第9回記者会見要旨:平成27年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成27年6月10日(水曜日)19時12分~19時41分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第9回の経済財政諮問会議が先ほど終わりました。概要を申し上げます。
本日の議題の一つ目は、竹下復興大臣に御参加をいただき、東日本大震災からの復興についての議論を行いました。
資料1の説明があり、その後、意見交換を行いました。
麻生大臣から、「復興事業については、平成32年までしっかり取り組むべきであるが、この予算もプライマリーバランスの前提となる。これへの影響を踏まえつつ、復興財源の確保にしっかり対応してまいりたい。」
民間議員から、「被災地では、心身のケアなど新たなニーズが出てきている。地域の声を十分に聞き、対応を図っていただきたい。」
民間議員から、「産業界としても産業復興、農水産業や農水産品の加工業、その販路拡充など、人材の派遣も含め、継続して支援をしてまいる所存である。」
続いて、2番目の議事として、太田大臣に参加をいただき、経済再生と両立する財政健全化計画の論点のうち、社会資本整備について議論を行いました。
太田大臣から資料2の説明があり、その後、意見交換を行いました。
民間議員から、「骨太の方針の取りまとめに向け、更なる具体化を検討いただきたい。1.社会資本整備の優先度、時間軸の明確化の際には、2020年度のみではなく、財政健全化計画でも2018年度に中間評価を行うことにしているので、それに合わせた2018年度の目標も示していただきたい。2.社会資本整備の時間軸もできるだけ具体化をしていただきたい。3.PPP/PFIの導入拡大に当たり、導入する分野やKPI指標を具体的に示していただきたい。4.資本のリサイクルの推進をする具体的な仕組みを御検討いただきたい。」
民間議員から、「社会資本整備に当たって、立地競争力の強化に資する分野、生産性の向上に資する分野の具体化を図るべき。コンパクト・プラス・ネットワークの構想は、社会保障の効率化にも資するものであり、これを強力に推進すべき。」
民間議員から、「PPP/PFIについては、早急に我が国の代表的な成功事例をつくり、我が国に国内外の民間資本が集まるようにすべきである。」
次に、3番目の議事として、塩崎大臣に御参加をいただき、社会保障について、伊藤議員、塩崎大臣から資料3及び4の説明があり、その後、意見交換を行いました。
塩崎大臣の説明と、議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
塩崎大臣の説明ですが、「「医療法人による健康増進サービス業務の実施」、「看護師、薬剤師の活躍の場の拡大」に取り組む。地域医療構想や医療費適正化計画を通じ、地域ごとの「医療の見える化」、「住民負担の見える化」を行う。その上で、病床機能の分化、連携を推進し、保険者や医療提供者等へのインセンティブの強化や、好事例の横展開も実施する。後発医薬品利用は、本来の達成目標を2年前倒しして「32年度末までに80%以上」とするが、状況に応じて更なる前倒しを検討する。診療報酬については、費用対効果評価を導入し、調剤技術料については適正化に取り組む。先発品の保険償還額を後発医薬品の価格に基づき設定する制度については、後発医薬品の目標の達成状況を踏まえて議論をより深めていく。市販品類似薬の適正給付、介護予防取組の全国展開等の介護事業の見直しにも取り組む。」
麻生大臣から、「後発医薬品の目標の達成時期について、民間議員からの2017年度との指摘を踏まえ、早期にすべきである。」
民間議員から、「1.後発医薬品の2年後80%普及は不可能ではない。踏み込んだ大胆な目標とすべき。2.窓口負担と高額医療費については、年齢ではなく所得に応じた負担を検討すべき。3.薬価毎年改定について、今後3年間の連続改定の間に課題を洗い出して次につなげるべき。薬価引下げによる財源は、政府全体の財源とすべき。4.介護保険の自己負担や軽度者への給付見直しなどの検討は、次の改正に向けて直ちに検討を開始すべき。」
民間議員から、「成功事例の横展開は、方法などを民間から学んで推進すべきである。」
民間議員から、「重症化予防などの好事例の横展開については、プラットフォームを設けて検討していきたいので、連携をお願いしたい。見える化のKPI化が必要である。地域差是正に、地域別診療報酬制度の活用を検討してほしい。」
民間議員から、「医療機器、医療器具についても、流通改善などで価格の引下げになる方法を検討してほしい。」
塩崎大臣から、「後発医薬品の目標に関しては、後発品メーカーの設備投資の問題と新薬メーカーへの影響の両方がある。後発医薬品普及や生活習慣病予防への、保険者のより一層の取組に期待している。」
ここで、総理から、「医療機器や医療器具には内外価格差が大きいものがある。どうなっているのか検証すべき。国公立病院の経営改善は、民間病院との比較というよりは、国公立病院の優良事例を横展開するのが良い。」
次に、最後の議事として、骨太方針策定に向けて、事務方、高橋議員から資料5、6の説明があり、その後、意見交換を行いました。
麻生大臣から、「2018年度の歳出水準の目安については、国民やマーケット、海外に具体的に説明するために必要。民間議員の提案は、概算要求基準に反映させるため、もう少し具体的なやり方が必要である。税体系のオーバーホールは必要で、配偶者控除の改革もやっていきたい。概算要求基準の仕組みは、昔に比べ大きく変わっている。更に工夫できることがあれば見直していきたい。」
宮沢大臣から、「義務的経費について、概算要求基準で削減するのは難しいのではないか。」
民間議員から、「単年度では難しいが、中期的にはできるのではないか。義務的経費についても例外とせず、削減する必要がある。」
民間議員から、「「歳出水準に関する目安が必要」との財務大臣の御発言については、5カ年の計画であり、経済状況や歳入をみながら、固定的ではなく柔軟に対応することが重要と考える。」
民間議員から、「地方財政の改革も非常に重要。計画の中で時間軸やKPIを明確化した改革案を総務大臣に御検討いただきたい。」
民間議員から、「経済成長を優先する上で労働力不足が制約になってきている。103万円、130万円の壁の見直しは早急に進めていただきたい。」
麻生大臣から、「配偶者控除の見直しは家族観の問題もあるが、できる限り検討を前に進めたい。企業の手当等の問題と一体的な検討が必要である。いずれにせよ、改革は税収中立で進める必要があると考えている。」
高市大臣から、「改革の成果を交付税に反映していく取組をはじめ、地方財政の改革にしっかりと取り組んでいく。」
麻生大臣から、「歳出水準の目安についてはキャップという趣旨では決してない。景気を冷やしてはならない。それでは2017年の消費税率10%引上げもできなくなり、全体がおかしくなってしまう。」
私から、「消費税の発言については麻生財務大臣の言われる通りであり、その意味でも柔軟性を持って集中改革期間中に改革を進めながら、2018年度にきっちりと中間評価を行うのが基本的な枠組みになる。柔軟性が重要であり、歳出・歳入のどちらか一方だけを抑えるということではないのであろう。」
引き続いて私から、「本日は、これまでの諮問会議の議論の集約を行い、各大臣からは積極的かつ前向きな回答や御意見をいただいた。また民間議員から提起された課題や残された課題については、引き続き関係府省と調整してまいりたい。そうした成果についても、次回の諮問会議で提示する骨太方針の素案に反映をしたいと考えている。」
最後に、総理から「本年は、東日本大震災からの集中復興期間の最終年度となる。次の5年間は「復興・創生期間」と命名をした。この名にふさわしいものとすべく、竹下大臣には、被災者の方々の一日も早い安心に向け、更に復興を加速化し、東北が地方創生のモデルとなるように取り組んでいただきたい。
太田大臣には、社会資本整備の重点計画等において、施策の優先度・時間軸を明確化するとともに、選択と集中を徹底していただきたい。また、PPP/PFIについては、関係大臣と協力して、地方公共団体による具体的な案件の形成を促していただきたい。
塩崎大臣には、医療関係者による健康増進サービスへの参入促進策、給付・負担の地域間格差の是正、診療報酬・薬価の在り方等について、これまでの諮問会議の議論を十分に踏まえて、見直しや検討を加速していただきたい。
1-3月期のGDPは、世界で最大の伸びであった。経済再生に向けて前進している今のタイミングを逃さず、スピード感を持って「経済・財政一体改革」に取り組むことが重要である。甘利大臣には、「経済・財政再生計画」を含む骨太方針の取りまとめに向け、一層の尽力をお願いしたい。」
以上です。

2.質疑応答

<後発医薬品の普及率目標について>

(問)後発医薬品の目標のところでお伺いいたします。塩崎大臣から、前回「2020年度末までに80%以上」というのがありましたけれども、今回、それに加えて、2017年度末に進捗評価を行って前倒しを検討というのが盛り込まれました。民間議員なり麻生財務大臣の方からは2017年度に80%以上を目指してほしいという声もありますけれども、甘利大臣としては、どのように評価をされていますでしょうか。

(答)財務大臣の指摘で、厚労省も当初の自身の見通しよりも前倒しするという決意は示していただきました。民間議員の方からは、これで満足せずに更なる前倒し達成に向けて努力をしてほしいということであります。今日出された提案については、宿題として持ち帰っていただいております。民間議員、あるいは諮問会議の指摘を受けて、更なる努力をしていただきたいというふうに思っております。


<骨子案におけるPB赤字削減の中間目安について>

(問)麻生大臣の2018年度の歳出水準の目安は、国民やマーケット、海外に説明するために必要だということをおっしゃったのですけれども、これはPB赤字の対GDP比1%という目標をブレークダウンした何らかの数値が必要という趣旨でおっしゃっているのか、どういう趣旨でおっしゃっているとお考えになるのかを教えてもらえますか。

(答)2018年度にPB赤字対GDP比で1%程度を目安とするという、いわば一つの縛りがかけられているわけであります。財務大臣からは、それをよりわかりやすくするために、更にブレークダウンすることができれば、より良いのではないかというお話でありました。
民間議員からもお話があり、私が民間議員の発言を意訳したわけでありますけれども、1%という目標を達成するためには、税収を増やしていくという方と、それから歳出を合理化していく、その両方の接点を1%にするわけです。片方が伸びていけばもう片方は少なくなる。片方が少なければもう片方が大きくなるという関係でありますから、どちらかを固定化すると、柔軟性が損なわれるのではないか。それが民間議員からの指摘であり、それらを踏まえた表現で、今回の骨子案を提出させていただいたということを申し上げました。

(問)すると、現段階ではまだその対立点が若干残っていて、これから調整するということでしょうか。

(答)書き方については、これで良いのだというふうに思います。了解をいただきました。ただ、財務大臣としてはですね、極力具体化できるものは具体化していけば、それはそれなりに効果が上がるのではないかと、わかりやすくなるのではないかという御指摘だと思います。
ですが、一方だけ固定してしまうと、もう一方のアローワンスが失われてしまうわけでありますから、税収と歳出と、両方が連立して出来上がるものでありますから、そこを踏まえてこういう書き方になったということの御理解をいただいたわけであります。

(問)麻生大臣も大体、了解されたという理解でよろしいですか。

(答)書き方については、政府内で意思統一がなされています。

(問)要するに、骨子案の内容でということですね。

(答)はい。


<配偶者控除等の税収中立について>

(問)あともう一つ、所得税の改革のところで、税収中立と麻生大臣がおっしゃっているのですけれども、ほぼこういう形になるということでよろしいのでしょうか。

(答)これは103万の壁、130万の壁に関してですか。

(問)はい。扶養控除の見直し等々ですね。

(答)これは、家庭内において、家事で家庭を支えるという意思も、あるいは社会進出をして表へ出て働くという意思も、平等に扱われるべきであるという意味でおっしゃったのかなというふうに思います。


<歳出削減の目標について>

(問)今の麻生大臣の2018年度の目標の確認ですけれど、そういう意味では今後、素案をつくっていくと思うのですが、そこでも歳出の金額とか目安とか、数値目標みたいなものは入ってこないという理解でいいですか。

(答)はい。

(問)そういう文言が何か少し入る可能性はあるのでしょうか。

(答)2018年度にPB赤字の対GDP比1%目安ということが一番大きな縛りになっていくのではないかと思います。つまり、その改革期間3年間で、構造改革の効果は毎年均等に出てきません。設計をしている初年度は間に合わないかもしれませんし、加速度的にどこかで出てくるかもしれません。
そういうアローワンス、つまり3年間の改革成果を、3年間の最終年に1%ということで縛っているわけですから、その間のアプローチは、総理は経済優先ということをおっしゃっています。失速をしてしまったら、全てのプランが台無しになる。
それは、2017年の消費税率引上げについても、全くできないような環境になってしまっては元も子もないため、確実に2017年に引き上げられるという環境をつくることが大事だと、それは財務大臣も、まさにそのとおりであるとおっしゃっています。3年間は柔軟性を持って、3年後の目標で縛り、そこに到達するためのいろんな選択肢が描けるということにするのだろうと思います。


<黒田総裁の為替に関するコメントについて>

(問)直接、諮問会議には関係ない質問ですけれども、本日の午後、日銀の黒田総裁が為替についてコメントなさっています。円高に振れているのですけれども、発言内容は、実質実効為替レートでみると円安になっているのは事実であると、ここから更に円安はありそうにないという認識を示されました。黒田総裁の発言について、どう思われますか。

(答)今回のコメントは、黒田バズーカ第3弾ではありませんと、明確に否定をされておられました。委員会での質問に答えた趣旨が若干、曲解されて市場に伝わってしまったというようなお話だったと思います。

(問)明確に否定されていたというのは、直接大臣もお聞きになったのでしょうか。

(答)意図と違う反応が、市場にあったという意味です。


<市販品類似薬の保険除外について>

(問)塩崎大臣の資料にある市販品類似薬の保険除外の部分について、湿布などいわゆる市販薬的なものは保険から外すといった議論は行われたのでしょうか。

(答)その部分については具体的なやりとりがあったわけではないです。単に報告があったということです。こちらからいろいろ宿題が出ていますから、それを含めて回答がありました。それについて更なる宿題が出されて、今後回答を検討されるということです。

(問)その宿題の中には湿布薬などの具体的な名前は特に出てきているのでしょうか。

(答)具体的に出たわけではないです。


<予算編成に対する民間議員のチェック機能について>

(問)財務省の予算編成に対して民間議員がチェック機能を設けるといった提案が民間議員からあったかと思うのですが、それに対しては何か議論は行われたのでしょうか。

(答)「経済財政諮問会議の専門調査会において各府省の歳出改革、ワイズ・スペンディングへの取組の評価、それと連携しつつ財務省は予算編成を進める」の項目ですか。

(問)はい。

(事務方)大臣が先ほど言われたように、麻生大臣は概算要求でもし変えるところがあるのだったら工夫していきますよということを言われました。


<黒田総裁のコメントに関する確認>

(問)確認なのですが、黒田総裁の発言について、大臣が直接、黒田総裁とお話しなさったわけではないということでよろしいでしょうか。

(答)諮問会議の中での議題としてこの話が出たわけではないです。集まる前までに雑談としていろんな話があった。その中で自分の発言がどうも市場に大きな変化を与えてしまったけれども、それは全くそのようなことを考えて言っているわけではないという雑談があったということです。今日の諮問会議の中での議題とは全然関係ないです。

(問)大臣は常々、無用の混乱を与えないように為替水準、株価水準等について発言なさらないとおっしゃっている中で、黒田総裁がしゃべったことで今日2円ぐらい一気に動いたのですかね。そのことについて感想はございますか。

(答)少なくとも私よりは影響力が大きい人だなと思いました。

(問)いや、大臣にも言っていただいたらきっとそれぐらい動くかとは思うのですが。

(答)その手には乗りません。

(問)先ほどの発言の関係で確認なのですけれども、その雑談というのは黒田総裁との雑談があったということでしょうか。

(答)いえ、会議が始まる前に為替が動いたということが話題になっていて、黒田総裁は、そのようなつもりで言ったのではないのだけれども、あんな受け止めになってしまったとおっしゃっていました。だから、そこはちょっと慎重にしなければというようなお話だったと思います。これは会の中でのお話ではないです。


(以上)