第14回記者会見要旨:平成27年 会議結果
甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:平成27年7月23日(木曜日)18時38分~18時52分
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室
1.発言要旨
第14回経済財政諮問会議が先ほど終わりました。概要を申し上げます。
本日の議題の一つ目は、平成28年度概算要求基準についてであります。麻生議員から資料1の説明があり、諮問会議として了承いたしました。本件につきましては、明日の閣議で了解される予定で、その後、麻生大臣より説明が行われる予定であります。
私から、「経済・財政一体改革」については、明日の閣議の場で、28年度予算編成過程から、歳出改革に全力を挙げて取り組むよう、私からも全大臣に要請したい旨、発言をいたしました。
また、「経済・財政一体改革推進委員会」について、配布資料にあるとおり、有識者議員4名、専門委員10名の体制とし、会長は総理にもお諮りして新浪剛史議員にお願いをしたことを紹介いたしました。
次に、二つ目の議題について、塩崎大臣に御参加をいただきました。
まず、健康増進・予防サービス・プラットフォームについて、私から資料2について説明し、塩崎大臣から御発言がありました。
塩崎大臣から、「健康増進・予防サービス・プラットフォームについて、厚労省としても全面的に協力をする。予防や健康づくりは国民一人ひとりが自覚を持って取組を進めていくことが極めて重要である。今月10日には、「日本健康会議」が発足し、健康寿命を延伸し、医療費適正化を進める努力を促す体制が構築された。「健康先進国」に向けて、保険者等の先進的な取組を全国に広げていく。」
次に、前々回の諮問会議で総理より御指示のありました「最低賃金」に関し、事務方から資料3について説明があり、意見交換を行いました。
主な御意見等を御紹介いたします。
まず、塩崎厚労大臣から、「最低賃金の改定により影響を受ける労働者の割合は年々高まっている。産業別に見ると、生産性が低い産業が影響を受けやすい。したがって、生産性向上を支援しつつ、最低賃金を引き上げていくことが重要である。」
宮沢経産大臣から、「1点目として、賃上げの影響を受ける中小企業等に対して、商工会議所等に相談窓口を設置し、全国各地の相談に対応する体制を整備する。2点目として、公的金融機関における返済条件の緩和対応とともに、資金繰りに万全を期する。3点目として、賃金の引上げに協力していただける企業への優先支援を行う。」
続いて、民間議員から、「最低賃金について2点申し上げる。まず1点目として、企業が利益を上げていても、経営者にデフレマインドが残っており、賃金引上げに消極的である。最低賃金の引上げは効果がある。2点目として、政府として最低賃金引上げが可能となる環境整備が必要である。労働需給がタイトな現在、失業なき労働移動を推進すべきである。」
続いて、民間議員から、「新たな投資を喚起する観点から、継続的に最低賃金が上がっていくというメッセージを出すことが重要である。」
麻生大臣から、「労働分配率については、リーマン・ショック以降、下がり続けており、直近では70%を切るような状況になっていることにも留意することが必要である。」
菅官房長官から、「経済成長に弾みをつけるためにも、最低賃金を思い切って上げることが必要である。地方の法人二税も増えていることなども踏まえるべきである。」
日銀総裁から、「最低賃金の引上げは重要である。宿泊業の生産性が低いのは、日本人の旅行がゴールデンウイーク、夏休みに集中しているからであると聞いている。」これは、最低賃金を引上げる際に影響を受けやすい業種の説明がありまして、それを受けて宿泊業の生産性に触れておられました。
民間議員から、「昨年行った休み方改革の委員会でも、休日の分散や会社の休みと子供の学校の休みを地域で合わせる取組が必要との提言を行ったが、これらをしっかりやっていくべきとの思いを新たにした。」
ここで、総理からの発言であります。ポイントを御紹介申し上げます。
「「平成28年度予算の全体像」の考え方を踏まえた概算要求基準について、本日、了承が得られた。甘利大臣、麻生大臣をはじめ、議員の皆様の御尽力に感謝申し上げたい。
「経済・財政一体改革」の初年度にふさわしい28年度予算とするため、今後、この概算要求基準も踏まえ、政策効果の高い施策への重点化、また、新たな歳出改革である「公的分野の産業化」、「インセンティブ改革」、「公共サービスのイノベーション」、これらを踏まえた歳出抑制につながる制度改革の推進に政府を挙げて取り組み、各府省で知恵を競ってほしい。
健康増進・予防サービスに関する優良事例の全国展開は重要である。甘利大臣から報告があったプラットフォームを活用し、塩崎厚労大臣など関係大臣の協力を得て、積極的に横展開を図ってもらいたい。「経済・財政一体改革推進委員会」についても、民間議員の皆様にも御参加をいただいて、早急に「経済・財政再生計画」の具体化を進めていただきたい。
経済の好循環を2巡目、3巡目と回していくためにも、賃金の上昇は重要であり、今年の春闘でも17年ぶりの引上げ幅となった。現在、最低賃金については審議会で審議されているところである。政府として最低賃金の大幅な引上げが可能となるよう、中小・小規模事業者の方々の環境整備や、サービス産業の生産性向上に全力を挙げることとする。関係大臣は、最低賃金引上げに向けてしっかり対応していただきたい。」
以上です。
2.質疑応答
<概算要求基準及び歳出拡大圧力について>
(問)今日の概算要求基準の件について、「財政健全化計画」の初年度の要求基準づくりということで、甘利大臣の御見解をお聞かせいただきたいというのが一つ。
あと一つは、今後、予算編成作業に入っていくわけですけれども、2020年度のPB黒字化に向けて、かなり難しい財政運営になっていくかと思いますけれども、一方で、いろいろ税収が増えていくという中で歳出拡大圧力も増えているかと思いますので、これについて大臣の注文みたいなものをお聞かせいただきたいと思います。
(答)概算要求基準に向けて、予算の組み立て方は基本的に昨年に倣っている部分があります。裁量的経費を縮め、その3倍近くの要求枠を設け、もちろんそれは査定し、そして、義務的経費も含めて、全種目横断で構造改革努力をします。
構造改革努力をするという、全歳出横断のお題目について、これは昨年度までは、一応書いておくということになりがちでしたが、今回の予算編成では、そこの部分に「公的サービスの産業化」、「インセンティブ改革」、「公共サービスのイノベーション」などを入れていて、それを実際に予算編成に向けて実施していく体制をつくりました。構造改革を行っていく体制をつくって、KPIを設定し、それを各省に浸透していくという体制や、プラットフォームをつくって横展開をしていくという仕組みをつくりました。それに向け体制をしっかりつくっていったわけであります。
財政当局が「かつてこれほど歳出について分野ごとに具体的に決めて記述した骨太方針は過去に一度もありません」という話を私にしてきました。これは相当意欲的に経済再生と財政再建に具体的に取り組んでいる初めての例になっていくのではないかと思っております。
2月の試算から改定した中長期試算の中で、このアベノミクス効果が出てきている、これは悪いことではありません。それを期待して経済運営をしているわけですが、それによって歳出拡大圧力が与党内から出るのではないかという御指摘であります。もちろんそういう話は出るかもしれませんが、骨太方針は党の了解を頂いており、大枠はそれに従って細目を詰めていくという作業に入りますので、そこはしっかり党の了解を得た手続きを具体化していくということを説明しながら、構造改革、歳出構造改革に取り組んでいきたいと思っております。
<TPPに関して>
(問)今回の話とは関係ないのですが、TPPの関係で今日総理とお話しになっておりました。最後の打ち合わせだと思いますが、その中で大臣が現状報告をされたと思うのですが、差し支えない範囲で中身と、総理からどういう御指示があったのか教えていただけますか。
(答)具体的なことを申し上げると差し支えがあるものですから、お話ができないのですが、現状まで進んできた状況、それから何が全体として残っているか、あるいは日本が直接関わることで何の課題が残っているかを説明させていただきました。総理からはしっかり国益を踏まえて、引き続きタフな交渉をしてほしいという激励でありました。
しっかりと最終の詰めを、国益を踏まえて、強い交渉をしていきたいと思っております。
(以上)