第2回記者会見要旨:平成28年 会議結果
石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:平成28年2月18日(木曜日)19時14分~19時32分
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
第2回の経済財政諮問会議について概要を申し上げます。
今日は二つの議事がありましたが、最初の議事では、最近の経済情勢についての議論を含めまして、「金融政策、物価等に関する集中審議」を行いました。
黒田議員から資料1、内閣府事務方から資料2、伊藤議員から資料3について説明があり、その後、意見交換となりました。
主な意見を御紹介させていただきます。
まず、財務大臣から御発言がございました。「民間議員から日本経済のファンダメンタルズは揺らいでいないとの認識が示されたが、民需主導の好循環に向け取り組むことが重要と認識している。
2月26日から27日に上海でG20が開催されるが、中国の過剰設備・過剰金融、米国の利上げについてのマーケットとのコミュニケーション、原油安の世界経済への影響が議論になると考えており、しっかり取り組んでまいりたい。」
民間議員から、「日本経済のファンダメンタルズそのものは確かであり揺らいでいない。しかしながら、個人消費が消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減以来元に戻っていないのが問題であり、これを上昇トレンドに変え、次の消費税率引上げに備える必要がある。このため、27年度補正予算の着実な執行と28年度予算の早期成立が大前提。また、上昇トレンドに向けた消費のてこ入れ策を検討すべき。加えて、600兆円経済の実現に向けて、潜在需要を顕在化する成長戦略が必要。消費の拡大に向けて、即効性のある対応策と中長期的対応策の2本立てが必要。また、金融資本市場の不安定な動きに対し、経営者のマインドが委縮してしまう懸念があり、実体経済にも影響を与えかねない。為替相場の大幅な変動を回避すべき。冷静な対応をするよう前向きな発信をすべき。市場の安定化に向けて、関係者との対話を深めてほしい。G20等の場においても、政策コミュニケーションを強化するよう、国際的に協調し、市場の安定化に向けて断固たるメッセージが発信されることを期待したい。」
民間議員から、「医療や介護の分野は、まだまだ潜在的な需要が顕在化していない。民間の力を呼び込んで需要を伸ばすべき。国際経済への懸念もあるのかもしれないが、現在の人手不足の下で賃金が上昇しないのは何かおかしい。構造的な問題があるのではないか。介護の分野など、人手不足がネックになって、需要が生じる機会が失われているという現象が生じていないか。デフレ経済の下で、価格が転嫁できていない、ということも賃金が伸びない原因かもしれない。」
民間議員から、「消費のてこ入れで一番即効性があるのは春闘における賃上げだ。業績の良い企業は素直にそれを賃上げに反映して、賃上げ全体の流れを作ってほしい。金融資本市場動向については、国際会議の場で、各国がそれぞれやるべきことをやらなくてはいけない。日本経済のファンダメンタルズは悪くないというメッセージを発信すべき。稼ぐ体質にするには、成長戦略が必要。働き方改革、農業や医療分野での規制改革を対外発信していただきたい。」
民間議員から、「消費が伸びていないのは、可処分所得が伸びていないから。賃金が上昇していないことが消費を抑えている。賃上げが重要な意味を持っている。マイナス金利の導入については、その内容が世の中にうまく伝わっていない。住宅ローン金利が下がっているが、そういうことを積極的に発信してほしい。」
この後、総理が発言されております。
「賃上げについて大切なことは、業績が良い企業はしっかり上げていくことだ。「正念場」との意識を持ち、世界経済の不透明さを理由に賃上げしないという流れにしないことが大切だ。日本経済のファンダメンタルズは良いのだ。
マイナス金利については、内容などがまだ十分に伝わっていないということがある。例えば、銀行の210兆円の当座預金には0.1%の金利がつき、マイナスになるのは10兆円程度だけだ。これまでもしっかりやっていただいているが、情報発信を更にしっかりやっていただきたい。」
民間議員から、「1月19日の経労委報告では、業績が上がっている企業を初めとして積極的に賃上げに取り組み、昨年を上回る結果を出すよう呼びかけている。ただ、最近のマーケットの動きなどで、慎重なマインドになっている企業経営者もいるのも確か。ファンダメンタルズがしっかりしているとのメッセージを政府からも発信してほしい。」
2番目の議事として、加藤一億総活躍担当大臣に御参加いただき、「成長と分配の好循環」に向けた潜在需要の顕在化について議論をいたしました。
高橋議員、新浪議員から資料4について説明があり、その後、意見交換を行いました。
主な御意見を紹介させていただきます。
民間議員から、「人々がお金を使う理由は経済学では4つ、すなわち①インセンティブ、②正しいことの実施、③社会的な意義、④皆がやっているから、ということだが、圧倒的に「皆がやっているから」が多い。
社会全体で、健康分野を初めとして、消費をする流れを作ることが大切だ。」
民間議員から、「インバウンド活性化策としては、MICE推進も重要。シルバー産業関連では、高齢者が保有する中古住宅や空き家のリフォームや流通の促進も大きな経済効果が期待できる課題だ。」
これに対しまして、財務大臣がお話をされております。「木造住宅の耐用年数はそれを過ぎると無価値になってしまうのは、明らかに現実的でなく、経済的なロスを生んでいると思うので御議論をいただきたい。」
民間議員から、「消費喚起のためには実質の可処分所得を増やすことが重要。中古住宅の流通を促進して、特に若い世代の家賃負担の軽減を図るべきだ。また、増加を続ける保険料負担を軽くするためにも、健康増進が重要だ。」
民間議員から、「社会保険料に賃上げの4割が回ってしまっている。社会保険料の抑制を図るべきだ。産業全体として第4次産業革命に乗り遅れないオールジャパンの取組も非常に重要だ。ナショナル・プロジェクトを組成するなどの検討が必要だ。」
この後、総理から御発言がございました。ポイントを御紹介させていただきたいと思います。
「アベノミクスによって、日本経済は雇用者所得や企業収益の増加を伴う安定的な成長を実現してきた。
引き続き、世界経済や市場の動向をしっかりと注視し、G7諸国等との国際連携を深め、世界経済の更なる成長と市場の安定を図っていく。
そのために、最大の景気対策である平成28年度予算の一日も早い成立に向け、全力を挙げていく。また、関係大臣には、平成27年度補正予算を迅速かつ着実に実施していただきたい。
消費の拡大に向け、春闘の動向も重要である。特に、収益の拡大した企業には、ぜひとも昨年を上回る賃上げを実現していただきたい。関係大臣には、そのための環境整備に万全を期していただきたい。
また、日本銀行が今般導入した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」によって、住宅ローンの借入れや中小・小規模事業者の方々への融資に係る金利の低下がもたらされ、ひいては消費や投資の拡大につながることを期待している。
関係大臣には、こうした効果についてしっかりと発信していただきたい。
さらに、600兆円経済を実現するためには、新たな需要を喚起していくことも極めて重要である。
アベノミクスの下で増加に転じた可処分所得を、賃金・最低賃金の引上げ等によって、更に増やし、健康長寿、子育てサービスやインバウンドなどの分野における需要を顕在化させる必要がある。石原大臣の下、関係大臣が一体となって、規制改革を含め、政策を具体化していただきたい。」
私の方からは、それを受けまして、「本日の総理の指示を踏まえまして、関係大臣と協力して、「600兆円経済の実現に向けた全体像」の取りまとめに取り組んでまいりたい」と述べて、会議を締めさせていただいたところでございます。
私からは以上です。
2.質疑応答
<マイナス金利>
(問)今日の議題1の中でのマイナス金利について、閣僚から何か御発言があったのかということと、それから民間議員から消費の喚起策が必要だというお話がありましたが、それについて何か反応のようなものがあったのか、この点についてお願いします。
(答)マイナス金利については、総理からは先ほど言った御紹介のとおりです。
(問)他はないですか。
(答)他の閣僚からはありません。
<消費喚起策>
(問)消費喚起策についての、何か反応はありましたか。
(答)特に発言としてはありませんでしたが、ブラックフライデーというような議論があったところで、なるほどというような声が出ていたように記憶しています。
<税収の上振れ・底上げの議論>
(問)軽減税率の財源について、税収の上振れや、税収の底上げというような議論が、今日の経済財政諮問会議では行われなかったのでしょうか。
(答)今日は税の話はありませんでした。
<機動的な経済対策>
(問)民間議員の方から、海外のマーケットのリスクがあるために必要と判断される場合には、機動的に対応すべきだという提言が出されていますけれども、そういった機動的な経済対策の対応ということについて、大臣御自身の考えを教えていただけますでしょうか。そういった必要性について。
(答)民間議員の方から発言があったわけですけれども、これは先ほど御紹介したと思いますが、G7諸国等が金融資本市場の安定及び持続的な成長を含め、国際連携を強化していくことが求められる。平成27年度補正予算を迅速かつ着実に実施するとともに、平成28年度予算及び関連法案を1日も早くさせることが重要との意見がありました。
私も、これは総理の指示も出ておりますが、関係閣僚が27年度補正予算の実施にしっかりと取り組めというのが一つ目、
二つ目は、今御審議をいただいております28年度予算を1日も早く成立させるべく努力をしているという総理の発言を受けて、我々もこの28年度予算を1日も早く成立させるために、しっかりと予算委員会で実のある審議をしていくということが肝要である、と思っています。
(以上)