第8回記者会見要旨:平成29年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成29年5月23日(火曜日)18時32分~18時59分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第8回経済財政諮問会議の概要について説明させていただきます。
本日は社会保障改革、経済対策の執行状況、骨太方針の骨子案について議論いたしました。
社会保障改革についてですが、民間議員から、薬価制度の抜本改革に向けて、革新的な新薬を育てながら、そうでない薬の価格は抑制していくための仕組みの在り方など、様々な提案がありました。総じて、国民負担をどのように抑えていくのか、というお話でした。
経済対策の執行、これは補正予算の執行状況ですが、オリンピックなども控えて建設需要が高まる中で、官・民の建設工事をともに円滑に進めるためには、担い手確保の取組や生産性向上の取組への積極的な対応が必須だという議論がありました。
最後に総理から、本日の議論を踏まえ、塩崎大臣に対しまして、創薬イノベーションの促進を図りつつ、「国民負担の軽減」と「医療の質の向上」の両立に向けて、年内に結論を得られるよう引き続き議論を深めてほしい、と指示がありました。
経済対策の執行状況についてですが、これは石井国交大臣に対しまして、しっかりと対応を図ってほしい、という指示がありました。
そして、来月に「骨太方針」を取りまとめられるよう、作業を加速してほしい、との指示がありました。
私からの説明は以上です。詳細は、事務方から報告させていただきます。



2.質疑応答

<人材投資・教育の強化>

(問)骨子案について1点教えていただきたいのですが、項目の中に「第2章1.(2)格差を固定化させないための人材投資・教育」というものが掲げられています。この強化が日本経済においてなぜ必要なのかというところを、大臣のお考えを改めてお聞かせ願えますでしょうか。

(答)働き方改革の延長線で最低賃金を上げてきた、そして非正規から正規雇用へと、そして働いている人たちもプレミアムフライデーなどに代表されるように生産性を上げるために限られた時間の中でしっかりと仕事をしていく。その辺が解決されていきますと、いわゆる格差問題というものは縮小していきますので、リカレント教育なども含めて、そういうものをしっかりとやっていく。やはり雇用の現場ではミスマッチがあることはあると思いますので、そういうものにもしっかり対応していく。これは項目ですので、今御質問のあった、どのようなことを、ということは次回揉んでもらうという形で私の方から話をさせていただきました。


3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

第8回経済財政諮問会議についての概要を申し上げます。
国会審議の関係で、議事の順番を変更いたしました。
まず最初に、石井国土交通大臣に御参加いただき、経済対策の執行状況の検証を行いました。事務方から資料3、麻生大臣から資料4、石井大臣から資料5について説明し、その後、意見交換を行いました。主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「産業界として、建設業の人手不足について強い懸念を持っている。高齢者の大量離職が控えているわけで、中長期的な人材確保が喫緊の課題である。生産性向上も含めて対応が必要なので、i-Constructionの全面的な本格導入などを含めて対応をお願いしたい。」
別の民間議員から、「石井大臣からは、建設労働者が足元で足りないわけではない、ということであったが、内閣府の景気ウォッチャー調査の中では、業界の中での人手不足懸念が出ている。これは場合によって、内閣府の不足感というのは現場監督とか技能者の不足ということなのかもしれない。そうであるとすると、現場がどんな状態になっているのか、石井大臣には更に調べていただきたい。中長期的な建設労働者の確保について、どういう施策が必要なのか考えていく必要がある。」
国土交通大臣から、「構造的な課題については、i-Constructionをはじめとする生産性向上と、職場の魅力向上などの働き方改革を進めているが、その両面から取り組んでいきたい。」
次に、骨太方針に向けた議論を行いました。事務方から資料6、麻生大臣から資料7について説明があり、その後、意見交換を行いました。主な御意見を紹介いたします。
経済産業大臣から、「人材投資というのは、格差の固定化のためだけではない。成長戦略にとっても非常に重要な要素なので、格差の固定化だけに絞り込むのはよくない。Society5.0が掲げられたところであり、経済産業省としても第4次産業革命、そして「Connected Industries」への取組をしっかり組み立てていく。」
総務大臣から、「財務大臣資料の中の地方財政について、枠計上に関しては、1,800の様々な自治体の単独事業なので、枠計上してもらって、地財計画を決算が約1兆円上回っている。また、トップランナー方式は、改革工程表に沿って取り組んでいる。その効果額は、地方の改革意欲を削ぐことがないように、地元に還元するべきである。」
民間議員から、「3月30日の経済財政諮問会議で、この骨太方針の全体のコンセプトとして、人材への投資を通じて生産性を向上させる、ということを提案した。これがきちんと今回の骨太に反映されるようにしていただきたい。地域におけるホスピタリティあふれる人材など、日本ならではの付加価値をつくる人材を育成することが重要である。」
別の民間議員から、「人材投資を通じた経済社会の生産性の向上は重要である。これは財政面も含めた対応を図っていく必要がある。」
次に、塩崎厚生労働大臣に御参加いただき、社会保障改革について議論を行いました。新浪議員から資料1、塩崎大臣から資料2について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。主な御意見を紹介いたします。
経済産業大臣から、「経済産業省ではバイオ医薬品の創出に向けた取組を進めており、ガン治療をはじめとしたQOL向上や医療費適正化につなげていきたい。」
民間議員から、「薬価については抜本的な改革が必要である。第一に、長期収載品については、できるだけ安く国民に届けるように、また新薬の開発については、ビジネスとして成り立つようにすべきである。第二に、革新性の高い新薬については、費用抑制のため、使い方についてきめ細かな対応が必要である。第三に、費用対効果に取り組む体制の確保が必要である。」
別の民間議員から、「薬価制度の基本方針を踏まえた取組を着実に実施するべきである。」これは去年の諮問会議で議論したものです。「その効果は保険給付の適正化や国民負担の軽減につなげるべきである。ジェネリックの使用割合の80%目標達成時期を平成32年9月に設定しているが、更に早期に達成できるよう、リーダーシップの発揮をお願いしたい。」
別の民間議員から、「資料1-2の6ページ右のところについて、口や歯の健康と全身の健康との関連を示すエビデンスがある。歯科保健医療の充実に取り組むべきだ。厚生労働大臣から説明があった取組について、大きな項目についてKPIと工程表をつくっていく必要がある。」
別の民間議員から、「データヘルスは大変重要である。薬の費用対効果測定に当たって、独立性の高い第三者機関の設置をお願いしたい。」
財務大臣から、「現在の薬価制度等を良い薬を見極めて評価する仕組みへ見直して、国民負担を軽減していくことが重要である。年末に向けて改革の具体化に取り組みたい。」
官房長官から、「この前の諮問会議の議論で、薬価改定は基本的に毎年行うということになっているはずだ。」
厚労大臣から、「長期収載品のウエイトは高いので、値決めなどしっかり取り組みたい。革新的創薬を評価してあげることが新薬への後押しとなる。薬価改定の成果を国民負担軽減につなげることが大切である。製薬産業は成長産業としてしっかり取り組みたい。産業施策として取り組みたい。KPIと工程表をセットするという御要請にはできる限り応えたい。かかりつけ薬局が機能するように取り組みたい。データヘルスは、2020年に予防検診、医療、介護が一気通貫で分かるパーソナル・ヘルス・レコードのシステム構築に取り組んでいるところである。費用対効果の独立評価機構も御指摘の方向で検討したい。健康経営は保険者とそのリーダーの頑張りも大切だ。薬価の毎年改定の御指摘は、正に官房長官が言ったとおり、毎年改定ということになっているので、そのとおりだと理解している。」
最後に石原大臣から、今日の議論を含めてこれまでの議論を取りまとめて、骨太方針2017の素案を次回の諮問会議でお示ししたいという発言がございました。
ここで、総理発言がございました。発言のポイントを申し上げます。「本日は、第一に、社会保障改革について議論しました。薬価制度の抜本改革に向けて、民間議員から、革新的な新薬を育てながら、そうでない薬の価格は抑制していくための仕組みの在り方など、様々な提案がありました。塩崎大臣におかれては、本日の議論も踏まえ、創薬イノベーションの促進を図りつつ、「国民負担の軽減」と「医療の質の向上」の両立に向けて、年内に結論を得られるよう引き続き議論を深めていただきたいと思います。
第二に、経済対策の執行状況を確認しました。オリンピックなども控えて建設需要が高まる中で、官・民の建設工事を共に円滑に進めるためには、担い手確保の取組や生産性向上の取組への積極的な対応が必要だという議論がありました。石原大臣におかれては、引き続き経済対策の実施状況のフォローをお願いします。石井大臣におかれては、本日の議論を踏まえた対応をしっかりと図っていただきたいと思います。
第三に、骨太方針の骨子案を議論しました。来月に「骨太方針」を取りまとめられるよう、本日の議論を踏まえ、具体化の作業を加速していただきたいと思います。」
以上でございます。


(以上)