第1回記者会見要旨:平成31年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成31年1月18日(金曜日)13時43分~14時21分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

私から3点、御報告いたします。
1点目、経済財政諮問会議の概要について報告いたします。
まず、会議の前に、先日内定を発表させていただきました竹森俊平議員と柳川範之議員に対して、総理から辞令が交付されまして、本日付で経済財政諮問会議議員となられました。中西議員と新浪議員には引き続き議員をお願いすることになっております。
会議では、「安倍内閣6年間の成果」と「経済財政諮問会議の今年の検討課題」について議論を行いました。この中で、アベノミクスを更に強化していく観点から、経済の好循環の拡大、内外のリスクや変動への対応、そしてSociety 5.0時代にふさわしい仕組みづくり、という3つの課題に取り組むことで、ショックに強いレジリエントな市場経済、成長と分配の好循環を通じた経済成長と格差是正の実現を目指すべき、といった御意見がありました。
最後に、総理から締めくくり発言を頂きましたが、そのポイントとしては、新たに有識者議員となった竹森、柳川両議員、引き続きお願いしている中西、新浪両議員、閣僚とともに、我が内閣の経済財政政策の司令塔として、強力な布陣で政策を力強く推進をしていきたい。有識者議員より御指摘いただいた課題の解決に向けて、何を、どのように、そして、いかなる優先順位で実行していくのか。今後、諮問会議の場で重点的に議論していきたい。平成の、その先の時代に向けて、本年を「日本の明日を切り拓く」1年としたい。安倍内閣は、本年も、引き続き、経済最優先で政策運営に当たっていくので、よろしくお願いしたい。こういった発言があったところです。
詳細につきましては、後ほど、事務方から説明する予定です。
2点目、1月14日から17日まで、バングラデシュ及びインドに出張し、新興国のベンチャー企業や、技術革新の実態を視察してまいりました。
バングラデシュでは、ハシナ首相にお会いし、通算4期目の首相就任への祝意をお伝えしました。選挙が終わってからハシナ首相が会った海外の初めての要人ということでした。また、日本企業を顧客としてソフトウエアのオフショア開発に取り組むと同時に、JICAと協力してバングラデシュ人のIT人材を教育し、日本に送っている企業を視察しました。IT教育ベンチャーを立ち上げた日本人起業家からもお話を聞きました。人材育成の重要性、そして、特に地方部においてIT人材が不足している日本と、IT人材を豊富に供給できるバングラデシュは、相互補完的な関係を築いていけると感じました。本年は7名の日本人が亡くなられたダッカ襲撃事件から3年目になります。同事件の現場を訪れて献花をしました。
インドでは、ムンバイにおいて、グローバルに事業を展開するインド最大のITサービス企業であるタタ・コンサルタンシー・サービシズを15年ぶりに訪れました。サイエンスパークを持っており、前回もそこに行きましたが、かなり雰囲気も新しいビルが建ったりして変わっており、今や同社は従業員40万人以上、46か国で事業展開しており、インド企業がもはやオフショア開発にとどまらず、自らの革新的な技術をグローバル企業に対して提供する側になっていることに、この間の大きな変化を感じました。確かに、B to Cの世界ではシリコンバレーが圧倒的でも、B to Bではインドが相当な力を持っていると、今感じたところです。
世界各国で進む技術革新や人材資源をいかに取り込んでいくかも含めて今後の検討を進め、今年の夏の未来投資戦略の策定にも活かしていきたいと考えております。
3点目、TPP委員会発効記念式典の開催についてです。昨年末にもお伝えした第1回のTPP委員会について、11か国の閣僚級で1月19日13時から開催いたします。場所は高輪の「グランドプリンスホテル新高輪」です。私が議長を務め、日程の事情が許せば、安倍総理にも冒頭に御挨拶を頂きたいと考えております。
本委員会では、協定の運用方針や新規加入国・地域に関する手続などを議論する予定です。発効後、速やかに第1回TPP委員会を閣僚級で開催をすることにより、11か国の結束を改めて確認するとともに、世界に向けても自由貿易体制の重要性について、強いメッセージを発信したいと考えております。
また、19日のTPP委員会後の16時30分より、総理官邸にてTPP11発効記念式典を行います。日程の事情が許せば、安倍総理にもお越しいただくとともに、委員会に出席する各国閣僚をはじめ、これまでTPP12の時代からはじまり、11と、様々な形で御尽力いただいた議員や政府関係の皆さん、さらには経済界・農業関係の皆さんにもお集まりいただく予定です。
なお、本日15時から、委員会の事前準備のため首席交渉官会合を高輪で開催いたします。こちらについては、梅本首席交渉官に議長の役割を担ってもらうことになっております。


2.質疑応答

(問)2点お願いします。
最初に、インドとバングラデシュの件で、今日の貿易摩擦もあり、現地に行かれて景気状況をどのように感じられたか、また、未来投資戦略に活かせる部分があればというお話もありましたが、具体的に何か活かせそうなものがあれば教えてください。


(答)南アジアは、人口から言っても成長の勢いというのはすごいなと感じまして、例えばムンバイ、これはグレートムンバイで捉えるかどうかによりますが、人口が2,000万近く、その25歳以下が人口の半分を占める。やはり若くて勢いがあると感じたところです。
数が多くて、若くて、優秀なエンジニアが育成され、彼らが日本をはじめとする世界の市場に向けたソフトウエア開発で活躍する姿を目の当たりにしてきたところです。
ムンバイのTCSでは、世界各国の大手企業と共同研究を進める中で自らの技術を磨き、今や、単なるオフショア開発にとどまらず、革新的な技術を世界のプラットフォーマー企業に対しても提供する側に立っていることが印象的でした。
また、バングラデシュでは、実際にIT人材育成の現場を視察しましたが、近年政府が主導の下で、コンピューター工学や電子工学を教える大学が多数開設されており、もともとバングラデシュの人は英語ができるわけです。率直に言って、インドの人より英語が非常に聞きやすいです。こういった英語のスキルの高い人材が多く輩出され、世界最先端の技術動向把握やオフショア開発で活躍しています。それにベンガル語は、言語体系や発音が結構日本語に似ており、ちょうど研修で日本語を習って2週間の学生というか、若手4人と話をしたのですが、結構日本語を話していました。圧倒的に話すということを感じたところです。
こうした点も踏まえ、日本におけるITベンチャーやIT人材の育成を更に強化していくとともに、新興国との人材交流やビジネス協力を推し進めることで、新興国の活力を日本に取り込んでいくことが重要だと感じたところです。




(問)もう1点、明日のTPP委員会の関連でお伺いします。
TPPの加盟国の拡大の議論をすると思うのですが、日米のTAG交渉も迫る中で、TPPの加盟国の拡大がTAG交渉にプラスの影響を与えるという見方もありますが、大臣のお考えは。


(答)TPP11は、世界的に今は保護主義が台頭する中で、自由で公正な21世紀型の新しいルールを確立するもので、発効後、速やかに第1回のTPP委員会を閣僚級で開催することにより、世界に向けて自由貿易体制の重要性について、強いメッセージを発信したいと考えております。
1月早々ですが、各国の閣僚にもかなり日程を調整していただいて、出席できると。それだけ、やはりこのTPPに対する思い入れの強さも感じたところです。
正にこれからですが、日本としては日米交渉開始を合意するに当たり、TPP11の早期発効に全力を挙げる旨は、既に米国にも説明しているところであり、TPP11の発効とその拡大が、日米交渉に少なくともマイナスの影響を与えることはないと考えております。




(問)今日の諮問会議なのですが、竹森、柳川両議員を迎えての就任後初の会合だったと思います。二人に直接今お話をされて、会議を迎えられての感想と、この民間議員メンバーですと、例えば国際経済のリスクが顕在化した場合には、柔軟で機動的な経済運営を実行するなどの対処をするというような提言もありますが、新しい含意があるのかどうかと、その辺の受け止めも含め、大臣の感想を。


(答)今日、新しいメンバーになって初めての諮問会議ということでしたが、今までももちろん雰囲気が良かったのですが、非常に良い雰囲気の中で率直な議論ができたと考えています。
そして、世界経済のリスクが高まっているのは事実であり、そういった中で、竹森議員は国際経済の専門家ですし、柳川議員は法と経済学、制度改革と経済成長といった分野に造詣が深い。恐らくこれから様々な形の第4次産業革命を進めていく、世界とどう競争していくかということになると、この経済成長と制度改革をどう進めていくかという議論にもつながっていくのではないか。本日もそうした視点から様々な御発言を頂いたところであり、新しいメンバーの下で、司令塔としての機能をしっかり果たしていきたいと思っております。




(問)今日の諮問会議での民間議員の御提言の中で、国際経済でリスクが顕在化した場合、柔軟な、機動的な経済運営を期すると。これは、消費税の再延期なども含む概念ということで理解してよろしいでしょうか。


(答)そのようには考えておりません。




(問)先ほども少しあったTAGの件で、アメリカの交渉目的の公表から30日が経つのが今月20日だと思うのですが、その後、ITCのレポートが24から25日ぐらいに出ると言われてきたのですが、今、アメリカの政府の機関が一部閉鎖されていることもあって、1月という約束があったわけではないとは思うのですが、1月に始まるという感じではなくなってきているのかなというふうにも見えるのですけども、大臣としては、この交渉をどのぐらいに始まるという見通しを持っていらっしゃるのかということと、アメリカ側とはどういうようなお話をされているのかということを教えていただければと思います。


(答)ITCは、今動いていないという状態であり、若干アメリカの国内手続にその分時間が掛かっているのだと思います。
もちろんそういった中で、元々この日米交渉をいつから始めるということを決めているわけではありませんが、米側の準備も整い、その上で日本の国会もあるわけで、様々な観点から日程調整はしたいと、遅らせるつもりは全くありません。
その上で、今後どう議論していくかと、正にこれは昨年の9月26日、日米の首脳会談で発出しました共同声明に沿って議論を進めていきたいと、交渉を進めていきたいと思っています。




(問)経済財政諮問会議の資料を見ますと、過去最大規模のGDPの実現、デフレでない状況の実現というところは、TPPやCPIのデータもあり、実現というのが分かりやすいと思うのですが、その上にある一億総活躍社会・全世代型社会保障の実現というところの実現というのは、具体的に何をもって実現というイメージで書かれているのか、大臣の解釈を教えていただきたいと思います。


(答)これは、実現したというより、対応として実現していくと読んでいただいた方が良いかと思いますが、一億総活躍社会、その中での人づくり革命、そして今、正に全世代型社会保障改革に今年から取り組むということです。昨年、教育の無償化を一気に進め、そして、この10月からは幼児教育の無償化を一斉にスタートいたします。
高等教育につきましても来年の4月からスタートし、さらには現役世代も含めた学び直し、リカレント教育につきましても相当プログラムを増やして充実、実現をしていくと。
こうしたことは既に始まっているわけですが、全世代型の社会保障、人生100年時代に対応した形での継続雇用年齢の延長の検討、さらには予防・健康維持の問題と、正に今、全世代型社会保障改革の中で議論しています。
そして、そういったものを踏まえ、夏頃から、今度は給付と負担の見直しも含めた社会保障全体の改革も進めていく。スパンとして3年間でこの改革を実現するという対応策として、その全世代型社会保障を実現しましたということで書いてあるのではなく、実現に向けて対応しているということで書いているところです。




(問)本日の閣議で、来年度当初予算案を作り直し、再度閣議決定したことは異例のことかと思うのですが、これに対する受け止めをお伺いしたいのと、もう一点、今回の厚労省の統計の誤りによって、雇用者報酬の改定作業を進めているかと思うのですが、その進捗が今どのような状況かお伺いしたいと思います。


(答)まず、こういう事態に至ったということについては、非常に遺憾であると思っております。
統計というものは、実態を表したものでなければならないと思っておりますが、それと乖離するような手法によって行われてきた。これは早急な是正が必要でありますし、またその誤った形での統計により、給付等が過少になっていることについては早急な対応が必要であり、また、こういった事態にならないようにしっかり再発防止策を採っていく必要があると考えているところです。
GDP統計につきましては、今回の問題を踏まえた厚労省の再集計結果を踏まえ、毎月勤労統計を基礎統計とする雇用者報酬の再推計を行い、1月下旬に公表する予定です。
同時に、雇用者報酬の再推計に伴い、影響を受ける家計可処分所得、家計貯蓄率等の系列も改定して公表する予定です。





3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

それでは、本年第1回の経済財政諮問会議について御報告申し上げます。
本日は、冒頭に新しい議員2名の御紹介、それから御挨拶があった後、「安倍内閣6年間の成果」、「経済財政諮問会議の今年の検討課題」についての議論を行いました。
「安倍内閣6年間の成果」については、事務方から資料1、そして「経済財政諮問会議の今年の検討課題」については、柳川議員から資料2についてそれぞれ説明があり、この2つの議題について合わせて意見交換を行ったところです。
主な御意見を御紹介したいと思います。
まず、麻生財務大臣からです。
私どもの政策運営について申し上げると、日本経済は、2015年度以降3年連続のプラス成長となるなど、民需主導の力強い経済成長が実現している。財政についても2012年度と2019年度の当初予算を比べると、新規国債発行額を11.6兆円減らしてきている。それから、2012年度決算と2019年度当初予算との比較では、新規国債発行額の縮減額は14兆8,000億円となっている、という御紹介があり、こうした取組の方向性は間違っていない、こういう御発言でした。
引き続きデフレからの脱却に向けて、政府・日銀が一体となって取り組んでいくというお話もありました。
財政については、「経済再生なくして財政再建なし」という基本方針の下で、引き続き歳出改革などを進めてまいりたい、という御発言です。
最後にG20について御発言がありました。今年、日本は初めてG20の議長国を務める。世界経済には様々な下振れリスクや課題があり、見通しが難しい中ではあるが、持続可能で包摂的な成長を実現するための基盤づくりを目指して議論をリードしていきたい、ということでした。
あわせて、配付した資料についての御発言がありました。
続きまして、世耕経済産業大臣からです。
今年前半の検討課題について3点、お話がありました。
1つ目は、今後のマクロ経済運営についてですが、世界経済にダウンサイドリスクがある中、第2次補正予算案や来年度予算案の早期成立を図り、着実に実行していくことが重要である。
経済産業省としては、今年10月の消費税率引上げを控え、消費喚起や需要平準化に全力で取り組む。機動的な経済財政運営が必要、こういうお話が1点目です。
2点目です。国際経済のリスクとして世界的に保護主義の動きが広まる中で、日本が自由貿易の旗手として今年の議長国を務めるG20も活用し、ルール・ベースの通商の枠組み強化でリーダーシップを発揮していくことが重要。
デジタルの世界でも保護主義、覇権主義の動きが出てきており、デジタル貿易ルールの形成など国際ルールづくりを主導していきたい、こういう御発言が2点目です。
3点目は、全世代型社会保障への改革ですが、今年の夏の成長戦略の取りまとめに向けて、産業構造審議会において具体策の検討を進めていく。病気や介護の予防の保険制度への取り込み、70歳までの就業機会の確保など、厚生労動大臣とも連携しつつ、「明るい社会保障改革」の具体化を進めていく、こういう御発言であり、これらにスピード感を持って、しっかりと取り組んでいきたいというお話がありました。
続きまして、民間議員の方々からの御発言です。まず1人目ですが、世界へのメッセージの発信について、今年はチャンスが多い。
3月15日のB20に向けてステートメントの取りまとめが始まっている。Society 5.0に向けて中国とも硬軟を取り混ぜて、孤立させることなく是正を求めるよう進めていく。その際に、政府とも歩調を合わせていくべきだ、こういうお話がありました。
それからもう1点ですが、G20については、気候変動へのコミットメントが重要で、その意味でいくと課題が多い。エネルギー情勢が変化していることを受け止めなければならない。再生可能エネルギーの普及など地方創生・再生にも密接に結び付いていく話なので、構想をよく練った上で議論をしていきたい、こういう御発言がありました。
2人目の民間議員ですが、この方は、内閣府の資料について少しずつ言及しながらお話がありましたので、その点について補足しながら紹介したいと思います。
資料1の7ページ、左下の図ですが、生産年齢人口と就業者数の動向というところで、生産年齢人口が451万人減という数字があります。ここに触れ、この451万人減にこそ議論の出発点がある。もちろん今の状況を見ると、学生は就職に困っておらず、女性や高齢者の活躍はプラスだが、やはりこの451万人減というインパクトは需要面、供給面、両面で大きい話である。
特に消費面で停滞が予想されるということなので、外需が重要になってくる。ここで為替レートの紹介が4ページにありますが、その意味で、安倍政権の下で、為替レートの安定は非常に大きな意味を持っているという御紹介がありました。
それから、この民間議員の御認識として、アベノミクスの3本目、成長戦略、構造改革ということだと思いますが、その柱は自由貿易、あるいは自由貿易協定だと考えている。その意味で、6ページ、TPP11や日EU・EPAの話が出ているが、こういったところにその成功の話が出ていることは非常に良いのではないか。
特に今、こうした議論の際、国内ではほとんど反対の議論が目に見える形では起こっていない。逆に、農業でこれを機会に輸出のチャンスにしていこうといった話が出てくるなど、随分国内の受け止めも変わってきたのではないか。その意味でも、国際環境の安定が重要であるというお話がありました。
それから、G20についてです。発展途上国も参加しているところにG20の特徴があるわけだが、一部の発展途上国が資本の輸出国になるなど様々な事態が出てきている。1回で結論を得るというのは難しいかもしれないが、継続的な対話の場を続けていくことが大事だというお話がありました。
それから、11ページの資料を引用し、成長率の主要国の成長率とその寄与について、日本の場合には、労働力と資本の寄与が小さく、ほとんどが残りの全要素生産性(TFP)というところです。
これを考えていくときには、資本とはまずそもそも何かということを考える必要がある。さらには、設備を拡大していくような投資は少なくても、省力化投資やIT関連投資、様々な投資というものがある中でこれが必ずしもここでいう資本機能の中には十分に入っていかず、TFPの方に入ってしまうというような事態もあるといった認識であり、その意味で、このTFPの要素と、中身をよく精査した上で、この部分がしっかり伸びていくようにしていくことが必要、こういった御発言がありました。
最後に社会保障についても御発言がありました。消費は現役世代の消費と、退職者の方々の消費から成るが、退職者の消費は、いわゆる社会保障契約に基づくものであり義務的なもので決まっている。その残りが現役に回っているということになるが、現役と退職者の線引きをどう考えていくのかというところが社会保障改革の意味ではないかというお話がありました。
その意味で、現役を広げる、つまりは退職年齢を延ばしていくことが必要という意見もあるという御紹介もありました。
貯蓄や子供は、現役世代からしか生まれてこない。そこが縮んでしまうのは問題であり、こうしたことも議論していきたいという御発言がありました。
最後の民間議員です。世界が大きく変わりつつある中、新しい経済社会の形を世界に提示していくことが重要。グローバルなルールづくりによって世界を変えていき、日本も変えていくことが必要である。
先ほどのTFPの議論を受けて、統計や定義などについても考えていく必要がある。情勢の変化の中で、それにより政策に落とし込んでいけるような基盤を作っていくことが将来の大きな発展につながり、それを世界にもアピールできるようになるのではないかという御発言です。
その上で、2点お話がありました。
1点目は、個人的資産や人的投資は、企業会計上や統計上うまく出てこないということです。こうしたところを見える化することが重要であり、見える化した場合にそこを評価されるようにしていくべきだというお話でした。
2点目は、人生100年時代についてです。全員が100歳まで生きられる保証があるわけではなく、個人にとってみると、50年間不確実性が続くというようにも受け止められる。その意味で、安心というものを確実にしていくことが非常に重要で、それがないと、全て貯蓄に回ってしまい消費に回らないのではないか。貯蓄の残ったものが相続されても、相続した方も、その時点では高齢者になっていて、それが消費に回らない。例えばリバースモーゲージなども、いろいろ課題はあるが注目されているということで、安心して100歳まで国民の方々が生活できるような仕組みを整えていくことも重要ではないか。こういった御発言がありました。
最後に、日銀総裁から、世界経済のリスクについて、簡単に御発言がございました。米中貿易摩擦については、個人的には年内に解決する方向に向かうのではないかと、やや楽観的に見ている。先端技術やサイバーなどの、いわゆる本質的な問題というのは解決しにくいだろうが、貿易収支や知的財産権保護などについては合意できる可能性があるのではないかというお話がありました。
最後に、先ほど大臣のから御紹介のありました総理の取りまとめの御発言があった次第です。



(以上)