第12回記者会見要旨:平成26年 会議結果

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:平成26年6月24日(火曜日)19時10分~19時34分
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S101・S103会見室

1.発言要旨

本日は、経済財政諮問会議と産業競争力会議を合同で行い、「経済財政運営と改革の基本方針2014」を答申として決定するとともに、「日本再興戦略改訂2014」について取りまとめを行いました。その後、臨時閣議が開催をされ、「基本方針2014」及び「日本再興戦略改訂2014」を決定いたしました。
臨時閣議におきまして、私からは、「「三本の矢」を引き続き強力に推進することにより、動き始めた経済の好循環の動きを拡げ、デフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものとし、さらには、「基本方針」で示した望ましい未来像の実現につなげていきたい」旨を発言いたしました。
総理からは、「日本経済再生に向けて、動き始めた経済の好循環の動きを拡げ、デフレ脱却と経済再生への道筋を確かなものとしていくことが重要であり、閣僚各位におかれては、本「基本方針」及び「日本再興戦略改訂2014」に基づき、政策の具体化と実行に向けて、全力で取り組んでいただくようお願いする」旨の発言がありました。
ここで、それぞれの概要について私から一言御説明いたします。
まず、「基本方針2014」についてです。
副題にありますように、デフレから好循環の拡大に向け、今後の経済財政運営の基本的な方針といたしまして、当面のマクロ経済運営については、デフレからの脱却を確実なものとするため、引き続き需要の継続的拡大を図ること、需給ギャップが縮小しつつある今こそ、成長戦略を更に推進し、新たな雇用・投資・事業展開などのチャレンジを促すこと、などを明記しております。
特に、成長志向に重点を置いた法人税改革につきまして、「数年で法人実効税率を20%台まで引下げることを目指し、来年度から引下げを開始する」との内容を明記しております。成長戦略にも同様の記載をしております。
さらに、中長期的な取組として、50年後に1億人程度の安定した人口構造の保持を目指し、2020年を目途に「人口急減・超高齢化」への流れを変えるため、抜本的な少子化対策などの制度・システムの改革を進めていくことを、政府として初めて示しております。
この他、経済再生と財政健全化の好循環構築のための主な歳出分野の重点化・効率化の考え方を示すなど、経済財政運営・改革のための基本的な方針を示しております。
次に、成長戦略についてであります。
この1年間、「第三の矢」である成長戦略は、大きな成果を上げてきました。例えば、社外取締役導入を促す会社法改正案が成立する一方で、独立社外取締役を選任する上場企業が47%から61%に急増。約40万人分の保育の受け皿確保を行う「待機児童解消加速化プラン」を推進し、女性の就業者数は53万人増加。約40年以上続いた米の生産調整を見直し。他方、農林水産物・食品の輸出額は前年比22%増加し、過去最高の5,500億円を記録。そして、ASEAN諸国を中心に、ビザの要件緩和を行い、訪日外国人旅行客数が初めて1千万人を突破。旅行収支は44年ぶりに黒字化。これは大阪万博以来です。このような成果が既にあがっております。
さらに、今般の「日本再興戦略改訂2014」では、こうした変化を一過性のもので終わらせないために、日本経済を確実に成長軌道に乗せる更なる成長戦略強化のための施策を整理しました。
具体的に申し上げますと、企業に収益力の増大を促すための、コーポレート・ガバナンスの強化、GPIFを始めとする公的・準公的資金の運用の見直し、学童保育の拡充等の女性の更なる活躍促進、新たな労働時間制度の創設等の働き方の改革、技能実習制度の見直し等の外国人材の更なる活用、農業委員会・農業生産法人の見直し、農協の改革、保険外併用療養の大幅拡充等による健康産業の活性化、などを盛り込んでおります。
また、昨年から繰り返し申し上げているとおり、成長戦略で重要なのは実行であります。改訂版の策定を新たなスタートとして、今後、これらの「日本経済を一変させる」改革の実行に強い決意で取り組んでまいります。
次に、臨時閣議前に行われた経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議の概要について申し上げます。
まず、骨太方針についての意見交換の際に、議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
まず、民間議員から、「経済再生と財政健全化の両立について、今後、経済が活性化すると金利上昇のリスクが高まるので、財政赤字を確実に減らすことが重要である。」
同じく民間議員から、「成長戦略の更なる推進がしっかりと位置付けられ、中でも法人税改革について道筋が示されたことを評価をしたい。今後、いわゆる六重苦の中でも、エネルギーコストへの対応や社会保障制度改革、働き方の改革など、様々な課題に取り組んでいかなければならない。財政健全化は、経済再生と並ぶ柱として取り組まなければならない。民間議員としても積極的に改革の推進のための提言をしていきたい。政府におかれても、しっかりとした舵取りをお願いしたい。
続いて、成長戦略の改訂についての意見交換の際に、議員の方々からいただいた主な御意見を紹介いたします。
民間議員から、「規制改革会議の答申では、総理のリーダーシップで、これまで実現をできなかった岩盤規制である農業改革、労働規制、混合診療などを始め、235項目を盛り込んだ。答申内容の実現に向けて、継続的に粘り強く取り組んでいきたい。また、今期も産業競争力会議との連携に努めてきたが、来期も更に工夫をしながら連携をしていきたい。」
同じく民間議員から、「今回の再興戦略の改訂版は、企業のイノベーションの促進と競争力の強化に向けた画期的な内容となっている。国民の生活水準の向上にも資する。経済界の方向とも軌を一にしており、高く評価したい。今回、法人税については画期的な方針が示された。総理の強い決意の表れであり、敬意を表する。年末に向けて、来年度からの実質減税が実現するようお願いをする。産業界としても、今回示された方針に沿って、「稼ぐ力」を一層強化し、好循環に向け全力で取り組みたい。」
同じく民間議員から、「今回の取りまとめでは、総理の1月のダボス会議での公約が全て実現されている。今後は対外広報をしっかりとやっていくべき。これから今すぐできることがある。国家戦略特区では、区域会議が始まっている。すぐにできることを直ちに始めていこうではないか。」
ここで総理から発言がございましたので、御紹介いたします。
「本日、「骨太方針2014」と「成長戦略改訂案」をおまとめいただき、感謝をする。この1年半、「三本の矢」の政策によって、我が国経済は生まれ変わりつつある。この動きを持続的な成長・発展につなげるために、この2つのプランに基づいて、
・成長志向に重点を置いた法人税改革とコーポレート・ガバナンスの強化による「稼ぐ力」の強化、
・女性の更なる活躍の場の拡大や海外人材の受入れの拡大、
・農業、雇用、医療等における大胆な制度改革、
・アベノミクスの成果を全国津々浦々に波及させ、地域経済の発展につなげるための取組、
などに取り組んでいかなければならない。
肝心なのは、「実行とスピード」。この後閣議決定し、安倍政権の政策方針として、直ちに実行に移していく。議員各位には、多くの時間を傾けていただいたことに改めて感謝を申し上げるとともに、アベノミクスを強化・深化させていくため、引き続き御協力をいただきたい。」
最後に、私から、「本「基本方針」と成長戦略を強力に実行し、早期のデフレ脱却と経済再生を実現してまいりたい。本「基本方針」及び成長戦略の改訂版は、この後の臨時閣議で決定する。取りまとめに当たって、皆様の御尽力に感謝するとともに、引き続き、御協力をお願いしたい。」と発言をさせていただきました。
私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)薬価の毎年改定のお話ですけれども、結論としては「年1回」の文字が入らず、このような文言に落ち着いたことへの受け止めを一つお願いします。
(答)薬価については、公定価格と実勢価格の差は国民負担になっているわけであります。それをできるだけ適宜、適切に埋めていく、時勢に合うように公定価格を下げていくということであります。
その際に、与党議員からいろいろな点についての懸念が示されました。前にも申し上げましたけれども、それが研究開発費の確保に跳ね返ってくる話ではないかと。あるいは任意に卸事業者がやっていることについて強制は難しい。要するに頻度があるというのは、それだけ調査コストがかかるという話など。あるいは他に、3、4点いろいろな問題の指摘がありました。それらを加味して、頻度も含めて適宜、適切に対処していくという表現にさせていただきました。
1つのことをやったがために、別のところでマイナスが生じるという御指摘がありましたから、それをきちんと精査しながら進めていきますということです。片方、コストを下げた。しかし別のところでかえってマイナスが生じたという指摘があるのであれば、それをしっかりと検証しながら頻度も含めて進めていくということにいたしました。
(問)そうしますと、今年度はそういう実施は難しいと。
(答)今まで、2年に1回という改定の頻度を短縮することも含めて、指摘されている問題、副作用が起きるのか起きないのか、そこを検証しながら、より国民負担が低くなるようなことを求めていくということであります。
(問)前回の会見で大臣は、諮問会議としてもしっかりチェックしていくという御発言がありましたけれども、これは今後、厚生労働省での議論をどのように諮問会議としてチェックしていかれるのでしょうか。
(答)諮問会議は、日本の財政の健全化について、全体をチェックしていきます。ですから、医療費を含む社会保障費の増大について、それがやむを得ないものであるか。あるいは、自然増も含めて改革の余地があるのか。あるいは工夫をすれば削減ができるのか。全てを含めてチェックをしていきたいと思っております。
(問)「骨太の方針」についてお伺いします。この中で、財政健全化に向けて「聖域なき歳出削減」というのをうたっているのですが、各論になると自民党の議論の中で、リニアモーターカーですとか、環状道路の早期インフラ整備ですとか、あるいは今も質問に出ましたが、薬価の改定についても診療報酬本体への影響にも配慮しつつと、歳出抑制からある意味、後退したかのような表現が幾つか見受けられるのですけれども、本当にこれで歳出削減、聖域なき歳出削減が実現できていけるのかお考えをお聞かせください。
(答)きちんとやっていきたいと思います。リニアの点については、関係者からの御指摘は、2段階に分けて、ステージ1から全線開通までのステージ2までの間に18年もかかるというのは経済効果が上がらないのではないかという御指摘があったわけです。しかし、これは民間事業者がやることでありますから、そういう御指摘があったことをどう受け止めるかということであります。
民間事業者がやはりそうだと、全線開通の方が経済効果は高い。そのためにどういう手当が必要かというのであれば、またそのことは検討の余地はあろうと思いますが、今のところ、そういう要望は出てきておりません。ただ最初から全てそういう問題提起を遮断してしまうということは避けたという表現にしているわけです。経済効果はこの方がより高いのではないかという指摘に対して、それは民間事業者も含めて、実際にどうなのかということを議論する余地は置いたということだと理解してください。
(問)関連なのですけれども、去年の骨太の議論の中では、やはり削減の数値目標をつくるとなかなか実現できないというお話も、小泉政権のときの例を引き合いに出されたと思うのですけれども、やはり痛みを伴う改革ということで難しいところもあるのですけれども、どのように歳出削減、年末の予算編成に向けてやっていかれるのか。ポイントみたいなものがあれば教えてください。
(答)一番削減が難しい社会保障費の自然増といえども、本当にそれが自然増で、手を触れられないものか。つまり社会保障制度改革推進本部のもとに、ICTを使ったりして、どう社会保障費の効率化を図っていくかというチームをつくっていくと、これは諮問会議の席上で、麻生副総理兼財務大臣から指摘があったことに応えてやっていくわけであります。
ですから、たとえ自然増といえども、そこに効率的に切り込んでいく余地について取り組んでいきたいと思います。それ以外の政策経費についてはより厳しく取り組んでいくということであります。予算自身を成長志向型にしていきますが、そこでメリハリをしっかりつけていきたいと思っております。これからシーリング等が行われていきますから、そこは諮問会議を中心に厳しい目を光らせていきたいと思っております。
(問)「骨太方針」の沖縄振興についてお伺いします。西普天間への高度な医療機関の導入をはじめとする駐留軍跡地の利用促進を図るという文言なのですが、注釈に「琉球大学医学部及び同付属病院の移設を含む」というのが新たに明記されています。この文言が入った経緯と意図、そして予算編成において今後、どのようなものが盛り込まれていくか大臣の御所感をお願いします。
(答)これは党の手続を踏んでいく中で、出席議員から明確化をしてほしいという要望があり、妥当と考えて入れたものであります。
(問)今後の予算編成の中に、どのような予算が盛り込んでいきたいというお考えは何かございますでしょうか。
(答)それはこの方針に従って、所管官庁がどういうプランを出してくるかを見たいと思っております。

(以上)