第15回記者会見要旨:平成30年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成30年11月26日(月曜日)18時50分~19時17分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

本日、経済財政諮問会議、未来投資会議、まち・ひと・しごと創生会議及び規制改革推進会議から代表委員にお集まりいただき、成長戦略、地方創生、規制改革など、安倍内閣の主な経済政策について、今後の方向性の中間的な整理を行いました。
まず、その中核を成す成長戦略について、総理からは、Society 5.0の実現、最大のチャレンジである全世代型社会保障への改革、地方施策の強化の3本柱で、未来を見据えた構造改革に取り組んでいく。本日整理した論点について、与党の意見もしっかり聞きつつ、3年間の工程表を含む実行計画を来年の夏までに決定したい、という御発言・指示がありました。
次に、消費税率引上げに伴う対応等についてですが、与党からの提言を踏まえ、その基本方針を示しました。総理からは、駆け込み需要・反動減の平準化については、効率的かつ効果的な対応を図るため、ガイドラインを整備し柔軟な価格設定を可能とするとともに、中小・小規模事業者を支援するポイント還元について、期間を集中し十分な還元率を確保する考えである。また、支援が必要な方へのプレミアム商品券の発行も支援をする。さらに、自動車の保有についての税負担の軽減措置等を検討し、消費をしっかりと下支えしていく。私に対し、消費税率引上げに伴う対策について、年末の予算編成過程における決定に向けて、与党と調整をしつつ、検討を深め、その取りまとめをするように。こういった御指示があったところです。
続けて、経済財政諮問会議を開催し、「平成31年度予算編成の基本方針」の策定方針を決定しました。「予算編成の基本方針」は、本策定方針を踏まえて、今後、与党で御議論いただき、12月上旬を目途に閣議決定する予定です。その後、この基本方針に基づいて予算編成が行われます。総理からは、安倍内閣は、経済最優先。経済の回復基調をしっかりと持続させる。同時に、財政健全化への着実な取組を進める一方、重要な政策課題への対応に必要な予算措置を講じるなど、メリハリの効いた予算編成を目指す。私や麻生大臣をはじめ関係大臣には、しっかりと対応してほしい。こういった御指示があったところです。
詳細については、後ほど、事務方から説明させていただきます。


2.質疑応答

(問)消費税率引上げへの対応策についてお伺いさせてください。従前から焦点となっておりましたキャッシュレス決済については、ポイント還元率が5%になるなど、当初予定されていた予算規模よりも膨らむ可能性が今は出てきております。
今回、お配りされました中間整理案では、全体としての財政規律は堅持するという方針も書かれていらっしゃいますが、増税対策、持続的な経済成長、また、財政健全化といった各問題のバランスをどう取っていかれるおつもりなのか、お考えをお伺いさせてください。


(答)来年の10月に予定されております消費税率の引上げ、これは御案内のとおり恒久措置であります。そして、それによって幼児教育・高等教育の無償化など「人づくり革命」を実現する、社会保障の充実・安定化を図る、さらに財政の健全化に不可欠なものだと考えております。
そういった恒常的な措置の一方で、消費税率の引上げ前後に大きな需要変動が生じてしまいますと、景気の回復力が弱まって、結果的に経済、ひいては財政にも悪影響が及んでしまう。このために2019年度、2020年度の当初予算において、臨時・特別の措置を講じることにしているわけであります。
もちろん、無駄な歳出があってはならないと考えておりまして、前回の経験も踏まえて、駆け込み需要・反動減の平準化のためのガイドラインを整備し、これと併せて中小・小規模事業者へのポイント還元支援という効率的かつ効果的な施策を、期間を区切って十分な還元率の施策を実施するなど、重点的な対策を講じることによりまして、経済再生と財政健全化の両方を着実に実施していきたいと思っております。
5%に膨らんだという表現については、よく分からないところもありますが、いずれにしても具体的な内容は年末の予算編成過程で決定をしたいと思っております。



(問)ポイント還元のことで1点だけ確認なのですが、安倍総理は、5%を9か月間に限って、ということを今日、国会の答弁でもされていましたが、政府としてその方向で検討するという理解でいいのかという確認と、ポイント還元に当たって、そのクレジットカード会社との調整など、まだ課題は色々残っていると思いますが、それも含めて年末までに決着を図るという理解でよろしかったでしょうか。


(答)期間を区切って十分な還元率で行っていくということでありまして、基本は総理の言っている期間、そして還元率の方向で年末の予算編成に向けて調整をしてまいりたいと考えております。
確かに、これからその関係者との調整、そして準備を進めていかなくてはいけませんが、キャッシュレス社会を実現していくと、こういう観点からもカードの手数料等につきましては、やはり私は率直に申し上げて引下げは必要だと思っております。
また、今、そういったことができるようなシステムの環境になっていると思っております。カードについても、今はカードのリーダーも相当、手軽に入手できるという状態でありますし、一方でQRコードについても、手数料1%前後という状況ですから、私はやはり様々な技術革新等によりまして、こういったことが実行できる環境は整備されつつあると思っております。
当然、多くの関係者の方がいらっしゃるわけでありまして、今回の措置の持っている意義や具体的な施策について周知徹底もしっかりと図っていきたいと思っています。



(問)ポイント還元の関連について、還元幅を5%とした場合、それを終えた時に、かえって、また反動減というか、がくっと消費が落ち込むのではないかと心配されている方もいるようですが、その点については大臣御自身はどのようにお考えでしょうか。


(答)総需要を考える時に、様々な要因を考えなくてはいけないのだと思います。例えば、2年後にはオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることが予定されております。2025年には万博が日本、大阪で開催されるということも決まったわけであります。
おそらくそのオリンピックの総需要ということですと、ピークはオリンピックの開催期間よりも一定期間前になるのは当然でありまして、どう考えたってオリンピックの競技場を開催している間に作っていることはないわけですから、その時期には既にピークアウトをしていると。そういったピークがあり、また、まず、消費税の駆け込み需要・反動減を抑えると。前回の経験からしても、これを期間を区切ってしっかりとやるということが重要であります。
同時に今、世界経済全体を見ましても不確実な要因といったものも増しており、そういったものも注意深く見ながら必要な対策を、その時々でしっかりと立てていきたいと思っております。



(問)確認ですが、その9か月なり、何か月と決めたものを、だらだらと続けることはしないで、もうそこで一旦終わりにするというのは明確にされるということでよろしいですか。


(答)現時点ではそうです。



(問)いつ分かりますか。その時になったら、また延びるかもしれないというのはあるのですか。


(答)その時の経済の情勢、経済は生き物でありますから、一つの施策だけによって物事を決めていくというよりも、全体の経済環境といったものを見ながら施策は打っていく必要があると思っております。
ただ、今重要なことは、前回はこの消費税率の引上げに伴いまして、大きな駆け込み需要・反動減があって、これがやはり景気の回復力を弱めたといった経験を踏まえたしっかりした対策を、期間を区切って打つことが重要だと思っております。




3.新原事務局長代理補(内閣官房日本経済再生総合事務局)による追加説明

経済財政諮問会議、未来投資会議、まち・ひと・しごと創生会議、規制改革推進会議 合同会議について、事務方から資料1の中間整理を説明した上で、議論に入りました。
未来投資会議の民間議員から、「中間整理に未来投資会議で議論した内容をしっかり盛り込んでいただいた。
問題は実行速度。Society 5.0を分かりやすくまとめ、デジタル化の夢のある社会、ともに創造する社会について国内外に発信していく。官民挙げて実施していく必要がある。
この成長戦略のもう一方の側として、生産性向上、高齢者対策、雇用の在り方、働き方改革について、しっかり取り組んでいく必要がある。」
未来投資会議の別の民間議員から、「2019年はG20の議長国になる。これまでリベラルワールドオーダーだった中、米国が変化をし、日本としてルールを形成する役割を担っていく必要がある。そうした中、全世代型社会保障は大きなメッセージになる。
重要な点として3点。第1、外国人労働者の受け入れ。一歩踏み出すことで世界も注目する。第2、スーパーシティ。本日、中間報告を行ったところ、早期の制度整備につなげていく必要がある。第3、世界経済の軟弱化の中で、消費税率引上げに万全の体制を期すべきである。キャッシュレスの引き金として活用していく視点で、ポイント還元制度の規模を大きくして、オリパラまでなど期間を絞って実施し、マイナス効果を抑制していくべき。これは内外に大きなメッセージとなる。」
まち・ひと・しごと創生会議の委員から、「まち・ひと・しごと創生会議では、これまで「過度な人口の東京一極集中の是正」や「地方の人手不足対策」等について議論してきた。
東京一極集中の是正については、地方の中枢中核都市の機能強化について議論を行っている。「まちづくり」に向けた様々な課題の解決に向けて、具体策を早急に進めていただきたい。
UIJターン等を積極的に推進するための政策パッケージを取りまとめた。移住した方が安心して定住できるための伴走支援をお願いしたい。
こうした取組について、年内に予定されている「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の改訂に反映いただきたい。」
経済財政諮問会議の民間議員から、「ドイツ、中国など世界経済の動向が怪しくなってきている。来年度は消費税率引上げが予定されており、レジリエントな経済を構築していくことが重要。生産性向上のための投資を促進していくことが重要。
全世代型社会保障を構築していくことも重要。予防も含めた対応は、働く人や働く時間の増加につながる。ワイズスペンディングを進め、持続的社会保障を作っていくべき。」
経済財政諮問会議の別の民間議員から、「日本経済の最大の課題は、消費税率引上げを乗り越え、経済の好循環を維持していくこと。Society 5.0、生産性の向上、賃上げの取組を期待。
最低賃金の引上げが重要。コストでなく、人材への投資であると考えるべき。」
規制改革推進会議の民間議員から、「19日に、7項目について第4次答申を取りまとめた。第1、遠隔教育。5年以内のできるだけ早期に、希望する全ての小・中・高校で遠隔教育を活用できるよう包括的な措置を講じる。第2、総合取引所の実現。2020年度頃の可能な限り早期に実現できるよう、今年度末を目途に目指すべき方向について結論を得るべく関係省庁で協議を行う。第3、携帯電話市場の競争促進によって、成長の果実を国民に還元するため、今年度内に包括的な解決策の全体像を示す。通信と端末の完全分離、中古端末の流通実態の調査と是正措置などを求めていく。第4、電子政府の推進。補助金申請や社会保険手続について、簡易なオンライン申請の実現を求める。第5、学童保育対策。放課後児童クラブと放課後子ども教室を同じ小学校で行う一体型を10,000か所設置するという政府目標達成の工程表を本年度末までに策定する。第6、農業の集積・集約化。第7、農業用ドローンの活用。これらの様々な規制改革を提言した。」
経済産業大臣から、「本日取りまとめていただいた論点を中心に、来夏の閣議決定に向けて、与党とも意見交換をしつつ検討を深めたい。
第1、全世代型社会保障への改革。現在の保険制度は、病気になってからの対応が中心だが、病気の予防も重視すべき。ウェアラブル端末を活用した民間サービスの利用など、保険者へのインセンティブを保険制度の中で取り込むべく、具体的施策を厚生労働大臣と協力して作り上げたい。
第2、消費者へのポイント還元の導入。オリンピック・パラリンピックを控える我が国にとって、キャッシュレス取引を拡大する契機。実施期間や還元率は十分な効果を持つものとし、対象店舗・品目も可能な限り広げ、決済手段もクレジットカードのみならず幅広く対象としたい。各種決済手段が手数料等について競争できる環境を整えたい。こうした取組が日本全国に広がるよう、しっかりPRしていく。
来年度予算編成に向け、消費税率引上げによる経済的影響を確実に平準化できる規模の予算編成をすべき。」
厚生労働大臣から、「厚生労働省では、全世代型社会保障の構築に向けた改革本部を立ち上げ、私が本部長となって、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けた検討を進めている。
中間整理においても、厚生労働省で検討を進めている、高齢者が働く環境の整備、就職氷河期世代の方々への就職支援等の強化、医療機関と民間事業所等が連携した医学的管理と運動・栄養等のプログラムの一体的提供などを盛り込んでいただいた。
中間整理を踏まえながら、社会保障や雇用対策を所管する大臣として前に進めていきたい。」
科学技術政策担当大臣から、「官民を挙げてSociety 5.0の実現に向けた重点分野に取り組まなければならないというのは、民間議員と同じ意見。
CSTIの場で、総理から、若手研究者の支援とともに、基礎研究と社会変革を結びつけるため、高い目標を掲げた挑戦的な研究開発であるムーンショット型研究開発を着実に実行するよう、指示があった。
イノベーションの社会実装を強力に進める。」
総務大臣から、「AI、IoTなどの技術革新を地方に積極的に取り入れ、「Society 5.0時代の地方」を実現することが重要。
21世紀の基幹インフラである5Gや光ファイバ等の情報通信基盤の整備を早急に進め、革新的な技術を活用して就業の場や生活サービスを確保し、地域力を維持していきたい。
こうした施策に関係府省が連携して取り組むことが重要。」
文部科学大臣から、「22日に、「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・学びの革新プラン~」をまとめた。全ての小・中・高等学校で遠隔教育が活用できるよう、スピード感を持って実施していく。6月頃に具体的な取りまとめを行いたい。」
地方創生・規制改革担当大臣から、「第1期のまち・ひと・しごと創生総合戦略の総仕上げに向けて、UIJターンの促進を強力に支援する施策や、中枢中核都市をはじめ、まちづくり施策の具体化を進めていく。
AI、ビッグデータ等の新技術を直接実装し、第4次産業革命を体現する最先端都市「スーパーシティ」構想の実現に向け、本日、中間取りまとめを行った。今後、具体化に向けた検討を急ぐ。オンラインによる遠隔教育や総合取引所の実現、携帯電話事業者の競争促進など、規制改革推進会議第4次答申の「実施事項」について、確実に実現していくことを強く期待。」
財務大臣から、「来年10月の消費税率引上げは、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するとともに、財政健全化を図る観点から行うもの。これにより確保される財源を活用し、幼児教育や高等教育の負担軽減、介護職員等の処遇改善、年金生活者支援給付金の支給といった充実策を講じるとともに、消費税率引上げの必要性等について国民に分かりやすく説明し、理解を得ていきたい。
低所得者に配慮する観点から実施する軽減税率制度の円滑な実施に向け、しっかりと準備していく。
中間整理で示された方針に沿って具体的な検討を進め、政府一丸となって消費税率引上げ前後の需要の平準化に万全を期す。」



4.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

合同会議の議論の後、平成30年第15回経済財政諮問会議として、「予算編成の基本方針」について議論を行いましたので、その概要を申し上げます。
資料1のとおり、総理から「平成31年度予算編成の基本方針」の策定方針について、諮問がありました。
事務方から資料2の策定方針案の説明がありました。本策定方針案を諮問会議の答申とすることを議決いたしました。
最後に、総理から御発言がありました。既に、茂木大臣からその概要を御紹介しましたので、割愛いたします。



(以上)