤廃や子ども手当などへの見直しを推進すべきとの意見がございました。就業調整が行われているということについての議論が行われた中でこうした意見がございました。
これに対しまして、ある民間議員からは、既に、子育て、子どもへの手当、そして介護への手当に換えた上で更に厚みを増したとの御発言があり、また、もう一人の民間議員からは、しっかり検討するとの御発言がございました。
経済界において、この配偶者手当の在り方について、就業調整にならないように、そのインセンティブにならないように、そうした検討が進むことを期待したいというふうに思います。
それから、「TPP等関連政策大綱」についてであります。
本日、総理を本部長としまして、全閣僚がメンバーの「TPP等総合対策本部」を開催し、「総合的なTPP等関連政策大綱」の改訂を決定いたしました。
日米貿易協定の発効を見据えつつ、TPP11、日EU・EPAの発効後の動向も踏まえて、政策を改めて体系的に整理し、海外展開支援、国内産業の競争力強化、農林水産業の生産基盤の強化等について必要となる施策を新たに盛り込むことにより、2年前の改訂した政策大綱を再度改訂したものであります。
TPP、日EU・EPA及び日米貿易協定等は、更なる経済成長の力強いエンジンとなることが期待をされております。「政策大綱」の改訂に当たっては、与党や地方公共団体、関係機関等から幅広く意見を伺っております。改訂した「政策大綱」では、地方の中堅・中小企業の海外展開、国内産業の競争力強化、そして、農林水産業の生産基盤強化など、TPP等を真に我が国の経済成長に直結するために必要な政策を盛り込んだところであります。その内容も資料を配付させていただいております。
今後、この「政策大綱」に基づき、農林水産業の生産基盤強化策など対策に必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)2点お伺いします。1点目は、今回の経済対策の規模について。これまで政府は、景気について、緩やかに回復しているという認識を示されてきました。第二次安倍政権で過去実施されてきた経済対策の取りまとめの際には、今よりも景気認識は厳しかったのではないかなと思うにもかかわらず、今回は最大級の規模となりました。それについて、今後の海外リスクに備えるということだと思うんですけれども、それにしては少し規模が大き過ぎるのではないかといった指摘も民間エコノミストの中にはあるようです。これについて、大臣の受け止めをまず教えてください。
(答)この経済対策の現状認識のところ、1ページから複数ページにわたって基本的考え方まで書いておりますけれども、基本的に、7年近くにわたるアベノミクスの推進によって、デフレでない状況も作り出しておりますし、所得・雇用の環境も大幅に改善してきているという認識であります。
一方で、海外の経済環境、これが米中貿易摩擦などをめぐる環境であったり、あるいは中国経済、英国のEU離脱、ブレクジットの動向、あるいは中東や香港をめぐる情勢など海外リスクが非常に不確実性が存在し、さらに、いろんな国際機関でも、その下方修正、世界経済の見通しが下方修正をされているところでありますので、このリスクに備えるという観点から、しっかりとした規模の対策を今回講じたわけであります。これは経済財政諮問会議の民間議員からも何度にもわたって、そうした御指摘を頂いてきておりますし、今日もそうしたことへの評価を頂いているところであります。
ただ、それと併せてでもありますが、やはり将来に生きる形の未来の投資を促すような、そうした考え方であります。先ほど、「デジタル・ニューディール」という言い方をしましたけれども、正にSociety 5.0を実現していく上で、新しい技術の開発であったり、導入であったり、普及であったり、あるいは人材の育成、子供たちの学校でICTをしっかり学んでいく、といったことも含めて、ワイズ・スペンディングの考え方をしっかりと取り入れております。
もちろん財政健全化との両立を図っていくということも大事な視点でありますので、そうした点も踏まえながら、「経済再生なくして、財政健全化なし」というこの基本方針の下、しっかりと今回の経済対策を検討を重ねてまとめたところです。
(問)2点目ですけれども、戦後最長の景気回復が続いているとされてきた御認識に今も変わりがないかどうか教えてください。
(答)これも繰り返し申し上げておりますけれども、景気の山、谷の判断については、事後的に経済学者の皆さん方が論理的に、理論的にしっかりと検証をされて、判断されていきますので、今の時点で景気が後退しているとか、山があったとかは私は申し上げませんけれども、基本的に緩やかな景気の回復基調は続いているという認識であります。
ただ、今、申し上げたとおり、海外の経済のリスクがあるという中で、輸出が減り、生産が減速傾向にあるということを非常に懸念も持っております。そうしたことで、将来の海外経済へのリスクへの備えをしっかりと今やっていくという考えです。
(問)2点ございまして、今年度の補正予算の規模ですけれども、与党の側で二階先生や世耕先生が、補正予算だけで真水で10兆円という声がありますけれども、これに対して、4兆円というのは如何なものかという意見もあると思います。その点、10兆円には応えられなかった点について、御説明をお願いします。
あと、もう一つ、与党の中で強靱化計画について、3年の計画を延長してほしいとか、あとは長期で、安心感を与えるために、10年100兆円みたいな御提言は、大臣にも直接、安藤先生などが言われていたと思いますが、こちらに対して、今回の経済対策ではどういう回答をされているのか、ちょっと読み込めないんですが、御説明をお願いします。
(答)まず、最初の規模の点です。この経済財政の策定に当たりましては、各省庁からの提案に加えて与党から様々な御提案を頂いております。重点事項についても貴重な御提案も頂いておりますし、規模感についても、様々な御発言を頂いております。こうした様々な御提案・御提言を踏まえて経済対策を取りまとめたところであります。
以前から申し上げているとおり、規模ありきではなく、効果のある施策を積み上げる、結果として規模が出来上がってくるということでありますし、総理からは、しっかりした規模で経済運営に万全を期すようにという御指示も頂いておりました。そうした観点に立ちながら、取りまとめてきたところでありますけれども、繰り返しになりますが、ワイズ・スペンディングという、やはり効果のあるところに重点的に投資をしていく、支出をしていくという考え方も意識をしながら、それぞれの施策を吟味し、取りまとめた結果として、今回の財政支出としては、財政投融資も含めて13.2兆円程度、特に、国と地方の歳出で9.4兆円を確保しているということ、これも是非、御理解を頂きたいと思います。こうしたことによって、直接的なGDPの押上げ効果が1.4%程度を見込んでおりますので、このリスクを確実に乗り越えるべく、しっかりと経済を下支えして、民需主導の持続的な成長軌道につながるもの、それに十分な規模であると考えております。
それから、国土強靱化につきましても、様々な御意見を頂いてきたところであります。現在、3年間で7兆円の規模の集中期間での事業を実施しているところでありますが、今回の補正予算の編成をこれからしていくわけでありますが、そして来年度予算、正に、臨時・特別の措置と併せて、7兆円を上回ってくると思います。これは編成過程の中でしっかりと行っていかなければいけないんですけれども、まずは今回のこの経済対策に基づく補正予算、それから来年度の臨時・特別の措置をしっかりと実行していきたいと思います。その上で、様々な御指摘を頂きながら今後も必要となる予算をしっかり確保して、国民の皆さんの安全・安心のために事業を実施していきたいと考えているところであります。
(問)冒頭の御発言で2点確認させていただきたいんですけれども、「安心」のキーワードが大事だという総理のお話があったということでして、強靱化の話をされましたけれども、おっしゃっている「安心」というのは、ここでいう一番の最後のところ及び強靱化という意味での「安心」なんでしょうか。何をもって安心と言っていらっしゃるのか教えてください。
(答)「安心」の中にもいくつかのキーワードというか、意味が込められているわけでありますけれども、一番は何より、今回、これだけの災害が出て、さらに毎年のように起こってくるという中で、それへの復旧・復興、そうした方々への生業を取り戻していくという意味での「安心」があります。さらには、将来への備えとして、そうした災害にしっかりと備えていくという意味で、国土強靱化や防災・減災を更に強化していくという意味での安心があります。
それから、就職氷河期世代の方々のように、これまで十分な施策が執られていなかった部分もあると思いますし、今回、支援員を充実させたり、あるいはアウトリーチでしっかりと取り組んでもらうと。あるいは、正規社員を目指して様々な形で職業訓練などを受けていく、そうしたことも含めて、複数年にわたって継続して取り組んでいくということも示しました。そういう意味で、様々な意味が込められておりますので、その他の、一人一台の学校ICT化とか、中小企業の生産性向上もある意味、一回限りじゃないという意味で、複数年にわたって、しっかりと取り組むという、そういう安心感も持っていただけるんじゃないかと思いますけれども、基本は、災害からの復旧というところが一番大きな「安心」、そして、将来への災害への備えというところが、非常に大きな「安心」だと思います。
(問)2ページのところに財政健全化目標の実現、安心できる社会保障制度の構築のためにも、政府が下段の政策を講じるということが書いてありますけれども、こういった意味での安心というのはあまり意識されていないんですか。
(答)ここは両方の意味があって、二つ目の安心と成長、成長によって、やはりしっかりと国全体が成長することによって、当然税収も上がってきますし、働く方が増える、支え手が増えるということで、社会保障制度も支えていくことができるわけですし、国としても、財政再建の道もしっかり歩んでいけるということですので、ここに書いてあるとおり、「経済再生なくして財政健全化なし」、そして安心できる社会保障制度の構築のためにも、やはり成長が必要だと考えておりますので、そういう意味で、安心と成長という中にはこういった趣旨も含まれているということです。
(問)ごめんなさい、2点目なんですけれども、先ほど実質GDPの押上げ効果について、乗数効果が発揮できれば、今後、更なる効果も期待できるかもしれないというふうにおっしゃられました。
第2次安倍政権になってからの、たぶん、西村さんが副大臣になられた最初の時の10.3兆円の組んだ時にも、概ね2%とか、3年前も概ね1.3%という押上げ効果を示して、経済対策を作られていますけれども、過去の経済対策というのも、そういう意味でその後、示した数字よりも大きな効果が出ているというふうに総括されているのでしょうか。
(答)経済につきましては、生き物ですので、国内だけの経済ではありませんし、開かれた経済の中で、世界経済の影響も受けますので、それは一つ一つ検証しないと、今、お答えはできませんけれども、しかしこれだけの規模のワイズ・スペンディングという形で、将来生きるであろうというところに、人材であったり技術であったり、未来への投資という部分をしっかりとそこに重点的に予算を組んでいこうという経済対策ですから、乗数効果は1としておりますけれども、本来はお金は回っていきますので、それがまたいろんな形で雇用が増えたり、所得が増えたり、消費が増えたりという乗数効果というのは、当然、見込まれるというふうに期待をしたいと思ってるところです。
(問)先ほど冒頭の発言にもあった、学校教育のICT化をめぐる一人一台のパソコンについてなんですが、これは民間エコノミストからは、これはバラマキなんじゃないかという意見もありましたが、こういった意見について、大臣の御見解をお聞かせください。
(答)もう今や、当然、パソコンに親しみ、もちろんスマホをはじめ、様々なIT機器があるわけですけれども、そういったことに親しみ、そしてその新しい技術を活用して学習していく、あるいは様々な知識を習得していくことは当然のスキルとして、もう必要になっている時代だと思います。
ある学校では、それが小さい頃から進む。あるいは、他の学校では進まないといった国内の格差が生じないように、全ての子供たちにチャンスが与えられるべきだと思いますし、実際にプログラミングも新たに始まっていくわけでありますので、そういう意味で、国内の地域間の格差もないようにしながら、全ての子供たちにチャンスがあり、そして将来にわたって国際的な中で活躍していく、あるいは国内で活躍できる、そういった人材が育つことを、私は期待をしたいと思いますので、そうした中で、単に今回も、議論がありましたけれども、単に機材を配るだけではなくて、それを教える人材をしっかりと育てることも大事ですし、外部人材を活用しながら、しっかりとしたプログラムを組みながら、子供たちにそういう機会を提供しながら、子供たちが本当に伸び伸びとした中で育っていくことを期待したいと思っています。
ですから、文部科学省だけではなくて、経済産業省や他の省庁のそうした協力も得ながら、しっかりとしたプログラムを組んで、人材、教える人のそうした人材も、外部の人を活用しながら、着実に取り組んでいきたいと考えています。
(問)今回、公共事業の規模も大きいと思いますが、建設現場等では人手不足も指摘されていて、そういった執行面での制約をどのように大臣はお考えでしょうか。
(答)その点についても、各省においていろいろ検証しながら、今回、取りまとめましたけども、6ページに、公共事業については特に書いています。適切な価格による契約、あるいは人材・資材の調達、あるいはICT化といったものを活用して、生産性向上なども図りながら、担い手の確保のための環境整備も着実に実施することを通じて、この円滑な実施に万全を期していきたいと思っているところです。
(問)経済対策について、財源の検討はこれから進むと思います。それで、大臣は規模ありきではないと先ほどおっしゃっいましたが、逆に言うと、財政上の制約のようなものの意識というのは、取りまとめの時に上限とか、その辺りはお考えがあったんでしょうかというのが1点と、財政再建への影響なんですけれども、プライマリーバランスの黒字化、25年度という目標への影響はどうお考えでしょうか。
(答)まず、財政的な制約があったかどうかということですけれども、従来から申し上げているとおり、規模が先にありきではなく、中身をしっかりと詰めて、そして将来に生きる形の未来への投資、正に民需主導の成長につながるようなものであるかどうか、ワイズ・スペンディングという観点でしっかり吟味をしながら、今回、取りまとめに当たってきました。
その過程では、例えば、自由民主党の岸田政務調査会長からも、財政・財源の制約があるからといってできないということがないようにといった御提言も頂きました。私が直接提言を頂いたときの御発言です。そうしたことも踏まえながら、しっかりと積み上げた結果、これだけの規模のものが必要で実行していこうということで、本日、決定をしたところです。
財源については、財務省でいろいろ検討されているということで、この資料の最後にもありますように、一般会計のみならず、特別会計なども活用しながら、今、財務省において、財源についてぎりぎりの調整をしているんだろうと認識しております。
それから、プライマリーバランスについて、今回の経済対策、それから年末にお示しします来年度の政府経済見通し、さらには、来年度当初予算全体を踏まえて、年明けに公表する中長期試算において、しっかりとお示ししたいと考えております。
(問)大臣のお話の中に、今回の予算、未来への投資だとか、ワイズ・スペンディングといったお話が多かったと思うのですけれども、そういった投資、この経済効果というのは、いつぐらいに私たちに分かるような形で出てくるのか。
また、あと、先ほどもありましたけれども、執行面で、例えば公共投資などは執行までに時間が掛かると思いますが、そういったものも含めて効果がいつ頃に出るのか、お考えをお願いします。
(答)補正予算については、この後、編成していくわけですけれども、規模としては今日お示ししているとおりのものを想定しているわけですが、その経済効果として1.4%というものをお示ししております。これは複数年度にわたる施策もございますので、令和3年度までに発現する直接的な需要押上げ効果として試算しています。
その上で、その効果は、主として来年度、令和2年度に発現すると考えているところです。
3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
それでは、手短に御説明したいと思います。今日は2つの議題でした。
最初に、新浪議員から資料1の説明があり、各議員から意見が出されました。
主な意見を御紹介します。
まず、厚生労働大臣です。資料2に基づいて、令和2年度の診療報酬改定、それから介護の生産性向上、そして社会保険の適用拡大の労働者への影響について、それぞれスライドに応じて御説明がありました。
参考資料を使い、地域医療構想についてもお話がありました。先般、公的・公立病院について公表したわけですが、着実に改善が図られるようにしていくとともに、民間医療機関の議論を進めていく。今年度はできるだけ早期に、民間の特性に応じた新たな観点を加えた分析の検討を行っていくといったお話がありました。
また、加えてダウンサイジング支援の追加的方策の検討、総合確保基金のメリハリ付けも実施するといったお話があり、今後、自治体との意見交換も踏まえて、来年の骨太方針の策定時期を目途に、2025年までの地域医療構想全体のより具体化された工程表を作成するといったお話がありました。
資料の御説明の中では、適用拡大の労働者への影響について、従業員の方々、短時間労働者の方々への丁寧な説明が非常に重要であるといったお話があったところです。
それから、麻生財務大臣から御発言がありました。令和2年度予算においては、診療報酬が大きな論点となる。診療報酬の引上げは、医療機関にとって収入増だけれども、国民にとっては負担増となるもので、診療報酬改定については国民全体の負担の抑制を主眼に置いて、慎重に対応する必要があるといったお話がありました。
民間議員からの発言です。短時間労働者の適用拡大については、労働者にはプラスである。配偶者手当を企業が所得ベースで決めていくことは、ディスインセンティブになる。マクロベースで見ると大きな影響になるので、見直しを進めるべきといったお話がありました。
また、同じ方ですけれども、中小企業の生産性向上が重要で、厚生労働省だけではなく、中小企業庁と金融庁が、地銀が司令塔となってリードしていく環境を作るべきだといった御発言がありました。
それから、別の民間議員です。診療報酬改定についての御発言で、引上げありきだと気になりますといった御発言です。民間病院は黒字である。公的病院は赤字であり、自分の経験では、病院というのは経営改革が大切。赤字の病院が多く、赤字だからその報酬を引き上げていくのは良くないのではないか。薬価についても、これを引き下げることを考えていくべきだといった御発言がありました。
その発言を受けて、麻生大臣から、厚生労働大臣の資料の1ページに言及されて、ここに一般病院の損益率の表があるわけですが、全体は赤字だけれども、国公立を除く全体は黒字、医療法人全体だともう少し黒字が増えるといった御指摘がありました。
別の民間議員です。大学の職員は就業調整する人が多い。したがって、本当にもったいないという気持ちが強い。働ける人が働かないと選択することは問題で、制度上も選択肢が多くて仕組みが難しい。これを理解することは非常に難しいので、簡単にすることが大切。職員の生産性についても、そうしたことを勉強して、手続をすることの手間を省けるという意味で、生産性が上昇するだろう。報酬改定の課題については、前回の民間議員ペーパーで出している。市販品の類似薬をその保険対象から外すことなどを主に、しっかりやってほしいといったお話がありました。
もう一人、民間議員です。地域医療構想は、やはり遅れているのではないか。遅れを取り戻すことが必要。先般の厚生労働省による公表はいろいろと批判されているけれども、これは自分としてはサポートしている。見える化を使っていくことは重要。奈良県の改革等も参考になるのではないか。この地域医療構想の構想自体は、地方の人たちもやると決めたことなので、その決めたことはやってほしいというお話であり、経済財政諮問会議でもフォローしていきたいといったお話がありました。
診療報酬の改定に関しては、急性期病床の転換や、長期収載品の依存からの脱却、あるいは後発品の使用は金額目標に転換するとか、市販品類似薬の保険給付対象からの除外、あるいは健康長寿に向けての特定健診受診の向上を進めてほしいといったお話がありました。
これまでの議論を受けて、厚生労働大臣から再度御発言がありました。医療分野では人件費も上がってきている。働き方改革も進めないといけない。こういったところを考えて検討していきたいといったお話。それから、地域医療構想については、地方自治体の首長だけではなく、住民も巻き込んでムーブメントを作っていく必要があるといった補足的な発言がありました。
次の議題です。「令和2年度予算編成の基本方針」について、私から説明させていただき、その後、西村大臣から「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」について御発言があり、その後、各議員から意見が出されました。
民間議員のお一人目です。今回の経済対策の規模感について、昨年度補正予算と本年度当初予算の臨時・特別の措置を合わせた6兆円をやや超える規模になっている。規模だけではなく、もちろん内容が大事で、その中で小中学校のICT化などもしっかりと盛り込んでいただいているのは良いことだといったお話がありました。
もう一つ、同じ方ですが、国際環境面で見ると、来週の火曜日にWTOの上級審の委員の任命が切れるということだと思いますけれども、それが動かなくなるということ、それから、その翌日にイギリスの総選挙があり、不確実な状態が続いている。
他方で、日本は自由貿易圏を広げて、知的財産やデジタル化のルール面でリードしていく立場になっている。その面でもIT化はしっかりと進めていくべきで、中小企業の生産性や教育のICT化は1年ではできず、複数年度の取組を今回入れていただいたことを歓迎したいといったお話がありました。
別の、民間議員です。大規模に行う点は良いと思う。特に中身としては、人材にお金を出すというところが多々含まれている点が良い。財政が厳しいことと、やるべきことにお金を掛けるのは別の話で、特に、今回の場合、その中でも人にお金を掛けていくのは、人材が非常に重要だという意味で良い。ただ、もちろん財政についてのエフィシェンシーの確保が重要で、そこはしっかりチェックしていくべきといったお話がありました。
別の民間議員です。今回の経済対策は短期の施策取組と中長期の取組が、今回の3つの柱できれいに分けて整理されていて、大変説得力があるといった話がありました。
もう一人、民間議員です。人への投資、未来を拓くために何が大切なのかが分かりやすくなっている。また、複数年度の取組になっている点も良い。成果を評価していく仕組みが今後のポイントで、EBPMなどについては、経済学の知見なども使いながら科学的な評価をしっかりしていくべきだといった話がありました。
以上ですが、この発言の後、「予算編成の基本方針」について経済財政諮問会議の答申として決定したという手続が踏まれました。
その上で最後に総理から御発言がありましたけども、私からは割愛をさせていただきます。
(以上)