第10回記者会見要旨:平成29年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成29年6月9日(金曜日)18時07分~18時22分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

本日は、経済財政諮問会議と未来投資会議を合同で開催しまして、「経済財政運営と改革の基本方針2017」、いわゆる骨太方針を答申として決定し、同時に「未来投資戦略2017」の取りまとめを行いました。
概要について説明申し上げます。
骨太方針の副題は「人材への投資を通じた生産性向上」、未来投資戦略の副題は「Society 5.0の実現に向けた改革」と決めました。いずれも総理のサジェスチョンによるものです。
その後、臨時閣議を開催して、この両者を閣議決定いたしました。閣議における総理と私からの発言は、お手元の資料のとおりです。
合同会議では、民間議員の方から、Society 5.0の実現に向けて研究開発投資の拡大を図るべき、といったような意見が出されました。
会議の最後に、総理から私に対しまして、この骨太方針、未来投資戦略を関係大臣と協力して直ちに実行に移すようにとの指示がありました。
私からも、今後の実行に、議員並びに関係閣僚の御協力をお願いしたところです。
私からは以上です。詳細は、事務方から説明させていただきます。



2.質疑応答

<人材への投資>

(問)今年の骨太方針の副題にも挙げられています「人材への投資」ですが、その中心は、幼児教育などの無償化というものもあると思うのですが、無償化に向けた取組。

(答)もっと幅広いです。リカレント教育も入りますし、企業が背負ってきた部分を行うなど、幼児教育に限定したものではありません。

(問)はい。そこで、少し以前の話になるのですが、民主党政権のときに、いわゆる子ども手当や高校無償化といった政策に対して、自民党の方々が「バラマキ4Kだ」というようにかなり厳しく批判していました。その当時の考えと、今、人材投資という考えを打ち出すに至って、何か変化のようなものがあったのか、それとも新しい何か考え方が出てきたのか、どういった理念に基づいて人材投資を打ち出すに至ったのか、石原大臣の考えを教えてください。

(答)これを一言で言えば、生産性の向上です。人材投資を通じて生産性を向上する。また、科学技術の進歩が早いわけです。5年前、10年前とは、AIのスピードも違い、IoTなるものもなかったわけです。そこにどう対応していくか。ですから、全部無償にするというようなことを謳っているわけではありません。そのため、副題に「人材への投資を通じた生産性の向上」と、あえて付けさせていただいた。全く次元の違うものだと認識しております。

(問)あまり教育の機会の均等みたいなことは念頭にない、ということでしょうか。

(答)いえ、もちろん入っていますが、要するに、これは成長戦略です。教育改革ではありませんので、「人材への投資を通じた生産性の向上」こそが、やはり鍵になるのではないでしょうか。

<財政健全化、消費税率引上げ>

(問)改めまして2点、財政健全化の目標について、債務残高の対GDP比の引下げを同時に進める、と「同時に」という言葉を入れて、前に強調しているようにも見えるのですが、その受け止めを教えてください。
もう一点、消費税率の引上げについて、骨太方針で今回ははっきり明記されていないような気もするのですが、そこのところについて教えてください。

(答)まず1点目の方ですが、「基礎的財政収支(PB)を2020年度までに黒字化し」と明記しています。そこで御質問にあったところに行くわけですが、2020年度のPB黒字化目標の位置付けは、その文言を見ていただければ分かりますとおり、何も変更していません。それと同時に、後段の部分ですが、これは総理が予算委員会等々で答弁しているとおり、「同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す」。これは当たり前といえば当たり前で、グロスで減らしていかなければいけない。債務残高対GDP比が安定的に引き下げられる経済状況を作っていくことが重要である。これはもう論を待たないところですが、その重要性をより明確にする趣旨で「同時に」という言葉を使っており、前段の部分をないがしろにしているということは全くありません。
それと消費税ですが、消費税は平成11年の予算総則で福祉目的化しました。そして、税と社会保障の一体改革で、完全な福祉目的税化したわけです。それでも、先ほどの質問にありましたように、今の少子高齢化社会の幼児教育の部分や保育の部分ですが、全然足りないわけです。医療費など社会保障費の増加を年5,000億円に抑えていますが、どんどん増えていっている。そういう意味では、消費税を増税するということは避けて通れません。避けて通れない以上は、2019年、これは経済状況があって2019年に延期していますが、間違いなく上げていく。昨年は記述があって今年は記述がない、ということは、昨年は2019年10月に経済状況から先送りしたということで、あのような記述があったものだと承知しているところです。


3.黒田内閣府参事官(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明

経済財政諮問会議・未来投資会議について、概要を申し上げます。
本日は、臨時議員として、塩崎厚生労働大臣、加藤働き方改革担当大臣にも御参加いただきました。
「経済財政運営と改革の基本方針2017」(副題:「人材への投資を通じた生産性向上」)については、越智副大臣から答申案についての説明の後、諮問会議の答申として決定しました。
議事の最後に行われた議論の主な御意見を紹介します。
民間議員から、「今般の骨太方針2017では、Society 5.0をはじめとした成長戦略」、「人材投資を通じた生産性向上」、「働き方改革による成長と分配の好循環の実現」など具体的な施策を盛り込んだ。これらは経済界の考えとも軌を一にするものである。経済界としては、研究開発投資の対GDP比3%を目指して拡充に努力していく。政府としても研究開発投資対GDP1%を目指して取り組んでいただきたい。こうしたことを通じて、改革の気運を高めていく。社会保障改革については、改革工程表の44項目を確実に実施していく。集中改革期間の最終年度である来年度の中間評価に耐え得るよう社会保障関係費の増加を5,000億円に抑えることが重要。こうしたことを通じ、2020年度の財政健全化目標を達成すべき。」
別の民間議員から、「骨太方針の策定にあたり、各省庁の尽力に感謝する。特に医療分野は様々な改革が含まれており、塩崎大臣のリーダーシップの発揮に期待。人手不足の中、価格転嫁がはじまってきている。賃上げは4年連続で実現。デフレからの完全脱却と生産性向上を実現していくべき。結果として、PBの黒字化と債務残高対GDP比引下げを同時に実現すべきである。経済・財政一体改革は、エビデンスベースの改革が進んでいて、これが成果につながっている。薬価引下げに関する記述の削除に関する本日の記事は誤解を与えるものである。今回の骨太方針は国民のQOL(生活の質)を高めるものであり、国民とのコミュニケーションをとっていくことが大事。」
次に、「未来投資戦略2017」(副題:Society 5.0の実現に向けた改革)について、越智副大臣から、取りまとめ案について説明の後、未来投資会議として取りまとめることを決定しました。
議事の最後に行われた議論の主な御意見を紹介します。
民間議員から、「Society 5.0について、経済界としても中心に据えて活動していきたい。日本がイノベーションを行いやすい国となるよう、強力に取り組んでいくべきだ。デジタル化の波のインパクトをポジティブに捉え、産学官が連携し、日本が先頭を切って強力に進めていくべきだ。」
別の民間議員から、「個人がスマートフォンを生活必需品として使っている。これは、産業構造にも変化をもたらしている。未来投資戦略の重点5分野の共通項は、「データ」と「人材」だ。骨太方針の「人材投資を通じた生産性向上」と未来投資戦略の「Society 5.0」を車の両輪として展開させていくことが重要だ。イノベーションの社会実装を政府横断的に強力に推進するための一元的な体制づくりに注力していただきたい。」
ここで、総理から発言がありました。発言のポイントを紹介します。
「本日こうして「骨太方針2017」と「未来投資戦略2017」を取りまとめていただき、心から感謝を申し上げる。
4年半のアベノミクスの取組により、GDPは過去最高水準に達した。国民生活に密接な関係を持つ雇用は大きく改善し、賃上げの流れも続いている。この勢いを更に加速させ、「成長と分配の好循環」を拡大していくため、働き方改革の実行に加えて、「人材への投資を通じた生産性の向上」を図る。また、イノベーションをあらゆる産業や日常生活に取り入れ社会問題を解決する「Society 5.0」の実現を図る。そのために必要な取組を、どんどん具体化していく。
この後、骨太方針と未来投資戦略を閣議で決定する。石原大臣におかれては、関係大臣と協力して、この骨太方針と未来投資戦略を直ちに実行に移していただくようお願いする。
議員各位には、多大な御尽力をいただいたことに改めて感謝申し上げるとともに、一億総活躍社会の実現に向けて、引き続き御協力いただきたい。」
最後に、石原大臣から、「取りまとめに当たった関係者の御尽力に感謝するとともに、今後の実行に御協力をお願いしたい。」
私からは以上です。


(以上)