第16回記者会見要旨:平成30年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成30年12月10日(月曜日)18時06分~18時34分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

経済財政諮問会議の概要について御報告いたします。
本日は、最初に、改革工程表について議論を行いました。改革工程表については、先進・優良事例等の全国展開に向けた方策・時期・KPI等の具体化を進めるべき。歳出改革の推進力を高めるために、更なる見える化や利用しやすい形でのデータ公表等を推進すべき、社会保障改革については、2020年度の骨太方針において給付と負担の在り方を含めた総合的な政策を取りまとめることを踏まえ、これまでの改革の進捗や効果を分析・評価し、優先課題を明確にすべき。こういった御意見がありました。
次に、2025年に大阪・関西で開催される万博について議論を行いました。今、なぜこの時期に万博の議論をするかということですが、東京オリンピック・パラリンピック開催が決まった時も、その後の経済財政諮問会議で議論しました。今回、万博が2025年に大阪・関西で開催されると決まったということで、議論を行いました。地球上で唯一の体験を提供し得る場とすることを目指すべき。「未来社会の実験場」というコンセプトに則り、「課題先進国」として新たなソリューションを世界に発信・リードするため、万博をマイルストーンとする視点が重要。波及効果を全国に拡げていく視点や先端技術と歴史・伝統・文化とが共存・融合する我が国の特徴を魅せていく視点が必要。こういった御意見がありました。
最後に、総理からの締めくくり発言がありましたが、そのポイントとしては、「経済再生なくして財政健全化なし」。これが安倍内閣の基本方針。主要分野ごとの重要課題への対応、歳出改革等に向けた取組を具体的に示す、この新たな改革工程表は、内閣の経済・財政一体改革に当たっての海図とも言うべき、重要なもの。私には、具体的、定量的かつ実効的な工程表を年末までに取りまとめるべく取り組んでほしい。財務大臣や関係大臣も、全面的に協力してほしい。
万博の誘致に御尽力いただいた全ての皆様に、感謝と敬意を表する。1964年に東京オリンピック、1970年に大阪万博が行われ、日本が、世界の中の日本となったことを国民が広く実感することができた。歴史の転換点を迎える現代の私たちも、2020年、2025年を契機として、平成のその先の時代に向かって、身体に力を感じるような、そういう時代を皆様と一緒に創り、大阪・関西万博も成功させていきたい。政府としては、地元や経済界の力も得て、オールジャパンで取り組んでいくので、御協力をお願いする。こういった発言・指示があったところです。
詳細につきましては、後ほど、事務方から説明いたします。


2.質疑応答

(問)本日、改革工程表が示されました。2019年度、2020年度は増税対策で歳出圧力が強まるということで、この工程表がより重要な意味を持つかと思います。そういった中で、今日、民間議員も御提言されていたと思うのですが、数値が色々書かれているものもこれまであったと思います。実行できているものと、実行できていないものがあると思うのですが、よりそういう意味で、実際にこれを実行し、数値目標を達成していかなければならないと思うのですが、その実効性をどう確保するのかということについてお伺いさせてください。


(答)正に、この実効性を確保するために改革工程表を作っているわけでありまして、いつまでにやるとか、KPIをどうすると、そういったものも含めて具体的に書いていく。大きな目標があって、それに向けた施策があり、さらには、四十数項目に上る改革をどう進める、具体的な取組をいつどうやっていくというものを書き込んでいくのが工程表でありまして、バージョンアップしたと言いますか、これまでの取組も踏まえて、それを更に加速するための新たな工程表を年末までにしっかりとまとめていきたいと考えております。



(問)本日午前に7-9月期のGDP改定値が発表されまして、実質年率で1次速報段階の1.2%減から2.5%減へ下方修正されましたが、景気の現状と今後の見通しについて見解を聞かせてください。


(答)本日公表の2次QEにおきましては、7-9月期の実質GDPの成長率は前期比マイナス0.6%と、設備投資の下方改定を主な要因として、御指摘のように1次QEから下方改定したところであります。
これは、先週発表されました「法人企業統計」におきまして、卸売・小売業や情報通信機械産業を中心に、設備投資が前期に比べて減少したことなどを反映した結果です。ただし、今期の設備投資の減少については、前期に大きく増加した反動によるものと認識しております。
設備投資の水準については、前年比プラスが続いており、引き続き高水準で推移しております。また、景気全体についても、前回も申し上げましたが、7-9月期は自然災害の一時的な影響はあったものの、景気は緩やかに回復しているとの認識に変わりはありません。



(問)「全世代型社会保障改革」の担当大臣としてお伺いしたいのですが、先ほどの改革工程表を、総理は、内閣の海図とおっしゃいました。茂木大臣としては、どのような御評価をされているのか。特に、全ての世代が安心できる社会保障改革を行うとおっしゃっていると思うのですが、工程表の原案が国民から見て安心できるという視点のものになっているかどうかといった御評価をお伺いしたいと思います。


(答)新たな改革工程表、これは経済・財政一体改革を進めるに当たっての海図ということでありまして、もちろん波高い分もあるわけですが、どういう方向に向かっていつ進んでいくか。全体の方向性、さらには、それに向けた航路を示しているといった意味で海図と言えるのだと思っています。
御案内のとおり、「全世代型社会保障改革」は今後3年間かけて具体化していくということでありまして、まずは港を出発するに当たって、昨年来、「人づくり革命」を進めることによって幼児教育、そしてまた高等教育の無償化、さらには、現役世代においても、ずっと就労しているだけではなくて、人生の再設計が利く。一旦、社会に出た人が、また学校に戻って学び直しをする、学び直しをすることによって人生の再設計が可能となる、こういったリカレント教育の大幅な充実、さらには、大学改革も進めた上で、正にこれから「全世代型社会保障改革」を本格的に取り組んでいくわけであります。まずは今、雇用環境が大きく変化しております。こういった中において、雇用の改革は待ったなしの課題だと考えておりまして、継続雇用年齢の延長の問題や、これまで特に大企業では雇用慣行として多かった新卒一括採用や終身雇用といった制度も見直して、中途採用、できればキャリア採用という言葉をこれから使っていきたいと思っておりますが、そういったものも充実していきたい。そして、そういったキャリア採用を、今度は企業の側ではなくて、勤めている従業員や個人の側からすると、リカレント教育があれば、そういったキャリアの転換やキャリアアップも可能になるということで、連動していくものだと考えております。
こういったことを進め、同時に、来年の夏までにしっかりとした結論を得る。その上で、給付と負担の見直しを含めた医療の問題、さらには年金の問題も含めた社会保障全体の改革を来年の夏以降、本格的に議論していく。
ただ、それに当たって、例えば、高齢者も働けるような社会になっていくというのは、健康であることが前提になるわけでありますから健康維持、さらには予防対策については今、正に議論して、来年の夏までにしっかりした取りまとめを行っていきたいと思っているところであります。



(問)まだそういう意味では、港を出発する前だとは思うのですが……


(答)出発しました。



(問)もう出発しました?


(答)ええ。



(問)一番波が高いなと思っていらっしゃるのはどのあたりなのでしょうか。


(答)それぞれの段階で注意しながらやっていかなくてはならないと思いますが、言ってみますと、これから2019、2020、2021年は団塊の世代が本格的に75歳を迎える前の年ということでありまして、正に2022年以降、波は大きく高まってくるわけであります。そこまでに、しっかり船の進路を決め、そしてその方向に向けて、日本という船団全体がしっかりと前に進める、そして、目的地に到達できる道筋を付けていきたいと思っております。




3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

平成30年第16回経済財政諮問会議について、本日は「社会保障をはじめとする改革工程表」、「2025年の日本万国博覧会」についての議論を行いました。
最初に、「社会保障をはじめとする改革工程表」について、事務方から資料1、新浪議員から資料2の説明があり、その後、意見交換に入りました。
主な御意見を御紹介いたします。
閣僚からお二方、まず厚生労働大臣です。資料3を使って説明がありました。ポイントだけ御説明しますが、資料に基づいて、4項目の御説明がありました。
1ページ、1つ目として、保健事業と介護予防の一体的実施。現状では、異なる制度がそれぞれ対応している保健事業と介護予防の一体的実施を進めるということ。あわせて、市町村による介護予防・認知症予防の取組を計画的に推進するということ。
2番目として、健康・医療・介護のデータ連結と利活用推進ということで、個別に収集・保管されてきた医療保険と介護保険のレセプト情報等のデータを連結する。これにより、医療、介護情報の一体的な分析を可能にするとともに、民間企業を含む幅広い主体による利活用を可能とするということ。
この2つの取組に関する法案を次期通常国会に提出するという御説明もありました。
2ページ、3つ目の柱として、医療保険における効果的・効率的な保健事業の推進ということで、特定健診・特定保健指導について、実施率向上に向けた効果的な方策を推進するという点。それから、評価指標の標準化を検討するということ。さらに、保険者インセンティブも活用し、医療機関と保険者・スポーツクラブ等の民間事業者等が連携した運動・栄養等のプログラムの一体的な提供の仕組みも検討し、早期に実施するということについて言及がありました。
最後、4番目の柱として、医療・福祉現場の革新。2040年を展望すると、担い手の確保が課題になる。そうした中で、医療・福祉現場の革新を通じた生産性向上が不可欠。特に介護分野では、業務フローの分析・仕分け、ICT・介護ロボットの活用、元気高齢者の活躍の場の創出。これを三位一体で進め、介護現場を革新し、魅力を発信していくというお話がありました。
さらに、2040年を見据え、人と先端技術が共生する未来社会を展望し、経済産業省等と連携しつつ、産業界の参画もお願いしながら、ICT、AI、ロボット等の技術開発のロードマップを策定する、といったお話もあったところです。
次に、麻生財務大臣から、「新経済・財政再生計画」に記載された改革工程表は、歳出改革を進めていく上で重要なツールである。その観点から、社会保障分野をはじめとして、改革工程表に沿って、改革の実効性があがるように取り組んでいく必要があると考えている、という御発言がありました。
以下、民間議員の方々です。
1人目です。これまでの提案に対して、骨太2018から深掘りされていて感謝する。その上で、課題を3点申し上げる。
地域の医師会との連携による好事例の横展開などを、都道府県レベルで進めるべきだという点。民間事業者の活用については、保健事業の評価指標の標準化を進めるべきという点。3つ目に、給付と負担の在り方について、分析に基づいてメリット・デメリットにより優先順位を明らかにしていくことが大切だという点。
また、教育分野について、質の向上に向けて大学間での比較ができるようにし、頑張る大学を応援する仕組みを作るべき、また、遠隔教育の現状把握と推進を期待するという御発言がありました。
別の民間議員です。厚生労働大臣、総務大臣に対してのそれぞれ2点お願いということで、全体について4点発言がありました。
厚生労働大臣に対して1つ目、認知症予防について、どのような取組が効果があるのかエビデンスがまだ足りていない。官民で取り組むプロジェクトを早急に具体化すべき。2つ目、国を挙げて何にどう取り組もうとしてるのか、国民・自治体・関係団体等に必ずしも共有が進んでいない。健康予防など国民を巻き込んでいくことが重要。そのためにもデータの全面的な見える化を推進し、国民への周知に努めるべきだというお話がありました。
総務大臣に対して、1つ目、ICT、AIの活用について標準的・効率的な業務プロセスの展開を関係大臣とも連携して進めていくべき。2つ目、窓口業務の民間委託について、定型的業務のようなものでもまだ進展しないものが残っている。職員の業務負担軽減のためにも推進すべきだというお願いがありました。
別の民間議員ですが、マイナンバーカードの普及を進めていくべきであり、それは全世代型社会保障制度の推進に不可欠。これまでよりも進んできているとは思うが、まだ十数%に留まっており、まだまだ進められる。例えば企業においても社員証に活用する、あるいは交通系のICカードとうまく統合するなど、そういった使い勝手の良いものにして大胆に進めていくことで、マイナンバーカードを大きなツールにすることができるのではないかというお話がありました。
次に、「2025年の日本万国博覧会」について、まず世耕経済産業大臣から資料4、高橋議員から資料5の説明があり、その後、意見交換を行いました。
民間議員から、ポストロンドン五輪の取組、イギリスの取組というものが参考になるのではないか。日本でオリンピック・パラリンピックと万博というものを連携して取り組むような工夫が必要ではないかという指摘がありました。
別の民間議員です。Society 5.0、SDGsを世界にアピールできる絶好の機会。イノベーションによる持続的な成長に寄与する技術革新を、官民連携してしっかりと進めるべき。例えばスマートシティ、スマート農業などを体験できる場を作ってほしい。
行政の完全デジタル化については、2025年度を待たず実現するとともに、デジタル革新に対応した社会を作っていくべき。
別の民間議員です。日本がどちらに向かって進んでいくのかが重要であり、それをどう国民と共有していくのか。こういった指摘があった上で、3点御発言がありました。
1つは、21世紀の豊かさというものをどう作っていくのか。これは、例えばSDGsなどもあるのかもしれない。
2つ目、技術革新のダイナミズムについて、どのような形で社会変革につなげていくのかということ。デジタルトランスフォーメーションを目に見える形で実現するということかもしれない。
3つ目、グローバル化がある意味で揺らぐ中で、そのグローバル化をどう実現していくのか、日本がビジョンを示していくべき。
これら3点について、日本がどういう方向に向かっていくのかが重要、こういった御発言でした。
別の民間議員からの御発言ですが、大阪・関西万博については、今後、インバウンドや対日投資が増加していくことが見込まれるが、日本人そのものの観光を増やしていくことが重要。今後5年間を重点期間として、国内観光、インバウンドを増やしていく取組を進めるべき。これは、日本人が国内の観光をすることによって、消費を増やしていくということが必要ではないかという文脈であったかと思います。
そうした中で、1人当たりの消費額を増やしていくためにも、ナイトタイムエコノミーの推進が重要。インフラの整備はもちろん、博物館等の開館時間の延長など、本当のナイトライフが過ごせる環境整備を日本として進めてほしい。
その文脈でも、マイナンバーカードということが重要な役割を果たすのではないかといった御指摘がありました。
この発言の流れを受けて、財務大臣から御発言がありました。地方の都市でも、夜8時以降で人が歩いている街と、歩いていない街がある。今、自分が受け止めている印象としては、一番人が歩いているのは京都なのではないかと、こういった発言がありました。
以上で議題が終わり、最後に総理からの御発言がありましたが、この点については、先ほど、茂木大臣御自身からポイントの御紹介がありましたので、私の方からは割愛をさせていただきます。



(以上)