第7回記者会見要旨:平成30年 会議結果
茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:平成30年5月28日(月曜日)19時11分~19時26分
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
経済財政諮問会議の概要について御報告申し上げます。
本日は、最初に、「PB黒字化目標年とその実現に向けた考え方」について、次に、「骨太方針の骨子案」について議論を行いました。
「PB黒字化の目標年とその実現に向けた考え方」につきましては、2025年度のPB黒字化を目指すべき。社会保障関係費の伸びを、今後の経済・物価動向等を踏まえつつ、高齢化による増加分に相当する水準におさめることを目指すべき。2021年度に中間指標を設定し、黒字化に向けた進捗を管理するためのメルクマールとすべき。メルクマールですから、目標というよりも指標といった形になります。2019年10月の消費税率引上げによる駆け込み需要・反動減に対応するため、臨時・特別の措置を2019年度と2020年度の当初予算において講じるべき、こういった意見がありました。
最後に、総理から締めくくりの発言がございました。そのポイントは、プライマリーバランスの黒字化に向けては、社会保障改革を軸としながら、団塊の世代が75歳以上に入り始める2022年度の前までの3年間で、持続可能な経済財政の基盤を固めていく必要がある。民間議員からは、PB黒字化の目標年等について提案があったが、本日の議論を踏まえ、私に、来月、骨太方針を取りまとめられるよう、具体案を作成してほしい、こういった発言、そして指示があったところであります。
詳細については、後ほど、事務方の方から説明いたします。
2.質疑応答
(問)民間議員から消費税率引上げに伴う需要変動に対して臨時・特別の措置を19、20年度の当初予算で講ずることとすべきという発言があったということでした。これに対する大臣の御見解を改めてお願いします。
(答)政権として、経済再生なくして財政健全化なしという基本的な方針の下で経済財政運営に臨んでおります。同時に、前回の消費税率引上げ時の駆け込み需要、反動減の影響もよく踏まえながら今回の2019年には臨む必要があると考えております。
財政再建を着実に進めていく必要がありますが、それが景気を腰折れさせてはいけません。しっかりとそういったことにも柔軟に機動的に対応できるということが必要であり、そういった御提言には私も全く同じ考え方であります。
(問)民間議員から提案のありました、財政健全化目標に向けた中間指標についてお伺いします。骨太の方針には、いろいろ調整を経て反映されることと思いますが、財政赤字対GDP比▲3%以下と債務残高対GDP比の180%台前半というのは、中長期試算のベースラインケースでも達成可能となっています。達成が視野に入るような甘い指標との見方もあるかと思いますが、その中間指標の狙いを教えていただければと思います。
(答)民間議員より、中間指標について、2021年度におけるPB赤字の対GDP比については、2017年度からの実質的な半減値、1.5%程度にすべき。また、あわせて2021年度における債務残高の対GDP比については180%台前半、なお、債務残高対GDP比の安定的な引下げのためには、財政赤字の対GDP比の着実な改善が必要であり、その観点から▲3%以下にすべきという御提言を頂きました。これらについては経済学的にも、論理的にも非常にもっともな話だと思っております。
3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
平成30年第7回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
本日は、骨太方針の策定に向けて、最初に「PB黒字化目標年とその実現に向けた考え方」、次に「骨太方針の骨子案」について議論を行いました。
最初に「PB黒字化目標年とその実現に向けた考え方」について、高橋議員から資料1、麻生財務大臣から資料2、奥野総務副大臣から資料3を説明し、その後、意見交換を行いました。主な御意見を御紹介いたします。
経産大臣から、「財政健全化については、デフレ脱却・経済再生との一体的な実現を重視することが不可欠であり、機動的な財政政策を制約しないように留意すべき。民間議員からの、2021年度に中間指標を設けるとの提案については、中間目標ではなく、中間評価を行うためのものとすべき。消費税率引上げに伴う需要変動への対応を2019・2020年度の当初予算で行うべきとの提案は、世界経済の情勢の変化の可能性なども勘案する必要があり、機動的な財政運営が重要。」
財務大臣から、「PB黒字化達成のため、社会保障関係費については、「高齢化による増加分に相当する水準におさめる」という方針を堅持していくことが重要。そのためにも、総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめ、2019~2021年度の期間内から実行に移すことが極めて重要。」
民間議員から、「これからの3年間は消費税率の引上げもあることから、持続的な成長に向けて一歩一歩着実に進めていく。構造改革も重要。中間指標により、2025年に向けた進捗状況を管理していく。」
別の民間議員から、「財政健全化の道筋が不透明なことが国民の不安をもたらし、経済に影響している。今回提案の点は、是非反映してほしい。歳出改革は聖域なく推進し、特に社会保障給付の伸びの抑制に直接的に影響ある取組を進めるべき。歳入面では、消費税率引上げを予定どおり実施するとともに、Society 5.0による供給構造の変化も視野に入れ、歳入改革の必要性を検討すべき。」
別の民間議員から、「中間指標の中で、「対GDP比」を使っており、GDPを増やし、経済を伸ばす政策が重要。人手不足の中で、女性・65歳以上の雇用創出、インバウンドや、Society 5.0により生産性を上げていくことにより、GDPを上げることが大切。」
次に「骨太方針の骨子案」について、内閣府事務方から資料4を説明し、その後、意見交換を行いました。主な御意見を御紹介いたします。
民間議員から、「今年の賃金引上げについて、年収ベースで「3%以上」の引上げを行ったとの回答が、経団連の首脳企業から寄せられている。「3%の賃金引上げ」との社会的期待も意識しながら、多くの企業が積極的に取り組んだ証左の一つと言える。こうした賃金引上げのモメンタムが個人消費の活性化につながっていくことを期待する。生産性革命においては、Society 5.0の実装が大きな役割を担うので、骨太方針にもしっかりと位置付けていただきたい。」
別の民間議員から、「骨子案の2章について、イノベーションやSTEM人材など、これまで議論してきたことを反映すべき。行動変容のため、先進事例を進めることによって、歳出改革を推進すべき。地方創生については、自助・自立を促す政策を盛り込んでいくべき。」
別の民間議員から、「安倍政権の経済政策運営は、需要面で大きな成果を遂げてきた。今後は潜在成長率の引上げが大きな課題。特に、労働分野の取組が重要で、女性・高齢者の活躍、大学改革などを通じて、サプライサイドの強化を図るべき。オリンピック後の2020年代に日本は何で成長していくかのビジョンが必要。イノベーションやアジアの需要の取り込みなど、グローバルな成長戦略を描いていくべき。」
別の民間議員から、「外国人の受入れについて、果敢に進めていくべき。社会保障について、重点分野への投資を進めるべき。」
最後に、総理から御発言がありました。
「本日は、第一に、PB黒字化に向けた考え方、第二に、骨太方針の骨子案について議論した。
PB黒字化に向けては、社会保障改革を軸としながら、「団塊の世代」が75歳以上に入り始める2022年度の前までの3年間で、持続可能な経済財政の基盤を固めていく必要がある。
その際に、黒字化の目標年をいつにすべきか、取組の進捗を評価しつつ黒字化目標をどのように毎年度の予算編成に結び付けていくか、について、民間議員から提案があった。
また、2019年10月の消費税率引上げによる駆け込み需要・反動減に対応するため、臨時・特別の措置を2019年度と2020年度の当初予算において講じるべき、という提案もあった。
本日の議論を踏まえ、茂木大臣には、来月、骨太方針を取りまとめられるよう、具体案の作成をお願いしたい。」
以上です。
(以上)