第14回記者会見要旨:平成26年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年7月25日(金曜日)10時58分~11時24分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階講堂

1.発言要旨

本日行われました経済財政諮問会議、日本経済再生本部、そして閣議、この三つの会議に関し御報告いたします。
まず、第14回経済財政諮問会議の概要を申し上げます。
一つ目の議題は、「27年度予算の全体像」であります。私から、前回の議論を踏まえた取りまとめ案を御説明をし、意見交換の後、了承されました。意見交換の際の議論を御紹介申し上げます。
まず民間議員から、「重要な点は2点。1点目は、経済再生と財政健全化の好循環を実現していくこと。成長戦略を実行することで、官公需から民需中心の経済成長に転換をし、現在1%の潜在成長率を2%に引き上げていく必要がある。2点目は、歳出削減の努力を行っていくこと。2回の消費税率引上げでもPBは黒字化しない見込みである。」これは5%から8%、8%から10%の消費税率の引上げを指しますが、10%の引上げでもPBは黒字化しない見込みということです。
さらに、「社会保障と非社会保障に分けて歳出の中身の分析を行い、特に社会保障については、2020年以降も見据えて改革の選択肢を検討していくべきである。」
同じく民間議員から、「苦しい市町村ほど公需依存となっている。地方税制については、今後、ローカルアベノミクスの議論の中で、応益性の観点からも検討していく必要がある。」
次に、「予算の全体像」を踏まえて、概算要求基準について議論いたしました。
まず、内閣府事務方から資料2について、続いて、麻生大臣から資料3について、それぞれ説明があり、意見交換の後、27年度概算要求基準の考え方を諮問会議として了承いたしました。主な議論を御紹介申し上げます。
まず民間議員から、「この方針の下での選択、精査の結果について、民需の誘発効果については、定量的に示すことも含めて、明確にしていただきたい。消費税率を引き上げた際の充実分については、後から検証できるように別枠で示せるようにしていただきたい。」
新藤大臣から、「優先枠については、前年度ベースを前提とせず、大胆な見直しを図る精神で取り扱われるべきであると考える。」
私から、「大事な御指摘だ。新しい日本のための優先課題を推進するという本旨に沿って、編成を進めていくことになる。」と発言しました。
最後の議題は、本年後半の諮問会議の取組です。私から資料4及び5について説明をいたしました。いただいた主な意見等を御紹介いたします。
まず民間議員から、「26年度予算についても、新しい課題対応が本当になされているか、サンセットすべきものがあるのに、そのまま予算化されていないかなど、民間議員としても、しっかりとチェックをして今後の予算につなげていきたい。」
ここで総理から発言がございました。発言のポイントを御紹介いたします。
「本日、「平成27年度予算の全体像」を経済財政諮問会議として取りまとめるとともに、その考え方を踏まえた概算要求基準について了承が得られた。今後、本概算要求基準を踏まえ、経済再生と財政健全化を両立する、メリハリのついた平成27年度予算とするよう、政府を挙げて取り組んでまいりたい。諮問会議の今後の課題については、この方針に基づき、年後半の議論を深めていきたい。」
最後に私から、「「平成27年度概算要求基準」については、この後の閣議において了解をいただく予定である。政策コメンテーター委員会については、今後人選を進め、速やかに立ち上げたい。」と発言いたしました。
諮問会議については以上であります。
続きまして、第14回日本経済再生本部を開催いたしました。その概要を御報告申し上げます。
成長戦略については、「「日本再興戦略」改訂2014」を6月24日に閣議決定したところです。しかしながら、成長戦略の策定はゴールではなくスタートであります。総理からも、肝心なのは「実行とスピード」である旨、御発言いただいており、盛り込まれた施策を確実に実行に移すことが、今後、持続的な好循環を実現していくためのカギになってきます。
このため、本日の再生本部では、私から各閣僚に対し、早期の施策の具体化を進めることで、戦略の実行を強力に推進していただく旨、要請いたしました。あわせて、今後の施策のフォローアップ作業に際し、KPIレビューを実施し、各閣僚が責任を持って施策の点検を行っていく旨を説明いたしました。
最後に総理から、「安倍内閣は、これからも経済再生最優先。関係閣僚には、今般の成長戦略で国民に約束をした政策について、早急に具体的な制度設計に着手し、速やかに実行していただきたい。秋の臨時国会に向けて、地方の創生と女性の活躍に係る法案を準備していきたい。」等の御発言がありました。
続いて、閣議の概要を御報告いたします。
本日の閣議におきまして、平成26年度の経済財政白書を報告いたしました。
今年の白書の副題は、「よみがえる日本経済、広がる可能性」としています。景気の回復に伴う人材不足等の供給制約や、産業の比較優位、すなわち部材などの生産財から半導体をつくる装置等の資本財へと得意分野が移っている変化等への対応が課題となっておりまして、需要面に加えて、供給面の取組を強化し、日本経済の持つ潜在力を引き出すことによって、その可能性を広げていくことが重要であると指摘しています。
本報告が、我が国の経済と財政に関する幅広い議論の素材になることを期待をしております。
また、22日の諮問会議に提出した「内閣府年央試算」及び本日の諮問会議に提出した「中長期の経済財政に関する試算」についても配付いたしました。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日本経済再生本部について2点お伺いします。総理と甘利大臣以外には今日の再生本部で発言者がいなかったのかどうかという確認が1点と、あと総理から甘利大臣に対して、成長戦略の更なる進化に向けた検討の準備を進めてほしいという指示がありましたけども、現段階で今後の検討方針とか、いつ頃までに何をまとめるのかとか、現段階でのスケジュール感があればお願いいたします。
(答)再生本部での発言者は4人であります。岸田外務大臣、新藤総務大臣、稲田国務大臣、そして森国務大臣であります。
それから、成長戦略の更なる進化について、これから具体的なテーマを深掘りするもの、あるいは新たに捉えるもの等精査をしていきたいというふうに思っていますが、例えば、女性の就業率を上げて経済活動に参加していく、それを更に具体的にどう設計していくかとか、働き方の改革についてもより具体的な設計が必要だろうと考えております。
もろもろ日本経済の生産性を上げていく、日本の収益力を引き上げていく、生産性の向上、イノベーションの拡大等についてしっかり詳細な道筋を描いていきたいと思っております。
(問)閣僚の4人からの発言というのは、主な内容というのはどういったことでしょうか。
(答)岸田外務大臣からは、日本企業の国際展開、これに外務省としてもしっかり後押しをしていく。これはジェトロと在外公館との連携というのを打ち出しておりますから、それについてバックアップをしっかりしていくということであります。
新藤総務大臣からは、アベノミクスの地域・地方展開について、この重要性を述べられています。地域活性化のプラットフォームで選定をしたモデルケースへの支援を通じて強力に推進をする。それから地域再生法の改正、再興戦略では通常国会に提出するとされている。これを次期国会の提出に向けて準備をする予定があります。それから、国家戦略特区をしっかり進めていきますという話ですね。国家戦略特区法への規制改革事項の追加、次期国会提出に向けて準備を進めていきたい。
稲田国務大臣は、日本再興戦略と同時に閣議決定をされた規制改革実施計画、この着実な実行をしていきます。
森国務大臣からは、女性活躍推進のための施策、スピード感を持って対応していきます。それから、女性の働き方に中立的な制度、税、社会保障、手当、これについて諮問会議で年末までに検討していただきたい。それから、女性登用新法ですね、厚労省あるいは関係省庁と連携をして速やかな法案提出を目指していきたいという発言がありました。
(問)経済財政白書についてお尋ねしたいと思っております。
今回は日銀の金融政策の出口に触れられていますが、この狙いは何だったのでしょうか。出口戦略というのがまだちょっと遠いので、この議論はまだ早いのではないかなという気がするのですけれども、この2点について大臣のお考えをぜひ聞かせてください。
(答)出口戦略に関しては、日銀がその政策対応の中で責任を持ってやられることであります。今、まだデフレの脱却宣言をいたしておりませんから、まだできていないのにですね、すぐ対応ということは時期尚早だというふうに私も思います。ただ、このデフレの脱却のための金融緩和から、巡航速度への着地については責任を持って日銀が考えていきます。政府はそれを信頼していくということであろうと思います。再度申し上げますけれども、今この時点で出口戦略を語るのは時期尚早だと思います。
(問)別件なのですけど、大臣が昨日、経団連の講演の中で、「後期高齢者」という言葉が評判が悪いので「熟年高齢者」というのを厚労大臣と相談しているということだったんですけれど、この検討状況についてはいかがでしょうか。
(答)これは正式には前期・後期という名称になっています。ただ、厚労大臣は、いわゆる通称として「前期高齢者」を「若年高齢者」という発言されました。「そうすると、それに呼応する言葉としては熟年高齢者ですかね」というふうに私が発言をしまして、「いわゆる若年高齢者」、「いわゆる熟年高齢者」、こういう理解でいいのではないかと思います。
(問)白書について教えてください。今回、白書で日本企業の稼ぐ力について詳しく分析されていますが、特に大臣のこの分野の思い入れ等どのように考えていらっしゃいますでしょうか。また、分析を踏まえて、日本企業の今後について、どういったメッセージがあるというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)これは、ミクロでいえば企業それぞれのROEが非常に下がっている。売上に対する利益率が極めて落ちている。それから、日本経済自身も成長が落ちて税収が思うように上がってきていなかった。これを日本の潜在力をしっかり引き出して、企業の収益力も上げていく、日本国経済の収益力も上げていくということを目指していきます。
企業について言えば、収益力が上がらないことのいわば言い訳として、不採算部門がなかなか雇用の関係から切り離せないということがよく言われます。では、雇用をしっかり守りながら不採算部門を採算化していくツールは用意しましょう。そして、イノベーションを、企業ではカバーできない上流から下流へつないでいくためのシステムもナショナルシステムとして構築をしていきます。あるいは法人税も先進諸国に比べて劣後しないような対応をしています。環境整備はしていきます。あるいは労働生産性を上げるための働き方の改革というのも取り組んでいきます。あとは企業がチャレンジする精神を持つということが大事です。そして、ただいたずらに内部留保に積み上げるのではなくて、それを未来の投資に使っていく。そして企業の収益力を引き上げ、賃金を引き上げ、下請代金を引き上げ、株主還元をしっかりするというところから日本の企業に対する魅力が上がってくる。そうすると、国内外の投資家の投資対象となっていくということを目指しているわけです。
日本が投資対象国として極めて魅力的なところであるというための環境整備は国も行います。しかし、基本は国が行った後は、次なる努力は企業のチャレンジ精神であり、その用意されたツールを使って収益体質を改善していく、そして投資対象として魅力的な企業になるということであります。それを目指して国がなすべきことをしていく。法人税、働き方、イノベーション・ナショナルシステム等々、環境整備をしていきますので、次なる決意は企業それぞれがしてください。透明性を高め、社外取締役を導入し、外部の目を入れ、緊張感を持ち、チャレンジ精神を持って、イノベーションに対してはベンチャーの力も活用していく。そのための政策対応も国としてはしていきます。収益力を高めるためのツールは各種用意をしますが、あとは勇気を持って挑戦していく民間の姿が大事ですということは申し上げていきます。
(問)ロシア・ウクライナ情勢に関連した質問なのですけれども、昨日、アメリカとカナダはワールドバンクのロシアでの開発プロジェクトに反対することを明らかにしています。日本も反対するのかどうかを含めて、日本のスタンスについて甘利大臣のお考えをお聞かせください。
(答)これはアメリカ、EUと対応を協議しながら判断していくということになるんだと思います。やはりウクライナに対する、親ロシア派に対する影響力はロシアが一番行使できるでありましょうから、国際社会の一員として責任ある行動をとっていただけるように、どう対応していくのが一番ロシアの自発的な行為を後押ししていくのかということをしっかりアメリカあるいはEU各国と協議をしながら、対応していくということが必要だと考えます。
(問)再生本部の総理指示ですけれども、最後、甘利大臣には成長戦略の更なる進化に向けた検討の準備を進めていただきたいと思いますとありました。これは内閣改造後も引き続き検討を進めてほしいという指示なのでしょうか。
(答)総理の御趣旨は伺っておりませんが、とりあえず「(内閣改造まで)」というカッコ書きがついているのではないですかね。

(以上)