第15回記者会見要旨:平成26年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年9月16日(火曜日)18時54分~19時38分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

第15回経済財政諮問会議が先ほど終了いたしました。内閣改造後初めての諮問会議であります。新メンバーにて開催いたしました。
まず、本日は冒頭、総理よりご挨拶をいただきました。発言のポイントを紹介いたします。
「これまで、内閣一丸となって「三本の矢」の経済政策を推進してきた。引き続き、内閣として経済最優先で取り組み、デフレからの脱却と景気回復を確かなものとするため万全を期し、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けたい。
さらに、経済の好循環の更なる拡大を図ることで、民需主導の経済成長を実現してまいりたい。諮問会議として、経済情勢について点検をしていく。
アベノミクスの第2章を開始する。「地方の創生」と「女性が輝く社会」の実現は、この内閣の最優先課題であり、その取組を強化していく。
経済再生と両立する財政健全化も重要な論点である。このため、社会保障システムも含め、聖域を設けず、歳出改革に取り組んでいく。
この内閣は、日本の将来をしっかりと見据えながら政策実現に邁進する、「実行実現内閣」である。そのような観点から、各議員の闊達な議論を通じて、「経済財政政策の司令塔」たる諮問会議の機能を十分に発揮させていきたいので、よろしくお願いしたい。」
本日の議題の一つ目は、「現下のマクロ経済状況について」の議論であります。伊藤議員から、資料1について説明、問題提起がありまして、その後、意見交換を行いました。主な意見を紹介いたします。
まず、麻生大臣から、「民間ペーパーは、サービスで稼ぐこととエネルギーの問題について触れられている点がよい。」これは、サービス産業の生産性が悪いことが課題であるという点と、エネルギー価格が現在も上昇しており、今後もそういうことが見込まれる。これが不安要因の大きな点だということを指摘されているのがよい、というご指摘です。
民間議員から、「天候不順は消費者心理にかなり大きくマイナスに働いた。また、昨年と比較すると、あまり良いニュースがない。昨年はオリンピック・パラリンピックが明るいニュースとして報じられたが、消費者心理にプラスをするものが今年は見当たらない。高い電気代もマイナスである。メディアでは消費税がゆえに悪いという記事があるか、よく分析をしなければならない。」つまり、反動減からの景気の回復がいまひとつ力強くない。消費税がゆえに景気が悪いと言っているけれども、天候不順の要因の方がはるかに大きい、という説明でありました。
同じく民間議員から、「4月の消費税率引上げ以降、幾つかの景気の指標に変調が見られる。7-8月の天候不順が原因と思われる。それにしても、4-6月が駆け込み需要の反動以上に落ち込んでおり、特に地方で落ち込んでいる。地方は車を3、4台持っており、ガソリン代の高騰が大きな影響を与えている。
景気の回復基調そのものは変わっておらず、過度に悲観する必要はないが、注意深く見守る必要がある。思い切った即効性の高い措置として、地方における灯油やガソリン代への補助金、エコカー減税の延長・拡充を検討してはどうか。また、住宅資金などに係る贈与税の非課税措置の拡充など、お金持ちの高齢者から子育て世代への金融資産の移転を進めるべきだ。目に見えた明るい策を打ち出して、消費税率を上げることについて、総理が自信を持って判断していただけるような環境整備が重要である。
エネルギーについては、企業の投資マインドを調べたところ、半分以上が国内への設備投資を減少させ、国外への投資を増加させるというアンケート結果が出た。安全性が確保された原発の早急な再稼働をすべき。また、固定価格の再評価については、早急な見直しが必要である。」
同じく民間議員から、「足元に弱い数字が出ているが、過度な悲観は不要である。天候の影響や、増税直後の数値が楽観的に出ていたこともある。重要なのは、賃金が上がりだしていること。経済が回復していくためには賃金の上昇が不可欠である。
また、エネルギー、天候要因については、現状特殊要因だが、放置すると根本要因になり得る。景気が腰折れしないよう、必要な手を打っていくことが必要である。人手不足とコストアップで設備投資の勢いが落ちている。その背景に、公共投資の拡大がある。消費を下支えし、民間の設備投資をクラウドアウトしないようにしていくことが重要である。」
続きまして、二つ目のテーマ、「経済好循環の更なる拡大に向けた取組について」を議論いたしました。まず、高橋議員から資料2について説明、問題提起があり、その後、意見交換を行いました。主な意見を紹介いたします。
まず私から、「年功序列型の賃金体系に何らかのメスを入れることが必要ではないかということが提案されていた。現在は、賃金のピークが定年の方に寄ってきている。支出がそれほど多くない世代に賃金のピークが来ていて、子育てなど、必要なときにピークが来ないと、少子化の問題などにも関わる。子育て世代に基礎給与を極力高くしていくことが、社会問題を解決する上でのバックボーンとして重要ではないか。」
続いて官房長官から、「雇用の判断の中で、サービス分野で雇用が不足しているとあるが、地方も不足をしているのか。」
これについて民間議員から、「コンビニでは、特に夜間の人材が集めにくいという状況にあるが、ICTの活用などで工夫の余地がある。人手不足がゆえに、企業もいろいろと知恵を絞り始めているところであり、これをどう後押しするかが重要である。」
続いて官房長官から、「観光客増加への対応においても、ICTの活用は重要ではないか。天候要因の経済に与える影響については、日銀で何かデータをお持ちか。」
日銀副総裁から、「1、天候要因、2、消費税率引上げ等の反動減、3、実質所得の減少、この3点が足元の経済に悪影響を与えている主要因であるが、それぞれがどの程度寄与しているか、データで示すことは困難である。ただ、このうち天候と反動減については、経済の好循環が維持されていけば、いずれ払拭されるものと思う。日銀としては、現在の経済情勢については、経済の好循環は維持されているものと認識している。」
続いて麻生大臣から、「政労使は昨年始まったが、賃金の問題は労使で決着させるのが基本であり、やり方をよく気をつけてほしい。度々やるようなことにならないように。」
続いて、高市総務大臣から、「リスク最小化の観点から、天候要因の経済への影響の分析をお願いしたい。連休の大型化などは経済団体の中でも意見が違うと思うので、この点についてお伺いをしたい。特に地方において、生産性の低い企業を市場から退出いただくのは難しい状況にあるが、対応策についてご所見はいかがか。」
民間議員から、「麻生大臣の政労使についてのご指摘は、平時であればその通りだが、」つまり賃金改定に政府が絡んでいくべきではない、この問題は労使の問題であるという指摘ですね。「今はそういった時期ではない。今はそれが必要な時期であるが、それを常態化するものではないという認識をもちろん持っている。総務大臣のご指摘については、経団連内部でもしっかりと議論をする。」
続いて、同じく民間議員から、「地方については二つの側面がある。地方に景気回復が十分につながっていかないという問題。それは、地方の企業は国際競争にさらされていないため、生産性向上に取り組む姿勢が弱いのではないか。どうやったらセーフティーネットを作りつつも体質を改善できるか。また、金融の面でも環境整備が必要である。地方の金融機関の目利き力が落ちている。新分野にどのようにお金を流していくか考える必要がある。地方創生本部でも議論をお願いしたい。」
同じく民間議員から、「天候に関する予測モデルをつくってほしい。社会保障にメスを入れることにより、新しい企業を生むことが可能である。民間企業の創意工夫を入れることにより、医療、介護、農業の6次産業化にフォーカスして、新しい事業を立てることにより、労働移動してもらうということもある。賃金を上げるのは重要だが、実質の賃金を上げることが重要。健康保険を払うことについては家計の支出として捉えられる。そこを見直さないと実質の賃金が減ってしまう。社会保障の抜本改革が重要である。コンビニ業界は、非正規が多い。社会保障の対象とする一方で、社会保障全体にメスを入れなければ、将来に不安を持って消費に回らないのではないか。コンビニは生産性が高い。その理由は成功事例を横展開している、ITを活用している、スーパーバイザーがいるという点がある。子育て事業などにもフランチャイズの仕組みを応用することが必要なのではないか。」
私から、「総務大臣からのご要望の天気要因の分析等については、承りました。」
小渕経済産業大臣から、「働き方の改革・成果を重視した働き方については、ぜひ取り組まなければならない。女性の就業のM字カーブがあるが、せっかく投資した女性をやめさせないためにどうしたらよいか、柔軟な知恵を絞れるのではないか。こういったところでは、若者、女性、高齢者が挙げられているが、本当に一番働き盛りの男性の働き方をどうするのかを考えなければいけない。」労働力不足について、若者や女性や高齢者がすぐ挙げられているけれども、一番働き盛りの男性の働き方をどうするかということも考えなければいけないのではないかという問題提起です。
民間議員から、「政労使には戦略性が必要。今年はどうするか考えること。国民がどう受け止めるかが重要。実際に賃金が上がったことが成果と言える。自分たちの生活が良くなると実感を持ってもらうための議論が必要である。」
同じく民間議員から、「来春の賃上げが行われるかどうかが一番重要である。景気の変調で、経済の好循環の回り方が鈍くなっている。賃上げ、収益を上げるための環境整備が政府の役割ではないか。法人実効税率が、2%真水で下がれば賃上げにつながる。前回は復興法人税前倒し廃止が好循環を回すトリガーになった。」今年も何かトリガーを考えるべきだということですね。
麻生大臣から、「立場上、反論したいが、法人実効税率を下げた分だけ内部留保が増えているというのが現状ではないか。コーポレートガバナンスを強化していくことが重要だ。」
これらの議論を踏まえ、私の方から、次の3点について発言をいたしました。
「1点目、民間議員からご提案があった政労使会議、これについて総理に判断を伺ったところ、再開するというご指示であった。再開することとしたいと思っている。
2点目、本年後半の課題となっていた休み方改革については、私のもとに、「休み方改革ワーキンググループ」を設置して検討する。
3点目、経済財政関連情報の可視化について、内閣府の経済財政政策ホームページにおいて、これまでは時系列で掲載されていた諮問会議資料等をテーマ別にも掲載する。そして、アベノミクスの成果の一覧化等も全面的なリニューアルを9月中に開始する。」これまではいついつやった会議というのがあって、そこを押すとその中身がすらっと出てくるのですが、それ以外に、テーマ別に見やすいようにいたします、ということです。
最後に総理からの発言です。ポイントを紹介いたします。
「来年10月からの消費税引き上げ判断に当たっては、7-9月期で成長軌道に戻れるかどうか、15年間のデフレから脱却できるかどうかをしっかり分析することが必要である。天候要因の分析も必要であり、同時に、天候要因とはいえ、マインドが折れたら民需自体も大きく落ちていく危険性がある。実質賃金も可処分所得も重要であり、ガソリン価格が上がり電気代も上がってくると、これはマイナス要因である。インフレターゲットの2%目標は順調に進んでいると思うが、同時に消費税増税が重なっている。そこのところの影響をよく見ていく必要がある。
基本的な認識としては、経済の好循環は続いている。それを拡大していくためには、政労使の共通認識を醸成していくことが重要である。昨年、15年間続いたデフレからの脱却のために復興特別法人税を前倒し廃止し、賃上げをしてもらいたいというお願いをした。予想以上に多くの企業がそれに応えてくれた。引き続き企業収益をしっかりと賃金に回してもらうことで好循環を維持できる、という認識をみんなで共有する必要がある。ただし、政労使では賃金だけではなく働き方も話し合う。組合の方にも働き方について、胸襟を開いて話し合いをしてもらいたい。
経済財政諮問会議においても、今年後半に向け、経済財政政策の司令塔として、会議冒頭に述べた重要課題を含めて、引き続き議論を進めていただきたい。」
諮問会議については以上であります。
続いて1点報告があります。「骨太方針2014」及び「「日本再興戦略」改訂2014」では、中長期の成長資金の供給拡大を図るために、関係省庁の連携の下で議論する場を立ち上げることが決定されております。それを受けまして、中長期の成長資金の供給促進に向けて関係省庁で検討会を設置することを、諮問会議の終了後に、私と麻生財務金融担当大臣、そして小渕経済産業大臣とで合意いたしました。
以上です。

2.質疑応答

<経済財政諮問会議の民間議員交替>

(問)新たなメンバーで、今日の諮問会議が再開されたこと、改めて受け止めをお伺いしたいのと、もう一点、以前閣議後の会見でも聞かれていると思うのですけれども、この秋の重要な局面での新たなメンバー投入を急がれた理由について改めてお伺いできますでしょうか。

(答)諮問会議の民間議員の任期は2年であります。2年ごとにどうするかを考えることになりますが、2年のタイミングですと、改造内閣がスタートした途中になりまして、途中で議員が変わって動き出すのもどうかということで、タイミングとしては、もし議員を変更するのであるならば、内閣改造のタイミング、1年8カ月が過ぎたタイミングであればほぼ2年と言えるし、そこが一番良いタイミングではないかと思いました。
産業競争力会議、まち・ひと・しごと創生会議での有識者の人選もあり、創生会議に競争力会議の有識者議員を加えたいという要望もありまして、全体を見直そうということで良いタイミングですので、リシャッフルをさせていただきました。
経済界を代表する方にも入っていただきましたし、この機会に適材適所の配置を考えてみたということです。特に今後はアベノミクスが第2章に入ります。実行・実現するということでありますから、そういう意味で諮問会議と競争力会議、あるいは規制改革会議、そしてまち・ひと・しごと創生会議との連携、あるいはイノベーションナショナルシステムということで言えば、総合科学技術・イノベーション会議との連携と全体の人のつながりとか、再配置を設計して、総理の裁断を仰いだわけです。


<政労使会議のテーマ、日程>

(問)政労使会議についてですけれども、引き続き賃上げについても議論する、働き方が中心になっていくのでしょうけれども、賃上げもテーマにするということでよろしいのでしょうかということと、やるのだったら、今月中とか、いつごろ開けそうかというのをお願いします。

(答)政労使会議は、毎回賃上げを要求する会議ではありません。働き方の改革やあるいはワーク・ライフ・バランス、つまり休み方、有休をちゃんと消化できるような体制、そして労働生産性も同時に上げていくという中で、もちろん好循環を回していくということがあります。毎回ベアを強いるということは、まさに労使にかかわることですから、一時金も含め好循環にそれぞれの貢献をするということの共通認識を持ってほしいということです。
経営側からもベア以外の一時金も含めて、そういう賃上げ協議、賃金協議みたいなものは、本来、政府が入ってくる場でやるべきではないと。ただし、好循環を回すという意味では、今はある種、重要なこの過去のデフレ状況から脱する、ロケットで言えば引力から脱する大事なところですから、それは例外的に考えてもいいのではないかという発言もありました。
でありますから、要は好循環をしっかり回していくために、それぞれが、自身がなすべきことをやる。政府は環境整備をしてほしいと。例えば法人税という話もありました。ですから組合側は働き方について前向きに捉えて、やってもらいたいということです。

(問)いつごろやるということですか。

(答)それぞれ日程調整も必要ですし、国会も始まりますので、総理はじめ関係大臣も当然国会に拘束されますから、適切な時期を見計らって日程調整をしたいと思います。10月中にということをまだ確定はしておりませんけれども、まず何回ぐらい開くかということと、その上で年末までのスケジュールの中に落とし込んでいきたいと思っています。

(問)確認ですが10月中にもということですか。

(答)開ければ良いと思います。

(問)逆に今月は厳しいかなという。

(答)今月開催するには準備がなかなか大変かと思います。10月あたりには立ち上げたほうが良いのか。回数も含めて、スケジュールにこれから落とし込んでみたいと思います。


<日本銀行 中曽副総裁の発言について>

(問)確認ですけれども、日銀の方からのコメントの紹介があったのですけれども、これは中曽副総裁のコメントということでよろしいですか。

(答)そうです。

(問)あと日銀の中曽さんから他にコメントはありましたでしょうか。

(答)報告するようなコメントはただいま申し上げた部分であると思います。


<賃上げの環境整備>

(問)議論の中で、去年、賃上げを促すトリガーとしての復興特別法人税の議論があって、そのようなものが今年も何かあった方が良いのではないかという議論があったようですけれども、大臣の中で、今年そういうものになり得る候補というのはあるのでしょうか。率直にお伺いしたいと思います。

(答)経営側からは、法人税についての具体的数字、例えば初年度幾らとか、コミットすることが環境整備の大きな一つであるという話がありました。
投資する側にとっての、この不確定要素、先が見えにくい部分、それは税がどうなるかということと、それから人手不足に対してどういう対処ができるのかということと、もう一点はエネルギー価格の際限ない上昇に歯止めが打てるかという、この3つが一番大きいと思います。それぞれについて、政府が見通しを示すということが、それにつながってくるのかなと思います。


<成長資金の供給促進に関する検討会>

(問)もう一つ、最後に中長期成長資金拡大の議論がありました。これのメンバーは甘利大臣と麻生大臣とそれから小渕大臣で、官房長官は入らないのですか。

(答)入っていません。

(問)これの狙いはどういうことですか。

(答)成長戦略の中で、中長期資金をどう確保するかということが大事です。実は、郵政改革、財投改革の中で、官の資金が民の市場を圧迫するという議論が当時ありました。それは極めて大事なことだと思います。改革をしたのですが、実施した結果の現実は、民のお金がなかなか供給されない。官のお金も供給されなくなってしまって、両方供給されなくなってしまったという現実にあります。そこで、要はリスクマネーをどう供給するかということです。
諮問会議の議論の中で、金融機関がきちんと目利き能力を醸成せずに、財務諸表だけで判断をする。そこからリスクマネー供給というのが落ちてきてしまって、そこがイノベーションの力をそいでしまうことになるのではないかというような議論が行われました。確かに金融機関というのは、もう融資の許可をするか否かというのは、財務諸表シートに書き込んで、いろいろと自動的にコンピュータが判断するみたいな状況になってはいないかと。バブル崩壊以降、企業の持っているポテンシャルとか、事業計画とか、あるいはイノベーションの力とか、あるいは経営者の経営力とか、ビジネスの新機軸とか、そういうものを見抜く力がだんだん薄れて、財務諸表を入力すると融資の正否が出てくるというようなことになりつつあるという点の議論がいろいろなされているわけですね。
この成長資金、リスクマネーをどう供給していくかという議論をする中で、政府系金融機関がどうあるべきか。本来ならば、民を圧迫しないように。民間資金はお金が有り余っているわけですから、どんどん出ていくべきだけれども、初期のリスクがなかなかとれないと。そこの先導役は官の資金も一部担うべきではないかという議論とか、官の金融は緊急時対応に限定すべきだとか、いろいろな議論があります。どこまでを官が担い、民は何をすべきかということと、それからいろいろリスクマネーでも、例えば株を公開するときには、日本では事実上、種類株というのが認められていないですね。そこの議論もするべきではないかと。
例えばアメリカにおいては、グーグルにしても、フェイスブックにしても、種類株で絶対に経営権は握られないようになっています。経営者一族が自分で持っている株の議決権は10倍になったりしているわけで、経営者一族の議決権が6割、7割を占めて、市中に出されている株を全部買い占めたとしたって経営権はとれない。しかし、それはその経営者だから投資家はその株を買う。だから、株式公開するときからあらかじめこういう条件ですと、途中で条件変更されてしまうと、株主にとっては予期せぬ事態ですけれども、最初からこういう条件の下に株を公開しますということをやれば、投資家も承知の上で買っているわけですね。しかも、グーグルのああいう何人かの経営者だからこそ、自分は信頼して株を持つとか、フェイスブックのザッカーバーグ氏周辺が経営している限りは大丈夫だから持つとか、そういう判断があるわけですね。東証では確か1社くらいしか認めていなくて、恐らく今、そういう種類株を持っている企業が上場しようとすると、認めてくれないのではないかとか、いろいろな議論があります。
幅広く含めて、中長期資金、企業のイノベーションを促すような、地に足の着いた資金をどう供給するかという議論もあるわけです。ですから、広範に成長を支える資金、リスクマネーを含めて、供給するにはどうあるべきかというような議論をしていきたいと思っています。


<休み方改革ワーキンググループの内容>

(問)諮問会議の発言の中で、休み方改革について、「私のもとにワーキンググループを設けて検討する」と発言されたと御紹介がありましたけれども、休み方改革というのは、これは政労使会議からそこを抜き出して、政労使会議の下にワーキンググループを設けるという意味なのか、諮問会議の下でやるという話なのかという確認が1点と、何を検討するのかということについて、御紹介願います。

(答)例えば、来年は秋の連休に2日有休をとると9連休になるとか、再来年は3日で11連休になるとかありますね。有給休暇の日数が日本は劣後していないのですけれども、取得率が極めて低いのです。そこを考えて、ワーク・ライフ・バランスを考えていくということは、労働生産性の向上に資するのではないかということを含めて、いろいろ議論があっても良いのではないかと思っております。そこのところで、もちろん休み方改革というのは働き方改革にもつながるのだと思うのですけれども、有休をしっかりとって、しっかり休んでしっかり働く、効率よく働くということを広範に検討していくべきだと思っています。

(問)そのワーキンググループはどこに設けるのですか。大臣の下に。

(答)私の下ですが、詳細設計はこれからです。

(問)それは有識者に入ってもらって検討するという。

(答)そうです。


(以上)