第3回記者会見要旨:平成27年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成27年3月11日(水曜日)18時55分~19時13分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

第3回経済財政諮問会議につきまして、概要を申し上げます。
今日の議題の一つ目は、3年目の経済好循環の拡大に向けて、についてです。まず高橋議員から資料1-1、1-2について、新浪議員から資料2-1、2-2について、宮澤大臣から資料3について説明があり、その後意見交換を行いました。主な意見を紹介いたします。
麻生財務大臣から、「PPP/PFIを進めていくというのはそのとおりだが、リーマンショックの時、政府系金融機関の融資がなければ、多くの企業が潰れていたのではないか。民間は利益を考えて行動するので、そこをどう考えるか、難しい点である。」
民間議員から、「アベノミクスの最初の2年はステージ1であり、これからはステージ2に入る。ステージ1は20年間冷え切った経済をあたためるところであり、これはうまくいった。ステージ2は熱していくところ。投資は期待したほど伸びていない。投資には二つの点が影響する。一つは実質金利であり、もう一つは将来の期待。TPPなども含め、第三の矢をスピードアップしていく必要がある。」
同じく民間議員から、「3月以降、好循環の拡大がはっきりしてきた。GDPの2次速報では、在庫調整の進展や消費の増加がみられた。輸出や生産の持ち直しもみられる。円安や中国での事業環境の変化もあり、国内回帰も起きている。また、3月18日は春闘の集中回答日であるが、経済界に前向きに対応するようにお願いしている。」
ここで安倍総理から、「インターネット経由の書類申請の数字が低いのは、どのような原因があるのだろうか。目標を立てて向上させていく方が良いのではないか。」
民間議員から、「ITに関し、日本はいち早くハードの整備を行ったが、活用する方ができていない。欧米ではユーザー志向のシステムがつくられており、スウェーデンではワンクリックで年金情報が見られるようにしたら、「年金情報が十分に提供されている」と考える国民の割合が高まった。マイナンバーが導入されるので、こういった動きを加速してほしい。」
同じく民間議員から、「現状は厳しいが、チャンスとも言える。IT化をバラバラではなくパッケージで行うなど、対処方針はわかっている。ビジネスプロセスを変えてITを活用すれば、大きく変えられるのではないか。」
麻生財務大臣から、「国家戦略特区諮問会議でも、バラバラな取組の弊害について指摘がなされていた。そのとおりだと思う。」
ここで総理から、「チャンスを活かすために、具体的に進めていくための検討チームを立ち上げてはどうか。」
官房長官から、「遠藤政府CIOを中心に、チームをちょうど立ち上げて取り組んでいるところ。これをしっかりと進めていきたい。」
民間議員から、「遠藤CIOからは、地方自治体も含めた取組を進めたいが、そこには自分の権限が及ばないので何とかしたいと話されていた。」つまり、遠藤CIOは、政府の中については自分はIT化に関しての指揮がとれるが、地方自治体までは自分の権限は及ばないので、どういうふうにしたらいいんだろうかという悩みがあるということでありました。
総務大臣から、「遠藤CIOと相談したい。マイナンバーが利用できるようになることから、できることはあると思うので検討していきたい。」
私から、「3年目の好循環の中で設備投資の低調さが目立つ。デフレマインドから抜け切れていない経営者がまだ多いのではないか。古い設備をだましだまし使って当座をしのいでいても、長い目で見れば収益力、成長力は弱まる。先日、経営者の方々に、10年間社長を務めるつもりで、その発想を持って取り組んでもらいたいと要請をした。ぜひともデフレマインドの脱却に達したい。」
民間議員から、「IT化の推進の肝は、政府サービスの変革。先進国ではデータの徹底した公開、社会保障に関する行き届いた情報提供など、工夫を重ねているところである。そうすれば、官民連携、民間参入や自治体間の比較などがもっと進むはずである。」
同じく民間議員から、「財政健全化はカットだけではいけない。カット自体が成長にマイナスになるということを忘れてはいけない。IT化の推進や社会保障関連のサービスの産業化など、経済成長につながる取組を、財政健全化とセットで進めていくことが本当に重要である。」カットすることで終わっていないで、カットしたら、そこに民間投資が何倍も起こるような、つまり、カットをする行為が税収を増やす行為につながるような工夫が必要だという意味です。
続いて、1番目の議事とも関連しますが、2番目の議事として、対日直接投資の動向について議論をいたしました。最近の状況について、内閣府事務方からの説明の後に意見交換を行いました。主な意見を紹介します。
宮沢大臣から、「我が国が投資先として再び海外から注目されつつある。この機を逃さず、日本の魅力の発信、個別投資案件のサポートなどに積極的に取り組んでいるところであり、今後とも、我が国の立地競争力強化に向けた環境整備と車の両輪として対応を進めていきたい。」
民間議員から、「我が国の製造拠点、物流拠点としての魅力はまだ不十分である。この大きな要因となっているエネルギー問題への対応を急ぐ必要がある。また、国際戦略港湾や空港などのインフラ整備に力を入れることが重要である。」
同じく民間議員から、「サービス業の発展に向け、IRに積極的に取り組み、投資の呼び込み策として活用すべきである。」
同じく民間議員から、「対内直接投資の拡大と同様に、日本企業の海外への投資拡大も大事である。グローバルスタンダードを有する企業の買収など、攻めの動きも活発化しており、我が国の経済成長に非常に重要である。」
最後に総理から発言がございました。
「アベノミクスがスタートして2年3か月、三本の矢の経済政策は確実に成果を上げている。本日民間議員に御提案をいただいたように、消費、投資やグローバルな好循環を、より強固で大きなものとすべく、引き続き取り組んでまいりたい。
公共サービス分野に民間のノウハウや資金を活用する「公共サービスの産業化」が経済再生と財政健全化の両立、さらには地方創生にとって重要との御提言をいただいた。諮問会議において更に議論を進めていただきたい。
対日直接投資の拡大は、成長戦略の柱の一つである。投資先としての日本の魅力の改善もあり、拡大しつつある。この流れを本格化するため、近く私も出席する「対日直接投資推進会議」を開催し、政策パッケージを取りまとめたい。」
最後に私から、「本日、民間議員から御指摘のあった4つの好循環や公的分野の産業化に関する課題については、諮問会議において更に議論を深めてまいりたい。」
以上です。

2.質疑応答

<対日直接投資誘致のための方針について>

(問)対日投資の関係ですけれども、これは外資系企業に訴える場合、どの辺を武器にして、なみいる他国を押しのけて投資を呼び込もうとしているのか、お考えをお聞かせください。

(答)恐らく近々、来週中にもそのための戦略会議が開かれます。総理から具体的な発信があると思います。詳細については、そのときに総理のお話を聞いていただきたいのですが、例えば、その頭出しとして、総理は一定要件を満たす外国企業に副大臣を担当でつけるというお話をされました。
これは、イギリスがロンドンオリンピックの後、いわゆる宴の後で潮が引いていくような事態を避けたいということで、オリンピック前から準備をして、閣外大臣を主要な外国企業の担当として相談相手につけました。そして、何でも相談に乗って、政府との窓口にしたという例があります。規制緩和要望や、あるいは行政上の手続の問題点等々、困ったことがあった場合に相談に乗るという担当大臣制はかなり成功をおさめております。
それを参考にして、総理からの頭出し発言が先般ありましたから、そういうように、対日投資を行う企業が現実に抱いている日本側の課題について恐らく総理から具体的に発言があろうかと思います。


<PPP/PFIの拡大について>

(問)PPP/PFIのことですけれども、麻生財務大臣からの発言を御紹介いただいた中で、政府系金融機関についての言及があって、民間議員の提言に対して少し慎重な発言だったのかなと思うのですけれども、甘利大臣はPPP/PFIの拡大について、民間議員の提言についてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

(答)危機管理対応も含めて民間が全部やってくれるのであれば問題はないのですが、経済的な危機のときにラストリゾートを果たし得るかどうかということだと思います。ですから、そういった、官が果たす役割は最小限にして、それ以外は民業圧迫にならないようにするというのが原則だと思います。
政投銀とか商工中金等々にラストリゾートの役割をどう果たしてもらいながら、より民営化を進めるか、という間合いの問題かと思っています。


<行政のIT化について>

(問)総理から、ネット経由の書類申請が低いという発言について。

(答)行政へのアクセス、手続のことでしょう。要するに、電子アクセスの割合が少なく、日本の割合は4%でチリよりも低いということです。ハードはどこよりもだけれども。


<政府系金融機関の民営化について>

(問)それから今、御説明があったPPP/PFIの話と政投銀なり商工中金について、麻生大臣はPPP/PFIの話をしながら商工中金、政投銀の民営化に言及されたということでしょうか。

(答)どういう脈絡かはちょっと分からないのですが、御本人がずっと考えていらっしゃったことをこの機会におっしゃったのだと思います。金融の在り方で民業圧迫は避けなければならないと。ただし、危機管理対応のルートがないというのは大変だと。過去の事案でも、もしそういう政府系のラストリゾートが働いていなかったら倒産した企業がたくさん出たのではないかということをおっしゃったということです。

(問)これは政府系金融機関の民営化について御持論をおっしゃったというふうに捉えておけばよろしいですか。

(答)だと思うのですが。PPP/PFIとの脈絡については、御本人に聞いていただければ。


(以上)