第21回記者会見要旨:平成26年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年12月27日(土曜日)18時44分~18時59分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

本日夕刻の経済財政諮問会議、日本経済再生本部及び臨時閣議の概要について申し上げます。
最初に、第21回諮問会議について。本日は、榊原議員、直前までいらっしゃったのですが、1時間開会が遅れたため御都合がつかなくなりました。そして新浪議員が所用のため欠席でありました。
一つ目の議事として、平成27年度予算編成の基本方針に関し、総理から諮問があり、本基本方針案を諮問会議の答申とすることを議決いただきました。
次に、二つ目及び三つ目の議事について、資料2、3の説明に続き、意見交換を行いました。議員の方々からの主な御意見を紹介いたします。
まず、高市総務大臣から、「地方歳出の大半は、法令等により義務付けられている経費や国の補助事業であるので、国の義務付けや予算の見直しを行うことが、地方財政の健全化につながると考えている。特に、国も地方も歳出拡大の主な要因は社会保障にあることから、その抑制が、国・地方を通じた歳出抑制につながっていくものである。」
民間議員から、「国の資産と債務の規模が、GDPとの比較でどの程度の大きさにあるのか、また、両者のバランスなどストックを両面から見るということが重要である。デフレ脱却の成果をしっかり把握するという観点からも、債務残高を対GDP比で見るという視点が重要である。」
同じく民間議員から、「経済対策については、低所得者への支援などできる限り年度内に支援の手が届くように迅速な対応をお願いしたい。経済再生と財政健全化の両方に「民間の活力を引き出す」ということが資すると考える。官がやっていることを民間に切り出すという姿勢が重要ではないか。」
麻生財務大臣から、「財政健全化の計画は、具体的な対策が入ったものとすべきである。」
黒田日銀総裁から、「財政健全化のため、債務残高のGDP比を引き下げていくことが重要だが、PBが赤字のままでは発散してしまうので、2020年度のPB黒字化は堅持しなければならない。」
民間議員から、「従来もPBと債務残高のGDP比の二つの指標で議論がなされてきたが、成長率や金利などによって見通しが変わってくることもあり、複眼的に議論していくことが大切である。」
麻生財務大臣から、「PB赤字を解消しなければ債務残高の増加は避けられない。まずはPB黒字化を果たして次に進むということではないか。」
次に総理から、「PBを黒字に持っていくと同時に、債務の対GDP比の観点から見ていくべきであろう。また、PB赤字縮減のスピードを上げようとして成長率が減少しないように、適正なスピードを保つ必要がある。」 ここで総理から御発言がありました。ポイントを紹介いたします。
「本日、「平成27年度予算編成の基本方針」の答申をいただいた。この後、緊急経済対策とともに閣議決定を行う予定である。民間議員をはじめ、関係大臣のこれまでの尽力に感謝いたします。
予算編成の基本方針では、平成27年度予算において、聖域を設けずに大胆に歳出を見直し、経済成長を促す施策に重点化を図ることとしている。これにより、平成27年度の国・地方の基礎的財政収支赤字対GDP比の半減目標を着実に達成するよう最大限努力することとしている。デフレからの脱却、経済再生と財政健全化の両立を目指し、メリハリの効いた予算とするよう、予算編成に取り組んでまいりたい。
来年は経済の好循環を拡大させていく正念場となる年である。本日、甘利大臣から「経済財政諮問会議の今後の課題」を提示いただいた。来年からこれらの課題について議論を進めていただきたい。甘利大臣には、関係大臣と協力をし、2020年度の財政健全化目標の達成に向けた具体的な計画を夏までに策定をしていただきたい。
経済財政諮問会議には、経済財政政策の司令塔として、今後とも議論を牽引していただきたい。」
最後に私から、「総理の御指示を踏まえ、来年もしっかりとした成果を出していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。」と発言をいたしました。
続いて、第15回日本経済再生本部の概要を申し上げます。
本日の本部では、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」及び「アベノミクス成長戦略の実行・実現について」を御議論いただき、日本経済再生本部として決定いたしました。
「アベノミクス成長戦略の実行・実現について」は、今回の総選挙でアベノミクスの実行について国民から多大な支持をいただいたことを踏まえて、昨年決定し、今年6月に改定をした「日本再興戦略」に掲げられた施策を速やかに具体化し改革に取り組んでいく。第3次安倍内閣としての姿勢を示すために本日決定したものであります。
日本経済再生本部の場において、総理からは、「経済の脆弱な部分にスピード感を持って対応するため、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を決定した。個人消費のてこ入れと地方経済の底上げを図り、アベノミクスの好循環を全国津々浦々に拡大をしてまいりたい。構造改革についても、一歩たりとも後退せず更に進めていく。このために、来る通常国会では、農業、雇用、医療、エネルギーといった分野での規制改革を含め、大胆で思い切った成長戦略関連の法案を提出したい。各大臣には、改革内容が「後退」や「骨抜き」にならないよう強い決意を持って取り組んでいただきたい。」とのご発言がありました。
総理の御指示を踏まえ、私からは、実効性ある具体的な成果に向けて、この経済対策の着実な実施及び成長戦略の確実な実行について、各閣僚に対して協力を要請いたしました。
最後に臨時閣議に関してです。
先ほど臨時閣議におきまして、お手元に配付していますとおり、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」及び「平成27年度予算編成の基本方針」が決定されました。なお、今回の対策の名称については、1、スピード感を持って行うこと、2、地方にアベノミクスの成果を広く行き渡らせること、を目指しているという観点から、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」としております。
私からは以上です。

2.質疑応答

<経済対策の財源について>

(問)3.5兆円の経済対策が先ほど閣議決定されました。その財源についてですが、大臣はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

(答)基本的に、赤字公債には頼らないということです。余剰分や節約分、上振れ分等々を活用しまして、財政再建をしっかり視野に入れながら、経済対策が打てることになろうかと思います。


<経済対策の狙いについて>

(問)足元で月例報告など、景気について回復基調が続いている中で、あえて本当に経済対策が必要なのかどうか、その点について大臣、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

(答)基調は悪くはないと思います。ただ、今回の経済対策はばらまきではなくて、どこに脆弱性があるか、どこに課題があるかということをしっかり検証して、そしてそこにフォーカスを合わせて打ちました。つまり、消費の回復力が弱い、地方への均てんがスピード感が遅いということでありますから、「地方」とそれから「消費喚起」という二つのキーワードを中心に、もちろん災害対策、災害に対してより強靱な国土をということでありますから、例えば活火山に対する監視態勢を強化するとか、危機管理も含めて、現下の課題にフォーカスを絞って、ピンポイントで打った対策だというふうに思っております。


<財政再建の進め方について>

(問)この債務残高対GDP比の議論なのですけれども、要は民間議員からそういうものを見るべきだといったことに対して、麻生大臣と黒田総裁が、「PB黒字化を達成してからの問題ではないのか」という反論をされて、それで総理が仲裁したという感じかなと思うのですが、大臣のお考えはこれを来年の年央に出す財政健全化の計画、いわゆる2020年の話の中で、2020年以降の問題として捉えるのか、それとも2020年以前にもこのことを一つのメルクマールか何かにして考えていくのか、どういう位置付けをされているのかということを教えてほしいのです。

(答)今回の会議で出た議論、党本部の議論でも同じような話が出たと聞いておりますけれども、これは別にどっちが大事でどっちがおろそかにではなくて、両方しっかり視野に入れておく必要がある。つまりフローとストックであります。これは恐らく会社経営をされている方であるならば、両方に視点を置くと思います。  まずは全体の発散防止を抑えていきながら、そして言ってみれば財務諸表全体を見て、そこの視点も忘れないということだと思います。当面、PB赤字半減、そして黒字化、その上でこれは、金利と成長率との関係がありますから、その中で実額として対比して、確実に健全化の方向に向かっていくように持っていく。つまり、一面だけ見ればいいということではないのだと思います。そういう問題提起があったと。  ですから、今のPB方式をやめろという話ではなくて、そういった中で全体での、企業で言えば財務諸表全体を見ながら、財政の健全化ということを図っていく視点が必要だということだと思います。  とにかく掲げた目標についてしっかり取り組んでいく。それから総理の御発言は、スピード感だけ持っていくことで、実は黒字化に向けたスピードだけ保っていて、成長が置いてきぼりにされたりしてはいけないという視点での問題提起だと思います。バランス感覚を持って、成長と財政再建としっかり目配りしながら、バランスをうまく保って財政再建を進めていくようにという御指示だと思います。


(以上)