第5回記者会見要旨:平成28年 会議結果
石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:平成28年4月4日(月曜日)19時05分~19時31分
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
第5回経済財政諮問会議について概要を報告します。
今日は議事が二つありまして、最初の議事は600兆円経済の実現に向けた議論を行いました。
高橋議員から、今年の「骨太方針」は、(1)これまで以上に経済財政運営の在り方が問われており、(2)G7サミット議長国として積極的な役割を果たし、(3)アベノミクスの成果の活用方針を明確にし、(4)財政健全化にも責任を果たすという意味で重要である、という意見がありました。
その発言の後、資料1についての説明がありました。
主な意見を紹介します。
130万円の壁の克服について、麻生副総理、塩崎厚生労働大臣と、財源の問題や他の政策との整合性につき指摘があり、民間議員とやり取りがありました。
民間議員から、外国人の高度人材の活用の在り方について、アベノミクスの成果の活用について、コンパクトシティについて、発言があり、また次回以降、G7サミットに向けての成長ビジョンやアベノミクスの成果の活用の在り方について提案する旨の発言がありました。
2番目の議事ですが、経済・財政一体改革についての議論をしました。
新浪議員から資料3について、「予算の質」と「予算の仕組み」の観点から、国庫支出金改革、好事例や課題の横展開、義務的経費について歳出改革を更に深化させていく必要がある、との意見がありました。
松本内閣府副大臣から資料4について。
塩崎議員から資料5について、改革工程表に沿って改革を推進しており、今後は、特に、医療・介護の保険者機能の強化と、医療のICT化を推進していく、というお話がありました。
主な意見を紹介します。
民間議員から、義務的経費のワイズスペンディング化が必要である旨発言があった後、民間議員と塩崎厚労大臣との間で、優良事例の横展開についてのやり取りがありました。
ここで総理から発言がありました。発言のポイントを紹介します。
「今回の訪米を通じ、世界経済の不透明感の高まりに対し、G7こそが、持続的かつ力強い成長を牽引しなければならないとの認識を再確認した。同時に、各国首脳などからの日本のリーダーシップへの強い期待も感じた。伊勢志摩サミットにおいては、世界に対して明確なメッセージを発信していきたい。
G7に強いコミットメントと政策協調が求められている中、我が国が、600兆円経済に向けた確固たる道筋を示していくことは極めて重要である。
「骨太方針」に大胆かつ説得力のある施策を盛り込むため、石原大臣には、重点的に取り組むべき施策を絞り込み、それからGDP600兆円にどのように寄与するのか、具体的に示していただきたい。
「骨太方針」には、実効性のある歳出改革も盛り込んでいく。国庫支出金や義務的経費について、エビデンスに基づく要求が行われるようにしていく必要がある。予算の「質」が抜本的に向上し、無駄が徹底的に排除されるよう、関係大臣において早急に具体的検討を行い、「骨太方針」に盛り込んでいただきたい。」
最後に、この総理の発言を受けまして、私の方から、本日、民間議員から御提言を基に、諮問会議で更に検討を進め、「ニッポン一億総活躍プラン」や「骨太方針」に向け、まずは、600兆円の実現に向けた諮問会議の具体的な案をお示しさせていただきたい、と発言し、会を終了しました。
詳細につきましては、この後、事務方から説明いたします。
私からは、以上です。
2.質疑応答
<アベノミクスの成果の活用>
(問)600兆円経済の実現に関して、民間議員の提言ですが、資料1の7ページに、税収増などのアベノミクスの成果を一億総活躍などの持続的支援のために活用すべき、とありますが、これはアベノミクスの税収増などを恒久財源として、そうした施策に活用するというようにも読めますが、この提言に関する大臣の受け止めはいかがでしょうか。また、この提言をめぐって本日の会議で財務大臣などから発言があったのでしょうか。
(答)ただいまの質問は、「IV.成長と分配をつなぐ経済財政システムの構築」の前書き、「税収増や「経済・財政再生計画」による歳出改革の成果などのアベノミクスの成果を一億総活躍や健康長寿の実現等に必要な持続的支援のために活用すべき」という提言ですが、これは、いわゆる底上げ、恒久的な財源としての底上げ分をどのように見るのか、またそれが本当に持続的可能なものであるのか否か、ここのところをこれから経済財政諮問会議でしっかり議論しなければならない。それは、先ほど説明しましたように、今日の議論の中でもありました。
詳細については、この後、事務方から説明いたします。
<減税に関する議論>
(問)民間議員からの提言の中で、消費喚起策で、税制を見直す、というところがあるのですが、減税に関して本日の会議で何か意見はありましたでしょうか。
(答)来年4月の消費税率引上げを控え、予算や税制などを通じた消費喚起策や可処分所得の増加策等により環境を整備する、というくだりに対しての質問だと思いますが、申し訳ありませんが、私は、このときには国会答弁をしており、会議に参加出来ていませんでした。なので、この議論があったかどうかは、後ほど事務方から聞いていただければと思います。私が聞いている範囲ではありませんでした。
<民進党の岡田代表の発言に対する受け止め>
(問)先週末に民進党の岡田代表が、消費税を増税できないとすると、それは総理の進退に関わる責任の問題である、というように言いました。前回の消費増税解散のときに、総理が必ず増税する、再び延期することはない、と断言したにも関わらず、延期となるとその環境をつくれなかった総理の政治責任だ、という理屈だと思うのですが、大臣はこの理屈についてはどういうように反論されるのか、若しくは反論されないのか教えていただけますでしょうか。
(答)どういった場で発言された内容なのか存じ上げていません。こういう発言は政治的な発言なのか、アジテーションなのか、あるいは本当に思って懇談で話されたのか、そのときのシチュエーションによって受け止め方は大きく変わってくるのだと思います。公党の代表の発言ですので、それはそれとしてしっかりと受け止めていかなければならないと思います。
3.前川内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
第5回経済財政諮問会議について、説明を申し上げます。
本日は、石原大臣が参議院の決算委員会により冒頭到着が遅れたため、菅官房長官が議題1の進行をいたしました。
また、本日は林経済産業大臣が国会に御出席のため、鈴木経済産業副大臣が参加されました。
最初の議事として、塩崎厚生労働大臣、加藤一億総活躍担当大臣に御参加いただき、600兆円経済の実現に向けた議論を行いました。
高橋議員から、先ほど大臣の会見の冒頭で紹介した4点の指摘があった上で、資料1について説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を紹介いたします。
財務大臣から、「130万円の壁についての民間議員提案は公費負担を意味するのか。」
厚労大臣から、「130万円の壁の件に関しては、10万人を対象に20万円ずつ配る対策を講じている。非正規の方が働くということを勢いづけるインセンティブとして実施している。ただ、個人向けにおしなべて行うとなると対象者は600万人程度になるので、そうした規模も踏まえて考える必要がある。」
民間議員から、「従前の議論では対象は広げても60万人程度だった。キャリアアップ助成金のみならず、アベノミクスの果実の活用も含めて、働きたい人が働くことのできる環境づくりをお願いしたい。」
民間議員から、「規模と負担、特に企業の負担能力を考えて検討する必要がある。」
財務大臣から、「全体の「絵」を考えて検討することが必要だ。」
民間議員から、「G7共通で長期停滞に陥っている理由は3つある。1番目が、少子高齢化が進み需要が伸び悩んでいること。2番目が、バブル崩壊後の影響が長引いていること。3番目が、技術革新が鈍っていること。日本が成長ビジョンを提示することが重要。また、アベノミクスの成果の活用については、どうやって拡大均衡をめざし、継続的に対応するかが重要。次回以降、こうした課題について民間議員から提案したい。」
先ほど、大臣に質問があった「アベノミクスの成果の活用」についてのやり取りはこの部分です。
次に、別の話になりますが、民間議員から、「外国人活用では、第4次産業革命の下で競争を勝ち抜く上で、喫緊の課題である。日本版グリーンカードのような高度人材が永住権を最速で持てるような施策を打ち出すべき。サミットでも日本は「開かれた国」というメッセージを発信すべき。一億総活躍の中で「健康長寿」を成長産業にしていく。インバウンドではMICE(マイス)が重要である。コンパクトシティではバス網やLRTの整備などを行い、東京と中核都市でパラリンピックを見据えたユニバーサルデザインを進めるべき。」
民間議員から、「G7サミットまでに600兆円の具体策、メニューを固めて前向きなメッセージを出すべき。持続的成長、国際協調に向けて率先して力強い政策を打ち出すべき。次回以降議論を深めていきたい。」
先ほど、大臣に質問がありました、税制などを通じた消費喚起策については、G7までに600兆円の具体策ということで、ここでまとめて提示したが、それに絞った議論はなかったということです。
民間議員から、「行政手続きの簡素化、1年で2割引き上げるべき。対日投資促進、観光も政府全体で取り組むべき。外国人労働や労働市場改革、行革などについて政策パッケージを出して日本は構造改革をきちんとやっていることをプレイアップして示すべき。」
2番目の議事として、塩崎厚生労働大臣、馳文部科学大臣、松本内閣府副大臣に御参加いただき、「経済・財政一体改革について」議論をいたしました。
事務方から資料2、新浪議員から資料3、国会のため御欠席の河野臨時議員に代わり、松本副大臣から資料4、塩崎臨時議員から資料5について説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見等です。
民間議員から「義務的経費は「後払い」なので予算は過去の実績を踏まえて積み上げているのが現状。地域差などの分析のエビデンスに基づいた予算へと改革していくべきだ。」
民間議員から「好事例の横展開が重要だ。制度的なアメとムチなど、進めるための検討を更に深める必要がある。」
厚労大臣から、「国民健康保険法の改正の中にインセンティブの仕組みが入っており、それを前倒しして予算化して、今年から取り組む。好事例の横展開をどう進めるか、その際の担い手をどうするか、ということを考えていかなければならない。」
その後、総理から発言があり、大臣からもそれを受けた発言がありましたが、先ほど大臣が紹介したとおりですので省略します。
(問)来年4月の消費税率引き上げの場合の税制などの消費喚起策、議論するということでしたけど、意味としては減税や所得税という受け止めでよろしいでしょうか。
(答)資料1に書いてあることが全てです。
(問)資料1の2ページに、「アベノミクスの成果の活用について方針を明確化する」とありますが、これは少し前の諮問会議で議論された税収の上振れというのをどのように考えるかとか、それをきちんと明確にするという意味合いで良いでしょうか。
(答)然り。先ほど紹介したとおり、次回以降議論していきたいということです。
(問)消費税率引き上げの場合の税制などの消費喚起策のところですが、全く議論がなくて、ここに書いている以上のものがないということであれば、減税するというような言及はなかった、と受け止め側としてもそのように受け止めていないということでよろしいでしょうか。
(答)少なくとも議論が無かったというのはそのとおりです。ただ、これは基本方針に向けて民間議員が600兆円の全体像を示したものですから、ここに書いてあることがこれから議論されて、最終的に「骨太方針」に結びついていく。ですから、議論が今日で終わりということではありません。それは今ご質問があった箇所に限らず全てについてそうです。少なくとも、今日はそこについて明確な議論はありませんでした。
(問)来年4月の消費税率引上げを控えた予算や税制のところですが、先ほどの説明だと個別の話はなかったが、サミットまでに600兆円の具体的なメニューを示すべきだという話の中にそれは内包されるというような説明だったように思うのですが、予算や税制の話もサミット前までに何か出すべきだというのが民間議員の考えだという理解でよろしいでしょうか。
(答)民間議員としては先ほど御説明したのが全てですので、そこまで含めていたかどうかはわかりません。
(問)来年4月の消費税率引上げを控えて、税制と予算の消費喚起策ですが、この案自体は民間議員4人のどなたから出た意見でしょうか。
(答)民間議員4人が議論して作られたので、誰がということは言えません。4人の合意した意見です。
(以上)