第13回記者会見要旨:平成26年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年7月22日(火曜日)12時49分~13時17分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階講堂

1.発言要旨

閣議に関しては、私から特に申し上げることはありません。
第13回経済財政諮問会議が先ほど終了いたしましたので、その概要を申し上げます。
一つ目の議題として、本年、第3回目の「金融政策、物価等に関する集中審議」を行いました。まず、黒田総裁から資料1について、内閣府事務方から資料2及び資料3について、高橋議員から資料4について、伊藤議員から資料5について、それぞれ説明、ポイントの提示等がありました。その後、意見交換を行いました。
説明に関するポイント及び議員の方々からいただいた主な御意見等を紹介いたします。
まず、黒田総裁から、「日本銀行は、「量的・質的金融緩和」を着実に進めており、そのもとで、名目金利の上昇圧力が抑制されている一方、予想物価上昇率は全体として上昇しており、実質金利は低下し、実体経済を刺激する効果が強まっている。日本経済は、2%の物価安定目標に向けた道筋を順調にたどっているが、なお道は半ばである。したがって、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を持続していく。また、何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じ、「物価安定の目標」を実現するために必要になれば、躊躇なく調整を行う。」
続いて民間議員から、「今後の経済運営については、民需主導の成長が定着するかどうかがポイントである。公共投資が需要を牽引するという役割は縮小をさせていくべきである。公共投資は、このところ支出済額が15~16兆円で推移する中、繰越額が相当大きくなっており、事業の進捗見込や、残りの事業量などをしっかり把握することが必要である。特に総務大臣が以前発言された、四半期ごとの公共事業の執行状況の公表について、検討状況はどうか。国・地方ともにしっかりとした情報提供をお願いしたい。」
同じく民間議員から、「物価、需給ギャップともに、1995年度から2011年度頃まではマイナスで推移してきたが、これが2013年度にはアベノミクスの成果により改善してきており、今後もデフレ脱却が実現する中で改善傾向が続くことが予想される。2013年度の法人税の増収は、こうした経済活動の水準シフトを背景とした構造的なものであると考えている。」
新藤大臣から、「公共事業の執行状況については、現在地方公共団体に照会中であり、予算額、契約額、執行額を7月末~8月初めには公表したいと思っている。」
続いて民間議員から、「建設業では、キャパの限界もあり入札を断る動きも見られる。これが価格引上げと成長のボトルネックになる可能性はどうであろうか。」
黒田総裁から、「建設業のような個々のセクターでみると、人手不足が進み、価格が上昇しているが、経済全体では緩やかな物価上昇になっており、2015年度を中心に目標である2%を達成するとみられる。」
続きまして、2つ目の議題として、「予算の全体像」について御議論をいただきました。
まず、高橋議員から資料6について、続いて麻生議員から資料7について、それぞれ説明、問題提起等がありました。その後、意見交換を行いました。
説明のポイント及び議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
まず、民間議員から、「27年度予算編成に当たってのポイントは3つ。1つ目は、27年度予算を民需主導の成長に本格化させるための予算とすること。法人税改革についても企業活動に明確なインパクトのある法人実効税率の引下げを考えるべきで、27年度に2%以上の引下げを実現すべきではないか。2つ目は、経済再生と財政健全化目標の双方の実現に向けて大胆に歳出を見直し、メリハリのついた予算とすべきということ。そのためにも、新規国債発行額を前年度と比べ着実に減少させることが重要であり、歳出削減の強化が不可欠である。3つ目は、PDCAの実効性を高める取組を行うべきであるということ。骨太方針に盛り込まれた施策と26年度予算への反映状況をフォローアップしたい。財務省にも協力をお願いしたい。」
麻生大臣から、「今回の概算要求基準は、民需主導の経済成長と財政健全化目標の双方の達成を目指すメリハリのついた予算を策定することを基本的な考えとし、国・地方のPBの赤字半減目標を達成するよう予算総額を定める仕組みとしていきたい。具体的には、裁量的経費について一定の割合削減をした要求をしていただく一方で、骨太方針や日本再興戦略など、政権としての優先課題に対応するため、別途の要望をカウントする仕組みとする。今後、概算要求基準の具体的内容を整理し、25日に政府として決定することとしたい。」
新藤大臣から、「法人税率引下げにあわせ、外形標準課税の拡充を含めて検討したい。地方税収については、24年度から25年度に0.7兆円増えているが、特殊要因もあり、慎重な見立てが必要である。」
これに対して私から、「もちろん慎重な判断は必要であると思うが、アベノミクスは成長を通じて財政健全化も進めるというものであり、税収が伸びていかないということがあってはならないと思う。」
続いて麻生大臣から、「内閣府の試算では、2015年度はかろうじて目標達成はしているが」─これは財政健全化目標、対GDP比マイナス3.3、これを3.2に到達させたという意味で、2015年度は目標達成をしているが、「今、歳出歳入両面の努力を緩める状況にはない。ただし、2020年度は11兆円の赤字が残る。各年度において収支改善できるときはできる限りの改善を進めていかなければならない。」
続いて民間議員から、「各省の予算要求については、今回の優先枠に該当するか否か、一段と厳しい精査が求められる。」
同じく民間議員から、「優先枠の要求について各省にKPIを設定させるなど、政府は説明責任を果たすべきである。」つまり、優先枠にタイトルだけつけて何でもかんでも盛り込んでいくというのはけしからんと、そこは政策目的に従って今まで以上にしっかり精査をすべきという意見であります。
黒田総裁から、「内閣府の試算は、潜在成長力が2%台に上昇していくという野心的なもの。2015年度の予算編成の後には、その後の政策運営について議論していく必要がある。」これは、もともと2020年度の問題提起を麻生大臣がされた議論の延長線上です。
続いて、最後の議題として、本年後半の諮問会議の取組について、まず小林議員から資料8について説明がありました。
ポイントは三つ。1つ目は、持続可能な経済成長を実現するために、イノベーションをどうやって誘発するかということ。未来委員会で検討し、諮問会議に報告してほしい。2つ目は、政労使の取組。フォローアップをしっかりし、議論を深めていく。3つ目は、人口急減・超高齢化の流れを変える制度・システム改革の検討や、女性の働き方に中立的な税制・社会保障制度等の検討を行うこと。
また、小林議員から提案のあった政策コメンテーター委員会(仮称)に関連して、私から、「諮問会議の議論を深めるためのいわばインフラとして、40~50名程度の有識者から、定期的に経済情勢や重要政策課題の在り方について、メールで意見を集め、諮問会議に参考資料として配付をしたい。また、そうした意見の整理・集約のために専門調査会を設置したい」旨の説明をいたしました。
その後、御議論いただきました。専門調査会の設置に向けて了承も得ました。議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。 まず、麻生大臣から、「政府の方針は、骨太2014で決まっている。本年秋以降は諮問会議とも足並みをそろえ、実効税率を引き下げることの具体化を進めるとともに、制度改正で課税ベースを拡大し、財源を確保する必要がある。」
ここで総理から御発言がありました。発言のポイントを御紹介申し上げます。
「民間議員から「予算の全体像」についての御提案をいただいた。2015年度は景気回復の3年目に当たる。デフレ脱却をし、民需主導で経済の好循環を力強く拡大させるとともに、アベノミクスの成果を地方に波及させていけるよう、予算編成を進めていきたい。
同時に、来年度は基礎的財政収支の半減目標の達成時期に当たる。経済再生と財政再建を両立させるよう、これまで以上にメリハリのついた予算を目指してほしい。
また、民間議員から、経済財政諮問会議で今年後半に取り組む課題についてお示しをいただいた。
経済情勢等を踏まえ、適切なマクロ経済運営を行っていけるよう引き続き議論を進めていただきたい。また、女性の働き方に中立的な制度改革、経済の好循環拡大のための取組等、経済財政政策の司令塔として具体化に向けた議論を進めてほしい。
法人税改革については、「骨太の方針」で示された方針に従い、今後、甘利大臣と連携しつつ、麻生大臣、新藤大臣が具体案を検討し、経済財政諮問会議に報告をしていただきたい。経済財政諮問会議としても、経済財政運営全般の観点からフォローアップを行っていく。」
最後に私から、「本日の議論を踏まえ、次回、「平成27年度予算の全体像」について諮問会議として取りまとめを行いたい。概算要求基準については、本日の議論を踏まえ、次回、麻生大臣から更に具体的な案を示していただきたい。民間議員から御提案をいただいた今年後半の諮問会議の取組については、本日の議論を踏まえ私の方で取りまとめ、次回配付したい。また、政策コメンテーターの仕組みについては早急に立ち上げたい。」
以上です。

2.質疑応答

(問)今日の議論の中でも、2020年度のPB黒字のお話も出たようですけれども、一部報道で、来年夏を目処にPBの黒字化目標達成に向けて社会保障とか、あるいは公共事業なんかについて削減の数値目標なんかを計画に盛り込む方針があるやの報道もありましたけれども、大臣としては2020年度の黒字化に向けて、かつての毎年2,200億円とか、そういった数値目標を設けることについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)かつて小泉内閣のときに、毎年2,200億円ずつ強制的にカットをし、5年間で1兆円以上の削減を図るということが行われ、途中で頓挫をいたしました。私どもはそういうアプローチをとることは予定いたしておりません。合理的に無駄を無くし効率化を進め、その結果として大幅に削減ができるよう取組を進めていきたいと思います。
社会保障情報の見える化を図る、IT化、デジタル化を図ることを通じてどこに問題があるのか、どれがベストプラクティスかを見きわめていく。そして、ベストプラクティスを横展開させていく、共有していくという手法をとるということを表明しておるわけであります。このやり方の方が、より合理的に、そして無理なく無駄を省いて効果的な予算のコストパフォーマンスを上げていくことができるというふうに思っております。
(問)関連して、概算要求の基本方針について、今日、財務大臣から示された中で、今おっしゃられた、社会保障費の自然増の内容を厳しく精査していくことを含め合理化、効率化に最大限取り組みたいという文言がありました。甘利大臣としてはどのように、今もお話あったと思うのですが、合理的に聖域無く、この間のお話もありますが、取り組むべきだとお考えになりますでしょうか。
(答)今まではどちらかというと、自然増はある種聖域的に扱うのは仕方がないと、高齢化だからと、その一言で、本当の自然増があるのかどうか、あるいは工夫の余地がないのかという精査の仕方が極めて弱かったと思うのであります。
安倍内閣になりまして、諮問会議の提言は、聖域と言われるところ、自然増も含めてですね、それを何も精査しないで、そのまま認めるという方向ではなくて、本当に自然増なのか、そこに重複や無駄等が無いかどうか、社会保障情報の見える化をしていくことによって見えないものが見えてくる、ここにこういう重複や無駄があるではないかと、これはむしろこういうことを通じて解決ができるのではないかと、それは実際に行った実績もあるではないかということ。そうであるならば、良い方の事例を横展開させていくことを通じて予算の効率化を図っていく、コストパフォーマンスを上げていくということであります。でありますから、この「自然増」という一言で一切タブー視はしないということで、その中にも改善の余地は無いかと、聖域なく全てを見直していくということであります。
(問)新しい日本のための優先課題推進枠を設けるというお話が進んでいますけれども、この枠について、その効果を明確なものにするために、例えば地方のものに幾らだとか、また成長のために幾らだとか、そういうことを分けていくことについての考え方というのはどうでしょうか。
(答)今回注目をされるであろうことは、地方創生の司令塔ができるわけであります。まち・ひと・しごと創生本部ができる。そうすると、地方創生という別枠だとすると、何でもかんでも足を突っ込んでくる危険性がある。ですから、今日の諮問会議でも、本当に安倍内閣の目指す予算編成方針、つまり民間の力をどう投入をしていくか、日本の産業のみならず日本国自身の競争力を引き上げていくためにどういう手だてが必要かと、そういう基本的な考え方に従って、この特別枠も厳しい精査をしてほしいということでありました。これから具体的な、その予算の必要度合いを測る物差しというものをきっちりとつくっていきながら、各省の要求がそれにふさわしいものであるかどうかしっかり精査をしていく必要があろうかと思っています。ですから、ここは幾らが地方枠、幾らが何とか枠という分け方をすると、それがあらかじめ、ここまではいいのだという既得権になりかねないので、そこは少し慎重な検討が必要かと思います。
(問)法人税のところですけれども、先ほど大臣、民間議員の方、来年度から2%ぐらいやるべきという意見があったとお伺いしていますけど、その財源の部分で、今日提出資料もありますけれども、例えば提出資料の中の課税ベース拡大の1.3兆円が13年度は12年度に比べてあってという、そういう説明もありますけれども、この財源はどこで取るべき、例えばこの1.3兆の中からできるとか、そこら辺の具体的な議論がどこまで出たかあったら教えていただきたいのですけれども。
(答)その議論はまさに財務大臣、総務大臣を中心に私と連携をとりつつ両大臣が具体的設計をしていくわけであります。その際に諮問会議としては、アベノミクスの成長の果実を更なる成長の原資に向けるべきという主張をしてきました。それがどれくらい新たな成長の原資として使われるべきかというのは議論の余地がありますけれども、それも含めて2大臣が設計されることに関して諮問会議としての考え方とすり合わせをさせていただきたいと思っております。
基本は、よく過去20年間税率を引き下げて、税収は上がってこなかったという議論、それはそのとおりなのです。なぜかというと、経済が縮小する中でやっている作業でありますから、この日本経済がたどってきた一番改善すべき抜本的な問題を見つめ切っていないのではないかという懸念があります。経済規模が縮小する中では何をやっても税収は増えないのであります。税率を引き上げても多分増えないのだと思います。経済規模を、つまり名目成長率を高くしていく、経済規模、名目GDPを大きくしていくということが税収拡大の一丁目一番地であるという認識を強く持つことが必要であります。
アベノミクスは名目GDPを大きくしていくためのプランであります。大きくしていくということは、税収は構造的に増えていくということです。それが一時的なもので見込めないということは、名目GDPを大きくなる見通しが持てないということになりますから、それはアベノミクスを実現していく中では、そういうことはあってはならない、そういうことがあればアベノミクスは実現しないということになるわけでありますから、そこの認識を政府全体で強く持つことが大事だと思っています。
(問)年後半の課題についてお聞きします。人口急減、超高齢化の流れを変える制度改革の検討とありますが、「選択する未来」委員会の議論も再開いたしましたが、特に年後半に取り組みたい重点的な分野はどういったところでしょうか。
(答)女性の働き方に中立な制度改正ということが挙げられています。これは税・社会保障、それから企業の給付金の問題、これらの要素をそれぞれ三つ合わせてどう制度設計すると、女性の働き方に中立になるかということであります。
年後半は地方の再生・創生と女性の活躍促進が大きな柱になってくると思います。そこらあたりを中心に具体的な設計ができればというふうに思っております。

(以上)