第17回記者会見要旨:平成30年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成30年12月20日(木曜日)17時58分~18時40分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

まず、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告します。本年最後の月例経済報告になります。景気の現状についての総括判断は、「緩やかに回復している」として、先月から据え置いております。
先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
次に、毎月「今月のポイント」として御報告していましたが、今日は今年最後ということで、今年の景気・経済の特徴、「本年のポイント」を私の方から3点紹介しました。要点を申し上げます。
1点目は、景気回復の長さです。2012年12月に始まった今回の景気回復期間は、今月で73か月となり、戦後最長期間に並んだ可能性が高いとみられます。今回の景気回復では、雇用・所得環境が大幅に改善し、インバウンドの増加などもあって地域ごとの景況感のばらつきが小さいことが特徴です。
2点目は、潜在成長率についてです。潜在成長率は長期的な低下傾向から上昇に転じました。女性や高齢者の労働参加の拡大、企業の投資意欲の回復が寄与しています。また、1960年代は「カラーテレビ、カー、クーラー」の3C、2000年代はインターネット、IT革命が長期回復を後押ししましたが、今回は、スマホやeコマースの普及など第4次産業革命の技術革新が、新商品・サービスを次々に生み出しています。経済成長の持続と加速に向けて、Society 5.0への更なる取組が重要となります。
3点目は、この1年の雇用・所得環境の一層の改善です。実質総雇用者所得は増加が続き、今年の冬のボーナスも過去最高水準となっています。
月例経済報告については以上です。
続いて、経済財政諮問会議の概要について御報告いたします。
本日は、最初に、年末までに取りまとめることとしておりました「新たな改革工程表」について、次に、来年10月に予定される「消費税率引上げに伴う対応」と今週の火曜日に閣議了解されました「平成31年度の経済見通し」について、議論を行いました。
改革工程表につきましては、経済財政諮問会議として「新経済・財政再生計画改革工程表2018」を決定しました。
次に、「消費税率引上げに伴う対応」について、私から説明しました。お手元の経済財政諮問会議の資料2をご覧ください。
まず1ページ目の上段、「基本的な考え方」では、2行目にあるように、「前回の引上げ時の経験を活かし、あらゆる施策を総動員し、経済の回復基調に影響を及ぼさないよう、全力で対応」と、先月26日の合同会議で示された方針を記載しております。
この方針を踏まえた具体的な「消費税率引上げによる影響と対応」ですが、まず、今回の消費税率引上げで、国・地方合わせて一番上のボックスのように、軽減税率の導入により差引きでは5.2兆円の負担増となりますが、今回は、2段目に示した幼児教育の無償化、社会保障の充実など、既に決められている3.2兆円の措置を講じることにより、差引きで、経済への影響は一番右の2兆円程度に抑制されることになります。
これに対し、新たな対策として、予算面では、一番下のボックスのように、臨時・特別の予算措置としてポイント還元、プレミアム付商品券、防災・減災、国土強靱化など合計2兆円程度です。税制面では、住宅ローン減税の拡充や自動車に係る税負担の軽減など0.3兆円程度、合わせて2.3兆円程度の措置を講じます。
このように、今回は、消費税率引上げによる経済への影響を十分に乗り越える対策としたところです。
2ページ目、1.幼児教育無償化、年金生活者支援給付金から、9.防災・減災、国土強靱化まで、それぞれの施策について、来年度の予算額と、その措置の種類、恒久措置か臨時・特別の措置か、税制なら恒久減税か時限か、とともに、それぞれの施策の概要を整理したものです。
最後のページは、教育無償化による家計負担の軽減をイメージとして整理したものです。3歳から5歳児を持つ家計の平均的な収入が37万8,000円に対し、幼稚園、保育所等で10%前後、6.8%から11%程度の負担の軽減になります。高等教育についても、住民税非課税世帯の収入の平均が月収で19万5,000円ですが、授業料等の無償化により相当な負担軽減が図られます。意欲さえあれば誰でも高等教育が受けられる制度を整えたところです。こうした資料も含め、今回の措置の内容についてしっかりと国民の皆さんに対して、説明・広報していきたいと考えています。
最後に、総理から締めくくりの発言がありました。ポイントを紹介します。
「経済再生なくして財政健全化なし」。安倍内閣では、改革工程表を海図に、経済・財政一体改革という航海を強力に推し進めていく。私には、その舵取り役として、PDCAサイクルを回しながら、進捗と成果をしっかり検証し、経済財政諮問会議に報告をしてほしい。
来年10月の消費税率引上げを控えて、引上げ前後の需要変動の平準化を図り、経済の回復基調を持続させていくためには、今回の対応策をしっかり着実に実行していくことが重要。そのためにも、本年度第2次補正予算に続いて、来年度予算と税制改正の早期成立を目指す。私には、進捗の適切な管理を行い、マクロ経済運営に万全を期してほしい。
こういった発言・指示があったところです。
詳細につきましては、後ほど、事務方から説明させていただきます。


2.質疑応答

(問)月例経済報告の方で、現在の景気回復期が戦後最長に並んだ可能性が高いとのことですが、実感に乏しいという指摘もあります。それについてどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。


(答)今回の景気回復では、デフレではない状況を作り出す中で、名目GDPが過去最大規模に拡大して、企業収益も過去最高を記録しております。そして資料にも示したように、国民生活に密接に関わります雇用・所得環境が大幅に改善をし、またインバウンドの増加などもあって地域ごとの景況感のばらつき、前回の長期の景気回復期と比べても、丸の大きさで比べていただいているように、ばらつきが小さいことが特徴と言えると思っております。
その上で、少子高齢化という壁に直面する日本経済の最大の課題はこれまでも申し上げているように、経済の基礎体力とも言える潜在成長率の引上げにあります。
潜在成長率は上昇に転じたとはいえ、1%程度にとどまっているわけでありまして、「人づくり革命」、「生産性革命」に最優先で取り組み、人材の筋力、企業の筋力を高めて潜在成長率を引き上げていくことで経済成長を更に持続・加速させ、景気回復の実感を高めていきたいと考えております。




(問)今回の増税対策について、十分な対策ということですが、先日発表されている経済見通しで、来年度の成長率は、民間予測と比べると大分高めの成長を見込んでいますが、今回の対策でGDPの実質成長率にどの程度、寄与するとご覧になっているのかお話しいただければと思います。


(答)今回の消費税率引上げによる負担増は、先ほど申し上げたように、軽減税率との差引きで5.2兆円となりますが、さらに、幼児教育の無償化、社会保障の充実など、既に決められている措置3.2兆円を講じることにより、差引きで、経済の影響は2兆円程度に抑制されることになると考えております。
これに対して、臨時・特別の予算措置や税制上の支援といった、2.3兆円程度の新たな対策を措置したことにより、経済の影響を十分に乗り越える対策になっていると考えているところであります。
更に申し上げると、今回、価格設定についても、リジッドではなく、柔軟な価格設定が行えるような一つの方針と言いますか、ガイドラインを作らせていただきました。これも駆け込み需要、さらには反動減を抑制する意味では効果を持ってくるのではないかと考えているところであります。
政府経済見通しについては、その作成時点で得られる臨時・特別の措置等の情報に基づき、政府支出について概算を行い、GDP成長率等の計数を作成しているところであります。
例えば、2019年度の公需のGDP成長率に対する寄与度は、今年度第二次補正予算、そして来年度当初予算の臨時・特別の措置を活用して行われる防災・減災、国土強靱化対策により公共事業関係費が増加することなどから、プラス0.2%程度を見込んでおります。
さらに、経済見通しにおいては、消費税率引上げへの対応策の効果として、政府支出のほか、各種の消費者支援策による個人消費の下支え等を想定して作っているものであります。




(問)景気の話なのですが、今日、株価が非常に大きく下がり、今年の終値として最安値ということでも、非常に海外の情勢にも影響されやすいという状況なのかなと思うのですが、その株価の件と景気の先行きのリスクについて大臣、どのように見ておられるか教えてください。


(答)月例経済報告の冒頭の部分で申し上げましたが、景気の先行きにつきましても緩やかな回復が続くことが期待されておりますが、いくつかのリスク要因と、その中で、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があると述べたとおりであります。
そして、通商問題の影響など外需についてリスク要因があるのは確かでありまして、その分、内需をしっかりと高めていくと言いますか、しっかりした内需を作っていくということが重要だと思っておりまして、来年の消費税引上げに伴います対策にとどまらず、Society 5.0を実現する第4次産業革命の技術革新を様々な現場に取り入れていく、こういったことによって生産性を向上していくということが重要だと思います。同時に、やはりGDPで言いますと6割の消費をいかに拡大していくかということが重要であり、個人消費の喚起、これにつながる所得環境の改善、つまり賃上げというのが大きな鍵を握っていると思っております。経済界の方々も、十分そういったことは認識していただいていると思っております。




(問)2020年にオリンピックとパラリンピックがあると思うのですが、その需要がどのくらい、いつ頃、特に2019年度のいつ頃出るのかを、どのようにはじいており、それが今回のこの2兆円の対策にどのように影響しているのかという点を教えていただきたいと思います。


(答)今回の2兆円の対策というのは、消費税率引上げの対策についてお話しされているということですか。



(問)そうではなくて、2019年はオリンピックの前年なので、当然、五輪関係の需要が出てくると見込んでいらっしゃると思うのですが、それはいつ頃、どのくらいの規模で出てくるという見込みをされているのでしょうか。それがあった上で、当然この消費税対策の2兆円や成長率の見通しというのも出されていると思うので、そのオリンピックの効果をどのくらい2019年度に見ていらっしゃるのかという点をお聞きしたいのですが。


(答)ごめんなさい、質問が半分は分かっていて、半分は分かっていないのは、要するに、オリンピックに伴う様々な需要というのは出てまいります。そこがどのあたりでピークを迎え、またピークアウトするかという質問と、その2兆円の質問の部分が、私にはどう関連しているか分からないので、そこを聞いています。



(問)オリンピックの需要が、どのように、いつ頃出るかという想定があった上で、当然、この消費税率が半年後に上がるこのタイミング、消費税率が来年10月に上がるこのタイミングで、どのくらいの規模を打つのかというのは、当然、関連していると思うのですが、そこはどのように整理されて、消費税対策を作っているかということを知りたいという質問です。


(答)オリンピックについては、実施されるのは、私の理解が正しければ、2020年の夏ということになります。
そこに関する様々な需要、例えば住宅建設であったり、建物の建設であったりとか、インフラ投資、これはおそらく2019年で完成する部分が多いと思います。一方で、消費ということになりますと、一番お客さんが来るのは当然オリンピックの期間になりますし、オリンピックの期間が近付けば近付くほど、そういったインバウンドの需要というものは増えてくると思ってるところであります。
公共事業等につきましては、今回、臨時・特別の措置を講じており、しっかりした需要創出効果があると考えておりますし、消費につきましては、基本的に2019年度にオリンピックの効果が剥奪するものではないという中で、10月に消費税率が引き上げられると。これに伴う駆け込み需要と反動減をどういった形で平準化していくか。同時に、負担増に対してどういった形の対策を打つことによって、経済への悪影響を抑制し、さらには、景気の回復基調に悪影響を与えないようにしようか。こういう観点から先ほど申し上げたように5.2兆円、それから3.2兆円を引いて2兆円の経済的な影響と。これに対して臨時・特別の措置、予算と税で2.3兆円の対策を打ち、十二分な対策を打てると考えております。




(問)その後にオリンピックもあるので、つまり、対策が終わった後に反動減を先延ばししただけで、反動減が更に大きくなるのではないかという心配もあると思うのですが、その点はしっかりと考慮した上で、この2兆円を組み上げているという理解でよろしいでしょうか。


(答)反動減がなぜ起きるかというと、駆け込み需要が起きるから反動減というのは起きるわけであります。駆け込み需要と反動減、これが平準化されるということはですね。つまり、駆け込み需要が平準化されたのに反動減だけ大きく起こってくるということは経済学的には考えられません。



(問)消費税率の引上げの対応のところで、経済への影響が2兆円程度ということですが、それを上回る2.3兆円程度の措置という規模にされたという意義を、改めてお願いいたします。


(答)これは、冒頭申し上げましたが、前回の消費税率引上げ時の経験を踏まえて、あらゆる対策を打つ、総動員するという方針の下で、今回、どれくらいの負担増が生じ、そして既に決められている措置で、それをどこまで抑制できるかという影響を割り出した上で、それを乗り越えられるための規模や内容的にも経済効果が上がるものを盛り込んでいると考えているところであります。
消費税は、当然逆進性があるわけでありまして、そういった低所得の家庭に対する厚い支援策も盛り込んでおります。これはプレミアム付商品券についてもそうでありますし、先ほど見ていただいた高等教育の無償化。これもやはり、進学したい意欲があるが家庭の状況から進学できないという若者たちを後押しする大きな支援策になっていく。こんなふうに考えておりますし、また、キャッシュレス化が遅れている日本において、思い切ったポイント還元を行うことで、一気にキャッシュレス化等も進んでいく、そうした様々な効果が期待できると思っております。





3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

それでは、先ほどの経済財政諮問会議について、概要を報告します。
本日、3点議論を行いました。
最初に、「新経済・財政再生計画の改革工程表」について、資料1の取りまとめ案の説明を事務方から行い、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を御紹介いたします。
まず、麻生副総理兼財務大臣から、経済・財政一体改革推進委員会で精力的に議論をいただき、諮問会議として、改革工程表を取りまとめることができた。今後、この工程表に沿って、着実に制度改革等を実施していくことが重要であり、諮問会議においても、関係府省庁の取組の進捗をしっかり検証していく必要があるという御指摘でした。
次に、石田総務大臣から御発言がありました。前回の会議で、高橋議員から、自治体における定型的な業務の標準化や、デジタル化を通じた自治体職員の負担軽減について御要望を頂いた。
総務省では、自治体における業務プロセス・システムの標準化やAI・ロボティクスの活用を進めるため、研究会において実務上の課題を整理している。来年度からは、「自治体行政スマートプロジェクト」として、業務プロセスの標準モデルを構築する予定。厚生労働省をはじめとした関係省庁と連携しながら取組を進めていく、といったお話がありました。
また、窓口業務の民間委託についても、実際に窓口業務を行う際の手順書等についても順次、作成を進めている。前回、「飼い犬の登録関係」等の業務に御指摘を頂いたが、今後、手順書の追加などを検討していくという話です。
それから、Society 5.0の考え方が地方にまだ浸透してないという問題認識について、「Society 5.0時代の地方」をキーワードに、しっかりとした優良事例の横展開など、地方と双方向のやりとりを行っていきたい。こうした考え方に基づき、本日、石田総務大臣を本部長とする「地域力強化戦略本部」が開催されたとの御紹介がありました。
こうした御発言があった後、改革工程表の取りまとめ案を経済財政諮問会議として決定いたしました。
次の議題、「消費税率引上げに伴う対応」について、茂木大臣から資料2の説明があり、その後、各大臣から補足の御説明がありました。
まず、麻生財務大臣から、消費税率引上げに当たっては、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応する必要がある。来年度予算や税制改正については、十二分な対策を盛り込んだものになったと考えているというお話がありました。
その上で、幼児教育の無償化は来年10月、高等教育の無償化は再来年2020年4月から始まるということで、そのタイミングのずれもありますが、それぞれ厚生労働省や文部科学省は、こういったことを含めて、しっかりと国民に周知すべきだ、という御発言がありました。
それを含め、消費税率引上げの意義や今回の対策について、国民に分かりやすく説明していくことが重要で、関係大臣におかれては、引き続き協力をお願いしたい。財務省だけではできない、というお話がありました。
そこで、今のお話を受けて、安倍総理から御発言がありました。確かに、高等教育の無償化は2020年4月から開始されるが、それは、2019年に1年生として大学生になった人にとってみると、2年生、3年生、4年生の時には、この高等教育の無償化の恩典があるはず。そうしたところも含めて、来年大学1年生になる方が、この2020年4月からの無償化の仕組みをよく認識し、進学という夢を諦めないよう、進学にトライしやすくなったということを十分周知していくことが重要だという趣旨の御発言がありました。
石田総務大臣からのお話ですが、自動車税制についての御紹介があり、今回の税制改正は、自動車ユーザーの負担軽減と財源確保の双方のバランスを考慮して調整したもので、地方団体、自動車業界の双方から高い評価をいただいているという御発言がありました。
もう1点、総務大臣から、マイナンバーカードを活用した消費活性化の話もありました。消費者へのポイント還元等の支援策などを集中的に実施した後、すなわち平成32年度の事業として位置付けている。そのために、平成31年度は具体的な検討と環境整備を進めるということで、必要な経費を臨時・特別の措置として確保しているというお話がありました。
最後に、需要変動の平準化等の対策について、自治体が実施主体になる場合には、円滑な実施が図られるよう関係府省庁において十分な配慮をお願いするという御発言もありました。
世耕経済産業大臣からの御発言が3点ありました。
同じく自動車について御発言があり、1,320億円規模の自動車税の恒久減税で、自動車業界にとっては800億円のネット減税になる。さらに、消費税率引上げから1年間に限り、燃費性能に応じた課税を1%減免する措置も行う。自動車税の減税は、制度創設以来初めてだ。これによって消費税引上げ日以降に購入する自動車ユーザーの負担を軽減し、需要の平準化を図っていきたい。これが第1点目です。
第2点目、ポイント還元の話です。消費税率引上げ後の9か月間について、消費者がキャッシュレス手段を用いて、中小・小規模の小売店・サービス業者・飲食店などで支払いを行った場合、個別店舗については5%、フランチャイズチェーン加盟店については2%を消費者に還元する。その場合、決済事業者には手数料を3.25%以下にすることを求める。
また、個別店舗の支援を図るため手数料の3分の1を補助するとともに、端末の導入費用については個別店舗が負担しなくてよいようにする。分かりやすい動画の配信や体験イベントの開催などを通じて、丁寧な周知・広報を図っていくという御発言がありました。
3番目、商店街の活性化についてて、消費税率引上げのタイミングを見据えて、インバウンドや観光といった新たな需要を効果的に取り込む商店街の取組に対する支援を行うという御発言でした。
それに引き続き、3つ目の議題として、「平成31年度の経済見通し」について、私の方から資料3を説明させていただきました。
その後、「消費税率引上げに伴う対応」と「平成31年度の経済見通し」を併せて意見交換を行いました。
主な意見を御紹介いたします。
まず、1人目の民間議員ですが、世界経済がピークを越えて外需のリスク要因が高まる中、内需が重要だ。このタイミングで消費税率を引き上げるが、今回の政府の手厚い対応を評価したい。ただ、政府だけではなく、民間も内需が拡大していくよう、賃金の引上げが例年以上に重要だという御発言。
もう1点、サプライサイドについても、生産性の向上、潜在成長率を高めることを加速していくことが重要であることを改めて強調したいという御発言がありました。
別の民間議員ですが、最初の議題の改革工程表について触れられました。総務大臣と認識が同じであり、総務省による全国展開の取組に協力していきたいという発言がありました。
消費税対応については、デフレに後戻りしないことが重要で、2.3兆円という規模は、消費税の負の影響を上回るプラスの効果が期待される。
政府の経済見通しについても発言があり、政府の経済見通しが民間の見通しと異なるのは、政府方針にはコミットできる点である。今後きめ細かなマクロ経済運営をお願いするという御発言がありました。
それから、新しい外国人受入れの制度について、来年4月から始まるが、外国人が包摂される社会の実現が重要。
これについては、新しくできる出入国管理庁が全体を見ていくことになるが、その現場になる市町村、県、さらには企業では、必ずしもその経験が豊富ではないので、こうしたところとしっかりと連携をして、緊密に政府横断的な連携、取組をお願いしたい。こういうお話がありました。
別の民間議員ですが、今、経団連では、経労委報告を取りまとめているところ。賃上げについてはSociety 5.0によって牽引される生産性の向上など、その力強さが盛り込まれて行われるものだという御発言がありました。
外需は不確定であるとの指摘があったが、通商問題も激しくなる中で、日本として後から付いていくということではなくて、日本からそういった戦略的な方針を示していくことが必要であるという発言がありました。ただ、個社ではできないことで、政府と連携していきたいといったお話がありました。
別の民間議員です。消費税対応について十分なものをプランニングしてもらったと思う。臨時・特別な措置ということではあるが、こういった臨時的な対応が臨時的なもので終われることが重要だという御発言がありました。
それから、世界経済の先行きについての様々な議論を受けての話だと思いますが、レジリエントな経済の構築のためには、継続的な賃上げにつながるような生産性の向上、人材投資の取組が重要。Society 5.0とマッチした人材の育成とに努めていくべきで、そういう意味では政策も重要であろうということでした。
もう一点、今後シェアリングエコノミーの拡大が期待される。こういった中で、これまでと同じような1人当たりGDPで、経済の豊かさ、本当の豊かさが測れるのかといった点について、今後議論していければといった御発言がありました。
日銀総裁からも御発言がありました。最古の中央銀行設立350周年に合わせて、スウェーデンを訪問した。その際、ノーベル賞の授賞式がありましたが、そこに出席して本庶教授にお会いしたということで、本庶教授のお言葉として、高等教育の無償化を評価されていたということです。研究者を育成していくために、さらに大学院生を対象にするということも考えられないかといったことをおっしゃっていたという御紹介がありました。
最後、総理の御発言がありましたが、先ほど大臣の方から御紹介がありましたので、私の方からは割愛させていただきます。



(以上)