第17回記者会見要旨:平成27年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成27年11月4日(水曜日)19時18分~19時46分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第17回経済財政諮問会議について概要を申し上げます。
本日は、榊原議員が御欠席であります。
まず、1番目の議事の「金融政策、物価等に関する集中審議」と、これに関する2番目の「アベノミクス第二ステージに向けて2」について併せて議論を行いました。
なお、加藤一億総活躍担当大臣に御参加いただきました。
黒田議員・日銀総裁から資料1、伊藤議員から資料3、内閣府事務方から資料4、新浪議員から資料5について説明、問題提起がありまして、その後、意見交換を行いました。
主な意見を紹介申し上げます。
まず、民間議員から、「これまでのアベノミクスは、異次元のデフレ状況を脱却するために、異次元の施策を講じて成果を挙げてきた。中国経済の動向の影響により、世界全体がリスクオフとなっている中で、GDP600兆円を実現するためには、躍動感を喚起する異次元のアプローチが必要である。例えば、パート労働者も含めた可処分ベースでの所得増加策が必要である。投資については、官民ファンドを集約し、民間投資をリードする水先案内人の役割を果たさせるべき。国内投資は生産性の向上に充てるべきである。」
高市総務大臣から、「統計についての前回の諮問会議の議論を踏まえ、統計局長に対応の指示をした。実体経済を反映した統計を整備するよう速やかに検討したい。」
菅官房長官から、「GDP600兆円を実現するために、一つひとつやるべきことをきちんとやるべきである。例えば、オリンピック・パラリンピックの開催が決まると、これまでの例では、開催までにGDPが10%程度増加するとのこと。さらに、ラグビーのワールドカップも開催されることから、観光面での対応が必要。法人税減税で20%台を実現するとともに、最低賃金の引上げも必要である。」
加藤一億総活躍担当大臣から、「先日、第1回一億総活躍国民会議を開催し、経済財政諮問会議の民間議員も含めた有識者の方々より、多角的な御意見をいただいた。総理からは、3つの矢の目標の実現のため、11月末を目途に緊急に実施すべき対策を取りまとめるよう指示があった。甘利大臣には、この第一弾に反映できるよう、第1の矢である強い経済の実現に必要となる施策を取りまとめていただき、国民会議に御報告いただくようお願いしたい。」
麻生財務大臣から、「統計の迅速性が重要。通信販売の拡大の実態等も反映させるべきではないか。」
民間議員、「経済学に『コーディネーションの失敗』という言葉がある。例えば、デフレでも良いという状態から抜け出せなくなるようなことを指す。出口を示して誘導していく政府の役割が重要になる。5年程度でGDP600兆円の実現に向けても、3%をターゲットとした賃金の引上げや、28年度中の20%台への法人税の引下げを多年度税収中立で行うことが重要である。賃上げや投資などのキャッシュアウトに熱心な企業を積極的に支援すべきである。」
同じく民間議員から、「海外のヘッジファンド等、投資家30社と議論をしたら、日本企業はデフレマインドに縛られているので、政府が賃上げや投資を後押ししてもおかしくないと言っていた。」
民間と民間の話に政府が介入するのはおかしいという議論がありましたが、実は、海外ヘッジファンドでは、現状ではそれは少しもおかしいことではないということのようです。
民間議員から、「GDP600兆円実現に向けては、(1)賃金上昇は年平均3%必要であり、それを念頭に最低賃金の引上げにも取り組むべきである。(2)生産性上昇が重要である。中小企業を対象にした政策が重要だ。(3)所得拡大促進税制は、来年度から要件が厳格化されるが、そのままの要件で延長してほしい。消費税率引上げ時に投資が減少しないような措置の検討が必要である。」
日銀総裁から、「オリンピックに合わせて観光需要の掘り起こしや、一過性でない成長力強化につながる重点的な投資の誘導が重要である。」
なお、私からは、経済統計の改善に関する民間議員からの提言について、来春までに方針を整理するよう統計委員会にお願いをするとともに、総務大臣及び各統計所管大臣に、統計委員会への協力と統計改善の着実な推進をお願いする旨発言をいたしました。
次に、馳文部科学大臣、島尻科学技術政策担当及び情報通信技術(IT)政策担当大臣、遠藤内閣情報通信政策監に御参加いただき、3番目の議事として、「経済・財政一体改革」の各論のうち、文教・科学技術、IT・BPRの分野について議論を行いました。
高橋議員から資料6、伊藤議員から資料7、馳臨時議員から資料8、島尻臨時議員、遠藤CIOから資料9について説明、問題提起がありまして、その後、意見交換を行いました。
主な意見を紹介申し上げます。
麻生財務大臣、「教職員については、財政の論理で単純に減らせと言っているのではなく、エビデンスに基づき取り組むことが必要だと言っているのである。教員がいれば教育が向上するのか、補助員の方が良いということもあり、考えていく必要がある。」
馳文科大臣から、「子供が減ったから単純に教員が減るというものでなく、障害児教育などもある。加配は現場の市町村の要望もあり、学力向上をはじめ、個別の状況に戦略的に対応していきたい。」
民間議員から、「国立大への交付金配分がこれまで変わっていない。全て一律カットではなく、成果などメリハリをつけて取り組んでいってほしい。」
民間議員から、「IT・BPRについて、島尻大臣が説明されたIT戦略を成功に導くためのポイントを、国・地方を通じた取組にしていくことが重要である。例えば、政府でCIOの適任者を雇用して自治体へ派遣するような取組の検討を求めたい。」
島尻大臣から、「これまでの改革を継続・発展させ、成果につながるよう前向きに検討していきたい。」
ここで総理から発言がありました。ポイントを紹介いたします。「戦後最大のGDP600兆円を今後5年程度で実現していくためには、経済界に、これにふさわしい設備投資と賃上げに積極的に取り組んでいただく必要がある。政府としても、このような取組をしっかりと後押しする方策を早急に検討していく。甘利大臣においては、本日の民間議員からの提案も踏まえ、GDP600兆円の実現に向けて緊急に実施すべき対応策を11月中に取りまとめ、「一億総活躍国民会議」で取りまとめる対策「第一弾」にも反映していただきたい。
経済と財政双方の一体的な再生の具体化に向けて、今回から歳出改革の各論の議論に入った。教育分野について、民間議員より、我が国では政策の有効性を客観的データに基づき検証した研究において遅れが見られるとの指摘があった。馳大臣には、政策の有効性の科学的検証に基づくPDCAプロセスを徹底する仕組みを構築していただきたい。
遠藤政府CIOの尽力もあり、国・地方の公共サービスに係る業務の標準化・簡素化やIT化が着実に進められている。こうした業務改革を「経済・財政再生計画」の工程表やKPIに反映できるよう関係者には引き続き努力していただきたい。」
最後に私から、「ただいま総理から御指示いただいた緊急に実施すべき対応策は、本日の議論を踏まえ、次回、民間議員から御提案いただいた上で審議を行いたい。」
以上です。

2.質疑応答

<TPPについて>

(問)緊急対策ですけれども、加藤大臣が一億総活躍を取りまとめていらっしゃるので、その中の第一の矢ということでよろしいのでしょうか。
その中でTPPも今回の試算にあったのですけれども、TPPも含まれるのでしょうか。それは別なのでしょうか。

(答)これから検討していきますが、TPPが緊急対策かどうかです。GDP600兆円を実現するために何をすべきかと。TPPは、かなり長期的、広範に経済効果が上がってくるものであります。GDP600兆円と補正予算で何をすべきというのは、直接経済対策としての構成ではなく、緊急に対応すべきTPP対策として何があるか。もちろん、かなり長期にわたって攻めの農業等を実現するための政策でありましょうから、当面はそう大きな額が計上されることではないかと思いますが、これはGDP600兆円を構成するための要素というよりも、TPPに対する不安解消や前向きな攻めの方向に向かっていくための環境整備という理解をしていただきたいと思います。
もちろん、間接的にGDP600兆円に関わってくることは事実であります。直接関わってくるのは、TPP全体がルールの統一化とか、あるいは投資の環境整備とか、知的財産とか、あるいは電子商取引とか、そういう環境が全部整ってきた中で経済効果としてGDPを押し上げるということであります。


<緊急対策について>

(問)先ほどの緊急対策ですけれども、甘利大臣がまとめるもの、盛り込む内容というのは、基本的には補正予算で対応するべき内容ということになるのでしょうか。

(答)GDP600兆円のプランを描いていくために、当面何をやるべきか。例えば、賃上げや最低賃金の問題とか、それから投資です。こういうことについて、GDP600兆円を構成するために直ちに取り組むべき課題という理解をしていただいていいのではないかと思います。

(問)そうすると、今回の緊急対策とはまた別に何がしかの対策のようなものをつくられるというイメージになるのでしょうか。

(答)それは、補正予算での経済対策という意味ですか。

(問)GDP600兆円に向けてという意味です。

(答)GDP600兆円に向けては、インバウンドを増やしていくとか、あるいは輸出を増やすとか、あるいは投資を増やすとか。それから、投資の呼込みを行うとか、いろいろあります。それで、直ちに取りかかるものについては、官民対話というものがあるわけです。ここでは賃上げがまさに経済成長に重要な要素であります。
5年超、5、6年か7年か、そのときあたりまでに2割GDPを増やしていくためには、賃金を年間3%程度引き上げることが必要だという指摘が民間議員からありました。
これは緊急にやるべきは官民対話をやっているわけでありますし、春闘が控えていると。まず経団連が経労委報告に盛り込んでもらわなければならないですから、この種のことは緊急にやるべきことだと思っております。
投資につきましても、投資を促進させていく、あるいは法人税を引き下げていく、そのために何が必要かということ等は、まさに税調も迫っていることですから、緊急にやるべきだと思っております。


<法人税の引下げについて>

(問)先ほど法人税の話が出ましたけれども、民間議員からは平成28年度中に20%台への引下げが必要だという発言があり、菅官房長官からも法人税について言及があったようですけれども、官房長官からはまず何年度に20%台を実現するべきだというような発言があったのかどうかということと、大臣御自身が20%台はいつ頃までに実現するべきだとお考えでしょうか。

(答)官房長官はできるだけ早くということだと思います。民間議員からは平成28年度中、多年度税収中立という話、単年度中はつまり減税先行だという意味だと思います。そういう発言であります。政府としては、官房長官の発言のとおり、可能な限り早くということだと思います。


<賃上げの促進について>

(問)賃上げを促進するために、何か具体的な支援策ということを現在検討している、あるいは方向性として大臣のお考えがあれば、ぜひ教えてください。

(答)法人税を引き下げるということを、既定路線として経営側は捉えていますけれども、経営側についてもそれなりの努力をしてもらうという前提がありまして、そこは忘れてほしくないと思います。
設備投資促進するための特別な減税制度が間もなく終了になると。それから、早く法人税減税をやってくださいということもあるでしょう。法人税減税をやる以上、賃上げや研究開発投資や生産性向上投資に取り組んでくれということも官民対話を通じて強く要請していくということになろうかと思います。
税制でどういう設計をするかは、税調との絡みもありますので、今後検討していくことになろうかと思います。


<企業の設備投資について>

(問)企業はお金が余っているのに設備投資が思うように進まないということは、企業にとって日本が魅力ある投資先として映っていないという指摘もあります。法人税の話もあると思いますけれども、大臣としては日本を魅力ある投資先にしていくためには、どういうことが必要だとお考えでしょうか。

(答)我々は、数十年ぶりという改革、岩盤規制改革を次々と実現していっております。農協関係、電力。労働市場はなかなか御理解をいただいていませんけれども、今までできなかった改革を進めているわけであります。あわせて、第4次産業革命がやってくるという問題提起もしています。
日本という市場は、人口が爆発的に増えていく市場ではありません。我々は、国内市場に向けて生産を増やすということを言っているのではなくて、高付加価値化するべきだということを言っているわけです。これは、企業がどこにいようと、同じ売上げで利益率が1割だったのが2割になれば、競争力は上がっていきます。毎度申し上げていますけれども、日本の生産設備のビンテージが、20年間で、5年、6年古くなっているわけです。中古の機械で最新の機械と戦っているという認識を持たなければいけないのです。
その生産量を上げるための増産投資をしようと言っているわけではなくて、生産性を上げないと勝てませんよ、と言っているわけです。しかも、生産性を上げる、高付加価値化するということと、質の面でIoT、ビッグデータ、AIなどの産業革命がこれから起きるとされています。よそのライバル企業は借金しても投資します。個々の企業の努力がなかったとは言いませんけれども、日本の企業は、政府対応のおかげで内部留保が驚異的に増えており、その多くは政府の手による環境整備だと思います。それによって生まれた内部留保を、これから競争力の強化、新しい産業革命に対する対応に使わなくてどうするのですかということを問うているわけです。日本の市場が拡大するから増産のための投資をしろと言っているわけではないです。そこのメッセージがしっかり伝わるようにしたいと思います。


<緊急対策について>

(問)先ほど、緊急対策の話で、直ちに取り組むべき課題はたくさんあるということで、そのうち一部が補正予算に入ってくるのでしょうか。入るのであれば、どういうものが想定されるでしょうか。

(答)純粋な景気対策のための補正予算は、現時点で政府としてまだ検討しているわけではありません。補正予算については、TPP対応等について何が必要かという議論はあると思いますけれども、景気対策のための補正予算というのは、まだ議論はされていません。
GDP600兆円に対するというのは、成長戦略ですから、そのアベノミクス成長戦略のために喫緊にやるべきもの、そして中長期に取り組むべきもの等々ありますから、その喫緊に取り組むべきものをしっかり緊急にまとめあげてほしいというのが総理からの要請であります。


<官民対話における賃上げの議論について>

(問)明日も官民対話がありますけれども、そこでも、賃上げは議論するのでしょうか。

(答)はい、議論をしていきます。

(問)政府から具体的に環境整備などを示しますでしょうか。

(答)話し合いですので、経営側からの要望は要望として、こういう環境整備をしてほしいというのは忌憚なくおっしゃっていただければいいことであります。それが、例えば規制改革等で、できるものは総理は即答するとおっしゃっているわけですから。


<菅官房長官の発言について>

(問)菅官房長官が、オリンピックが決まるとGDPが10%程度増加すると言ったとの説明があったのですが、これはいつ、どういうときのことを指しているか、大臣は御存じでしょうか。

(答)官房長官からは、オリンピックが開催されるまでの間、10%程度はGDPが拡大するというようなデータもあるとのことでした。


<年3%の賃金の引上げについて>

(問)民間議員が、年3%の賃金引上げが必要だとおっしゃったのですけれども、これは大臣もこのくらいが一つのメルクマールになるとお考えなのでしょうか。

(答)恐らく、経営者側としては、かなり高いハードルだと思います。ただ、賃上げをすれば消費が伸びて景気がよくなるのは、皆さん知っているのですね。後は、そこまで踏み込めるかどうかということだと思います。また、高付加価値化の投資をすれば、競争力がついてくるのは知っているのですね。要は、踏み込むかどうかということなのです。
経営者としては、景気がずっと上昇してくれれば、賃上げ3%でも何でもやるけれども、その見通しがつかないし、自分も自信がないと。だから、一時金としていろいろ出すのはともかくとして、ベースアップのようなもの、将来を拘束するようなものについては、なかなか自信が持てないということだと思います。
ただ、景気が良くないと賃金は上げられないということは分かりますけれども、賃上げをしないと景気は良くならないです。鶏と卵の関係にありますけれども、これはどちらも正しいということは、好循環を回していくということが回答になるわけです。
ですから、今ある原資を使って好循環を回していく勇気を持ってもらいたいということを、政府から要請するということです。

(問)賃上げ3%ぐらいはできるはずだということなのでしょうか。

(答)はい、そのくらいを目指してもらう。というのは、GDPの規模が2割増えるわけです。オリンピックを過ぎたころですから、内閣府中長期試算でいうと2021年あたりでしょうか。2021年から22年あたりにそれを達成するためには、賃金がその経済成長に沿って上がっていかないといけないというわけです。民間議員の話は、それで計算をすると、3%ぐらいは頑張ってもらえないかということだと思います。


(以上)