第7回記者会見要旨:平成28年 会議結果

石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成28年4月25日(月曜日)19時16分~19時42分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

まず、熊本・大分の地震で亡くなられた方に改めまして哀悼の誠を捧げさせていただき、避難生活を余儀なくされている皆様にも心からお見舞いを申し上げます。
第7回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
今日の議題は二つで、最初に、600兆円経済に向けた議論を行いました。
事務方から、熊本地震の経済への影響について説明し、続いて、600兆円経済実現に向けた経済財政諮問会議としての考え方、資料2の説明がありました。
熊本地震については、民間議員から、現地の工場の被災状況について、補正予算の編成などの政府の速やかな対応への評価、観光についても言及がありまして、スピード感を持った復旧が必要で、その観光の要衝になっているというお話もありました。
続きまして、「600兆円経済への実現に向けて」、社会保障負担の在り方、130万円の壁の問題、行政手続きの簡素化等について議論があり、本日の議論は、「骨太方針」に向けた議論に反映することとして、資料2を経済財政諮問会議として取りまとめ、一億総活躍国民会議に提示をさせていただくことが了承されました。
続いて、2番目の議事ですが、「経済・財政一体改革」について議論をいたしました。
高橋議員から、資料3について、公的施設等の集約・広域化を通じて、総コストの低減等に政府横断的に取り組むべき、ストック効果の高い社会資本整備への重点化が進む実効性のある仕組みを構築すべき、各種交付金などの成果の「見える化」を進めるべき、というお話がありました。
続きまして、高市総務大臣、森山農林水産大臣、石井国土交通大臣の3大臣から、資料4、資料5、資料6について説明がありました。
まず、高市総務大臣から、地方行政サービス改革、トップランナー方式等々について説明がありました。
続いて、森山大臣からは、農林水産業の成長産業化等について説明がありました。
石井大臣からは、人口減少下で経済成長を支え、安全・安心を確保する、ストック効果の高い社会資本整備についての説明がありました。
その後フリーディスカッションとなりまして、ビッグデータの活用について、公共事業の早期執行に向けた前払金の在り方について、コンパクトシティ化の推進について、農地の中間管理機構をより活用すべきこと、空き家の活用等々についての議論がありました。
ここで、総理から御発言がありましたので、ポイントを要約して御紹介させていただきます。
熊本地震については、地域経済やサプライチェーン、内外からの観光客への影響が最小限になるよう、一層の協力を経済界に御依頼されておりました。
私に対して、加藤大臣をはじめ関係大臣と協力し、より強固な「成長と分配の好循環のメカニズム」を築けるよう、必要な制度改革や規制改革を「ニッポン一億総活躍プラン」や「骨太方針」に盛り込むようにとの指示がありました。
地方自治体による社会インフラの統廃合や公的サービスの広域化、地方自治体に対する補助金や交付金の効果を「見える化」し、総合的に評価する仕組みを構築し、関係大臣に対し、具体的な方針を「骨太方針」に盛り込むよう指示がありました。
詳細はこの後、事務方から説明させていただきます。私からは以上です。



2.質疑応答


<税収増の議論と震災の影響>
(問)前回の諮問会議に出ました税収増の活用の議論は今回出なかったということで、今後その議論はどうなっていくのでしょうか。また、熊本の地震は、当然、経済に影響があると思うのですが、そういったことは税収増の議論に影響するのでしょうか。

(答)1点目の、いわゆる底上げの議論は、今日は一切ありませんでした。熊本の地震のGDPへの影響等々によって、税収等々にどのような影響があるというような議論も特にありません。閣議後の会見等々でも説明させていただいていますように、大型連休明けには、地震の大まかな被害総額を皆様にお示しします。こういうものを見てからの話ではないかと考えております。

<税収増の議論のスケジュール>
(問)税収増の議論について、今回の資料にははっきりと税収増を使うかどうかとか書いていませんが、どのぐらいの時期に明確化していくお考えでしょうか。

(答)民間議員の方とお話をさせていただいている限りでは、もう少し時間がかかるのではないでしょうか。5月の中旬にはQEも出ますし、もう少し経済全体をよく分析して、そして、明日、一億総活躍国民会議がありますので、そこでの意見等々を民間議員の方が踏まえられるということだと思います。

(問)5月中旬に「ニッポン一億総活躍プラン」がまとまる予定ですが、その中ではもう少し具体的な表現ができるイメージでしょうか。

(答)そこまで詰めた議論にはなっていないですから、そこはまだ予断を許しません。

<民間議員の税収の底上げの考え方に対する大臣の評価>
(問)前回の会議で、大臣がアベノミクスの成果について、歳入・歳出両面あることが確認された、と総括されたと思うのですが、その歳入のうち、税収の底上げ部分について、前回会議で民間議員が底上げとは税収の見積りを上回る部分から特殊要因を除いた部分ではないか、という提案をされましたが、底上げ部分の民間議員の考え方について、大臣はどのように評価されているのでしょうか。

(答)私は、あのとき話を聞きまして、「キックオフですね」という引き取り方をしたのですが、まさに、これからどのように議論をして、どのような結論を得るかということによって、今の御質問の答えになっていくのだと承知しています。

<「骨太方針」策定のスケジュール>
(問)今後のスケジュールの確認ですが、5月半ば頃に「ニッポン一億総活躍プラン」ができますが、「骨太方針」の策定は5月中に行うということでいいのでしょうか。スケジュール感として、どのように考えていらっしゃるのか教えてください。

(答)熊本の地震が発生しました。熊本地震に対する補正予算案の審議もあります。また、どれだけの被害で経済にどのような影響があるのか。私も、もう少し落ち着きましたら、現地のサプライチェーンや地元の商工会議所等々を回らせていただいて、地震の影響をじっくり見ていきたいと思っています。そういうものを見ないと、やはり、いつ何を、というところまで断言できる材料を持ち合わせていない、というのが現状です。


3.前川内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明


第7回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。
最初の議事として、塩崎厚生労働大臣、加藤一億総活躍大臣に議論に御参加いただき、600兆円経済の実現に向けた議論を行いました。
内閣府事務方から資料1、配布資料2、資料2等について説明をし、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等を紹介いたします。
民間議員から、「関連工場が被災し、操業停止中。復旧には少なくとも数か月かかる見込み。商品供給は、配送手段の確保が難しく、一時的に一部商品の出荷を見合わせざるを得ない。一方で水やマルチビタミンを供出した。義援金や更なる支援を通じて、熊本・九州の経済の回復に貢献していきたい。被災した方の仮設住宅はもちろん、住宅を早期に整備すべき。交通網を早期に復旧させ、支援物資を確実に届けてもらいたい。」
同じ民間議員から600兆円経済関連で、「日本版外国人材グリーンカードを思い切った策として評価。時限を切って高度人材を呼ぶもので、移民受入れとは別物。開かれた日本というメッセージになる。社会保障の負担の抑制に、年金・医療・介護と横断的に負担増の決定プロセスを諮問会議の下で検証すべき。消費力の向上にもつながる。いわゆる130万円の壁だが、キャリアアップ助成金の一事業所当たり300万円の上限は取り払ってほしい。農業について、中間管理機構をもっと活用すべき。」
厚労大臣から、「社会保障について、負担増の問題については、IT化や保険者機能の強化を含めて、質と持続性の向上を図ることで、負担増を抑えていきたい。130万円の壁については、今国会に年金の法改正を提出しており、中小企業にも被用者保険の途を開こうとしている。キャリアアップ助成金の仕組みについては、関係者の話も聴くなどして検討したい。」
民間議員から、「地震対応について、補正予算含め、政府の速やかな対応を評価する。経済界としても復旧・復興に最善の努力をする。過去3回の震災後、消費者マインドは低下した。過度な自粛ムードにならないようにすることが必要。企業の行事で熊本・大分の産品の利用も重要である。600兆円に向けた「官民戦略プロジェクト10」が先週の産業競争力会議で提示された。経済界の提案を受け止めてもらい、画期的なことである。このプロジェクトを推進する行動計画を立てる必要がある。」
別の民間議員から、「行政手続きの簡素化について、対日投資の方では1年以内に結論を得るとあるように、一般的な手続きについても時限を切って取り組むべきである。近年、先進国でも取組が進んでおり、フランスでは行政手続きの簡素化を進め、世界銀行の評価では34位から27位に順位を上げた。日本は24位から34位に下げている。企業の声などをくみ上げて、政府横断的に取り組むべきである。」
別の民間議員から、「地震について、熊本は観光というスピードの速い分野が主要産業であり、政府はスピード感をもって復旧に取り組むべき。」
議事の最後に、資料2「600兆円経済実現に向けて」については、諮問会議として取りまとめ、一億総活躍国民会議に提示することが了承されました。
2番目の議事として、石井国土交通大臣、森山農林水産大臣に御参加いただき、「経済・財政一体改革について」議論をいたしました。
高橋議員から資料3、高市議員から資料4、森山大臣から資料5、石井大臣から資料6について説明があり、その後の主な御意見等を紹介いたします。
財務大臣から、「ビッグデータについて、我が国では技術的には可能であろうが、問題は企業などが情報を出せず、使えないということだ。情報を出してもらえば生産性が上がるので、どうやったら出すことができるか、諮問会議でもよく考える必要がある。」
民間議員から、「ここ数年、予算の不用額は1.5兆円程度にのぼっている。決算を精査して予算編成に反映するPDCAが重要だ。」
別の民間議員から、「コンパクト・プラス・ネットワークは、富山市、新潟市のような好事例の横展開が重要だ。農業は中間管理機構の活用が進んでいない。農水大臣の指導力をお願いしたい。社会資本分野の課題としては何度も指摘しているが、空き家の有効活用策が必要だ。」
別の民間議員から、「トップランナー方式の導入は評価したい。あわせて、先進的な取組の「見える化」の徹底をお願いしたい。社会資本分野での生産性革命の推進は、工程の具体化まで踏み込んでほしい。公共事業の前倒し執行のためには、前払いが可能な範囲の拡大の検討が必要だ。」
別の民間議員から、「社会資本分野の生産性革命は非常に重要である。経済界としても全面的に協力していきたい。」
総務大臣から、「トップランナー方式については、今国会でしっかり説明して法改正を行ったものだ。期間終了の段階で検証し、次の方向性を考えることとしたい。国庫負担金について、国と地方の役割分担からすると、パフォーマンス指標の設定はいかがかと思う。ビッグデータに関しては、情報の匿名化をして利用するための法律を今国会で出しており、第一歩を踏み出したところだ。」
財務大臣から、「空き家については、日本に中古住宅のマーケットがないことが問題だ。前払金については、調整することは可能と考える。」
国交大臣から、「コンパクトシティについては、現在市町村において計画策定中であり、支援していきたい。空き家については、メンテナンスや評価が大切である、インスペクションも重要であるので、宅建業法改正を国会に提出している。前払金については、実態を踏まえて検討したい。」
農水大臣から、「中間管理機構は、県で濃淡あるも、伸びてきている。」
ここで、総理から発言がございました。私から発言のポイントを御紹介いたします。
「今般の地震では、今なお数多くの被災者の方が、不自由な避難生活を余儀なくされている。被災者の皆さんの不安な気持ちに寄り添い、被災者の生活支援をオールジャパンで一層加速していかなければならない。先手先手で被災者支援・復旧対策に機動的に対応するため、今般、28年度補正予算を編成することとした。
また、被災者の生活再建のみならず、産業の復旧も急務となる中、工場などの被災状況を把握し、迅速に対応していく。中小企業・小規模事業者の取引をはじめとする地域経済やサプライチェーン、内外からの観光客への影響が最小限となるよう、政府としても全力を尽くしていく。経済界の皆様におかれても一層のご協力をお願いする。
ここで総理から詳細な復旧状況について紹介がありましたが、事実関係ですので省略いたします。
本日、「600兆円経済実現に向けて」を取りまとめた。石原大臣には、加藤大臣をはじめ関係大臣と協力し、より強固な「成長と分配の好循環のメカニズム」の構築を目指し、必要な制度改革や規制改革を「ニッポン一億総活躍プラン」や骨太方針に盛り込んでいただきたい。
また、民間議員より、経済・財政再生計画の推進に向けた提案をいただいた。
これを踏まえ、人口減少に対応した、地方自治体による社会インフラの統廃合や公的サービスの広域化、さらには、地方自治体に対する補助金や交付金の効果を「見える化」し、総合的に評価する仕組みを構築する。関係大臣におかれては、具体的な方針を骨太方針に盛り込んでいただきたい。」
私からは以上です。

(問)「600兆円の実現に向けて」の資料の「IV.成長と分配をつなぐ経済財政システムの構築」のところで、歳出効率化の成果を還元する仕組みを構築するとありますが、いわゆる税収増という言葉がないのですが、アベノミクスの成果から税収増という考えを除いたということではないという理解でよろしいでしょうか。
(答)そのとおりです。除いたというわけではありません。

(以上)