第4回記者会見要旨:平成29年 会議結果
石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:平成29年3月30日(木曜日)18時36分~18時57分
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
第4回経済財政諮問会議について、概要を説明させていただきます。
本日は、「骨太方針2017」に向けたキックオフとして議論を開始させていただきました。
まず、民間議員からの提言として、高橋議員から、「生涯現役社会、超スマート社会(Society5.0)を実現するため、「骨太方針2017」では、「経済社会の生産性の向上」という大方針の下で、人材への投資に重点を置きながら包括的に政策を推進すべき。」「このため、教育改革、社会保障の徹底した効率化、イノベーションの創出、補正予算ではなくて当初予算の中での関連予算の充実、などを重要課題として盛り込むべき。」という御意見と提言がありました。
その後、麻生大臣から「大学改革が極めて重要である」、世耕大臣から「第四次産業革命や人材育成を強化する必要がある」、塩崎大臣から「データヘルス改革を推進していく」、黒田総裁から「生産年齢人口が減少していく中で高度外国人材の活用を進めるべき」等々の発言がありました。
大学改革の必要性については、民間議員や黒田総裁からも発言がありました。
その他、民間議員から「健康経営への支援が必要である」「2020年に向けてAIを活用した同時通訳システムを開発すべき」「インフラ老朽化対策として先端技術を活用すべき」といった発言がありました。
会議の締めくくりとして、総理からの発言のポイントを紹介させていただきます。
本日、「骨太方針2017」の策定に向けて議論を開始した。
安倍内閣は、一億総活躍、働き方改革と進めてきたが、成長戦略の中心に「人材への投資による生産性向上」を据える方向でしっかりと議論を深めていきたい。
詳細については、後ほど事務方から説明させていただきます。私からは以上です。
2.質疑応答
<教育改革の議論>
(問)今日の会議の中で、民間議員から、「骨太方針」に盛り込むべき重要課題として教育改革が挙げられています。
一方、今、与党で教育無償化に向けての議論も広がりを見せていますが、今後、諮問会議としては教育改革についてどのような方向性で議論を進めていくのでしょうか。
(答)今日の教育改革の議論は、教育無償化のような話よりも、私の印象としましては、やはり実になることを多く学んで社会に出てくるような大学の在り方や、国際語として英語がスタンダード化している中で英語教育をどのように取り扱っていくか、また、それを教育する場としての大学の在り方です。そのような論点で今日は議論されました。
(問)今の質問に関連して、教育への投資、人材への投資ですが、今日の諮問会議で財源論について何か議論はあったのでしょうか。また、与党内で「教育国債」や「こども保険」といったアイデアが出されていますが、何か財源論について大臣のお考えがあればお願いします。
(答)今日の教育改革の議論は、教育無償化のような話よりも、私の印象としましては、やはり実になることを多く学んで社会に出てくるような大学の在り方や、国際語として英語がスタンダード化している中で英語教育をどのように取り扱っていくか、また、それを教育する場としての大学の在り方です。そのような論点で今日は議論されました。
(答)今日の議論の中で、どのような政策を行うのでどのような財源がどう必要である、といったような議論はありませんでした。
また、様々な財源論の議論が党内で行われていることは承知していますが、国債のほうについては、将来世代へ負担を先送りしているわけですので、赤字国債と同じではないかと思います。また、コストがかかるというような点があると思います。
また、「こども保険」で社会保険料に上乗せすると、子供がいらっしゃる方、いらっしゃらない方、また、複数お子さんをお持ちの方、少数の方、様々な議論が起こるのではないかと思っております。様々な議論が起こるのではないかと思っております。
人材への投資は重要な課題であるということは、総理も今日申し述べられていましたので、教育については機会の均等や質の向上などを含めて、民間議員からも御発言がありましたが、これから幅広く議論していくということが肝要なのではないかと考えています。
(問)今の質問とも関係するのですが、今日、民間議員から、高等教育の機会均等ということが提言されています。自民党内の議論では、高等教育よりも幼児教育の無償化といった点に注力すべきという意見もあるようですが、高等教育と幼児教育の点について、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
(答)今日の諮問会議の議論では、幼児教育についての言及はありませんでした。先ほど紹介させていただきましたとおり、教育する大学の問題、また、教育を受ける学生さんの問題、こういう点についても、機会均等で誰でも大学に行けるということは良いことですが、そこで何を学ぶかということが、これまた重要なことです。今日の資料の中に、日本の学生さんの勉強時間の少なさといったものも数値として示されていまして、そのような議論になったのだと思います。
3.新原内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
第4回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
本日は、塩崎大臣に御参加いただき、「骨太方針2017」の策定に向けた議論を行いました。事務方から資料1、高橋議員から資料2について説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等を紹介いたします。
財務大臣から、「持続的成長のために人材投資は重要である。ただし、それは民間が主に取り組むべき問題であって、政府は構造改革で側面的支援に取り組むということではないか。大卒者の能力向上のため、例えば英会話、パソコン、簿記など、基礎的な知識が重要である。大学で教える内容の改革に取り組んでほしい。サービス業の生産性は、米国の方が高いかもしれないが、日本にはサービスの良さや安心等の良さがあり、その点も忘れてはならない。ワイズスペンディングの徹底も必要で、「見える化」、規制改革、構造改革と同時に進めることを基本としてほしい。」
経産大臣から、「家計や企業の信頼感、コンフィデンスを高めることが必要であり、そのためには成長戦略が重要で、第4次産業革命、人材イノベーションへの投資に重点を置きたい。また、社会保障改革も重要だ。さらに、G7や日米関係を見ながら機動的経済運営が重要。デフレ脱却を最優先にして、財政緊縮がデフレ圧力にならないことが大切だ。」
厚生労働大臣から、「革新的技術への投資や大学改革、働き方改革が重要である。新産業を担うイノベーション人材の育成、労働移動によって生産性を高め、賃金上昇につなげていく必要がある。厚労省では、年功ではなく能力で評価する企業への支援、あるいは中間層の人材育成に取り組んでいきたい。社会保障については、健康医療データやAIを活用して、データヘルス改革に取り組みたい。」
次に民間議員から、「生産性の向上のために3点申し上げたい。1点目は、健康予防が重要であり、健康経営が生産性の向上につながる。2点目は、資料2-2の図表2で、60歳以上の人へのワクチン接種で重症化を防げるとのデータがある。こうしたところにワイズスペンディングを行っていくべきである。3点目、日本人のハンディキャップは英語である。2020年のオリンピック・パラリンピックに向けてAIやディープラーニングを使った同時通訳システムを開発し、社会に実装していくことが必要。」
別の民間議員から、「骨太方針の柱として、生産性といったときに、この生産性が何であるかということにこだわって議論することが重要。価値を生み出せる力をつけることが生産性上昇につながる。AIについては、進歩のスピードがとても速く、研究所で発達するというよりは、ニーズとシーズがぶつかるところで発展する。」
別の民間議員から、「高等教育の質、大学の教育力の向上が不可欠である。大学生の学習時間の問題や大学の東京集中、リカレント教育の機能の弱さ、MITと東工大の職員数の違い等を資料2-2で紹介している。研究開発については、日本は米国、中国に比べて劣っている。都道府県別に見ると、上位6~7県しか増加しておらず、地方からイノベーションが出てくる状況にはない。インフラの効率的な維持管理、重点化、ICT、AIの活用が重要である。」
日本銀行総裁から、「生産年齢人口が10年間で1,000万人減っている。専門的、技術的分野での外国人の活用が成長には必要だ。大学の教育・研究の向上も重要である。」
官房長官から、「同時通訳の技術開発は、2020年のオリパラをターゲットにして、日本の技術で一気に進めることが重要。」
民間議員から、「同時通訳システムについて、大学の若手の先生を集めて、産学官で研究開発を進めることが有用である。AIのシステムが非常に高まっており、文化的背景も考慮に入れて通訳ができるようになっている。日本の技術は遅れていない。」
厚生労働大臣から、「大学改革については、今のままのガバナンスでは、リソース・アロケーションしていくのは難しいのではないか。大学のガバナンスを直していくということも大切ではないか。」
別の民間議員から、「子供の頃から英語教育は進めていくべき。併せて、文化的背景を充実させるような教育にも投資すべき。日本の大学生には、解のないものを議論させて思考力を付けさせることも大事。」
ここで、総理から発言がございました。発言のポイントを御紹介いたします。
「本日、骨太方針2017に向けて、議論を開始した。民間議員からは、超スマート社会の実現(Society5.0)、イノベーションの創出を通じて、日本経済の潜在的成長率を引き上げていくため、骨太方針を貫く基本的考え方を、「人材への投資を通じた経済社会の生産性の引上げ」に置き、その大方針の下、包括的に政策を推進すべきとの提言を頂いた。
安倍内閣は、一億総活躍、働き方改革と進めてきたが、成長戦略の中心に、「人材への投資による生産性向上」を据える方向で、しっかりと議論を深めていきたい。」
私からは以上です。
(以上)