第16回記者会見要旨:平成28年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成28年10月14日(金曜日)18時58分~19時25分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

第16回経済財政諮問会議の概要について申し上げます。
今日は2つ議事がありました。
最初の議事、経済社会・科学技術イノベーションの活性化についてですが、榊原議員から、専門調査会の中間報告の説明に続いて、新型推進費を創設するなど、産学官連携のための資源配分の仕組みを強化し、オープン・イノベーションや共同研究を大胆に推進すべきという提言がありました。
その他、民間の研究開発資金を呼び込むため、使い道を明確に区別できるよう技術開発水準を評価するシステムを導入すべき、例えば、水道システムへの先端技術の導入等を予算プロジェクトの対象として、公共調達へつなげていくべき、寄附税制を更に工夫すべし、といった意見がありました。
これに対して松野大臣から「オープン・イノベーションや基礎研究・人材投資を推進していく」、また、鶴保大臣より「新型推進費の具体的設計等に全力を尽くす」旨の発言がありました。
続いて、2番目の議事に入ります。メリハリを効かせた歳出改革の推進について、まず、高橋議員から、入院費を考慮に入れた一人当たり医療費の地域差半減目標の徹底や、オプジーボの価格の大胆な引下げを行うべきであるという提言がありました。
オプジーボについては、その後の議論においても、「50%以上の引下げが必要」「薬価設定の新たなルール作りが必要」という意見もあり、これを受けて塩崎大臣より、「高額薬剤の緊急引下げを実施するとともに、30年度には薬価の抜本改定を行う」旨の発言がありました。
その他、関連して、一人当たりの医療費に大きな地域差が生じる要因を詳細に厚生労働省に分析してほしい、社会保障分野の改革工程表44項目を全て実施すべきである、介護現場の生産性向上に向けた取組が必要である、などの発言がありました。
この後、これを受けて、総理から発言がありました。発言のポイントを要約して紹介させていただきます。
GDP600兆円という目標に向け、日本経済の潜在成長率を高めていくには、イノベーションを起こし続けることが重要である。適切な資源配分により民間投資の誘発効果を最大限高めるよう、科学技術・イノベーション予算の抜本的な強化策を取りまとめることを各関係大臣に指示されました。
潜在成長率を高めるためには、いかに民間投資を引き出せるかが鍵である。民間研究開発投資の積極的な拡大について、産業界に対して一層の協力を期待する旨の発言がありました。
専門調査会には年末までに議論を深めてもらい、その報告を踏まえ、再度議論したい。
歳出改革に関し、一人当たり医療費の地域差半減や高額薬価の引下げなどについて、塩崎大臣を始めとする関係大臣に、今後、議論を深めて対応策を具体化するよう指示されました。
私からは以上です。


2.質疑応答

<オプジーボの価格引下げ>
(問)オプジーボの価格の引下げについて、50%以上の引下げが必要という声は民間議員から出ていたのでしょうか。

(答)民間議員です。

(問)閣僚から、これに関して何か発言はありましたでしょうか。

(答)塩崎大臣から、先ほど紹介させていただきましたとおり、薬価改定の年でなくても、高額薬剤の緊急引下げを実施するといった発言がありました。ここの引下げ幅について議論があったということです。

(問)厚労省は中医協で最大25%という数字を出しています。それが十分なのかどうかの議論があったということですが、これについて石原大臣は、引下げ幅が十分かどうか、どのような御認識でしょうか。

(答)医療制度を維持する、また、新薬が広く普及し、多くの方々に利用していただくためには、下げられるものは下げるにこしたことはない。ただし、考えなければいけないのは、新薬の開発には大変巨額な資金がかかっています。そこはやはり厚労省の方で適切な価格を打ち出すということが必要ではないでしょうか。
雑談の中で議論があったのですが、日本で創った薬がどうして外国の方が安いのかといった意見も出ていました。

(問)緊急引下げが必要というお話は、あくまでオプジーボだけなのか、それ以外の薬に関しても具体的な名前が出たのか、お伺いしたいです。

(答)今日は、オプジーボの各国の比較が表として資料についていましたので、この1点です。


<介護保険、配偶者控除の議論>
(問)国の財政のことを考えますと、メリハリの効いた歳出改革は欠かせないことだと思いますが、例えば介護保険や配偶者控除をどうするかといったような議論がなかなか先に進んでいないようにも見受けられます。これには永田町に解散風が吹いているということも影響しているのでしょうか。

(答)介護保険の見直しについての議論というものは、国会の中でも衆・参ともに活発に行われていますし、我が党の中でも、また政府の中でも、どうあるべきか、ということは絶えず議論され、改良が進んできていると思います。配偶者控除についても、2年前にか、経済財政諮問会議で提言されてから、ずっと議論が続いております。
税というものはレベニュー・ニュートラルで、控除となると、減税になる方、増税になる方、両方いらっしゃるわけですから、やはり各界各層、またどういう仕事で、これからどういう方々が、どういう社会に出て、どういう仕事をするのか、その方向性等々、または、そういう現状の意見を十分に聞いた上で税制改正を行うということが、税制改正のこれまでのやり方です。乱暴に事を進めることは、税制改正の世界の中では無く、例えば、検討項目に上がる、検討項目に上がったところで大きな改革を行うということが世間に初めてオーソライズされ、それから2年、3年と議論して、決めていく。これが税の決め方です。その決め方があるから、大きな混乱もなく納税者の方々が納税をしてくださる。このように御理解いただければよろしいのではないかと思います。

(問)それでは、解散風が吹いているから負担を強いる政策をなかなか進められないといったわけではない、ということでしょうか。

(答)解散風なるものがどういう風か、私のところには吹いていないもので分かりません。


<一人当たり医療費の地域差>
(問)一人当たり医療費の地域差について、理由をしっかり調査してほしいという意見は民間議員からあったのでしょうか。

(答)一人当たり医療費の地域差半減や高額薬価の引下げなどについて、塩崎大臣を始めとする関係大臣に、今後議論を深めて対応策を具体化するよう総理の指示が出たわけです。その前に、こういう議論があったと御理解いただければと思います。

(問)地域差が生まれる理由は、現状どういうことが考えられるのでしょうか。

(答)色々なことがあると思います。食生活に塩分を多くとる地域もあるでしょうし、それによって成人病の率が高い等、あるいは医師の数や入院できるベッドの数、様々な要因が複合的に影響していると思いますが、厚労省としてしっかりとした分析がなされることを期待します。


3.黒田内閣府参事官(総括担当)(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明

それでは、第16回経済財政諮問会議についての補足説明を始めます。
最初に、松野文部科学大臣、鶴保科学技術政策担当大臣、経済社会・科学技術イノベーション活性化委員会の上山委員、橋本委員に御参加いただき、経済社会・科学技術イノベーションの創造に向けた制度改革についての議論を行いました。榊原議員から、資料1及び2について説明、問題提起があり、その後意見交換を行いました。
主な御意見等を紹介いたします。
まず、松野文科大臣から、「官民連携による投資拡大に向け、指定国立大学法人をモデルとした大学等の改革を進めていく。また、産学官連携の具体策について、この秋までに経産省とも連携を図って成案を得るとともに、文科省の研究開発制度もオープン・イノベーションのための改革を進める。ノーベル賞の大隅先生の成果もあり、基礎研究への投資や若手研究者の研究環境づくりが重要だ。政府研究開発投資GDP比1%を目指すとともに、予算全体の中で研究開発、人的投資への配分強化を検討していただきたい。」
鶴保大臣から、「この資料で配っている中間報告では、総合科学技術・イノベーション会議(以下、「CSTI」という。)の司令塔機能の強化、官民の研究開発投資の拡大のため、新型推進費の創設や、産業界からの投資拡大のための制度改革、エビデンスに基づく官民投資拡大という3つのアクションを掲げた。今後、検討を深めて年内に取りまとめる。26兆円という投資の拡大の実現に努力したい。」
財務大臣から、「研究開発に関しては、「科学技術基本計画」において、「経済・財政再生計画」との整合を図ることとされていることに留意が必要だ。企業から大学への研究開発投資が減少しているが、しっかりと取り組むことが必要だ。」
続いて、民間議員から、「経済財政諮問会議とCSTIの連携により、CSTIの司令塔機能の強化を図り、3つのアクションを着実に進めていくことが重要。」
別の民間議員から、「エビデンスに基づくオープンガバメントが重要。」
別の民間議員から、「科学技術を活用することの財政への効果が大きいことを強調したい。」資料で言えば、資料2-2、4ページで、オークランド州の水道システムの例を紹介されております。
別の民間議員から、「民間の資金を活用するよう、寄附税制について検討すべき。」
別の民間議員から、「企業の資金の活用にはSIPの仕組みが優れているので、これをフォローしていく必要がある。」
次に、塩崎厚労大臣、加藤働き方改革担当大臣に御参加いただき、メリハリを効かせた歳出改革の推進についての議論を行いました。高橋議員から資料3について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等を御紹介いたします。
まず、厚労大臣から、「改革工程表の44項目について、本年末が期限の11項目を含め、鋭意検討していく。1人当たり医療費の地域差半減の取組も進めていきたい。また、都道府県や保険者がしっかりやるように改革を進めていきたい。高額薬剤、オプジーボについては、国民負担軽減の観点から緊急的に薬価を引き下げ、平成30年度に薬価制度を抜本的に見直す。」
高市総務大臣から、「「トップランナー方式」については、全23業務のうち、平成28年度に16業務に導入した。残るものも平成29年度以降、できるものから導入していきたい。地方自治体や各省からヒアリングをして、年内に結論を出す。「まち・ひと・しごと創生事業費」については、地方自治体の状況の分析をしており、その結果や地方の声を聞いて年内に結論を出したい。「重点課題対応分」については、地方自治体にその趣旨を説明してきており、更に情報提供を徹底していきたい。」
続いて、民間議員から、「オプジーボについては、英国で約15万円、日本では73万円という価格で売られているが、そのポイントは、日本の価格設定に機動性がないことではないか。そこの柔軟性を高めるようにしてほしい。資料にあるとおり、地域別に見て医療費が高いところは、入院が多い、病床数が多い、糖尿病などが多い、ということが見てとれる。厚労大臣には対応を検討してほしい。」
別の民間議員から、「この1人当たりの医療費の地域差については、需要面、また、供給面、若しくはその地域の健康づくりといったところで分析もできるが、それ以上の分析は難しいので、1人当たり医療費の上位5県、下位5県が、なぜそうなっているのか、といった理由を厚労省で分析してほしい。」
別の民間議員から、「社会保障費の自然増分で6,400億円が要求されているところを、5,000億に抑制することを実現する必要がある。 社会保障の工程表44項目の着実な実施をしてほしい。特に給付と負担の適正化について、今年中に結論を得て着実に改革してほしい。オプジーボについては、薬価を大胆に引き下げるべきである。医療費の地域差半減に当たって、介護の長期療養病床は、予定どおり平成29年度末までに廃止することを前提とすべきである。」
別の民間議員から、「1人当たり医療費の地域差半減について、入院費を計算していかないことは問題。12月末までにしっかりとしたKPIをつくってほしい。オプジーボについては、ルールとして期中においても価額を変えられるものとすべきである。介護の現場における生産性向上が大事である。また、その介護の認定度によって売上げが変えられてしまうというモラルハザードがある疑いがあるので、そこを変えていかなくてはいけない。」
これらの議論に対して厚労大臣から、「頂いた御指摘はしっかり対応したい。オプジーボについては、薬価を2年に1度見直す慣行に対し、今回は期中に見直し、さらに平成30年度に向けて抜本的見直しを考えていく。地域差に関する入院費についてもしっかりと中を見ていきたい。介護の話については、要介護度を良くすることが大切なので、保健者が主体的に取り組めるよう改革を進めていきたい。療養病床の見直しもしっかり進めていきたい。」
また、民間議員から、「徳島県での水道の広域化がうまくいっていない部分があるようで、そこは何とかすべきではないか。香川県は資料の数字上では広域化の取組は低いが、今、全県で一体となる動きがあると聞いている。そうすると、徳島県ではうまくいっていないのはおかしいのではないか。」
その意見に対し、厚労大臣から、「香川県ではうまくいっているということなので、徳島県の指摘については話を聞いてみたい。」
ここで、総理から発言がございました。ポイントをご紹介いたします。
「GDP600兆円という目標に向け、日本経済の潜在成長率を高めていくには、イノベーションを起こし続けることが重要です。このため、官民一体となって研究開発投資を拡大していかなければなりません。関係大臣には、民間議員からの提案も踏まえ、適切な資源配分により民間投資の誘発効果を最大限高めるよう、科学技術・イノベーション予算の抜本的な強化策を取りまとめていただきたい。加えて、潜在成長率を高めるためには、いかに民間投資を引き出せるかが鍵です。民間研究開発投資の積極的な拡大について、産業界の一層の協力を期待しています。専門調査会には、年末までに議論を深めてもらい、その報告を踏まえ、再度議論していきたいと思います。
また、2020年度の財政健全化目標を達成するために、歳出改革を着実に実施していかなくてはなりません。本日は、平成29年度の予算編成に向けて、重点的に取り組むべき改革についての議論を開始しました。民間議員からは、一人当たりの医療費の地域差半減を徹底すべき、高額薬剤について状況変化に応じて特例的な対応をすべき、などの指摘がありました。
塩崎大臣を始めとして、関係大臣には、今後議論を深めて対応策を具体化し、歳出改革を加速していただきたいと思います。」
私からの補足説明は以上です。

(以上)