第16回記者会見要旨:平成29年 会議結果

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成29年12月1日(金曜日)18時28分~19時07分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

それでは、第16回経済財政諮問会議の概要について報告いたします。
今日は2つのテーマがあり、最初に、「平成30年度予算編成の基本方針」について議論し、策定方針について答申を行いました。この策定方針が決まった後、基本方針を閣議決定して、この基本方針に沿って予算編成が行われるわけですが、今日はこの策定方針について決定しました。
2つ目、「社会保障改革」と「地方行財政改革」について意見交換を行いました。
「予算編成の基本方針」の策定方針については、お手元にお配りしているとおりです。
社会保障については、今日の議論では、薬価制度を革新的新薬の創出を促進する仕組みに見直す、遠隔診療を推進する、医療・介護・保育分野での人材確保策を強化する等の意見がありました。
また、「地方行財政改革」については、窓口業務の更なる効率化を進める、第三セクターの経営改革を強化する、公共施設の有効活用と老朽化対策を推進する、といった方向性が示されました。
「社会保障改革」、「地方行財政改革」について、こういった方向性が示され、認識の共有が図られました。
最後に、総理から発言がありました。カメラも入っていましたが、概要を改めて申し上げますと、来年度の予算編成に向けては、財政健全化への着実な取組を進める一方、「人づくり革命」や「生産性革命」など重要な政策課題について、必要な予算措置を講じるなど、メリハリのきいた予算編成を目指す。茂木大臣、麻生大臣をはじめ関係大臣には、しっかりと対応してほしいとの指示がありました。
また、社会保障改革、地方行財政改革については、先程申し上げた方向性を示された上で、それぞれ加藤大臣と野田大臣に対して、本日の議論を踏まえ、着実に実行してほしいとの指示がありました。
詳細については、後程、事務方から説明いたします。
私の方から、会議のポイントの説明は以上です。


2.質疑応答

(問)「社会保障改革」についてですが、総理からも薬価制度を革新的新薬の創出を促進する仕組みに見直すという指示がありました。昨年来、薬価の抜本改革というのは進められていると思うのですが、新たに取り組むことは今日の議論の中にありましたか。

(答)新たに取り組むというよりも、薬価制度の革新的新薬の創出を促進する仕組みにフォーカスをしていく。イノベーションはしっかり進めなければいけない。一方で、国民負担の軽減等にも留意していく、という制度にしていく方向性だと考えています。

(問)今回、消費税の使途の変更がされたわけですが、今回の「平成30年度予算編成の基本方針」の議論の中で、それを踏まえた何か、例えば、歳出改革の言いぶりや表現への変更、それを加味したものは何かありましたか。

(答)この策定方針そのものではありませんが、2019年10月の消費税の税率引上げの使途について変更するということで、これについてはプライマリーバランスの黒字化の目標の達成時期に影響が出てきますので、今後、経済・財政一体改革の中で十分精査をして、目標をいつに設定するか、また、その目標に至る様々な取組等については改めてお示ししてまいります。



3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

議事概要を説明する前に、予算編成の基本方針の策定方針、昨年との違いについて説明いたします。
この基本方針は2つの部分からなっています。最初が基本的考え方、2番目が来年度予算編成についての考え方です。基本的考え方で大きく昨年と変わっている点は、5つ目のところですけれども、「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪として、少子高齢化という最大の壁に立ち向かっていくということ、そのためにこの新しい経済政策パッケージを推進するとともに、PBについては黒字化を目指すという目標を堅持するということ、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す、その目標の達成に向けて、経済・財政一体改革の取組を精査した上で、PBの黒字化の達成時期、その裏付けとなる具体的な計画を併せて示すことについて、本日、策定方針として決定しているので、こういうものを与党と相談しながら閣議決定に向けて議論していくことになります。
それから2番目、来年度予算編成については、1つ目の辺りでありますけれども、上記の基本的考え方に沿って子育て安心プランを踏まえた保育の受皿整備などの「人づくり革命」の推進、御案内のとおり、「人づくり革命」、あるいは2兆円のパッケージの中で、子育て安心プランが来年からスタートすることになります。ほかは消費税の増収と併せてスタートするということで、来年度予算編成については、この子育て安心プランを明示してあります。
それから、「生産性革命」についても、投資の促進、イノベーションの促進ということが書いてあります。
併せて年末に向けて、追加的財政需要に適切に対処するため、補正予算を編成することが明記してあります。
それから、3つ目のところですけれども、来年度予算というのは、経済・財政再生計画における集中改革期間の最終年度に当たるということで、しっかりやっていくということが書いてあります。
それから、4つ目の見える化の徹底です。それに基づく優良事例の全国展開、あるいはEBPMの視点を踏まえるということ、その辺りについては昨年よりも書き込んであります。



4.黒田内閣府参事官(総括担当)(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明

本日は最初に、「平成30年度予算編成の基本方針」の策定方針について議論を行いました。事務方から資料2、麻生財務大臣から資料3について説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「内閣府のリーダーシップで見える化が進んできたところだが、予算編成にもっとこれを活用してほしい。これによりワイズスペンディングやEBPMができてくる。」
別の民間議員から、「EBPMはまだまだ十分ではない。国、地方を通じてデータの見える化を更に進めていく必要がある。」
別の民間議員から、「生産性革命の鍵である科学技術・イノベーションについて、研究開発費の多年度予算措置など、そういった仕組みが必要。諮問会議で検討していきたい。」
別の民間議員から、「見える化とEBPMを進めることで、メリハリの効いた財政運営につなげていきたい。」
先ほど茂木内閣府特命担当大臣からの紹介もありましたが、こうした議論を踏まえた上で、策定方針を答申として決定しました。今後、与党での御議論等を経て、12月上旬に閣議決定する予定ということです。
次に、加藤厚生労働大臣に御参加いただき、社会保障改革についての議論を行いました。新浪委員から資料4、加藤厚生労働大臣から資料5について説明、提案があり、その後、意見交換を行いました。
まず、加藤厚生労働大臣から、説明の中で、民間議員ペーパーに対して言及された部分について、紹介いたします。
「長期収載品の提案については、まず段階的に後発品の薬価を基準に引き下げていって、全体的な制度の抜本改革の大きな体系をまずしっかり進めていく。そういう中で、今回の民間議員ペーパーの提案についても考えていきたい。また、コンパニオン診断薬はAMEDを使いながら活用していく。かかりつけ薬局を推進していくことについては、今後の論点になるだろう。
介護における調整交付金については、まずはインセンティブ交付金の活用状況を見ながら、今後議論していきたい
介護人材について、技能実習生は、資格を取っても、在留資格をもらえないという問題があるので、関係省庁で連携しながら、検討していく。
国民健康保険の調整交付金については、国保の財政の市町村から都道府県への移行をまずは円滑に進めるとともに、調整交付金の在り方を引き続き議論していく。
多剤投与の問題は、個人情報の問題もあるが、保険者がしっかりと機能を果たすような仕組みにしていきたい。」
次に、主な御意見を紹介いたします。
麻生財務大臣から、「診療報酬と介護報酬の同時改定については、税、社会保険料を通じた国民負担の抑制を図り、将来にわたる国民皆保険制度の維持の観点を踏まえる必要がある。
財政審の予算編成の建議でも、診療報酬、介護報酬のマイナス改定が提言されている。年末に向けて、関係省庁と調整していく。」
世耕経済産業大臣から、「日本の創薬産業の競争力の強化が重要。厚生労働省と連携して、創薬ベンチャーへの投資の促進などを行っていく。介護報酬の改定において、技術革新が保険財政や介護職員の処遇改善に資するものは、3年ごとの改定を待たずに、機動的に評価されることが望ましい。」
民間議員から、「遠隔医療を推進すべき。これは、単に効果的、効率的だというだけではなく、ベンチャーを生み出すことになる。
革新的創薬について、費用対効果に応じた薬価算定の仕組みなどにより推進すべき。」
別の民間議員から、「経済界が子育て安心プランへの協力を表明した中で、診療報酬の本体部分や介護報酬の改定について、緩むということがないように、是非踏み込んでほしい。また、介護人材の確保に関して、技能実習生に対し、在留資格「介護」での受入れ検討など外国人の介護人材の受入れの環境整備を進めてほしい。イノベーションによる介護の生産性向上が重要であり、早期に対応を進めるべき。」
別の民間議員から、「保育人材について、多くの方が望んでいる短時間勤務が実現できるように進めるべき。待機児童の解消については、自治体の取組を支援すべき。」
民間議員の質問に対して、加藤厚生労働大臣から、「遠隔医療については、現在、慢性疾患患者などを例に議論がされているけれども、今後有効に活用していくという方向で議論をしたい。
費用対効果の評価については、まず、企業が出す資料をしっかり分析して検討する体制が必要である。そういった体制も含めて、平成30年度中に結論を出していきたい。
保育士の短時間勤務については、助成制度をしっかり活用していきたい。
門前・門内薬局については、大きな病院の周辺に集中しており、その実態を認識して、適正化を図る方向で検討する。」
次に、地方行財政改革について議論を行いました。高橋議員から資料6、野田総務大臣から資料9について説明、提案があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を紹介いたします。
麻生財務大臣から、「地方財政の意見については、前回の会議で申し上げた。概要としては、基金残高が増加しているが、地方の財源不足の半分は赤字国債を発行して、地方交付税を手当しているのであり、国、地方を通じた財政資金の効率的な配分を考えていく必要がある。重要なので、年末に向けて総務省とよく協議させていただきたい。」
民間議員から、「基金の増減の理由を、住民の視点に立って、自治体が説明責任を果たすべき。地方財政のPBは黒字である中で、基金が増加している。バランスシートが重くなるといったデメリットもあるので、債務残高を減らすというオプションがあるのではないか。」
別の民間議員から、「基金について、財政力が弱い自治体が将来の不安に備えているということで積み上がっている基金と、裕福な自治体、例えば、東京都などに集中しているというものがある。前者については、不安を断ち切るために、例えば、PPP/PFIなどを活用して整備を進めていくとか、そういったときに基金をまた活用するとか、そういう議論がある。後者のような裕福な自治体については、抜本的な対応が必要。
第三セクターについて、抜本的改革を推進すべき。特に、民間人材の活用など、マネジメント体制の強化が重要になってくる。
行政手続のコストの削減の狙いは、決して人員削減ではない。行革の努力をどう反映していくかということを、引き続き議論していきたい。」
別の民間議員から、「基金の増加が批判されているからといって、無駄な支出を行うといったことがないようにしてほしい。」
こうした意見に対して、野田総務大臣から、「自治体の基金は、資料9の3ページには平均値しか示していないが、1つ1つの自治体の残高の動きは一律ではない。その基金の利用目的も、地域特有の課題に応じて多種多様である。基金の使い道については、課題としてしっかりと取り組んでいく。
第三セクターの経営改革についても、更にしっかりと取り組んでいく。」
ここで、総理から発言がありました。
「第一に、「平成30年度予算編成の基本方針」の策定方針について答申をいただいた。来年度予算編成に向けては、財政健全化への着実な取組を進める一方、「人づくり革命」や「生産性革命」など重要な政策課題について、必要な予算措置を講じるなど、メリハリの効いた予算編成を目指す。
茂木大臣、麻生大臣をはじめ関係大臣におかれては、しっかりと対応していただきたい。
第二に、社会保障改革について議論し、薬価制度を革新的新薬の創出を促進する仕組みに見直す、遠隔診療を推進する、医療・介護・保育分野での人材確保策を強化するといった方向性が示された。加藤大臣におかれては、本日の議論を踏まえ、着実に実行していただきたい。
また、地方行財政改革については、窓口業務の更なる効率化を進める、第三セクターの経営改革を強化する、公共施設の有効活用と老朽化対策を推進するといった方向性が示された。野田大臣におかれては、本日の議論を踏まえ、着実に実行していただきたい。」
以上です。


(以上)