第19回記者会見要旨:平成28年 会議結果
石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:平成28年11月25日(金曜日)19時14分~19時43分
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室
1.発言要旨
月例経済報告会議と経済財政諮問会議の2点について報告させていただきます。
まず、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告させていただきます。
景気の現状についての総括判断は、もうお配りさせていただいていますように、「このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として先月から据え置かせていただいています。先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって緩やかな回復に向かうことが期待されます。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
政策態度につきましては、先月から特段の変更はありません。
続いて、第19回の経済財政諮問会議の概要について報告いたします。
本日は議事が3つあります。
最初に、最近の金融・経済情勢について議論する中で、岸田外務大臣から、トランプ次期米国大統領が掲げる政策について紹介がありまして、榊原議員からは、来週、経団連から米国にミッションを送りまして、新政権との関係構築に努める、という御報告がありました。
2番目の議事は、経済・財政一体改革についてですが、まず、新浪議員から、「経済財政諮問会議と厚労省とが連携して、年内に薬価制度の抜本改革の基本方針を取りまとめるべきである」という御意見がありました。他の民間議員の方々からも改革のポイントとして、薬価の毎年改定、更に、算定の透明性の確保、研究開発の促進などが挙げられたところです。
これに対しまして、塩崎厚生労働大臣からは、民間議員からの意見を踏まえ、薬価の抜本改革に取り組みたい旨の発言があり、麻生財務大臣からも、厚労大臣と相談しながら抜本改革を検討したい旨の発言がありました。また、菅官房長官からは、薬価の毎年改定と新薬創出・適用外薬解消等促進加算制度の強化が重要との発言がありました。
また、高橋議員から地方財政に関して、頑張る地方への支援、行政サービスの効率化、先進事例の横展開などを通じて、地方財政においても国と一体となって構造改革を推進すべきである、という提言がなされました。
これに対しまして、高市総務大臣からは、トップランナー方式や成果主義予算の適用を拡大していく旨の発言がありました。
その他、医療費・介護費の地域差是正に向けて、都道府県の権限強化についての議論も行われました。
最後の議事では、麻生財務大臣から、財政制度等審議会の来年度予算の編成等に関する建議のポイントについて御説明いただいた後、前回の経済財政諮問会議以降に調整した、本日、我が党の方でも総務会を通ったわけですが、「平成29年度予算編成の基本方針」案を、諮問会議の答申として決定しました。
ここで、総理から御発言がありました。発言のポイントを要約して紹介させていただきます。
トランプ次期米国大統領とは、先週お会いし、率直な話をすることができた。今後も共に信頼関係を築いていきたい。
薬価について、オプジーボの価格を、来年2月から早速、5割引き下げることとした。民間議員の提案も踏まえ、薬価制度の抜本改革に向けて、諮問会議で議論し、年内に基本方針を取りまとめるよう指示されました。
医療費・介護費の地域差を是正するためには、関係者の役割分担と責任を明確にしながら一丸となって取り組むことが重要。塩崎大臣に対しまして、リーダーシップを発揮し、関係者をまとめ、社会保障改革を加速するよう指示されました。
地方行財政について、高市大臣に対し、本日の議論を踏まえ、先進事例の横展開を図るなど、地方自らの頑張りを最大限引き出す改革を進めるよう指示されました。
来年度予算編成に向けては、財政健全化への着実な取組を進める一方、一億総活躍機会の実現のための子育て・介護や成長戦略の鍵となる研究開発など重要な政策課題について、必要な予算措置を講じるなど、メリハリの効いた予算編成を目指す。私と麻生大臣をはじめとする関係大臣に対し、しっかり対応するよう指示がありました。
私からは以上です。詳細については、この後、事務局から説明させていただきます。
2.質疑応答
<トップランナー方式の効果>
(問)地方財政について1点お伺いします。地方交付税算定のトップランナー方式は、初年度に16業務を対象に導入され、その効果として基準財政需要額が440億円程度減額されたという報告が諮問会議の下の専門調査会にあったかと思います。石原大臣は、地方交付税のトップランナー方式の効果について、どのように評価されていますか。
(事務局)数字は、そういう資料が出ていたと思います。基本的に、まず、トップランナー方式は、幾つ拡大するかが今回の諮問会議のポイントでして、本日の高市大臣の資料では、2業務、来年度拡充するということであったかと思います。効果についての議論は、本日一切ありませんでした。
トップランナー方式の業務について基準財政需要額は減っていますが、トータルとして一般財源をしっかり確保していますので、それ自体がマクロで大きな影響を与えているということではないと認識しています。
<薬価制度改革の議論>
(問)薬価制度改革について年内に基本方針を取りまとめるということですが、これまで厚労省の中央社会保険医療協議会の中で議論が進められてきたと思いますが、広く意見を聞くということで、今後、大臣として、どのような関わり方や議論の進め方を考えていますか。
(事務局)今回の基本は、諮問会議で議論するということですので、また何らかの形で諮問会議の場で議論が行われることだろうと思いますし、本日の塩崎大臣提出の資料6によりますと、1ページに「広く関係者の意見を踏まえ、具体的方策を確定」と書いてありますので、厚労省においても色々な方々からの意見を聞かれるのではないかと思われます。
<一般歳出の水準の目安>
(問)予算編成の基本方針について、今回の案に、今後、一般歳出の伸びを3年間で1.6兆円に抑えるという方針が明記されていませんが、この目安は堅持するという理解でよろしいでしょうか。
(事務局)案に「経済財政運営と改革の基本方針2015」を尊重すると書いてありますので、維持するということです。
<薬価の毎年改定の議論>
(問)薬価の毎年改定についてお伺いします。来年4月は、通常ですと改定はありませんし、再来年の4月は通常改定があります。今からこの議論をしても、恐らく来年4月には間に合わないと思いますし、再来年は通常改定があるわけです。したがって、毎年改定が反映されるのが大分先になると思いますが、なぜこのタイミングで毎年改定の議論が出てきたのでしょうか。
(答)民間議員の御指摘を受けまして、財務大臣も言っていたとおり、塩崎厚労大臣と協力して抜本改革を行うということです。
<海外経済の先行き>
(問)月例経済報告に対しての反応として伺います。海外経済の判断を久しぶりに引き上げました。アメリカで大統領がトランプさんに新しく決まって、足下では株高が進んでいますが、今後について、この基調をどのように見ていますでしょうか。
(答)アメリカも今、政権移行チームが人選も含めて政策の調整に入っているのだと思います。具体的に何をするかという話は漏れ聞こえてきていないので、TPPについてはビデオメッセージをユーチューブで見ましたが、具体的にどのような経済対策が打ち出されてくるのか注視しているところです。
世界経済ですが、緩やかな回復が続くものと期待しています。12月にはFOMCの金融政策の決定会合があるわけです。これも注視していかなければなりませんし、中国をはじめとするアジア新興国の先行き、あるいは政策、この不確実性の影響というものも決して忘れてはならないことだと思います。そういう多々の点に留意していくということに尽きます。まだアメリカの材料が出揃っていないので、特に格段どうこうというようなことはなかなか言えないのではないかと思っています。
3.黒田内閣府参事官(総括担当)(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明
経済財政諮問会議についての概要を申し上げます。
最初に、岸田外務大臣に御参加いただき、米国大統領選挙以降の金融・経済情勢についての議論を行いました。岸田大臣から資料1について、事務方から資料2、榊原議員から資料3について説明がありました。
榊原議員からは、来週、経団連から米国にミッションを送り、新政権との関係構築に努める、との御報告がありました。
次に、塩崎厚生労働大臣に御参加いただき、経済・財政一体改革の各論として、社会保障改革、地方行財政についての議論を行いました。新浪議員から資料4、高橋議員から資料5、塩崎大臣から資料6、高市大臣から資料7について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等を御紹介いたします。
まず、財務大臣から、「今後、高額薬剤が登場してくると、薬価制度の抜本改革は避けられない。毎年改定など貴重な意見をもらった。厚労大臣と相談して薬価制度の見直しに取り組み、国民負担軽減につなげていきたい。」
民間議員から、「薬価制度改革をしっかり進めてほしい。製薬業のイノベーションを促進するよう、投資を増やすような価格づけのインセンティブを与えるべき。」
別の民間議員から、「厚労省の医薬品価格調査の情報公開をすすめるべき。薬の費用対効果分析による検証を行ってほしい。同じ効能の薬でも価格が複数あるものがあり、これは見直すべき。都道府県が質の高い医療費適正化計画を立てて実施するようガバナンスを強化すべき。都道府県に対し、地域医療構想の具体化に向けて、助成金の傾斜配分を行うよう検討してほしい。今年度中に議論を深めてほしい。」
別の民間議員から、「薬価は毎年改定すべき。高い薬が2年間価格が据え置かれると機会損失が大きい。」
官房長官から、「オプジーボの適用が最初470人の予定が1万5000人となった。こういった適用拡大の際の価格の見直しは必須だ。毎年の価格調査と改定が必要である。また、新薬創出加算もしっかりと行うべきである。」
この発言の中で、私の記憶違いでなければ、官房長官は「熱いうちに打て」とおっしゃったと記憶しております。
厚労大臣から、「御指摘の点は、資料6の1ページの「検討の方向性」にほぼ全て入っている。「毎年改定」に関しては、年4回の新薬収載の機会をとらえて、しっかりと取り組んでいきたい。新薬加算や研究開発のインセンティブについても、「検討の方向性」のとおり、取り組んでいきたい。費用対効果によっては、薬価の引上げの導入も検討したい。ゲノム医療を進めて、高額薬剤を効果の高いところで利用するということもあるのではないか。調査結果の透明性についても検討したい。都道府県のガバナンスについて、調整交付金の指摘も踏まえ、都道府県がしっかりできるよう厚労省もしっかり連携していきたい。」
最後の議事は、平成29年度予算編成の基本方針についてです。麻生大臣から資料9について説明があり、その後、資料10の予算編成の基本方針案について、諮問会議の答申として決定がされました。
ここで、総理から発言がございましたので、ポイントを紹介いたします。
「本日は、第一に、米国大統領選挙以降の金融・経済情勢について議論しました。トランプ次期米国大統領とは、先週お会いし、率直な話をすることができました。今後も、共に信頼関係を築いていきたいと思います。
第二に、社会保障改革と地方行財政改革について議論しました。
まず、薬価について、オプジーボの価格を、来年2月から早速、5割引き下げることといたしました。
本日の議論では、民間議員から提案のあった薬価の改定ルールの抜本的見直し、透明性の向上、新薬の評価の際の費用対効果の反映などが重要といった指摘がありました。
こうした民間議員の提案も踏まえ、薬価制度の抜本的改革に向けて、諮問会議で議論し、年内に基本方針を取りまとめていただきたいと思います。
また、医療費・介護費の地域差を是正するためには、関係者の役割分担と責任を明確にしながら一丸となって取り組むことが重要です。
塩崎大臣には、リーダーシップを発揮いただき、関係者をまとめ、社会保障改革を加速していただきたいと思います。
地方行財政については、これまで民間議員から、2020年度の財政健全化目標の達成のためには、国・地方一体となって財政健全化を進める必要がある。地方財政においても、国の取組と基調を合わせて改革を推進することが重要との意見がありました。高市大臣におかれては、本日の議論を踏まえ、先進事例の横展開を図るなど、地方自らの頑張りを最大限引き出す改革を進めていただきたいと思います。
最後に、平成29年度予算編成の基本方針の答申をいただきました。来年度予算編成に向けては、財政健全化の着実な取組を進める一方、一億総活躍社会の実現のための子育て・介護や成長戦略の鍵となる研究開発など重要な政策課題について、必要な予算措置を講じるなど、メリハリの効いた予算編成を目指します。
石原大臣、麻生大臣をはじめとして関係大臣におかれては、しっかりと対応していただきたいと思います。」
私からは以上でございます。
(以上)