第18回記者会見要旨:平成26年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年11月4日(火曜日)18時57分~19時21分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・103会見室

1.発言要旨

私から、2つの報告がございます。
まず、第1回の「今後の経済財政動向等についての点検会合」について、その概要を申し上げます。出席者からの主な御意見を紹介いたします。
まず、「足下の景気の現状と見通しについてでありますが、本年4月の消費税率引上げに伴う反動減からの回復に、遅れはあるがトレンドに戻りつつあり、いわゆる腰折れとは程遠い」とされた方は、伊藤さんです。続いて、「本年4月の消費税率引上げに伴う反動減等の影響について、慎重な見極めが必要である」とされた方は、浜田さん、三村さんです。そして、「消費を中心として厳しい状況にある」とされた方は、荻上さん、河野さんであります。
景気への懸念材料としては、「消費の抑制が続いていること」、「生産面ではエネルギーコストの上昇、人手不足など」が挙げられていました。
次に、来年10月に予定されている消費税率の8%から10%への引上げについてでありますが、「予定通り引き上げるべき」とおっしゃったのが、伊藤さん、そして加藤さんであります。次に、「予定通り引上げを行うべきだが、景気対策、低所得者・地方経済等への配慮や、転嫁対策等を行うべき」とおっしゃったのが、古賀さん、須田さん、三村さんであります。そして、「引上げを一定期間延期すべき」とおっしゃったのが、荻上さん、浜田さんであります。さらに、「そもそも引上げ自体を行うべきではない」という御主張が、河野さんであります。
続いて、景気対策、低所得者・地方経済等への配慮や転嫁対策等に言及された方の御主張を、もう少し細かく紹介いたします。
まず、「駆け込み需要とその反動減の緩和、低所得者等への対応が重要である」という御主張をされたのが、荻上さん、河野さん、そして古賀さんであります。続いて、「デフレ脱却を確かなものにするための成長力強化が重要」というふうにおっしゃったのが、伊藤さん、古賀さん、浜田さんであります。さらに、「価格転嫁対策、中小企業、小規模事業者の対策が重要である」とおっしゃったのが、三村さんであります。
その他の御意見といたしましては、伊藤さんから、「延期するということは新たな立法が必要であり、政治的コストが大きい」、加藤さんから、「税率を引き上げるリスクより、引き上げずに信用を失うリスクの方が高い」、古賀さんと三村さんから、「社会保障制度の充実・改革が必要である」、加藤さん、三村さんから、「軽減税率は導入すべきではなく、経済的弱者には給付で対応すべきである」、浜田さんから、「先日の日銀による追加の金融緩和を高く評価した上で、効果の発現を待つべき」という御主張がありました。
その後に、出席者間の意見交換を行いました。主な論点を紹介いたします。
まず、低所得者への対策についてです。
古賀さんから、「非正規雇用労働者の処遇改善など、国民生活の底上げ・底支えにつながる施策を重点的に実施すべき。」
荻上さんから、「消費増税は、地方、女性、若者に負担になるので、地方創生、女性の活躍、次世代支援にはマイナスになってしまう。低所得者対策が重要である。」
景気対策等をとった場合のPB目標との関係についてです。
まず、伊藤さんから、「PB目標の見直しを要するような大きなものが必要とは考えていない。成長戦略が特に重要。」
そして、三村さんから、「国民に安心感を与えるため、経済対策が必要ではないか。」
社会保障制度の在り方についてです。
まず、河野さんから、「社会保障財源をどこに求め、どう負担するのか、国民の理解、議論の場が不十分であったと思う。」
続いて加藤さんから、「社会保障制度を維持していくためには、税は払うがその後の給付をしっかりチェックするという発想に変わっていくことが必要である。」
本日の点検会合の概要は以上であります。
なお、10月29日の会見でお話しをしました有識者・専門家の追加につきまして、先ほど配付しましたとおり、宍戸さん、若田部さん、金丸さんの3名にお越しいただくことになりました。日程調整をずっとしておりました。確定しましたのでお知らせをいたします。
続きまして、第18回経済財政諮問会議について、概要を御報告いたします。
本日の議題の1つ目は、本年第4回目の金融政策、物価等に関する集中審議であります。地域経済情勢にも議論が及ぶことから、石破地方創生担当大臣にも御参加をいただきました。まず、黒田日銀総裁から資料1について、そして内閣府事務方から資料2及び3について、高橋議員から資料4について説明、問題提起がありまして、その後、意見交換を行いました。議員の方々からいただいた主な意見を御紹介いたします。
まず石破大臣から、「地方の方が、物価上昇が賃金上昇を上回っており、人手不足感も強い。昔のようにグローバルに活動している経済が好調になっても、必ずしもローカル経済が好調になるかどうかはわからない。50年後を見据えた「長期ビジョン」と、国の5カ年計画である「総合戦略」を12月に取りまとめる予定である。ただし、国では地方の状況がわからないところもあるので、地方に考えていただき、また努力したところに国としても対応する仕組みを考える必要がある。企業の地方分散もお願いしているが、分散が進まない理由をヒアリングしている。また、民間にお願いをするだけではなく、国としてもしっかり対応する必要がある。」
続いて麻生大臣から、「9月の指標はよい数字であり、景気は順調に回復をしている。PBの赤字半減目標を守る中で、27年度の予算で地域や産業ごとに考えてサポートしないといけないと思う。」
民間議員から、「デフレからの脱却と経済の好循環ができるかどうかの正念場であり、政府、日銀で財政再建も考えた上で思い切った対策が必要である。特に、子育て世代や低所得者に対して消費を促す対策が必要である。経済界としても好循環の2巡目を起こすべく、来春の賃金上昇をしていく環境整備をしていく。政府には、規制緩和や法人税改革をしっかりやっていただきたい。」
同じく民間議員から、「現在、個人の消費マインドは厳しい状況にあると考えており、直接的な消費喚起策として、商品券等の活用を提案したい。その際、まとまった金額の商品券を交付するのではなくて、例えば、500円券に小分けをして交付するなどして、買い物に訪れる来店頻度を増やすことによって、物を買う喜びを助長するような工夫も行うべきではないか。ただし、所得制限は必要である。こうした取組をなるべく早いタイミングで実施すべき。また使い方は、基礎自治体に自らアイデアを出させるようにすべきである。前回の消費税率3%引上げ時の経済対策5.5兆円の実績・効果がどうなったのか、しっかり検証して、今後の対策に活かしていくべきである。」
同じく民間議員から、「デフレ経済のキーワードは変化、チェンジ。ただ、この変化により、マイナスの影響を受ける層は必ず発生する。そうした弱いところにピンポイントで直接働きかける施策、例えば、子育て世代への支援など経済成長の実感に乏しい層への対策を的確に講じていくべきである。」
次に2つ目の議事といたしまして、太田国土交通大臣に御参加をいただき、社会資本整備の在り方について議論いたしました。高橋議員、新浪議員から資料5について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。主な御意見を紹介いたします。
まず麻生大臣から、「社会資本整備については、人口減少を踏まえて防災・減災など必要な施策をしっかり計画的に、かつ、メリハリをつけて取り組む必要がある。」
太田国交大臣から、まず配布資料の説明があり、その上で、「上下水道の海外輸出について、PFIの活用を検討したい。Wi-FiなどITを活用し、港湾や空港を核とした観光振興にも取り組んでいきたい。建設労働者の賃金上昇や保険加入促進にも取り組んでいるところである。」
高市総務大臣からは、配付資料に沿った説明がありました。
続いて私から、「今後の経済財政動向等についての点検会合」について、先ほど申し上げた内容を簡略に報告いたしました。
そして、総理から御発言がございました。発言のポイントを紹介いたします。
「日本銀行が決定した金融緩和措置については、現在の経済・金融情勢等を踏まえて、日本銀行において慎重に審議をされた結果であり、時宜を得たものと考えている。日本銀行には引き続き、2%の物価安定目標の実現に向けて取り組むことを期待する。
人口減少・高齢化が進展をする中、活力ある日本経済、多様な地域経済を形成するためには、重点的かつ計画的な社会資本の整備とマネジメントが不可欠である。また、地域の創意工夫を活かした社会資本整備、連携・集約化の取組も重要である。太田大臣には、限られた予算の中で必要な公共サービスを効率的・効果的に供給をしていくため、本日の議論を踏まえ、関係大臣とも協力をし、民間能力の更なる活用と地方自治体の創意工夫を活かしていく仕組みについて検討を願いたい。
また、本日から「今後の経済財政動向等についての点検会合」を開始した。甘利大臣、麻生大臣並びに黒田総裁と民間議員の方々には、有識者・専門家からしっかりと意見を伺っていただきたい。」
最後に私から、「本日の総理からの御指示を踏まえ、関係大臣と調整しながら、しっかりと歳出改革に取り組んでまいりたい。また、「今後の経済財政動向等についての点検会合」において、有識者・専門家からしっかりと意見を伺ってまいりたい。」と発言をいたしました。
以上です。

2.質疑応答

<第1回「今後の経済財政動向等についての点検会合」について>

(問)先ほど、点検会合に出席された方々からどういう意見が出たかと御紹介いただきましたが、甘利大臣として、今日聞かれて率直な御感想について伺わせてください。

(答)各方面からバランスよく意見が出たというふうに思っています。

(問)宮城県の女川町長など、先ほど御紹介がなかった方の御意見はどんな御意見があったでしょうか。

(答)女川町長は、法律に記載されている以上やるべきであるというお話でした。

(問)基本的には賛成をされているということですか。

(答)予定どおり引き上げるべきだというお話でありました。ただ、もちろんしっかりとした対応をするということが必要だというお話だったと思います。


<有識者・専門家の追加について>

(問)3人新しく加わったのですが、宍戸さんは去年もいらっしゃっていて、若田部さんは去年いなかったと思いますが、この2人はかなり消費増税にネガティブな感じの方々だと思いますが、後から加わった経緯というのは、これはどういうことなのでしょうか。誰かからこういうふうに入れてほしいという話があったとか。

(答)かなり広範にお願いをしていく中で、出られない人があって、替わって入る人とかいろいろなやりとりをずっとやってきました。基本的にいろいろな意見のある方から幅広く、最初からバイアスをかけないで意見を聞いていこうという中で、候補に挙がった方で日程等の調整が遅れていた方々であります。
それから、こういう関係業界から人が入っていないという注文も終盤で来まして、それも含めて、最初の発表をする時にまだ連絡が取りきれていない方もいらっしゃいますというお話をさせていただきましたけども、その中でそういう対応をさせていただきました。


<所得対策について>

(問)1日目なので何とも言えないのですが、消費増税をする、しないに関わらず、去年は法人減税をやってほしいという方が多かったのですが、今年は結構、所得対策をやるべきだという声が多いようにも思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。

(答)消費税導入以降の景気の回復力がいま一つ弱いのは、消費力が弱いということで、その種のところにピンポイントでフォーカスをした対策を打つべきだという御意見が多かったと思います。
消費はGDPの6割超でありますし、本当は好循環がしっかり2巡目、3巡目と回っていくという見通しがつけば、給与が上がっていくという将来の安心感にもつながると思いますけども、まだ1巡目でありますから、それに対する不安を持っていらっしゃる方、つまり、2巡目、3巡目がちゃんと回っていくまでの消費対策はやるべきではないかという御趣旨の方が多かったのではないかと思っています。


(以上)