第16回記者会見要旨:平成27年 会議結果
甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:平成27年10月16日(金曜日)15時37分~16時16分
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
まず、官民対話から御報告申し上げます。
本日午前中に第1回目の「未来投資に向けた官民対話」が行われました。本日は民間から、産業界の代表者と投資関係者に御出席をいただきました。投資の現状と課題について、議論をしたわけでございます。
最初に、私から官民対話の趣旨を説明申し上げました。この対話はアベノミクス第二ステージのキックオフでありまして、極めて大きな役割を担っております。世界は今、いわゆる第4次産業革命に向けた大きな転換の時期に入っているわけであります。この機を逃さずに、リスクをとっていち早く、設備、イノベーション、人材への積極果敢ないわゆる未来への投資を迅速に行えるかが、これからの企業、産業競争力の大きな差になっていくわけであります。
アベノミクスの成果により、企業収益も過去最高になっております。内部留保は350兆円、現預金でも210兆円ぐらいになっているわけであります。そういう今だからこそ、企業に大胆な投資を決断していただくときであります。
この「官民対話」では、民間投資の目指すべき方向性と、それを後押しするための官民の取組を明らかにするということで、積極果敢な判断のきっかけとしたいと思っております。
いわゆる第4次産業革命に向けて、世界中はいち早くそれに対応するための投資が行われようとしています。借金をしてもやるというのが世界の姿勢であります。過去最高値の原資がありながら、投資を行わないということは、企業経営者としてはこの重大な経営判断の見誤りということになってしまうと思います。日本が一番有利な状況にあるわけでありますから、これを背景に積極果敢な投資判断をしてもらいたいと思っております。
その後、産業界の代表者の方々から、産業界の投資動向と課題を伺いました。ポイントを御紹介申し上げます。
今回は、発言者名を発表させていただきます。
まず、経団連からであります。
「経済界は、企業が積極果敢にリスクをとって投資拡大に取り組むよう呼びかけを強化する。日本発の「第4次産業革命」を起こすために、IoT、ロボット、人工知能など、生産性を向上する投資を呼びかけていく。投資拡大のためには、法人実効税率20%台への早期引下げ、前倒しの引下げや、規制改革などの環境整備が必要である。アベノミクスで企業業績が回復し、内部留保も拡大をしているけれども、実は経済界にも言い分があり、海外へのM&A等に向かっている部分がある、あるいは海外の設備投資もある」というお話でありました。
国内の事業環境整備とあいまって、国内投資が拡大していく好循環を実現する必要がありますということです。
続いて、日商からの発言です。
「企業のデフレマインドの解消が必要である。足下で中小企業の景況感は一進一退であり、地方では回復のベースが遅れている。中小企業の投資は増加傾向にあり、設備投資に前向きな中小企業は多い。特に、人手不足の解消のための投資が急務である。中小企業の課題は低い収益力、コスト増の価格転嫁、電力コストや税、社会保険料などの公的負担である。政府としても、価格転嫁の監視徹底、安価かつ安定的な電力供給、社会保険料負担の抑制、中小企業に対するネット減税等が必要である」という要望です。
続いて、経済同友会からです。
「GDP600兆円を実現するためには、官民が協力する必要がある。企業の内部留保は拡大をしているが、海外投資が増え、国内投資が伸びていない。国内のいわゆる「6重苦」は改善しつつあり、次は民間の国内投資を実行する段階である。国内の課題は事業の統合・再編が進んでいないことや、新産業創造が不十分であることである。経営者としては、新事業の創出、コーポレート・ガバナンスの一層の強化、積極的な情報開示に取り組んでまいる。」
続いて、全銀協からであります。
「企業の内部留保をいかに成長投資に振り向けていくかを検討する必要がある。企業の前向き投資を阻んできた、いわゆる「6重苦」は解消しつつある。経営者はこれをよく認識する必要がある。経営には不透明性がつきものであるが、政権の成長戦略へのコミットメントは経営者への後押しとなる。また、個々の会社を見ると内部留保が増加していても、産業全体では十分に資金が確保できていない場合があり、一層の事業再編が必要である。金融機関としても、リスクマネーの供給やコンサルティング機能の強化に取り組んでいく。政府としては、保育や介護などにおいて規制緩和を進め、公的サービスの産業化に取り組む必要がある。」
次に、DeNAの会長からです。
「インターネット業界ではソフトウエアに対する投資が中心である。ハードの設備よりも、いわゆるソフトウエアに対する投資が中心である。現預金は研究開発投資やM&Aのために準備をしているが、アップルやグーグルなど、膨大な資金力のある企業が、人工知能やロボット分野のベンチャー企業を積極的に買収するのに、とても資金力で対抗ができない。これら企業は、人工知能等を使って従来型の製造業に攻め込んできている。例えば、グーグルの自動走行である。我が国産業は資金面でこうした企業に太刀打ちできない。資金量が100分の1、100対1の競争であるということである。国内の有望ベンチャーが海外企業に買収されている。政府としてもベンチャー育成やベンチャーに対する忍耐強い長期投資の支援が必要であり、それをお願いしたい。」
そして、その後に投資関係者より、投資関係者から見た課題を伺いました。まず、世界最大の機関、ブラックロックからです。
「我々は540兆円の資産を運用する世界最大の投資家である。日本への投資総額は27兆円である。日本企業の中にはリスクを避けて、内部留保を必要な投資に回していないところがある。経営者が中長期ビジョンを示し、成長投資を行う必要がある。また、海外M&Aだけでなく、国内の事業再編も必要である。人的投資という意味では、教育への投資や女性の活躍支援も重要である。社外取締役の質の向上など、コーポレート・ガバナンスの強化は不可欠であり、また、会社経営の経営者が社内にとどまらず、他社の社外取締役になることで、より風通しのよい経営ができる。社長、会長をやった方がその会社の顧問としてずっといるということではなくて、その経験を生かして他事業の企業の社外取締役になるということが、その会社にとってもコーポレート・ガバナンスでいいことであるし、あるいはもとの企業においても、社長、会長がずっと顧問で残っているということは、社長の経営判断に重しが乗っかっているようなことになってしまうのではないか。株式持ち合いの解消、株主総会の日程の分散化、株主との対話促進など、実効性の高いコーポレート・ガバナンスの確保も重要である。株主総会が分散化しているけれど、まだ集中している部分が多いと。株主と経営者との対話がなかなかしづらい」ということでありました。
続いて、日本取引所から。
「アベノミクスの効果により企業収益は過去最高水準である。投資については、海外M&A投資が伸びている一方で、国内での設備投資が少ないことが課題だ。今後の経済の好循環の実現は民間企業にかかっている。企業が持続的に成長するためには、経営者がリスクをとり、中長期における企業価値の向上を目指すことが最重要である。」
続いて、出席委員、閣僚からです。麻生副総理からの発言です。
「企業業績の回復に伴い、内部留保が拡大しているが、設備投資は伸びていない。法人税制では既に踏み込んだ対応を実施しており、今後も必要な対応を行うので、経済界には課税ベース拡大に協力してもらいたい。コーポレート・ガバナンスは形式より中身が重要。大事なことは経営者のマインドが変わることである。」
私の方から取りまとめといたしまして、本日の指摘を踏まえ、産業界には「攻めの経営」に転換し、積極的に投資拡大に取り組んでいただきたいと申し上げました。また、本日、産業界や投資家から示された投資拡大に向けた課題につきましては、私から関係大臣に伝え、迅速な対応をお願いしたいと述べました。
最後に、総理から発言がありました。
「戦後最大の経済、GDP600兆円を実現していくため、生産性を抜本的に高め、供給制約を克服していく。企業収益は過去最高になったが、投資の伸びは十分ではない。今こそ企業が設備、技術、人材に対し、積極果敢に投資をしていただくべき時である。本日は産業界から投資を積極的に拡大する姿勢が示された。海外の機関投資家からも、投資判断に当たり、将来につながる投資が行われているか否かを重視するという指摘があった。産業界には、今後、更に一歩踏み込み、投資拡大の具体的見通しを示していただきたい。投資を拡大する上で克服すべき課題については、本日、産業界や投資家から多数承った。次回以降も是非具体的に問題提起をしていただきたい。産業界の投資への取組を後押しするため、聖域を設けず、この場で解決策を決めていく。関係大臣は、投資拡大の観点から必要な検討に直ちに着手していただきたい。」
これが、官民対話の第1回であります。
続いて、第16回経済財政諮問会議について報告を申し上げます。
まず岸田外務大臣,森山農水大臣に御参加いただき、TPPについて議論を行いました。私から資料1について、榊原議員から資料2について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。
副総理・財務大臣から、「TPPにより勝ち取った成果がある。TPP実施により影響が出る分野と時期を踏まえて、効果的な対策を考えるべき。」
経産大臣から、「TPPを最大限活用した輸出拡大や企業の海外展開が図られるよう、方策の周知徹底に取り組んでいく。」
農水大臣から、「最も安全で高品質な産物を提供してきた日本の強みを活かす大きなチャンスである。農家等の不安に寄り添って、また、攻めの農業に結び付くよう対策を検討したい。」
続いて民間議員から、「メリハリをつけて農業等を強くする対策に全力で取り組んでほしい。」
同じく民間議員から、「TPPの大筋合意を受けて、日・EU経済連携やRCEP等につなげていってほしい。」
続いて、加藤一億総活躍担当大臣に御参加いただき、2番目の議事、「アベノミクス第二ステージ」に向けての議論を行いました。高橋議員から資料3について、榊原議員から中国経済に関する配付資料について、麻生大臣から資料4について説明・問題提起があり、その後、意見交換を行いました。
総務大臣から、「財務大臣からの指摘のとおり、GDP統計の推計の基となる基礎統計の整備を進めることが重要である。統計委員会における議論を踏まえ、努力していく。」
現在、統計委員会を所管している私からも、統計の電子化の必要性等を申し上げました。
加藤大臣から、「一億総活躍社会の実現に向けて、「強い経済」、「子育て支援」、「社会保障」の新三本の矢をうまく連関させていくことが重要である。「強い経済」については、消費・投資を加速させ、その果実を国民に行き渡らせることで、第2、第3の矢につながっていく。社会が安定し、見通しがはっきりすれば、企業行動が活発化するという好循環につながる。国民会議を立ち上げ、年内早期に緊急プランをまとめる。政府のみならず、民間の取組にもつながるものなので、協力をよろしくお願いしたい。」
民間議員から、「企業の国内投資が伸びていないのは確かだが、海外投資やM&Aは活発に行っている。国内投資をいかに拡大させるかが課題であり、第4次産業革命を進め、生産性を向上し、日本にしかできない産業構造を展開するために、産業界として国内投資の拡大に取り組みたい。」
民間議員から、「名目GDPの伸び以上に賃上げ率が伸びないと、労働分配率が低下する。高水準の内部留保を、まずは冬のボーナスに反映させるとともに、来年春の春闘の方針に、名目GDPの伸びを踏まえた賃上げ率を明記すべきである。投資の拡大のために、投資拡大に前向きな企業の法人税を引き下げるといった税制も検討すべきではないか。」
次に塩崎厚労大臣、馳文科大臣に御参加いただき、3番目の議事といたしまして、「経済・財政一体改革の具体化・加速」についての議論を行いました。
伊藤議員から資料5及び資料6、塩崎臨時議員から資料7、高市議員から資料8、馳臨時議員から資料9について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。
民間議員から、「経済・財政一体改革の進展のためには、計画初年度である来年度、平成28年度に成果を上げていくことが重要である。厚労大臣には、診療報酬改定への改革の具体的な反映をお願いしたい。また、医療費の地域差の解消に向けて、優良事例の横展開を強力に進めていただきたい。総務大臣には、マクロ目標につながる金額ベースでの歳出抑制効果など、セミマクロレベルの点検・評価ができるKPIの検討をお願いしたい。また、「見える化」についても、交付税の具体的な中身の「見える化」に更に踏み込んでいただきたい。」
総務大臣から、「歳出抑制効果を金額ベースで示すことには、地方の不安、懸念に配慮しなければならないと考えるが、国レベルで検討するのであれば、歩調を合わせていくということだろう。「見える化」についての御指摘は、検討させていただく。」
民間議員から、「厚労大臣には前向きに対応いただいていると受け止めており、年末に向けて、しっかりとした工程表・KPIがまとめられるよう、是非一段の踏み込みをお願いしたい。」
ここで総理から発言がありました。
「アベノミクス第二ステージでは、これまでの「三本の矢」の政策を強化し、戦後最大の経済、GDP600兆円という大きな目標に向かって、新しい「三本の矢」を力強く放っていく。
このため、企業収益が過去最高となる中、設備、技術、人材に積極的に投資をしていただき、民需主導の好循環を確立する必要がある。
経済財政諮問会議においては、来年春の賃上げや最低賃金の引上げ、民間投資の拡大等について議論を深めていただきたい。
成長戦略の柱の一つであるTPPが大筋合意に至った。TPPがチャンスをもたらすことを、中小企業や農業にもチャンスをもたらすということを、国民に分かりやすく発信していく。
甘利大臣には、TPPの総合的な経済効果分析をお願いしているが、本会議においては、特にTPPの幅広いルールが経済に与えるインパクトの分析を踏まえて、経済再生への道筋をしっかり検討していただきたい。
経済・財政一体改革については、本日の議論を踏まえ、経済再生と歳出抑制の双方に資する工程表・KPIを具体化してほしい。また、民間議員からの提案を踏まえ、費用対効果や地域間格差の「見える化」を政府一体で推進してほしい。
全府省が改めて改革の精神を共有し、平成28年度予算編成に反映するなど、改革を加速化していただきたい。」
最後に私からの発言です。
「今後の諮問会議では、官民一体となって民需を伸ばす構造強化についての議論を深めるとともに、「経済・財政再生計画」の工程表・KPIの本年末の取りまとめに向け、各分野の議論を精力的に行ってまいりたい。」
以上です。
2.質疑応答
<官民対話における総理の発言について>
(問)まず官民対話ですけれども、総理発言の中で、一歩踏み込んで投資拡大の具体的な見通しを示していただきたいという御発言がありましたが、これというのは今日の官民対話の中で何か将来的にこうするみたいなものは、企業側から設備投資計画を提出するようなことになったという意味なのでしょうか。
(答)今日の時点では、いわゆる総論として、設備投資、特にいわゆる第4次産業革命に対応する投資の必要性が認識共有されたと。そして、それぞれ経済団体の長でありますから、関係団体会員にそれを要請していきますという話です。
(問)それは、別に具体的に何か工程表みたいなものを政府とともに作るとか、そこへ出すとかそういうことではないということでしょうか。
(答)成果を文書にまとめて何をどうする、いつまでに、ということでは、現時点ではありませんが、この投資に対するコミットメントが弱ければ、更なる強い要請をかけていきます。
<官民対話の手応え>
(問)今日1回目を終えてですけれども、今の大臣の感触でいきますと、より強く投資拡大を求めていく必要があるというのを認識したということなのか。それとも今回の内容で、やはり皆意見が一致しているので、いけそうだと思ったということなのか。感触はいかがでしょうか。
(答)設備投資計画は高いのですけれども、実務が伴っていないのです。やはり踏み出しが足りないと思います。
今日、いろいろ問題点が明らかになりました。内部留保が350兆円ある。だけれども、いわゆるM&A投資や海外設備投資には向けているのです、国内投資は弱いけれども、という話でありました。
ただし、企業収益が増えている中で現預金が20兆円ぐらい増えています。国内設備投資は5兆円ぐらいの増加でした。まさか海外設備投資は現預金等には含まれていないはずであります。現預金が20兆円増えて、設備投資は5兆円しか増えていないということは、M&Aをやっています、海外設備投資をやっていますということだけでは説明がつきません。ここで設備投資が弱いということは明白です。現預金が積み上がっていることが事実ですから、その差を埋めていく、背中を押していきたいと思っております。
一方で、世界最大の投資家、ブラックロックからあった説明は、我々は長期投資について、企業経営者がどういう認識を持っているかで企業価値を評価します。短期的なもので、利益を上げるという姿勢は基本的には評価しないという話がありました。世界最大の投資機関が、企業価値を高めていく投資を企業経営者が行っているか否かで企業価値を判断したいという話でありましたから、これはかなり衝撃的な話だと思います。我々は、前からそういう認識を、ブラックロックの投資方針について認識をしておりましたけれども、ああいう会議で、短期的に単に利益を積み上げるという経営しかしていない企業は評価しないということでありましたから、これは経営者の考え方に相当衝撃を与えるのではないかと思っております。
そして、DeNAの会長から示されたのは、やるべきことは分かっているし、それをアップルやグーグルは巨大な資金力でやっていると。対抗しようにも対抗ができないと。それを対応できるような資金供給の手だてを整備すべきではないかというお話もありました。日本の官製投資機関は、どうもリスクをとって、踏み込んでいくという姿勢に欠けているように思います。かつて手堅過ぎる銀行が融資をした姿勢みたいなものを、官製の投資機関が持っているようでは、設立の意味がないということですから、それについても大きな問題提起となっていると思いますし、金融機関、全銀協の代表からは、そうした投資に、つまり、将来投資に向けて、果敢に取り組んでいるという経営をどう評価、分析して、それに寄り添うかということが大事という発言もあったわけでありますから、そういう姿勢に向けて、覚醒をする機会になっているのではないかと思います。
<国内投資が伸び悩む背景について>
(問)企業収益が過去最高水準に迫る一方で、投資が伸びないという話は、これまでにも何回も出ていたと思うのですけれども、なぜそもそも企業側がその投資に、主に国内の投資ですけれども、そこに踏み切れないのかということについて、今日の初会合を通して、大臣として何か新しく気づいた点はございますか。
(答)今日の初会合で、特に意見は出ておりませんが、国内投資をしない経営者の投資判断というのは、人口減少の中で需要が伸びない。そこの中で、投資をしても、作ったものがさばき切れないという判断だと思います。これは明確に間違っております。我々が要求しているのは、今の設備のビンテージを見てください。失われた20年という20年間で、日本のビンテージは平均16.1年になっていまして、この20年間の間に、5年から6年古くなっている、中古になっているのです。つまり、中古の設備で最新の設備と戦っているという現状をしっかり認識する必要がある。増産投資をしろということではなくて、生産性を上げるための投資をするということです。生産性を上げるための投資というのは、利益率が上がるということです。利益率が上がるということは、資金環境の体力をつけるということで、更なる投資余力を呼び込むということであります。
あわせて需要論でいいますと、需要というのは、既存の需要というのは、その消費人口によって、大きくなったり、少なくなったりしますけれども、イノベーションが起きれば、新しい需要が起きるわけです。携帯電話がデビューして、新しい需要が起きる。それは固定電話、携帯電話に置きかわるだけじゃなくて、アプリ等々、その周辺の産業が起きるわけです。固定電話でそのアプリの産業など起きるわけないのです。ですから、イノベーションが需要をつくるという経営者として一番持っていなければならない視点がないと、私は思います。
それに、環境の変化にいかに早く備えるかということであります。環境の変化は、正に日進月歩で進んでいきますし、変わっていきます。3Dプリンターはいつの話だったっかというような話になっているぐらいのスピードでありまして、IoT、AIもいつ古くなるか分からないと。そういう変化にどれだけ早くついていけるかが生き残りです。ダーウィンの進化論でいえば、強い、その時点で規模の大きいものが残るのではなくて、環境の変化にいかに素早く対応できるかが生き残りでありますから、そういう視点を持つということであります。
<統計の精緻化の見直しについて>
(問)諮問会議で麻生大臣から統計の精緻化について御提案があり、甘利大臣からもその必要性があるという発言をされたとのことですが、統計の精緻化は昔から言われていることであり、取組が進んでいるかと思うのですけれども、今なぜ、また見直す必要があるということなのか、御認識を教えていただけますでしょうか。
(答)今、指摘されている問題は、2点あると思います。1つは、家計調査のような消費形態を全部把握するためには、統計当局が用意した書面にいろいろ必須項目をつけていく依頼をするわけですね。つまり、家計簿をつける依頼をしていくわけです。この作業が大変で、依頼先がどうしても幅広く広範囲にバランス良くなりにくい事態もあるのだと思います。そこでこの情報端末を使って、もっと簡易にできる、あるいはリアルタイムで報告できるというようなことに変えていったらどうかと。そうすると、受ける側の負担も少なくなっていくということが一つ。
それからもう一点は、調査対象が変わるときに乖離が起きます。それは要するに、入れ替え対象の比率が大き過ぎるから、突然乖離が起きるわけです。そこをもう少し1回の入れ替えの比率を減らしていって、対象を入れ替えた途端に乖離が起きるということがないように、正確なものにしていくという問題提起です。この2点に対応するということです。
<靖国神社参拝について>
(問)明日から靖国神社の秋の例大祭となりますけれども、大臣は靖国神社を参拝されるお考えがおありでしょうか。
(答)予定はありません。
<本田内閣参与の発言について>
(問)今日、一部報道で本田内閣参与が補正予算案について、低所得者に3万円から5万円の給付措置を盛り込むべきという提案をしたという報道がありましたが、これに対して受止めというか、感想はありますでしょうか。
(答)以前から消費税が上がったときに、月5,000円で年間6万円の給付金をいつからやるかということで、上がったときあるいはもう少し前からと、いろいろな話がありましたが、本田内閣参与の発言はその一部だと思います。まだそれが正式な議論の俎上に上がっているとは承知しておりません。
(以上)