第6回記者会見要旨:平成28年 会議結果
石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:平成28年4月18日(月曜日)18時27分~18時32分
- 場所:官邸3階エントランス
1.発言要旨
まず冒頭、今般の熊本・大分の震災でお亡くなりになった方に心から哀悼の誠を捧げます。また、10万人を超える方々が避難生活を余儀なくされておられます。被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
本日の経済財政諮問会議の概要について、説明いたします。詳しくはこの後、事務方から説明します。
本日は議事が2つありまして、1番目は、「現下の世界経済情勢と国際協調について」、伊藤議員から説明がありました。
伊藤議員からも冒頭、熊本地震について、地域経済の観点から、早期回復に官民を挙げて取り組む必要性について発言がありました。その後、G7各国が抱える共通課題に対して、日本がリーダーシップを発揮し、国際連携・協調を牽引すべきであるとの提言、議論がありました。
その他、他の民間議員からも地震について、経済界の対応について発言がありました。また、近く開催されるG7ビジネスサミットにおいて提言を取りまとめるという説明もありました。
2番目の議題ですが、骨太方針に向けて、少子化対策・女性活躍、アベノミクスの成果の活用について、議論いたしました。
高橋議員から、600兆円経済の実現に向けて、結婚・出産、子育て支援の総合政策パッケージを策定すべき。財源としては、アベノミクスの成果を活用すべき。
加藤一億総活躍担当大臣から、女性活躍加速のための重点方針2016を5月下旬に取りまとめる。また、結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなえられる環境を整備する政策の総合的な展開が必要である、という意見がありました。
続きまして、塩崎厚生労働大臣から、少子化対策は、成長と分配の好循環につながるものであり、民間議員の指摘のように、子ども子育て、家族支援、保育士・介護人材等の処遇改善などの施策の充実には、アベノミクスの成果も活用すべき、との意見がありました。
その後、内閣府事務方から、一億総活躍社会に向けた成長と分配の好循環のモデルについて、どういう形で好循環が生まれていくのかという整理をいたしました。
そして、高橋議員から、しっかりとした経済成長による実力としての税収増、すなわち税収の「底上げ」や、歳出改革の取組による成果など、アベノミクスの成果は生まれてきている、との指摘がありました。
また、麻生財務大臣から、生活保護世帯の減少、失業給付の減少など、歳出面にもアベノミクスの成果は生まれてきている、税収の底上げが直ちに安定財源となるかは疑問である、という意見や説明がありました。
その後、民間議員から、今春季の労使交渉(春闘)の回答状況について言及があった後、アベノミクスは歳入歳出両面で成果を上げていることが確認できた、との発言がありました。
加藤大臣から、保育士や介護職員の待遇改善について、継続的かつ安定的に財源が確保されることが不可欠、との発言がありました。
最後に、会議を総括する形で総理から発言がありましたが、ここにいる皆様方はお聞きのことだと思いますので、説明は割愛します。
私からの説明は以上です。
2.質疑応答
<経済対策>
(問)熊本地震に関連してですが、会議の中で、何らかの経済対策に関して言及するような発言は、閣僚あるいは民間議員からはあったのでしょうか。
(答)「経済対策」という言葉はありませんでしたが、冒頭、伊藤議員から、「地域経済の早期回復に官民を挙げて取り組む必要性」についての発言がありました。ともかくまだ行方不明の方がいらっしゃいますので、救助と確認。そして避難されている方が大勢いらっしゃいますので、この人たちへの物資の供給に全力を尽くすべきときですが、今日の会議では一つ先の話もあったような気がします。
3.前川内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
(日時:平成28年4月18日(月曜日)19時15分~19時37分 場所:中央合同庁舎8号館S108会見室)
第6回経済財政諮問会議について、概要を申し上げます。本日は黒田議員、新浪議員が御欠席で、日本銀行から中曽副総裁が参加されました。
最初の議事として、武藤外務副大臣に参加いただき、「現下の世界経済情勢と国際協調について」議論を行いました。
伊藤議員から、冒頭、平成28年熊本地震について、地域経済の早期回復に官民を挙げて取り組む必要性について指摘があり、その後資料1について説明、意見交換を行いました。
主な意見を紹介いたします。
民間議員から「熊本地震については、政府の対応は極めて迅速であり心強く思っている。経済界としても義捐金や、被災された学生の就職活動への柔軟な対応など、できるだけの対応に取り組む。政府には、復旧、復興への対応についても適切な対応をお願いしたい。
今週木曜日にG7のビジネスサミット「B7」を開催する。G7が、財政出動を伴う成長戦略を柱として、協調して世界経済を牽引していくことが不可欠の課題、との提言をまとめたい。特に日本が成長に貢献する姿勢を示すことが重要。」
2番目の議事として、塩崎厚生労働大臣、加藤一億総活躍/女性活躍/少子化対策担当大臣に御参加いただき、骨太方針に向けた少子化対策・女性活躍やアベノミクスの成果の活用について議論いたしました。
少子化対策、女性活躍に関係して、高橋議員から資料2、加藤大臣から資料3、塩崎大臣から資料4、内閣府事務方から資料5について説明があり、続いて、アベノミクスの成果の活用に関連して、高橋議員から資料6、麻生大臣から資料7について説明があり、「税収の「底上げ」が直ちに安定財源となるかは疑問。」という発言がありました。
その後、意見交換を行いました。
主な意見を紹介いたします。
民間議員から2016年春季労使交渉について配付資料に沿って説明がありました。
別の民間議員から「ベアについて、自動車・電機で初めて中小が大企業を上回った。大企業もベア実施比率が昨年を上回った。すそ野が広がっており、更に広げていくべき。」
加藤大臣から「保育士や介護職員の待遇改善が事業所で行われるためには、継続的かつ安定的な財源確保が必要だ。
また、少子化対策等の施策が効果を上げるには、保育士や介護を志す人やサービスを利用する方々が、将来展望が持てることが大切であり、施策が継続的に実施されるよう配慮をお願いしたい。」
民間議員から「土台増について、デフレ脱却局面において体質が改善している。名目GDPの増加に確実に表れており、安定的とみなせる。失業率の低下、生活保護世帯の低下も成果であり、安定性という意味では歳出・歳入両者同じである。財政のスタンスについて、「目安」を堅持するのか、内閣の最重要課題に充てていくのか、中国含め海外経済が激変する中で、デフレ脱却は胸突き八丁にある。経済の拡大均衡を実現する観点から、税収の活用をすべきと考える。」
別の民間議員から「歳出・歳入両面で成果が上がってきている。内閣の重要課題に充てるべきと考える。マクロ的な経済効果もあるので諮問会議でしっかり議論すべき。」
また、別の民間議員から「経済界としては、事業主拠出の拡大により、5万人分の保育の受け皿確保に協力する。短期的にはアベノミクスの成果、中長期的には社会保障関連の歳出効率化の成果の一部をワイズスペンディングで活用し、少子化対策に重点配分すべき。」
財務大臣から「歳入を充てるか、歳出か、という議論だが、歳出は確実に減っている。2020年度のPB黒字化を指標において考えていくべきだ。」
官房長官から「アベノミクスの成果により、税収は増えている。アベノミクスのさらなる発展のため、必要なところには、「底上げ」に相当する分は活用すべきと考える。」
ここで、総理から発言がございました。私から発言のポイントを御紹介いたします。
「平成28年熊本地震では、極めて甚大な被害が発生し、10万人を超える方々が、避難所や車中において、不自由な避難生活を余儀なくされている。
食料や水、下着などの生活必需品の確保、医薬品の提供、生活インフラの復旧、住環境の整備などが一刻も早く求められる中、こうした危機の時こそ、国も民間も、オールジャパンで、不安な時を過ごしている熊本の皆様を支えなければならない。
政府としても全力を尽くしているが、経済界におかれても、それぞれの立場で、できる限りの手段を尽くしていただくようご協力をお願いする。
G7伊勢志摩サミットまで、あと一か月あまりとなった。世界経済の不透明感が高まる中、G7が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引する責任を果たしていかなければならない。
「新・三本の矢」の政策は、雇用・所得環境の改善と、労働力人口の減少といった構造的課題の解決を同時に目指すものであり、各国にアピールできるよう、しっかりと磨き上げていく必要がある。
600兆円経済の実現に向けては、需要喚起と潜在成長率向上の両面から、明確なメッセージとなるよう、関係大臣は、政策の具体化を急いでいただきたい。
アベノミクスによって、経済再生と財政健全化の双方が着実に前に進んできている。我が国の経済成長の隘路の根本にある人口減少、少子高齢化という構造的な問題には、アベノミクスの成果も活用しつつ、対処する必要がある。
「成長と分配の好循環」を実現するため、加藤大臣におかれては、「ニッポン一億総活躍プラン」に、結婚・出産・子育て支援についての大胆かつ総合的な政策パッケージをしっかりと盛り込んでいただきたい。
今年の春闘では、ベアを実施する企業の割合が、およそ74%と、昨年を20ポイント上回るとの調査結果もあり、幅広い業種で待遇改善の動きが見られ、言わば、ベアのすそ野が拡がってきていると考えていい。また、自動車や電機などの分野において、統計開始以来初めて、中小組合のベアが大手を上回る見込みとなり、賃上げは中小企業・小規模事業者にも拡がりをみせている。
経済界におかれては下請中小企業の取引条件の改善に引き続きしっかり取り組んでいただき、こうした流れを更に広げていただきたい。」
私からは以上です。
(問)アベノミクスの成果による税収増の活用について、麻生大臣からは、税収の「底上げ」が直ちに安定財源となるかは疑問、という意見があり、一方で官房長官から、「底上げ」に相当する分は活用すべき、総理からも、アベノミクスの成果の活用、という発言があったということですが、税収の「底上げ」とは何かという議論はあったのでしょうか。
(答)今ご質問いただいた箇所がその議論に相当するところです。
(問)一般的な感覚で、諮問会議で消費増税延期に関する議論が少なすぎると感じますが、民間議員にそういった議論を控えるよう申し合わせを行っているのでしょうか。
(答)本日の諮問会議においても消費増税延期に関する議論はありませんでした。また、議論を申し合わせるようなことはしておりません。自由に議論をしていただいております。
(問)前回の消費増税延期決定後に経済財政諮問会議に出された内閣府による新しい方針に基づいた中長期試算は、前回の消費増税延期を総理が決断する際に既にあったのでしょうか。それを判断材料として総理は消費増税延期を決断したのでしょうか。
(答)過去の経緯については、本日の会議に関することではないので、明確にお答えできないため、回答を差し控えさせていただきます。
(問)総理が、少子高齢化という構造的な問題にアベノミクスの成果も活用するとおっしゃられたのは、税収の「底上げ」を積極的に使う姿勢を示されたものなのでしょうか。
(答)総理の言葉のとおりです。「アベノミクスの成果も活用しつつ」ということです。
(問)総理のその発言は、官房長官の発言を受けての発言ではないのでしょうか。
(答)時系列的には、官房長官の発言の後、総理が発言されています。
(問)民間議員からの、財政のスタンスについて「目安」を堅持するのか、内閣の最重要課題に充てていくのか、という発言の紹介がありましたが、諮問会議全体としてこの二者択一の議論をしているのでしょうか。
(答)諮問会議全体として二者択一で考えているわけではありませんが、この民間議員は、「目安」を堅持するのか、内閣の最重要課題に充てていくのか、どちらを選択するのかが重要だと考えている、ということです。
(問)2020年のPB黒字化の目安を堅持しないで最重要課題に充てるべきだ、という意見でしょうか。
(答)決してそうではありません。諮問会議で「目安」という場合は、2020年のPB黒字化目標ではなく、3年間で、社会保障費を1兆5千億円の増加に抑えるとか、一般歳出の増加を1兆6千億円に抑えるとか、そういった中間目標の目安を言います。
(問)アベノミクスの成果について、財務大臣から、税収の「底上げ」が直ちに安定財源となるかは疑問、いう意見があったと紹介されましたが、民間議員から同じ方向の意見はありましたでしょうか。
(答)民間議員から財務大臣のような立場での発言はありませんでした。
(問)税収の「底上げ」が直ちに安定財源となるかは疑問、と言ったのは財務大臣のみで、議論の大勢としては、税収の「底上げ」を活用する、ということでしょうか。
(答)何をもって議論の大勢とするかはわかりませんが、財務大臣の立場で話されたのは財務大臣お一人、税収の「底上げ」を活用すべきとの立場は官房長官と民間議員二人でした。諮問会議は議長と議員10名計11名で構成されておりますが、何をもって議論の大勢と言うのかは判断を留保させていただきます。
(問)アベノミクスの成果の活用について、具体的にどのように活用するといった議論は、骨太の方針の決定前にどれくらい議論されるのでしょうか。
(答)今日の議論は御紹介したとおりですので、いわば指し掛けの状態です。議論は済んでいませんので、当然、今後の諮問会議で議論が続いていくことになりますが、今、ご質問があったことについては、まだどうするかは決まっておりません。
(問)骨太方針までにまた引き続き議論していくという理解でよろしいでしょうか。
(答)それも決まっておりませんが、まだ骨太方針までには何回か会議がありますから、その中で全然議論しないと言うことは想定できません。
(問)麻生大臣は、反対ということですが、総理がアベノミクスの成果を活用しつつ対処する必要があると、税収の「底上げ」の活用も排除しないわけですから、なんらかの形で使っていくという方向になるという受け止めでよいでしょうか。
(答)財務大臣は、先ほど御紹介しましたとおり、税収の「底上げ」が直ちに安定財源になるかは疑問、とおっしゃっており、少なくとも全部がダメとはおっしゃっていないと私は理解しています。その辺も、今後議論になるのだと思います。
(以上)