第1回記者会見要旨:平成30年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成30年1月23日(火曜日)16時29分~16時54分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

経済財政諮問会議の概要について御報告いたします。
本日は、「中長期の経済財政の展望」と「経済財政諮問会議の今年の検討課題」などについて議論を行いました。
「中長期の経済財政の展望」に関して内閣府が作成した今回の試算は、昨年12月の経済財政諮問会議の議論を踏まえ、過去の実績や足もとの経済状況を反映し、より現実的な前提で作成されたもので、財政健全化の道筋を議論するための土台となるものです。
この5年間で日本経済は様々な面で大幅に改善をしていますが、2015年以降世界経済の成長率の低下などもあり、日本経済の回復も、これまでの想定よりもゆるやかになっているのは事実です。
こうしたことを踏まえて、今回、経済・物価の改善ペースやTFP上昇率などの経済前提を見直すこととしました。
この結果、具体的には、1つ目、実質GDP成長率については、昨年7月の試算では2020年度に2%超、2020年代初頭には2.4%程度に達すると見込んでいたものを、今回は2020年度に1.5%程度、2020年代前半から2.0%程度と改善のペースはゆるやかになり、到達する成長率も低くなる。また、名目GDP600兆円の達成時期は2020年度から2021年度に1年遅れる。2つ目に消費者物価上昇率については、2%の目標到達が2020年度から1年遅れて、2021年度に2%になる。さらに3つ目に、財政面については、消費税増収分の使い道の見直しや、経済成長率の想定の変更による歳入の伸びの鈍化などにより、PBについて、歳出削減を織り込まない姿としては、昨年7月の試算よりも2年遅れて2027年度に黒字化する試算となっています。
今日の会議の議論でも、この中長期の試算について民間議員の皆さんからも、極めて適切なものであるという評価を頂いたところです。
また、「経済財政諮問会議の今後の検討課題」について、民間議員からは、1つ目、デフレ脱却とそれを支える可処分所得の拡大、特に3%の賃上げの実現、2つ目、財政健全化に向けた歳出・歳入改革の効果検証とプライマリーバランス黒字化の計画の策定、3つ目、世界的な変革の加速化に対応したSociety 5.0の本格稼働、四つ目、「全世代型」の社会保障の実現と、地域活性化に向けた仕組みづくりといった課題が挙げられました。
最後に、総理から発言がありました。その内容は、既に会議の最後でカメラ入りで聞かれた方もいらっしゃると思いますが、概要を改めて申し上げますと、1つは、本日示された中長期試算を基礎として、夏までに、PB黒字化の達成時期と、その裏付けとなる具体的な計画を策定する必要がある。民間議員と私(茂木大臣)、麻生大臣をはじめとする関係大臣にはしっかりとした議論をお願いしたい。
もう一点、経済財政諮問会議における今年前半の課題について、民間議員からは、いずれも重要な課題が挙げられた。「骨太方針」の策定に向けて、議論を深めてほしい。との発言があったところです。
詳細については、この後、事務方から説明させていただきます。
会議のポイントについては以上です。


2.質疑応答

(問)中長期試算が示されて、大臣として6月の骨太に向けてどのように進まれるか、御所見を教えてください。

(答)今回の中長期試算は、PB黒字化の道筋を議論するための土台となるものであり、昨年12月の経済財政諮問会議での議論も踏まえ、過去の実績や足もとの経済状況などを踏まえて、経済前提を見直し、試算を行ったものです。
今回の試算に加え、本年は、春頃に、「経済・財政再生計画」で定めた集中改革期間における歳出改革の取組について、中間評価を行い、それを踏まえた上で、夏の「骨太方針」において、PB黒字化の達成時期及びその裏付けとなる具体的な計画を策定します。
中間評価については、歳出改革の効果について、1つは、既に効果が現れて実績が出ているもの、そしてもう1つ、今後、効果が見込まれるもの、といった検証、整理を行い、歳出改革の効果を今後どの程度見込むべきか判断する材料とします。
今回、より現実的な前提とした中長期試算の経済成長率やPBの見通しを土台として、こうした歳出改革による効果の見込みや、新たに策定する主要な改革計画を織り込むことにより、夏までにPB黒字化の達成時期を示していきたいと思います。
また、PB黒字化の達成時期を見直すにしても、財政再建へのコミットメントは全く変わらない、確かな道筋に沿って目標達成を図っていくことを確認する手段についても検討したいと思います。


(問)国会が開会したことに関してですが、経済演説でも「人づくり革命」「生産性革命」を強調していましたが、今後の審議や論戦に向けてどのように臨まれるお気持ちかを伺わせてください。

(答)昨日の経済演説でも申し上げた通り、今、日本経済の最大の課題は少子高齢化という壁を乗り越え、サプライサイドの改革を通じて潜在成長率を引き上げることにあると考えています。このため、一人一人の人材の質を高める「人づくり革命」と、成長戦略の核となる「生産性革命」に最優先で取り組んでまいります。
「人づくり革命」については、先般取りまとめた2兆円規模の政策パッケージをしっかりと実行し、子育て世代に大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会保障制度を全世代型へと大きく転換していきます。「生産性革命」については、今後3年間を「生産性革命・集中投資期間」と位置付け、過去最高の企業収益を、更なる賃上げや設備投資につなげていきたいと考えています。
これらの政策の重要性を、国会での議論を通じて国民の皆様にも丁寧に、そしてしっかりと御説明、訴えかけをしていきたいと思います。


(問)中長期試算の中で物価目標の達成時期も1年先伸ばしになったが、デフレ脱却への見通し、あるいはデフレ脱却の判断をどう考えていかれるか、よろしくお願いいたします。

(答)今回の試算、いわゆる成長実現ケースでは、足もとの経済・物価状況を踏まえたことから、消費税引上げの影響を除いた消費者物価上昇率は、2019年度に1.6%程度、2020年度に1.9%程度、2021年度に2%程度と試算されています。
ただし、今後、経済の好循環が進展すると共に、需給の引締まりや中長期的な期待物価の高まりによって物価が上昇していくという基本的な見方については変わっていません。
デフレ脱却の判断に当たっては、足もとの物価の状況に加えて、再び後戻りしないという持続可能性を確認することが必要になります。その際、単一の指標で判断するのではなく、消費者物価やGDPデフレーター等の物価の動向を総合的に考慮し、判断する必要があると考えています。


(問)中長期試算について、より現実的な前提を置いたということですが、TFPに関して言えば、デフレ前に日本が過去一度しか経験したことないような高い前提を置いています。これに関して現実的という判断ができるのかどうか、大臣の御所見をお聞かせください。

(答)昨年の7月のTFP上昇率の想定においては、足もと0.6%から、2020年代初頭に2.2%になっていくという、デフレ前1983年から1993年の平均値でとっていたが、今回は足もとの0.7%から、2020年代初頭1.5%になる。これは1982年度から1987年度のTFP上昇率の加速が0.8%ということで、0.7%から1.5%にするという、極めて現実的なTFPの置き方によって全体のマクロ試算が決まってきたと考えています。


(問)中長期試算について、今回、成長率の見直しがあったと思いますが、長期金利についても見直されており、成長率よりも下げ幅が大きい数字など見受けられたのですが、この点についての大臣の御見解をお願いします。

(答)長期金利の上昇については2つの要素があります。1つは、今回の試算における成長実現ケースでは、これまで同様、消費者物価上昇率が2%程度に達するまでの当面の間、日本銀行による金融緩和策が継続されるとの想定を置いた上で、今回の試算では、物価見通しの下方修正を踏まえ、前回試算よりも1年長く2019年度まで足もとの金利が続く見通しを置いています。これは前提条件としてあります。
一方で、その後の金利動向については、内閣府のマクロ計量モデルを用いて、足もとの金利動向を土台として、将来の経済成長率や物価上昇率の見通しなどと整合的になるような推計を行っており、これはどちらかというと結果の話です。このため、今回の試算前提の見直しにより、長期金利の上昇ペースも前回試算よりも緩やかになっていると、この2つの要素です。



3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

平成30年第1回の経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
本日は、「中長期の経済財政の展望」と「経済財政諮問会議の今年の検討課題」などについて議論を行いました。麻生財務大臣から資料1、事務方から資料2、榊原議員から資料3について説明し、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等を紹介いたします。
総務大臣から、「女性活躍を突破口に、多様性が強みとなる社会を目指し、女性活躍と働き方改革を一体として取り組む必要がある。女性活躍が生産性向上や経済成長に結び付くという観点を共有して取り組んでいきたい。少子化対策、人材投資、財政健全化などについて、長期方針を作成する体制を強化していくべきである。意欲ある自治体が活躍できるよう、地方分権を更に進めていく必要がある。」
経済産業大臣、「PB黒字化に向けた取組は当然だが、硬直化してはいけない。2019年10月の消費税率引上げの際に景気の腰折れを避けねばならず、需要減に機動的に対応すべきである。今が、20年近く継続してきたデフレから完全脱却する最大のチャンスである。経産省としては、企業が設備投資や生産性向上を強く進める環境の整備に全力で取り組む。プロジェクト型「規制のサンドボックス」制度の創設やデータ共有・連携を推進するための税制措置等の法案を提出する。」
財務大臣から、「経済財政再生計画工程表に基づいて取り組んできた結果、国債発行額6年連続減少、プライマリーバランスの改善などを実現してきた。PB黒字化の計画の策定に当たっては、毎年度取り組むべき改革の方針を定めていく必要があり、この場で議論をしていきたい。」
民間議員から、「中長期試算について、ベースラインケースはこれまでの延長線上と考えられるが、IT、人材投資、今後の賃上げをブレークスルーとし、いかにベースラインを成長実現ケースにジャンプさせるかが重要である。成長実現ケースでも、今後、団塊世代が70歳代になってくる。健康予防等がますます重要になってくる。2020年以降どういうメカニズムで成長していくのかが重要である。今後、議論していきたい。」
別の民間議員から、「中長期試算について、長期金利も含め、現実的なものとなったと思う。これからは、定期的に現実値と試算との乖離を検証し、見直してもらいたい。経済運営について、成長率は徐々に上がっていくが、2%になるのは2022年度になってようやくということになる。慎重な経済運営が必要である。今年はデフレ脱却に結び付く重要な年である。3%の賃上げ、生産性革命、物価上昇率2%の堅持、ポスト2020、ポストオリパラの手当ては今から考えていくべきである。子供・子育て、所得への下支えが重要である。消費税のインパクトのアップダウンを財産面だけではなく手当てすべきである。団塊の世代が後期高齢者となる前に、持続可能な経済をつくるべきである。」
別の民間議員から、「賃金引上げについて、春季労使交渉が重要であり、デフレ脱却、経済の好循環の基盤をつくっていくとの認識は持っている。経労委報告でも、月例賃金、処遇改善に積極的な対応を求めている。労使で真摯な議論を行い、賃金引上げを実現したい。社会保障改革について、手綱を緩めるべきではない。」
別の民間議員から、「足下の経済運営について、民間は人手不足を心配しており、手当てすべきである。ビジネスリーダーは、必要な人材が企業の外部で訓練されていないこと、R&Dが産学官で連携されていないこと、転職市場が未成熟であること、理系の人材の供給が不足していることを懸念している。それに対し、大学改革を始めとする対応が必要である。」
最後に、総理から発言がありました。
「第一に、中長期の経済財政の展望について議論した。本日示された中長期試算は、過去の実績や足下の経済状況を組み込んだ現実的な試算とすべきとの経済財政諮問会議の議論を踏まえて作成された。中長期的な経済成長が実質2%以上・名目3%以上となるシナリオにおいて、プライマリーバランス黒字化の達成時期が2020年代後半になるとの試算となっている。ただし、この試算には、まだ歳出改革努力を織り込んでいない。今回の中長期試算を基礎として、この夏までに、プライマリーバランス黒字化の達成時期と、その裏付けとなる具体的な計画を決定する必要がある。民間議員の皆様と、茂木大臣、麻生大臣を始めとする関係大臣には、しっかりとした議論をお願いする。
第二に、経済財政諮問会議における今年前半の課題について議論した。民間議員からは、デフレ脱却とそれを支える可処分所得の拡大、特に3%の賃上げの実現、財政健全化に向けた歳出入改革の効果検証とプライマリーバランス黒字化の計画の策定、世界的な変革の加速化に対応したSociety 5.0の本格稼働、全世代型の社会保障の実現と地域活性化に向けた仕組みづくりと、いずれも重要な課題が挙げられた。この夏の骨太方針の策定に向けて、議論を深めていただきたい。」
以上です。


(以上)