第5回記者会見要旨:平成30年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成30年4月24日(火曜日)18時15分~18時29分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

経済財政諮問会議の概要について御報告をいたします。
今日は、経済・財政一体改革につきまして2つのテーマ、「地方行財政」と「教育」について、今後の改革の在り方や重点課題の議論を行いました。
1つ目、「地方行財政」につきましては、地方財政を持続可能なものとするために、高齢化や人口減少を踏まえながら、国の取組と基調を合わせた歳出改革を推進すべき、改革に積極的な自治体への支援を強化すべき、見える化の徹底・拡大と横展開を後押しすべき、といった意見がありました。
2つ目のテーマ、「教育」につきましては、今後の歳出改革において、外部人材の積極的な活用を図るべき、改革や成果に応じて教育機関への支援のメリハリを強化すべき、といった意見がありました。
最後に、総理から締めくくりの発言がありました。そのポイントは、地方の歳出水準についても、PBの黒字化目標に向けた枠組みを検討する必要がある。また、ICTの利活用や業務の標準化を通じて、地方行政における生産性の向上を図る必要がある。こうした動きに対する自治体への支援の強化、見える化の徹底・拡大と横展開なども、引き続き重点課題である。野田大臣をはじめ関係大臣には、具体的な検討をお願いする。
今後の教育改革においては、これからの社会に必要な能力を育み、多様な人材を育成するため、客観的データに基づき、メリハリの効いた予算配分を進めていく必要がある。本日、重点課題として外部人材の積極的な活用、改革や成果に応じた教育機関への支援のメリハリ強化、などが挙げられたが、林大臣をはじめ関係大臣には、具体的な検討をお願いする、こういった発言・指示がございました。
詳細につきましては、後程、事務方から説明させていただきます。


2.質疑応答

(問)地方財政の歳出の枠組みの検討の必要があるという点について、具体的にお考えがありましたらお願いします。

(答)その前に「地方の歳出水準」とあって、これについて、国の場合は、PBの黒字化目標に向けて、何らかの改革の結果としてのメドを示してきたわけですが、地方の歳出水準についても、そういった枠組みを検討すべきという趣旨であると思います。



3.黒田内閣府参事官(総括担当)(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明

平成30年第5回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
本日は、経済・財政一体改革の2つのテーマ、「地方行財政」、「教育」についての議論を行いました。
最初に、「地方行財政」について、高橋議員から資料1、野田総務大臣から資料2を説明し、その後、意見交換を行いました。主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「地方の歳出について、一般財源の目安を設けることは重要。更に言えば、総額を抑制すれば良いというだけではなく、今後、社会保障や老朽施設の更新費が増加していく中で、各自治体が真剣に、主体的に取り組むことが必要。そのため、徹底した比較をしつつ、住民意識を高めるよう、総務省にも取り組んでいただきたい。人口が減少する中で、スケールメリットの活用が重要。小規模自治体の広域連携や、都道府県との縦の連携が必要。」
別の民間議員から、「国と歩調を合わせたデジタル・ガバメントの推進が重要。組織を越えた業務改革、様式などの共通化・共有化を進めるべき。全国規模でシームレスな仕組みを構築すべき。地方の財源不足が縮小している今こそ、地方の債務残高の計画的・着実な縮減を図るべき。税源の偏在是正についても議論に着手すべき。地財計画のPDCAサイクルをしっかりと行い、歳出規模の適正化、決算との比較検証を進めるべき。」
別の民間議員から、「自治体の基金について、総務省から調査結果が公表されたが、どういう理由で積み上がってきたのか、見える化が重要。財政調整基金が増え続けており、景気の良い今こそ減らしていくべき。」
別の民間議員から、「私大の公立化について、定員割れの大学が増える中、今後その要請が高まっていくと見られるということを踏まえ、個別団体の運営費交付金と基準財政需要額への算入額との対比も含め、しっかりと見える化していくことを検討すべき。」
総務大臣から、「自治体が積み上げている基金は、自然に積み上がるところもあれば、リストラ等努力して積み上げてきたところもあり、様々。しっかり精査して対応を検討したい。地方税も大都市の偏在等の問題があり、やる気のある自治体の頑張りを阻害しないように丁寧に進めていきたい。臨時財政対策債は減るように取り組みたい。e-Gov、クラウド化は、地方の取組促進に向け、インセンティブを付けていきたい。」
次に、「教育」について、伊藤議員から資料3、林文部科学大臣から資料4を説明し、その後、意見交換を行いました。主な御意見を紹介いたします。
財務大臣から、「大学改革が進まず、定員割れや経営赤字の大学を公費で救済すべきでない。学修成果や就職率、経営状況等を見える化し、教育成果のある大学、意欲と能力がある学生に支援を重点化すべき。地方の私立大学で就職率の高いところがあると聞いているので、前向きな競争が必要。」
総務大臣から、「女性研究者や理工系に進学する女子学生が少ない。理工系分野の女性活躍に向け、ロールモデルの情報提供を進め、気運を醸成したい。4月17日に、2030年代に向けたアグレッシブなICT導入を目指す「未来をつかむTECH戦略」を公表。イノベーションの果実を使いこなす人づくりを進めていきたい。」
民間議員から、「頑張る大学を支援するためには、大学評価が重要だが、現行の評価には問題がある。例えば複数の基準がある、相対評価がないなど、大学間で比較できない。見直しを是非議論していただきたい。」
別の民間議員から、「好事例の横展開、全国規模での展開を学校数などのKPIをしっかり置き、総務省の支援の下で進めるべき。大学の再編について、好事例を全国展開していく仕組みづくりに取り組むべき。」
別の民間議員から、「大学の運営費交付金については、EBPMに基づき、メリハリを付けた活用ができるようにすることが重要。大学で成功している事例もあるが、取組が進んでいないところには、統廃合も含め、強い指導が必要。STEM人材の育成には、産業界も積極的に協力していくという姿勢が大事。」
文科大臣から、「メリハリ付けは、なかなか手間が掛かるものだが、効率を高めるべく取り組む。私学助成は、PL診断を行い、アーリー・ウォーニングの仕組みを検討したい。好事例の横展開が進むように、知恵出しを進めたい。」
最後に、総理から発言がありました。
「本日は、地方行財政と教育について議論した。
第一に、地方財政を持続可能なものとするためには、高齢化や人口減少といった構造変化を踏まえながら、国の取組と基調を合わせた歳出改革を推進しなければならない。地方の歳出水準についても、PBの黒字化目標に向けた枠組みを検討する必要がある。また、地方自治体が新たな課題に対応できるよう、ICTの利活用や業務の標準化を通じて、地方行政における生産性革命を推進しなければならない。こうした動きに対する自治体への支援の強化、見える化の徹底・拡大と横展開なども、引き続き重点課題だ。野田大臣をはじめとする関係大臣においては、具体的な検討をお願いする。
第二に、今後の教育政策においては、若年人口減少していく中、これからの社会に必要な能力を育み、多様な人材を育成するため、客観的データに基づき、メリハリの効いた予算配分を進めていく必要がある。本日の議論では、今後の歳出改革における重点課題として、外部人材の積極的な活用、改革や教育の成果に応じた教育機関への支援のメリハリ強化、などが挙げられた。林大臣をはじめとする関係大臣においては、具体的な検討をお願いする。」
以上です。


(以上)