第7回記者会見要旨:平成29年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成29年5月11日(木曜日)18時31分~18時56分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第7回経済財政諮問会議の概要を申し上げます。
本日は「金融政策、物価等に関する集中審議」を行いました。その後、地方行財政改革について議論をしました。
民間議員の御発言の主立ったものを御紹介させていただきます。
「賃上げのモメンタムは今年も着実に継続しているのに加え、働き方改革など、多様な処遇改善の動きが活発になっている。地方行財政サービスの地域差や非効率の要因を徹底的に分析し、自治体が説明責任を果たすよう促すべきである。先進事例の横展開の取組や地方公営企業の経営を強化すべきである。」との発言がありました。
この民間議員の発言を受けまして、高市総務大臣から地方行財政改革の推進と地域経済の好循環の拡大に取り組む旨の発言がありました。そのほか民間議員の御質問に対しまして、現時点で答えられるという形で個々の問題についての回答がありましたが、今日は時間が足りませんでしたので、両側が言っただけ、答えただけ、のような形になっておりますので、更に議論を深めてまいりたいと考えています。
最後に総理から、「多くの企業で4年連続のベアが実施されるなど、過去3年、賃上げの流れが続いている」と。地方行財政改革については、地方における各種基金が全国で21兆円、基準財政需要額に対する基金積立残高の比率は安倍内閣ができて1.5倍に増えており、その一方で、財源不足はおよそ14兆円から7兆円に減っている。もちろん将来に備えて基金を作ることは重要であるけれども、その伸びが非常に大きくて、特に多い自治体というのは村が多いという御説明があったのに対して、総理から「地方行財政改革については、高市大臣が中心となって、各種基金や地方単独事業の実態をしっかり分析し、動きを加速してほしい」との御指示がありました。
詳細につきましては、この後、事務方から御説明させていただきます。



2.質疑応答

<地方行財政>

(問)基金の件ですけれども、地方を取材していますと、首長さんなどは、切り詰め、あるいは税収が伸びた分を将来に向けて基金で貯めているのだと誇るような方も結構いらっしゃいます。そういう方々からすると、今日の諮問会議の民間議員の御指摘は少し受け入れ難い部分もあるのかなという気もするのですが、地方の反発が出るかもしれないという部分についてどう考えますか。

(答)民間議員の御質疑の根底に何があるかは、今日は時間が足りなくて、第1ラウンドでしたので、先ほど御説明させていただいたように、キャッチボールになっていないのです。事実として意見の御開陳があったというふうに私は受け止めました。

(問)今の地方行財政・税財政の話で、今回は両方が言っただけになっている、キャッチボールになっていないというお話でしたけれども、更に議論を深めたいというのは、骨太までもう余り時間が残されていないので、骨太後も含めてじっくりと議論するということでしょうか。

(答)2018年に財政健全化目標の中間評価がありますので、そこをめがけてです。ただ、民間議員がよくお話しになっているのですが、教育費、社会保障費といったようにざっくりしているその中が、どういうふうに、どう使われたかは分かりませんので、そういうものを細かく分析しなければいけませんし、中山間地域と都会という違いだけだと私は必ずしも思わないのです。例えば、関東圏の中でもいろいろ差がある、東京23区の中でも差がある、そういうものだと思います。それを細かく見ていかないと、どういうことになっているのかは分からないのではないでしょうか。

<TPPへの対応>

(問)諮問会議の話題から少し離れてしまいますが、今日の派閥の会合で、TPPイレブン(米国抜きTPP)にも可能性を進めていくというお話があったと思うのですけれども。

(答)今日は憲法の話を中心に。憲法9条の話がこの5月の連休に総理からあったので、私の派閥としても勉強会をということで。保岡先生がいるので、保岡先生から今日簡単なお話があって、TPPのことはあまり。何か具体的に言った記憶はないのですけれども。

(問)すみません、改めてになるのですが、11か国でどのように進めていかれるお考えなのかというところをお聞かせください。

(答)これももう朝の記者会見でお話しさせていただいているのですが、まだ会ったことのある人の方が少ないのです。4人の方としか私会っておりませんので。また、思惑がやはり国によって違うわけです。そこの話を聞いてみないことにはなかなか先には進まないですし、思いも多分違うと思うのです。そういうものを整理して。逆に、日本に対する期待はあるのです。日本が、今アメリカが抜けておりますので、経済規模が大きいもので、そういうものにやはり応えていく形で各国の話をまずしっかりと聞かせていただく、そして合意点を見出していくという形になるのではないかと予測しています。

<マイナンバーカードの普及>

(問)諮問会議の方に戻りまして、民間議員から今日、地方行財政の関係でマイナンバーのことも触れられたかと思います。なかなか取得が進んでいないということで、目標設定なども。何か発言があれば教えていただきたいのと、また、大臣御自身、なぜなかなか進まないのか、どうしていけばいいか、お考えなどありましたら教えていただければと思います。

(答)御承知のとおり、8%ちょっとです。私も取りに行って、これではいけないと思ったのは、パスワードというか暗証番号ですか、この桁が長い。簡単な数字を書くと、役場の人が、「先生、これではだめです。もっと難しくしてください」と。難しくすると覚えられない。こういう問題があるのです。でも、日本はITの先進国なのだから、スマホにしなさい、と私はずっと言っているわけです。瞳でもいいし、指でもいいし、そのIDの方がよほどセキュリティレベルは高いではないですか。カードにこだわっているからなかなかうまくいかないのではないかというのが、私のかねがねの主張です。これは個人的な意見ですけれども。

(問)今後はこういうことも議論になっていくのでしょうか。

(答)今日は、やはり普及しないのにはインセンティブを与えなければ駄目だという意見は出ていたように思います。私も、それはもう間違いなく本当だ、民間議員の言うとおりだなというふうに聞いていて思いました。それに対して高市大臣は、「私が担当になり、工程表がなかったので工程表を作った。いろいろなことをこれからしっかりやります」と、そういう御説明がございました。


3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

第7回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
本日は、古屋厚生労働副大臣に御参加いただき、最初に、賃上げを含んで金融政策・物価等に関する集中審議を行いました。中曽日本銀行副総裁から資料1、事務方から資料2について説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等を紹介いたします。
民間議員から、「春季労使交渉の回答状況について、経団連の第1回集計結果では、4年連続となる2%を超える賃金引き上げとなった。多くの企業が4年連続のベースアップを実施している。賃金引上げのモメンタムは今年も着実に継続している。そのほか、今年の特徴としては、「働き方改革」による処遇改善の動きも活発になっている。こうした動きが消費の回復やデフレ脱却の実現につながることを期待している。」
別の民間議員から、4月に行った政策コメンテーター報告の概要について説明がありました。「消費の活性化について回答を求めたが、現状認識として、所得の増加に対し消費が伸びていない、事業者が十分に消費に対応できていないといった意見があった。プレミアムフライデーについても意見を聞き、より効果的にする工夫として、企画をもっと事業者が出すべきであり、健康管理に限定したクーポンを発行すれば、健康維持への恒常的効果が期待できるかもしれないなどの多様な意見があった。プレミアムフライデーを月末でなく月の初めにすべきという意見もあった。うまくいっていないのではないかという議論が出てくるということは、休むということに対する意識が高まってきている証拠でもあると分析している。」
次に、地方行財政改革についての議論を行いました。高橋議員から資料3、総務大臣から資料4について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「地方公営企業の改革を進めるべきである。その際、徹底した「見える化」が必要である。パーソナルデータの利活用について、スピード感を持って行うべきである。」
別の民間議員から、「自治体の基金残高21兆円は、使い切れないお金が積み上がっている印象である。積み上げていけないということではないが、本当に使い切れる必要な金額を超えているのではないか。住民に対しての説明責任は果たすべきである。マイナンバーカードは行政効率化の切り札である。普及促進に向けた取組を進めてほしい。トップランナー方式の適用拡大を提案したい。例えば、民間事業者を活用したデータヘルス等の保健事業の実施や先端技術を活用したインフラの維持管理などである。」
別の民間議員から「自治体の基金について、実態把握をし、説明責任を強化すべきである。地方単独事業についても総務省において実態調査を行うべきである。その際、大くくりではなく、主要課題について調査を行うべきである。地方公共団体のベストプラクティスを模索しており、トップランナー方式の適用拡大について更に議論していきたい。」
総務大臣から、「基金については、人口減に伴う税収減等への備えなどで積み立てられている。今後、個別団体の積立ての考え方などを把握していきたい。マイナンバーカードについては、「マイナンバーカード利活用推進ロードマップ」を3月にまとめているので、これに沿って取り組んでいきたい。地方単独事業については、県と市町村の重複の改善や経費区分の細分化など調査できるように取り組んでいきたい。トップランナー方式は、改革工程表に沿って取り組んでいく。地方公営企業の改革については、公営企業会計の適用を拡大し、「見える化」を進めていく。パーソナルデータについても、スピード感を持って進めていきたい。」
最後に総理から発言がございました。
「本日は、第一に、金融政策、物価等に関する集中審議を行った。デフレから脱却し、持続的に経済を力強く成長させていくためには、物価の上昇に後れを取らないような賃上げが必要である。本年の春季労使交渉では、多くの企業で4年連続のベアを実施するなど、過去3年の賃上げの流れが続いている。このような流れが中小企業にも広がり、幅広い賃金上昇が実現することを期待したい。
第二に、地方行財政改革について議論した。民間議員からは、地方行財政サービスの地域差や非効率の原因を徹底的に分析し、自治体が説明責任を果たすよう促すべき、先進事例の横展開の取組や地方公営企業の経営を強化すべき、という意見があった。民間議員の意見も踏まえ、高市大臣が中心となって、地方における各種基金や地方単独事業の実態をしっかりと分析してもらいたい。そして、地方公営企業の改革をはじめとする地方行財政改革を加速していただきたい。」
以上でございます。



(以上)