第1回記者会見要旨:平成28年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成28年1月21日(木曜日)19時07分~19時26分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第1回経済財政諮問会議につきまして、概要を申し上げます。
本日は、新浪議員が御欠席でありました。また、本日は加藤一億総活躍担当大臣にも御参加いただきました。
最初の議事は、「経済財政諮問会議の今後の検討課題について」であります。
私から、前回の御議論を踏まえまして取りまとめました資料1について説明し、その後、意見交換を行いました。主な意見を紹介します。
民間議員から、「先日、経団連が公表した経労委報告では、ベースアップ、定昇、ボーナスを含め、年収ベースでみて昨年を上回る賃上げを求めている。一部報道では、経団連はベースアップに慎重だとも言われているが、決してそのようなことはない。名目GDP3%成長を見据えて、収益に見合ったベースアップも含めた昨年を上回る賃上げが実現されるよう働きかけていく。」
同じく民間議員から、「アベノミクス第2ステージにおいて、デフレ脱却、経済再生、成長と分配の好循環といった目標を再確認しながら、マクロ経済運営や構造改革を推進していく必要がある。600兆円経済の実現に向けた全体像を示すことが重要であり、春頃には民間議員から全体像を提示することにしたい。」
民間議員から、「一億総活躍社会の実現に向けて、アベノミクスの成果をどういう枠組みの下で活用するか検討する必要がある。その際、「経済・財政再生計画」のPB黒字化目標を堅持しなければならないが、子育てや家族のための追加的歳出要因について安定財源を確保していくことが基本となる。保育や介護の人件費増については、補正予算ではなく、継続的政策対応により、更なる成長と税収増に繋げていきたい。経済・財政再生アクション・プログラムを踏まえたPDCA構築、ワイズ・スペンディングの仕組みの強化、消費税率再引上げの円滑な実施に向けた政策運営などを平成29年度予算編成に反映をさせる。このために「骨太方針」に盛り込むべきである。」
2番目の議事として、「「成長と分配の好循環」の基本的考え方と供給サイド強化」について議論いたしました。
内閣府事務方から資料2、3、高橋議員から資料4、麻生議員から資料5について説明があり、その後、意見交換を行いました。主な御意見を紹介いたします。
まず、民間議員から、「今回の中長期試算で、財政健全化の取組の必要性を再確認した。歳出改革は、特に社会保障分野をより踏み込んで改革することが必要だ。また、試算の成長率を実現するため、成長戦略の充実強化が必要だ。」
民間議員から、「経済のパイを拡大していかないと、財政健全化は進まない。今の日本では、海外からの投資が日本に入ってきていないことが問題であり、ここに踏み込んだ議論が必要である。昨年12月の日銀の金融緩和の「補完措置」のうち、投資や賃上げに積極的な企業のETF購入の検討状況を教えてほしい。」
日銀総裁から、「現在、アウトラインをお示しして、民間からの提案を受けている。単に賃金の伸びや設備投資の伸びだけではなく、企業を成長させていくとか、働きやすい仕組みづくりなど、より幅広く考えたい。証券業界、さらには一般企業からもアイデアを求めて、考えていきたい。投資家と企業を繋ぐ資本市場の役割について、一定の問題提起にもなっていると考えている。」
同じく民間議員から、「人材投資の拡大のためには、設備投資減税において、人材育成など無形資産への投資も含めていくような税制改正を検討していくことが必要だ。また、投資促進に際しては、社会的責任投資を後押しする環境整備も重要だ。」
民間議員から、「足元でマーケットが不安定な動きをしているが、実体経済は日本もアメリカも欧州もしっかりしている。政府が毅然として前向きなメッセージを発することで、マーケットが落ち着くことを期待したい。」
民間議員から、「「成長と分配の好循環」について、資料の5ページで簡単な試算を示しているが、賃上げと就労者の増加で10兆円の所得増は可能だ。生きがいをもって働ける環境や、教育など自分に積極的に投資できる環境を整備していくことが重要である。」
意見交換の最後に、「本日の議論にもありましたように、アベノミクスを、この3年間の成果に自信を持ちつつ、更に強力に推進していくことと、我が国や海外の経済動向・市場動向については、予断を持たずに注視していくことが重要だ」と私から発言いたしました。
総理からの発言がございました。ポイントを御紹介します。
「本年前半の諮問会議においては、本日、甘利大臣から提示いただいた方針に基づき、①600兆円経済の実現、②消費税10%への引上げの円滑な実施に向けた政策運営、③「経済・財政再生計画」の着実な推進、の3つのテーマを検討課題として、議論を進めてほしい。
「一億総活躍社会」の実現等に向けては、「経済・財政再生計画」の枠組みの下、適切な安定財源を確保することを検討する必要がある。
その際、アベノミクスの成果等の活用をどう考えていくかについても議論してもらいたい。その議論を踏まえて、明確な方針を策定し、「骨太方針」に盛り込んでいきたい。
また、本日は、サプライサイドの強化に向けた課題について議論を行った。潜在成長率を高め、「成長と分配の好循環」を実現していくため、関係する会議等とも連携し、政策の具体化を進めてほしい。」
私からは以上です。


2.質疑応答

<アベノミクスの成果等の活用>

(問)大臣が今日提出された、経済財政諮問会議の今後の検討課題の資料について、この中で「アベノミクスの成果等を「一億総活躍社会」の実現等のために活用することを検討」とありますが、これについて大臣としては具体的にどういったところが今後論点になってくるのか、どういったイメージを持っていらっしゃるのか。

(答)一億総活躍のための政策では、今回のような補正予算による単年度対応から、複数年度対応にしていくことが求められます。補正予算では基金でも積まない限りは複数年度対応ができないですから、当初予算で財政再建の枠組みを外さずに複数年度対応ができるかどうか等々、そういう検討をしていくということかと思います。

(問)この点について、財務大臣からは何か御意見はあったのでしょうか。

(答)今全部お話ししたとおりです。

(問)特になかったということですか、今日の中では。

(答)今日の発言は全て紹介してあります。

(問)分かりました。


<週刊誌報道>

(問)今日大臣は参議院の決算委員会で、自らの資金問題についてお話しされたと思うのですが、少なくともお会いになったとされる大和の事務所と大臣室で、一色なる人物にお会いになったということはお認めになったと思うのですが、このときに週刊誌に書いてあるようなお金のやりとりがあったのかどうかについて、一応改めてお伺いしたいと思います。

(答)委員会でもお答えをいたしました。私の記憶とテープをとっていらっしゃるという方のお話に食い違う点があります。そこの部分の記憶をしっかり整理したいと思っております。客観的に、そういう時間をいただいて整理させてくださいということです。
具体的にどこのどの部分ということで発言をすると、それがまた違っていた場合、またそれはなぜだということになると思いますので、その辺のところはできるだけ早いときに、部分的に不確かな記憶、それから週刊誌に載っている具体的な話と記憶が違うという点を整理したいと思います。

(問)野党が今日の議院運営委員会で、明日の政府四演説を、きちんと説明がない以上、粛々と聞くわけにはいかないというようなことも言っているようです。なるべく早く説明してほしいということだと思うのですけれども、大臣はいつごろのイメージでその説明等をなされるのでしょうか。

(答)それを確認する時間をとって、タイミングを政府与党関係者と調整したいと思います。

(問)週内とか、そういう具体的な感じでは。

(答)それはこの時点では、まだ私が一人でまず自分の整理をすることと、それから関係者にどのタイミングかというのは、その両方そろわないといけませんから、もう少し時間をいただきたいと思います。


<ダボス会議への出席>

(問)週末のダボス会議は今のところ予定どおり出席されるのでしょうか。

(答)国会の了解がいただければ、行ってくるつもりです。


<TPP署名式への対応>

(問)TPPの署名式が2月4日にニュージーランドでという日程が決まりましたけれども、まずこれに対する御感想と、大臣御出席の意向はあるかどうかということを確認させてください。

(答)署名式が行われるということはTPPの発効に向けて大きな前進だと思います。私宛てにニュージーランドの貿易大臣から招待状はいただきました。ただこれも国会の御許可がいただければという前提で、許可がいただければこの署名で完成する、12か国の中ではそこで完成して、後は国内手続ということですから、いきたいと思います。

(問)確認なのですけれども、それまでに今回の問題に関する報告を終えたいというようなお考えはありますでしょうか。

(答)できるだけ早くできればいいと思いますので、相談をしたりしているところです。したいと思います。


<週刊誌報道>

(問)週刊誌で、大臣室で大臣がお金を受け取ったりというようなくだりがありますけれども、こちらは明確に否定は、今の時点ではされないのでしょうか。

(答)先ほど、全部含めて、全て含めて私の記憶と報道されて、書かれている部分に食い違いがありますから、それを全部整理して、そうしないと2つの話が部分的に異なる話、私の記憶と違う点もありますから、それを整理したいと思います。その時間をいただきたい。

(問)この件に関していろいろ調査を進めていくとおっしゃっていらっしゃるかと思います。

(答)はい。これはもう指示してやっています。

(問)どのような専門家であったり、いつごろまでにというような具体的な話というのはまだ。

(答)もう着手はしていますが、いつまでということも含めて、もう少し待っていただきたいと思います。

(問)決算委員会では第三者を交えて調査したいということを大臣御答弁されたと思うのですけれども、第三者というのはどういった方を想定してらっしゃるのか、そしてその第三者の調査というのはもう既に始まっているのかを確認させてください。

(答)身内以外の者です。それはもう始めています。

(問)既にその第三者の方による調査も始まっている。第三者というのは弁護士などですか。

(答)事務所関係者以外の方で、これも後でお話しします。

(問)週刊誌で言われている政治資金収支報告書に記載されていなかったという300万円について、大臣の事務所の関係者の方から支持者に対して、その分については返したというような説明がなされているといった報道があったのですけれども、事務所の方から現時点で支持者の方に、そのお金について返したという説明をされている事実というのはあるのでしょうか。

(答)そこも含めて精査しています。事務所のスタッフがいろいろしたことについて、私は全く知らないのです。最初、何が起こったのかという話でした。だから、それを今、みんな聞かせています。申しわけないですけれども、秘書がいろいろ動いていることは、不覚ですけれども、事務所をあけっ放しにしておきましたので、全く私の耳に入ってこなかったものですから、今、それを全部調べています。

(問)現時点でそういった説明がされているとすれば、それはもちろんそうだと思いますが、大臣の指示などではなく事務所側の中の配慮ではないかと思いますが。

(答)私は事務所の秘書が行ったことに対して、事前にこれやれ、あれやれということは何も言っていません。こんなことになっているのかということです、私が言ったのは。


<TPP関連法案の国会成立に向けた方針>

(問)TPPの署名の後ですけれども、承認案と関連法案、これまでは通常国会に提出して、今国会で成立を目指すという方針だった思うのですけれども、今回の問題を受けまして、その方針に変わりはないかどうかというのを、お考えをお聞かせください。

(答)変わりありません。


(以上)