第22回記者会見要旨:平成28年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成28年12月21日(水曜日)19時01分~19時23分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

2つの会議について報告させていただきます。
まず、月例経済報告です。
月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要ですが、景気の現状については、総括判断を「一部に改善の遅れも見られるが、緩やかな回復基調が引き続いている」として先月から上方修正をしています。 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されます。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要かあります。このように取りまとめさせていただきました。
続いて、今年最後の経済財政諮問会議の概要について報告させていただきます。
本日は議事が3つありました。
最初の議事では、既に報道されていますが、塩崎厚生労働大臣から「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を、昨日、関係4大臣で取りまとめたという報告がありました。
これに対し、民間議員から「この基本方針で来年中に結論を得るとされた事項について諮問会議でも議論すべき」「国内製薬メーカーの国際競争力に配慮すべき」「薬価の議論と併せて診療報酬の改定についても諮問会議で議論すべき」との意見がありましたので、検討させていただくということで引き取らせていただいたところです。
2番目の議事では、昨年末に策定した改革工程表の改定版として、「経済・財政再生アクション・プログラム2016」を決定させていただきました。これに関して、民間議員から「社会保障改革は前進したが、踏み込み不足の点については引き続き諮問会議で議論したい」との発言がありました。当然のことだと思います。
また、民間議員から「2030年展望と改革タスクフォース報告書を来年の諮問会議に提出して、アジェンダとして設定したい」「世界の政策の枠組みが変わる可能性があり、官民を挙げて改革に取り組む必要がある」などの発言がありました。
3番目、最後の議事では、GDP統計を軸とする経済統計の改革について、いわゆる「伊藤研究会」での成果、高市総務大臣の取組、山本行政改革担当大臣からの提言、これらをまとめまして「統計改革の基本方針」を決定させていただきました。
これに関して、山本大臣から「推進会議の存在が極めて重要であり、関係大臣と協力して精力的に取り組む」決意の表明がありました。高市大臣から「公的統計の整備に関する基本的な計画の前倒し改訂等に取り組む」、また、ユーザーサイドとして、世耕経済産業大臣から「経済産業省統計コンシェルジュ・チームのノウハウを提供したい」との発言がありました。
また、民間議員からは「推進会議に期待したい」「産業界としても報告者、利用者の両面から協力したい」「統計業務の整理合理化が不可欠」などの意見がありました。
ここで、総理から御発言がありましたので、発言のポイントを要約して紹介させていただきます。
薬価制度を改革し、国民負担を軽減させるとともに、イノベーションを推進して医療の質を向上させていかなければならない。
「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づいて、諮問会議などにおいて更に議論を深めるよう指示をいただきました。塩崎大臣に対しては、改革を着実に具体化するよう指示が出ました。
「経済・財政再生アクション・プログラム2016」の改革工程表に沿って、「見える化」や「先進事例の横展開」を徹底しながら、改革を着実に実行するよう関係大臣に指示がありました。
統計改革の基本方針に基づいて、政府一体となって統計改革を推進するよう関係大臣に指示がありました。
加えて、総理から民間議員の皆様に対して、来年も同じメンバーで、経済財政に関する様々な重要政策課題を議論していただきたいとの御発言がありました。
私からは以上です。


2.質疑応答

<海外経済のリスク>
(問)月例経済報告についてお伺いします。1年9カ月ぶりの判断引上げですが、輸出が好調で、それに引っ張られる形で生産等もよくなっていると記載されています。ただ、海外経済の先行きに留意というふうにも記載されていますが、具体的に海外経済のリスク、どの辺りに特に注意すべきとお考えでしょうか。

(答)アメリカの金融政策の動向が世界経済に与える影響というものは大きいのではないでしょうか。これが一つあるのだと思います。
それとやはり中国、持ち直してはいますが、潜在的な問題というものが実は解決されていない。過剰生産です。
ですから、新興国等の経済の先行き、オイルの値段も上がってきてはいますが、どこのところで安定するかということはまだ分からない。今のところは50ドル近辺となっていますが、オイルというのは我が国の産業にとって非常に影響が多いところですから、ここもやはり見ていかなければならない。
それと、ヨーロッパは来年選挙を迎えます。オランダからスタートするわけですが、それによって政策に関する不確実性は高まってくる。ドイツにしても、磐石を誇るメルケル首相の選挙が秋にあるわけです。つい先立ってもベルリンで痛ましい事件がありました。こういうものもやはり注意していかなければならない。
更に言うならば、全体的な金融市場、マーケット、為替、両方だと思いますが、この変動の影響、こういうものはやはり年明けから十分に注意をしていく必要があるのではないかと考えています。


<薬価制度改革等の議論の場>
(問)薬価制度改革について、民間議員から、基本方針で来年度中に結論を得るとされた事項について諮問会議でも議論すべき、診療報酬の改定についても諮問会議で議論すべき、というお話がありました。一方で、厚生労働省でも中央社会保険医療協議会という会議があります。二重の立て付けになると思いますが、厚労省の中医協と諮問会議の整合性をどのようにとっていくか、この辺りの見解をお願いします。

(答)諮問会議は日本のマクロ経済の司令塔です。一方で、中医協は厚労大臣の諮問機関で、厚労行政や薬価等々に関わることについて各界からメンバーが入って決められる、言わば現場です。ですから、整合性に齟齬が出るというような御指摘は何ら当たらないのではないでしょうか。また、二重であるというような御指摘は全く当たらないと考えています。


<景気の総括判断引上げの所感と先行き>
(問)月例経済報告についてです。1年9カ月ぶりの引上げということに対しての、まずは率直な反応と、今回輸出といいますか海外経済に引っ張られた部分がありますが、今後、内需を含めてこのような回復基調が来年以降続いていくかどうか、その辺りの手応えをお聞かせください。

(答)一喜一憂するような話ではないと思います。やはりトレンドを見て、そのトレンドが定着するのか、しないのかというものは、この一月だけを見て、判断するようなものでは私はないと思っています。そして、やはり月例は天候要因も大きいです。台風が来ても大きいですし、暖冬も効くし、冷夏も効くし、そういうものが薄れてくるとプラスになるというのは、これはもう毎年同じだと思います。
これも何度も言っていますが、雇用環境はかなりタイトになっています。これは来年もっとタイトになると思います。それに伴って所得環境も大きく改善しています。そうしますと、常識的に考えれば、働く場所もある、給与も上がる、マインドというものは消費拡大の方に向くと思います。そんな中で、旅行や外食といった、いわゆるサービス分野で消費の改善が見られている。こういう事実をお示しさせていただいているのが月例経済であって、一月でどうだ、ああだということはなかなか言えるものではないのだと、そのように思っています。


<薬価制度改革の議論>
(問)薬価制度改革について、総理が諮問会議でも更に議論を深めるよう言われたのは、民間議員の発言を受けて、という理解でよろしいでしょうか。

(答)やはりもう1つあるのは、先程御紹介させていただきましたが、総理から来年も同じメンバーでお願いします、という発言がありました。総理の大変関心の高い分野ですし、経済財政諮問会議はマクロの経済の司令塔ですので、そこの有識者の皆様にもしっかりと議論していただきたい、というお考えの表れであると、私は横で聞いていてそのように感じたところです。


<診療報酬改定の議論>
(問)民間議員の、診療報酬の改定についても諮問会議で議論していきたい、という意見は、次回改定に向けて、今回薬価制度について取りまとめたような基本方針を検討していきたい、ということでしょうか。

(答)私は、議論したい、ということしか聞いていません。具体的にどこをどうとかいう話はされていませんので、その方がどういう意思を持っていたかをお話しさせていただく材料は持ち合わせていません。


3.黒田内閣府参事官(総括担当)(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明

第22回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
最初に、塩崎厚生労働大臣に御参加いただき、関係4大臣で決定した「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」についての御報告がありました。塩崎大臣から説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な意見としては、まず民間議員から、「30年ぶりに毎年調査、毎年改定が実現する。関係者に感謝したい。国民皆保険制度の持続性とイノベーションの推進を両立するよう、来年中に結論を得る論点などにつき引き続き諮問会議で議論していきたい。」
別の民間議員から、「民間議員からの提案をもとに、4大臣で短期間に基本方針を取りまとめたことに敬意を表する。イノベーションの促進による製薬メーカーの国際競争力向上の観点に配慮するようお願いする。」
別の民間議員から、「来年は2年に1度の診療報酬改定の年。院内、院外処方の在り方や技術料の在り方などについてもしっかりと諮問会議で議論していくべき。」
次に、塩崎厚労大臣はそのまま残りまして、経済・財政一体改革の議論を行いました。まず、事務方から平成29年度の政府経済見通し、続いて、「経済・財政再生アクション・プログラム2016」の案について説明があり、意見交換を行いました。
まず民間議員から、「2030年展望と改革タスクフォース報告書のスケルトンを配付している。次回の諮問会議で報告書として提出し、来年のアジェンダ設定に生かしたい。米国の政権が代わり、世界の政策の枠組みが変わる。世界の色々な動きに備えたポリシーミックスを考えていく必要がある。現在の円安が改革に対して時間的猶予を与えているとも言える。この間に働き方改革などを官民挙げて取り組んでいくべき。」
別の民間議員から、「社会保障関係費の5,000億円増のメドが立ったことは高く評価したい。社会保障改革に関する年末検討事項の11項目のうち、決着したものもあるが、引き続き検討すべき事項が残っている。早期に実現するよう引き続き諮問会議で議論していきたい。」
この意見交換の後、このアクション・プログラムを諮問会議として決定しました。
最後に、山本行政改革担当大臣に御参加いただき、GDP統計を軸とした経済統計の改善についての議論を行いました。事務方から基本方針案について説明があり、その後、意見交換を行いました。
まず山本行革担当大臣から、「これまで統計委員会が頑張っても各省の取組が十分でない面があった。今回の取組を本物の改革にしなければならない。この新しい推進会議で統計委員会を後押ししていきたい。予算や人員面も含めてしっかりやらなければならない。この改革が実現するならばアベノミクスの大きな成果となるものだ。各省とも連携してしっかり取り組みたい。」
高市総務大臣から、「統計行政所管大臣として、統計改革に向けて、消費統計等の見直しや公的統計整備の基本計画の改定前倒し、統計委員会の機能強化、人材育成等に取り組む。また、「統計改革推進会議」には、総務省や統計委員会の取組を後押ししていただきたい。」
世耕経産大臣から、「経産省では、データ活用等について、「統計コンシェルジュ・チーム」を作り取り組んでおり、各省にも情報共有したい。今後も統計の改善に貢献していきたい。」
民間議員から、「「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会報告」を取りまとめた。これに基づき、基本方針を取りまとめていただいた。「統計改革推進会議」の役割に期待している。」
別の民間議員から、「統計改革は産業界としても重要。統計の「報告者」として、又は「利用者」として協力していきたい。」
別の民間議員から、「統計業務の整理合理化、実施体制の整備が重要。」
意見交換の後、配付しています基本方針を、諮問会議として決定いたしました。
最後に、配付資料3について石原大臣から紹介がございまして、これは先ほど御発言のとおりでございます。
総理の発言のポイントは、以下のとおりでございます。
「「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」の取りまとめにあたっては、関係4大臣に御尽力いただきました。
薬価制度を改革し、国民負担を軽減させるとともに、イノベーションを推進して医療の質を向上させなければなりません。
本基本方針に基づき、今後の検討課題については、諮問会議等において更に議論を深めていただきたい。また、塩崎大臣におかれては、改革を着実に具体化していただきたいと思います。
第二に、「経済・財政再生アクション・プログラム2016」を決定し、改革工程に新たな取組を追加いたしました。
関係大臣におかれては、引き続き、改革工程表に沿って、「見える化」や「先進事例の横展開」を徹底しながら、着実に改革を実行していただきたいと思います。
第三に、GDP統計を軸とする経済統計を抜本的に改革していくための基本方針を決定いたしました。
関係大臣におかれては、本基本方針に基づき、政府一体となって統計改革を推進していただきたいと思います。
最後になりますが、諮問会議の民間議員の皆様方におかれては、来年も同じメンバーで、経済財政に関する様々な重要政策課題を議論していただきたいと思いますので、来年も本年同様、よろしくお願いいたしたいと存じます。」
私からは以上でございます。

(以上)