第14回記者会見要旨:平成30年 会議結果
茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:平成30年11月20日(火曜日)18時54分~19時27分
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
経済財政諮問会議の概要について御報告いたします。
今日は、最初に、「今後の経済財政運営」について議論を行いました。我が国経済のファンダメンタルズはしっかりしているが、世界経済の動きには今後とも注意を要する、消費税率引上げを乗り越えられる取組を来年度予算編成過程でしっかり盛り込むべき、こういった御意見がありました。
次に、経済・財政一体改革の中で2つのテーマ、「地方行財政」と「社会保障」について、議論を行いました。
「地方行財政」については、デジタル・トランスフォーメーションを促進すべき、人口減少下での持続可能な地方行財政を構築すべき、地方創生に向け、多様なPPP/PFIを推進すべき、こういった御意見がありました。
「社会保障」については、各都道府県に取組や成果の見える化を求め、PDCAを機能させるべき、予防・健康づくりの推進の効果としてKPIを定め、医療費全体の抑制効果の検証、進捗管理を行うべき、健保組合、協会けんぽ、国保での共通化を進め、データヘルスのプラットフォームを構築すべき、こういった御意見がありました。
最後に、総理から締めくくり発言がありました。ポイントを御紹介しますと、来年、消費税率引上げを控える中、世界経済の動向など先行きに十分に目配りし、経済の回復基調をしっかりと持続させる必要がある。こうした状況を踏まえ、本日、第二次補正予算の編成を指示したところである。また、来年度当初予算には、十分な消費税対策を盛り込む考えである。
私には、景気回復の足取りを確かなものとし、生産性の向上や人材投資、国土強靱化などによる持続的な経済成長を実現するため、しっかり対応してほしいという指示がありました。
地方行財政については、人口減少・高齢化が進む中で、持続可能なシステムへと転換していくことが重要である。石田大臣には、公共サービスの広域化やデジタル・トランスフォーメーションの取組が全国に広がるよう、積極的に取り組んでほしい。また、地方の課題解決には、民間の資金やノウハウを公共サービスに活用していくことが鍵を握る。片山大臣には、地方創生の取組に積極的に活かしてほしい。
社会保障について、新経済・財政再生計画に沿って、来年度予算編成を行うとともに、根本大臣には、取組や成果の見える化やKPIの設定、保険事業者間の連携を通じ、予防・健康づくりをはじめとする当面の重点事項を着実に推進してほしい。また、キャリアアップ助成金がより広く利用されるよう、普及・推進に更に努めてほしい、こういった発言・指示があったところです。
詳細については、後ほど、事務方から説明させていただきます。
2.質疑応答
(問)経済財政諮問会議の総理の締めくくり発言でも言及がありましたが、今日の閣議で総理から第二次補正予算の編成の指示が出ました。これについて、改めて今回の補正を編成する目的を聞かせてください。
(答)総理の御指示を踏まえますと、平成30年度の第二次補正予算は、防災・減災、国土強靱化の緊急対策のうち、初年度の対策として速やかに着手すべきもの、そして、TPP協定が年内に発効するわけですが、これを踏まえた農林水産業の強化策、さらに、中小・小規模事業者の支援策など、基本的には、追加的な財政需要に対する、特に緊要となった支出に限定して編成されるものと考えております。
こうした指示の背景には、内外の経済情勢を十分に踏まえて、今後の景気動向に留意する必要がある、こういった認識があると考えておりますが、景気は、冒頭申し上げましたように、緩やかに回復しているという基調判断に変わりはなく、また、来年10月に予定されている消費税率引上げ前後の需要変動については、来年度の当初予算で万全の対応を取っていくことを踏まえますと、緊要の措置であって、何らかの経済対策として行うという性格のものではないと考えております。
(問)昨日、日産のゴーン会長が逮捕されまして、今日、日産と三菱の株価も大きく値下がりしたのですが、経済への影響という点を含めて、この件はどのように受け止めていますでしょうか。
(答)もちろんカルロス・ゴーン会長が逮捕された、この報道は承知しておりまして、このような事態に至ったことについては誠に遺憾であると考えております。
詳細につきましては、今、東京地検特捜部が事情聴取中でありまして、現段階でコメントは控えたいと思いますが、ガバナンスの在り方については、まず、日産が今後立ち上げるとしている第三者委員会において徹底的に議論してもらいたいと考えております。
どういう影響が出てくるかについては、しっかりと見極めていきたいと思っています。
(問)本日から始まりましたTPP首席交渉官会合についてお尋ねします。大臣は冒頭挨拶で、いくつかの具体的な提案を行う予定だとおっしゃっていましたが、本日はどのような提案を行い、進捗状況についてはどのような報告を受けていますでしょうか。
(答)私は、あの後、本会議等がありまして、この首席交渉官会合自体には出ておりませんが、先ほど、梅本首席交渉官から、非常に順調に進んでいるという報告を受けているところでありまして、今回の首席交渉官会合は、TPPの発効が年内と、目前に控えていることを踏まえて、発効後のTPPの運営や新規加盟国・地域に対する基本的な方針等について詰めの議論を行っている、正に今そういった議論が進んでいると聞いております。おそらく明日の午前中あたりもやるのではないでしょうか。
3.多田内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
平成30年第14回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
本日は、「今後の経済財政運営」、「地方行財政」、「社会保障」についての議論を行いました。
最初に、「今後の経済財政運営」について、伊藤議員から資料1、麻生議員の代わりとして鈴木財務副大臣から資料2の説明がありました。
伊藤議員から、「本日、安倍総理からあった第二次補正予算の編成指示について、歓迎する。」
その後、意見交換を行いました。主な御意見を御紹介いたします。
経済産業大臣から、「世界経済の動向に注意しながら、経済財政運営に万全を期すことが重要。消費税率引上げの経済的影響を最小限にするよう対策を講じていくべき。
経済産業省としては、車体課税の抜本見直しに向け、関係機関としっかり調整していく。キャッシュレスは世界の趨勢になっていて、生産性を高めることにもつながり、さらにはビッグデータの観点やオリパラ対応としても重要。消費者の立場でも、ATMに行く手間、現金を持つことの不安から解放されるメリットを持つことから、中小・小規模事業者へのポイント還元といった新たな手法による支援を行いたい。
制度設計に当たっては、多様な選択肢の提供、タブレットやスマホなどでもキャッシュレス化できることの周知などにより、多くの中小・小規模事業者や消費者が利用できるよう留意したい。」
民間議員から、「日本経済の足かせは人手不足で、総力を挙げて対策すべき。人材投資やAI、ロボットに投資した場合に減税する制度を新設したが、しっかり周知し、使い勝手の良いよう機動的に見直していくべき。特に、中小企業の方々に理解が進んでいるのか。
70歳以上の方が働くためには、健康指導が重要で、企業へのインセンティブも重要。」
別の民間議員から、「デジタル・ガバメントの徹底が重要。全体として進めていくことが大きな意味を持つため、重点的に取り組むべき。
インバウンドの受入れ体制の整備は、緊急に取り組む必要があるため、重点化が必要。」
別の民間議員から、「総理の第二次補正予算の編成指示は、時宜を得たもので、歓迎したい。生産性向上、人材投資、国土強靱化などは成長への投資であり、必要十分な規模とすべき。」
次に、「地方行財政」について、高橋議員から資料3の説明があり、その後、意見交換を行いました。主な御意見を御紹介いたします。
総務大臣から、資料4に沿って、「持続可能な地域社会の実現に向け、Society 5.0の様々な可能性を活用する地域づくり、すなわち地域力強化のため、地域コミュニティの再生・維持が必要。
様々な分野で技術革新を活用し、就業の場、生活サービスの確保に取り組んでいくことが重要。
また、若者を中心とした生活環境を変えたいという意識の変化を捉えて、担い手の確保に取り組むことが必要。
関係府省と連携しつつ、省内に地域力強化戦略本部を設置し、国民向けの広報も展開していく。
防災インフラの整備や災害に対応できる人材の確保にも取り組む。
必要な地方一般財源をしっかり確保するとともに、地方法人課税の偏在是正、地方行財政改革に着実に取り組んでいく。」
地方創生担当大臣から、資料5に沿って、「公共サービスを維持するためには、様々な分野で民間の資金や創意工夫を活用することが不可欠。
このため、多様な選択肢の1つとして、PPP/PFIの活用が有効と認識。
コンセッションについては、空港を中心に着実に増加。上下水道についても、浜松市が本年4月から下水道コンセッションを開始。更なる導入に向け、自治体の取組を後押しする必要がある。
地方公共団体のPFIについても、特に人口規模が小さい市町村に普及していないことから、ワンストップ窓口やPFI推進機構による助言制度の活用、地元企業が参入しやすい環境整備、コンサルタント経費の支援や専門家の派遣などにより、推進を図っていく。」
民間議員から、「過疎債は真剣に検討すべき課題。
今後は広域的な提供体制を構築していくことが重要。自治体ごとに手続がばらばらだったり、煩雑だったり、効率面で課題がある。効率化を進めてほしい。」
別の民間議員から、「デジタル・トランスフォーメーションを進めるに当たっては、ある程度のまとまりが必要で、広域化と対にして運用していく必要がある。どこにボトルネックがあるのか検討していくべき。」
別の民間議員から、「地方交付税や補助金が本当に効率的に使われているか検証が必要。見える化を進める中で、相当の地域差が存在することが明らかになっている。デジタル・トランスフォーメーションのような事務手続は標準化すべきだが、自治体にある程度の自由度を認めることも必要。政策効果を見ながらEBPMを行い、地域に合った工夫が進められるようにすべき。」
別の民間議員から、「新しいPPP/PFIについては、キャッシュを生まない事業であっても、一定の補助を行うことでリスクを減らし、運用できる。是非、検討をお願いしたい。」
次に、「社会保障」について、伊藤議員から資料6の説明があり、その後、意見交換を行いました。主な御意見を御紹介いたします。
厚生労働大臣から、資料7に沿って、「2040年を見据えた社会保障・働き方改革に取り組んでおり、全世代型社会保障の構築に向け、10月に省内に改革本部を立ち上げた。
高齢者をはじめとする多様な就労・社会参加、健康寿命の延伸、医療福祉サービス改革について、来夏を目途として検討するとともに、給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性確保に関する検討にも、引き続き取り組む。
地域医療構想の実現の実現に向け、今年度末までに公立・公的医療機関等の全ての病床で合意形成させるため、基金配分上のインセンティブ設定等の取組を着実に進める。
前回の会議で民間議員から提案があったキャリアップ助成金の見直しについては、適用拡大関係コースの1事業所当たり上限額を3倍程度に引き上げるとともに、事業主への周知徹底・好事例の展開と利用状況を踏まえたPDCAを徹底することで、助成金の活用を促進する。」
財務大臣の代わりとして鈴木財務副大臣から、「来年度は新経済・財政再生計画の初年度に当たる。
社会保障関係費の伸びは、「高齢化による増加分」に収めることとされており、その方針に沿って予算編成を行っていきたい。
年末までに新たな改革工程表を策定することとされている。給付と負担の見直しを含め、基盤強化期間の改革の推進力となるよう、前向きな議論を期待。」
民間議員から、「認知症は我が国の活力に関わる重要な課題。危機感を持って取り組むべき。
認知症予防の効果・メリットを具体的に示して訴えていくことが重要。
取組において、地域差、保険者間で大きな差があるため、インセンティブも含めて推進すべき。」
別の民間議員から、「キャリアアップ助成金については、就業調整がなくなることを目指して制度設計を。
高齢者の方に働いていただくことが重要であり、生活習慣病や乳がんなど健診での早期発見が重要。工程表に盛り込んで、100%の達成を目指す。その際、メリットの周知が重要。痛みを伴わない健診や最近のテクノロジーなどを活用することも大事。地域の医師会とも連携しながら、特定健診の実施とフォローアップを。取組を進めていくための財源については、普通調整交付金の活用を検討してもらいたい。
薬剤師に栄養学を学んでいただき、栄養指導ができるようにしていただきたい。
検診データの有効活用という観点から、マイナンバーに保険証機能の追加を。
認知症対策には、産学官協同で、政府には司令塔機能を果たしてもらいたい。」
別の民間議員から、「全世代型社会保障においては、財源を高齢者から若い人、子育て世代に移していくことがポイントである。予算の中でも、そのような点が見えてくると良い。」
最後に、総理から御発言がありました。
(以上)