第10回記者会見要旨:平成30年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成30年7月6日(金曜日)18時38分~19時02分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

経済財政諮問会議の概要について御報告いたします。
本日は、短期の経済見通しである「年央試算」を公表した上で、民間議員から来年度予算の全体像についての御提案をいただき、概算要求基準の考え方について議論を行いました。
まず、「年央試算」では、消費税率の引上げが想定されているものの、これは来年10月の話ですが、雇用・所得環境が更に改善し、民需を中心とした景気回復が期待されるため、2018年度のGDP成長率は、実質で1.5%程度、名目で1.7%程度、2019年度のGDP成長率は実質で1.5%程度、名目で2.8%程度と見込んでいます。
これを踏まえた「来年度予算の全体像」につきましては、民間議員から、消費税率引上げに伴う需要変動や今後の経済状況に適切に対応すべき、幼児教育無償化等の措置を着実に実行すべき、中小企業等のIT導入や決済端末の導入、ポイント制・キャッシュレス決済普及を思い切って推進すべき、公共工事については、年度末に集中するのではなく、年度を通じて計画的で円滑な執行に努めるべき、こういった提案がありました。
最後に、総理から締めくくりの発言がありました。そのポイントは、2019年10月1日における消費税率引上げに伴う需要変動に対しては、機動的な対応を図る必要がある。概算要求においても、その具体的な内容について、年末の予算編成過程で検討できるよう、別途の取扱いとする。関係省庁におかれては、需要変動の安定化策の立案に遺漏なきようにお願いする。
来年度予算は、骨太方針で定めた新たな経済・財政再生計画の初年度でもあり、メリハリのある予算編成ができるよう、経済財政諮問会議でも引き続き議論してほしい。こういった発言・指示がありました。
詳細につきましては、事務方から説明いたします。


2.質疑応答

(問)年央試算について伺いたいのですが、民間のエコノミストの見通しと比べて、若干強気なのではないかという批判が出ることもあるかと思うのですが、改めて大臣から、この点に関して、どのように見たらよいのか御説明いただけますでしょうか。


(答)年央試算は短期の経済見通しであり、また中長期のものにつきましては改めてお示しをしたいと思っておりますが、2019年度の我が国経済を見てみますと、生産性革命や人づくり革命などメリハリのある施策を進める、こういった各種施策の効果もあいまって、個人消費や設備投資といった民需を中心に、実質GDP成長率が2018年度と同じ1.5%となると見込んでいます。
具体的には、個人消費は、賃上げの継続など雇用・所得環境の改善が進む中、2019年10月の消費税率引上げの影響が、幼児教育無償化や軽減税率の効果によって、前回と比べると小さく抑えられ、2018年度と同じ1.2%の伸びになる。また、設備投資は、人手不足への対応など生産性向上のための投資が進み、2018年度の3.7%に続いて、2019年度も3.4%と堅調な伸びとなる。こういった民需に支えられた景気回復が続くと見込んでいるところです。
これから需要変動、消費税率引上げに伴う需要変動に対する様々な対策、更には、10月1日から価格が一斉に上がるということではなく、ヨーロッパの例にも見られるような形で、もう少し柔軟に価格設定がされるような形をとっていきたいと思っていますが、前回と比べると、需要変動の影響は3割程度になるのではないかと見込んでいます。そういったことも含めて、今申し上げたような見通しということを示しているところです。
ただし、先行きのリスク要因として、通商問題の動向が世界経済に与える影響、今日も経済財政諮問会議で民間議員から、これは当面で言うと貿易の問題なのですが、当然、投資マインドや、更には株式市場にもどういう影響が出るのかについて、注意深く見ていく必要があると思っていますし、それ以外でも、例えばアジアにおけるスマホの需要がどうなっているかなども含めた海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等には十分留意していく必要があると考えています。




3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

平成30年第10回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
本日は、今年から来年にかけての経済見通しを踏まえ、「来年度予算の全体像」、「概算要求に当たっての基本的な方針」について、議論しました。
麻生議員から資料1、事務方から資料2、高橋議員から資料3、麻生議員から資料4について説明、提案があり、その後、意見交換を行いました。主な御意見を御紹介いたします。
経産大臣から、「民間議員から提案があった「臨時・特別の措置」については、消費税率引上げ後の需要減に適切に対応できる規模の措置を通常の予算措置に上乗せして、総需要の面から下支えすべき。経産省としても、平準化対策として、中小企業におけるIT導入・決済端末導入などを進めるとともに、中小企業の働き方改革を進めるためにも生産性向上に取り組む。世界経済の先行き不透明感が高まっており、当初予算における対応だけでなく情勢の変化に応じた機動的な経済財政運営が必要。」
財務大臣から、「民間議員からいただいた御提言を踏まえ、歳出改革の取組を具体化し、予算編成や改革工程表に反映させることで、歳出の目安の達成に向けた道筋を明確かつ具体的にしていきたい。」
民間議員から、「年央試算で説明があったように、2019年度にかけて内需中心の成長が続くことは良いことだが、課題は潜在成長率の引上げである。人手不足を補う投資促進を含め、生産性革命を進めるべき。米国の関税引上げを含め世界経済へのリスクが高まっており、その意味でも臨時・特別の措置の重要性が高まっている。諮問会議で議論を進め、できるだけ早いタイミングで規模感を含めたパッケージとして打ち出すべき。」
別の民間議員から、「通商問題などの不確実性の中で、予算の柔軟な編成が必要。第一に、賃金について、賃上げのモメンタムを維持することが重要。可処分所得を見ながら消費を支えていくべき。第二に、ワイズスペンディングを進めていく。データを活用した歳出改革が重要。第三に、生産性向上のため、社会保障を産業化していくことが必要。Society 5.0の実装に向け、技術革新に資する分野に予算を配分すべき。」
別の民間議員から、「現下の通商問題は非常に複雑になっているが、国内投資を見直し、生産性向上に直結させることが重要。是非、政策とのマッチングを進めてほしい。メリハリある予算配分が重要。具体的な予算の裏付けの下、Society 5.0を推し進める民間投資を促していただきたい。社会保障については、高齢者負担の見直しはやむを得ないのではないか。」
最後に、総理から御発言がありました。
「本日は、短期の経済見通しである「年央試算」を公表した上で、民間議員から来年度予算の全体像についての御提案をいただき、概算要求基準の考え方について議論した。
2019年10月1日における消費税率引上げに伴う需要変動に対しては、機動的な対応を図る必要がある。このため、臨時・特別な措置を来年度・再来年度当初予算において講ずることとした。概算要求においても、その具体的な内容について、年末の予算編成過程で検討できるよう、別途の取扱いとすることとした。関係省庁におかれては、消費税率引上げに合わせ、幼児教育無償化等の支援を開始できるようにするとともに、需要変動の安定化策の立案に遺漏なきようにお願いする。
また、来年度予算は、骨太方針で定めた新たな財政の再生計画の初年度でもある。メリハリのある予算編成ができるよう、経済財政諮問会議でも引き続き議論いただきたい。」



(以上)